(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042111
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】車両俯瞰画像生成装置、監視システム、および車両俯瞰画像生成方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149222
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】関谷 眞
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054CE14
5C054FC11
5C054FD03
5C054FF05
5C054HA18
(57)【要約】
【課題】建物に入出庫する車両の周囲の状況を精度良く監視するための画像情報を生成することが可能な、車両俯瞰画像生成装置および車両俯瞰画像生成方法を提供する。
【解決手段】監視対象の建物の出入り口付近の監視エリアを撮影する複数の監視カメラ装置10-1~10-3に接続され、監視エリア内を俯瞰する複数の視点位置の情報を保持する視点位置情報保持部32と、複数の監視カメラ装置で撮影された撮像情報を取得する撮像情報取得部33と、車両の位置情報を取得する車両位置情報取得部34と、車両が監視エリアに進入したときの車両の位置情報に基づいて対応する視点位置を特定する視点位置特定部35と、撮像情報取得部33で取得した撮像情報を用いて、特定した視点位置から前記監視エリア内に進入した車両を俯瞰した画像情報を生成する俯瞰画像生成部36とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象の車両の上部よりも高い位置に設置され、監視対象の建物の出入り口付近の監視エリアを撮影する複数の監視カメラ装置に接続され、
予め設定された、前記監視エリア内を俯瞰する複数の視点位置の情報を保持する視点位置情報保持部と、
前記複数の監視カメラ装置で撮影された撮像情報を取得する撮像情報取得部と、
前記車両の位置情報を取得する車両位置情報取得部と、
前記車両が前記監視エリアに進入したときに、前記車両位置情報取得部で取得された前記車両の位置情報に基づいて前記視点位置情報保持部に保持された中から対応する視点位置を特定する視点位置特定部と、
前記撮像情報取得部で取得した撮像情報を用いて、前記視点位置特定部で特定した視点位置から前記監視エリア内に進入した車両を俯瞰した画像情報を生成する俯瞰画像生成部と、を備えた車両俯瞰画像生成装置。
【請求項2】
前記監視カメラ装置は有線で接続される、請求項1に記載の車両俯瞰画像生成装置。
【請求項3】
前記監視エリアは、前記建物外部の前記出入り口付近にある第1監視エリアおよび前記建物内の前記出入り口付近にある第2監視エリアを含む、請求項1または2に記載の車両俯瞰画像生成装置。
【請求項4】
前記車両は、牽引車両と、荷物を積載する被牽引車両とで構成され、
前記視点位置特定部は、前記牽引車両が前記監視エリアに進入したときに、前記車両位置情報取得部で取得された前記車両の位置情報に基づいて前記視点位置情報保持部に保持された中から、前記牽引車両の所定位置に最も近い視点位置を特定する、請求項1~3いずれか1項に記載の車両俯瞰画像生成装置。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の車両俯瞰画像生成装置と、前記車両俯瞰画像生成装置に通信接続された監視装置とを備え、
前記車両は荷物を積載して搬送する搬送車であり、
前記車両俯瞰画像生成装置は、
前記俯瞰画像生成部で生成した画像情報を前記監視装置に出力する出力部をさらに備え、
前記監視装置は、
前記車両俯瞰画像生成装置から取得した俯瞰画像情報を解析することで、前記車両の周囲の状況を認識して前記車両の車体または積載物が前記出入り口に接触するおそれがあるか否かを判断する判断部と、
前記判断部で前記車両の車体または積載物が前記出入り口に接触するおそれがあると判断されたときに、前記車両の走行を停止させるかまたは、走行方向を変更させる運転指示を前記車両に送信する運転指示部とを有する、監視システム。
【請求項6】
監視対象の車両の上部よりも高い位置に設置され、監視対象の建物の出入り口付近の監視エリアを撮影する複数の監視カメラ装置に接続された車両俯瞰画像生成装置が、
