(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042139
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】平面ハンドル
(51)【国際特許分類】
E05B 9/08 20060101AFI20230317BHJP
E05B 5/02 20060101ALI20230317BHJP
E05B 5/00 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
E05B9/08 G
E05B5/02 D
E05B5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149278
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 志朗
(57)【要約】
【課題】ハンドルケースを扉パネルにワンタッチで簡易に取り付ける。
【解決手段】この平面ハンドルでは、ハンドルケース1の上面部にケースフック12、下面部にケースフック機構15Dを備え、ハンドルケース1の背面部側をケースフック12と共に扉パネルの取付用の開口に挿入するとともに、ケースフック機構15Dのフック15を開口の縁部で押圧しながら開口に通し、扉パネルの背面側でフック15を突出させることにより、扉パネルの正面側でフランジ11を開口の周囲に圧接するとともに背面側でケースフック12、フック15を開口の縁部に弾性係合させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面部に開口を有し、前記正面部の開口の周囲にフランジを有し、扉パネルに取り付けられるハンドルケースと、前記ハンドルケースの背面部に回転可能に配置されるハンドル軸に作動連結されて、前記ハンドルケースに対して起伏回動可能にかつ前記ハンドルケースに対して起立状態から前記ハンドル軸を回転させる方向に回動可能に前記ハンドルケース内に装着されるハンドルレバーと、前記ハンドルケースの背面部の背面側で前記ハンドル軸に一体回転可能に取り付けられ、前記ハンドルレバーの操作により、機器格納用キャビネットなどの固定枠体側の受け金などの受け部に対して係脱可能な止め金とを備え、扉パネルに形成された取付用開口に前記ハンドルケースを前記ハンドルケースの背面部側から挿入するとともに、前記ハンドルケースのフランジを前記扉パネルの正面側で前記取付用開口の縁部周囲に当接させて固定する平面ハンドルであって、
前記ハンドルケースの周面をなす少なくとも相互に対向する2面のうち、一方の面にケースフック、他方の面にケースフック機構を備え、
前記ケースフックは、
弾性又はバネ性を有する材料により略U字形に形成され、
一端を前記一方の面又はその近傍に固定されて、前記一方の面上に立ち上げられ、前記一方の面と前記フランジとの間に延びる支持部と、
前記支持部の他端から折り返され、前記支持部との間に所定の間隔を介して一端が前記一方の面の前記フランジ側の縁部又はその近傍に向けて延びる弾性係合部と、
を有し、
前記ケースフック機構は、
前記他方の面に凹設されるフック取付凹部、及び前記フック取付凹部の両側に形成される一対の軸受と、
前記フック取付凹部内に嵌合可能に略コマ状に形成され、前記一対の軸受に対向する両側部間で前記ハンドルケースの背面部側になる一方の端部側に回動中心を設けられ、前記フック取付凹部内に嵌合配置されて外側に表れる外面から他方の端部にかけてを係止爪となし、前記一対の軸受の前記ハンドルケースの背面部側になる一方の端部間に架け渡される軸を介して回動可能に支持されて、前記係止爪を前記フック取付凹部から前記他方の面の外側に出没可能に配置されるフックと、
前記フックと前記フック取付凹部との間に介装され、前記係止爪を常態として前記フック取付凹部から前記他方の面の外側へ突出可能に回動付勢するばね部材と、
を有し、
前記平面ハンドルの前記扉パネルへの取り付けに当たり、前記ハンドルケースを背面部側から前記一方の面の前記ケースフックと共に前記扉パネルの前記取付用開口に前記扉パネルの正面側から背面側へ挿入するとともに、前記他方の面の前記ケースフック機構の前記フックを前記取付用開口の縁部で押圧して前記フック取付凹部に没入させながら前記取付用開口を前記扉パネルの正面側から背面側へ通して、前記扉パネルの背面側において前記フックの前記係止爪を前記フック取付凹部から前記他方の面外へ突出させることにより、前記扉パネルの正面側で前記フランジを前記取付用開口の縁部周囲に圧接するとともに、前記扉パネルの背面側で前記ケースフックの前記弾性係合部及び前記ケースフック機構の前記フックの前記係止爪をそれぞれ、前記取付用開口の縁部又は縁部周囲に弾性係合させて、前記平面ハンドルを前記扉パネルにワンタッチで取り付ける、
ことを特徴とする平面ハンドル。
【請求項2】
ケースフックは、支持部が一方の面においてフランジに近接する端部側から立ち上げられて前記一方の面と前記フランジとの中間に斜めに延び、その他端から略U字形に折り返されて前記弾性係合部が前記支持部との間に所定の間隔を介して前記支持部と平行に延び、前記弾性係合部の一端が前記一方の面と前記フランジとの交差部に近接して配置される請求項1に記載の平面ハンドル。
【請求項3】
ハンドルケース又はハンドルレバーの一方に、正面に鍵孔を有し背面にカム突起を有する錠前ユニットと、前記錠前ユニットのカム突起に作動連結されて前記錠前ユニットの背面側で駆動される錠止部材とを組み込まれ、他方に、前記錠止部材に係脱可能な錠止部材受け部を形成されてなるロック装置を備え、前記ハンドルケース又は前記ハンドルレバーは、前記ハンドルケース又は前記ハンドルレバーと別体にして形成され、前記錠前ユニットをその外周面に沿って保持可能な内周面を有する筒状の保持部と、前記保持部の一端に前記錠止部材の駆動方向に延び、前記錠止部材をその駆動方向に案内可能な内周面を有する筒形のガイド部と、前記保持部の周面に突出され、前記保持部の外側から前記保持部の内側へ固定ねじを締め込み可能にねじ孔を有するボス部とを有してなる錠前ユニットケースと、前記ハンドルケース又は前記ハンドルレバーの正面部に前記錠前ユニットの鍵孔を表出する開口部を形成されて、その背面側に前記開口部に連通して一体的に形成され、前記錠前ユニットケースの前記保持部を嵌挿可能にかつその内部側の端部で前記錠前ユニットケースの前記ガイド部を係止可能に筒状を呈し、周面部に前記錠前ユニットケースの前記ボス部を挿通可能に溝部を有してなる錠前ユニットケース取付部、及び錠前ユニットケース取付部の前記溝部の終端部に対向し当該終端部から前記ボス部の長さだけ離間して配置され、前記ボス部のねじ孔に連通可能にねじ挿通部を有する錠前ユニットケース固定部とを備え、前記錠前ユニットは前記錠止部材とともに前記錠前ユニットケースを介して前記錠前ユニットケース取付部に取り付けられ、前記錠止ユニット固定部から前記ボス部を通じて締め込まれる前記固定ねじにより固定される請求項1又は2に記載の平面ハンドル。
【請求項4】
