IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アズビル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-空調システムおよび空調制御方法 図1
  • 特開-空調システムおよび空調制御方法 図2
  • 特開-空調システムおよび空調制御方法 図3
  • 特開-空調システムおよび空調制御方法 図4
  • 特開-空調システムおよび空調制御方法 図5
  • 特開-空調システムおよび空調制御方法 図6
  • 特開-空調システムおよび空調制御方法 図7
  • 特開-空調システムおよび空調制御方法 図8
  • 特開-空調システムおよび空調制御方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042095
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】空調システムおよび空調制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/56 20180101AFI20230317BHJP
   F24F 11/50 20180101ALI20230317BHJP
   F24F 11/54 20180101ALI20230317BHJP
【FI】
F24F11/56
F24F11/50
F24F11/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149199
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】杉山 正洋
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA02
3L260BA64
3L260CA13
3L260JA04
3L260JA15
(57)【要約】
【課題】通信費用を削減する。
【解決手段】空調システムは、制御対象空間8の空調に関するデータを取得して公衆回線2を介して送信するセンサ1と、センサ1からのデータを公衆回線2,3を介して受信し、受信したデータに基づいて制御対象空間8の空調機器5を制御するコントローラ4と、公衆回線3を介して制御対象空間8の空調の状態を監視し、空調が停止しているときに、公衆回線2を介してセンサ1にデータの送信停止またはデータの送信周期の長期化を指示するクラウドサーバ6とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象空間の空調に関するデータを取得して公衆回線を介して送信するように構成されたセンサと、
前記センサからのデータを前記公衆回線を介して受信し、受信したデータに基づいて前記制御対象空間の空調機器を制御するように構成されたコントローラと、
前記公衆回線を介して前記制御対象空間の空調の状態を監視し、空調が停止しているときに、前記公衆回線を介して前記センサにデータの送信停止またはデータの送信周期の長期化を指示するように構成されたクラウドサーバとを備えることを特徴とする空調システム。
【請求項2】
制御対象空間の空調に関するデータを取得して公衆回線を介して送信するように構成されたセンサと、
前記センサからのデータを前記公衆回線を介して受信し、受信したデータに基づいて前記制御対象空間の空調機器を制御するように構成されたコントローラと、
前記公衆回線を介して前記制御対象空間の空調の状態を監視し、空調負荷が予め定められた条件を充足する場合に、空調負荷が小さいと判断し、前記公衆回線を介して前記センサにデータの送信停止またはデータの送信周期の長期化を指示するように構成されたクラウドサーバとを備えることを特徴とする空調システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の空調システムにおいて、
前記コントローラは、前記制御対象空間の空調の状態を示す制御ステータスを前記クラウドサーバに送信するように構成された制御ステータス通知部を備え、
前記クラウドサーバは、前記制御ステータスに基づいて前記制御対象空間の空調の状態を判定するように構成された状態監視部を備えることを特徴とする空調システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空調システムにおいて、
前記センサは、前記センサから送信されたデータを前記クラウドサーバを介して受信し、
前記クラウドサーバは、前記センサから送信されたデータを前記コントローラに転送するように構成された中継処理部を備えることを特徴とする空調システム。
【請求項5】
センサが、制御対象空間の空調に関するデータを取得して公衆回線を介して送信する第1のステップと、
コントローラが、前記センサからのデータを前記公衆回線を介して受信する第2のステップと、
前記コントローラが、受信したデータに基づいて前記制御対象空間の空調機器を制御する第3のステップと、
クラウドサーバが、前記公衆回線を介して前記制御対象空間の空調の状態を監視する第4のステップと、
前記制御対象空間の空調が停止しているときに前記クラウドサーバが、前記公衆回線を介して前記センサにデータの送信停止またはデータの送信周期の長期化を指示する第5のステップと、
前記センサが、前記クラウドサーバからの指示に従ってデータの送信を停止するか、またはデータの送信周期を長期化する第6のステップとを含むことを特徴とする空調制御方法。
