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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042088
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】包丁ホルダ装置並びに包丁
(51)【国際特許分類】
   A47J 47/16 20060101AFI20230317BHJP
   B26B 29/02 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
A47J47/16 P
B26B29/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149183
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】520234763
【氏名又は名称】堤 康博
(74)【代理人】
【識別番号】100092163
【弁理士】
【氏名又は名称】穴見 健策
(72)【発明者】
【氏名】堤康博
【テーマコード(参考)】
3C061
4B066
【Fターム(参考)】
3C061AA02
3C061BA03
3C061BC01
3C061CC09
3C061CC14
3C061EE13
4B066AB01
4B066AB04
4B066BA14
4B066EE08
4B066EE09
(57)【要約】
【課題】調理中の頻繁な収納、取り出し操作を安全確実に行え、衛生的な包丁ホルダを提供する。
【解決手段】
包丁ホルダは、一方向に列状に配置した磁石を取り付けた包丁ホルダであり、長手を横方向に向けた包丁の峰の頂部を磁力吸着しつつ包丁全体を空中で吊支する。支持体は、包丁ホルダを所要高さ位置で支持する。包丁ホルダに取り付けられ包丁の峰の頂部を磁力吸着面から下位に離隔して包丁を空中保持させる離隔保持機構を含む。包丁の峰頂部の磁力吸着保持により軽くて楽な挿入操作で包丁を一時置き、取り出し操作できる。また、挿入操作時に包丁の頂部が包丁ホルダに接触してできるキズを大幅に減少させ、雑菌等の繁殖を防止して衛生的に包丁を使用することが可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に列状に配置した磁石を取り付けた包丁ホルダであり、長手を横方向に向けた包丁の峰の頂部を磁力吸着しつつ包丁全体を空中で吊支する包丁ホルダと、
包丁ホルダを所要高さ位置で支持する支持体と、を有し、
包丁ホルダに取り付けられ包丁の峰の頂部を磁力吸着面から下位に離隔して包丁を空中保持させる離隔保持機構を含むことを特徴とする包丁ホルダ装置。
【請求項2】
離隔保持機構は、包丁ホルダへの包丁の挿入側となる包丁ホルダの端部側に設けられ包丁ホルダの磁力吸着面から少なくとも低い位置で包丁の峰の頂部に当接する案内部を含むことを特徴とする請求項1記載の包丁ホルダ装置。
【請求項3】
案内部は、包丁ホルダの磁力吸着面から低位で包丁の峰の頂部と接触する部位を有する係合子または横軸回りに回転する回転ローラ体であることを特徴とする請求項2記載の包丁ホルダ装置。
【請求項4】
案内部は、包丁ホルダへの包丁の挿入側となる包丁ホルダの端部側と、その挿入前方側に少なくとも2個設けられ、いずれも横軸回りに回転する回転ローラ体であることを特徴とする請求項2又は3に記載の包丁ホルダ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の包丁ホルダ装置の磁石に磁力支持される包丁であり、包丁の口金近傍の包丁の身部分であって、包丁の峰の頂部に設けられ包丁の峰の頂部線から凹設され案内部の当接部が嵌脱自在に嵌合する下方に凹設した凹部を有することを特徴とする包丁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包丁を保持する包丁ホルダ装置並びに包丁に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、調理作業に際し、台所で煮炊き、味の確認、調味料投入、煮炊き中の食材の攪拌等の煩雑な作業を同時並行して行わねばならず、特に食材の加熱中の作業等の中で、食材切り揃えのための包丁を流し