(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041864
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】遮蔽装置およびそれを備えた冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
F25D17/08 313
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014606
(22)【出願日】2023-02-02
(62)【分割の表示】P 2018238757の分割
【原出願日】2018-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 昌志
(57)【要約】
【課題】庫内容積を圧迫せず、回動遮蔽壁の回動動作を正確に制御することができる遮蔽装置およびそれを備えた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本発明の遮蔽装置70は、送風機47を半径方向外側から囲む複数の回動遮蔽壁71と、回動遮蔽壁71を駆動する遮蔽壁駆動機構60と、遮蔽壁駆動機構60を制御する制御装置54とを具備する。また、遮蔽壁駆動機構60は、円周方向に沿ってスライド溝80が形成された回転プレート73と、スライド溝80に係合する移動軸76が形成されて回動遮蔽壁71に回転可能に連結されたカム61と、回転プレート73を回転するモータと、を有する。更に、制御装置54は、回転プレート73の回転方向に於ける位置を検出する位置検出装置である距離センサ72の出力に基づいて、遮蔽壁駆動機構60を制御する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風が行われる風路を塞ぐ遮蔽装置であって、
回動遮蔽壁と、遮蔽壁駆動機構と、支持基体と、を具備し、
前記回動遮蔽壁は送風機に近接され、
前記遮蔽壁駆動機構は、前記回動遮蔽壁の開閉を駆動するように構成され、
前記回動遮蔽壁は、前記支持基体の一方側に配設され、
前記遮蔽壁駆動機構は、前記支持基体の他方側に配設されることを特徴とする遮蔽装置。
【請求項2】
前記遮蔽壁駆動機構の動作位置を検出するように構成された位置検出装置を更に具備し、
前記位置検出装置は、前記支持基体の前記他方側に配設されることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記支持基体の前記一方側は、前記風路であることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記遮蔽壁駆動機構は、蓋部材により覆われることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載された遮蔽装置を具備することを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置およびそれを備えた冷蔵庫に関し、特に、冷却室から貯蔵室につながる風路を適宜塞ぐ遮蔽装置およびそれを備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載されたような、一つの冷却器で複数の貯蔵室を適宜冷却する冷蔵庫が知られている。
【0003】
図19に、この文献に記載された冷蔵庫100を模式的に示す。この図に示す冷蔵庫100には、上方から、冷蔵室101、冷凍室102および野菜室103が形成されている。冷凍室102の奥側には、冷却器108が収納される冷却室104が形成されており、冷却室104と冷凍室102とを区画する区画壁105には、冷気を各貯蔵室に供給するための開口部106が形成されている。また、この開口部106には、冷気を送風する送風ファン107が配設されており、この送風ファン107を覆う送風機カバー110が冷凍室102側に配置されている。冷蔵室101に供給される冷気が流通する風路109の途中には、ダンパ114が配設されている。
【0004】
図20を参照して、上記した送風機カバー110を詳述する。送風機カバー110は、略四角形形状を呈する凹部111が形成されており、凹部111の上部を部分的に切り欠いて開口部113が形成されている。ここで、送風機カバー110が、上記した送風ファン107を覆う状況では、送風機カバー110の開口部113は、冷蔵庫本体側の風路109と連通している。
【0005】
上記した構成の冷蔵庫100は次のように動作する。先ず、冷蔵室101および冷凍室102の両方を冷却する場合は、送風機カバー110を送風ファン107から離間させ、ダンパ114を開き、この状態で送風ファン107を回転させる。そうすると、冷却室104の内部で冷却器108により冷却された冷気の一部は、送風ファン107の送風力で、冷凍室102に送風される。また、この冷気の他の一部は、風路109、ダンパ114および風路109を経由して、冷蔵室101に送風される。これより、冷凍室102と冷蔵室101の両方が冷却される。
【0006】
一方、冷蔵室101のみを冷却する際には、送風ファン107を送風機カバー110で覆い、ダンパ114を開き、この状態にて冷却器108で冷却された冷気を送風ファン107で送風する。送風機カバー110を閉鎖状態にすると、送風機カバー110の上部に形成された開口部113が、風路109と連通するようになる。よって、送風ファン107で送風された冷気は、上記した開口部113、ダンパ114、風路109を経由して、冷蔵室101に供給される。
【0007】