ハンドル軸は、軸本体と、前記軸本体の一端面から延び、止め金が取り付けられる止め金取付部と、前記軸本体の他端面から延び、ハンドルレバーが取り付けられるハンドルレバー取付部とを備え、前記ハンドルレバー取付部は前記軸本体の他端面から板状に延び、その両側面間にピン挿通孔を有する軸受と、前記軸受の前記ピン挿通孔に挿通されるハンドル軸ピンとからなり、前記ハンドルレバーは背面部上部に対にして板状に延び、各々の両側面間に前記軸受の前記ピン挿通孔に連通されるピン挿通孔を有する一対の軸受部を備え、前記ハンドルレバー取付部に前記ハンドルレバーは前記ハンドルレバー取付部の前記軸受の両側に前記ハンドルレバーの前記各軸受部が配置されて、前記各軸受部、前記軸受の前記各ピン挿通孔間にハンドル軸ピンを挿通されて取り付けられる形式で、前記ハンドルレバー取付部の前記軸受の両端面間に前記ピン挿通孔の内周面の一部に貫通して止めねじを螺挿可能にねじ孔を有し、前記ハンドル軸ピンは前記ハンドル取付部の前記軸受のピン挿通孔に挿通される中間部に全周に亘って前記ねじ孔に螺挿される前記止めねじに係合可能に係止溝を有し、前記ハンドル軸ピンは、前記ハンドル取付部の前記軸受のピン挿通孔に挿通されて、前記ハンドル軸ピンの前記係止溝と前記ハンドル取付部の前記軸受の前記ねじ孔に螺挿される止めねじとの係合により固定される請求項1乃至3のいずれかに記載の平面ハンドル。
【請求項5】
ハンドル軸は、軸本体と、前記軸本体の一端面から延び、止め金が取り付けられる止め金取付部と、前記軸本体の他端面から延び、ハンドルレバーが取り付けられるハンドルレバー取付部とを備え、前記ハンドルレバー取付部は、前記軸本体の他端面から板状に延び、その両側面間にピン挿通孔を有する軸受と、前記軸受の前記ピン挿通孔に挿通されるハンドル軸ピンと、前記軸本体の他端面で前記ピン挿通孔を水平に向けた状態の前記ピン挿通孔の上下にそれぞれ段部が設けられて、前記各段部間に配置され、前記ハンドルレバーが弾性係合可能な板ばねとを備え、前記軸本体の他端面の前記各段部は、前記上の段部の高さよりも前記下の段部の高さが高く、前記上下の段部間に前記板ばねは斜めに配置される請求項1乃至4のいずれかに記載の平面ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバー、配電盤、制御盤などの各種機器を格納する機器格納用キャビネットなどの扉パネルに使用する平面ハンドルに関し、特に、扉パネルに形成した取付用開口にワンタッチで簡易に取り付けることができる他、各種の高機能を併せ持つ平面ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の平面ハンドルを扉パネルに取り付ける場合、扉パネルに平面ハンドルのハンドルケースの取付用開口を形成するとともに、その両端部の近接した部位にねじ孔や透孔を穿設し、当該取付用開口にハンドルケースをその背面側から埋め込んだ後、扉パネルの正面側から、ビスをハンドルケ-スの透孔より扉パネルのねじ孔にねじ込むか、扉パネルの背面側から、ビスを扉パネルの透孔よりハンドルケ-スのねじ孔にねじ込むことによって、扉パネルに取り付けている。また、このような平面ハンドルの取り付けでは、扉パネルにハンドルケ-スの取付用開口と、この開口の両端部に近接してねじ孔や透孔を設ける必要があり、このため孔開け加工をしなければならい上、ビス止めの際に扉パネルの正面側から平面ハンドルを取付位置に押えていなければならないなど、取付作業の能率が悪いことから、ハンドルケースの正面端部に外周縁が扉パネルの正面に当接する正面板を設け、この正面板の背面側に固定用のブロックをねじにより取り付けて、平面ハンドルを、ケースの正面板と固定用のブロックとの間に扉パネルの取付用開口の縁部を挟み込んでねじの締め込みにより固定するようにしたものも一般に使用されている。このようにこの種の平面ハンドルの扉パネルへの取り付けでは、ねじを用いた取り付け形式が主流になっている。このような平面ハンドル及びその取り付け形式が、特許文献1などに記載されている。
【0003】
ところで、このような平面ハンドルの取り付け形式では、ハンドルケースの扉パネルへの取り付けに、ねじを使用するため、ねじをねじ孔に差し込み、締め込む作業が必要で、作業が煩雑にならざるを得ない。
【0004】
そこで、本願発明者は、従前、ハンドルケースを扉パネルに、ねじを使用することなしに、ワンタッチで、簡易に取り付けることができ、取付作業の大幅な向上を図る平面ハンドルを、特許文献2により、提案している。
【0005】
この文献2の平面ハンドルは、正面に開口を有し、正面の開口周囲にフランジを有し、扉パネルに取り付けられるハンドルケースと、ハンドルケース内に装着されるハンドルレバーと、ハンドルケースの背面側にハンドル軸を介して回転可能に取り付けられるとともにハンドルレバーに作動連結されて、ハンドルレバーの操作により、機器格納用キャビネットなどの固定枠体側の受け金などの受け部に対して係脱可能な止め金とを備え、扉パネルに形成された取付用開口にハンドルケースをハンドルケースの背面側から挿入するとともに、ハンドルケースのフランジを扉パネルの正面側で取付用開口の縁部周囲に当接させて固定する取り付け形式のものである。
【0006】
そして、この平面ハンドルでは、特に、ハンドルケースの周面をなす少なくとも相互に対向する2面にそれぞれ凹設される複数のケースフック取付凹部、及びこれらケースフック取付凹部の両側に形成される一対の軸受と、これらケースフック取付凹部内に嵌合可能に略コマ状に形成され、各一対の軸受に対向する両側部間で一方の端部側に回動中心を設けられ、各ケースフック取付凹部内に嵌合配置されて外側に表れる外面から他方の端部にかけてを係止爪となし、各一対の軸受のフランジとは反対側の端部間に架け渡される軸を介して回動可能に支持されて、係止爪を各ケースフック取付凹部からハンドルケースの周面をなす各面の外側に出没可能に配置される複数のケースフックと、各ケースフックと各ケースフック取付凹部との間に介装され、各係止爪を常態として各ケースフック取付凹部からハンドルケースの周面をなす各面の外側へ突出可能に回動付勢する複数のばね部材とを備える。
【0007】
このようにして、平面ハンドルの扉パネルへの取り付けに当たり、ハンドルケースを扉パネルの取付用開口に扉パネルの正面側から背面側へ挿入するとともに、ハンドルケースの周面の各ケースフックを取付用開口の縁部で押圧して各ケースフック取付凹部に没入させながら取付用開口を扉パネルの正面側から背面側へ通し、扉パネルの背面側で各ケースフックを各ケースフック取付凹部からハンドルケースの周面をなす各面の外側へ突出させて、扉パネルの正面側でフランジを取付用開口の縁部周囲に圧接させるとともに、扉パネルの背面側で各ケースフックの各係止爪を前記取付用開口の縁部又は縁部周囲に係止させて、平面ハンドルを扉パネルにワンタッチで取り付けるようになっている。
【0008】
このようにすることにより、ハンドルケースを扉パネルに、ねじを使用することなしに、ワンタッチで、簡易に取り付けることができ、取付作業の大幅な向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9-53346号公報