台下の扉裏面や引出等の収容部に戻さざるを得ず、このため調理中の食材を器材外部にこぼしたり、誤って手指を傷つけたりする事故もある点に照らし、特許文献1に示す包丁ホルダ及び包丁ホルダ装置の提案を行った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6789434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置は、ホルダ体の一端側から見て幅方向略中央位置に磁石列を配置したホルダ体に取り付けた磁石により包丁を着脱自在に磁力支持させる包丁ホルダを提案したものである。これによれば、調理中の包丁の煩雑な収納、取り出し動作でラフな取り扱いでも安定して包丁を収容保持し得る包丁ホルダを提案している。しかしながら、特許文献1の包丁ホルダ及び包丁ホルダ装置では、包丁の落下防止のために強力な磁石を用いるから、収納及び取出し時に、力を入れて包丁を出し入れする必要があり、包丁のホルダへの収容、取り出し動作の安定に欠ける問題があった。また、包丁ホルダへの挿入時に包丁の峰の頂部がホルダ底壁に摺動し摩擦による微細キズ部分に雑菌が付着しやすく衛生上の工夫が求められていた。また、ホルダへの収納時に包丁保持上、安全な位置までの挿入が不足したり、挿入を深く入れ過ぎて磁石位置からずれてしまい、包丁が落下するおそれがあった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、調理中の包丁の頻繁な収納、取り出し動作においてもホルダへの一定の収納位置に安定して収容保持させ、安全かつ衛生的に取扱いができる包丁ホルダ及び包丁ホルダ装置並びに包丁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、一方向に列状に配置した磁石18を取り付けた包丁ホルダであり、長手を横方向に向けた包丁3の峰mの頂部tを磁力吸着しつつ包丁全体を空中で吊支する包丁ホルダ2と、包丁ホルダ2を所要高さ位置で支持する支持体4と、を有し、包丁ホルダ2に取り付けられ包丁3の峰mの頂部tを磁力吸着面WSから下位に離隔して包丁を空中保持させる離隔保持機構5を含む構成である。
【0007】
その際、離隔保持機構5は、包丁ホルダ2への包丁3の挿入側となる包丁ホルダ2の端部側に設けられ包丁ホルダ2の磁力吸着面WSから少なくとも低い位置で包丁の峰mの頂部tに当接する案内部50を含むとよい。
【0008】
また、案内部50、61,62、71,72は、包丁ホルダ2の磁力吸着面WSから低位で包丁の峰の頂部tと接触する部位を有する係合子または横軸回りに回転する回転ローラ体73であるとよい。
【0009】
さらに、案内部50、61,62、71,72は、包丁ホルダ2への包丁3の挿入側となる包丁ホルダの端部側と、その挿入前方側に少なくとも2個設けられ、いずれも横軸回りに回転する回転ローラ体73であるとよい。
【0010】
さらに、本発明は、上記の包丁ホルダ装置1,60,70の磁石18に磁力支持される包丁3Bであり、包丁の口金32近傍の包丁の身d部分であって、包丁の峰の頂部tに設けられ包丁の峰の頂部線から凹設され案内部の当接部51が嵌脱自在に嵌合する下方に凹設した凹部81を有する構成である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包丁ホルダ及び包丁ホルダ装置並びに包丁によれば、調理中の包丁の頻繁な収納、取り出しが必要な場合でも、簡単かつ確実に包丁をホルダ内へ収容、取り出しでき、装置への出し入れ操作時の包丁の峰の頂部部分への雑菌の付着も少なくして日常の包丁使い作業を簡単、衛生的、さらに安全に遂行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る包丁ホルダ装置のホルダ体の概略斜視説明図であり、支持すべき包丁と共に示している。
図2図1の包丁ホルダの拡大斜視説明図である。
図3図1の包丁ホルダを支持体に取り付けた状態の包丁ホルダ装置の正面説明図である。
図4】包丁を図2の包丁ホルダ装置へ装着した状態を示す断面説明図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る包丁ホルダへ包丁を装着した状態を示す断面説明図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る包丁ホルダの拡大斜視説明図である。