上記のように、開口部113が形成された送風機カバー110を用いることで、一つの冷却器108で、複数の貯蔵室を適宜冷却することが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、送風機カバー110は、開閉動作を前後方向に沿って行うための空間を必要とする。よって、冷蔵庫100の内部に於いて、送風機カバー110が開閉動作を行うために大きな空間が必要とされる。この結果、送風機カバー110の前方に形成される冷凍室102の庫内容積が圧迫されてしまい、冷凍室102に収納することができる被貯蔵物の量が制限されてしまう課題があった。更には、モータで送風機カバー110を前後方向に移動させる際に駆動音が発生し、この駆動音が大きいと使用者にとって不快である恐れがあった。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、庫内容積を圧迫せず、回動遮蔽壁の回動を正確に制御できる遮蔽装置およびそれを備えた冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、送風が行われる風路を塞ぐ遮蔽装置であって、回動遮蔽壁と、遮蔽壁駆動機構と、支持基体と、を具備し、前記回動遮蔽壁は送風機に近接され、前記遮蔽壁駆動機構は、前記回動遮蔽壁の開閉を駆動するように構成され、前記回動遮蔽壁は、前記支持基体の一方側に配設され、前記遮蔽壁駆動機構は、前記支持基体の他方側に配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、庫内容積を圧迫せず、回動遮蔽壁の回動を正確に制御できる遮蔽装置およびそれを備えた冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の外観を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の内部構成を示す側方断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の冷却室付近の構造を示す拡大された側方断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る遮蔽装置を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る遮蔽装置および冷蔵庫を示す図であり、(A)は遮蔽装置が組み付けられた状態を示す断面図であり、(B)は仕切体を示す正面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る遮蔽装置を示す図であり、(A)は遮蔽装置を示す分解斜視図であり、(B)はカムを示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る遮蔽装置を示す図であり、(A)は遮蔽装置を部分的に示す分解斜視図であり、(B)はカムが収納される構成を示す分解斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る遮蔽装置を示す図であり、(A)は遮蔽装置の回動遮蔽壁を後方から見て示す図であり、(B)は回転プレートの構成を後方から見て示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る遮蔽装置において、位置検出装置として距離センサを採用した場合を示し、(A)は遮蔽装置を示す分解斜視図であり、(B)は距離センサで回転プレートの角度を検出する方法を示す断面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る遮蔽装置において、位置検出装置として抵抗器を採用した場合を示す斜視図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る遮蔽装置において、位置検出装置として磁気センサを採用した場合を示す斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の接続構成を示すブロック図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る遮蔽装置において、パターン1の状態を後方から見て示す図であり、(A)は遮蔽装置を示す図であり、(B)は回転プレートを示す図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る遮蔽装置において、パターン1の風路の状況を後方から見て示す図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る遮蔽装置において、パターン6の状態を後方から見て示す図であり、(A)は遮蔽装置を示す図であり、(B)は回転プレートを示す図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る遮蔽装置において、パターン6の風路の状況を後方から見て示す図である。
【
図17】本発明の実施形態に係る遮蔽装置において、パターン12の状態を後方から見て示す図であり、(A)は遮蔽装置を示す図であり、(B)は回転プレートを示す図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る遮蔽装置において、パターン12の風路の状況を後方から見て示す図である。
【
図19】背景技術に係る冷蔵庫を示す拡大側面図である。
【
図20】背景技術に係る冷蔵庫で採用される送風機カバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る遮蔽装置70および冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。更に以下の説明では、上下前後左右の各方向を適宜用いるが、左右とは冷蔵庫10を後方から見た場合の左右を示している。更に、以下の説明において、回転方向を時計回りおよび反時計回りと表現するが、これらの回転方向は、冷蔵庫10を後方から見た場合の方向を示している。
【0015】
図1は、本形態の冷蔵庫10の概略構造を示す正面外観図である。
図1に示すように、冷蔵庫10は、本体としての断熱箱体11を備え、この断熱箱体11の内部に食品等を貯蔵する貯蔵室を形成している。この貯蔵室としては、最上段が冷蔵室15、その下段が上段冷凍室18、更にその下段が下段冷凍室19、そして最下段が野菜室20である。尚、上段冷凍室18および下段冷凍室19は、何れも冷凍温度域の貯蔵室であり、以下の説明ではこれらを冷凍室17と総称する場合もある。ここで、上段冷凍室18は、左右に分割され、一方側が製氷室として用いられても良い。
【0016】
断熱箱体11の前面は開口しており、前記各貯蔵室に対応した開口には、断熱扉21等が開閉自在に設けられている。断熱扉21は、冷蔵室15の前面を左右方向に分割して塞ぐもので、断熱扉21の幅方向における外側上下端部が断熱箱体11に回転自在に取り付けられている。また、断熱扉23,24,25は、各々収納容器と一体的に組み合わされ、冷蔵庫10の前方に引出自在に、断熱箱体11に支持されている。具体的には、断熱扉23は上段冷凍室18を閉鎖し、断熱扉24は下段冷凍室19を閉鎖し、断熱扉25は野菜室20を閉鎖する。
【0017】
