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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042099
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】レーザモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0233 20210101AFI20230317BHJP
   H01S 5/0237 20210101ALI20230317BHJP
   H01L 23/32 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
H01S5/0233
H01S5/0237
H01L23/32 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149206
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内海 則夫
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MC12
5F173MC18
5F173MD05
5F173MD07
5F173MD23
5F173MD65
5F173MD84
5F173ME15
5F173ME54
5F173ME56
5F173ME67
5F173ME83
5F173ME84
5F173MF03
5F173MF33
5F173MF39
(57)【要約】
【課題】レーザ素子の放熱性を確保しつつ、表面張力による接合材の盛り上がりを抑える。
【解決手段】サブマウント45には、レーザ素子40が載置される。第1ブロック10には、サブマウント45が載置される。サブマウント45と第1ブロック10との間には、接合材46が設けられる。第1ブロック10におけるレーザ素子40の発光面側の側面には、突出部15が設けられる。突出部15は、サブマウント45よりも下方でレーザ光LBの出射方向の前方に突出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ素子を備えたレーザモジュールであって、
前記レーザ素子が載置されたサブマウントと、
前記サブマウントが載置された第1ブロックと、
前記サブマウントと前記第1ブロックとの間に設けられ、前記サブマウントと前記第1ブロックとを接合する導電性の接合材と、を備え、
前記第1ブロックにおける前記レーザ素子の発光面側の側面には、前記サブマウントよりも下方で前記レーザ光の出射方向の前方に突出する突出部が設けられる
レーザモジュール。
【請求項2】
請求項1のレーザモジュールにおいて、
前記突出部の少なくとも上面は、側面視で三角形状に形成される
レーザモジュール。
【請求項3】
請求項1のレーザモジュールにおいて、
前記突出部の少なくとも上面は、側面視でカテナリー曲線に沿って延びる凹面状に形成される
レーザモジュール。
【請求項4】
請求項1のレーザモジュールにおいて、
前記突出部の少なくとも上面は、側面視で湾曲状に突出した形状に形成される
レーザモジュール。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1つのレーザモジュールにおいて、
前記突出部は、前記第1ブロックの厚み方向に直交する幅方向に間隔をあけて複数設けられる
レーザモジュール。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1つのレーザモジュールにおいて、
前記レーザ素子の発光面よりも出射方向の前方に配置された光学系ユニットを備え、
前記光学系ユニットの下端部は、前記レーザ光の出射方向から見て前記第1ブロックに重なり合う位置まで延び、
前記突出部の突出量は、前記突出部に接触して濡れ拡がった前記接合材と前記光学系ユニットの下端部との距離D1、前記レーザ素子の発光面と前記光学系ユニットとの距離D2が、D1>D2となるように設定される
レーザモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザ素子が接合されたサブマウントが、ヒートシンクの表面上に第2のはんだ層を介して接合された半導体レーザ装置が開示されている。
【0003】
