(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041836
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】経皮ターゲティングデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/17 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
A61B17/17
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023013930
(22)【出願日】2023-02-01
(62)【分割の表示】P 2020571478の分割
【原出願日】2019-06-20
(31)【優先権主張番号】18178849.8
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】514290052
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARTHREX, INC.
【住所又は居所原語表記】1370 Creekside Blvd, Naples, FL 34108, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・シャウマン
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ・ウェスシェンフェルダー
(72)【発明者】
【氏名】イェルク・ミッツナー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター・デュボア-フェリエレ
(72)【発明者】
【氏名】ザック・デイ
(72)【発明者】
【氏名】ホルヘ・アセベド
(57)【要約】
【課題】最小限の侵襲性の足外科手術(例えば、腱膜瘤手術、すなわち、シェブロンおよび/またはエイキン骨切り術)のためのねじ配置を支援するガイドを提供する。
【解決手段】経皮ターゲティングデバイスは、延長部を保持する本体を備える。本体は、Kワイヤとすることのできるターゲットピンを保持するターゲットガイドを有する。延長部は、ガイドワイヤを保持する2つのガイドスリーブを有する。すべてのワイヤは、共通平面内で保持される。ガイドワイヤは、カニューレ挿入される固定ねじに対するガイドとして働く。延長部は、ターゲットピンとガイドワイヤとの間の角度を調整するために、本体に対して移動可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮ターゲティングデバイスであって、
本体;
前記本体に対して移動可能な延長部であって、少なくとも1つの取り付け穴を含む延長部;
ターゲット穴を含む標的組立体;
前記本体を通して受容可能であり、骨の遠位部分に配置されて、前記骨の遠位部分を再配置するターゲットピンであって、前記ターゲットピンは、前記標的組立体の前記ターゲット穴を通して受容される、ターゲットピン;
少なくとも1つの取付け孔を通して骨内に挿入される第1のガイドワイヤ;および
前記第1のガイドワイヤを使用して前記骨にねじ込まれる第1のカニューレ挿入される固定ネジ;
を備えることを特徴とする経皮ターゲティングデバイス。
【請求項2】
前記骨は、前記遠位部分と近位部分とに分割された中足骨であることを特徴とする請求項1に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの取付け孔は、前記第1のガイドワイヤを受容する取付け孔と、第2のガイドワイヤを受容する別の取付け孔と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項4】
前記別の取付け孔は、第2の取付け孔と第3の取付け孔とを備え、前記第2のガイドワイヤは、前記第1のガイドワイヤと前記第2のガイドワイヤとの間の所望の距離に応じて、前記第2の取付け孔および前記第3の取付け孔の一方に収容されることを特徴とする請求項3に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項5】
前記第2のガイドワイヤを使用して前記骨にねじ込まれる第2のカニューレ挿入される固定ねじを含むことを特徴とする請求項4に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項6】
前記第1の取付け孔と前記別の取付け孔との間に側壁が配置されていないことを特徴とする請求項3に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項7】
