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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041900
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】人工膵臓システム用活動モード
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
A61M5/142 520
A61M5/142 530
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015188
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2021517333の分割
【原出願日】2019-09-27
(31)【優先権主張番号】62/738,531
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519167449
【氏名又は名称】インスレット コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン オコナー
(72)【発明者】
【氏名】チュン ポク イー
(72)【発明者】
【氏名】トラング ライ
(72)【発明者】
【氏名】トッド ビエノー
(72)【発明者】
【氏名】イーピン チョン
(72)【発明者】
【氏名】アッシュトッシュ ザーデ
(57)【要約】
【課題】自動的にインスリン送達を調節し得るウェアラブル薬剤送達装置を提供する。
【解決手段】ユーザの糖尿病治療計画を実装するアプリケーションを提供するウェアラブル薬剤送達装置、技術、及び、コンピュータ可読媒体が記載される。薬剤送達装置は、このウェアラブル薬剤送達装置の動作を指示するよう動作可能な制御部を含んでもよい。制御部は、選択可能な動作の活動モードをユーザに対して提供してよい。動作の活動モードでは、薬剤送達装置の動作によって、ユーザのインスリン感受性上昇中に低血糖の可能性を減少させ、ユーザのインスリン必要量の増加中に高血糖の可能性を減少させ得る。動作の活動モードはユーザによって手動で作動される、又は、制御部によって自動的に作動されることができる。制御部は、検出されたユーザの活動レベル、検出されたユーザの位置のいずれか又はその両方に基づいて、動作の活動モードを自動的に作動させることができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにインスリンを送達するよう動作可能なウェアラブル薬剤送達装置であって、
インスリンを格納するよう構成されたリザーバと、
前記リザーバに接続し、前記格納されたインスリンを前記リザーバから送り出すよう動作可能なポンプ機構と、
前記ユーザの活動レベルを検出するよう動作可能な慣性計測装置と、
前記ポンプ機構及び前記慣性計測装置と通信可能に接続する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記慣性計測装置から、1つ又は複数の動きの計測値を示す入力を受信し、
前記受信した入力に基づいて、動作の活動モードを開始し、
前記動作の活動モードの開始に応じて、基礎投与量入力を減少させ、
前記減少させた基礎投与量入力に基づいて変更されたインスリン量の送達を作動させる信号を前記ポンプ機構に出力する、ように動作可能であり、
前記ウェアラブル薬剤送達装置は前記ユーザの体に粘着される、ウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記動作の活動モードの選択を受信するよう更に動作可能な、請求項1に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項3】
GPS装置又はWi-Fi位置情報サービスへのアクセスを有する通信装置を更に備える、請求項1に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ウェアラブル薬剤送達装置に関連する位置を受信し、
メモリから、身体活動が行われる所定の位置を取得し、
前記受信した位置と前記取得した位置を比較し、
前記比較の結果と、前記活動レベルの変化が活動レベル閾値を超えるのとに基づいて、前記動作の活動モードを開始するよう更に動作可能な、請求項3に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項5】
前記制御部に通信可能に接続するユーザインタフェースを更に備え、前記ユーザインタフェースは前記動作の活動モードを選択する入力を提供するよう動作可能な、請求項1に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ユーザインタフェースを介して、前記動作の活動モードを選択する前記入力を要請するアラートを生成するよう動作可能な、請求項5に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項7】
ユーザにインスリンを送達するよう動作可能なウェアラブル薬剤送達装置の制御方法であって、
インスリンを格納するよう構成されたリザーバと、
前記リザーバに接続し、前記格納されたインスリンを前記リザーバから送り出すよう動作可能なポンプ機構と、
前記ユーザの活動レベルを検出するよう動作可能な慣性計測装置と、
前記ポンプ機構及び前記慣性計測装置と通信可能に接続する制御部と、
を備える前記ウェアラブル薬剤送達装置において、前記制御部が、
前記慣性計測装置から、1つ又は複数の動きの計測値を示す入力を受信し、
前記受信した入力に基づいて、動作の活動モードを開始し、
前記動作の活動モードの開始に応じて、基礎投与量入力を減少させ、
前記減少させた基礎投与量入力に基づいて変更されたインスリン量の送達を作動させる信号を前記ポンプ機構に出力する、ように動作可能であり、
前記ウェアラブル薬剤送達装置は前記ユーザの体に粘着される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載のウェアラブル薬剤送達装置の制御方法をプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラムを記憶した、コンピュータが読み取り可能な非一時的記憶媒体。
【請求項9】
ユーザにインスリンを送達するよう動作可能なウェアラブル薬剤送達装置であって、
インスリンを格納するよう構成されたリザーバと、
前記リザーバに接続し、前記格納されたインスリンを前記リザーバから送り出すよう動作可能なポンプ機構と、
前記ユーザの活動レベルを検出するよう動作可能な慣性計測装置と、
GPS装置、又はWi-Fi位置情報サービスへのアクセスを有する通信装置と、
前記ポンプ機構及び前記慣性計測装置と通信可能に接続する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記慣性計測装置から、1つ又は複数の動きの計測値を示す入力を受信し、
前記受信した入力から活動レベルの変化を決定し、
前記GPS装置又は前記通信装置から、前記ウェアラブル薬剤送達装置に関連する位置を受信し、
メモリから、身体活動が行われる所定の位置を取得し、
前記受信した位置と前記取得した位置とを比較し、
前記比較の結果と、前記決定された活動レベルの変化が活動レベル閾値を超えるのとに基づいて、動作の活動モードを自動的に開始するように動作可能であり、
前記制御部は、前記動作の活動モードにおいて、
前記決定された活動レベルの変化に基づいて、前記ポンプ機構が送達するインスリン量を変更し、
前記変更されたインスリン量の送達を作動させる信号を前記ポンプ機構に出力するように更に動作可能な、ウェアラブル薬剤送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月28日に出願された米国仮特許出願第62/738,531号の優先権を主張し、その内容は全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
開示される例は概して薬剤送達に関する。より詳細には、開示される例は、検出されたユーザの活動レベル、検出されたユーザの位置、又は、学習されたユーザの行動に基づいてウェアラブル薬剤送達装置の動作を管理する技術、処理、装置又はシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のウェアラブル薬剤送達装置の多くは、定期的なインスリン送達を一時的に調整することが可能な設定を含んでもよい。設定では、インスリン送達の一時的な停止を許可にする設定も含んでもよい。しかしながら、これら従来の薬剤送達装置は、ユーザの活動レベルの増加又は検出されたインスリン必要量の増加期間に基づいた自動的又は手動命令によるインスリン送達の調節ができないことがありうる。
【0004】
そこで、ユーザの活動レベルの増加が検出された期間若しくは増加が予想される期間、又は、以前に送達の調節が実施されたユーザの位置の検出に基づいて、手動による要請に従って又は自動的にインスリン送達を調節し得るウェアラブル薬剤送達装置が求められている。
【発明の概要】
【0005】
ウェアラブル薬剤送達装置が開示される。開示されるウェアラブル薬剤送達装置は、ユーザに対してインスリンを送達するよう動作し得る。ウェアラブル薬剤送達装置は、リザーバ、ポンプ機構、慣性計測装置及び制御部を含む。リザーバはインスリンを格納するよう構成される。ポンプ機構はリザーバに接続し、格納されたインスリンをリザーバから送り出すよう動作し得る。慣性計測装置はユーザの活動レベルを検出するよう動作し得る。制御部は、ポンプ機構及び慣性計測装置に通信可能に接続する。制御部は、動作の活動モードで、慣性計測装置から入力を受信するよう動作し得る。入力は1つ又は複数の動きを示す。制御部は、受信した入力から活動レベルの変化を決定することができる。決定された活動レベルの変化に基づいて、制御部はポンプ機構が送達するインスリン量を変更することができる。制御部はポンプ機構に対して、変更されたインスリン量の送達を作動させる信号を出力することができる。
【0006】
プロセッサによって実行可能なプログラミングコードを内蔵する非一時的なコンピュータ可読媒体を開示する。プロセッサはプログラミングコードを実行すると、機能を実施するよう動作し得る。プロセッサによって実施される機能は、活動モードに関連する入力の受信を含む。プロセッサは、受信した入力を活動モード閾値に対して評価し、評価した入力が活動モード閾値を超過するかを決定することができる。評価した入力が活動モード閾値を超過する場合、活動モードを開始する、プロセッサは活動モードを開始する。活動モードの開始に基づいて、プロセッサは糖尿病治療計画のパラメータを調節することができる。プロセッサは、糖尿病治療計画の調節されたパラメータに従って、ポンプ機構を介してインスリンの送達を作動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本明細書中に記載されるユーザの活動レベルの増加又は検出されたユーザの位置に基づいてインスリン送達の調節を実施するよう動作可能な人工膵臓(AP)システムの例を示す。
図2図2は、本明細書中に記載される活動レベルの増加を検出するよう動作可能な慣性計測装置(IMU)の例を示す。
図3図3は、本明細書中に記載される技術及び処理を実施するよう動作可能な薬剤送達装置の例を示す。
図4図4は、活動モード、高血糖保護モード及び低血糖保護モードに関わる例における、APアプリケーションの構成要素の例を示す。
図5図5は、活動モードの例示的処理を示す。
図6A図6Aは、APアプリケーションが高血糖保護モードを開始する場合に実施される例示的処理を示す。
図6B図6Bは、APアプリケーションが低血糖保護モードを開始する場合に実施される例示的処理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、ユーザによって装着される薬剤送達装置の利用可能な動作の活動モードに基づいて、ユーザへのインスリン送達を調節するよう動作可能な各種システム、構成要素、及び、方法を提示する。本明細書中で開示されるシステム、構成要素、及び方法の各々は、従来のシステム、構成要素、及び方法と比較して1つ又は複数の利点を提供する。
【0009】
一例として、血糖レベル及びインスリン治療を管理する任意の付加的アルゴリズム又はコンピュータアプリケーションで用いられる処理がある。本明細書中で、アルゴリズムは「人工膵臓」アルゴリズムベースシステム、又は、より多くの場合、人工膵臓(AP)アプリケーションと呼ばれることができる。APアプリケーションはメモリデバイスに記憶され、プロセッサ、制御部、又は、スマートフォン、タブレット、個人用糖尿病管理装置又は同種のものなどのコンピュータ装置によって実行可能なプログラミングコードであってもよい。本明細書中に記載される人工膵臓(AP)アプリケーションの例は、CGM又は同種のものなどから受信する入力などの血糖センサ入力、慣性計測装置(IMU)、全地球測位システム装置などからの入力に基づいたインスリンの自動的な送達を提供する。
【0010】
一例では、人工膵臓(AP)アプリケーションは、プロセッサによって実行されると、システムがユーザの血糖値を監視し、監視された血糖値(例えば、血糖濃度又は血糖計測値)、及びその他の情報(炭水化物摂取量、食事時間又は同種のものといったユーザが提供する情報など)に基づいて、ユーザの適切なインスリンレベルを決定し、及び、ユーザの血糖値を適切な範囲に維持する措置を行うのを可能にすることができる。適切な血糖値範囲は、特定のユーザの目標血糖値と考えられる。例えば、糖尿病治療用の臨床的標準治療を充足する範囲である80mg/dL~140mg/dLの範囲であれば、目標血糖値として許容可能としてもよい。しかしながら、本明細書に記載のAPアプリケーションは、目標血糖値をより厳密に確立するためユーザの活動レベルを考慮し、目標血糖値を例えば110mg/dL又は同等の数値などに設定することができる。図1~7の例を参照してより詳細を記述するが、APアプリケーションは、ユーザへのインスリンの送達を制御し、将来の投与量又は投与タイミングを変化させ、その他の機能を制御するために、監視された血糖値及びその他の情報を用いて、ウェアラブル薬剤送達装置、例えばポンプなどに対して命令を生成し送ることができる。
【0011】