【請求項6】
センサが、制御対象空間の空調に関するデータを取得して公衆回線を介して送信する第1のステップと、
コントローラが、前記センサからのデータを前記公衆回線を介して受信する第2のステップと、
前記コントローラが、受信したデータに基づいて前記制御対象空間の空調機器を制御する第3のステップと、
クラウドサーバが、前記公衆回線を介して前記制御対象空間の空調の状態を監視する第4のステップと、
前記制御対象空間の空調負荷が予め定められた条件を充足し、空調負荷が小さいと判断したときに前記クラウドサーバが、前記公衆回線を介して前記センサにデータの送信停止またはデータの送信周期の長期化を指示する第5のステップと、
前記センサが、前記クラウドサーバからの指示に従ってデータの送信を停止するか、またはデータの送信周期を長期化する第6のステップとを含むことを特徴とする空調制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用のセンサで計測したデータを公衆回線を使用して送受信する空調システムおよび空調制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
センサのデータ送受信を無線化することで、データ伝送用の配線が不要となり、施工や設置が簡単になる。センサのデータ送受信を無線化した例として、例えば特許文献1に開示された機器連携制御システムがある。特許文献1に開示された技術では、無線通信をBluetooth(登録商標)、WiFiあるいは公衆回線で実現している。
【0003】
公衆回線を使用する場合、いわゆるキャリアと呼ばれる電話会社や通信会社の通信網を利用してデータを送受信することになる。公衆回線を使用する場合、キャリアの設備を使用するため、費用がかかり、また通信データ量によって費用が加算される従量制料金になっている場合が多い。
【0004】
電力メーターや水道メーターなどで計測されたデータを公衆回線を使用して送信する場合であれば、1日に数回程度のデータ送信であり、データ量が少ないために通信費用がかさむといった問題は起きにくい。
【0005】
一方、空調用のセンサとしては、温度センサや湿度センサなど様々なセンサが使われている。例えば、温度センサは室内温度の制御用に使用される。そのため、計測周期は数秒から1分程度でなければならない。空調用センサで計測したデータを公衆回線で送信すると、有線通信の場合と同様に例えば1秒周期でデータ送信を行うことになり、通信費用が増加し、製品コスト(運転費用)が増加する。
しかし、公衆回線を使った通信は現場での施工が容易であり、通信費用を抑えることができれば、製品コストが削減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2015/155991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、空調用センサで計測したデータを公衆回線を使用して送受信する空調システムにおいて通信費用を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の空調システムは、制御対象空間の空調に関するデータを取得して公衆回線を介して送信するように構成されたセンサと、前記センサからのデータを前記公衆回線を介して受信し、受信したデータに基づいて前記制御対象空間の空調機器を制御するように構成されたコントローラと、前記公衆回線を介して前記制御対象空間の空調の状態を監視し、空調が停止しているときに、前記公衆回線を介して前記センサにデータの送信停止またはデータの送信周期の長期化を指示するように構成されたクラウドサーバとを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の空調システムは、制御対象空間の空調に関するデータを取得して公衆回線を介して送信するように構成されたセンサと、前記センサからのデータを前記公衆回線を介して受信し、受信したデータに基づいて前記制御対象空間の空調機器を制御するように構成されたコントローラと、前記公衆回線を介して前記制御対象空間の空調の状態を監視し、空調負荷が予め定められた条件を充足する場合に、空調負荷が小さいと判断し、前記公衆回線を介して前記センサにデータの送信停止またはデータの送信周期の長期化を指示するように構成されたクラウドサーバとを備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の空調システムの1構成例において、前記コントローラは、前記制御対象空間の空調の状態を示す制御ステータスを前記クラウドサーバに送信するように構成された制御ステータス通知部を備え、前記クラウドサーバは、前記制御ステータスに基づいて前記制御対象空間の空調の状態を判定するように構成された状態監視部を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の空調システムの1構成例において、前記センサは、前記センサから送信されたデータを前記クラウドサーバを介して受信し、前記クラウドサーバは、前記センサから送信されたデータを前記コントローラに転送するように構成された中継処理部を備えることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の空調制御