前記取付け孔は前記ターゲットピンに対して最も遠位にあり、前記別の取付け孔は前記ターゲットピンに対して最も近位にあることを特徴とする請求項3に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項8】
前記標的組立体は、前記ターゲットピンを受容するターゲットスリーブを含むことを特徴とする請求項1に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項9】
前記ターゲットスリーブは、前記標的組立体内での前記ターゲットピンの移動を可能にするように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項10】
前記延長部の位置は、前記ターゲットピンと前記第1のガイドワイヤとの間の角度を変更するために、前記本体に対して調節可能であることを特徴とする請求項1に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項11】
前記標的組立体は、前記骨の近位部分に髄内に挿入されるフックスリーブ組立体のフックを含むことを特徴とする請求項1に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項12】
前記フックスリーブ組立体が、前記ターゲットピンを前記標的組立体に対して固定位置に保持する位置決めねじを含むことを特徴とする請求項11に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項13】
前記フックが、前記ターゲットピンに対して半径方向の延長部を含むことを特徴とする請求項11に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項14】
前記標的組立体は、前記ターゲットピンを前記標的組立体に対して固定位置に保持するように構成されることを特徴する請求項1に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項15】
前記ターゲットピンは、前記標的組立体を通って軸方向に延在するKワイヤであることを特徴とする請求項1に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項16】
前記第1のガイドワイヤおよび前記第2のガイドワイヤはそれぞれ先端を有し、前記骨に穿孔するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項17】
前記本体が円弧形状であることを特徴とする請求項1に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【請求項18】
前記第1のカニューレ挿入される固定ねじは、非圧縮性のカニューレ挿入される固定ねじであることを特徴とする請求項1に記載の経皮ターゲティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シェブロン骨切り手技で使用できる経皮ターゲティングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
外反母趾変形は、患者の足に腱膜瘤の形成を生ずることになり得る一般的な足の障害である。外反母趾変形を修正するための知られた手技は、最小侵襲のシェブロン骨切り手技である。シェブロン骨切り術を実施した後、骨片は、再度位置合わせされ、固定ねじで固定される。ねじは、外科医により、最小限の侵襲性の方法で、骨の中に斜めの角度で挿入され得る。ねじを正しく配置するためには、多数のX線画像が必要になるが、それは時間の損失、大きな照射線量、およびコストを生ずるおそれがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書では、最小限の侵襲性の足外科手術(例えば、腱膜瘤手術、すなわち、シェブロンおよび/またはエイキン骨切り術)のためのねじ配置を支援するガイドが開示される。本明細書のデバイスは、ねじ(例えば、カニューレ挿入されるねじ)を固定するためのガイドワイヤ(例えば、Kワイヤとしても知られるキルシュナー鋼線)の配置を容易にする。
【0004】
本明細書において、諸実施形態により、ツールとしても述べられる経皮ターゲティングデバイスは、小さな骨の骨片を固定するねじを配置するための簡単で正確な標的設定を可能にする。ターゲットピンが骨に配置された後(それは、ドリルまたは同様の工具により行うことができる)、ツールは基準ピン上に配置され、ツールは、ねじがターゲットピンを介して平面内にあることを保証する。マーキングおよび/または窓により、ターゲットピンの長さは、ターゲットピンが、ターゲット窓部または交点内で終了するように容易に調整することができる。