図1は、人工膵臓(AP)システム100の一例の簡略ブロック図を示す。例示的APシステム100は、制御部102、ポンプ機構104(以下、「ポンプ104」)、及びセンサ108を含んでもよい。制御部102、ポンプ104及びセンサ108は、無線又は有線通信路を介して互いに通信可能に接続することができる。例えば、制御部102、ポンプ104及びセンサ108の各々はBluetooth(登録商標)又は同種のものなどの1つ又は複数の通信プロトコルを介して通信するよう動作可能な無線周波数送受信機を備えていてもよい。センサ108は、例えば、持続グルコース測定器(CGM)108などグルコースモニタであってもよい。CGM108は、例えば、測定BGレベル信号112を生成するために、ユーザのBG値を測定するよう動作し得る。
【0012】
この例で示されるように、制御部102は、ユーザにとって望ましい血糖(BG)レベル又は範囲を示す望ましい血糖(BG)レベル信号110を受信することができる。望ましい血糖(BG)レベル信号110は第1信号であってもよい。望ましいBGレベル信号110は、ユーザインタフェースから制御部又はその他の装置に受信される、又は、ユーザのBGレベルを自動的に決定するアルゴリズムによって受信され得る。センサ108は、ユーザに接続されることがあり、ユーザのBGレベルの適切な値を測定するよう動作し得る。測定されたBG値、測定されたBGレベル、測定されたBGレベル値、又は実際のBGレベルの概算計測値は、ユーザのBGレベルの概算値に過ぎず、また、BGレベル又はBG値には誤差の可能性があることを理解されたい。例えば、誤差はセンサ108の老朽化、ユーザの身体上のセンサ108の位置、環境要因(例えば、高度、湿度、気圧)又は同種のものなどの複数の要因に起因することができる。測定されたBG値及びBGレベルの概算計測値という表現は、本明細書及び図面を通して言い換え可能に用いられることができる。測定されたBGレベル又はBG値に応じて、センサ108は測定されたBG値を示す信号を生成する。この例に示されるように、制御部102はセンサ108から通信路を介して測定BGレベル信号112を受信することができる。測定BGレベル信号112は第2の信号であってもよく、ユーザの測定BGレベルの概算計測値を示す。
【0013】
望ましいBGレベル信号110及び測定BGレベル信号112に基づいて、制御部102はポンプ104の動作を指示するため1つ又は複数の制御信号114を生成することができる。例えば、制御信号114の1つは、ポンプ104に、出力部106を介してユーザに対して特定量のインスリン116を送達させる。特定量のインスリン116は、例えば、望ましいBGレベル信号110と実際のBG信号レベル112との間の差異に基づいて決定され得る。特定量のインスリンは、ユーザの測定されたBGレベルを望ましいBGレベルに上昇させるのに適切なインスリン量と定められてもよい。制御信号114によって決定されたポンプ104の動作に基づいて、ユーザはポンプ104からインスリン116を受けとることができる。
【0014】
APシステム100は、閉ループシステムとして動作する、又は、開ループシステムとして動作することができる。各種例で、APシステム100の1つ又は複数の構成要素は、ユーザに装着されるウェアラブル又はオンボディ薬剤送達システムに組み込まれることができる。
【0015】
例示的APシステム100の簡略ブロック図は、システムの動作の概略図を提供する。このようなAPシステムで使用され得る装置の実装に関するより詳細な例が、図2に示される。
【0016】
APシステムの各種例は、糖尿病治療計画に従って糖尿病のユーザの治療を管理するシステムにおいて動作し得るウェアラブル薬剤送達装置を含む。糖尿病治療計画は、APアプリケーションと呼ばれるコンピュータアプリケーションによって決定され、変更されることができるインスリンの送達に関する多くのパラメータを含んでもよい。
【0017】
本明細書中に記載のウェアラブル薬剤送達装置は、APアプリケーションを介してウェアラブル薬剤送達装置の動作を指示するよう動作可能な制御部を含んでもよい。例えば、ウェアラブル薬剤送達装置の制御部は、ユーザに対して選択可能な動作の活動モードを提供してよい。薬剤送達装置の動作は、動作の活動モードで、ユーザのインスリン感受性の上昇時に低血糖の可能性を低下させ、ユーザのインスリン必要量の増加時に高血糖の可能性を低下させることができる。動作の活動モードはユーザによって作動される、又は、制御部によって自動的に作動されることができる。制御部は、検出されたユーザの活動レベル、検出されたユーザの位置のいずれか又はその両方に基づいて、動作の活動モードを自動的に作動することができる。
【0018】
図2は、薬剤送達システムの例を示す。薬剤送達システム200は、薬剤送達装置202、管理装置206、及び、血糖センサ204を含んでもよい。
【0019】
図2の例において、薬剤送達装置202は、患者又はユーザによってユーザの身体に装着されるウェアラブル又はオンボディ薬剤送達装置であってもよい。図2に示されるように、薬剤送達装置202は、慣性計測装置(IMU)207を含んでもよい。薬剤送達装置202は、一部の例では薬剤導出機構又は薬剤導出コンポーネントと呼ばれるポンプ機構224及び針展開部228を更に含んでもよい。各種例では、ポンプ機構224はポンプ又はプランジャ(図示せず)を含んでもよい。
【0020】
針展開部228は、例えば、針(図示せず)、カニューレ(図示せず)、及び、リザーバ225に格納された液状薬剤をユーザに接続させるその他の流体管路コンポーネントを含んでもよい。カニューレは、ユーザをリザーバ225に接続させる流体管路コンポーネントの一部を形成することができる。針展開部228が作動するとユーザに流体管路(図示せず)が提供され、ポンプ機構224は、流体管路を介して液状薬剤をユーザに送達するため、液状薬剤をリザーバ225からユーザに送り出すことができる。流体管路は、例えば、ウェアラブル薬剤送達装置202をユーザに接続する管(図示せず)(例えば、カニューレをリザーバ225に接続する管)を含んでもよい。
【0021】
ウェアラブル薬剤送達装置202は、制御部221及び通信インタフェース装置226を更に含んでもよい。制御部221は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの任意の組み合わせで実装されることができる。制御部221は、例えば、メモリに接続されたプロセッサ、論理回路、又は、マイクロコントローラでもよい。制御部221は、日時や、プロセッサによって実施されたその他の機能(例えば、計算又は同種のもの)を保持することができる。制御部221は、制御部221が薬剤送達装置202の動作に指示を出すことを可能にする、メモリに記憶された人工膵臓アルゴリズムを実行するよう動作し得る。加えて、制御部221は、ユーザの活動を示すデータ又は情報をIMU207や薬剤送達装置202のその他の任意のセンサ(管理装置206又はCGM204上のセンサ(例えば、加速度計、位置情報サービスアプリケーション又は同種のもの))又は全地球測位システム(GPS)が有効化された装置又は同種のものなど薬剤送達装置202に接続された任意のセンサから受信するよう動作し得る。
【0022】
制御部221は、ユーザ又はユーザの介護者のいずれか又はその両方に対してアラート若しくはその他の通知を発行するか、又は、薬剤送達装置202の動作モードを調節するか、を決定するために、IMU207又は他の任意の接続されたセンサからのデータを処理してよい。制御部221は、例えば、通信インタフェース装置226を通してアラートを提供してよい。通信インタフェース装置226は、例えば、ユーザ又はユーザの介護者(例えば、親)のいずれか又はその両方の管理装置206など、薬剤送達装置202から物理的に分離された1つ又は複数の管理装置に通信接続を提供してよい。通信インタフェース装置226によって提供される通信接続は、Bluetooth(登録商標)又はセルラー方式標準など既知の通信プロトコル又は標準に従って動作する任意の有線又は無線の通信接続を含んでもよい。
【0023】
図2の例は、薬剤送達装置202と、例えば持続グルコース測定器(CGM)などの血糖センサ204との関係を更に示す。CGM204は、薬剤送達装置202から物理的に分離していても、又は、一体化された構成要素であってもよい。CGM204は、制御部221に対して、ユーザの測定又は検出された血糖(BG)レベルを示すデータを提供してよい。
【0024】
管理装置206は、ユーザ又はユーザの介護者によって維持され、操作されることができる。管理装置206は、薬剤送達装置202の動作を制御する、又は、データや薬剤送達装置202の動作状況又はユーザの状態を示すその他の情報を確認するために使用される、又はその両方のために用いられることができる。管理装置206は、薬剤送達装置202の動作を指示するために用いられることができる。例えば、管理装置206は、個人専用の糖尿病管理(PDM)装置、スマートフォン、タブレットコンピューティングデバイス、例えば、デスクトップ、ラップトップ、又はタブレット又は同種のものなどのその他の家庭用電子機器であってもよい。管理装置206は、プロセッサ261及びメモリデバイス263を含んでもよい。メモリデバイス262は、活動モード、高血糖保護モード、低血糖保護モード、又はその全てのモードを実施し得るプログラミングコードを含む人工膵臓アプリケーション269を記憶してよい。管理装置206は、1つ又は複数の既知の有線又は無線の通信標準又はプロトコルによって薬剤送達装置202からアラート、通知又はその他の通信を受信することができる。
【0025】
薬剤送達システム200は、ユーザの身体活動を示すウェアラブル薬剤送達装置の動きを決定し、活動モード、高血糖モード、低血糖モード、及び、ウェアラブル薬剤送達装置の制御などのその他の機能を実施する機能を含むAPアプリケーションを実装するよう動作し得る。薬剤送達システム200は、ウェアラブル薬剤送達装置(ポンプ)202、センサ204、及び、個人用糖尿病管理装置(PDM)206を含んでもよい自動化された薬剤送達システムでもよい。
【0026】
例えば、ウェアラブル薬剤送達装置202は、患者又は糖尿病のユーザなど、ユーザの身体に装着されることがあり、ユーザに対してインスリン又は同種のものなどの薬剤又は薬品を含む治療薬を送達してよい。ウェアラブル薬剤送達装置202は、例えば、ユーザによって装着されるウェアラブル装置であってもよい。例えば、ウェアラブル薬剤送達装置202は、ユーザに直接接続されてもよい(例えば、粘着剤又は同種のものなどでユーザの身体の一部又は皮膚のいずれか又はその両方に直接貼り付けられる)。一例では、ウェアラブル薬剤送達装置202はユーザが装着しやすいように一面に粘着部を含んでもよい。
【0027】
ウェアラブル薬剤送達装置202は、ユーザに薬剤を送達するためにリザーバ225から薬剤を送り出す動作に関連して、ポンプ又はインスリンポンプと呼ばれることが多い。
【0028】
一例では、ウェアラブル薬剤送達装置202は、薬剤(インスリンなど)を格納するためのリザーバ225、薬剤をユーザの身体に送達するための(皮下、腹腔内、又は静脈内で行われ得る)針又はカニューレ(図示せず)、及び、ポンプ機構(機構)224、又は、リザーバ225から針又はカニューレ(図示せず)を通して薬剤をユーザに移行させるためのその他の駆動機構を含んでもよい。リザーバ225は、液体又は流体のインスリン、モルヒネ、又は他の治療薬などを格納又は保持するよう構成してよい。ポンプ機構224は、リザーバ225に流体接続することがあり、制御部221に通信可能に接続することができる。ウェアラブル薬剤送達装置202は、ポンプ機構224、又は、ウェアラブル薬剤送達装置202のその他の構成要素(制御部221、メモリ223及び通信装置226など)又はその全てに電力を供給する電池、圧電装置又は同種のものなどの電源(図示せず)を含んでもよい。図示されないが、電力を供給する電力供給源は、センサ204、スマートアクセサリデバイス(使用する場合)、及び管理装置(PDM)206の各々にも同様に含まれることができる。
【0029】
一例では、血糖センサ204は、プロセッサ261又は221に通信可能に接続する装置であってもよく、約5分毎又は同等の時間など所定間隔で血糖値を測定するよう動作し得る。血糖センサ204は、多くの血糖測定値を各々の装置上で動作可能なAPアプリケーションに提供してよい。例えば、血糖センサ204は、血糖測定値を各々の装置上で動作可能なAPアプリケーションに対して、約5、10、12分又は同等の時間毎など定期的に提供する連続血糖センサであってもよい。
【0030】
ウェアラブル薬剤送達装置202は、IMU207も含んでもよい。IMU207は、ユーザの活動を示し得る各種動きパラメータ(例えば、加速、減速、速度、向き(ロール、ピッチ、ヨー、磁針方位又は同種のものなど))を検出するよう動作し得る。例えば、IMU207は、例えば、ユーザの動き又は位置など、ユーザの何らかの身体状態の状況を示すウェアラブル薬剤送達装置202の動きを検出すると、信号を出力することができる。検出されたユーザの活動に基づいて、薬剤送達装置202は、例えば、本明細書中に記載されるように活動モードを実施することで、薬剤送達に関する動作を調節することができる。
【0031】
ウェアラブル薬剤送達装置202は、動作の通常モードで動作中に、センサ204又は管理装置(PDM)206のいずれか又はその両方によって提供された情報(例えば、血糖測定値、慣性計測装置、全地球測位システムが有効化された装置、Wi-Fiが有効化された装置又は同種のものからの入力)に基づいて、リザーバ225に格納されたインスリンをユーザに提供してよい。
【0032】
例えば、ウェアラブル薬剤送達装置202は、薬剤又は治療薬の送達を制御するために制御部221(又はプロセッサ)として実装され得るアナログ回路又はデジタル回路のいずれか又はその両方の回路を含んでもよい。制御部221を実装するために用いられる回路は、メモリ223に格納された(例えば、人工膵臓アプリケーション(APアプリ)229及び図5~6Bの処理例を可能にする)ソフトウェア命令、ファームウェア、プログラム命令、又はプログラミングコード、又はその任意の組み合わせを実行する、ディスクリートロジック、特殊ロジック、ディスクリートコンポーネント、特殊コンポーネントのいずれか又はその全て、特定用途向け集積回路、マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサであってもよい。例えば、制御部221は、人工膵臓アプリケーション229や、血糖測定値を目標血糖値にするために所定の間隔で又は必用に応じてポンプにユーザに対して薬剤や治療薬の投与を送達させるよう制御部221を動作させ得るその他のプログラミングコードなどの制御アルゴリズムを実行することができる。投与量又は投与タイミングのいずれか又はその両方は、ユーザによって又は第3者(医療提供者、ウェアラブル薬剤送達装置の製造業者又は同種の第3者)によって、ウェアラブル薬剤送達装置202と管理装置206又は医療提供施設のコンピューティングデバイスなどその他の装置との間の有線又は無線接続(220など)を用いて、例えば、人工膵臓アプリケーション229にプログラムされることができる。一例では、ポンプ又はウェアラブル薬剤送達装置202は、無線接続220又はセンサ204からの無線接続(208など)を介して管理装置のプロセッサ261に通信可能に接続する。ウェアラブル薬剤送達装置のポンプ機構224は、プロセッサ261から作動信号を受信するよう動作可能で、作動信号を受信すると、リザーバ225などからインスリンを送り出すことができる。