【特許文献2】特開2020-122344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の平面ハンドルでは、ハンドルケースの周面をなす少なくとも相互に対向する2面にそれぞれケースフック取付凹部が凹設され、これらケースフック取付凹部の両側に一対の軸受を形成されて、これらケースフック取付凹部内にそれぞれ、一対の軸受間に架け渡される軸を介してケースフックが取り付けられ、各ケースフックと各ケースフック取付凹部との間にばね部材を介装されて、各ケースフックを常態として各ケースフック取付凹部からハンドルケースの周面をなす各面の外側へ突出可能に回動付勢するため、全体として部品点数が少なくなく、その分だけ構造を簡素化できない、という問題がある。
【0011】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種の平面ハンドルにおいて、扉への取り付けの簡易性を損なうことなく、部品点数を可及的に少なくして、その分だけ構造を簡素化し、コストの低減を図ること、併せて既存の各種機能の向上を図ること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、
正面部に開口を有し、前記正面部の開口の周囲にフランジを有し、扉パネルに取り付けられるハンドルケースと、前記ハンドルケースの背面部に回転可能に配置されるハンドル軸に作動連結されて、前記ハンドルケースに対して起伏回動可能にかつ前記ハンドルケースに対して起立状態から前記ハンドル軸を回転させる方向に回動可能に前記ハンドルケース内に装着されるハンドルレバーと、前記ハンドルケースの背面部の背面側で前記ハンドル軸に一体回転可能に取り付けられ、前記ハンドルレバーの操作により、機器格納用キャビネットなどの固定枠体側の受け金などの受け部に対して係脱可能な止め金とを備え、扉パネルに形成された取付用開口に前記ハンドルケースを前記ハンドルケースの背面部側から挿入するとともに、前記ハンドルケースのフランジを前記扉パネルの正面側で前記取付用開口の縁部周囲に当接させて固定する平面ハンドルであって、
前記ハンドルケースの周面をなす少なくとも相互に対向する2面のうち、一方の面にケースフック、他方の面にケースフック機構を備え、
前記ケースフックは、
弾性又はバネ性を有する材料により略U字形に形成され、
一端を前記一方の面又はその近傍に固定されて、前記一方の面上に立ち上げられ、前記一方の面と前記フランジとの間に延びる支持部と、
前記支持部の他端から折り返され、前記支持部との間に所定の間隔を介して一端が前記一方の面の前記フランジ側の縁部又はその近傍に向けて延びる弾性係合部と、
を有し、
前記ケースフック機構は、
前記他方の面に凹設されるフック取付凹部、及び前記フック取付凹部の両側に形成される一対の軸受と、
前記フック取付凹部内に嵌合可能に略コマ状に形成され、前記一対の軸受に対向する両側部間で前記ハンドルケースの背面部側になる一方の端部側に回動中心を設けられ、前記フック取付凹部内に嵌合配置されて外側に表れる外面から他方の端部にかけてを係止爪となし、前記一対の軸受の前記ハンドルケースの背面部側になる一方の端部間に架け渡される軸を介して回動可能に支持されて、前記係止爪を前記フック取付凹部から前記他方の面の外側に出没可能に配置されるフックと、
前記フックと前記フック取付凹部との間に介装され、前記係止爪を常態として前記フック取付凹部から前記他方の面の外側へ突出可能に回動付勢するばね部材と、
を有し、
前記平面ハンドルの前記扉パネルへの取り付けに当たり、前記ハンドルケースを背面部側から前記一方の面の前記ケースフックと共に前記扉パネルの前記取付用開口に前記扉パネルの正面側から背面側へ挿入するとともに、前記他方の面の前記ケースフック機構の前記フックを前記取付用開口の縁部で押圧して前記フック取付凹部に没入させながら前記取付用開口を前記扉パネルの正面側から背面側へ通して、前記扉パネルの背面側において前記フックの前記係止爪を前記フック取付凹部から前記他方の面外へ突出させることにより、前記扉パネルの正面側で前記フランジを前記取付用開口の縁部周囲に圧接するとともに、前記扉パネルの背面側で前記ケースフックの前記弾性係合部及び前記ケースフック機構の前記フックの前記係止爪をそれぞれ、前記取付用開口の縁部又は縁部周囲に弾性係合させて、前記平面ハンドルを前記扉パネルにワンタッチで取り付ける、
ことを要旨とする。
【0013】
この場合、ケースフックは、支持部が一方の面においてフランジに近接する端部側から立ち上げられて前記一方の面と前記フランジとの中間に斜めに延び、その他端から略U字形に折り返されて前記弾性係合部が前記支持部との間に所定の間隔を介して前記支持部と平行に延び、前記弾性係合部の一端が前記一方の面と前記フランジとの交差部に近接して配置されることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の平面ハンドルでは、上記の構成により、次のような本発明独自の格別な効果を奏する。
すなわち、この平面ハンドルにおいては、ハンドルケースの周面をなす少なくとも相互に対向する2面の一方の面にケースフック、他方の面にケースフック機構を備え、平面ハンドルの扉パネルへの取り付けに当たり、ハンドルケースを背面部側から一方の面のケースフックと共に扉パネルの取付用開口に扉パネルの正面側から背面側へ挿入するとともに、他方の面のケースフック機構のフックを取付用開口の縁部で押圧してフック取付凹部に没入させながら取付用開口を扉パネルの正面側から背面側へ通して、扉パネルの背面側においてフックの係止爪をフック取付凹部から他方の面外へ突出させることにより、扉パネルの正面側でフランジを取付用開口の縁部周囲に圧接させるとともに、扉パネルの背面側で、ケースフックの弾性係合部及びケースフック機構のフックの係止爪をそれぞれ、取付用開口の縁部又は縁部周囲に弾性係合させて、平面ハンドルを扉パネルにワンタッチで取り付ける。
このようにしたことで、扉への取り付けの簡易性を損なうことなく、部品点数を可及的に少なくして、その分だけ構造を簡素化し、コストの低減を図ることができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態における平面ハンドルの外部構成を示す図((a)は正面図(b)は背面図(c)は右側面図(d)は平面図(e)はこの平面ハンドルに備える錠前ユニットの鍵の図)
【
図2】同平面ハンドルの内部構成を示す図((a)は側面断面図(b)は平面断面図(c)は背面側の要部断面図)
【
図3】同平面ハンドルに用いるハンドル軸及びこれに関連する各部の構成を示す図((a)は分解斜視図(b)は側面断面図(c)は平面図)
【
図4】同平面ハンドルのハンドルケースに取り付けられる錠止部材受け部の構成を示す図((a)は正面図(b)は側面図(c)は背面図(d)は平面図(e)は側面断面図)
【
図5】同平面ハンドルに用いるエンドカバー及びケースフック機構の構成を示す図((a)は背面図(b)は平面断面図)
【
図6】同平面ハンドルのハンドルケースに設けられるケースフックの構成を示す図((a)は側面図(b)は背面図)
【
図7】同平面ハンドルのハンドルケースに設けられるケースフック機構のフックの構成を示す図((a)は側面図(b)は側面断面図(c)は内面の図)
【
図8】同平面ハンドルのハンドルレバーの構成を示す図((a1)は側面図(a2)は側面断面図(b1)は平面図(b2)は平面断面図(c)は背面図(d)は底面図)
【