【0005】
平面の位置は、外科医が本体およびターゲットピンの位置を考慮することにより、容易に確認することができる。平面をよく示すために、本体は平坦な形状を有することができる。ターゲットピンとガイドピンの間の角度が、特定の必要性に適合され得るように、本体に対して延長部を動かすことによって、ツールを調整することができる。この調整とは関係なく、ガイドピンは平行な状態に留まる。ガイドピンのうちの1つが骨に固定された場合(ドリルまたは同様の工具により行うことができる)、ツールは、骨に対してその位置に固定される。第2の、または任意のさらなるガイドピンが、第1のガイドピンに平行になるように強制される。したがって、傾斜したねじ、および骨材料の脆弱化が阻止される。ガイドピンの長さは、ツールにおけるマーキングにより示される。逆も同様であるが、前述のように、ターゲットピンが、ツールに対して調整されている場合、ターゲットピンの先端と接触する第1のガイドピンの長さは、常に同じである。示された長さは、必要なねじの長さの計算を可能にする。
【0006】
最小限の侵襲性の足外科手術において骨片を固定する方法は、経皮ターゲティングデバイスを使用することを含む。ターゲットガイドを備えるターゲティングデバイスは、ターゲットピンがターゲットガイド内でガイドされるように、ターゲットピン上に配置され得る。位置決めは、ターゲットピンにおける視認可能なマークが、ターゲットガイドの本体、またはそのマーキングと位置合わせされるように行うことができる。代替的に、ターゲットガイドのスリーブが、ターゲットピン上に配置され、ターゲティングデバイス本体は、後でターゲットガイドに取り付けられ得る。骨切り術を実施した後、フックスリーブ組立体のフックが、中足骨の近位部分の中へと髄内に挿入され得る。第1のガイドワイヤは、フックスリーブ組立体の位置決めねじ、およびフックスリーブを通して、中足骨の遠位部分に配置され得る。中足骨の遠位部分は、ガイドワイヤに沿って位置決めねじを回転させることにより、シフト/位置決めされ得る。位置決めねじの先端は、遠位の骨片と直接接触することができる、またはその断片を、皮膚を通して(プランジャ先端を介して)押すことができる。加えて、第1のガイドスリーブは、最も外側の取付け孔に挿入することができ、少なくとも他のガイドスリーブは、他の取付け孔の1つに挿入することができる。次いで、ツールは、ガイドスリーブまたはガイドワイヤが、ターゲットピンに対して望ましい角度下にあるように、延長部を動かすことによって調整することができる。こうすることは、骨におけるねじの角度の正確な選択を可能にする。
【0007】
これらの方法により、複数のねじが正確に平行になる。ねじの長さは、骨の中へと延びる第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤの長さに基づいて選択することができる。したがって、長すぎるねじによって、骨の2つの表面に穿孔することは阻止され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】骨におけるターゲティングデバイスの適用を示す図である。
【
図3】ターゲティングデバイスの幾何形状および動きの細部を示す図である。
【
図4a】ターゲティングデバイスのさらなる実施形態を示す図である。
【
図4b】ターゲティングデバイスのさらなる実施形態を示す図である。
【
図4c】ターゲティングデバイスのさらなる実施形態を示す図である。
【
図7】さらなるターゲティングデバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で開示されるデバイスの実施形態は、このような外科的手技中に問題を生ずる可能性のある遠位先端の骨における固定ねじの配置を簡単化する。例えば、最小限の侵襲性のシェブロン骨切り手技の後、本明細書で述べられるデバイスを用いて、中足骨片の固定が簡単化される。
【0010】
第1の実施形態では、最小侵襲の足外科手術のための経皮ターゲティングデバイスは、延長部を保持する本体を備える。本体は、ターゲットピンを保持するためのターゲットスリーブを備えるターゲットガイドに対する取付け手段を有する。さらに、または代替的に、横方向フックを有するフックスリーブ、またはフックスリーブ組立体を使用することができる。延長部は、少なくとも1つのガイドワイヤ、および/または少なくとも1つのガイドスリーブを保持するための複数の取付け孔を有する。少なくとも1つのガイドスリーブは、ガイドワイヤをさらに保持することができる。ガイドスリーブは、ガイドワイヤに対して、良好なガイドと高い安定性を与える。