【0033】
管理装置206、ウェアラブル薬剤送達装置202及びセンサ204など、システム200内の装置は、ウェアラブル薬剤送達装置202の制御を含む各種機能を実施するよう動作し得る。例えば、管理装置206は、通信装置264、プロセッサ261、及び管理装置メモリ263を含んでもよい。管理装置メモリ263は、プログラミングコードを含むAPアプリケーション269のインスタンスを記憶することがあり、プロセッサ261によって実行されると、図1及び3~6Bの例を参照して記載される処理を提供する。管理装置メモリ263は、図1及び3~6Bの例を参照して記載される処理の例を提供するためのプログラミングコードも記憶してよい。
【0034】
図示されないが、システム200は、例えばAppleWatch(登録商標)などのスマートアクセサリデバイス、他の製造業者によって提供された眼鏡などその他のウェアラブルスマートデバイス、全地球測位システムが有効化されたウェアラブル、ウェアラブルフィットネスデバイス、スマートクロージング又は同種のものを含んでもよい。管理装置206と同様に、スマートアクセサリデバイス(図示せず)は、ウェアラブル薬剤送達装置202の制御を含む各種機能を実施するよう動作し得る。例えば、スマートアクセサリデバイスは通信装置、プロセッサ、及びメモリを含んでもよい。メモリは、図1及び3~6Bの例を参照して記載される処理例を提供するプログラミングコードを含むAPアプリケーションのインスタンスを記憶し得る。メモリは、プログラミングコードも記憶することがあり、APアプリケーションに関連するデータを記憶するよう動作し得る。
【0035】
システム200のセンサ204は、上述した持続グルコース測定器(CGM)でもよく、プロセッサ241、メモリ243、センシング又は測定装置244、及び、通信装置246を含んでもよい。メモリ243は、APアプリケーション249のインスタンス及びその他のプログラミングコードを格納することがあり、APアプリケーション249に関連するデータを記憶するよう動作し得る。APアプリケーション249は、図1及び3~6Bを参照して記載される処理例を提供するプログラミングコードを含んでもよい。
【0036】
ユーザに対して薬剤又は治療薬(例えば、追加投与として)の送達を決定する命令(例えば、任意の薬剤又は治療薬投与の量、タイミング、又はその両方)は、ウェアラブル薬剤送達装置202によって局所的に発行されてもよいし、遠隔から発行されて、ウェアラブル薬剤送達装置202に提供されてもよい。薬剤又は治療薬の局所的決定の一例では、ウェアラブル薬剤送達装置202に接続されるメモリ223に記憶される人工膵臓アプリケーション229のインスタンスなどのプログラム命令は、ウェアラブル薬剤送達装置202が決定を行うために用いられることができる。加えて、ウェアラブル薬剤送達装置202は、通信装置226及び通信接続288を介してウェアラブル薬剤送達装置202と通信し、通信装置226及び通信接続289を介して血糖センサ204と通信するよう動作し得る。
【0037】
あるいは、管理装置(PDM)206からウェアラブル薬剤送達装置202に有線又は無線接続で遠隔命令が提供されてもよい。PDM206は、人工膵臓アプリケーション269のインスタンス(メモリ263中に存在する場合)を実行し得るプロセッサ261を備えることができる。ウェアラブル薬剤送達装置202は、ユーザに対してインスリンを送達するため、受信した(内部で又は管理装置206から発行される)任意の命令を実行することができる。このように、インスリンのユーザへの送達は自動化されることができる。
【0038】
各種例では、ウェアラブル薬剤送達装置202は、無線通信接続288を介して管理装置206と通信することができる。管理装置206は、例えば、スマートフォン、タブレット、個人用糖尿病治療管理装置又は同種のものなどの電子装置であってもよい。あるいは、管理装置206はスマートウォッチ又は同種のものなどのウェアラブル無線アクセサリデバイスであってもよい。無線接続287~289は、任意の既知の無線標準によって提供される任意の形式の無線接続でよい。一例として、無線接続287~289は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、近距離無線通信規格、セルラー方式標準、又はその他任意の無線光又は無線周波数プロトコルに基づいて、ウェアラブル薬剤送達装置202、管理装置206、及び、センサ204の間の通信を可能にし得る。
【0039】
センサ204は、例えば、粘着剤又は同種のものによってユーザに装着されてもよく、ユーザの1つ又は複数の医学的状態、身体的特性、又はその両方の情報又はデータを提供してよい。センサ204によって提供される情報又はデータは、ウェアラブル薬剤送達装置202の薬剤送達動作を調節するのに用いられることができる。例えば、センサ204は、血糖を測定し、血糖値又は血糖値を表すデータを出力するよう動作可能なグルコースセンサであってもよい。例えば、センサ204は、定期的に血糖測定値を提供するグルコースモニタ、持続グルコース測定器(CGM)、又は、血糖測定値を提供するその他の形式の装置又はセンサであってもよい。
【0040】
センサ204は、プロセッサ241、メモリ243、センシング/測定装置244、及び、通信装置246を含んでもよい。センサ204の通信装置246は、無線接続222を介して管理装置206と通信する、又は接続208を介してウェアラブル薬剤送達装置202と通信するための、電子送信機、受信機、送受信機のいずれか、又はその全てを含んでもよい。センシング/測定装置244は、血糖測定素子、心拍モニタ、血中酸素センサ素子又は同種の1つ又は複数のセンサ素子を含んでもよい。プロセッサ241は、メモリ(メモリ243など)に記憶されるソフトウェア命令、ファームウェア、プログラム命令、又はその任意の組み合わせを実行するディスクリートロジック、特殊ロジック、ディスクリートコンポーネント、特殊コンポーネントのいずれか又はその全て、特定用途向け集積回路、マイクロコントローラ、又はマイクロプロセッサを含んでもよい。例えば、メモリ243は、プロセッサ241によって実行可能なAPアプリケーション249のインスタンスを記憶してよい。
【0041】
センサ204はウェアラブル薬剤送達装置202から分離して描かれるが、各種例で、センサ204及びウェアラブル薬剤送達装置202は、同じユニットに組み入れられてもよい。つまり、1つ又は複数の例で、センサ204は、ウェアラブル薬剤送達装置202の一部であってもよく、ウェアラブル薬剤送達装置202の同じ筐体内に収容されてもよい(例えば、センサ204は、ウェアラブル薬剤送達装置202内に配置される又は内蔵されていてもよい)。センサ204によって決定されたグルコース監視データ(例えば、測定された血糖値)は、ウェアラブル薬剤送達装置202又は管理装置206又はその両方に提供されることがあり、測定された血糖値は、ユーザの身体活動を示すウェアラブル薬剤送達装置の動き、活動モード、高血糖モード、及び、高血糖モードを決定するために用いられることができる。
【0042】
一例では、管理装置206は、個人用糖尿病管理装置であってもよい。管理装置206は、ウェアラブル薬剤送達装置202又はセンサ204又はその両方の動作をプログラム又は調節するためにも用いられることができる。管理装置206は、例えば、プロセッサ261、スマートフォン又はタブレットなどの専用制御部を含む携帯用電子機器などであってもよい。一例では、管理装置(PDM)206は、プロセッサ261、管理装置メモリ263及び通信装置264を含んでもよい。管理装置206は、ユーザの血糖レベルを管理するための処理を実行し、薬剤又は治療薬のユーザへの送達を制御するため、プロセッサ261(又は制御部)として実装されることができるアナログ回路、デジタル回路、又はその両方の回路を含んでもよい。プロセッサ261は、管理装置メモリ263に記憶されたプログラミングコードを実行するよう動作し得る。例えば、管理装置メモリ263は、プロセッサ261によって実行されることができる人工膵臓アプリケーション269を記憶するよう動作し得る。プロセッサ261は、人工膵臓アプリケーション269を実行すると、図1及び3~6Bの例に関して記載したような各種機能を実施するよう動作し得る。通信装置264は、1つ又は複数の無線周波数プロトコルに従って動作する送信機、受信機又は送受信機であってもよい。例えば、通信装置264は、管理装置206がセルラー送受信機を介してデータネットワークと通信し、センサ204及びウェアラブル薬剤送達装置202とも通信するのを可能にするセルラー式送受信機及びBluetooth(登録商標)送受信機を含んでもよい。通信装置264のそれぞれの送受信機は、APアプリケーションなどが使用可能な情報、又は、APアプリケーション又は同種のものによって生成された情報を含む信号を送信するように動作し得る。ウェアラブル薬剤送達装置202及びセンサ204のそれぞれの通信装置226及び246も、それぞれAPアプリケーション若しくは同種のものが使用可能な情報、又は、APアプリケーション若しくは同種のものによって生成された情報を含む信号を送信するように動作し得る。
【0043】
ウェアラブル薬剤送達装置202は、無線接続208を介してセンサ204と通信し、無線接続220を介して管理装置206と通信することができる。センサ204及び管理装置206は、無線接続222を介して通信することができる。スマートアクセサリデバイスが存在する場合、それぞれ無線接続287、288及び289を介して、ウェアラブル薬剤送達装置202、センサ204及び管理装置206と通信することができる。無線接続287、288及び289は、既知の無線標準又は独自規格を用いて動作可能な任意の形式の無線接続であってもよい。一例として、無線接続287、288及び289は、それぞれの通信装置226、246及び264を介して、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、近距離無線通信規格、セルラー方式標準又はその他の任意の無線プロトコルに基づいた通信接続を提供してよい。一部の例では、ウェアラブル薬剤送達装置202又は管理装置206のいずれか又はその両方は、ユーザが情報を入力することを可能にし、管理装置がユーザに提示する情報を出力することを可能にするよう動作可能な、キーパッド、タッチスクリーン画面、レバー、ボタン、マイクロフォン、スピーカ、ディスプレイ又は同種のものなどのユーザインタフェース227及び268をそれぞれ含んでもよい。
【0044】
各種例では、薬剤送達システム200は、インスリン薬剤送達システムであってもよい。例えば、ウェアラブル薬剤送達装置202は、米国特許第7,303,549号明細書、米国特許第7,137,964号明細書、又は、米国特許第6,740,059号明細書に記載され、その各々の全体が本明細書中に援用されるOmniPod(登録商標)(Insulet Corporation,Billerica,MA)インスリン送達装置であってもよい。
【0045】
これらの例において、薬剤送達システム200は、自動化されたユーザへのインスリンの送達を統制又は制御するため(例えば、正常血糖(血中のグルコースの正常値)を維持するため)人工膵臓(AP)アルゴリズムを実装する(又は、AP機能を提供する、又はその両方を行う)ことができる。APアプリケーションは、ウェアラブル薬剤送達装置202又はセンサ204のいずれか又はその両方によって実施されることができる。APアプリケーションはインスリンの送達の時間と投与量を決定するのに用いられることができる。各種例では、APアプリケーションは、ユーザの性別、年齢、体重、若しくは身長などのユーザに関する既知の情報、又は、(例えば、センサ204からの)ユーザの身体特性若しくは状態に関する情報、又はその両方に基づいて、送達の時間と投与量を決定することができる。例えば、APアプリケーションは、センサ204によるユーザのグルコースレベルの監視に基づいて、適切なインスリンの送達を決定することができる。APアプリケーションは、ユーザがインスリンの送達を調節できるようにすることができる。例えば、APアプリケーションは、活動モード、高血糖保護モード、低血糖保護モードなどのウェアラブル薬剤送達装置のモードを設定する命令、追加インスリン投与量を送達する命令又は同種のものなど、ユーザがウェアラブル薬剤送達装置202に出力する命令を(例えば、入力部を介して)選択可能にすることができる。1つ又は複数の例では、APアプリケーションの異なる機能が2つ以上の管理装置206、ウェアラブル薬剤送達装置(ポンプ)202又はセンサ204間で分散していることができる。他の例では、APアプリケーションの異なる機能が管理装置206、ウェアラブル薬剤送達装置(ポンプ)202又はセンサ204などの1つの装置によって実施されることができる。各種例では、薬剤送達システム200は、2016年11月22日に出願された米国特許出願第15/359,187号明細書及び2019年9月13日に出願された米国特許出願第16/570,125号明細書に記載され、両出願はその全体が参照により本明細書中に援用される薬剤送達システムの特徴を含むことがあり、その機能性によって動作し得る。
【0046】
本明細書中に記載されるように、薬剤送達システム200又はウェアラブル薬剤送達装置などの任意の構成要素は、APの機能性を提供する、又は、APアプリケーションを実装すると考えられてもよい。したがって、便宜上APアプリケーション(例えば、その機能性、動作又は性能)が言及されるが、薬剤送達システム200又はその任意の構成要素(例えば、ウェアラブル薬剤送達装置202又は管理装置206のいずれか又はその両方)の動作又は機能性のいずれか又はその両方を意味する、又は、含む、又は意味し、含んでもよい。例えば、APアプリケーションを実装するインスリン送達システムとしての薬剤送達システム200は、薬剤送達システム又はセンサ入力(例えば、センサ204によって収集されたデータ)を用いるAPアプリケーションベースの送達システムと考えられてもよい。
【0047】