図2は、冷蔵庫10の概略構造を示す側方断面図である。冷蔵庫10の本体である断熱箱体11は、前面が開口する鋼板製の外箱12と、この外箱12内に間隙を持たせて配設され、前面が開口する合成樹脂製の内箱13とから構成されている。外箱12と内箱13との間隙には、発泡ポリウレタン製の断熱材14が充填発泡されている。尚、上記した断熱扉21等も、断熱箱体11と同様の断熱構造を採用している。
【0018】
冷蔵室15と、その下段に位置する冷凍室17とは、断熱仕切壁42によって仕切られている。また、上段冷凍室18と、その下段に設けられた下段冷凍室19との間は、冷却された空気である冷気が流通自在に連通している。そして、冷凍室17と野菜室20との間は、断熱仕切壁43によって区分けされている。
【0019】
冷蔵室15の背面には、合成樹脂製の仕切体65で区画され、冷蔵室15へと冷気を供給する供給風路としての冷蔵室供給風路29が形成されている。冷蔵室供給風路29には、冷蔵室15に冷気を流す吹出口33が形成されている。
【0020】
冷凍室17の奥側には、冷却器45で冷却された冷気を冷凍室17へと流す冷凍室供給風路31が形成されている。冷凍室供給風路31の更に奥側には、冷却室26が形成されており、その内部には、庫内を循環する空気を冷却するための蒸発器である冷却器45が配置されている。冷凍室供給風路31は、前面カバー67と仕切体66とで前後方向から囲まれた空間である。
【0021】
冷却器45は、圧縮機44、図示しない放熱器、図示しない膨張手段であるキャピラリーチューブに冷媒配管を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル回路を構成するものである。
【0022】
図3は、冷蔵庫10の冷却室26付近の構造を示す側方断面図である。冷却室26は、断熱箱体11の内部で、冷凍室供給風路31の奥側に設けられている。冷却室26と冷凍室17との間は、合成樹脂製の仕切体66によって仕切られている。
【0023】
冷却室26の前方に形成される冷凍室供給風路31は、冷却室26とその前方に組み付けられる合成樹脂製の前面カバー67との間に形成された空間であり、冷却器45で冷却された冷気を冷凍室17に流す風路となる。前面カバー67には、冷凍室17に冷気を吹き出す開口である吹出口34が形成されている。
【0024】
下段冷凍室19の下部背面には、冷凍室17から冷却室26へと空気を戻す戻り口38が形成されている。そして、冷却室26の下方には、この戻り口38につながり、各貯蔵室からの帰還冷気を冷却室26の内部へと吸入する、戻り口28が形成されている。戻り口28には、野菜室20の戻り口39(
図2参照)および野菜室帰還風路37を経由して帰還する冷気も流入する。
【0025】
また、冷却器45の下方には、冷却器45に付着した霜を融かして除去する除霜手段として、除霜ヒータ46が設けられている。除霜ヒータ46は、電気抵抗加熱式のヒータである。
【0026】
冷却室26の上部には、各貯蔵室につながる開口である送風口27が形成されている。送風口27は、冷却器45で冷却された冷気を流す開口であり、冷却室26と、冷蔵室供給風路29および冷凍室供給風路31とを連通させる。送風口27には、前方から、冷凍室17等に向けて冷気を送り出す送風機47が配設されている。
【0027】
冷却室26の送風口27の外側には、送風口27からつながる風路を適宜塞ぐための遮蔽装置70が設けられている。遮蔽装置70は、前方から前面カバー67で覆われている。
【0028】
ここで、
図3には図示しないが、冷蔵室供給風路29にダンパを介装しても良い。このようにすることで、遮蔽装置70とダンパとで、各貯蔵室に好適に冷気を送風することができる。
【0029】
図4は、前面カバー67、遮蔽装置70および仕切体66を示す分解斜視図である。遮蔽装置70は、前面カバー67と仕切体66との間に配設されている。
【0030】
遮蔽装置70は、蓋部材57、回転プレート73および支持基体63から構成されている。蓋部材57は、回転プレート73を前方から塞ぐ部材であり、前面視で略円形状を呈している。回転プレート73は、遮蔽装置70を開閉するために回転する略円板状の部材であり、支持基体63に対して回動可能に取り付けられている。支持基体63は、所定形状に成形された合成樹脂板から成り、遮蔽装置70を構成する各部材が取り付けられる。また、支持基体63は、前面カバー67の上部に形成された開口部35に嵌め込まれている。遮蔽装置70の構成は、
図6を参照して後述する。
【0031】
図5(A)は、遮蔽装置70が組み込まれる部分の仕切体66および前面カバー67の断面図である。上記したように、仕切体66および前面カバー67で囲まれる空間として冷凍室供給風路31が形成されている。冷凍室供給風路31は、後述するように、複数の風路に区分されている。また、仕切体66と前面カバー67との間には、遮蔽装置70および遮蔽壁駆動機構60が配設されている。遮蔽装置70は送風機47を遮蔽し、遮蔽壁駆動機構60は遮蔽装置70を駆動する。遮蔽装置70および遮蔽壁駆動機構60の構成は
図6等を参照して後述する。
【0032】
図5(B)は、仕切体66を前方から見た平面図である。仕切体66には、上記した吹出口34として、吹出口341ないし吹出口346が形成されている。吹出口341および吹出口342は、仕切体66の上端部に形成される。吹出口343および吹出口344は、仕切体66の上下方向中央部に形成される。吹出口345および吹出口346は、仕切体66の下端部に形成される。
【0033】
また、仕切体66には、前方に向かって延びるリブ状の風路区画壁56が形成されている。風路区画壁56の前端は、前面カバー67に当接している。風路区画壁56により、上記した冷凍室供給風路31が複数の風路に細分化されている。
【0034】
図6を参照して、遮蔽装置70の構成を説明する。
図6(A)は遮蔽装置70の分解斜視図であり、
図6(B)はカム61を示す斜視図である。
【0035】
図6(A)を参照して、遮蔽装置70は、回動遮蔽壁71と、支持基体63と、蓋部材57と、遮蔽壁駆動機構60と、を具備している。
【0036】
遮蔽装置70は送風機47で送風された冷気の風路を遮蔽する装置である。遮蔽装置70を開状態とすることで冷却室26と各貯蔵室とをつなぐ風路を連通させ、遮蔽装置70を閉状態とすることで風路を遮断する。
【0037】