図9】同平面ハンドルに用いる錠前ユニットケースの構成を示す図((a)は側面図(b)は底面図(c)は背面図)
【
図10】同平面ハンドルの特に板ばねとハンドルレバーの動作を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1に平面ハンドルの全体構成を示している。
【0017】
図1に示すように、平面ハンドルH(以下、単にハンドルHという場合がある。)は、正面部1aに開口10を有し、正面部1aの開口10の周囲にフランジ11を有し、扉パネルに取り付けられるハンドルケース1と、ハンドルケース1の背面部1bに回転可能に配置されるハンドル軸3(
図2参照)に作動連結されて、ハンドルケース1に対して起伏回動可能にかつハンドルケース1に対して起立状態からハンドル軸3を回転させる方向に回動可能にハンドルケース1内に装着されるハンドルレバー2と、ハンドルケース1の背面部1bの背面側でハンドル軸3に一体回転可能に取り付けられ、ハンドルレバー2の操作により、機器格納用キャビネットなどの固定枠体側の受け金などの受け部に対して係脱可能な止め金4とを備え、扉パネルに形成された取付用開口にハンドルケース1をハンドルケース1の背面部1b側から挿入するとともに、ハンドルケース1のフランジ11を扉パネルの正面側で取付用開口の縁部周囲に当接させて固定する形式を取る。なお、この種の平面ハンドルに用いる止め金には種々の形状のものがあるが、ここでは、取付側の一端が円形で他端側が横に長い略長方形の平板状をなす止め金4が採用される。この止め金4は、鉄又はステンレスのプレートからプレス加工(打ち抜き加工)により一端が円形で他端側が横長、角丸の略長方形の平板状に成形され、一端の円形の中心に取付孔40が角形(略四角形)に形成される。
【0018】
そして、この平面ハンドルHでは、特に、ハンドルケース1の周面をなす4側面部1c-1fの少なくとも相互に対向する2面の一方にケースフック12、他方にケースフック機構15Dを備える。
【0019】
ケースフック12は、弾性又はバネ性を有する材料により略U字形に形成され、一端をハンドルケース1の一方の面又はその近傍に固定されて、一方の面上に立ち上げられ、一方の面とフランジ11との間に延びる支持部121と、支持部121の他端から折り返され、支持部121との間に所定の間隔を介して一方の面に向けて延び、一端が一方の面でフランジ11側の縁部又はその近傍に向けて配置される弾性係合部122とを有する。このケースフック12では、特に、支持部121が一方の面においてフランジ11に近接する端部側から立ち上げられて一方の面とフランジ11との中間に斜めに延び、その他端から略U字形に折り返されて弾性係合部122が支持部121との間に所定の間隔で支持部121と平行に延び、弾性係合部122の一端が一方の面とフランジ11との交差部に近接して配置されることが望ましい。
【0020】
ケースフック機構15Dは、ハンドルケース1の他方の面に凹設されるフック取付凹部13、及びフック取付凹部13の両側に形成される一対の軸受14と、フック取付凹部13内に嵌合可能に略コマ状に形成され、一対の軸受14に対向する両側部間でハンドルケース1の背面部1b側になる一方の端部側に回動中心を設けられ、フック取付凹部13内に嵌合配置されて外側に表れる外面15dから他方の端部15fにかけてを係止爪15Cとなし、一対の軸受14のハンドルケース1の背面部1b側になる一方の端部間に架け渡される軸を介して回動可能に支持されて、係止爪15Cをフック取付凹部13から他方の面の外側に出没可能に配置されるフック15と、フック15とフック取付凹部13との間に介装され、係止爪15Cを常態としてフック取付凹部13から他方の面の外側へ突出可能に回動付勢するばね部材とを有する。
【0021】
このようにして、平面ハンドルHの扉パネルへの取り付けに当たり、ハンドルケース1を背面部1b側から一方の面のケースフック12と共に扉パネルの取付用開口に扉パネルの正面側から背面側へ挿入するとともに、他方の面のケースフック機構15Dのフック15を取付用開口の縁部で押圧してフック取付凹部13に没入させながら取付用開口を扉パネルの正面側から背面側へ通して、扉パネルの背面部1b側においてフック15の係止爪15Cをフック取付凹部13から他方の面外へ突出させることにより、扉パネルの正面側でフランジ11を取付用開口の縁部周囲に圧接するとともに、扉パネルの背面側でケースフック12の弾性係合部122及びケースフック機構15Dのフック15の係止爪15Cをそれぞれ、取付用開口の縁部又は縁部周囲に弾性係合させて、平面ハンドルHを扉パネルにワンタッチで取り付けるようになっている。
【0022】
また、平面ハンドルHはさらに次のような構成を併せて備え、既存の各種機能の向上を図っている。
【0023】
図2に示すように、この平面ハンドルHのハンドル軸3は、軸本体3Sと、軸本体3Sの一端面301から延び、止め金4が取り付けられる止め金取付部3Aと、軸本体3Sの他端面302から延び、ハンドルレバー2が取り付けられるハンドルレバー取付部3Bとを備える。
【0024】
このハンドル軸3のハンドルレバー取付部3Bは、
図3に示すように、軸本体3Sの他端面302から板状に延び、その両側面間に貫通されるピン挿通孔310を有する軸受31と、軸受31のピン挿通孔310に挿通されるハンドル軸ピン32とからなる。これに対してハンドルレバー2は、
図2に示すように、背面部2b上部から対にして板状に延び、各々の両側面間に軸受31のピン挿通孔310に連通されるピン挿通孔20を有する一対の軸受部21を備える。このようにしてハンドルレバー取付部3Bにハンドルレバー2はハンドルレバー取付部3Bの軸受31の両側にハンドルレバー2の各軸受部21が配置され、各軸受部21、軸受31の各ピン挿通孔20、310間にハンドル軸ピン32を挿通されて取り付けられる形式になっている。そして、かかる形式において、ハンドルレバー取付部3Bの軸受31の両端面間にピン挿通孔310の内周面の一部に貫通して止めねじs1を螺挿可能なねじ孔311が設けられ、ハンドル軸ピン32にはハンドル取付部3Bの軸受31のピン挿通孔310に挿通される中間部に全周に亘ってねじ孔311に螺挿される止めねじs1に係合可能に係止溝320が設けられる。このようにしてハンドル軸ピン32は、ハンドルレバー取付部3Bの軸受31のピン挿通孔310に挿通されて、ハンドル軸ピン32の係止溝320とハンドルレバー取付部3Bの軸受31のねじ孔311に螺挿される止めねじs1との係合により固定される。
【0025】
また、このハンドル軸3において、ハンドルレバー取付部3Bは、軸本体3Sの他端面302から板状に延び、その両側面間に貫通されるピン挿通孔310を有する軸受31と、軸受31のピン挿通孔310に挿通されるハンドル軸ピン32と、軸本体3Sの他端面302でピン挿通孔310を水平に向けた状態のピン挿通孔310の上下にそれぞれ段部302a、302bが設けられて、各段部302a、302b間に配置され、ハンドルレバー2(後述の背面上部突出部211)が弾性係合可能な板ばね302Bとを備える。そして、軸本体3Sの他端面302の各段部302a、302bは、上の段部302aの高さよりも下の段部302bの高さが高く、上下の段部302a、302b間に板ばね302Bは斜めに配置される。