図7】本発明の各実施形態に係る包丁ホルダ装置へ装着する包丁の他の実施形態を示す一部省略側面説明図である。
図8図7の実施形態の包丁を図6の第3実施形態の包丁ホルダ装置へ装着した状態を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下添付図面を参照しつつ本発明の包丁ホルダ装置並びにそれらに用いられる包丁の実施形態について説明する。
【0014】
図1ないし図4は、本発明の第1実施形態に係る包丁ホルダ装置1の概略構成を示しており、図1において包丁ホルダ装置の包丁ホルダ2とそれに使用する包丁3(3A)を示している。
【0015】
図1ないし図3に示すように、第1実施形態において包丁ホルダ装置1は、包丁ホルダ2と、支持体4と、離隔保持機構5と、を含む。
【0016】
包丁ホルダ2は、包丁ホルダ装置の骨格部分を形成して包丁全体を吊支する装置1の本体部分であり、実施形態において、包丁ホルダ2は一方向に長い厚肉の板状体で構成されている。図1において、包丁ホルダ2は、ホルダ体10と、ホルダ体10に取り付けられた磁石18と、を含む。
【0017】
ホルダ体10は、図に示すように、一方向に長い厚肉の板状体で構成されており、板状体の板面を上下に配置した場合にそれぞれ上下の板面の中央部分が板状体の全長にわたって長手方向に逆台形溝状に凹設した凹設部11を有している。したがって、図2、3に示すように端面側から見ると鉄亜鈴状に中央部分の上下の凹設部11で挟まれた部分が薄肉部12を形成し、両端側が拡大部13を形成している。そして、ホルダ体10の端面側が包丁を挿入装着する際の挿入部14とされる。なお、ホルダ体10の形状は、断面鉄亜鈴状のものに限られない。例えば、ホルダ体10の上面側は円弧状、隆起状に拡大、突出したものでもよい。包丁の峰の頂部を磁石の磁力で吊支する必要から、下面側は刃を下に向けた横長状態の包丁の厚みより大きな厚み幅のスペースを形成させる必要がある。
【0018】
また、端面視鉄亜鈴状のホルダ体10の板厚み中央部には、拡大部13から薄肉部12を含めて他の拡大部13にかけてホルダ体10の長手方向に長く薄板状穴15が形成されている。そして、薄板状穴15のホルダ体端面側開口15aから薄板ボタン状の永久磁石18が挿入されて固定されている。
【0019】
実施形態において、薄板ボタン状の磁石18は2個一列状に薄板状穴15内で配置されている。このとき、ホルダ体10は、一方向に長い厚板体で上下の板面の中央部分が板状体の全長にわたって長手方向に溝状に凹設した凹設部11を有しており、上下の凹設部11に挟まれた部分でさらにその内側に薄板状穴15が形成されている。このため、ホルダ体10の底面で薄肉部12のさらに薄板状穴15の底壁Wは磁力を有効に及ぼす程度の薄さに形成されている。
【0020】
ホルダ体10は、包丁を吊支可能な剛体であればよく、材質は任意のものを選択することができる。例えば硬質プラスチック、軽金属、セラミック、木・竹材質、金属、合金、複合材料等を用いることができる。
【0021】
図1、2において、磁石18は、包丁3の峰mの頂部tを着脱自在に磁力支持する磁石手段であり、該磁石18は、ホルダ体10に取り付けられてホルダ体10の下面側で包丁3の刃bを下に向けた状態で吊支する。磁石18は、例えば間隔Dを設けて磁石が2個以上列状に設けられて包丁3の峰mの頂部tを着脱自在に磁力支持する。実施形態において、磁石18として2個の永久磁石18a、18bが間隔Dをあけて取り付けられている。
【0022】
図2,3において、薄板状穴15に挿入された2個の磁石18は、例えばそれらの磁界中心で包丁3の峰mの頂部tを磁気吸着して包丁を横長状態で吊支する。ホルダ体10の底面は薄板状穴15の底壁Wを介して、薄板状穴15内の永久磁石18により包丁3の峰mの頂部tを確実に磁気吸着して包丁の刃の下向き状態での吊支を確実にすることができる。
【0023】
本実施形態において、ホルダ体10の一端側からみて幅方向略中央位置に磁石18が配置されている。これによって、包丁3の峰mの頂部tを磁力吸着して包丁の刃bを下側に向けて吊支する際に包丁の身dの両側に十分な空隙ができ大まかな包丁の出し入れ動作の際にも包丁の身が周囲の壁面や設備機器等に接触することなく、包丁を使用することができる。なお、31は包丁のグリップ、32は包丁本体をグリップ31に取り付ける口金である。