予め設定された、前記監視エリア内を俯瞰する複数の視点位置の情報を保持する視点位置情報保持ステップと、
前記複数の監視カメラ装置で撮影された撮像情報を取得する撮像情報取得ステップと、
前記車両の位置情報を取得する車両位置情報取得ステップと、
前記車両が前記監視エリアに進入したときに、前記車両位置情報取得ステップで取得された前記車両の位置情報に基づいて前記視点位置情報保持ステップに保持された中から対応する視点位置を特定する視点位置特定ステップと、
前記撮像情報取得ステップで取得した撮像情報を用いて、前記視点位置特定ステップで特定した視点位置から前記監視エリア内に進入した車両を俯瞰した画像情報を生成する俯瞰画像生成ステップと、を有する車両俯瞰画像生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両俯瞰画像生成装置、監視システム、および車両俯瞰画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トレーラーやトラクターなど、荷物を積載して搬送する大型の車両が倉庫等の建物に入庫または出庫する際に、積載した荷物が建物の出入口に接触すると荷物が崩れ落ちる可能性がある。そのため、これらの車両が建物に出入りする際には、建物の出入口を通過可能な範囲で荷物を積載しておく必要がある。
【0003】
これに対応するために、車両に設置したカメラ装置で周囲を撮影して車両の周囲画像を生成することで、当該搬送車が安全に建物に進入可能であるか否かを監視するシステムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述したシステムを用いて大型の車両の監視を行う場合、死角が発生しないように周囲画像を生成するには多数のカメラ装置を当該車両に設置する必要があり、システム構成が煩雑になるという問題があった。
【0006】
本開示は上記事情に鑑みてなされたものであり、建物に入出庫する車両の周囲の状況を精度良く監視するための画像情報を生成することが可能な車両俯瞰画像生成装置、監視システム、および車両俯瞰画像生成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る車両俯瞰画像生成装置は、監視対象の車両の上部よりも高い位置に設置され、監視対象の建物の出入り口付近の監視エリアを撮影する複数の監視カメラ装置に接続され、予め設定された、前記監視エリア内を俯瞰する複数の視点位置の情報を保持する視点位置情報保持部と、前記複数の監視カメラ装置で撮影された撮像情報を取得する撮像情報取得部と、前記車両の位置情報を取得する車両位置情報取得部と、前記車両が前記監視エリアに進入したときに、前記車両位置情報取得部で取得された前記車両の位置情報に基づいて前記視点位置情報保持部に保持された中から対応する視点位置を特定する視点位置特定部と、前記撮像情報取得部で取得した撮像情報を用いて、前記視点位置特定部で特定した視点位置から前記監視エリア内に進入した車両を俯瞰した画像情報を生成する俯瞰画像生成部とを備える。
【0008】
前記監視カメラ装置は有線で接続されていてもよい。
【0009】
前記監視エリアは、前記建物外部の前記出入り口付近にある第1監視エリアおよび前記建物内の前記出入り口付近にある第2監視エリアを含んでいてもよい。
【0010】
前記車両は、牽引車両と、荷物を積載する被牽引車両とで構成され、前記視点位置特定部は、前記牽引車両が前記監視エリアに進入したときに、前記車両位置情報取得部で取得された前記車両の位置情報に基づいて前記視点位置情報保持部に保持された中から、前記牽引車両の所定位置に最も近い視点位置を特定してもよい。
【0011】
また、本開示に係る監視システムは、前記車両俯瞰画像生成装置と、前記車両俯瞰画像生成装置に通信接続された監視装置とを備え、前記車両は荷物を積載して搬送する搬送車であり、
前記車両俯瞰画像生成装置は、前記俯瞰画像生成部で生成した画像情報を前記監視装置に出力する出力部をさらに備え、前記監視装置は、前記車両俯瞰画像生成装置から取得した俯瞰画像情報を解析することで、前記車両の周囲の状況を認識して前記車両の車体または積載物が前記出入り口に接触するおそれがあるか否かを判断する判断部と、前記判断部で前記車両の車体または積載物が前記出入り口に接触するおそれがあると判断されたときに、前記車両の走行を停止させるかまたは、走行方向を変更させる運転指示を車両Dに送信する運転指示部とを有する。
【0012】