送風機47は、ビスなどの締結手段を介して、支持基体63の後面中心部に配設されている。送風機47は、例えば、ターボファンなどの遠心ファンと、この遠心ファンを回転させる送風モータとを具備しており、半径方向外側に向かって冷気を送風する。
【0038】
回動遮蔽壁71は、矩形状の合成樹脂からなる板状部材であり、回転プレート73の外縁の接線方向に沿う長辺を有している。回動遮蔽壁71は、支持基体63の周縁部付近に、後方に向かって回動可能に取り付けられている。回動遮蔽壁71は、複数が配設されており、具体的には、4つの回動遮蔽壁71が配設されている。回動遮蔽壁71は、送風機47で送風される冷気が流通する経路に配置され、風路を適宜遮蔽する。
【0039】
回動遮蔽壁71の回動中心である基端部には、起立状態において回動遮蔽壁71を外囲する枠状部83が隣接されている。枠状部83は枠状に成形された合成樹脂から成り、送風機47を取り囲むように、支持基体63の後面に配置されている。枠状部83は回動遮蔽壁71に対応して配置され、各回動遮蔽壁71が枠状部83の開口を塞ぐことで、風路が閉鎖される。
【0040】
上記した回動遮蔽壁71の開閉動作を行う遮蔽壁駆動機構60は、回転プレート73と、カム61と、回転プレート73を回転させる駆動モータ74を有している。ここでは、駆動モータ74は図示していない。
【0041】
回転プレート73は、後方から見て略円盤形状の形状を呈し、支持基体63の前面側に回転自在に配設されている。回転プレート73には、回動遮蔽壁71を回動させるためのスライド溝80が形成されている。スライド溝80は、回転プレート73の後面に、リブで囲まれる有底溝として形成されている。後述するように、駆動モータを駆動し、回転プレート73を回転させることで、回動遮蔽壁71が開閉動作する。
【0042】
回転プレート73の周囲には、モータからの駆動力を伝達するためのギア溝49が形成されている。本実施形態では、回転プレート73の全周にギア溝49が形成されている。
【0043】
蓋部材57は、回転プレート73を前方から覆う板状の部材であり、回転プレート73よりも若干大きく形成され、前方から見て略円形を呈している。
【0044】
蓋部材57の内部には、回転方向に於ける回転プレート73の位置を検出する位置検出装置である距離センサ72が配置されている。距離センサ72は、
図9を参照して後述する。
【0045】
図6(B)を参照して、カム61は、合成樹脂から成る扁平な直方体形状の部材である。カム61の左方端を後方に向かって突出させることで、回動連結部48が形成されている。回動連結部48には、後述するピン69を挿通可能な孔部が形成されている。また、カム61の右端側の前面から略円柱状に突出する移動軸76が形成されている。移動軸76は、上記した回転プレート73のスライド溝80に係合し、使用状況下に於いてスライド溝80と摺動する。この摺動を可能にするため、移動軸76の直径は、スライド溝80の半径方向の幅と同程度か若干短く設定されている。
【0046】
図7を参照して、回動遮蔽壁71、支持基体63およびカム61の関連構成を説明する。
図7(A)は、回動遮蔽壁71、支持基体63およびカム61を左側後方から見た分解斜視図であり、
図7(B)は、回動連結部68およびカム61を左側前方から見た分解斜視図である。
【0047】
図7(A)を参照して、回動遮蔽壁71には、回動遮蔽壁71の基端部から傾斜して突出する回動連結部68が形成されている。回動連結部68には、ピン69を挿通することが可能な孔部が形成されている。また、回動遮蔽壁71の上下両側面の前端部には、略円柱状に突出する回動連結部64が形成されている。回動連結部64は、枠状部83の内壁に形成された筒状の凹状部85に挿入される。係る構成により、回動遮蔽壁71は、回動可能な状態で支持基体63に備えられる。
【0048】
支持基体63を矩形状に貫通することで貫通孔86が形成されている。貫通孔86には、後方から回動遮蔽壁71の回動連結部68が挿入される。カム61の回動連結部48も、前方から貫通孔86に挿入される。回動遮蔽壁71の回動連結部68の孔部、および、カム61の回動連結部48の孔部には、ピン69が挿入される。係る構成により、支持基体63を挟んで、回動遮蔽壁71とカム61とは回動可能に接続される。
【0049】
図7(B)を参照して、支持基体63の前面には、カム収納部62が形成されている。カム収納部62はリブで囲まれる矩形状の領域であり、カム収納部62の内部に上記した貫通孔86が形成されている。カム61は、カム収納部62の内部に収納されてスライドする。カム収納部62の内部でカム61がスライドする方向は、ここでは左右方向であり、換言すると
図6(A)に示した回転プレート73の半径方向である。
【0050】
上記のように構成することにより、駆動モータを駆動して回転プレート73を回転させることで、移動軸76がスライド溝80内を摺動する。これによってカム61はカム収納部62内をスライドする。カム61をスライドさせることで、回動遮蔽壁71をピン69周りに回動させることが出来る。具体的には、カム61を支持基体63の周縁部側にスライドさせると、回動遮蔽壁71は回動連結部64を回動中心として、起立状態となるように回動し、回動遮蔽壁71は支持基体63の主面に対して直交した状態となる。一方、カム61を支持基体63の中心側にスライドさせると、回動遮蔽壁71は回動連結部64を回動中心として、横臥状態となるように回動し、回動遮蔽壁71は支持基体63の主面に対して略平行な状態となる。
【0051】
したがって、スライド溝80を回転プレート73の周縁部側に形成すれば、回動遮蔽壁71を閉状態とすることができる。反対にスライド溝80を回転プレート73の中心側に形成すれば、回動遮蔽壁71を開状態とすることができる。この原理を利用して、スライド溝80の蛇行形状を選択すれば、回動遮蔽壁71の開閉状態を任意に設定することができる。これによって、複雑な構成を採用せずに、回動遮蔽壁71を全開状態としたり、全閉状態としたりできる。
【0052】
図8(A)は遮蔽装置70の回動遮蔽壁711等を後方から見て示す図である。遮蔽装置70は、上記した回動遮蔽壁71として、回動遮蔽壁711ないし回動遮蔽壁714を有している。回動遮蔽壁711ないし回動遮蔽壁714は、上記した回転プレート73の接線方向に対して略平行な長辺を有する長方形形状を呈している。また、回動遮蔽壁711ないし回動遮蔽壁714は、
図7(A)に示した支持基体63の周縁部に回動可能に取り付けられている。
【0053】