【0024】
実施形態では図2,3において、一方側面を開口したコ字枠板状の支持体4への包丁ホルダ2の固定により、十分な下部空間STを形成するので、包丁ホルダ2により包丁の峰の頂部tを磁力吸着させたときに少なくともその一方側には十分な空隙が形成されるから、ラフな取り扱いでも確実に設定位置に包丁を保持することができる。
【0025】
図2において、支持体4は、一方側面を開口したコ字枠板状で形成しているが、
ホルダ体10を支持する支持スタンドやフレームを利用して台所の大部分に設置して包丁ホルダ装置を構成することができる。また、通常、包丁を収納する空間の壁部や設備等を利用して既設壁面や設備自体に直接に取り付けてもよい。
【0026】
離隔保持機構5は、横方向に挿入された包丁を磁力吸着面から下位に離隔して包丁を空中保持させる離隔保持手段であり、包丁の峰mの頂部tを磁力吸着して支持する際に包丁ホルダの磁力吸着面WSに包丁の峰mの頂部tを非接触で空中支持するようにさせる。
【0027】
実施形態において、離隔保持機構5は、包丁ホルダ2に取り付けられており、具体的にはホルダ体10の底壁W部分に設けられた案内部50を含む。案内部50は、包丁ホルダ2の磁力吸着面WSからさらに低い位置で包丁3の峰mの頂部tに当接する当接部51を有している。包丁ホルダ2の磁力吸着面WSは、ホルダ体10の底壁Wの底面部分を含む。具体的には、実施形態において、案内部50は、図2に示すように係合子としての半割円柱形のピン52から構成されている。実施形態において、半割円柱形のピン52は、円弧部を下側に向けてホルダ体10の長手方向に交差あるいは略直交する方向にその長手方向を配置させてビス止めや嵌合その他の固定手段でホルダ体10の下面側に固定されている。そして、包丁を包丁ホルダ2に装着する際には、この半割円柱形ピンの円弧部分に包丁の峰の頂部tが一部において接触する。
【0028】
さらに、案内部50は、包丁ホルダ2への挿入側となる包丁ホルダの端部側に設けられている。具体的には、案内部50は、挿入部14近傍に設けられている。したがって、案内部50は、包丁3を包丁ホルダ2の下面側へ挿入する際の挿入案内を行うと共に、挿入完了後に包丁の峰mの頂部tをホルダ体10の磁力吸着面WSから離隔した空中下位において、包丁3を磁力保持する。
【0029】
詳しくは、ピン52は薄板状穴15内で先端側と手前側に2個配置されたボタン型磁石のうちの第1の永久磁石18aよりもさら挿入手前位置であって、磁石18の吸着面WSからさらに低い位置で包丁3の峰mの頂部tに当接する当接部51を有している。これによって、案内部50の当接部51の下方から包丁を挿入し、包丁のグリップ31付近で包丁ホルダ2の底面側に向けて上方に持ち上げると図4に示すように包丁の長手の中央よりも先端寄り位置で磁石18により包丁ホルダ下面で磁力吸着されるとともに、包丁の手元側は案内部50の当接部51に当接して先端上がり、手元下がりの状態で包丁は空中保持される。このとき、包丁の峰の頂部tと磁力吸着面WSとの間には細長い略三角先細形状の空隙55が形成される。
【0030】
包丁3は、包丁ホルダ2の下方位置からその底壁側に向けて持ち上げて磁力吸着させるから必要以上に力を入れて包丁ホルダ1へ包丁を挿入させることなく軽い操作でホルダへ装着し、吊支させることができる。
【0031】
次に、図5に基づいて本発明の第2の実施形態による包丁ホルダ装置60について説明する。第2実施形態の包丁ホルダ装置60では、離隔保持機構5の案内部は、第1の永久磁石18aよりもさら挿入手前近傍に設けられた第1案内部61と第1案内部61の前方側離隔位置に配置された第2の案内部62と、を含む。第1及び第2案内部はそれぞれ磁石18a、18bの磁力吸着面WSからさらに低い位置で包丁3の峰mの頂部tに当接する当接部51を有している。実施形態において、第1、第2案内部61、62は、第1実施形態と同様に係合子としての半割円柱形のピン52から構成され、円弧部を下側に向けてホルダ体10の長手方向に交差あるいは略直交する方向にその長手方向を配置させてホルダ体10の下面側に固定されている。
【0032】