一例では、薬剤送達装置202は通信装置264を含み、通信装置264は、上述したように、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、近距離無線通信規格、セルラー方式標準などの1つ又は複数の無線周波数プロトコルに従って動作し、各装置がクラウドベースサービス211と通信することを可能にする受信機、送信機又は送受信機であってもよい。例えばセンサ204又はウェアラブル薬剤送達装置(ポンプ)202からの出力は、記憶又は処理のため、通信装置264の送受信機を介してクラウドベースサービス211に送信されてもよい。同様に、ウェアラブル薬剤送達装置202、管理装置206及びセンサ204は、通信リンク288を介してクラウドベースサービス211と通信するように動作し得る。
【0048】
一例では、各装置202、206又は207の受信機又は送受信機は、センサ204によって送信されることができる多数の血糖測定値の各血糖測定値を含む信号を受信するよう動作し得る。各装置202、206又は207のプロセッサは、223、263又は273などの各メモリ内にそれぞれの血糖測定値を記憶するように動作し得る。それぞれの血糖測定値は、229、249又は269などの人工膵臓アルゴリズムに関連するデータとして記憶されることができる。更なる例では、管理装置206又はセンサ204上で動作するAPアプリケーションは、通信装置264、274、246によって実装される送受信機を介して、ウェアラブル薬剤送達装置によって受信される制御信号を送信するよう動作し得る。この例では、制御信号は、ウェアラブル薬剤送達装置202によって送り出されるインスリン量を示すことができる。
【0049】
一例では、1つ又は複数の装置202、204又は206は、それぞれ有線通信接続277、278及び279を介して通信するよう動作し得る。クラウドベースサービス(図示せず)は、サーバ及びデータストレージ(図示せず)を使用し得る。薬剤送達システム200をクラウドベースサービスに接続する通信接続は、システム200のそれぞれの装置202、204又は206の間に構築されるセルラー方式接続、Wi-Fi接続、Bluetooth(登録商標)接続又はこれらの組み合わせでもよい。例えば、クラウドベースサービスによって提供されるデータストレージ(図示せず)は、ユーザの体重、血糖測定値、年齢、食事の炭水化物情報又は同種のものなどの匿名化されたデータを記憶してよい。加えて、クラウドベースサービス211は、APアプリケーションによって用いられる各種パラメータに関連する一般化された情報を提供するため、複数のユーザからの匿名化されたデータを処理してよい。例えば、活動レベル又は特定の運動又はスポーツに関連した年齢ベースのおおよその目標血糖値が、匿名化されたデータから作成されてもよい。これは、ユーザが活動モード(又は、高血糖保護モード又は低血糖保護モード)を選択する際に、又は、システム200が自動的に活動モード(又は、高血糖保護又は低血糖保護モード)を実装する際に役に立つことができる。クラウドベースサービスは、後述する例に関連して記載される処理を実施するなど、システム200に処理サービスを提供してよい。
【0050】
ウェアラブル薬剤送達装置202は、ユーザインタフェース227も含んでもよい。ユーザインタフェース227は、例えば、ボタン、つまみ、スイッチ、タッチスクリーン画面、又は任意のユーザインタラクティブコンポーネントなど、ユーザが薬剤送達装置202にデータを入力するための任意の機構を含んでもよい。ユーザインタフェース227は、薬剤送達装置202がデータをユーザに中継するための任意の機構を含むことがあり、例えば、ディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイ、又は、視覚的、聴覚的若しくは触覚的(例えば、振動)出力(例えば、アラート)を提供するための任意の手段を含んでもよい。ユーザインタフェース227は、簡潔さと説明のために図2に具体的に図示されない多数の付加的構成要素を含んでもよい。例えば、ユーザインタフェース227は、ユーザ若しくは介護者(例えば、親又は看護師)から入力を受信し、又は、ユーザ若しくは介護者(例えば、親又は看護師)に出力を提供するための1つ又は複数のユーザ入力又は出力コンポーネント、活動モードの可能性をユーザ又は介護者に警告するための視覚的アラートを出力するディスプレイ、可聴音を出力するスピーカ、又は、触覚インジケータを出力する振動装置、電源供給源(例えば、電池)などを含んでもよい。ユーザインタフェース227への入力は、例えば、指紋センサ、触覚入力センサ、ボタン、タッチスクリーンディスプレイ、スイッチ又は同種のものなどを介してもよい。さらに別の選択肢として、動作の活動モードは、ウェアラブル薬剤送達装置202の制御部221に通信可能に接続された管理装置206を通して要請されることができる。概して、ユーザは命令を生成することがあり、命令は、システム200がいつ動作の活動モードに入るかを特定するユーザの環境設定として、223又は263などのメモリに記憶されることができる。
【0051】
システム200によって実行される様々な動作シナリオ及び処理の例が本明細書に記載される。例えば、システム200は、以下により詳細を説明するような高血糖保護モード及び低血糖保護モードを含む活動モードに関連する処理の例を実装するよう動作し得る。
【0052】
一例では、薬剤送達装置202は、人工膵臓(AP)システムとして(例えば、APシステム100の一部として)動作してもよく、又は、APシステムの実質的に全ての側面又は少なくとも一部の側面に関連する機能を制御し、提供するAPアプリケーションによって技術又はアルゴリズムを実装してもよい、又はその両方でもよい。したがって、本明細書中で、APシステム又はAPアルゴリズムへの言及は、APシステムの特徴及び機能性を提供するため薬剤送達装置202上で実行するAPアプリケーションによって実装された技術又はアルゴリズムを意味することができる。薬剤送達装置202は、ユーザにインスリンを提供するため開ループ又は閉ループ方式で動作し得る。
【0053】
付加的機能は、活動モード、高血糖モード、低血糖モード又は同種のものなど、APアプリケーションの一部として実装されることができる。例えば、薬剤送達装置202は、プログラミングコードが実行されると、APアプリケーションの活動モード、高血糖モード、低血糖モード又は同種のものを有効にする。活動モード、高血糖モード、低血糖モードなどのためにプログラミングコードを含むAPアプリケーションが実行されると、APアプリケーションは、ユーザの身体活動を示すウェアラブル薬剤送達装置の動き又は移動を検出するなど、動作を調節することができる。例えば、ユーザの身体活動に特徴的な動きを(例えば、ジャンプ、ダンス、ランニング、ウェートリフティング、サイクリング又は同種のものなどの動き)を誘起するウェアラブル薬剤送達装置202の動き又は移動は、IMU207によって検出されることができる。加えて、図3を参照してより詳細が説明されるが、IMU207は、ウェアラブル薬剤送達装置202の位置を検出し得る全地球測位システムを含んでもよい。あるいは又はそれに加えて、ウェアラブル薬剤送達装置202は、通信装置226を介して取得されたWi-Fi位置情報サービスを使用して位置情報を取得することがあり、これによって、制御部221はウェアラブル薬剤送達装置202の位置を決定することができる。
【0054】
一例では、APアルゴリズムは、身体活動を開始する前の特定の時間に指標を入力することができるユーザとの繰り返しのやり取りから学習することができる。あるいは又はそれに加えて、ウェアラブル薬剤送達装置202は、特定の位置(例えば、ジム、運動場、スタジアム、トラック又は同種のもの)の検出時に、ユーザがこれから身体活動を増加させると決定することができる。運用例では、制御部221は、通信装置226を介して提供されるIMU207又はWi-Fi位置情報サービスからウェアラブル薬剤送達装置202に関連する位置を受信するよう動作し得る。制御部221は、メモリ223から身体活動の複数の位置を取得することがあり、受信した位置をメモリから取得した身体活動の位置と比較するよう動作し得る。制御部221は、ウェアラブル薬剤送達装置に関連する位置がメモリから取得した身体活動の位置の中にある位置と実質的に同じであることを示す比較結果に基づいて、活動モード閾値の超過を示すことができる。その場合、制御部221は、すでに開始されていなければ、活動モード又は低血糖保護モードを開始することができる。
【0055】
制御部221に動き又は移動の測定データ又は測定値を提供するIMU207に含まれる多くの構成要素の説明が役に立つことができる。慣性計測装置(IMU)の例が図3に示される。IMU302は、加速度計304、磁力計306、出力接続307及びジャイロスコープ308を含んでもよい。IMU302は、任意で全地球測位システムコンポーネント309を含んでもよい。
【0056】
出力接続307は、IMU302が、図2の202などウェアラブル薬剤送達装置の他の構成要素に接続することを可能にする。IMU302は、ウェアラブル薬剤送達装置の各種動作パラメータを検出するために、加速度計304、磁力計306及びジャイロスコープ308の特徴及び性能を組み合わせることができる。各種例では、IMU302は、例えば、ウェアラブル又はオンボディ薬剤送達装置などの薬剤送達装置又はシステムに一体化していることができる。各種例では、IMU302は、ユーザの活動に関連する各種パラメータを検出するため、及び、本明細書中に開示される活動モード(若しくは高血糖モード若しくは低血糖モード、又は、活動モード及び高血糖モード若しくは低血糖モード)を有効にするために用いられることができる。各種例では、IMU302が一体化される装置又はシステムは、ユーザの活動に対する応答に基づいて、動的に活動モードパラメータを適用してもよい。活動は例えばユーザが示した活動でもよく、又は、例えば加速度計304、磁力計306又はジャイロスコープ308によって測定された活動レベルに基づいて検出された活動でもよい。
【0057】
例えば、加速度計304は、例えば検出又は測定した加速力を示す1つ又は複数の信号を生成することができる。磁力計306は、例えば検出又は測定した磁場を示す1つ又は複数の信号を生成することができる。ジャイロスコープ308は、例えばジャイロスコープ308又はIMU302又はいずれかの構成要素が組み込まれた装置の向きを示す1つ又は複数の信号を生成することができる。加速度計304、磁力計306又はジャイロスコープ308によって生成された信号は、他の構成要素又は装置(例えば、図2のプロセッサ又は制御部221)に提供される、又は、(例えば、非一時的コンピュータ可読メモリに)記憶される、又はその両方が実行される。各種例では、IMU302は、IMU302が組み込まれた装置の(又は、IMU302が組み込まれた装置を装着するユーザの)動き、移動、位置を検出することができる。
【0058】
IMU302は、IMU302の位置を決定し得る信号を受信する全地球測位システム(GPS)コンポーネント309も備えることができる。決定された位置は通信接続277又は287を介してウェアラブル薬剤送達装置202の制御部221及び管理装置206のプロセッサ261に提供されることができる。加えて、血糖センサ204は、249などのAPアプリケーションのインスタンスを実行する場合、GPS309からの信号も受信することができる。
【0059】
図4は、APアプリケーションの構成要素の例を示す。APアプリケーション402は、管理装置206、ウェアラブル薬剤送達装置202又は血糖センサ204などの装置のメモリに記憶される非一時的コンピュータ可読プログラミングコードであってもよい。管理装置206、ウェアラブル薬剤送達装置202又は血糖センサ204の各々は、APアプリケーション402の各々のインスタンスを実行することができる(図2の例に図示され、図2の例を参照して記載されたように)。APアプリケーション402は、図1及び2の例を参照して記載されたように、ユーザに対する日々のインスリン送達管理などの機能を提供してよい。APアプリケーション402によって提供される機能の追加例は、2016年11月22日に出願された米国特許出願第15/359,187号明細書及び2019年9月13日に出願された米国特許出願第16/570,125号明細書に記載され、両出願はその全体が参照により本明細書中に援用される。
【0060】
活動モードコンポーネント412はAPアプリケーション402のプラグインなど付加的なプログラミングコードであってもよい。活動モードコンポーネント412は、図2の202などのウェアラブル薬剤送達装置を装着するユーザの身体活動に関連した移動の検出に応答する活動モードに関連する、上述した機能のような機能を提供してよい。活動モードコンポーネント412内に、高血糖保護モードコンポーネント414及び低血糖保護モードコンポーネント416など、付加的な構成要素があってもよい。
【0061】
高血糖保護モードコンポーネント414は、臨床的に許容可能な血糖レベルを超過する血糖測定値(例えば、180mg/dL程度以上)からユーザを保護するため、活動モードが開始された際に提供されるインスリン投与量に付加的な機能、制約、及び制限を提供してよい。それに対して、低血糖保護モードコンポーネント416は、臨床的に許容可能な血糖レベルを下回る血糖測定値(例えば、70mg/dL程度以下)からユーザを保護するため、活動モードが開始された際に提供されるインスリン投与量に付加的な機能、制約、及び制限を提供してよい。
【0062】
一例では、APアプリケーションの動作は、ユーザ、血糖センサ(図2の204又は図1の108など)、その他の装置(管理装置206又はウェアラブル薬剤送達装置など)からの入力を受信する、又は、メモリ(223又は263など)からデータを取得するよう動作し得る。APアプリケーション402は、IMU207からの入力を受信すると、入力に応じて活動モードコンポーネント412の機能を開始することができる。活動モードコンポーネント412は付加的な入力を提供することがあり、ユーザに送達するインスリン投与量の計算に用いられるパラメータに荷重することができる(例えば、一日の総インスリン量(TDI)、ユーザの基礎(Basal)投与量、追加(Bolus)投与量又は同種のものの計算への荷重)。GPS309によって決定された位置は、ジム、運動場又は同種の場所など、身体活動が行われる位置としてユーザによってフラグが立てられてもよい。
【0063】
上述の例は、活動モード、高血糖保護モード及び低血糖保護モードによって提供される機能性によって拡張されたAPアプリケーション402を提供するために用いられ得るハードウェア及びソフトウェア構成要素を記載したが、動作の各モードは、それぞれの機能性を提供するために異なる処理を行うことができる。
【0064】
図4のAPアプリケーション402は、低血糖及び高血糖の発生確率を減少させるため、活動モードで動作し得る。図5は、活動モードの例示的処理を示す。図5の例示的処理を図2のシステム例を参照して以下に記載する。
【0065】