回動遮蔽壁711の基端部は、移動軸761が形成されたカム611に回動可能に接続されている。同様に、回動遮蔽壁712の基端部は、移動軸762が形成されたカム612に回動可能に接続されている。回動遮蔽壁713の基端部は、移動軸763が形成されたカム613に回動可能に連結されている。また、回動遮蔽壁714の基端部は、移動軸764が形成されたカム614に回動可能に連結されている。
【0054】
図8(B)を参照して、回転プレート73は、略円板状に成型された鋼板または合成樹脂板であり、上記した回動遮蔽壁711等の開閉動作を司るためのスライド溝80が形成されている。
【0055】
回転プレート73の周縁部の全域にはギア溝49が形成されており、ギア30とギア溝49とが歯合することで、駆動モータ74のトルクで回転プレート73が回転する。
【0056】
スライド溝80は、回転プレート73の外周縁部近傍に略円環状に形成されている。更に、後方から回転プレート73を見た場合のスライド溝80の形状は、真円形状ではなく、回転プレート73の円周方向に沿って蛇行する蛇行形状を呈している。具体的には、スライド溝80は、時計回りに沿って、スライド溝801ないしスライド溝8012から構成される。スライド溝801は、時計回りに沿って半径方向外側に向かって湾曲している。スライド溝802は、円周方向に対して略平行に延在している。スライド溝803は、時計回りに沿って半径方向内側に向かって湾曲している。スライド溝804は、時計回りに沿って半径方向外側に向かって湾曲している。スライド溝805は、時計回りに沿って半径方向内側に向かって湾曲している。スライド溝806は、時計回りに沿って半径方向
外側に向かって湾曲している。スライド溝807は、時計回りに沿って半径方向内側に向かって湾曲している。スライド溝808は、時計回りに沿って半径方向外側に向かって湾曲している。スライド溝809は、時計回りに沿って半径方向内側に向かって湾曲している。スライド溝8010は、時計回りに沿って半径方向外側に向かって湾曲している。スライド溝8011は、円周方向に対して略平行に延在している。スライド溝8012は、時計回りに沿って半径方向内側に向かって湾曲している。
【0057】
スライド溝80では、溝の湾曲形状が変化する変化点が設定されている。具体的には、スライド溝801とスライド溝802との間に変化点812が設定され、スライド溝802とスライド溝803との間に変化点813が設定される。また、スライド溝803とスライド溝804との間に変化点814が設定され、スライド溝804とスライド溝805との間に変化点815が設定される。また、スライド溝805とスライド溝806との間に変化点816が設定され、スライド溝806とスライド溝807との間に変化点817が設定される。また、スライド溝807とスライド溝808との間に変化点818が設定され、スライド溝808とスライド溝809との間に変化点819が設定されている。また、スライド溝809とスライド溝8010との間に変化点8110が設定され、スライド溝8010とスライド溝8011との間に変化点8111が設定されている。また、スライド溝8011とスライド溝8012との間に変化点8112が設定され、スライド溝8012とスライド溝801との間に変化点811が設定されている。
【0058】
上記した、変化点812、変化点813、変化点815、変化点817、変化点819、変化点8111および変化点812は、回転プレート73の半径方向外側に配置される。一方、変化点811、変化点814、変化点816、変化点818および変化点8110は、回転プレート73の半径方向内側に配置される。
【0059】
上記した変化点811ないし変化点8112に、移動軸761ないし移動軸764が配置されることで、回動遮蔽壁711ないし回動遮蔽壁714を所定の開閉パターンにすることができる。ここでは、各変化点どうしが離れる角度間隔θを30度にすることで、後述するように、回動遮蔽壁711ないし回動遮蔽壁714の開閉パターンを合計で12種類実現できる。
【0060】
図9から
図11を参照して、上記した遮蔽装置70の回転プレート73の回転方向に於ける位置を検出する位置検出装置の具体例を説明する。
図9に位置検出装置として距離センサ72が採用された例を示し、
図10に位置検出装置として抵抗器52が採用された例を示し、
図11に位置検出装置として磁気センサ41が採用された例を示す。
【0061】
図9を参照して、位置検出装置として距離センサ72が採用された例を示す。
図9(A)は距離センサ72が採用された遮蔽装置70を示し、
図9(B)は
図9(A)に示す環状凸状部50を一点鎖線で示す切断面線で切断した場合の断面図である。
【0062】
図9(A)を参照して、回転プレート73の前面中央部を環状に前方に向かって突出させることで、環状凸状部50が形成されている。環状凸状部50は、円周方向に沿って高さが変化する。また、前方から見て、環状凸状部50と重なる蓋部材57の後面には、距離センサ72が配置されている。距離センサ72は、環状凸状部50の前面部分に向かって電磁波や音波を発し、環状凸状部50の前面部分で反射した電磁波や音波を受信するする。これにより、以下に説明するように、環状凸状部50の前面部分と距離センサ72との距離、即ち、環状凸状部50の高さを検出することができる。
【0063】
図9(B)を参照して、環状凸状部50は、隣接された始点501と終点502とを有し、始点501から終点502に向かって環状凸状部50の突出高さは徐々に大きくなる 。
【0064】
また、距離センサ72は、発信部721と受信部722を有する。発信部721は、環状凸状部50の上面に向かって、電磁波や音波を発生させる。受信部722は、環状凸状部50の上面で反射した電磁波や音波を受信する。よって、距離センサ72の発信から受信までの時間を計測することで、環状凸状部50の前面から距離センサ72までの距離を算出することができ、即ち、環状凸状部50の厚みを算出することができる。また、上記したように、環状凸状部50の厚さは、始点501が最も薄く、終点502が最も厚い。よって、環状凸状部50の厚さを計測することで、回転プレート73の回転方向に於ける位置、即ち回転プレート73の回転角を検出することができる。
【0065】
図10を参照して、位置検出装置として抵抗器52が採用された場合を説明する。
図10は、位置検出装置として抵抗器52が採用された遮蔽装置70を示す分解斜視図である。
【0066】