この第2実施形態の装置60では、第1、第2案内部61,62により図5に示すように包丁ホルダ2の下面と装着される包丁3の峰mの頂部の直線部分は略平行状態となって空中に磁力支持される。このとき、包丁の峰の頂部tと磁力吸着面WSとの間には板厚を一定にした薄板形状の空隙56が形成される。したがって、包丁の峰mの頂部が接触する部分は第1、第2の案内部61,62の当接部51のみとなり、包丁の峰の頂部への接触部位がほとんどなくなり、包丁の峰の頂部等への接触キズが大幅に減少し、生じたら雑菌の繁殖源ともなりうる包丁峰頂部を衛生的に保持して食材調理を安全かつ安心状態で遂行し得る。
【0033】
次に、図6、8に基づいて本発明の第3の実施形態による包丁ホルダ装置70について説明する。第3実施形態の包丁ホルダ装置70では、離隔保持機構5の案内部は、第1の永久磁石18aよりもさら挿入手前近傍に設けられた第1案内部71と第1案内部71の前方側離隔位置に配置された第2の案内部72と、を含む。第1及び第2案内部はそれぞれ磁石18a、18bの磁力吸着面WSからさらに低い位置で包丁3の峰mの頂部tに当接する当接部51を有している。
【0034】
本実施形態において、案内部71、72は、横軸回りに回転する回転ローラ体73から構成されている。回転ローラ体73の当接部51は、ローラ体本体の水平接線の当接位置である。
【0035】
第3実施形態では、ホルダ体10の長手方向に交差あるいは略直交する方向を回転軸心として自在回転するローラ体を取り付けている。
【0036】
この第3実施形態の装置70でも、第1、第2案内部71,72によって包丁3の峰mの頂部tを磁力吸着面WSから下位に離隔させて包丁3を空中保持させる。
包丁3(3B)は、前後に間隔を設けて配置され、磁力吸着面WSより下位に当接部51を有する案内部71,72により磁力吸着面WSから空隙57を隔てて全体が空中支持される。したがって、包丁の峰の頂部tは直接に包丁ホルダ2の底壁に接触することがなく、包丁への傷つきを防止できる。なお、包丁の空中支持姿勢は、第2実施形態と同様に包丁ホルダ2の下面と装着される包丁3の峰頂部tの直線部分は略平行状態となって空中に磁力支持させてもよいが、本実施形態では細長い略三角手前先細形状の空隙57が形成される。この第3実施形態では、2つの案内部71、72は、横軸回り回転する回転ローラ体73で構成されているから、包丁ホルダ2の下面側に挿入装着するときに、包丁の峰頂部tと案内部71,72とは回転接触となって包丁の峰頂部への接触キズが小さく、かつ少なくなり収容する包丁を衛生的に保持することが可能となる。
【0037】
更に、図8の例では、挿入する包丁3自体に加工が施されている。図7図8に示す3実施形態の装置70に装着する包丁3の一部省略側面説明図であり、図において、図7例示の包丁3は、包丁の峰mの頂部線から凹設された凹部81を有している。凹部81は、包丁をホルダ2の挿入部14に対して磁力吸着面に沿って下方側から斜め前方上がり、または前方に向けて挿入する際に第1案内部71を下位から受けてストッパとして機能する。実施形態において凹部81の形状は、下向き凹形のV字形状であるが、下向き凹形の円弧溝その他の凹形溝でもよい。そして、包丁3を包丁ホルダ2の下面側から挿入する際、包丁ホルダ2の下面側に近接させると磁力吸着されて包丁の峰頂部全体は回転ローラ体73の水平接線で接触して空中保持される。この状態でさらに奥側に向けて包丁3を押し込むと回転ローラ体73が包丁3の凹部81に滑落し軽易にはそれ以上の奥側挿入は係止される。このとき、包丁の峰の頂部tと磁力吸着面WSとの間には細長い略三角手前先細形状の空隙57が形成される。なお、図8のように前後2個の回転ローラ体73で包丁の頂部tを受ける場合にはローラ体73の直径をやや大きくするかあるいは凹部81の溝深さを浅くして空隙57の空隙厚さを一定にした薄板形状の空隙とするようにしてもよい。これによって、使用者は包丁ホルダ装置1への包丁の装着、離脱操作を安定して安全に行うことができる。また、回転接触により包丁の峰頂部への傷つきも少なくして衛生的に包丁を保持することができる。
【0038】