【0026】
また、この平面ハンドルHでは、ハンドルケース1又はハンドルレバー2の一方に、
図2に示すように、正面に鍵孔60を有し背面にカム突起61を有する錠前ユニット6と、錠前ユニット6のカム突起61に作動連結されて錠前ユニット6の背面側で駆動される錠止部材62とを組み込まれ、他方に、錠止部材62に係脱可能な錠止部材受け部111を形成されてなるロック装置L6を備える。そして、このハンドルケース1又はハンドルレバー2においては、ハンドルケース1又はハンドルレバー2とは別体にして形成され、錠前ユニット6をその外周面に沿って保持可能な内周面を有する筒状の保持部25A(
図9参照)と、保持部25Aの一端に錠止部材62の駆動方向に延び、錠止部材62をその駆動方向に案内可能な内周面を有する筒形のガイド部25B(
図9参照)と、保持部25Aの周面に突出され、保持部25Aの外側から保持部25Aの内側へ固定ねじs2を締め込み可能にねじ孔250(
図9参照)を有するボス部251(
図9参照)とを有してなる錠前ユニットケース25と、ハンドルケース1又はハンドルレバー2の正面部に錠前ユニット6の鍵孔60を表出する開口部220を形成されて、その背面側に開口部220に連通して一体的に形成され、錠前ユニットケース25の保持部25Aを嵌挿可能にかつその内部側の端部で錠前ユニットケース25のガイド部25Bを係止可能に筒状を呈し、周面部に錠前ユニットケース25のボス部251を挿通可能に溝部221(
図8参照)を有してなる錠前ユニットケース取付部22、及び錠前ユニットケース取付部22の溝部221の終端部に対向し当該終端部221からボス部251の長さだけ離間して配置され、ボス部251のねじ孔250に連通可能にねじ挿通部230を有する錠前ユニットケース固定部23とを備える。このようにして錠前ユニット6は錠止部材62とともに錠前ユニットケース25を介して錠前ユニットケース取付部22に取り付けられ、錠止ユニット固定部23からボス部251を通じて締め込まれる固定ねじs2により固定される。
【0027】
これらの各部は、一例として、次のように具体化される。
【0028】
図1に示すように、この平面ハンドルHでは、ハンドルケース1は、亜鉛ダイカストやアルミニウムなどの金属材料により、全体として縦に長い略長方形状で正面部1aに開口10を有するケース形に形成されて、開口10を有する正面部1aと、4側面部1c-1f(上面部1c、左右側面部1d、1e、下面部1f)と、背面部1bとからなる。
【0029】
図1に示すように、正面部1aは、外形が縦に長い略長方形で、開口10が正面部1aの面内に、開口10上縁部を正面部1aの上端部から下方に所定の寸法だけ下がった位置に半円形に、開口10下縁部を正面部1aの下端部から上方に所定の寸法だけ上がった位置に左右方向に向けて略直線状に、開口10左右各側縁部を開口10上縁部と開口10下縁部の両端部との間に上下方向に向けて略直線的に、それぞれ、形成される。しかして正面部1aは、開口10上縁部上部の上面部と、開口10左右各側縁部の両側部の左右の側面部と、開口10下縁部下部の下面部とからなる。また、この場合、
図2に示すように、開口10下縁部の少し奥側の位置から背面部1bにかけて開口10上縁部に向けて凸の断面円弧状にハンドルレバー2のための受座102が併せて形成される。なお、この正面部1aは全体が垂直断面を円弧状にかつ水平断面を円弧状に形成されて、表面が緩やかな曲面形状になっている。
【0030】
図1に示すように、4側面部1c-1fは、正面部1aの各部に連続し背面部1b方向に延びる正面側4側面部1c1-1f1(正面側上面部1c1、正面側左右側面部1d1、1e1、正面側下面部1f1)と、正面側4側面部1c1-1f1に段差部11を介して正面側4側面部1c1-1f1の各部よりも内側で背面部1b方向に延びる背面側4側面部1c2-1f2(背面側上面部1c2、背面側左右側面部1d2、1e2、背面側下面部1f2)とからなり、正面側4側面部1c1-1f1と背面側4側面部1c2-1f2との間に段差部11が平面状に形成されてこの段差部11がハンドルケースHのフランジ(以下、フランジ11という。)になっている。
【0031】
この場合、正面側4側面部1c1-1f1の正面側上面部1c1、正面側下面部1f1各面は、横に長い略台形に形成され、正面側左右側面部1d1、1e1はそれぞれ縦に長い略台形に形成される。また、正面側左右側面部1d1、1e1の下部にそれぞれ、これら正面側左右側面部1d1、1e1の下部を正面部1aの左右の側面部側から背面部1bに向けて手指(例えば親指と人差し指)の指先が通る程度の大きさに湾曲状に切り欠き形成されて、凹部1d0、1e0が設けられる。背面側4側面部1c2-1f2の背面側上面部1c2、背面側下面部1f2はそれぞれ、横に長い略長方形に形成され、背面側左右側面部1d2、1e2はそれぞれ縦に長い略長方形に形成される。なお、このハンドルケース1の場合、ハンドルケース1の軸筒部101に挿着されるハンドル軸3にハンドルレバー2を時計回り又は反時計回りに回動規制する回動方向規制部303(
図2参照)が設けられることで、背面側4側面部1c2-1f2の背面側上面部1c2は3面からなり、横長の長方形で水平面をなす中央の面と中央の面の左右両側に縦長の長方形で下方に向けて斜め略45°の傾斜面をなす左右の各面とからなり、左右の各面には各面に対して直角方向にねじ孔1c0が貫通形成される。
【0032】
かくして、正面側4側面部1c1-1f1は背面側4側面部1c2-1f2に対して外周方向に張り出され、正面側4側面部1c1-1f1の各部は正面部1a側から背面部1b側方向に漸次外側に向けて形成され、背面側4側面部1c2-1f2の各部は正面部1a側から背面部1b側方向に真直ぐに形成される。つまり、正面側4側面部1c1-1f1の各部は正面部1aに対して外側方向斜めに向けて延び、背面側4側面部1c2-1f2の各部は正面部1aに対して直角方向に延びる。
【0033】
また、この場合、正面側4側面部1c1-1f1と背面側4側面部1c2-1f2との間の段差部、すなわち、フランジ11は、面状になっていて、正面側上面部1c1と背面側上面部1c2との間の上部フランジ11cと、正面側左右側面部1d1、1e1と背面側左右側面部1d2、1e2との間の左右の側部フランジ11d、11eと、正面側下面部1f1と背面側下面部1f2との間の下部フランジ11fとの組み合わせからなる。上部フランジ11cは、
図2に示すように、正面部1aの上面部の背面部1b側に形成される角形の枠状部とその内側の開口とからなる。この場合、正面部1aの上面部の背面部1b側は正面側上面部1c1と正面側左右側面部1d1、1e1と正面部1aの開口10上縁部に沿って正面部1aから背面部1bに向けて延設される仕切り部1c11とにより垂直断面横長の長方形の筒形に形成されて、その内側が中空部になっている。つまり、上部フランジ11cは横長の長方形の枠状部の背面側端面とその内側中空部の開口面とからなる。なお、正面部1aの背面部1bに向けて延びる仕切り部1c11には背面部1bにおいて開口され、背面部1bから正面部1a方向に延びるねじ孔1c10が設けられる。このハンドルケース1では、この仕切り部1c11が後述するケースフック12の固定部となる。左右の側部フランジ11d、11eはそれぞれ、正面側4側面部1c1-1f1の正面側左右側面部1d1、1e1の背面部1b側端面からなる。下部フランジ11fは正面部1aの下面部の背面部1b側に形成される平板からなる。