ターゲットスリーブは、Kワイヤとすることのできるターゲットピンを保持するように構成される。ターゲットピンは、ターゲットスリーブを通って軸方向に延びることができる。ターゲットスリーブは、ターゲットピンを、ターゲットスリーブに対して固定された位置に保持するように構成され得る。必要に応じて、ターゲットピンは、その固定された位置から解放され得る。ターゲットピンは、その長手方向軸に沿うことのできる方向に、ターゲットスリーブ内で移動可能であり得る。こうすることは、ターゲットピンを配置することができ、かつ/またはターゲットピンを挿入/取り外しできるようにする。ガイドスリーブは、ガイドワイヤを保持するように構成することができる。Kワイヤは、先端を有し、骨に穴開けされて入るように構成されたワイヤである。ガイドワイヤは先端を有することができ、骨に穴開けされて入るように構成することができる。ガイドワイヤのいずれもKワイヤとすることができる。ターゲットピンおよびガイドワイヤは、5mmと0.5mmの間、または3mmと1mmの間の直径を有することができる。第1のガイドスリーブまたは第1のガイドワイヤを保持するための第1の取付け孔は、延長部の最も外側に、したがって、ターゲットスリーブから最も離れて位置する。さらなるガイドスリーブもしくはガイドを保持するためのさらなる取付け孔
【0011】
ワイヤは、第1の取付け孔に平行であり、ターゲットスリーブの近くにあることができる。延長部は、本体に対して移動可能であり、本体内で摺動可能に保持されて、ターゲットスリーブとガイドスリーブの間の距離、および/または角度を延ばすことができる。ターゲットスリーブ、ならびにガイドスリーブおよび/またはガイドワイヤは、共通のターゲットエリアへの共通の平面内に、かつ点に存在することができる。したがって、ターゲットスリーブおよびガイドスリーブにより保持されるワイヤは、同じ平面内にあることができ、正しく挿入されたとき、それらの先端は、ターゲットエリア内で終了することができる。
【0012】
ターゲットスリーブは、ターゲットスリーブチャネルを形成する管形状を有することができる。第1のガイドスリーブは、第1のガイドスリーブチャネルを形成する管形状を有することができる。第2のガイドスリーブは、第2のガイドスリーブチャネルを形成する管形状を有することができる。他のガイドスリーブは、管形状を有することができ、ガイドスリーブは、ガイドスリーブチャネルを形成する。チャネルは、それらが使用されるワイヤの外径に適合された内側穴を有することができる。ターゲットガイドは、本体に嵌合するように適合することができ、ガイドスリーブは、取付け孔の中に嵌合するように適合され得る。ガイドスリーブは、ガイドスリーブにより保持されたワイヤの深さを示すことのできるマークまたは定規を有することができる。このために、ワイヤは、レーザーマークなどの視認可能なマークを有することができる。
【0013】
本体および延長部は、円弧形状とすることができる。円弧形状の本体は、第1の半径方向軸を画定することができ、円弧形状の延長部は、第2の半径方向軸を画定することができる。第1の半径方向軸および第2の半径方向軸は、ターゲットエリア内の交点において交差することができる。ターゲットスリーブおよびガイドスリーブの1つはまた、前述のものと同じ交点とすることのできるターゲットエリア内の交点を指すことができる。ターゲットエリアは、交点上に中心のある円形エリアとして定義することができる。延長部を、本体の内外に摺動させるとき、円弧を描く移動が行われ、交点は動かないことがあるが、ターゲットスリーブチャネルと、第1のガイドスリーブチャネルもしくは第1のガイドワイヤとの間の角度は、ガイドワイヤがスリーブなしに保持された場合に変化する。
【0014】
ターゲットピンは、その先端から所定の距離におけるレーザーマークとすることのできる少なくとも1つの視認可能なマークを有することができる。ターゲットガイドは、ターゲットピンを、それを通して見ることのできる窓部を有することができ、したがって、ターゲットピンにおける視認可能なマークは、本体と位置合わせすることができる。このために、本体は位置合わせマークを有することができる。本体と、ターゲットピンにおける視認可能なマークの位置合わせは、ターゲットピンの先端が、ターゲットエリア内にあることを保証することができる。さらなる実施形態では、ターゲットピンの先端は、交点にあることができる。ターゲットガイドはまた、結合セクションを有することのできるターゲットスリーブを有することができ、それは、ねじが切られており、それにより、中足骨片を配置するように移動することができる。ターゲットスリーブは、ギアラックを有することができ、それは、本体におけるラックホイール(rack wheel)と相互作用し、ターゲットスリーブを、ターゲットスリーブの長手方向軸に沿って移動できるようにする。