以上説明した本発明の包丁ホルダ装置は、上記した実施態様構成にのみ限定されるものではない。例えば、第1、第2実施形態の包丁ホルダ装置について凹部81を有する包丁を用いることができる。また、包丁ホルダの挿入端側と前方側に2個の案内部を設けた場合、その案内部は一方が縦半割れ円柱状の係合子で、他方が回転ローラ体であってもよい。また、係合子の形状は縦半割れ円柱状に限らず三角柱、四角柱、多角柱、変形柱体等の形状としてもよい。永久磁石の形状は偏平ボタン形状である必要はなく、任意形状のものでよい。
【0039】
以上説明した、実施形態の包丁ホルダ装置では、一方向に列状に配置した磁石を取り付けた包丁ホルダであり、長手を横方向に向けた包丁の峰の頂部を磁力吸着しつつ包丁全体を空中で吊支する包丁ホルダと、包丁ホルダを所要高さ位置で支持する支持体と、を有し、包丁ホルダに取り付けられ包丁の峰の頂部を磁力吸着面から下位に離隔して包丁を空中保持させる離隔保持機構を含む構成であるから、調理中の包丁の頻繁な収納、取り出し動作においても包丁の峰頂部の磁力吸着保持により軽くて楽な挿入操作で包丁を一時置き、取り出し操作でき、また、挿入操作時に包丁の頂部が包丁ホルダに接触してできるキズを大幅に減少させ、雑菌等の繁殖を防止して衛生的に包丁を使用することが可能である。
【0040】
また、離隔保持機構は、包丁ホルダへの包丁の挿入側となる包丁ホルダの端部側に設けられ包丁ホルダの磁力吸着面から少なくとも低い位置で包丁の峰の頂部に当接する案内部を含む構成であるから、包丁の峰の頂部を包丁ホルダの磁力吸着面から下位に離隔して具体的に包丁を空中保持させることができる。
【0041】
また、案内部は、包丁ホルダの磁力吸着面から低位で包丁の峰の頂部と接触する部位を有する係合子または横軸回りに回転する回転ローラ体である構成であるから、包丁ホルダの底部等に取り付けて 包丁の峰の頂部を包丁ホルダの磁力吸着面から離隔した下位において確実に磁力吸着して空中支持することができる。
【0042】
また、案内部は、包丁ホルダへの包丁の挿入側となる包丁ホルダの端部側と、その挿入前方側に少なくとも2個設けられ、いずれも横軸回りに回転する回転ローラ体であることにより、包丁の装着時に包丁の峰の頂部に接するのは2か所の回転ローラのみとなり密着面積が大幅に減少して包丁の峰頂部の接触によるキズ付きを抑制して衛生効果を向上させることができる。また、離脱時には包丁ホルダと包丁の峰の頂部との直接の摩擦がなくなり、摩耗によるキズなどの発生が大幅に減少する。また、装着、離脱時に摩擦が少なく、出し入れがスムーズとなり不慮の落下等を未然に防止して安全性を向上させることができる。
【0043】
上記の包丁ホルダ装置の磁石に磁力支持される包丁であり、包丁の口金近傍の包丁の身部分であって、包丁の峰の頂部に設けられ包丁の峰の頂部線から凹設され案内部の当接部が嵌脱自在に嵌合する下方に凹設した凹部を有する構成とすることにより、包丁を挿入部において挿入する際、包丁の凹部に案内部が滑落することでストッパとなりそれ以上の軽易動作での奥側挿入は係止され停止位置が自動的に決まる。これによって、使用者は包丁ホルダ装置への包丁の装着、離脱操作を安定して安全に行うことができる。また、前後2個の案内部がいずれも回転ローラ体である場合には、軽易かつ円滑な挿入操作が可能で、しかも回転接触により包丁の峰頂部への傷つきも少なくして衛生的に包丁を保持することが可能である。
【0044】
本発明の包丁ホルダ及び包丁ホルダ装置並びに包丁は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の本質を逸脱しない範囲において、他の実施形態を用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の包丁ホルダ装置、並びに包丁は、日常使いの台所、調理台周り等に設置して食材の調理時に有効に利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1、60、70 包丁ホルダ装置
2 包丁ホルダ
3 包丁
3A 第1、2実施例の包丁
3B 第3実施例の包丁
4 支持体
5 離隔保持機構
10 ホルダ体
11 凹設部
12 薄肉部
14 挿入部
15 薄板状穴
18 磁石
50 案内部
51 当接部
61 第1案内部
62 第2案内部
71 第1案内部
72 第2案内部
73 回転ローラ体
81 包丁の凹部
m 峰
t 頂部
W 底壁
WS 磁力吸着面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8