ここで、第2のはんだ層を形成する際の余剰の接合材(はんだ)は、サブマウントとヒートシンクとの間からレーザ素子の出射側に漏れ出して表面張力によって盛り上がり、サブマウントの周側面に沿ってはんだ昇りが生じることがある。
【0004】
特許文献1には、ヒートシンクの側端部に面取り部を形成して余剰はんだ収容空間を設けることで、余剰の接合材が余剰はんだ収容空間に流れ込んで溜まり、その結果、サブマウントの周側面に沿ってはんだ昇りが生じることを抑えるようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-175565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の発明では、サブマウントとヒートシンクとを接触させるべき面の一部を面取り加工しているため、最も高温となるレーザ素子の発光面で生じた熱が、ヒートシンクに放熱され難くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、レーザ素子の放熱性を確保しつつ、表面張力による接合材の盛り上がりを抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、レーザ光を出射するレーザ素子を備えたレーザモジュールであって、前記レーザ素子が載置されたサブマウントと、前記サブマウントが載置された第1ブロックと、前記サブマウントと前記第1ブロックとの間に設けられ、前記サブマウントと前記第1ブロックとを接合する導電性の接合材と、を備え、前記第1ブロックにおける前記レーザ素子の発光面側の側面には、前記サブマウントよりも下方で前記レーザ光の出射方向の前方に突出する突出部が設けられる。
【0009】
第1の発明では、サブマウントには、レーザ素子が載置される。第1ブロックには、サブマウントが載置される。サブマウントと第1ブロックとの間には、接合材が設けられる。第1ブロックにおけるレーザ素子の発光面側の側面には、突出部が設けられる。突出部は、サブマウントよりも下方でレーザ光の出射方向の前方に突出する。
【0010】
このように、サブマウントよりも下方に突出部を設けることで、サブマウントと第1ブロックとの間から漏れ出した接合材が、突出部に接触して濡れ拡がり、接合材が表面張力によって盛り上がるのを抑えることができる。これにより、接合材がレーザ素子の発光面に付着するのを抑えることができる。
【0011】
また、従来のように、第1ブロックの一部を削って余剰の接合材を収納する空間を設ける必要が無く、サブマウントと第1ブロックの接触面積を十分に確保して、レーザ素子の放熱性が低下するのを抑えることができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明のレーザモジュールにおいて、前記突出部の少なくとも上面は、側面視で三角形状に形成される。
【0013】
第2の発明では、突出部の少なくとも上面を側面視で三角形状に形成することで、サブマウントと第1ブロックとの間から漏れ出した接合材を、突出部の突出端部まで流して濡れ性を確保することができる。
【0014】
第3の発明は、第1の発明のレーザモジュールにおいて、前記突出部の少なくとも上面は、側面視でカテナリー曲線に沿って延びる凹面状に形成される。
【0015】
第3の発明では、突出部の少なくとも上面を側面視でカテナリー曲線に沿って延びる凹面状に形成することで、サブマウントと第1ブロックとの間から漏れ出した接合材を、突出部の突出端部まで流して濡れ性を確保することができる。
【0016】
第4の発明は、第1の発明のレーザモジュールにおいて、前記突出部の少なくとも上面は、側面視で湾曲状に突出した形状に形成される。
【0017】
第4の発明では、突出部の少なくとも上面を側面視で湾曲状に突出した形状に形成することで、サブマウントと第1ブロックとの間から漏れ出した接合材を、突出部の突出端部まで流して濡れ性を確保することができる。
【0018】
第5の発明は、第1~4の発明の何れか1つのレーザモジュールにおいて、前記突出部は、前記第1ブロックの厚み方向と直交する幅方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0019】
第5の発明では、突出部を複数設けることで、隣り合う突出部の間にスリット状の隙間が設けられる。サブマウントと第1ブロックとの間から漏れ出した接合材が、スリット状の隙間にも流れ込むことで、接合材が表面張力によって盛り上がるのをさらに抑えることができる。