【0015】
さらなる実施形態では、本体は、延長部と一体化する、または少なくともそれに固定して取り付けることができる。角度調整は、ターゲットピンと少なくとも1本のガイドワイヤの間で必要な角度が得られる取付け孔を選択することにより行うことができる。
【0016】
諸実施形態により、本明細書でツールとしても述べられる経皮ターゲティングデバイスは、小さな骨の骨片を固定するねじを配置するための簡単かつ正確な標的設定を可能にする。ターゲットピンが骨の中に配置され(それはドリルまたは同様のツールにより行うことができる)、またツールが基準ピン上に配置された後、ツールは、ねじが、ターゲットピンを介して平面内にあることを保証する。マーキングおよび/または窓部により、ターゲットピンの長さは、ターゲットピンが、ターゲット窓部内で、またはさらに交点において終了するように、容易に調整することができる。
【0017】
平面の位置は、外科医が本体およびターゲットピンの位置を考慮することにより、容易に確認することができる。平面をよく示すために、本体は、平坦な形状を有することができる。ターゲットピンとガイドピンの間の角度が、特定の必要性に適合され得るように、本体に対して延長部を動かすことによって、ツールを調整することができる。この調整とは関係なく、ガイドピンは平行な状態に留まる。ガイドピンのうちの1つが、骨に固定された場合(ドリルまたは同様の工具により行うことができる)、ツールは、骨に対してその位置に固定される。第2の、または任意のさらなるガイドピンが、第1のガイドピンに平行になるように強制され得る。したがって、傾斜したねじ、および骨材料の脆弱化が阻止される。ガイドピンの長さは、ツールにおけるマーキングにより示される。逆も同様であるが、前述のように、ターゲットピンが、ツールに対して調整されている場合、ターゲットピンの先端と接触する第1のガイドピンの長さは、常に同じである。示された長さは、必要なねじの長さの計算を可能にする。
【0018】
最後に、ねじ(例えば、カニューレ挿入される固定ねじ)は、ガイドワイヤを介して挿入され得る。器具は、ワイヤを次々に取り外すことにより、容易に取り外すことができる。
【0019】
最小限の侵襲性の足外科手術において骨片を固定する方法は、中足骨の遠位部分に、Kワイヤとすることのできるターゲットピンを配置することを含む。次いで、骨切り術を実施することができ、ターゲットピンを用いて遠位の骨部分が再配置され得る。次のステップで、ターゲットガイドを有するターゲティングデバイスが、ターゲットピン上に配置され得、ターゲットピンが、ターゲットガイド内でガイドされるようにする。位置決めは、ターゲットピンにおける視認可能なマークが、ターゲットガイドの本体、またはそのマーキングと位置合わせされるように行うことができる。代替的に、ターゲットガイドのスリーブが、ターゲットピン上に配置され、ターゲティングデバイス本体は、後でターゲットガイドに取り付けられ得る。さらなる実施形態では、骨切り術を実施した後、フックスリーブ組立体のフックが、中足骨の近位部分の中へと髄内に挿入され得る。第1のターゲットピンは、フックスリーブ組立体の位置決めねじ、およびフックスリーブを通して、中足骨の遠位部分に配置され得る。中足骨の遠位部分は、ターゲットピンに沿って位置決めねじを回転させることにより、シフト/位置決めされ得る。位置決めねじの先端は、遠位の骨片と直接接触することができる、またはその断片を、皮膚を通して(例えば、プランジャ先端を介して)押すことができる。
【0020】
第1のガイドスリーブは、最も外側の取付け孔に挿入することができ、少なくとも他のガイドスリーブは、他の取付け孔の1つに挿入することができる。このステップはまた、基準ガイドの上にツールを位置決めする前に実施することもできる。ガイドスリーブはまた、事前に組み立てることができる。ツールは、ガイドスリーブまたはガイドワイヤが、ターゲットピンに対して望ましい角度下になることができるように、延長部を動かすことによって調整することができる。こうすることは、骨におけるねじの角度の正確な選択を可能にする。
【0021】
ガイドワイヤ、例えば、2本のガイドワイヤを、ガイドスリーブを通して骨の中に挿入することができる。代替的に、少なくとも1本のガイドワイヤを、取付け孔を通して直接挿入することもできる。この実施形態では、ガイドスリーブを挿入するステップは、除外され得る。第1のガイドスリーブにおける最も外側のガイドワイヤの先端は、ターゲットエリア内でターゲットピンの先端に接触することができ、またはさらに交点において接触することもできる。他のガイドスリーブにおける他のガイドワイヤの先端は、ターゲットエリア内でターゲットピンに接触することができる。ターゲットピンと第1のガイドワイヤとの間の交差部、および/またはターゲットピンと第2のガイドワイヤとの間の交差部は、ターゲットスリーブの外側とすることができる。ターゲットピンおよびガイドワイヤは、すべて同じ平面内とすることができる。ガイドワイヤは、任意の順序で挿入することができる。第1のガイドワイヤが最初に挿入され、その後に第2のガイドワイヤを挿入することができる。代替的に、第1のガイドワイヤは、第2のガイドワイヤの後に続くことができる。ガイドワイヤを最初に挿入し、その後にターゲットピンを挿入することも可能である。