方法は、センサが、制御対象空間の空調に関するデータを取得して公衆回線を介して送信する第1のステップと、コントローラが、前記センサからのデータを前記公衆回線を介して受信する第2のステップと、前記コントローラが、受信したデータに基づいて前記制御対象空間の空調機器を制御する第3のステップと、クラウドサーバが、前記公衆回線を介して前記制御対象空間の空調の状態を監視する第4のステップと、前記制御対象空間の空調が停止しているときに前記クラウドサーバが、前記公衆回線を介して前記センサにデータの送信停止またはデータの送信周期の長期化を指示する第5のステップと、前記センサが、前記クラウドサーバからの指示に従ってデータの送信を停止するか、またはデータの送信周期を長期化する第6のステップとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の空調制御方法は、センサが、制御対象空間の空調に関するデータを取得して公衆回線を介して送信する第1のステップと、コントローラが、前記センサからのデータを前記公衆回線を介して受信する第2のステップと、前記コントローラが、受信したデータに基づいて前記制御対象空間の空調機器を制御する第3のステップと、クラウドサーバが、前記公衆回線を介して前記制御対象空間の空調の状態を監視する第4のステップと、前記制御対象空間の空調負荷が予め定められた条件を充足し、空調負荷が小さいと判断したときに前記クラウドサーバが、前記公衆回線を介して前記センサにデータの送信停止またはデータの送信周期の長期化を指示する第5のステップと、前記センサが、前記クラウドサーバからの指示に従ってデータの送信を停止するか、またはデータの送信周期を長期化する第6のステップとを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制御対象空間の空調が停止しているときにセンサからのデータ送信を停止するか、またはデータの送信周期を長期化するので、データ通信量を減らすことができ、公衆回線の通信費用を削減することができる。通常のオフィスビル等では夜間や休日は空調が停止するため、データ通信量を減らすことが可能となる。
【0012】
また、本発明では、空調負荷が予め定められた条件を充足し、空調負荷が小さいと判断したときにセンサからのデータ送信を停止するか、またはデータの送信周期を長期化するので、データ通信量を減らすことができ、公衆回線の通信費用を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第1の実施例に係る空調システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の第1の実施例に係る空調システムのセンサの構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の第1の実施例に係る空調システムのコントローラの構成を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の第1の実施例に係る空調システムのクラウドサーバの構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の第1の実施例に係る空調システムのセンサの動作を説明するフローチャートである。
図6図6は、本発明の第1の実施例に係る空調システムのクラウドサーバの動作を説明するフローチャートである。
図7図7は、本発明の第1の実施例に係る空調システムのコントローラの動作を説明するフローチャートである。
図8図8は、本発明の第2の実施例に係る空調システムのクラウドサーバの動作を説明するフローチャートである。
図9図9は、本発明の第1、第2の実施例に係る空調システムのセンサ、コントローラ、クラウドサーバを実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施例に係る空調システムの構成を示すブロック図である。空調システムは、制御対象空間8の空調に関するデータを取得して公衆回線2を介して送信するセンサ1と、センサ1からのデータを公衆回線2,3を介して受信し、受信したデータに基づいて制御対象空間8の空調機器5を制御するコントローラ4と、公衆回線3を介して空調の状態を監視し、空調機器5が停止しているときに、公衆回線2を介してセンサ1にデータの送信停止またはデータの送信周期の長期化を指示するクラウドサーバ6とを備える。
【0015】
センサ1とクラウドサーバ6との間は公衆回線2によって接続される。制御対象空間8にセンサ1を設置する際の施工の容易性を実現するため、公衆回線2のうち少なくともセンサ1と基地局7との間は公衆無線回線であることが望ましい。
コントローラ4とクラウドサーバ6との間は公衆回線3によって接続される。公衆回線3については公衆有線回線としてもよいし、一部に公衆無線回線を使用してもよい。
【0016】
図2はセンサ1の構成を示すブロック図である。センサ1は、クラウドサーバ6と通信を行うための通信部10と、空調に関するデータ(例えば二酸化炭素濃度、室内温度、外気温度、室内湿度、外気湿度、制御対象空間8内の人数など)を取得するセンサ回路部11と、センサ全体を制御する制御部12と、制御部12のプログラムを記憶する記憶部13とから構成される。制御部12は、通信処理部14を備えている。
【0017】