【0020】
第6の発明は、第1~5の発明の何れか1つのレーザモジュールにおいて、前記レーザ素子の発光面よりも出射方向の前方に配置された光学系ユニットを備え、前記光学系ユニットの下端部は、前記レーザ光の出射方向から見て前記第1ブロックに重なり合う位置まで延び、前記突出部の突出量は、前記突出部に接触して濡れ拡がった前記接合材と前記光学系ユニットの下端部との距離D1、前記レーザ素子の発光面と前記光学系ユニットとの距離D2が、D1>D2となるように設定される。
【0021】
第6の発明では、光学系ユニットがレーザ素子の発光面よりも出射方向の前方に配置される。そして、突出部の突出量を、D1>D2となるように設定することで、レーザ素子の発光面と光学系ユニットとを適切な距離に配置することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、レーザ素子の放熱性を確保しつつ、表面張力による接合材の盛り上がりを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係るレーザモジュールの構成を示す平面図である。
図2】レーザモジュールの構成を示す側面断面図である。
図3】レーザモジュールの構成を示す正面図である。
図4】接合材が濡れ拡がった状態を説明する斜視図である。
図5】レーザモジュールの構成を示す斜視図である。
図6】接合材のはみ出し量と突出部の突出長さとの関係を説明する斜視図である。
図7】本変形例1に係るレーザモジュールの構成を示す側面断面図である。
図8】本変形例2に係るレーザモジュールの構成を示す側面断面図である。
図9】本変形例3に係るレーザモジュールの構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
図1図5に示すように、レーザモジュール1は、第1ブロック10と、第2ブロック20と、絶縁層30と、レーザ素子40と、サブマウント45と、光学系ユニット50と、を有する。
【0026】
第1ブロック10は、導電性を有する。第1ブロック10は、主に銅(Cu)で構成される。第1ブロック10では、銅製のブロックに対して、ニッケル(Ni)と金(Au)とが順番にメッキされる。第1ブロック10には、水冷ジャケット60(図4参照)が接続される。
【0027】
第1ブロック10の上面には、載置部11が設けられる。載置部11は、第1ブロック10の上面の一部を窪ませることで形成される。載置部11は、レーザ光LBの出射方向(図1に矢印線で示す方向)の側の端部に設けられる。載置部11には、レーザ素子40と、サブマウント45と、が配置される。
【0028】
なお、載置部11の深さ(高さ)は、レーザ素子40、サブマウント45、後述するバンプ48、及び絶縁層30のそれぞれの厚さを考慮して設定される。
【0029】
絶縁層30は、絶縁性を有する。絶縁層30は、ポリイミドやセラミックなどで構成される。絶縁層30は、第1ブロック10の上面において載置部11の周りを囲むように配置される。
【0030】
レーザ素子40は、図示しない複数のエミッタを有する。レーザ素子40は、下面が正電極40a(第1電極)であり、上面が負電極40b(第2電極)である。レーザ素子40は、正電極40aから負電極40bに向かって電流が流れると、発光面において複数のエミッタのそれぞれからレーザ光LBを出射する。レーザ素子40は、サブマウント45に載置される。
【0031】
レーザ素子40の発光面(図1で右端面)は、サブマウント45の端面(図1で右端面)よりも出射方向の前方に突出して配置される。つまり、レーザ素子40の発光面は、第1ブロック10の端面(図1で右端面)よりもレーザ光LBの出射方向の前方に突出している。
【0032】
サブマウント45は、導電性を有する。サブマウント45は、例えば、はんだなどの接合材46によって、第1ブロック10の載置部11に接合される。サブマウント45の端面(図1で右端面)は、第1ブロック10の端面(図1で右端面)と略同じ位置、又は第1ブロック10の端面よりも前方に突出して配置される。
【0033】
なお、サブマウント45は、例えば、熱伝導率が高い窒化アルミニウム(AlN)で構成するのが好ましいが、アルミナ、シリコンなどの他の材料で構成してもよい。
【0034】
第1ブロック10は、サブマウント45を介してレーザ素子40の正電極40aと電気的に接続する電極ブロックとしての機能を有する。レーザ素子40の負電極40bには、バンプ48が設けられる(図3参照)。