【0022】
ターゲットピン、第1のガイドワイヤ、および第2のガイドワイヤのいずれも中心軸を画定することができる。概して、ターゲットピンの中心軸は、第1のガイドワイヤの中心軸と交差することができ、かつ/またはターゲットピンの中心軸は、第2のガイドワイヤの中心軸と交差することができる。第1のガイドワイヤの中心軸は、第2のガイドワイヤの中心軸に平行であり得る。
【0023】
実施形態では、延長部を、第1のガイドワイヤを挿入した後、別のガイドワイヤに対する新しい位置にガイドスリーブを移動させるように調整することができる。
【0024】
カニューレ挿入される固定ねじは、ガイドワイヤを用いることにより、骨の中にねじ込むことができる。ガイドワイヤは、ねじのカニューレ挿入を通過させる。ツールは、固定ねじを骨の中にねじ込む前に、またはその後に取り外すことができる。最後に、ツール、ガイドワイヤ、およびターゲットピンを取り外すことができる。
【0025】
これらの方法により、複数のねじが正確に平行になる。ねじの長さは、骨の中へと延びる第1のガイドワイヤおよび第2のガイドワイヤの長さに基づいて選択することができる。したがって、長すぎるねじによって骨の2つの表面に穿孔することは阻止され得る。
【0026】
図1では、第1の実施形態が示されている。経皮ターゲティングデバイス100は、本体110および延長部120を備える。延長部は、角度調整を行うために本体に対して移動可能であり得る。本体110は、ターゲットガイド200に対する取付け手段を有する。実施形態では、ターゲットガイド200は、ターゲットピン220を保持するように適合された直径を有するターゲットスリーブチャネル211を備えた管状のターゲットスリーブ210を有する。ターゲットガイド200を保持するために、デバイス本体の中に孔または円筒形の穴が存在し得る。ターゲットガイド200をその位置に固定するために、デバイス本体にロック手段112がまた存在し得る。ターゲットガイド200は、本体内で移動可能であり、本体から取外し可能であり得る。ターゲットガイド200はまた、本体に、または一部を本体と固定することができる。それはさらに、窓部214を有することができ、それを通して、ターゲットピン220におけるレーザーマークなどのマーク222が、本体110と、または本体110におけるマークと、またはターゲットガイド200におけるマークと位置合わせされて見ることができる。ターゲットガイド200はまた、ねじが切られたセクションなど、結合セクション212を有することができ、それにより、それは、容易に取り付けるためのハンドルによって保持され得る。ターゲットピン220は、先端を有し、骨に穴開けされて入るように構成されたKワイヤとすることができる。
【0027】
延長部120は、ガイドスリーブ310、330を保持するための複数の取付け孔を有することができる。ガイドスリーブ310、330は、ガイドワイヤを保持するためのチャネル311、331を形成する管状本体を有することができる。ターゲットガイド200から最も離れた、最も外側の位置に、第1の取付け孔121があり得る。第1の取付け孔から距離はより離れるが、ターゲットガイド200にはより近くなるさらなる取付け孔122、123、124があり得る。取付け孔121、122、123、124は、円筒形の穴を含むことができるが、任意の他の適切な形態を使用することができる。取付け孔122、123、124は、互いに非常に近いので、孔の間に側壁が存在しない。最も外側または第1の取付け孔121に少なくとも1つのガイドスリーブ310があり得る。他の取付け孔122、123、124のうちの1つに第2のガイドスリーブ330が存在し得る。ガイドスリーブ310、330は、延長部120内で移動可能であり得、それらは、延長部120から取外し可能であり得る。
【0028】