センサ1の例としては、CO2センサ、室内温度センサ、外気温度センサ、室内湿度センサ、外気湿度センサ、人感センサなどがある。ただし、本発明は、これらのセンサに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0018】
図3はコントローラ4の構成を示すブロック図である。コントローラ4は、クラウドサーバ6と通信を行うための通信部40と、空調機器5を制御する制御部41と、制御部41のプログラムを記憶する記憶部42とから構成される。制御部41は、制御ステータス通知部43を備えている。
【0019】
図4はクラウドサーバ6の構成を示すブロック図である。クラウドサーバ6は、センサ1と通信を行うための通信部60と、コントローラ4と通信を行うための通信部61と、センサ1を制御するための制御部62と、制御部62のプログラムを記憶する記憶部63とから構成される。制御部62は、中継処理部64と、状態監視部65と、センサ制御部66とを備えている。
【0020】
次に、本実施例の空調システムの動作について説明する。図5はセンサ1の動作を説明するフローチャート、図6はクラウドサーバ6の動作を説明するフローチャート、図7はコントローラ4の動作を説明するフローチャートである。
【0021】
センサ1の通信処理部14は、データ送信タイミングになると(図5ステップS100においてYES)、センサ回路部11が計測した、空調に関するデータと記憶部13に予め記憶されているセンサIDとを含むセンサデータを通信部10からクラウドサーバ6宛に送信する(図5ステップS101)。センサ1の動作モードが通常モードの場合、通信処理部14は、初期値として設定されたデータ送信周期毎にセンサデータを送信する。
【0022】
クラウドサーバ6の中継処理部64は、公衆回線2と通信部60とを介してセンサ1からのセンサデータを受信すると(図6ステップS200においてYES)、受信したセンサデータを通信部61からコントローラ4宛に転送する(図6ステップS201)。このとき、中継処理部64は、センサデータに付加されたセンサIDに基づいて転送先のコントローラ4を特定する。
【0023】
コントローラ4の制御部41は、公衆回線3と通信部40とを介してセンサデータを受信すると(図7ステップS300においてYES)、受信したセンサデータに基づいて制御対象空間8の空調機器5を制御する(図7ステップS301)。制御部41は、例えばセンサ1によって計測された室内温度が温度設定値と一致するように空調機器5を制御する。あるいは、制御部41は、例えばセンサ1によって計測された室内湿度が湿度設定値と一致するように空調機器5を制御してもよい。
【0024】
コントローラ4の制御ステータス通知部43は、制御対象空間8の現在の空調の状態を示す制御ステータスを通信部40からクラウドサーバ6宛に送信する(図7ステップS302)。制御ステータス通知部43は、例えば空調負荷大、空調負荷中、空調負荷小、空調停止、または空調再開といった制御ステータスを一定周期毎に送信する。
【0025】
制御ステータス通知部43は、例えば冷房時に空調機器5の風量が最大の状態、あるいは空調機器5に供給される熱媒の量を調節する制御弁の開度が最大の状態で、かつセンサ1によって計測された室内温度PVと温度設定値SPとの関係がPV>SP+α(αは所定の偏差)であれば、冷房時の空調負荷大と判定する。また、制御ステータス通知部43は、例えば暖房時に空調機器5の風量が最大の状態、あるいは空調機器5に供給される熱媒の量を調節する制御弁の開度が最大の状態で、かつセンサ1によって計測された室内温度PVと温度設定値SPとの関係がPV<SP-αであれば、暖房時の空調負荷大と判定する。
【0026】
制御ステータス通知部43は、例えば空調機器5の風量が一定風量以下、あるいは空調機器5に供給される熱媒の量を調節する制御弁の開度が一定開度以下であれば、空調負荷小と判定する。また、制御ステータス通知部43は、空調負荷が大でも小でもない場合を空調負荷中と判定する。
【0027】
クラウドサーバ6の状態監視部65は、公衆回線3と通信部61とを介してコントローラ4からの制御ステータスを受信すると(図6ステップS202においてYES)、制御ステータスに基づいて制御対象空間8の空調の状態を判定する(図6ステップS203)。本実施例では、空調が停止したかどうか、空調が再開したかどうかを判定する。
【0028】
クラウドサーバ6のセンサ制御部66は、状態監視部65によって制御対象空間8の空調停止が確認された場合(ステップS203においてYES)、通信部60を介してセンサ1に対して空調停止モード指示信号を送信する(図6ステップS204)。
【0029】
センサ1の通信処理部14は、公衆回線2と通信部10とを介してクラウドサーバ6からの空調停止モード指示信号を受信すると(図5ステップS102においてYES)、センサ1の動作モードを空調停止モードに変更する(図5ステップS103)。本実施例では、センサ1が空調停止モードになると、通信処理部14は、データ送信周期を初期値よりも長い所定値に変更する。変更後は、初期値よりも長いデータ送信周期でセンサデータがクラウドサーバ6に送信される。
【0030】
また、クラウドサーバ6のセンサ制御部66は、状態監視部65によって制御対象空間8の空調再開が確認された場合(図6ステップS205においてYES)、通信部60を介してセンサ1に対して通常モード指示信号を送信する(図6ステップS206)。
【0031】