本明細書中に開示されるように、図2の例の薬剤送達装置202は、APアプリケーションの制御下で閉ループシステムとして動作することができる。一例では、閉ループシステムは、(図2の例に示されるように、)持続グルコース測定器を用いて血糖測定値を提供し、APアプリケーションを用いてインスリン必要用量及び自動化された送達を決定することができる。その結果、例えば、ユーザの残存インスリン、インスリン感受性又は同種のものを考慮して、ユーザのインスリンレベルを特定のユーザに適切な範囲内に保持するための負担の多くがユーザから取り除かれる。閉ループ動作は、ユーザの介入なくユーザに送達するインスリン量を決定するため、ユーザの血糖(BG)レベルを時折監視することで(例えば、定期的に)部分的に提供されることができる。血糖レベルを注意深く監視することで、ユーザの血糖レベルの大きな変動、頻繁な変動又はその両方が回避され得る。しかしながら、202などの薬剤送達装置によるこの閉ループ動作中においても、活動モードのプラグインによって付加的監視が提供されることで、特にユーザが運動、スポーツへの参加、ダンスなど身体活動に従事しているときに血糖レベルが特定の安全レベルを下回らないことを確実にすることができる。
【0066】
例えば、本明細書中に開示される活動モードは、インスリン感受性の上昇による低血糖の可能性を低下させるために用いられることができる。一例では、本明細書中に開示される活動モードは、グルコースの高変動時に低血糖を防ぐため平均血糖の全般的な増加を管理するために用いられることができる。加えて、活動モードは、インスリン必要量の増加による高血糖の可能性を低下させることができる。活動モードは、手動又は自動的なインスリンの送達の変化を開始することをユーザに知らせることで、インスリン抵抗が上昇している際に高グルコース濃度の期間が長くなりすぎることを防ぐため、注意要件(注意の発生を早く又は遅くする)を下げるために用いられることができる。一例では、動作を保守的又は積極的な各種度合に設定するため、活動モード(又は、その任意の付加的又は副次的モード)の複数設定が利用できる場合がある。
【0067】
閉ループ動作で、APアプリケーションは、コスト機能など各種パラメータ及び機能を用いて、2016年11月22日に出願された米国特許出願第15/359,187号明細書及び2019年9月13日に出願された米国特許出願第16/570,125号明細書に記載され、両出願はその全体が参照により本明細書中に援用される、ユーザの糖尿病治療計画を管理することができる。一例として、動作の保守的モードは、120~150mg/dL程度の設定値を使用することがあり、最大インスリン送達量をユーザの基礎レートの1~3倍程度に設定し、APアルゴリズムに入力する基礎投与量をユーザが入力した基礎レートの50%~90%程度に設定する。あるいは、動作の積極モードは、100~120mg/dL程度の設定値を使用することがあり、最大インスリン送達量をおよそ3~6時間におけるユーザの基礎投与量の最大3~6倍程度に設定し、およそ15分~60分を超える時間およそ250~350mg/dLを超えるいずれのグルコースの値にも注意を喚起するよう高血糖注意閾値を低下させる。
【0068】
処理500において、APアプリケーションは、上述のインスリンの送達パラメータ及び注意閾値と同様の設定を、ユーザの糖尿病治療計画の(つまり、活動モードを開始することなく)日々の管理におけるベースラインとして用いることができる。プロセッサ又は制御部(221など)によるAPアプリケーションの実行中、APアプリケーションは、510において、活動モードと関連する入力を受信することができる。入力は、制御部221からを含む幾つかの異なるソースから受信されることができる。例えば、薬剤送達装置202で実行中のAPアプリケーションは、活動モードに関連する信号又は指標に関して、IMU207、心拍モニタ237及びユーザインタフェース227からの入力を監視することができる。IMU207又は心拍モニタ237のいずれか又はその両方からの出力はタイムスタンプを含むことがあり、これによって、制御部221は、受信した入力によって示される身体活動の期間を決定し得る。
【0069】
あるいは、510で、薬剤送達装置202は、例えば、ユーザインタフェース227を介した動作の活動モードの作動を指定する選択を、ユーザインタフェース227を介して受信することができる。あるいは、ウェアラブル薬剤送達装置で実行中のAPアプリケーションは、例えば、心拍モニタ237から受信した心拍数又は脈拍数の上昇、IMU207からの移動指標、又はその両方の組み合わせを示す信号に基づいて、身体活動の増加を決定することができる。
【0070】
IMU、心拍モニタ237及びユーザインタフェースから受信した信号に基づいて、APアプリケーションは、520において、活動モードを開始するかを決定するために受信した信号を評価することができる。各種例では、520における受信した入力の評価は、受信した入力によって示される身体活動の期間及び強度レベルに関するデフォルト値の評価を含んでもよい。例えば、APアプリケーションは、活動期間閾値を超過する期間に渡る、年齢相当最大心拍数の50~70%又は同等の割合など所定の閾値を超過する心拍数の指標、歩行ペースを超過する動きを示す加速度計の示度、上下及び横方向の動きを示すジャイロスコープの示度又は同種のものなどを受信することができる。あるいは又はそれに加えて、動作の活動モードに手動で入る場合に、ユーザは時間の長さ、異なる活動強度レベル、又はその両方を特定することができる。例えば、動作の活動モードの期間は時間が計られたセッションでもよく(例えば、1時間、2時間)、スポーツイベントの通常の期間(例えば、野球は2.5時間、又は同等の時間)、又は、ユーザ又は介護者によって手動でオフにされてもよい。
【0071】
例えば、APアプリケーションは、受信した入力をメモリ(223など)に記憶された活動モード閾値に対して評価することができる。活動モード閾値は、数日、数月、数年に渡って蓄積されたユーザの履歴、ユーザの環境設定に基づく、又は、デフォルトとして、ユーザの年齢、体重、身長などに基づく臨床情報に基づくことができる。別の例では、520の評価において、監視された指標をユーザが設定した活動モード閾値と比較することを含んでもよい。各種例では、APアプリケーションは、IMU207によって検出されたユーザの活動に基づいて動作の活動モードを自動的に開始してもよい。
【0072】
一例では、制御部221は、メモリから(223など)活動モード閾値を取り出してもよい。制御部221は、身体活動を示す期間を決定することができる。制御部221は、決定された身体活動を示す期間を、取り出された活動モード閾値中のデフォルト期間値と比較してもよい。比較結果に基づいて、制御部221は、身体活動を示す期間が身体活動の期間に関する活動モード閾値を超過することを示すことができる。身体活動を示す期間が身体活動の期間に関する活動モード閾値を超過することが示されると、活動モードを開始する命令を出力する。あるいは、活動モード閾値はユーザによって設定されてもよい。ユーザは、デフォルト、又は、活動によって変化し得る任意の動作パラメータ一式を与えるユーザ指定の事前設定を使用することができる。
【0073】
別の例では、APアプリケーションは、510において、ユーザが入力したイベント又は身体活動に関する情報を付加的に受信した入力又は唯一受信した入力としてスケジュールするため、表計算、カレンダー又は同種のものを含んでもよいデータストレージ(例えば、メモリ)を監視及びアクセスすることができる。スケジュール情報は、ユーザが参加する身体活動又はイベント、又は、ユーザが一定期間(例えば、1日、1時間、1月、1週間又は1年)参加する飛行機旅行、会議、休暇又は同等のものなど糖尿病管理に影響を与える可能性がある身体活動又はイベントのスケジュールを含んでもよい。スケジュール情報は、体力(つまり、運動)クラス、スポーツイベント、マラソンスケジュール、旅行の手配、会議の日程(及び議題)などを含んでもよい。APアプリケーションは、(ユーザの許可により)スケジュールにアクセスし、スケジュールされたイベント(例えば、旅行、会議、誕生日)又はスケジュールされた身体活動を評価するように動作し得る。
【0074】
データストレージに記憶されたスケジュール情報にアクセスした後、520において、スケジュールされたイベント又はスケジュールされた身体活動をAPアプリケーションが評価することは、日時を制御部221が維持する現在日時と比較することを含んでもよい。比較結果に基づいて、ユーザが参加するイベント及びスケジュールされた身体活動を特定する。APアプリケーションを実行する制御部221は、ユーザインタフェース227を介して、又は、管理装置206に信号を送信させて、活動モードの開始の確認を要請するプロンプトを提示するアラートを生成することができる。
【0075】
APアプリケーションは、530において、520で評価された入力がいずれかの活動モード閾値を超過するかを決定することができる。決定が「いいえ」の場合、処理500は500に戻り継続することができる。あるいは、APアプリケーションが「はい」を決定した場合、評価された入力は活動モード閾値を超過し、処理500は進み、APアプリケーションは540で活動モードを開始する。
【0076】
別の例では、ユーザは、ユーザインタフェース227を介して特定の将来の時間又は日程に動作の活動モードが作動することをスケジュールしてもよい。その場合、520における評価は身体活動がスケジュールされているか否かであり、評価の結果は活動モード閾値の超過となる。
【0077】
540で活動モードが開始すると、工程550で処理500は糖尿病治療計画を変更又は調節することができる。例えば、薬剤送達装置202で実施されるAPアルゴリズムは、例えば、イベントのスケジュールされた時間、決定されたグルコース値、決定された残存インスリンの不足、又はその任意の組み合わせに基づいて、インスリン必要量の予想される増加期間の前に、投与を推奨する、又は、補正追加投与量を自動的に投与することができる。
【0078】
例えば、特定の動作の活動モードに関連した任意のパラメータに対する実際の患者による応答からの学習を基にして、動作の活動モードはある期間に複数回実施されるため、制御部221によって実行されたAPアプリケーションは、調節又は変更されたパラメータに合わせて糖尿病治療計画のパラメータを適用又は変更及び調節することができる。例えば、APアプリケーションは、活動モードで、ユーザの糖尿病治療計画に関連した入力を継続して受信することができる。例えば、受信した入力は、決定されたグルコースの値、決定されたグルコース率又は変化、(図3の例に示され、図3の例を参照して記載された)IMU207の構成要素によって検出された動き又は活動、又は、薬剤送達装置202に一体化された若しくは接続されたその他のセンサからの入力、又はその全てを含んでもよい。APアプリケーションは、活動モードに基づいて調節されたAPアプリケーションアルゴリズム及び機能を用いて、受信した入力の評価、処理を継続することができるが、APアプリケーションの日々の動作の評価、処理も継続することができる。APアプリケーションは、受信した入力を用いて、経時的に糖尿病治療計画パラメータ(例えば、追加投与量、残存インスリンの計算、1日の総インスリン量、インスリンの送達タイミング又は同種のもの)を調節する必要があるかを決定してもよい。糖尿病治療計画の調節されたパラメータに応じて、APアプリケーションは、ポンプ機構224によって送達されるインスリン量を変更し得る。
【0079】
555で、APアプリケーションは、糖尿病治療計画の調節されたパラメータに応じて、調節された(550で調節された)糖尿病治療計画に従って、インスリン送達のため、制御部221にポンプ機構224を作動させることができる。
【0080】
一例では、APアプリケーションがスケジュールされたイベント又は身体活動を用いて活動モードを開始する場合、APアプリケーションは、将来にスケジュールされた(例えば、数時間後又は同等の時間未来)スケジュールされたイベント又は身体活動を参照することができる。将来にスケジュールされたイベント又は身体活動を評価するのに応じて、APアプリケーションは、スケジュールされた活動又はイベントの発生前に、活動モードを事前に開始し、糖尿病治療計画の調節を開始することができる。例えば、APアプリケーションは、(例えば、ユーザ関してスケジュールされた運動の前に)残存インスリン量をユーザに対して構築された制限を充足するように減少させることを決定することができる。具体例では、例えば10:00amに活動の開始がスケジュールされることができる場合、ユーザの血糖を上昇させ、(ユーザの体内の)残存インスリン量を減少させる時間をとって、薬剤送達装置202は、例えば8:30amに動作の活動モードを開始させることができる。スケジュールされたイベント又は身体活動の前に活動モードを開始させることで、APアプリケーションは、インスリン送達を中断する又は送達予定のインスリン量を減少させることで、残存インスリン量を減少させ、測定血糖値を上昇させることができる。あるいは、スケジュールされたイベントは、インスリン抵抗の上昇が予想されるイベントであってもよい。その結果、薬剤送達装置202で実行するAPアプリケーションは、ユーザの糖尿病治療計画を調節して、インスリン抵抗の上昇が予想されるイベント前に残存インスリン量を上昇させるため、インスリン抵抗の予想される上昇の前に、動作の活動モードを開始することができる。前述の糖尿病治療計画の調節は、スケジュールされたイベントの監視に応じて行われることができる。
【0081】
APアプリケーションによって活動モードに関連して実装された技術又は処理500は、高血糖保護モード及び低血糖保護モードも実装することができる。例えば、活動モードは、例えば、運動中又はその他の中程度から高強度の身体活動中などインスリン感受性の上昇中に低血糖発生の可能性を減少させるため、低血糖保護モードを用いて動作し得る。加えて、活動モードは、例えば、ユーザが病気(ストレス)を患っているとき、長時間の飛行中(グルコース監視に影響する気圧の低下、食事管理能力の低下など、空の旅に関連した環境条件)又は同様の場合に、インスリン必要量の上昇中に高血糖が発生する可能性を減少させるように動作し得る。一例として、動作の保守的モードは、120~150mg/dL程度の設定値を使用することがあり、最大インスリン送達量をユーザの基礎レートの1~3倍程度に設定し、APアルゴリズムに入力する基礎投与量をユーザが入力した基礎レートの50%~90%程度に設定する。あるいは、動作の積極モードは、100~120mg/dL程度の設定値を使用することがあり、最大インスリン送達量をおよそ3~6時間におけるユーザの基礎投与量の最大3~6倍程度に設定し、およそ30分を超える時間に渡るおよそ250~350mg/dLを超えるいずれのグルコースの値にも注意を喚起するよう高血糖注意閾値を低下させる。
【0082】