【0034】
図1に示すように、背面部1bは4側面部1c-1fの背面側4側面部1c2-1f2の各部に連続する、正面部1aよりも小さい縦に長い略長方形の平板からなる。
【0035】
この背面部1bには上部にハンドル軸3を嵌挿可能に軸筒部101が設けられ、下部にハンドルレバー2の下端を当接可能に受座102が設けられる。この場合、軸筒部101は背面部1bの上部に、正面部1aの開口10において開口10上縁部をなす半円形の円の中心となる位置に対応して同心的に、ハンドル軸3の軸本体3Sを嵌挿可能に円筒状に背面部1bと一体で背面部1bの内外に突出して形成される。受座102は、
図2に示すように、正面部1aの開口10下縁部から少し奥側(背面部側)の位置まで略水平に延びる平面部102aと、正面部1aの開口10下縁部から少し奥側(背面部側)の位置(平面部102aの奥側端)と背面部1bの下部側で正面部1aの開口10下縁部に対して少し上方の位置との間に垂直断面円弧状に延びる段部102bとからなる。段部102bの背面側には平面部102aに近接してねじ孔103sを有するボス103が背面部1bの正面と同一面まで突設される。このボス103に取付ねじs3が設けられる。
【0036】
また、この背面部1bには、
図2に示すように、上下方向中間に、既述のロック装置L6の一部をなす錠止部材62に係合可能にロック装置L6の一部をなす錠止部材受け部111が併せて設けられる。
【0037】
この背面部1bの下部側で受座102の直上は、後述するハンドルレバー2の錠前ユニットケース取付部22が嵌合可能に錠前ユニットケース取付部22の収容部になっていて、この収容部の上部に隣接して錠止部材受け部取付部111Pが設けられ、この錠止部材受け部取付部111Pに複数のねじ挿通孔1110が形成される。この場合、錠止部材受け部取付部111Pに2つのねじ挿通孔1110が幅方向に並列に穿設される。
【0038】
錠止部材受け部111は、
図4に示すように、ハンドルケース1の背面部1bとは別体に形成されて、背面部1bの錠止部材受け部取付部111Pに着脱可能に取り付けられる。この錠止部材受け部111は、幅が背面部1bの幅よりも少し小さく、厚みが幅よりも小さく、長さがハンドルケース1の背面部1bからフランジ11の位置よりも少し正面部1a側に突出する程度の略角錐台形のブロックからなり、下面とする一側面が断面L字形に形成されて、この一側面に後述するロック装置L6の錠止部材62に係合可能な係止面1111が設けられ、後面とする一端面に複数のねじ孔1112が設けられる。この場合、錠止部材受け部111の斜めの4側面のうち大きい一側面を下面とし、この一側面の後面側の半面を断面L字形に切り欠かれて、その垂直面が係止面1111になっている。また、錠止部材受け部111の両端面のうち大きい一端面を後面とし、この一端面に2つのねじ孔1112が幅方向に並設される。この錠止部材受け部111は、下面を背面部1b下部の受座102に向けられ、後面が背面部1bの錠止部材受け部取付部111Pに対向されて、2本の取付ねじs4を背面部1bの各ねじ挿通孔1110から錠止部材受け部111の各ねじ孔1112に締結されて取り付けられる。この取り付けにより、錠止部材受け部111の係止面1111が背面部1bに向けられて下方向に突出される。
【0039】
また、
図1に示すように、このハンドルケース1は、背面部1bの下部から背面側4側面部1c2-1f2の背面側下面部1f2にかけて、さらに下部フランジ11fまで連続して開口部A0を形成され、この開口部A0にエンドカバーA1が嵌め込み固定される。
【0040】
開口部A0は、背面部1bの下部側に下縁部の幅方向中央から上縁部方向に上下方向に長い略長方形に形成される背面1b部の開口部A01と、この開口部A01に連続して背面側4側面部1c2-1f2の背面側下面部1f2の幅方向中央に左右方向に長い略長方形に形成される背面側下面部1f2の開口部A02と、この開口部A02に連続して下部フランジ11fの幅方向中央に左右方向に長い略長方形に形成される下部フランジ11fの開口部A03とからなる。
【0041】
エンドカバーA1は、
図5に示すように、開口部A0の各部に対応して、背面部1bの開口部A01に嵌合可能に上下方向に長い略長方形の背面部1bの平板部A11と、この平板部A11の下端に連続して背面側下面部1f2の開口部A02に嵌合可能に左右方向に長い略長方形に形成される背面側下面部1f2の平板部A12と、この平板部A12の下端に連続して下部フランジ11fの開口部A03に嵌合可能に上下方向に長い略長方形に形成される下部フランジ11fの平板部A13とからなり、背面部1bの平板部A11に背面部1bの段部102bのボス103に対向してねじ挿通孔A110を形成され、下部フランジ11fの平板部A13の正面側で上下方向中央に台形状の支持部A131が正面部1aの下面部の背面に衝接可能に突出形成される。このようにしてエンドカバーA1は各部が開口部A0の各部に嵌め込まれて、エンドカバーA1の背面部1bの平板部A11のねじ挿通孔A110と背面部1bの段部102bのボス103のねじ孔103sが対向してボス103に支持連通されるとともに、エンドカバーA1の下部フランジ11fの平板部A13の支持部A131が正面部1aの下面部の背面に衝接して支持され、取付ねじs3が背面部1bの平板部A11のねじ挿通孔A110から背面部1bの段部102bのボス103のねじ孔103sに締結されて、エンドカバーA1がハンドルケース1の背面側の下部に固定される。
【0042】
このようにしてハンドルケース1は、扉パネルに形成された取付用開口に、ハンドルケース1の背面部1b側、この場合、背面部1bから背面側4側面部1c2-1f2までが挿入されるとともに、ハンドルケース1のフランジ11が扉パネルの正面側で取付用開口の縁部周囲に当接されて、扉パネルに取り付けられるようになっている。そして、この取り付け状態を固定するために、ハンドルケース1にはその周面をなす4側面部1c-1fの少なくとも相互に対向する2面の一方にケースフック12、他方にケースフック機構15Dを備える。
【0043】
図1、
図2に示すように、ケースフック12は、ハンドルケース1の4側面部1c-1fの背面側上面部1c2に設けられる。このケースフック12は、ポリアミド系樹脂などの合成樹脂材により一体に形成され、
図6に示すように、中央の取付部12Aと左右の一対のフック12Bとにより実現される。
【0044】
図6に示すように、中央の取付部12Aは、左右方向に長い断面略四角形の角形をなす基部12a1と、基部12a1の上面中央から上方に向けて延長される基部延長部12a2とを有する。基部延長部12a2は略下半部が基部12a1の上面中央に所定の幅で基部12a1の正面縁部と背面縁部との間から延長されて、正面と背面が基部12a1の正面と背面と一体の平面になっていて、略上半部が略下半部から背面を基部12a1の背面と一体の平面とする断面略四角錐形状に延長されて側面断面略直角三角形状を呈し、背面が基部12a1、基部延長部12a2の略下半部の背面と一体の平面で、正面が略下半部の正面から背面方向に斜め上方に向けて延びる傾斜面になっている。また、基部12a1の下面は座面になっていて、基部12a1の下面がハンドルケース1の背面側上面部1c2の3面に沿って跨り着座可能に、3面からなる凹状に、すなわち、横長の長方形で水平面をなす中央の面と中央の面の左右両側に縦長の長方形で下方に向けて斜め略45°の傾斜面をなす左右の各面からなる凹状になっている。そして、基部12a1と基部延長部12a2の正面間中央と背面間中央との間にねじ挿通孔12a3が形成される。