また本開示に係る車両俯瞰画像生成方法は、監視対象の車両の上部よりも高い位置に設置され、監視対象の建物の出入り口付近の監視エリアを撮影する複数の監視カメラ装置に接続された車両俯瞰画像生成装置が、予め設定された、前記監視エリア内を俯瞰する複数の視点位置の情報を保持する視点位置情報保持ステップと、前記複数の監視カメラ装置で撮影された撮像情報を取得する撮像情報取得ステップと、前記車両の位置情報を取得する車両位置情報取得ステップと、前記車両が前記監視エリアに進入したときに、前記車両位置情報取得ステップで取得された前記車両の位置情報に基づいて前記視点位置情報保持ステップに保持された中から対応する視点位置を特定する視点位置特定ステップと、前記撮像情報取得ステップで取得した撮像情報を用いて、前記視点位置特定ステップで特定した視点位置から前記監視エリア内に進入した車両を俯瞰した画像情報を生成する俯瞰画像生成ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本開示の車両俯瞰画像生成装置、監視システム、および車両俯瞰画像生成方法によれば、建物に入出庫する車両の周囲の状況を精度良く監視するための画像情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る監視システムの構成を示す全体図である。
【
図2】一実施形態に係る監視システムで監視する建物およびその周辺を上から見た図である。
【
図3】一実施形態に係る車両俯瞰画像生成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】一実施形態に係る監視システムで監視する建物に車両が入庫するときの状態を上から見た図である。
【
図5】一実施形態に係る車両俯瞰画像生成装置で生成された、建物に入庫する車両の俯瞰画像の一例を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る監視システムで監視する建物から車両が出庫するときの状態を上から見た図である。
【
図7】一実施形態に係る車両俯瞰画像生成装置で生成された、建物にから出庫する車両の俯瞰画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〈一実施形態による監視システムの構成〉
一実施形態による監視システム1の構成について、
図1を参照して説明する。本実施形態による監視システム1は、建物Bの出入り口である開口部Cから建物Bに出入りする車両Dを監視するシステムである。監視システム1は、3台の監視カメラ装置(第1監視カメラ装置10-1、第2監視カメラ装置10-2、および第3監視カメラ装置10-3)と、これらの監視カメラ装置に通信線20で接続された車両俯瞰画像生成装置30と、遠隔監視装置40とを備える。
【0016】
本実施形態において車両Dは自動運転機能を有し、牽引車両であるトラクターd1と、トラクターd1により牽引される被牽引車両であるトレーラーd2とで構成され、トレーラーd2に荷物を積載して搬送する大型の無人搬送車である。
【0017】
第1監視カメラ装置10-1、第2監視カメラ装置10-2、および第3監視カメラ装置10-3の撮影範囲について、
図2を参照して説明する。
図2は、建物Bおよびその周辺を上から見た図である。第1監視カメラ装置10-1は建物Bの外部の監視対象の車両D上部よりも高い位置に設置され、建物B外部の開口部C付近にある第1監視エリアE1を含む範囲を撮影する。第2監視カメラ装置10-2は建物Bの内部の車両D上部よりも高い位置に設置され、建物B内の開口部C付近にある第2監視エリアE2を含む範囲を撮影する。第3監視カメラ装置10-3は開口部Cの上部に設置され、第1監視エリアE1および第2監視エリアE2を含む範囲を撮影する。
【0018】
図1に戻り、車両俯瞰画像生成装置30は、カメラ情報保持部31と、視点位置情報保持部32と、撮像情報取得部33と、車両位置情報取得部34と、視点位置特定部35と、俯瞰画像生成部36と、出力部37とを有する。
【0019】
カメラ情報保持部31は、第1監視カメラ装置10-1、第2監視カメラ装置10-2、第3監視カメラ装置10-3それぞれの設置位置を示す情報、注視点を示す情報、上方向ベクトルを示す情報、垂直画角を示す情報、および水平画角を示す情報を保持する。
【0020】