動作の活動モードは、動作の低血糖モード、動作の高血糖モード、又はその両方を含んでもよい、又は、個別に指定することができる。活動モードで動作中、APアルゴリズムは動作の低血糖保護モード及び動作の高血糖保護モードも実装することができる。
【0083】
560において、APアプリケーションは、血糖センサ204から経時的に受信した血糖測定値、ユーザの糖尿病治療計画に従って経時的に送達されるインスリン量を処理し、インスリンの送達及び血糖測定値に関して決定される傾向を求め、分析することができる。処理に基づいて、APアプリケーションが、インスリンの送達増加中に未処理グルコース濃度が持続的に上昇している若しくは上昇傾向にあると決定する場合、又は、インスリンの送達減少中に未処理グルコース濃度に変化がない若しくはその傾向にあると決定する場合、又は、インスリン送達に関わらず著しく長い時間未処理グルコース値が上昇している若しくはその傾向があると決定する場合、又は同種の場合、APアプリケーションは高血糖保護モードに入るかを評価することができる。例えば、APアプリケーションは、相当量のインスリンが送達されているにも関わらずグルコース値が持続的に高い場合に、高血糖モードに入ることができる。評価の結果に基づいて、APアプリケーションは「はい」を決定することがあり、高血糖保護モードに入り、処理500は予防措置である図6Aに示される処理に進む。一例では、APアプリケーションは、カレンダーから受信した入力又はユーザの入力に基づいて、高血糖保護モードに入ることを決定することができる。例えば、ユーザは10:00amの飛行機の旅を予定していることができる。このような場合、薬剤送達装置202は、高血糖保護モードに入る準備として(つまり、560の決定が「はい」)ユーザのグルコースを減少させ、残存インスリン量を増加させるために、8:00amに動作の活動モードを開始することができる。
【0084】
運用例では、制御部221(又はプロセッサ)は、血糖センサ204から血糖測定値を受信するよう動作し得る。制御部221(又はプロセッサ)は、血糖測定値を処理してよい。処理によって、血糖測定値が最大血糖設定値を超過する方向に上昇していることが明らかになるかもしれない。最大血糖設定値は、APアプリケーションが(又はユーザが手動で)ユーザの血糖値の最大上限として設定する血糖値であってもよい。血糖測定値が最大血糖設定値の超過方向に上昇しているという指標に基づいて、制御部は高血糖保護モードに入ることができる。あるいは又はそれに加えて、制御部で実行中のAPアプリケーションは、ユーザが是正行動をとれるように、血糖測定値が最大血糖設定値の超過方向に上昇していることを示す注意信号を生成することができる。
【0085】
それとは反対に、560においてAPアプリケーションが「いいえ」を決定した場合、高血糖保護モードに入る必要はなく、処理500は570に進む。
【0086】
570において、APアプリケーションは、血糖センサ204から経時的に受信した血糖測定値、ユーザの糖尿病治療計画に従って経時的に送達されたインスリン量、及び、インスリンの送達及び血糖測定値に関連して決定された傾向を処理してよい。処理に基づいて、APアプリケーションが、インスリンの送達減少中に未処理グルコース濃度が持続的に低下している若しくは低下傾向にあると決定する場合、又は、インスリンの送達増加中に未処理グルコース濃度に変化がない若しくはその傾向にあると決定する場合、又は、インスリン送達に関わらず著しく長い時間未処理グルコース値が低下している若しくはその傾向にあると決定する場合、又は同種の場合に、APアプリケーションは低血糖保護モードに入るかを評価することができる。例えば、APアプリケーションは、インスリン送達の減少又は中断に関わらず、測定血糖値が減少し続ける場合、低血糖保護モードに入ることを決定することができる。評価の結果に基づいて、APアプリケーションは「はい」を決定することがあり、低血糖保護モードに入り、処理500は予防措置である図6Bに示される処理に進む。
【0087】
運用例では、制御部221(又はプロセッサ)は、血糖センサ204から血糖測定値を受信するよう動作し得る。制御部221(又はプロセッサ)は、血糖測定値を処理してよい。処理によって、血糖測定値が最小血糖設定値に向かって低下していることが明らかになるかもしれない。最小血糖設定値は、APアプリケーションが(又はユーザが手動で)ユーザの血糖値の最小下限として設定する血糖値であってもよい。血糖測定値が最小血糖設定値を下回る方向に低下しているという指標に基づいて、制御部は低血糖保護モードに入ることができる。あるいは又はそれに加えて、制御部で実行中のAPアプリケーションは、ユーザが是正行動をとれるように、血糖測定値が最小血糖設定値を下回る方向に低下していることを示す注意信号を生成することができる。
【0088】
それとは反対に、APアプリケーションが「いいえ」を決定した場合、低血糖保護モードに入る必要はなく、処理500は580に進む。
【0089】
低血糖及び高血糖保護モードは、第1のシナリオでは、互いに異なる(つまり、別々に選択可能である、又は、自動的に切り替わる)動作のモードのことがあり、又は、第2のシナリオでは、動作の活動モードのサブモードで、動作の活動モードの実行中に自動的に切り替わることができる。いずれのシナリオでも、本明細書中に開示された技術及び装置は、本明細書中に開示された動作のこれら付加的モードが有効なAPアプリケーションによる保護及びリスク管理の便益及び利点を提供するため、動作のこれらのモード(例えば、活動モード、低血糖保護モード又は高血糖保護モード)に従った動作を可能にする。
【0090】
580において、APアプリケーションは、活動モードを維持するかを決定する。例えば、ユーザが設定した活動モードの期間が終了していない場合、APアプリケーションは活動モードで動作を継続することができる。あるいは、IMU207又は心拍モニタ237から受信した入力が身体活動を示し続けることができる。設定期間が終了していない又は身体活動指標の持続の結果、580の決定は「はい」になることがあり、糖尿病治療計画の調節のために処理500は550に戻る。なお、更新された血糖測定値がAPアプリケーションに受信され、評価され続けるのに伴い、糖尿病治療計画の調節は継続的に行われることができる。あるいは、580における決定は「いいえ」になることがあり、活動モードを維持しない。この場合、処理500は510に戻り、ユーザが他の身体活動に参加しているかを決定するため、活動モードに関連する入力を受信する。
【0091】
活動の増加は、例えば、心拍数又は脈拍数の増加の指標を用いることで、及び、監視指標を活動レベル閾値と比較することで検出されることができる。薬剤送達装置202は、学習されたユーザの行動及びパターンに基づいて、指標の監視及び何れかの閾値を調節し得る。
【0092】
図6Aは、APアプリケーションが高血糖保護モードを開始する際に実施される例示的処理を示す。制御部又は処理によって実行された場合にAPアプリケーションによって有効化された処理600は、高血糖保護モードを実施することができる。高血糖保護モードは、610におけるインスリンの送達制約の緩和に関わることができる。この例では、インスリンの送達制約は、指定された又は所定の期間制限されることができる。別の例では、以前に作動された動作の高血糖保護モードで制約が緩和されてもユーザのインスリン送達が制限され続けている場合、610において、動作の高血糖保護モードはインスリンの送達制約を緩和することができる。
【0093】
処理600は620にも進むことがあり、高血糖の注意を喚起する閾値が下げられることができる。加えて、処理600によって、血糖設定値(つまり、ユーザの目標血糖レベル)が下げられ得る(630)。
【0094】
ある期間におけるAPシステム(又は、薬剤送達システム202によって実行される任意のアルゴリズム)のインスリンの送達可能な総量の制限は、平均グルコース濃度値の上昇の確認に基づいて、瞬時の変化ではなく徐々に変化することができる。他の例では、APアプリケーションをインスリン投与量の決定、及び、決定されたインスリン投与量の送達スケジュールに関して保守的度合を低くする、又は、積極的度合を高くする、又はその両方のため、高血糖モードはパラメータ又はAPアプリケーションの入力(例えば、目的関数又は利得)を変化させることができる。
【0095】
図6Bは、APアプリケーションが低血糖保護モードを開始する際に実施される例示的処理を示す。制御部又は処理によって実行された場合に、APアプリケーションによって有効化された処理601は、高血糖保護モードを実行することができる。低血糖保護モードの処理601は、最大インスリン送達制限を減少させることを含んでもよい(611)。最大インスリン送達制限は、APアプリケーションがユーザに対して例えば8、24、48又は72時間又は同等の時間などの所定期間に送達を許可するインスリンの最大量であってもよい。611における最大インスリン送達制限の減少は、例えば、指定された又は所定の期間維持されることができる。最大インスリン送達制限は、ユーザの基礎レートの倍数などとしてユーザに個別化されてもよい。他の例では、動作の低血糖モードは、APアプリケーションの保守的度合を高くするために、薬剤送達装置202によって実装されたAPアプリケーションのパラメータ又は入力(例えば、目的関数又は利得)を変更することができる。
【0096】
612において、処理601は、例えば、薬剤送達装置202の制御部221によって実行されると、APアプリケーションへの基礎投与量入力を減少させることができる。基礎投与量入力の減少は、APアプリケーションに対して、減少した基礎インスリン投与量がユーザによって示された基礎投与量入力とは異なり得ることを示すことができる。例えば、基礎投与量入力は、ユーザによるユーザの標準基礎インスリン投与量設定の一部としてユーザによって入力された基礎インスリン送達値でもよいが、ユーザは、APアプリケーションが有する又はアクセス及び処理が可能な全ての血糖測定、残存インスリン量の計算、インスリン感受性、その他の糖尿病治療計画情報又は同種のものを持たないことができる。基礎投与量入力が提供されるのに応じて、APアプリケーションは、基礎投与量入力を処理し、提供された基礎投与量入力によって示されるユーザの標準基礎インスリン投与量設定が実質的に同一である場合でも、インスリンの送達量の減少を決定することができる。
【0097】
613において、APアプリケーションは血糖設定値を増加させることができる。例えば、工程613において、ユーザは血糖設定値を100mg/dLに設定することがあり、APアプリケーションは、低血糖保護モードの場合、血糖設定値を130mg/dL以上に増加させることができる。上述したように、低血糖は高強度の身体活動によって引き起こされることができる。低血糖保護モードにおいて、薬剤送達装置202で実行されるAPアルゴリズムは工程611~613の何れかの一部であってもよく、例えば、スケジュールされた運動時間、検出されたグルコース率、決定された残存インスリン量、又はその任意の組み合わせに基づいて、任意の計画された運動の前に又は運動中にユーザが炭水化物を摂取するように、ユーザインタフェース又は同種のものに提示されたプロンプトで推奨することができる。
【0098】
一例では、動作の低血糖保護モードは、以前に作動された動作の低血糖保護モードでユーザが低血糖のインスタンスの増加を経験した場合、インスリン送達を減少させる工程を更に含んでもよい。
【0099】
利用可能な低血糖保護モードの適切な使用を確実にするため、ユーザが手動で作動を指定するのを忘れた場合でも(例えば、運動前に動作モードを要請するのを忘れる)薬剤送達装置202はこの利用可能な動作モードに確実に入り得る。
【0100】
更なる例では、例えば、活動の増加が検出され、低血糖保護モードが選択されなかったとき、又は、活動レベルの増加に関連した位置が検出され、低血糖保護モードがユーザインタフェース227又は管理装置206のユーザインタフェース268を介した出力として選択されなかったとき、又はその両方の場合に、APアプリケーションはユーザに対して出力される動作の低血糖保護モードに関するアラートを生成することによってアラートが提供されることができる、又は、低血糖保護モードへの自動的切り替えが発生することができる。これらのシナリオで、本明細書中に記載されるように、薬剤送達装置202は、検出された状態をユーザにアラートすることができる。ユーザに指定されないときでも、動作の低血糖保護モードに入るのを容易にするように、薬剤送達装置202の制御部221で実行するAPアプリケーションは、その後の状態及びユーザに提供されたフィードバックを監視する技術を実装することができる。例えば、APアプリケーションは、例えば、IMU207又はその他のセンサによる動きデータ及び生態認証に基づいて、ユーザの活動の増加を決定し、(例えば、一定の認識された位置における活動の増加に基づいて)以前に活動の増加が検出された地理的位置にユーザがいることを決定することができる。
【0101】
(例えば、GPS装置、Wi-Fi位置情報サービス又は装置、又は、その他の位置決定装置又はセンサを介して)活動レベル及び位置を検出することによって、薬剤送達装置202で実行中のAPアルゴリズムは、動作の低血糖保護モードに入ることが望ましいが、単にユーザのエラーのために入っていない(例えば、ユーザが動作の低血糖保護モードに入るのを忘れた)という検出された状態に関してユーザにアラートすることで、動作の低血糖保護モードに入るのを促進することができる。例えば、薬剤送達装置202の制御部221は、APアプリケーションの実行時に、ユーザの活動の増加を検出する(例えば、ユーザが運動をしているのを検出する)、又は、過去の活動レベルの増加が典型的に発生している場所(例えば、ジム、ジョギングトレイル又はジョギングトラック、スイミングプール、バイクトレイル、ゴルフコース、アイススケート場、サッカー場、野球場、アメリカンフットボール場、その他の運動場、海水浴場又は同種の場所を、ユーザが典型的に運動をする場所として認識する)を検出する、又はその両方を検出する技術を実装する。
【0102】
薬剤送達装置202の設定時を含み、薬剤送達装置202によって実装される技術は、以下のパラメータが監視され、制御部221が受信するユーザの活動レベルに関連する入力に含まれるのを可能にすることができる。
・“IncreasedActivityDetectionFlag”活動の増加が自動的に検出されるのを可能にする。
・“AllowLocationDetectionFlag”ユーザが活動レベルの増加に関連する場所を追加するのを可能にする、又は、参照のために場所が自動的に検出され、記憶されるのを可能にする。
・“AllowAutoEntryInHypoProtectModeFlag”薬剤送達装置202が自動的に動作の低血糖保護モードに入るのを可能にする。
【0103】