【0045】
左右の各フック12Bは、基部12a1の上面の左右の端部に左右対称に一体形成され、一端を基部12a1の上面に連続して、基部12a1の上面上に立ち上げられ、基部12a1の上面から基部12a1の背面側に斜め上方に延びる支持部121と、支持部121の他端から折り返され、支持部121との間に所定の間隔を介して一端が基部12a1の上面に向けて延びる弾性係合部122とを有してなる。この場合、特に、支持部121は基部12a1の上面において背面側の端部から立ち上げられて基部12a1の上面から基部12a1の背面に対して外側へ斜め上方に延び、その他端から略U字形に折り返されて弾性係合部122が支持部121の上側に支持部121との間に所定の間隔を介して支持部121と平行に延び、弾性係合部122の一端が基部12a1の上面において正面側の端部に近接する位置でこの端部から少し外側に(言い換えると、上部フランジ11cの開口面内に少しだけ入り込めるように)突出して配置される。
【0046】
このようにしてケースフック12は、取付部12A(基部12a1及び基部延長部12a2)の正面がハンドルケース1の4側面部1c-1fの背面側上面部1cの近傍で上部フランジ11cの一部をなす仕切り部1c11の背面に合わせられて、取付部12Aのねじ挿通孔12a3にねじsが挿通され、仕切り部1c11のねじ孔1c10に締結されて、ハンドルケース1の4側面部1c-1fの背面側上面部1c2に設けられる。かくして、左右の各フック12Bは、弾性又はバネ性を有して略U字形に形成され、一端が背面側上面部1c2の近傍(上部フランジ11cの一部をなす仕切り部1c11)に固定されて、背面側上面部1c2上に立ち上げられ、背面側上面部1c2と上部フランジ11cとの間に延びる支持部121と、支持部121の他端から折り返され、支持部121との間に所定の間隔を介して一端が背面側上面部1c2のフランジ11側の縁部に向けて延びる弾性係合部122とを有してなる。そして、このケースフック12では特に、支持部121が背面側上面部1c2において上部フランジ11cに近接する端部側から立ち上げられて背面側上面部1c2と上部フランジ11cとの中間に斜めに延び、その他端で略U字形に折り返されて弾性係合部122が支持部121との間に所定の間隔を介して支持部121と平行に延び、弾性係合部122の一端が背面側上面部1c2とフランジ11との交差部に近接して配置される。
【0047】
図1に示すように、ケースフック機構15Dは、ハンドルケース1の4側面部1c-1fの背面側下面部1f2に設けられる。このケースフック機構15Dは、
図2に示すように、ハンドルケース1のエンドカバーA1に設けられ、このエンドカバーA1において、
図5に示すように、フック取付凹部13、及び一対の軸受14と、フック15と、軸16と、ばね部材17とにより、実現される。
【0048】
図1に示すように、フック取付凹部13はハンドルケース1の背面側4側面1c2-1f2の背面側下面部1f2に凹設される。この場合、ハンドルケース1の背面部1bの下部から背面側4側面部1c2-1f2の背面側下面部1f2にかけて、さらに下部フランジ11fまで連続して開口部A0を形成され、この開口部A0にエンドカバーA1が嵌め込み固定されており、
図5に示すように、フック取付凹部13は、背面側下面部1f2の開口部A02に嵌合されるエンドカバーA1の背面側下面部1f2の平板部A12に、この平板部A12の前後両端から四角形の平板が平行に突出されてこれら平板間に背面視コ字形に形成される。そして、これら平板の背面部側の端部に軸孔140が形成されて各平板が一対の軸受14をなす。また併せて、この平板部A12の外面中央にばね受部130が円形の凹状に形成される。
【0049】
図5に示すように、フック15は、フック取付凹部13内に嵌合可能に略コマ状に形成される。
図7に示すように、このフック15は、一対の軸受14に対向する両側部間でハンドルケース1の背面部1b側に配置される一方の端部側に回動中心C1を設けられ、フック取付凹部13内に嵌合配置されて外側に表れる外面15dから他方の端部15fにかけてを係止爪15Cとなす。このようにしてフック15は、エンドカバーA1において一対の軸受14のハンドルケース1の背面部1b側の端部間に架け渡される軸16を介して回動可能に支持されて、係止爪15Cをフック取付凹部13からハンドルケース1の背面側下面部1f2、この場合はエンドカバーA1の背面側下面部1f2の平板部A12の外側に出没可能に配置される。
【0050】
なお、この場合、フック15は、
図7に示すように、軸支側となる一方の端部15a側の両側面部15b、15c間に回動中心C1として軸挿通部150が設けられ、その反対の他方の端部15fが、円の中心を当該回動中心C1よりも一方の端部15a側を取り、かつ外面15dとは反対側の内面15e寄りの位置におく円弧状に形成される。また、このフック15は、外面15dがハンドルケース1の背面側下面部1f2と略平行に形成される。一方の端部15a、つまり、外面15dの一端と内面15eの一端との間が断面略V字形の突状に形成されて外面15dに連続する一方の面が所定の円弧状の面に、内面15eに連続する他方の面は所定の角度を付けた傾斜面に形成される。そして、内面15eが外面15dと対称的に外面15dと平行に又は平行よりも少し開く方向に向けて、この場合は、平行よりも少し開く方向に向けて形成される。また、ここでフック15の外面15d、内面15eは前後両端方向に少し長い四角形の面に、左右の各側面部15b、15cは、後端となる一方の端部15aが断面略V字形で、前後両端方向に長い略四角形状に延びる複合形状の面に、前端となる他方の端部15fは左右両側方向に長い四角形の面になっている。
【0051】
このようにしてフック15は、
図5に示すように、エンドカバーA1の背面側下面部1f2の平板部A12のフック取付凹部13に、左右の各軸受14の軸孔140とフック15の軸挿通部150との間に挿通される軸16、この場合、ステンレス製のスプリングピンを介して軸支されて、各係止爪15Cがフック取付凹部13からハンドルケース1の背面側下面部1f2の外側(フック取付凹部13の開口面の外側)へ出没可能に配置される。
【0052】
また、この場合、ばね部材17に後述のとおりコイルスプリング(以下、コイルスプリング17という。)が採用されるため、