視点位置情報保持部32は、第1監視エリアE1および第2監視エリアE2内を俯瞰する位置に自由視点として予め設定された、複数の視点位置情報を保持する。撮像情報取得部33は、第1監視カメラ装置10-1、第2監視カメラ装置10-2、および第3監視カメラ装置10-3で撮影された撮像情報を取得する。
【0021】
車両位置情報取得部34は、第1監視エリアE1および第2監視エリアE2の位置情報を予め保持する。そして車両位置情報取得部34は、カメラ情報保持部31に保持された情報および撮像情報取得部33で取得された情報に基づいて、第1監視エリアE1または第2監視エリアE2に車両Dが進入したか否かを監視する。また車両位置情報取得部34は、第1監視エリアE1または第2監視エリアE2に進入した車両Dの位置情報を取得する。
【0022】
視点位置特定部35は、車両位置情報取得部34で車両Dが第1監視エリアE1または第2監視エリアE2に進入したと判定されると、取得された車両Dの位置情報に基づいて、視点位置情報保持部32に保持された中から対応する視点位置を特定する。
【0023】
俯瞰画像生成部36は、撮像情報取得部33で取得した撮像情報を用いて、視点位置特定部35で特定した視点位置から第1監視エリアE1または第2監視エリアE2内に進入した車両Dの俯瞰画像情報を生成する。出力部37は、俯瞰画像生成部36で生成された俯瞰画像情報を遠隔監視装置40に出力する。
【0024】
遠隔監視装置40は、建物Bの遠隔地に設置され、表示部41と、判断部42と、運転指示部43とを有する。表示部41は、車両俯瞰画像生成装置30から出力された俯瞰画像情報を表示する。判断部42は、車両俯瞰画像生成装置30から出力された俯瞰画像情報を解析することで、車両Dの周囲の状況を認識して車両Dの車体や積載物が、出入り口である開口部Cに接触するおそれがあるか否かを判断する。運転指示部43は、判断部42で車両Dの車体や積載物が開口部Cに接触するおそれがあると判断されたときに、車両Dの走行を停止させるかまたは、走行方向を変更させる運転指示を車両Dに送信する。
【0025】
〈一実施形態による監視システムの動作〉
次に、本実施形態による監視システム1の動作について説明する。カメラ情報保持部31には、第1監視カメラ装置10-1の設置位置を示す情報として、建物Bの左前方の角を基準点Qとし、横方向をx軸、奥行き方向をy軸、高さ方向をz軸としたときの第1カメラ位置座標(x11,y11,z11)が保持されている。また同様に、カメラ情報保持部31には、第2監視カメラ装置10-2の設置位置を示す情報として、第2カメラ位置座標(x12,y12,z12)が保持されている。また同様に、カメラ情報保持部31には、第3監視カメラ装置10-3の設置位置を示す情報として第3カメラ位置座標(x13,y13,z13)が保持されている。
【0026】
また、カメラ情報保持部31には、第1監視カメラ装置10-1の注視点を示す情報として、第1カメラ注視点座標(x21,y21,z21)が保持されている。また同様に、カメラ情報保持部31には、第2監視カメラ装置10-2の注視点を示す情報として第2カメラ注視点座標(x22,y22,z22)が保持されている。また同様に、カメラ情報保持部31には、第3監視カメラ装置10-3の注視点を示す情報として第3カメラ注視点座標(x23,y23,z23)が保持されている。
【0027】
また、カメラ情報保持部31には、第1監視カメラ装置10-1の上方向ベクトルを示す情報として、第1カメラ上方向ベクトル(x31,y31,z31)が保持されている。また同様に、カメラ情報保持部31には、第2監視カメラ装置10-2の上方向ベクトルを示す情報として第2カメラ上方向ベクトル(x32,y32,z32)が保持されている。また同様に、カメラ情報保持部31には、第3監視カメラ装置10-3の上方向ベクトルを示す情報として第3カメラ上方向ベクトル(x33,y33,z33)が保持されている。
【0028】
また、カメラ情報保持部31には、第1監視カメラ装置10-1の画角の情報として、垂直画角θ11および水平画角θ12が保持されている。垂直画角θ11は、第1監視カメラ装置10-1の縦方向の撮影範囲を角度で示した情報であり、水平画角θ12は横方向の撮影範囲を角度で示した情報である。第1監視カメラ装置10-1の画角には、第1監視エリアE1が含まれる。またカメラ情報保持部31には、第2監視カメラ装置10-2の垂直画角θ21および水平画角θ22が保持されている。第2監視カメラ装置10-2の画角には、第2監視エリアE2が含まれる。またカメラ情報保持部31には、第3監視カメラ装置10-3の垂直画角θ31および水平画角θ32が保持されている。第3監視カメラ装置10-3の画角には第1監視エリアE1および第2監視エリアE2が含まれる。