第1のガイドスリーブ310により保持される第1のガイドワイヤ320から、第2のガイドスリーブ330により保持される第2のガイドワイヤ340までの望ましい距離に応じて、適切な取付け孔121、122、123、124を選択することができる。ガイドワイヤ320、340は、先端を有することができ、骨の中に穴開けされて入るように構成することができる。第1のガイドワイヤ320、第2のガイドワイヤ340、およびターゲットピン220はすべて、同じ平面内にあり得る。適正に延長されたとき、ターゲットピン220の先端は、第1のガイドワイヤ320の先端と接触することができる。第2のガイドワイヤ330の先端は、その先端から離れてターゲットピン220に接触するが、なお、同じ平面内にあり得る。本明細書においては、同じ平面という用語は、例えば、最大5mm、2mm、または1mmの偏差を含むことができる。
【0029】
ガイドスリーブ310、330は、挿入されたガイドワイヤ320、340の深さまたは長さを示すためのマーキングまたは深さスケール312、332を有することができる。正確な長さの読取りを行うために、ガイドワイヤ320、340はまた、マークを、例えば、レーザーマークを有することもできる。
【0030】
実施形態では、ターゲットスリーブチャネル211、第1のガイドスリーブチャネル311、および第2のガイドスリーブチャネル331は、ターゲットピン220と第1のガイドワイヤ320との間の交差部、および/またはターゲットピン220と第2のガイドワイヤ340との間の交差部が、ターゲットスリーブ210の外側になるように構成され得る。
【0031】
図2では、骨におけるターゲティングデバイス100の適用が示される。足の親指500は、中足骨530、基節骨520、および末節骨510を備える。中足骨530は、2つの断片531、532が存在するように切断されている。これらの2つの断片は、2つの骨ねじにより示されるように、新しい位置に共にねじ込まれる必要がある。ここで、ターゲットピン220は、中足骨片531に挿入され、ガイドツールを保持する。第1のガイドワイヤ320および第2のガイドワイヤ340は、すでに挿入されている。第1のカニューレ挿入されるねじ410、および第2のカニューレ挿入されるねじ420は、すでに、骨の中にねじ込まれており、断片531および532を共に固定している。
【0032】
図3では、ターゲティングデバイスの幾何形状および動きの詳細が示されている。本体110は、円弧形状とすることができ、これも円弧形状であり得る延長部120の少なくとも一部を受け入れるための中空の開口部115を有することができる。延長部120は、デバイス本体110内で移動するように構成することができる。延長部120は、回転調整を行うために、本体110に対して方向172へと移動するように構成することができる。こうすることは、ターゲットピン220の中心軸161と、第1のガイドワイヤ320の中心軸162との間の回転角176を変化させる。ターゲットピン220は、デバイス本体110と、固定された角度関係にあり、ガイドワイヤ320、340は、デバイス延長部120と固定された角度関係にあることができる。ターゲットピン220の中心軸161、および第1のガイドワイヤ320の中心軸162は、ターゲットエリア155内で、またはさらに本体110に対する延長部120の相対的な位置とは無関係に交点163において交差する。
【0033】
寸法調整を行うために、ターゲットピン220の位置を、その中心軸161に沿って方向171に調整することができる。深さ調整は、第1のガイドワイヤ320の中心軸161に沿って、またはそれに対して平行な方向174に、ガイドワイヤ320、340のいずれかを移動させることにより行うことができる。ガイドワイヤ320、340の距離調整は、方向173へのガイドワイヤの平行移動により行うことができる。
【0034】
ターゲットピン220および第1のガイドワイヤ320は、ターゲットエリア155内で、またはさらに交点163で接触することができる。ターゲットピン220および第2のガイドワイヤ340は、ターゲットエリア155内で接触することができる。ターゲットエリアは、円形とすることができ、例えば、10mm、5mm、または2mmの直径を有することができる。
【0035】
実施形態では、延長部120は、ターゲットピン220と第1のガイドワイヤ320との間で交差する点が動かないように、本体110に対して移動するように構成することができる。
【0036】
図4a、
図4b、および
図4cでは、さらなる実施形態が示される。ここでは、第1のガイドワイヤ320および第2のガイドワイヤ340は、スリーブのない延長部120によって保持することができ、第3のガイドワイヤ360は、ガイドスリーブ350によって保持され得る。第3のガイドワイヤ360は、第1のガイドワイヤ320、および第2のガイドワイヤ340に平行であり、同一平面内にあることができる。ガイドスリーブの中心軸および/またはガイドワイヤの中心軸は、同じ平面内にあることができる。
【0037】
この実施形態では、ターゲットスリーブ210は、一方の側にギアラック216を有することができ、それは、