加えて、薬剤送達装置202のAPアプリケーションは、ユーザの現在の活動レベルが増加する場合、活動レベルの増加が予想される場合、又はその両方の場合に、ユーザに動作の低血糖保護モードに入ることを思い出させるため、ユーザにアラート(例えば、管理装置206又はユーザインタフェース227を介した可聴、触覚(例えば、振動)、視覚的アラートのいずれか若しくはその全て、又は同様のアラート)を提供してよい。
【0104】
一部の例で、ウェアラブル薬剤送達装置202の制御部221が前述の例に記載された一部又は全ての処理を実行することが言及されたが、開示された主題は限定されるべきではない。例えば、上述の処理は、管理装置206のプロセッサ261又は血糖センサ204のプロセッサ241によって実施されてもよい。あるいは、前述の例に記載された一部又は全ての処理は、有線通信接続277、278、279又は無線通信接続28、288、289を介して情報を共有し、261、241及び221などの各種プロセッサ又は制御部間に分散することができる。
【0105】
本明細書中に記載の活動モード、高血糖保護モード、又は、低血糖保護モードを薬剤送達システムに提供するための本明細書中に記載の技術は(例えば、システム100、200又はその任意の構成要素)、ハードウェア、ソフトウェア、又はその任意の構成要素に実装されることができる。本明細書中に記載の構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその任意の組みあわせによって実装されることができる。例えば、システム100及び200又はその任意の構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその任意の組み合わせによって実装されることができる。本明細書中に記載のソフトウェア関連の技術の実装は、ファームウェア、特定用途向けソフトウェア、又は、1つ又は複数のプロセッサによって実行されることができるその他の任意の形式のコンピュータ可読命令を含み得るが、これに限られない。本明細書中に記載のハードウェア関連の技術の実装は、集積回路(IC)、特定用途向けIC(ASIC)、フィールドプログラマブルアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)のいずれか又はその全てを含み得るが、これに限られない。一部の例では、本明細書中に記載の技術、又は、本明細書中に記載の任意のシステム若しくは構成要素、又はその両方は、1つ又は複数のメモリ要素に記憶されたコンピュータ可読命令を実行するプロセッサを用いて実装されることができる。
【0106】
開示された装置の一部の例は、例えば、機械(つまり、プロセッサ又は制御部)によって実行されると、本開示の例に従って、機械に方法、動作、又はその両方を実行させ得る記憶媒体、コンピュータ可読媒体、又は、命令若しくは命令一式を記憶し得る製品を用いて実装されることができる。このような機械は、例えば、任意の適切な処理プラットフォーム、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングデバイス、処理デバイス、コンピューティングシステム、処理システム、コンピュータ、プロセッサ又は同種のものを含み、ハードウェア、ソフトウェアのいずれか、又はその両方の任意の適切な組み合わせを用いて実装されることができる。コンピュータ可読媒体又は製品は、例えば、メモリ(非一時的なメモリを含む)、取り外し可能又は取り外し不可能なメディア、消去可能又は消去不能メディア、書き込み可能又は再書き込み可能メディア、デジタル又はアナログメディア、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、コンパクトディスクレコーダブル(CD-R)、コンパクトディスクリライタブル(CD-RW)、光学ディスク、磁気メディア、磁気光学メディア、取り外し可能なメモリカード又はディスク、各種デジタル多用途ディスク(DVD)、テープ、カセット又は同種のものといった、例えば、任意の適切な形式のメモリユニット、メモリ、メモリ製品、メモリ媒体、記憶装置、記憶製品、記憶媒体、記憶ユニットのいずれか又はその全てを含んでもよい。命令は、適切な高水準、低水準、オブジェクト指向、ビジュアル、コンパイル型、インタプリタ型プログラミング言語のいずれか、又はその全てを用いて実装された、ソースコード、コンパイル型コード、インタプリタ型コード、実行可能コード、静的コード、動的コード、暗号化コード、プログラミングコードなどの任意の適切な形式のコードを含んでもよい。非一時的なコンピュータ可読媒体に内蔵されたプログラミングコードは、プロセッサに、プログラミングコードを実行することで、本明細書中に記載したような機能を実施させることができる。
【0107】
本開示主題の一定の例を上に述べた。しかしながら、本開示主題はこれらの例に限られず、本明細書中に明示的に記載された事項への追加及び変更も、本開示主題の範囲に含むことが意図されることを明記する。さらに、本明細書に記載の様々な例の特徴は相互に排他的ではなく、本開示主題の精神や範囲から逸脱することなく、そのような組み合わせ又は順序が本明細書中に明示的に記載されなくとも、各種組み合わせ及び順序で存在することができる。実際のところ、本明細書に記載された事項の変形、修正及びその他の実装は、本開示主題の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者が想起し得るであろう。このように、本開示主題は上述の説明のみに定義されない。
【0108】
本技術のプログラムの側面は、典型的にある形式の機械可読媒体上で実施される又は組み込まれた実行可能コード、関連データのいずれか又はその両方の形式の「製品」「製造品」と考えられてもよい。ストレージ形式のメディアは、ソフトウェアプログラムにいつでも非一時的なストレージを提供し得る、各種半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどの、コンピュータ、プロセッサ又は同種のもののあらゆる有形のメモリ又は関連モジュールが含まれる。本開示の要約は、読者が技術的開示の本質を迅速に確認できるように提供されることが強調される。本開示の要約は、本特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈又は制限するために用いられないとの理解の上で提出される。加えて、上述の発明を実施するための形態では、本開示を整理するため、各種特徴が単一の例にまとめられる。この開示の方法は、本願の例が各請求項に明示されるよりも多くの特徴を要する意図を反映するものとは解釈されない。むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されるように、発明の主題は単一の開示例の全ての特徴よりも少ない。したがって、以下の特許請求の範囲は、発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は個別の例としてそれ自体で成り立つ。添付の特許請求の範囲において、「含む」及びという用語は、「備える」という用語の平易な英語の同等物として使用される。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単にラベルとして使用されており、それらの事項に数値要件を課すことを意図していない。
【0109】
上述の例は、図示又は説明の目的で提示されている。上述の例は、網羅すること、又は、本開示を開示された形式に厳密に限定することを意図するものではない。本開示の観点で、多くの変更や変形が可能である。本開示の範囲は、この発明を実施するための形態によってではなく、本明細書に添付された特許請求の範囲によって制限されることが意図される。本出願の優先権を主張して将来申請される出願は、開示された主題を異なる方法で主張することがあり、概して、本明細書中で様々に開示された又は実証された1つ又は複数の制限事項の任意の一式を含んでもよい。
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限定されない。
[付記1]
ユーザにインスリンを送達するよう動作可能なウェアラブル薬剤送達装置であって、
インスリンを格納するよう構成されたリザーバと、
前記リザーバに接続し、前記格納されたインスリンを前記リザーバから送り出すよう動作可能なポンプ機構と、
前記ユーザの活動レベルを検出するよう動作可能な慣性計測装置と、
前記ポンプ機構及び前記慣性計測装置と通信可能に接続する制御部とを備え、
前記制御部は、動作の活動モードで、
前記慣性計測装置から、1つ又は複数の動きの計測値を示す入力を受信し、
前記受信した入力から活動レベルの変化を決定し、
前記決定された活動レベルの変化に基づいて、前記ポンプ機構が送達するインスリン量を変更し、
前記変更されたインスリン量の送達を作動させる信号を前記ポンプ機構に出力する、ように動作可能な、ウェアラブル薬剤送達装置。
[付記2]
前記制御部は、前記動作の活動モードの選択を受信するよう更に動作可能な、付記1に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
[付記3]
前記制御部は、前記決定された活動レベルの変化が活動レベル閾値を超えるのに基づいて、前記動作の活動モードを自動的に開始するよう更に動作可能な、付記1に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
[付記4]
GPS装置又はWi-Fi位置情報サービスへのアクセスを有する通信装置を更に備える、付記3に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
[付記5]
前記制御部は、
前記ウェアラブル薬剤送達装置に関連する位置を受信し、
メモリから身体活動の複数の位置を取得し、
前記受信した位置と身体活動の複数の位置を比較し、
前記比較の結果に基づいて、活動モードを開始するよう更に動作可能な、付記4に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
[付記6]
前記制御部は、前記ユーザの決定された位置に基づいて、前記動作の活動モードに自動的に入るよう動作可能な、付記1に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
[付記7]
前記制御部に通信可能に接続するユーザインタフェースを更に備え、前記ユーザインタフェースは前記動作の活動モードを選択する入力を提供するよう動作可能な、付記1に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
[付記8]
前記制御部は、前記ユーザインタフェースを介して、前記動作の活動モードを選択する前記入力を要請するアラートを生成するよう動作可能な、付記7に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
[付記9]
プロセッサによって実行可能なプログラミングコードを内蔵する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記プログラミングコードを実行すると、前記プロセッサは、
活動モードに関連する入力を受信し、
前記受信した入力を複数の活動モード閾値に対して評価し、
前記評価された入力が、前記活動モード閾値の少なくとも1つの活動モード閾値を超過することを決定し、
前記評価された入力が前記少なくとも1つの活動モード閾値を超えるのに応じて、前記活動モードを開始し、
前記活動モードの開始に基づいて、糖尿病治療計画のパラメータを調節し、
前記糖尿病治療計画の前記調節されたパラメータに従って、ポンプ機構を介したインスリンの送達を作動する機能を含む機能を実行するよう動作可能な、非一時的なコンピュータ可読媒体。
[付記10]
前記プロセッサによって実行可能なプログラミングコードを更に内蔵し、前記プログラミングコードを実行すると、前記プロセッサは、
メモリから前記活動モード閾値を取り出し、
身体活動が示される期間を決定し、
前記決定した身体活動を示す期間を、前記取り出した活動モード閾値のデフォルト期間値と比較し、
前記比較の結果に基づいて、前記身体活動を示す期間が身体活動の期間に関する活動モード閾値を超えることを表示し、
活動モードを開始する命令を出力する機能を実行することで、前記受信した入力を活動モード閾値に対して評価するよう動作可能な、付記9に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
[付記11]
前記活動モード閾値は、
数日、数月、数年に渡って蓄積されたユーザの履歴と、ユーザの環境設定、又は、ユーザの年齢、体重、身長に基づいた臨床情報に基づく、付記10に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
[付記12]
前記プロセッサによって実行可能なプログラミングコードを更に内蔵し、前記プログラミングコードを実行すると、前記プロセッサは、
イベント又は身体活動に関するスケジュール情報にアクセスし、
ユーザが参加するイベント及びスケジュールされた身体活動を特定し、評価する機能を実施することで、
前記活動モードに関連する入力を受信するよう動作可能な、付記9に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
[付記13]
前記プロセッサによって前記プログラミングコードが実行されると、前記プロセッサは、高血糖保護モードに入るときに、
ウェアラブル薬剤送達装置に関連した位置を受信し、
メモリから身体活動の複数の位置を取得し、
前記受信した位置を前記取得した身体活動の位置と比較し、
前記ウェアラブル薬剤送達装置に関連した前記位置が前記メモリから取得した身体活動の位置の中にある位置と実質的に同じであることを示す比較結果に基づいて、活動モード閾値の超過を表示する機能を含む更なる機能を実行するよう動作可能な、付記9に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
[付記14]
前記プロセッサによって実行可能なプログラミングコードを更に内蔵し、前記プログラミングコードを実行すると、前記プロセッサは、
ウェアラブル薬剤送達装置の位置を示す入力を受信し、
身体活動に関する位置情報を取得し、
前記ウェアラブル薬剤送達装置の前記位置を示す前記受信した入力を比較し、
前記比較の結果に基づいて、低血糖保護モードに入る、
更なる機能を実行するよう動作可能な、付記9に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
[付記15]
前記プログラミングコードが前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサは、