【0035】
バンプ48は、導電性を有する。バンプ48は、主に金(Au)で構成される。バンプ48は、レーザ素子40の負電極40b上に複数設けられる。
【0036】
バンプ48は、溶融によって先端が球状になった金ワイヤを負電極40bに接触させ、超音波を与えることで負電極40bに接合される。バンプ48は、レーザ素子40の負電極40bと電気的に接続される。
【0037】
第2ブロック20は、導電性を有する。第2ブロック20は、主に銅(Cu)で構成される。第2ブロック20では、銅製のブロックに対して、ニッケル(Ni)と金(Au)とが順番にメッキされる。第2ブロック20は、第1ブロック10に対向して配置される。
【0038】
第2ブロック20は、レーザ素子40及び絶縁層30の上に設けられる。第2ブロック20は、バンプ48を介してレーザ素子40と電気的に接続される。第2ブロック20は、レーザ素子40の負電極40bと電気的に接続する電極ブロックとしての機能を有する。
【0039】
第2ブロック20は、第2ブロック20の下面であって、レーザ素子40に向かい合う領域以外の領域において、絶縁層30と密着される。
【0040】
このような構成のレーザモジュール1では、レーザ素子40の正電極40aから負電極40bに向かって電流が流れると、レーザ素子40の発光面からレーザ光LBが出力される。このとき、レーザ素子40で生じた熱は、第1ブロック10及び第2ブロック20へ伝わって放熱される。
【0041】
〈光学系ユニットについて〉
光学系ユニット50は、レーザ素子40の発光面よりも出射方向の前方に配置される。光学系ユニット50の下端部は、レーザ光LBの出射方向から見て第1ブロック10に重なり合う位置まで延びる。光学系ユニット50は、コリメートレンズ51と、ビームツイスタ52と、保持部53と、を有する。
【0042】
コリメートレンズ51は、レーザ素子40の発光面に対向して配置される。コリメートレンズ51は、レーザ素子40から出射されたレーザ光LBのファースト軸方向の拡がりを平行化する。
【0043】
コリメートレンズ51は、平面と曲面とを有する。図2に示す例では、コリメートレンズ51の平面をレーザ素子40側に、コリメートレンズ51の曲面をレーザ素子40とは反対側に配置している。なお、コリメートレンズ51の曲面をレーザ素子40側に、コリメートレンズ51の平面をレーザ素子40とは反対側に配置しても構わない。
【0044】
ビームツイスタ52は、コリメートレンズ51を挟んでレーザ素子40とは反対側に配置される。ビームツイスタ52は、レーザ素子40から出射されてコリメートレンズ51を透過したレーザ光LBを、約90度旋回させる。
【0045】
保持部53は、コリメートレンズ51及びビームツイスタ52を保持するとともに、コリメートレンズ51及びビームツイスタ52の位置関係を規定する。保持部53は、例えば、ガラス板で構成される。保持部53は、コリメートレンズ51及びビームツイスタ52の上部に設けられる。保持部53は、接着剤55によって、第2ブロック20の端面(図2で右端面)に取り付けられる。
【0046】
なお、保持部53は、コリメートレンズ51及びビームツイスタ52の下部に設けられた構成としてもよい。この場合、保持部53は、接着剤55によって、第1ブロック10の端面(図2で右端面)に取り付けられる。
【0047】
光学系ユニット50では、レーザ素子40から出射されたレーザ光LBを、最初にコリメートレンズ51によってファースト軸方向で平行化することで、ファースト軸方向のレーザ光LBの拡がりを最小限に抑えることができる。
【0048】
さらに、コリメートレンズ51を透過したレーザ光LBを、ビームツイスタ52によって旋回させることで、スロー軸方向の拡がりに関しても、レーザ素子40における隣接するエミッタとの重なりを最小限に抑えて回避できる。
【0049】
これにより、レーザ素子40における複数のエミッタの幅に応じて、ピッチ(配置間隔)を最小限にすることが可能となり、高いビーム品質で、高出力のレーザ光を出力することが可能となる。
【0050】
〈突出部について〉
ところで、接合材46を用いて、サブマウント45を第1ブロック10の載置部11に接合する際には、サブマウント45の下面全体に接合材46を行き渡らせるために、サブマウント45の表面積と、あらかじめ定められた接合材46の厚さにより、求められる体積よりも多めの量の接合材46を供給する必要がある。