【0029】
車両俯瞰画像生成装置30の視点位置情報保持部32には、複数の視点位置を示す情報として、
図2に示すように第1監視エリアE1内における6個の視点F1~F6の位置を示す座標(x41,y41,z41)・・・(x46,y46,z46)が保持されている。視点F1~F6は、第2監視エリアE2に進入した車両Dを斜め上方向から俯瞰する位置に設定される。
【0030】
また同様に、視点位置情報保持部32には、第2監視エリアE2内における6個の視点G1~G6の位置を示す座標(x51,y51,z51)・・・(x56,y56,z56)が保持されている。視点G1~G6は、第1監視エリアE1に進入した車両Dを斜め上方向から俯瞰する位置に設定される。これらの視点F1~F6の位置を示す情報および視点G1~G6の位置を示す情報は、建物Bおよびその周辺を示す地図情報内に設定されていてもよい。
【0031】
これらの情報が保持された状態で、車両Dが建物Bに入庫または出庫するときに車両俯瞰画像生成装置30で実行される処理について、
図3のフローチャートを参照して説明する。
【0032】
監視システム1による監視処理の実行中、第1監視カメラ装置10-1、第2監視カメラ装置10-2、および第3監視カメラ装置10-3が第1監視エリアE1および第2監視エリアE2を撮影し、撮影した撮像情報を順次車両俯瞰画像生成装置30に送信する。車両俯瞰画像生成装置30では、第1監視カメラ装置10-1、第2監視カメラ装置10-2、および第3監視カメラ装置10-3から送信された撮像情報を撮像情報取得部33が取得し、車両位置情報取得部34に送出する。
【0033】
車両位置情報取得部34は、カメラ情報保持部31に保持された情報および撮像情報取得部33で取得された情報に基づいて、第1監視エリアE1または第2監視エリアE2に車両Dが進入したか否かを監視する(S1)。
【0034】
監視エリアE1またはE2に車両Dが進入したと判定すると(S1の「YES」)、車両位置情報取得部34は進入した車両Dの位置情報を取得する(S2)。次に、視点位置特定部35が、車両位置情報取得部34で取得された車両Dの位置情報に基づいて、視点位置情報保持部32に保持された中から対応する視点位置を特定する(S3)。
【0035】
例えば
図4に示すように、車両Dが建物Bの外部で左方向に旋回しながら建物Bに入庫しようとしてトラクターd1が第1監視エリアE1に進入した場合について説明する。この場合、視点位置特定部35は車両Dの位置情報に基づいて、視点G1~G6の中から車両Dのトラクターd1内の予め設定された基準位置Pに最も近い視点G1を特定する。本実施形態において、基準位置Pはトラクターd1の後部位置に設定されている。この基準位置Pは、トラクターd1の走行制御においてもトラクターd1の位置情報として用いる原点である。
【0036】
次に俯瞰画像生成部36が、撮像情報取得部33で取得した撮像情報を用いて、カメラ情報保持部31に保持された情報に基づき、特定した視点G1の位置から第1監視エリアE1内に進入した車両Dを、斜め上方向から俯瞰した画像情報を生成する(S4)。このとき、俯瞰画像生成部36は、撮像情報取得部33で取得した撮像情報のうち、第1監視カメラ装置10-1および第3監視カメラ装置10-3で撮影された第1監視エリアE1の撮像情報を用いる。俯瞰画像生成部36が生成した俯瞰画像情報の一例を、
図5に示す。
【0037】
また
図6に示すように、車両Dが建物Bの内部で右方向に旋回しながら出庫しようとしてトラクターd1が第2監視エリアE2に進入した場合について説明する。この場合は、視点位置特定部35は車両Dの位置情報に基づいて、視点F1~F6の中から車両Dのトラクターd1の後部位置Pに最も近い視点F1を特定する(S3)。
【0038】
そして、俯瞰画像生成部36が、撮像情報取得部33で取得した撮像情報を用いて、視点位置特定部35で特定した視点F1の位置から第2監視エリアE2内に進入した車両Dを、斜め上方向から俯瞰した画像情報を生成する(S4)。このとき、俯瞰画像生成部36は、撮像情報取得部33で取得した撮像情報のうち、第2監視カメラ装置10-2および第3監視カメラ装置10-3で撮影された第2監視エリアE2の撮像情報を用いる。俯瞰画像生成部36が生成した俯瞰画像情報の一例を、