抵抗器52は、回転自在な回転軸53を有している。回転軸53の後端近傍は、回転プレート73の中央部分に形成された挿入孔51に挿入されている。挿入孔51は略半円形状を呈しており、回転軸53も同様な略半円形状を呈している。よって、回転プレート73が回転すると、回転軸53も同時に回転する。また、抵抗器52は、回転軸53の回転に伴い抵抗値が変化する可変抵抗器である。よって、抵抗器52の抵抗値を計測することで、回転プレート73の回転方向の位置を検出することができる。
【0067】
また、ここでは抵抗器52が検出した抵抗値から回転プレート73の回転角を検出しているが、抵抗値以外の電気的特性値、例えば電流値等から回転プレート73の回転角を検出することもできる。
【0068】
図11を参照して、位置検出装置として磁気センサ41が採用された場合を説明する。
図11は、位置検出装置として磁気センサ41が採用された遮蔽装置70を示す分解斜視図である。
【0069】
回転プレート73の中心部には磁石40が配置されている。磁石40は、円周方向に沿って所定のパターンでN極とS極とが着磁されている。磁石40は、回転プレート73と共に回転する。
【0070】
また、蓋部材57の後面であって、前方から見て磁石40と重なり合う箇所またはその近傍には、磁気センサ41が配置されている。磁気センサ41は、磁石40から発生する磁界を検出することで、磁石40の回転方向に於ける位置を検出する。
【0071】
遮蔽装置70の使用状況下に於いて、回転プレート73が回転すると、磁石40も共に回転する。磁石40の回転に伴い、磁石40から発生する磁界が変化し、この磁界の変化を磁気センサ41が検出することで、回転プレート73の回転方向に於ける位置を検出できる。
【0072】
図12のブロック図を参照して、冷蔵庫10の接続構成を説明する。冷蔵庫10は、制御装置54、温度センサ91、タイマ92、距離センサ72、圧縮機44、送風機47、駆動モータ74、除霜ヒータ46を有している。温度センサ91、タイマ92および距離センサ72は、制御装置54の入力側端子に接続されている。圧縮機44、送風機47、駆動モータ74および除霜ヒータ46は、制御装置54の出力側端子に接続されている。
【0073】
制御装置54は、例えばCPUであり、温度センサ91等からの入力情報に基づいて、 圧縮機44等を制御することで、冷蔵庫10の冷却運転を制御する。また、制御装置54は、後述するように、距離センサ72からの入力情報に基づいて、上記した遮蔽壁駆動機構60を制御し、回動遮蔽壁71の開閉を制御する。
【0074】
温度センサ91は、上記した冷蔵室15、冷凍室17および野菜室20の内部に夫々配置され、これらの各貯蔵室の庫内温度を示す情報を制御装置54に伝送する。
【0075】
タイマ92は、冷蔵室15、冷凍室17および野菜室20を冷却する冷却時間や除霜ヒータ46の運転時間等を計測し、その時間を示す情報を制御装置54に伝送する。
【0076】
距離センサ72は、
図9に示したように、回転プレート73の環状凸状部50との距離を計測することで、回転プレート73の回転方向に於ける位置、即ち回転角度を検出する。距離センサ72の替わりに、
図10に示した抵抗器52、
図11に示した磁気センサ41を採用することもできる。
【0077】
圧縮機44は、制御装置54からの指示に従い、冷凍サイクルで用いられる冷媒を圧縮する。
【0078】
送風機47は、制御装置54からの指示に従い、冷凍サイクルの冷却器45が冷却した冷気を各貯蔵室に向かって送風する。
【0079】
駆動モータ74は、制御装置54からの指示に従い、上記した遮蔽装置70の回転プレート73を所定角度回転させる。駆動モータ74としては、例えばステッピングモータが採用される。
【0080】
除霜ヒータ46は、制御装置54からの指示に従い、通電されることで、冷却室26の内部の空気を暖める。
【0081】
以下、
図13から
図18を参照して、遮蔽装置70の回転プレート73を30度単位で回転させることで、回動遮蔽壁711ないし回動遮蔽壁714を開閉し、風路の開閉および切替えを行う動作を説明する。以下の説明では、回転プレート73の半径方向および円周方向を、単に、半径方向および円周方向と称する。更に、以下の説明では、回転プレート73を30度単位で時計回りに回転させることで、回動遮蔽壁711等の開閉状態を、パターン1からパターン12まで遷移させている。即ち、本実施形態では、回転プレート73の割付角を30度とし、30度単位で回転プレート73を回転することで、回動遮蔽壁711ないし回動遮蔽壁714の開閉を制御している。ここで、割付角は、360度の約数とされており、例えば60度や120度でも良い。
【0082】
以下では、パターン1ないしパターン12のうち、パターン1、パターン6、パターン12を説明する。パターン1を
図13および
図14に示し、パターン6を
図15および
図16に示し、パターン12を
図17および
図18に示す。
【0083】
図13および
図14に、全ての回動遮蔽壁71等を開状態とするパターン1を示す。
図13(A)はこの状態に於ける遮蔽装置70を後方から見た図であり、
図13(B)はこの状態に於ける回転プレート73を後方から見た図であり、
図14はこの状態に於ける風路の状況を後方から見た図である。
【0084】
図13(A)を参照して、パターン1では、回動遮蔽壁711ないし回動遮蔽壁714の全ては開状態である。係る開閉状態とすることで、送風機47で冷蔵室15および冷凍室17に冷気を送風することができる。
【0085】
図13(B)を参照して、この状態では、移動軸761等は半径方向内側に配置されている。具体的には、移動軸761はスライド溝80の変化点814に配置され、移動軸762はスライド溝80の変化点816に配置される。また、移動軸763はスライド溝80の変化点818に配置され、移動軸764はスライド溝80の変化点8110に配置される。これにより、回動遮蔽壁711ないし回動遮蔽壁714が開状態と成る。
【0086】
図14を参照して、遮蔽装置70が
図12に示した状態となると、遮蔽装置70で冷気が遮られることはなく、吹出口341ないし吹出口346に向かって冷気が送風され、吹出口341ないし吹出口346から冷凍室17の全域に冷気が吹き出される。
【0087】
ここで、回転プレート73がパターン1の状態であることは、
図9に示した距離センサ72の出力に基づいて制御装置54が検出できる。係る事項は、後述するパターン6およびパターン12に関しても同様である。
【0088】
図13(A)を参照して、