【0051】
そのため、サブマウント45を第1ブロック10側に押し付けると、サブマウント45と第1ブロック10との間からレーザ光LBの出射方向の前方に向かって接合材46が漏れ出すこととなる。
【0052】
漏れ出した接合材46は、表面張力によって盛り上がり、サブマウント45の側面に沿って上昇していくことで、レーザ素子40の発光面に付着してしまい、エミッタ不良が発生するおそれがある。また、レーザ光LBの出射方向から見て、第1ブロック10と光学系ユニット50とが重なり合う領域に、接合材46の盛り上がりが発生した場合、レーザ素子40と光学系ユニット50とを適切な距離に配置することができないおそれがある。
【0053】
そこで、本実施形態では、レーザ光LBの出射方向の前方に漏れ出した接合材46が、表面張力によって盛り上がるのを抑えることができるようにした。
【0054】
具体的に、図1図3に示すように、第1ブロック10は、突出部15を有する。突出部15は、第1ブロック10の端面(図1で右端面)に設けられる。突出部15は、サブマウント45よりも下方に配置される。突出部15は、サブマウント45の端面(図1で右端面)よりも前方に突出する。
【0055】
突出部15は、第1ブロック10の端面に沿って幅方向(図3で左右方向)に延びる。突出部15は、側面視で三角形状に形成される(図2参照)。突出部15の突出量は、突出部15に接触して濡れ拡がった接合材46と光学系ユニット50の下端部との距離D1、レーザ素子40の発光面と光学系ユニット50との距離D2が、D1>D2となるように設定される。
【0056】
なお、図2に示す例では、突出部15の上面及び下面が、側面視で三角形状に形成されているが、接合材46を受け止める面である突出部15の上面が、側面視で三角形状に形成されていればよい。
【0057】
サブマウント45と第1ブロック10との間から漏れ出した接合材46は、第1ブロック10の側面に沿って突出部15に向かって流れる。接合材46は、突出部15に沿って濡れ拡がり、側面視でいわゆるカテナリー曲線状(懸垂線状)の断面形状となる。
【0058】
このような構成とすれば、レーザ光LBの出射方向の前方に漏れ出した接合材46が、表面張力によって盛り上がるのを抑えることができる。これにより、サブマウント45を第1ブロック10に接合材46で接合するのにあたって、レーザ素子40の発光面に接合材46が回り込んで付着するのを抑えることができる。また、レーザ素子40の発光面と光学系ユニット50とを適切な距離に配置することができる。
【0059】
〈接合材のはみ出し量と突出部の突出長さとの関係について〉
以下、接合材46のはみ出し量と、突出部15の突出長さとの関係について検討する。図6に示すように、サブマウント45と第1ブロック10の載置部11との間に供給された接合材46が、サブマウント45と第1ブロック10との幅方向の中央位置において漏れ出し、表面張力によって1つの水滴状に盛り上がった状態になったとする。このときの接合材46のはみ出し量の体積をVとする。
【0060】
その後、水滴状の接合材46が流れ落ちて突出部15の上面に接触したときに、接合材46が側面視でカテナリー曲線に沿った凹面状に濡れ拡がった状態となったとする。図6の仮想線で囲まれた部分の断面積をSとする。また、接合材46が突出部15の上面に沿って幅方向に長さLだけ濡れ拡がったものとする。
【0061】
ここで、突出部15の突出長さをa、突出部15の基端部における上下方向の長さをbとすると、接合材46のはみ出し量の体積Vは、V=(S-(1/4)×a×b)×Lで表される。
【0062】
よって、突出部15の突出長さaは、a=4×(1/b)×(S-V/L)で表され、突出部15の形状を設計する際の目安とすることができる。例えば、接合材46のはみ出し量の体積Vが多くなるほど、突出部15の突出長さaを長くすればよい。また、接合材46が幅方向に濡れ拡がる長さLが長くなるほど、突出部15の突出長さaが短くて済む。
【0063】
〈第1ブロック及び第2ブロックの締結構造について〉
図1に示すように、第1ブロック10には、第1ネジ穴12と、第2ネジ孔13と、第1端子孔14と、が設けられる。第1ネジ穴12は、レーザ光LBの出射方向と直交する方向に間隔をあけて2つ設けられる。2つの第1ネジ穴12の間には、載置部11が設けられる。
【0064】
第2ネジ孔13は、レーザ光LBの出射方向と直交する方向に間隔をあけて2つ設けられる。第2ネジ孔13は、第1ネジ穴12に対してレーザ光LBの出射方向とは反対側に設けられる。