図7に示す。
【0039】
俯瞰画像生成部36で生成された俯瞰画像情報は、出力部37により遠隔監視装置40に出力される。遠隔監視装置40は、車両俯瞰画像生成装置30から出力された俯瞰画像情報を表示部41に表示する。
【0040】
車両俯瞰画像生成装置30で生成される俯瞰画像情報は、車両Dの走行により変更する車両Dの位置情報に基づいて、所定時間間隔で更新される。
【0041】
遠隔監視装置40の表示部41に俯瞰画像情報が表示されると、監視員が表示された情報を視認することで開口部Cに近づく車両Dの周囲の状況を認識し、車体や積載物が開口部Cに接触せずに建物Bに入出庫可能であるか否かを監視する。ここで表示される画像情報は、トラクターd1後部の基準位置Pに最も近い視点から俯瞰した画像情報であるため、トラクターd1に牽引されるトレーラーd2が高い精度で撮影画角に入る。そのため監視員は、トレーラーd2に積載された荷物が開口部Cに接触する可能性があるか否かを適切に監視することができる。そして監視員は、車両Dの車体や積載物が開口部Cに接触するおそれがあると判断すると、車両Dの走行を停止させたり、走行方向を変更させたりする運転操作を行うことができる。
【0042】
また、遠隔監視装置40の判断部42が、取得した俯瞰画像情報を解析することで、車両Dの周囲の状況を認識して車両Dの車体や積載物が、出入り口である開口部Cに接触するおそれがあるか否かを判断してもよい。そして、判断部42が車両Dの車体や積載物が開口部Cに接触するおそれがあると判断したときに、運転指示部43が、車両Dの走行を停止させるかまたは、走行方向を変更させる運転指示を車両Dに送信してもよい。このように構成することで、建物に入出庫する車両に関する監視の手間を削減することができる。
【0043】
以上の実施形態によれば、車両俯瞰画像生成装置30は、建物Bに入出庫する車両Dの周囲の状況を精度良く監視するための画像情報を生成することができる。その際、車両俯瞰画像生成装置30は、車両Dを斜め上方向から俯瞰した画像情報を生成することで、車両Dの周囲を死角なく監視可能にすることができる。
【0044】
また上述した実施形態においては、監視カメラ装置10-1、10-2、および10-3と、車両俯瞰画像生成装置30とが有線で通信が接続されているため、情報量の多い撮像情報をリアルタイムに車両俯瞰画像生成装置30に送信することができる。これにより、車両俯瞰画像生成装置30が撮像情報から生成した俯瞰画像を、リアルタイムに監視員に提供することができる。
【0045】
また上述した実施形態においては、建物Bの外部と内部との双方に監視エリアを設定しているため、建物Bに入庫する車両と、建物Bから出庫する車両との双方の周囲の状況を監視することができる。
【0046】
また、上述した実施形態では、車両Dが無人搬送車である場合について説明したがこれには限定されず、人間が運転する車両であってもよい。この場合、当該車両に表示装置を設置し、車両俯瞰画像生成装置30が生成した俯瞰画像情報を車両Dに送信して表示装置に表示させるようにしてもよい。車両に設置された表示装置に俯瞰画像情報が表示されることで、当該車両の運転手が俯瞰画像情報を視認して当該車両の車体や積載物が開口部Cに接触するおそれがあるか否かを確認することができる。
【0047】
また、上述した実施形態では、車両位置情報取得部34が、カメラ情報保持部31に保持された情報および撮像情報取得部33で取得された情報に基づいて車両Dの位置情報を取得する場合について説明した。しかしこれには限定されず、車両DにGPS(Global Positioning System)等の車両位置取得手段を搭載し、この車両位置取得手段で取得した車両Dの位置情報を車両位置情報取得部34が取得して用いるようにしてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正または変形をすることが可能である。上記実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 監視システム
10-1 第1監視カメラ装置
10-2 第2監視カメラ装置
10-3 第3監視カメラ装置
20 通信線
30 車両俯瞰画像生成装置
31 カメラ情報保持部
32 視点位置情報保持部
33 撮像情報取得部
34 車両位置情報取得部
35 視点位置特定部
36 俯瞰画像生成部
37 出力部
40 遠隔監視装置
41 表示部