図5で示されるラックホイール217と相互作用する。ラックホイール217は、ハンドル116により駆動され得る。ハンドル116の回転は、ラックホイール217を回転することができ、したがって、ギアラック216およびターゲットスリーブ210を内外に移動することができる。
【0038】
デバイス延長部120を、デバイス本体110に対して固定された関係でロックするための延長部ロック119があり得る。延長部ロック119は、押されたとき、デバイス延長部120が、デバイス本体110に対して移動され得るように、デバイス延長部120を解放するボタンとすることができる。
【0039】
本明細書で示された実施形態の特徴は、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0040】
いずれのガイドワイヤも骨の中に挿入する前には、ターゲティングデバイスを、方向175に、ターゲットピン220の周りで回転することができ、それは、角度形成角177で角度形成を生ずる。
【0041】
図4aは正面図を示し、
図4bは右側面図を示し、
図4cは、実施形態の上面図を示す。
【0042】
【0043】
この実施形態では、いずれのガイドワイヤ320、340、360も、ガイドスリーブ310、330、350を使用することなく、デバイス延長部120により直接保持され得る。このために、保持構造126が、デバイス延長部120に存在し得る。この保持構造126は、孔、リブ、くさび形のもの、または取付け孔を形成する他の要素を含むことができ、それらは、ガイドワイヤおよび/またはスリーブを保持するように適合され得る。
【0044】
【0045】
図7は、さらなるターゲティングデバイスの斜視図を示す。この実施形態は、部分的に簡単化された本体と、位置決めねじ610、およびフックをさらに備えるフックスリーブ615を備えるフックスリーブ組立体とを有する。ここで、少なくともいくつかのスリーブは、本体および/または延長部に一体化することができる。
【0046】
図8は、フックスリーブ、および位置決めねじを詳細に示す。内側スリーブ613を有する位置決めねじ610は、ターゲットピン220上に嵌合する。位置決めねじ610は、外側ねじ山612を有することができ、ナット611を有することができる。位置決めねじ610は、フックスリーブ615の中へとねじ込むことができる。共にねじ込まれたとき、内側スリーブ613および位置決めねじ610を備えるスリーブ組立体は、ターゲットピン220においてしっかりと保持することができ、それは、ターゲットピンの先端近くに存在し得る。フックスリーブ615は、ターゲットピン220に対して半径方向に延長部を備えるフック616を有することができる。フックは、軸方向へのオフセットを提供する軸方向延長部をさらに有することができる。フックは、2mm未満または1mm未満の直径を有することができ、15mm未満または10mm未満の長さを有することのできるワイヤを含むことができる。フックスリーブは、ターゲットスリーブ210に対する代替として使用することができる。
【0047】
図9は、フックスリーブ組立体の詳細図を示す。ここでは、フックスリーブ615および位置決めねじ610が分解されている。
【符号の説明】
【0048】
100 ターゲティングデバイス
110 デバイス本体
112 ロック手段
115 中空の開口部
116 ハンドル
119 延長部ロック
120 デバイス延長部
121 第1の取付け孔
122、123、124 取付け孔
126 保持構造
155 ターゲットエリア
161 ターゲットピン中心軸
162 第1のガイドワイヤ中心軸
163 交点
171 ターゲットピンによる寸法調整の方向
172 回転調整の方向
173 距離調整の方向
174 深さ調整の方向
175 角度形成調整の方向
176 回転角
177 角度形成角
200 ターゲットガイド
210 ターゲットスリーブ
211 ターゲットスリーブチャネル
212 結合セクション
214 窓部
216 ギアラック
217 ラックホイール
220 ターゲットピン
222 レーザーマーク
310 第1のガイドスリーブ
311 第1のガイドスリーブチャネル
312 深さスケール
320 第1のガイドワイヤ
330 第2のガイドスリーブ
331 第2のチャネル
332 深さスケール
340 第2のガイドワイヤ
350 第3のガイドスリーブ
360 第3のガイドワイヤ
410 第1のねじ
420 第2のねじ
500 足の親指
510 末節骨
520 基節骨
530 中足骨
531、532 中足骨片
610 フックスリーブ組立体
611 ナット
612 ねじ山
613 内側スリーブ
615 フックスリーブ
616 フック
【外国語明細書】