【0065】
第1端子孔14は、第1ブロック10におけるレーザ光LBの出射方向とは反対の端部に設けられる。つまり、第1端子孔14は、第1ブロック10における載置部11とは反対の端部側に設けられる。第1端子孔14は、ネジ孔で構成される。第1端子孔14には、電源用の接続端子が接続される。
【0066】
第2ブロック20には、第1貫通孔22と、第2貫通孔23と、第2端子穴24と、が設けられる。第1貫通孔22は、第1ブロック10の第1ネジ穴12に対応した位置に設けられる。第1貫通孔22は、第1ブロック10と第2ブロック20とを締結する導電性ネジ35の頭部が入り込めるようにザグリ孔で形成される。
【0067】
第2貫通孔23は、第1ブロック10の第2ネジ孔13に対応した位置に設けられる。
【0068】
第2端子穴24は、第2ブロック20の中央部に設けられる。第2端子穴24には、電源用の接続端子が接続される。
【0069】
第1ブロック10と第2ブロック20とは、導電性ネジ35によって締結される。導電性ネジ35は、第2ブロック20の第1貫通孔22と、第1ブロック10の第1ネジ穴12とに差し込まれる。
【0070】
導電性ネジ35と第2ブロック20との間には、図示しない絶縁部材が設けられる。これにより、第1ブロック10と第2ブロック20とを、互いに電気的に絶縁された状態で締結することができる。
【0071】
また、レーザモジュール1と水冷ジャケット60(図5参照)との間には、図示しない絶縁部材が設けられる。これにより、レーザモジュール1、つまり第1ブロック10及び第2ブロック20と、水冷ジャケット60とを、図示しないネジによって、互いに電気的に絶縁された状態で締結することができる。
【0072】
《変形例1》
以下、前記実施形態と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0073】
図7に示すように、突出部15は、サブマウント45よりも下方に配置される。突出部15は、サブマウント45の端面よりも前方に突出する。突出部15は、側面視でカテナリー曲線に沿って延びる凹面状に形成される。これにより、サブマウント45と第1ブロック10との間から漏れ出した接合材46を、突出部15の突出端部まで流して濡れ性を確保することができる。
【0074】
なお、図7に示す例では、突出部15の上面及び下面が、側面視でカテナリー曲線に沿って延びる凹面状に形成されているが、接合材46を受け止める面である突出部15の上面が、側面視でカテナリー曲線に沿って延びる凹面状に形成されていればよい。
【0075】
《変形例2》
図8に示すように、突出部15は、サブマウント45よりも下方に配置される。突出部15は、サブマウント45の端面よりも前方に突出する。突出部15は、側面視で湾曲状に突出した形状に形成される。これにより、サブマウント45と第1ブロック10との間から漏れ出した接合材46を、突出部15の突出端部まで流して濡れ性を確保することができる。
【0076】
なお、図8に示す例では、突出部15の上面及び下面が、側面視で湾曲状に突出した形状に形成されているが、接合材46を受け止める面である突出部15の上面が、側面視で湾曲状に突出した形状に形成されていればよい。
【0077】
《変形例3》
図9に示すように、突出部15は、第1ブロック10の厚み方向と直交する幅方向(図9で左右方向)に間隔をあけて複数設けられる。
【0078】
このように、突出部15を複数設けることで、隣り合う突出部15の間にスリット状の隙間が設けられる。サブマウント45と第1ブロック10との間から漏れ出した接合材46が、スリット状の隙間にも流れ込むことで、接合材46が表面張力によって盛り上がるのをさらに抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上説明したように、本発明は、レーザ素子の放熱性を確保しつつ、レーザ素子の発光面に接合材が付着するのを抑えることができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0080】
1 レーザモジュール
10 第1ブロック
15 突出部
40 レーザ素子
45 サブマウント
46 接合材
50 光学系ユニット
LB レーザ光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9