図13に示すパターン1から、
図15に示すパターン6に移行する際には、制御装置54が駆動モータ74を駆動することで、ギア30を介して、回転プレート73を回転させる。また、制御装置54は、距離センサ72で、回転プレート73の回転角である回転方向の位置を計測しながら、回転プレート73を正確に回転させている。
【0089】
図13(B)を参照して、
図13に示したパターン1から、
図15に示すパターン6に移行する際には、実線の矢印で示すように、回転プレート73を時計回りに150度回転させる。または、点線の矢印で示すように、回転プレート73を半時計回りに210度回転させる。
【0090】
本実施形態では、回転プレート73の外縁の全周にギア溝49が形成されており、更に、回転プレート73の回転角は上記した距離センサ72で検出している。よって、回動遮蔽壁71の開閉パターンを変化させるべく回転プレート73を回転させる際に、時計回りおよび反時計回りの何れにも回転プレート73を正確に回転させることができる。
【0091】
図15および
図16に、右側下方に配置される回動遮蔽壁712のみを開状態とするパターン6を示す。
図15(A)はこの状態に於ける遮蔽装置70を後方から見た図であり、
図15(B)はこの状態に於ける回転プレート73を後方から見た図であり、
図16にはこの状態に於ける風路の状況を後方から見た図である。
【0092】
図15(A)を参照して、パターン6では、回動遮蔽壁711、回動遮蔽壁713および回動遮蔽壁714は閉状態とされ、回動遮蔽壁712のみが開状態とされている。係る開閉状態とすることで、送風機47で冷凍室17の右側下部分に冷気を送風することができる。
【0093】
図15(B)を参照して、この状態では、移動軸761、移動軸763および移動軸764は半径方向外側に配置され、移動軸762は半径方向内側に配置される。具体的には、移動軸761はスライド溝80の変化点8111に配置され、移動軸762はスライド溝80の変化点811に配置される。また、移動軸763はスライド溝80の変化点813に配置され、移動軸764はスライド溝80の変化点815に配置される。これにより、回動遮蔽壁712のみが開状態とされ、回動遮蔽壁711、回動遮蔽壁713および回動遮蔽壁714は閉状態とされる。
【0094】
図16を参照して、遮蔽装置70がパターン6になると、回動遮蔽壁711、回動遮蔽壁713および回動遮蔽壁714は冷気を遮る一方、回動遮蔽壁712は冷気を遮らない。よって、冷気は右側下方に向かって送風され、具体的には、吹出口344および吹出口346に向かって送風された後に、冷凍室17に吹き出される。
【0095】
図15(B)を参照して、
図15に示したパターン6から、
図17に示すパターン12に移行する際には、実線の矢印で示すように、回転プレート73を半時計回りに180度回転させる。または、点線の矢印で示すように、回転プレート73を時計回りに180度回転させる。
【0096】
図17および
図18に、全ての回動遮蔽壁714等を閉状態とするパターン12を示す。
図17(A)はこの状態に於ける遮蔽装置70を後方から見た図であり、
図17(B)はこの状態に於ける回転プレート73を後方から見た図であり、
図18はこの状態に於ける風路の状況を後方から見た図である。
【0097】
図17(A)を参照して、パターン12では、回動遮蔽壁711、回動遮蔽壁712、回動遮蔽壁713および回動遮蔽壁714を閉状態とする。係る開閉状態とすることで、送風機47からの送風径路を閉鎖し、
図3に示す冷却室26と冷凍室17とを区画することができる。
【0098】
図17(B)を参照して、この状態では、移動軸761、移動軸762、移動軸763および移動軸764が半径方向外側に配置される。具体的には、移動軸761はスライド溝80の変化点815に配置され、移動軸762はスライド溝80の変化点817に配置される。また、移動軸763はスライド溝80の変化点819に配置され、移動軸764はスライド溝80の変化点8111に配置される。これにより、回動遮蔽壁711、回動遮蔽壁712、回動遮蔽壁713、回動遮蔽壁714が閉状態とされる。
【0099】
図18を参照して、遮蔽装置70がパターン12になると、回動遮蔽壁711、回動遮蔽壁712、回動遮蔽壁713および回動遮蔽壁714は冷気を遮る。よって、吹出口342等に冷気は送風されない。
【0100】
図15(B)を参照して、
図17に示したパターン12から、
図13に示したパターン1に移行する際には、実線の矢印で示すように、回転プレート73を半時計回りに330度回転させる。または、点線の矢印で示すように、回転プレート73を時計回りに30度回転させる。
【0101】
ここでは、
図9(A)に示した距離センサ72等で、回転プレート73の回転角度を検出している。よって、制御装置54は、回転プレート73の検出角度等に基づいて、回転量が少ない方向、ここでは点線で示している時計回りの方向に、回転プレート73を回転させる。これにより、開閉パターンを変更する際に於ける遮蔽装置70の動作量および動作時間を低減できる。
【0102】
以上が遮蔽装置70の動作に関する説明である。
【0103】
本実施形態では、
図6を参照して、回転プレート73の回転により、回動遮蔽壁71の開閉動作を行っているので、上記した背景技術と比較して、遮蔽装置70の薄型化を実現することができる。よって、
図2を参照して、遮蔽装置70の前方に形成される冷凍室17の容積を増大させることができる。
【0104】
更に、本実施形態によれば、
図8(B)に示したように、遮蔽装置70にスライド溝80を略円環状に形成し、スライド溝80に複数の移動軸762ないし移動軸764を係合させている。そして、回転プレート73を回転させることで、移動軸762ないし移動軸764がスライド溝80を摺動し、回転プレート73の半径方向に沿ってスライドする。移動軸762ないし移動軸764がスライドすると、カム611ないしカム614もスライドし、この結果、回動遮蔽壁711ないし回動遮蔽壁714が開閉される。
【0105】
よって、1つのスライド溝80に複数の移動軸761ないし移動軸764が係合して摺動することから、移動軸761ないし移動軸764がスライド可能なスライド溝80の距離を長くすることができる。従って、円周方向に沿ってスライド溝80を滑らかに曲折形成でき、移動軸761ないし移動軸764がスライド溝80を摺動する際に発生する圧力が小さくなり、回動遮蔽壁711の開閉動作をスムーズに行うことができる。