ユーザインタフェースを介して、前記活動モードを開始する入力を要請するアラートを生成し、
ユーザインタフェースを介して、前記動作の活動モードの開始を示す入力を受信する機能を含む更なる機能を実行するよう動作可能な、付記9に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
[付記16]
前記プロセッサによって実行可能なプログラミングコードを更に内蔵し、前記プログラミングコードを実行すると、前記プロセッサは、
血糖の計測値を処理し、
前記血糖の計測値が最大血糖設定値を超過する方向に向かって増加していることの指標に基づいて、高血糖保護モードに入る更なる機能を実行するよう動作可能な、付記9に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
[付記17]
前記プロセッサによって前記プログラミングコードが実行されると、前記プロセッサは、高血糖保護モードに入ると、
送達されるインスリン量を減少させるインスリンの送達制約を緩和し、
高血糖のアラートをトリガするために閾値を低下させ、
血糖設定値を減少させる機能を含む更なる機能を実行するよう動作可能な、付記16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
[付記18]
前記プロセッサによって実行可能なプログラミングコードを更に内蔵し、前記プログラミングコードを実行すると、前記プロセッサは、
血糖測定値を処理し、
前記血糖測定値が最小血糖設定値に向かって減少していることの指標に基づいて、低血糖保護モードに入る、
更なる機能を実行するよう動作可能な、付記9に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
[付記19]
前記プロセッサによって前記プログラミングコードが実行されると、前記プロセッサは、低血糖保護モードに入ると、
最大インスリン送達制限を低下させ、
インスリン投与量を処理するために提供される基礎投与量入力に含まれる送達中インスリン量を低下させ、
最小血糖設定値を増加させる機能を含む更なる機能を実行するよう動作可能な、付記18に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
[付記20]
前記プロセッサによって前記プログラミングコードが実行されると、前記プロセッサは、高血糖保護モードに入ると、
ウェアラブル薬剤送達装置のユーザインタフェース上に表示するために、ユーザに炭水化物を摂取するように要請するプロンプトを生成する機能を含む更なる機能を実行するよう動作可能な、付記18に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
【手続補正書】
【提出日】2023-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにインスリンを送達するよう動作可能なウェアラブル薬剤送達装置であって、
インスリンを格納するよう構成されたリザーバと、
前記リザーバに接続し、前記格納されたインスリンを前記リザーバから送り出すよう動作可能なポンプ機構と、
前記ユーザの活動レベルを検出するよう動作可能な慣性計測装置と、
前記ポンプ機構及び前記慣性計測装置と通信可能に接続する制御部とを備え、
前記制御部は、
人工膵臓(AP)アプリケーションを介して前期薬物送達装置を直接操作し、ここで、前記人工膵臓アプリケーションは、所与の期間内に最大インスリン量を送達することが許可されており、
前記慣性計測装置から、1つ又は複数の動きの計測値を示す入力を受信し、
前記受信した入力から、活動レベルの変化を判定し、
前記ユーザの位置を判定し、
前記判定された活動レベルの変化が活動レベル閾値を超えるのと、前記判定された前記ユーザの位置と、を含む条件に基づいて、動作の活動モードを自動的に開始し、
前記動作の活動モードに従って、前記所与の期間内の前記最大インスリン量を減少させることによって前記ポンプ機構によって送達されるインスリン量を変更し、
前記変更されたインスリン量の送達を作動させる信号を前記ポンプ機構に出力する、ように動作可能であるェアラブル薬剤送達装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記動作の活動モードの選択を受信するよう更に動作可能な、請求項1に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項3】
GPS装置又はWi-Fi位置情報サービスへのアクセスを有する通信装置を更に備える、請求項1又は2に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ウェアラブル薬剤送達装置に関連する位置を受信し、
メモリから、身体活動が行われる所定の位置を取得し、
前記受信した位置と前記取得した位置を比較し、
前記比較の結果と、前記活動レベルの変化が活動レベル閾値を超えるのとに基づいて、前記動作の活動モードを開始するよう更に動作可能な、請求項1からのいずれか1項に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項5】
前記制御部に通信可能に接続するユーザインタフェースを更に備え、前記ユーザインタフェースは前記動作の活動モードを選択する入力を提供するよう動作可能な、請求項1から4のいずれか1項に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ユーザインタフェースを介して、前記動作の活動モードを選択する前記入力を要請するアラートを生成するよう動作可能な、請求項5に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項7】
前記減少させた最大インスリン量の送達が、所定の期間にわたって維持される、請求項1から6のいずれか1項に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項8】
前記最大インスリン量の送達が、前記ユーザの基礎レートの倍数として個別化が可能である、請求項1から7のいずれか1項に記載のウェアラブル薬剤送達装置。
【請求項9】
プロセッサによって実行可能なプログラミングコードを内蔵する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記プログラミングコードを実行すると、前記プロセッサは、
人工膵臓(AP)アプリケーションを介した糖尿病治療計画のパラメータに従って、ウェアラブル薬剤送達装置のポンプ機構を介してインスリンの送達を作動させ、ここで、前記人工膵臓アプリケーションは、所与の期間内に最大インスリン量を送達することが許可されており、
前記ウェアラブル薬剤送達装置の位置を判定し、
活動モードに関連する入力を受信し、
前記受信した入力を複数の活動モード閾値に対して評価し、
前記評価された入力が、前記活動モード閾値の少なくとも1つの活動モード閾値を超過することを決定し、
前記判定された位置と、前記評価された入力が前記少なくとも1つの活動モード閾値を超えたことと、を含む条件に応じて、前記活動モードを開始し、
前記活動モードの開始に基づいて、前記所与の期間内の前記最大インスリン量を減少させることによって糖尿病治療計画のパラメータを調節し、
前記糖尿病治療計画の前記調節されたパラメータに従って、ポンプ機構を介したインスリンの送達を作動する機能を含む機能を実行するよう動作可能な、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記プロセッサによって実行可能なプログラミングコードを更に内蔵し、前記プログラミングコードを実行すると、前記プロセッサは、
メモリから前記活動モード閾値を取り出し、
身体活動が示される期間を決定し、
前記決定した身体活動を示す期間を、前記取り出した活動モード閾値のデフォルト期間値と比較し、
前記比較の結果に基づいて、前記身体活動を示す期間が身体活動の期間に関する活動モード閾値を超えることを表示し、
活動モードを開始する命令を出力する機能を実行することで、前記受信した入力を活動モード閾値に対して評価するよう動作可能な、請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記活動モード閾値は、
数日、数月、数年に渡って蓄積されたユーザの履歴と、ユーザの環境設定、又は、ユーザの年齢、体重、身長に基づいた臨床情報に基づく、請求項9又は10に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記プロセッサによって実行可能なプログラミングコードを更に内蔵し、前記プログラミングコードを実行すると、前記プロセッサは、
イベント又は身体活動に関するスケジュール情報にアクセスし、
ユーザが参加するイベント及びスケジュールされた身体活動を特定し、評価する機能を実施することで、
前記活動モードに関連する入力を受信するよう動作可能な、請求項9から11のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記プロセッサによって前記プログラミングコードが実行されると、前記プロセッサは、高血糖保護モードに入るときに、
ウェアラブル薬剤送達装置に関連した位置を受信し、
メモリから、身体活動が行われる所定の複数の位置を取得し、
前記受信した位置を前記取得した位置と比較し、
前記ウェアラブル薬剤送達装置に関連した前記位置が前記取得した位置の中にある位置と実質的に同じであることを示す比較結果に基づいて、活動モード閾値の超過を表示する機能を含む更なる機能を実行するよう動作可能な、請求項9から12のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記プロセッサによって実行可能なプログラミングコードを更に内蔵し、前記プログラミングコードを実行すると、前記プロセッサは、
ウェアラブル薬剤送達装置の位置を示す入力を受信し、
身体活動に関する位置情報を取得し、
前記ウェアラブル薬剤送達装置の前記位置を示す前記受信した入力を比較し、
前記比較の結果に基づいて、低血糖保護モードに入る、
更なる機能を実行するよう動作可能な、請求項9から13のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記プログラミングコードが前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサは、
ユーザインタフェースを介して、前記活動モードを開始する入力を要請するアラートを生成し、
ユーザインタフェースを介して、前記動作の活動モードの開始を示す入力を受信する機能を含む更なる機能を実行するよう動作可能な、請求項9から14のいずれか1項に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記プロセッサによって実行可能なプログラミングコードを更に内蔵し、前記プログラミングコードを実行すると、前記プロセッサは、
血糖の計測値を処理し、
前記血糖の計測値が最大血糖設定値を超過する方向に向かって増加していることの指標に基づいて、前記高血糖保護モードに入る更なる機能を実行するよう動作可能な、請求項13に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記プロセッサによって前記プログラミングコードが実行されると、前記プロセッサは、前記高血糖保護モードに入ると、
送達されるインスリン量を減少させるインスリンの送達制約を緩和し、
高血糖のアラートをトリガするために閾値を低下させ、
血糖設定値を減少させる機能を含む更なる機能を実行するよう動作可能な、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記プロセッサによって実行可能なプログラミングコードを更に内蔵し、前記プログラミングコードを実行すると、前記プロセッサは、
血糖測定値を処理し、
前記血糖測定値が最小血糖設定値に向かって減少していることの指標に基づいて、前記低血糖保護モードに入る、
更なる機能を実行するよう動作可能な、請求項14に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記プロセッサによって前記プログラミングコードが実行されると、前記プロセッサは、低血糖保護モードに入ると、
最大インスリン送達制限を低下させ、
インスリン投与量を処理するために提供される基礎投与量入力に含まれる送達中インスリン量を低下させ、
最小血糖設定値を増加させる機能を含む更なる機能を実行するよう動作可能な、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
ユーザにインスリンを送達するよう動作可能なウェアラブル薬剤送達装置を有するウェアラブル薬剤送達システムであって、
インスリンを格納するよう構成されたリザーバと、
前記リザーバに接続し、前記格納されたインスリンを前記リザーバから送り出すよう動作可能なポンプ機構と、
前記ユーザの活動レベルを検出するよう動作可能な慣性計測装置と、
GPS装置、又はWi-Fi位置情報サービスへのアクセスを有する通信装置と、
前記ポンプ機構及び前記慣性計測装置と通信可能に接続する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記慣性計測装置から、1つ又は複数の動きの計測値を示す入力を受信し、
前記受信した入力から活動レベルの変化を決定し、
前記GPS装置又は前記通信装置から、前記ウェアラブル薬剤送達装置に関連する位置を受信し、
メモリから、身体活動が行われる所定の位置を取得し、
前記受信した位置と前記取得した位置とを比較し、
前記比較の結果と、前記決定された活動レベルの変化が活動レベル閾値を超えるのとに基づいて、動作の活動モードを自動的に開始する、ように動作可能であり、
前記制御部は、前記動作の活動モードにおいて、
前記決定された活動レベルの変化に基づいて、前記ポンプ機構が送達するインスリン量を変更し、
前記変更されたインスリン量の送達を作動させる信号を前記ポンプ機構に出力するように更に動作可能な、ウェアラブル薬剤送達システム。
【請求項21】
前記制御部は、前記動作の活動モードの選択を受信するよう更に動作可能な、請求項20に記載のウェアラブル薬剤送達システム。
【請求項22】
前記制御部に通信可能に接続するユーザインタフェースを更に備え、前記ユーザインタフェースは前記動作の活動モードを選択する入力を提供するよう動作可能な、請求項20に記載のウェアラブル薬剤送達システム。
【請求項23】
前記制御部は、前記ユーザインタフェースを介して、前記動作の活動モードを選択する前記入力を要請するアラートを生成するよう動作可能な、請求項22に記載のウェアラブル薬剤送達システム。