センサ1の通信処理部14は、公衆回線2と通信部10とを介してクラウドサーバ6からの通常モード指示信号を受信すると(図5ステップS104においてYES)、センサ1の動作モードを通常モードに変更する(図5ステップS105)。通常モードへの変更により、通信処理部14は、データ送信周期を初期値に戻す。
【0032】
こうして、本実施例では、制御対象空間8の空調が停止すると、データ送信周期を通常モードのときの初期値よりも長い値に変更するので、データ通信量を減らすことができ、公衆回線2の通信費用を削減することができる。
【0033】
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例においても、空調システムの構成は第1の実施例と同様であるので、図1図4の符号を用いて説明する。
【0034】
図8は本実施例のクラウドサーバ6の動作を説明するフローチャートである。クラウドサーバ6のステップS200,S201の動作は第1の実施例で説明したとおりである。
クラウドサーバ6の状態監視部65は、公衆回線3と通信部61とを介してコントローラ4からの制御ステータスを受信すると(図8ステップS202においてYES)、制御対象空間8の空調が負荷小の状態であるかどうかを判定する(図8ステップS207)。
【0035】
クラウドサーバ6のセンサ制御部66は、状態監視部65によって制御対象空間8の空調が負荷小の状態であることが確認された場合(ステップS207においてYES)、通信部60を介してセンサ1に対して空調停止モード指示信号を送信する(図8ステップS208)。
【0036】
また、クラウドサーバ6のセンサ制御部66は、状態監視部65によって制御対象空間8の空調が負荷大または負荷中の状態であることが確認された場合(図8ステップS207においてNO)、通信部60を介してセンサ1に対して通常モード指示信号を送信する(図8ステップS209)。
センサ1の動作(図5)とコントローラ4の動作(図7)は、第1の実施例で説明したとおりである。
【0037】
外気温や室内の人数などによっては、空調負荷が小さい場合がある。空調負荷が小さい場合、室内環境の変動が小さいため、センサ1のデータ送信周期を長くしても空調制御に与える影響が少ない。そこで、本実施例では、空調負荷が小さいときに、データ送信周期を通常モードのときの初期値よりも長い値に変更することにより、データ通信量を減らすことができ、公衆回線2の通信費用を削減することができる。
【0038】
なお、空調負荷の大中小を判定する方法については第1の実施例で説明したが、第1の実施例で説明した方法だけでなく、外気温や室内の人数、空調機器5に戻る空気の温度を計測するリターン温度センサの計測値なども用いて空調負荷を決定するようにしてもよい。
【0039】
また、本実施例において、空調負荷が小さいと判断したときに、空調負荷の度合いによって、送信周期を変更してもよい。例えば、空調負荷が通常よりも20%小さいと判断した場合に、送信周期を通常よりも20%長く変更する場合や空調負荷を大・中・小と分類し、測定した空調負荷が「大」、「中」、「小」に該当する場合にそれぞれ予め決められた送信周期を適用する等の制御を行ってもよい。
【0040】
第1、第2の実施例では、センサ1が空調停止モードになったときにデータ送信周期を長期化しているが、センサデータの送信を完全に停止してもよい。この場合、センサ1の通信処理部14は、センサ1が通常モードに復帰したときにセンサデータの送信を再開することになる。
【0041】
また、第1、第2の実施例において、一部の機能については、クラウドサーバの機能をコントローラが行ったり、コントローラの機能をクラウドサーバが行ったりしてもよい。
【0042】
第1、第2の実施例のセンサ1、コントローラ4、クラウドサーバ6の各々は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置および外部とのインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図9に示す。コンピュータは、CPU100と、記憶装置101と、インタフェース装置(I/F)102とを備えている。
【0043】
センサ1の場合、I/F102には、通信部10のハードウェア、センサ回路部11のハードウェアなどが接続される。コントローラ4の場合、I/F102には、通信部40のハードウェア、空調機器5などが接続される。クラウドサーバ6の場合、I/F102には、通信部60,61のハードウェアなどが接続される。本発明の空調制御方法を実現するためのプログラムは、各装置の記憶装置101に格納される。各装置のCPU100は、記憶装置101に格納されたプログラムに従って第1、第2の実施例で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、空調システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…センサ、2,3…公衆回線、4…コントローラ、5…空調機器、6…クラウドサーバ、10,40,60,61…通信部、11…センサ回路部、12,41,62…制御部、13,42,63…記憶部、14…通信処理部、43…制御ステータス通知部、64…中継処理部、65…状態監視部、66…センサ制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9