【0106】
更にまた、本実施の形態に係る遮蔽装置70によれば、遮蔽装置70を所定角度回転させる簡易な制御動作により、回動遮蔽壁711ないし回動遮蔽壁714の開閉パターンを多様に実現することができる。具体的には、30度単位で、12種類の開閉パターンを実現することができる。よって、多数の冷気の送風形態を実現でき、冷凍室17の内部の冷却状況に応じて、冷気を好適に送風することができる。
【0107】
更に、
図9ないし
図11に示した、距離センサ72等の位置検出装置で、回転プレート73の回転方向に於ける位置を検出しながら、遮蔽装置70が回転プレート73を回転させる。よって、回動遮蔽壁711ないし回動遮蔽壁714の開閉パターンを正確に制御できる。
【0108】
また、
図17(B)に示したように、回転プレート73の外縁の全域にギア溝49が形成されている。よって、回動遮蔽壁711ないし回動遮蔽壁714の開閉パターンを変更するために、回転プレート73を時計回りおよび反時計回りの両方に回転させることができる。よって、回転プレート73を回転させる際に、時計回りおよび反時計回りのうち、回転角度が少ない方を選択することで、開閉パターンの変更に要する時間および動作量を低減することができる。
【0109】
これまで説明した実施形態から把握できる発明をその効果と共に次のように説明する。
【0110】
本発明の遮蔽装置は、冷蔵庫の内部で冷気が送風される風路を塞ぐ遮蔽装置であって、送風機を半径方向外側から囲む複数の回動遮蔽壁と、前記回動遮蔽壁を駆動する遮蔽壁駆動機構と、前記遮蔽壁駆動機構を制御する制御装置と、を具備し、前記遮蔽壁駆動機構は、環状のスライド溝が形成された回転プレートと、前記スライド溝に係合する移動軸が形成されて前記回動遮蔽壁に回転可能に連結されたカムと、前記回転プレートを回転するモータと、を有し、前記回転プレートの回転方向に於ける位置を検出する位置検出装置をさらに含み、前記制御装置は、前記位置検出装置の出力に基づいて、前記遮蔽壁駆動機構を制御することを特徴とする。これにより、本発明の遮蔽装置によれば、制御装置は、位置検出装置により回転方向に於ける回転プレートの位置を検出し、その検出結果に基づいて遮蔽壁駆動機構を制御しているので、回動遮蔽壁の回動動作を正確に制御することができる。よって、冷蔵庫内部に於ける風路の開閉制御を正確に行うことができる。更には、初期位置を検出するための特定の部位を回転プレートに形成せずとも、制御装置は位置検出装置の出力に基づいて、回転プレートの初期位置を検出できる。更には、初期位置を検出するための当接部を形成する必要が無いことから、装置全体の構成を簡素化でき、更には当接動作に伴い騒音が発生することがない。
【0111】
また、本発明の遮蔽装置では、前記位置検出装置は、回転方向に於ける前記回転プレートの厚さの変化を検出することを特徴とする。これにより、本発明の遮蔽装置によれば、回転プレートの厚さの変化を位置検出装置で検出することで、回転プレートの回転方向に於ける位置を容易に検出できる。
【0112】
また、本発明の遮蔽装置では、前記位置検出装置は、前記回転プレートと共に回転することで出力される電気的特性値の変化を検出することを特徴とする。これにより、本発明の遮蔽装置によれば、回転プレートの回転に伴い位置検出装置から出力される電気的特性値が変化することで、制御装置は回転プレートの回転方向に於ける位置を正確に検出することができる。
【0113】
また、本発明の遮蔽装置では、前記位置検出装置は、前記回転プレートの回転に伴い変化する磁力を検出することを特徴とする。これにより、本発明の遮蔽装置によれば、磁界を検出する簡易な構成で回転プレートの回転方向に於ける位置を検出できる。
【0114】
更に、本発明の冷蔵庫は、貯蔵室に前記風路を経由して供給される空気を冷却する冷凍サイクルの冷却器と、前記冷却器が配設されて前記貯蔵室につながる送風口が形成される冷却室と、前記送風口から供給される前記空気を前記貯蔵室に向けて送風する前記送風機と、前記風路を少なくとも部分的に塞ぐ前記遮蔽装置と、を具備することを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、回動遮蔽壁の回動動作を正確に制御することができる。よって、冷蔵庫内部に於ける風路の開閉制御を正確に行うことができる。
【0115】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0116】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
12 外箱
13 内箱
14 断熱材
15 冷蔵室
17 冷凍室
18 上段冷凍室
19 下段冷凍室
20 野菜室
21 断熱扉
23 断熱扉
24 断熱扉
25 断熱扉
26 冷却室
27 送風口
28 戻り口
29 冷蔵室供給風路
30 ギア
31 冷凍室供給風路
33 吹出口
34、341、342、343、344、345、346 吹出口
35 開口部
37 野菜室帰還風路
38 戻り口
39 戻り口
40 磁石
41 磁気センサ
42 断熱仕切壁
43 断熱仕切壁
44 圧縮機
45 冷却器
46 除霜ヒータ
47 送風機
48 回動連結部
49 ギア溝
50 環状凸状部
501 始点
502 終点
51 挿入孔
52 抵抗器
53 回転軸
54 制御装置
56 風路区画壁
57 蓋部材
60 遮蔽壁駆動機構
61、611、612、613、614 カム
62 カム収納部
63 支持基体
64 回動連結部
65 仕切体
66 仕切体
67 前面カバー
68 回動連結部
69 ピン
70 遮蔽装置
71、711、712、713、714 回動遮蔽壁
72 距離センサ
721 発信部
722 受信部
73 回転プレート
74 駆動モータ
76、761、762、763、764 移動軸
80 スライド溝
801、802、803、804、805、806、807、808、809、8010、8011、8012 スライド溝
811、812、813、814、815、816、817、818、819、8110 、8111、8112 変化点
83 枠状部
85 凹状部
86 貫通孔
91 温度センサ
92 タイマ
100 冷蔵庫
101 冷蔵室
102 冷凍室
103 野菜室
104 冷却室
105 区画壁
106 開口部
107 送風ファン
108 冷却器
109 風路
110 送風機カバー
111 凹部
113 開口部
114 ダンパ