図7に示すように、フック15の内面15eに有底(円)筒状の孔152が形成され、コイルスプリング17が一端をフック15の孔152に保持され、他端をフック取付凹部13の底部(ばね受部130)に保持されて、フック15とフック取付凹部13との間に介装される。ここでフック15の孔152は、ハンドルケース1がフック15とともに扉パネルの取付用開口に通される前又は後で、フック15の係止爪15Cがフック取付凹部13からハンドルケース1の背面側下面部1f2から突出されるときに、コイルスプリング17をフランジ11側に凸の円弧状に変形案内可能に、フック15の内面15eに対して所定の角度を付けて形成され、かつ孔152のフック15の一方の端部15a側の内周面の一部が、ハンドルケース1がフック15とともに取付用開口に通される間で、フック15の係止爪15Cがフック取付凹部13に没入されるときに、コイルスプリング17をフランジ11とは反対側に凸の円弧状に変形案内可能に、孔152の奥側から開口側に向けて漸次拡径される所定の角度の傾斜を付けて形成される。
【0053】
図5に示すように、ばね部材17は、既述のとおり、コイルスプリング17が採用され、フック15とフック取付凹部13との間に介装され、フックの係止爪15Cを常態としてフック取付凹部13からハンドルケース1の背面側下面部1f2の外側(フック取付凹部13の開口面の外側)へ突出可能に回動付勢する。この場合、コイルスプリング17は、一端がフック取付凹部13のばね受部130に取り付けられ、他端がフック15の孔152の底部のばね受け部に取り付けられて、フック15とフック取付凹部13との間に介装され、係止爪15Cを常態としてフック取付凹部13からハンドルケース1の背面側下面部1f2の外側へ突出可能に回動付勢する。
【0054】
このようにしてハンドルケース1は、背面部1bから背面側4側面部1c2-1f2を背面側上面部1c2上のケースフック12と共に扉パネルの取付用開口に扉パネルの正面側から背面側へ挿入するとともに、背面側4側面部1c2-1f2の背面側下面部1f2のケースフック機構15Dのフック15を取付用開口の縁部で押圧してフック取付凹部13に没入させながら取付用開口を扉パネルの正面側から背面側へ通して、扉パネルの背面側においてフック15の係止爪15Cをフック取付凹部13から背面側下面部1f2の外側へ突出させることにより、扉パネルの正面側でフランジ11を取付用開口の縁部周囲に圧接するとともに、扉パネルの背面側でケースフック12の弾性係合部122及びケースフック機構15Dのフック15の係止爪15Cをそれぞれ、取付用開口の縁部に弾性係合させて、扉パネルにワンタッチで取り付け可能になっている。
【0055】
ハンドルケース1はかくして構成され、
図1、
図2に示すように、背面部1b上部の軸筒部101に、ハンドル軸3が挿着されて、その一端に止め金4が取り付けられ、その他端にハンドルレバー2が取り付けられる。
【0056】
図3に示すように、ハンドル軸3は、ハンドルケース1の軸筒部101に回転可能に嵌合される円筒状の軸本体3Sと、軸本体3Sの一端面301から突出される止め金取付部3Aと、軸本体3Sの他端面302に突出されるハンドル取付部3Bとからなる。
【0057】
軸本体3Sは、軸筒部101に嵌合可能に、軸筒部101の内径及び長さと略同じ径及び長さの円筒状に形成され、外周面の一部にОリングを外嵌可能に溝が形成される。また、このハンドル軸3には、既述のとおり、ハンドルレバー2を時計回り又は反時計回りに回動規制する回動方向規制部303が設けられる。この回動方向規制部303は、ハンドル軸3の軸本体3Sの外周面に軸本体3Sの軸心から所定の角度間隔で形成されるガイド溝303aと、ハンドルケース1の軸筒部101に固定され、ガイド溝303aに係合可能に挿入されるガイドピン303b(
図2参照)とからなる。この場合、ガイド溝303aは軸本体3Sの上面部で前後方向中央に軸本体3Sの軸心から90°の間隔で形成される。ガイドピン303bには皿ねじなどのねじが用いられ、このねじがハンドルケース1の軸筒部101の上面部の左右の各面に設けられたねじ孔1c0の一方に締結されて、これがガイドピン303bとしてガイド溝303aの一端に挿入され係合される。このようにしてこれらガイド溝303a及びガイドピン303bにより軸本体3Sの回転方向を規制する。すなわち、このねじ(ガイドピン303b)を軸筒部101の左側のねじ孔に締結してねじ(ガイドピン303b)を軸本体101のガイド溝303aの左端に挿入して係合させることにより、軸本体3Sの時計回りの回動を規制して軸本体3Sを反時計周りに回動案内し、ねじ(ガイドピン303b)を軸筒部101の右側のねじ孔に締結してねじ(ガイドピン303b)を軸本体3Sのガイド溝303aの右端に挿入して係合させることにより、軸本体3Sの反時計回りの回動を規制して軸本体3Sを時計周りに回動案内する。
【0058】
図3に示すように、止め金取付部3Aは、ハンドル軸3の一端側の基本形状が角形、この場合、断面四角形で所定の長さに形成されて、このハンドル軸3の角形の一端に、2つの止め金フック取付凹部33及び2組の一対の軸受34と、2つの止め金フック35と、1つ又は2つのばね部材37とを備えて構成される。
【0059】
2つの止め金フック取付凹部33はハンドル軸3の一端周面の相互に対向する2面にそれぞれ凹設される。この場合、各止め金フック取付凹部33はハンドル軸3の一端の上面部、下面部の幅方向中央に1箇所ずつ、上下2箇所に一端面を開口して凹設される。また、この場合、ハンドル軸3の一端の上下の各止め金フック取付凹部33間が底部で、この底部の軸本体3S側にばね通し孔330が形成される。
【0060】
2組の一対の軸受34はそれぞれ、上下の各止め金フック取付凹部33の両側に形成される。この場合、ハンドル軸3一端の上下の各止め金フック取付凹部33では、左右両側に一対の軸受34が形成され、左右の各軸受34の一端側(止め金取付部3Aの一端面側)に軸挿通部340が各軸受34の内面と外面との間を貫通して形成される。
【0061】
2つの止め金フック35はそれぞれ、既述のケースフック機構15Dのフック15と同様の基本構成を備え、各止め金フック取付凹部33内に嵌合可能に略コマ状に形成され、各一対の軸受34に対向する両側面部間で一方の端部側に回動中心を設けられ、各止め金フック取付凹部33内に嵌合配置されて外側に表れる外面から他方の端部にかけてを係止爪35Cとなし、各一対の軸受34の各軸挿通部340間に上下並列に架け渡される2つの軸36を介して回動可能に支持されて、各係止爪35Cを止め金フック取付凹部33からハンドル軸3の一端の上面部、下面部の外側へ出没可能に配置される。
【0062】
この場合、各止め金フック35は、軸支側となる一方の端部側の両側部間に回動中心として軸挿通部が設けられ、その反対の他方の端部が、円の中心を当該回動中心よりも一方の端部側でかつ外面とは反対側の内面寄りの位置におく円弧状に形成される。また、各止め金フック35は、外面がハンドル軸3一端の上面部、下面部と略平行に形成される。一方の端部、つまり、外面の一端と内面の一端との間は断面略V字形の突状に形成されて外面に連続する一方の面が所定の円弧状の面に、内面に連続する他方の面は所定の角度を付けた傾斜面に形成される。そして、内面が外面と対称的に外面と平行に又は平行よりも少し開く方向に向けて、この場合は、平行よりも少し開く方向に向けて形成される。また、ここで各止め金フック35の外面、内面は前後両端方向に少し長い四角形の面に、左右の各側面部は、後端となる一方の端部15aが断面略V字形で、前後両端方向に長い略四角形状に延びる複合形状の面に、前端となる他方の端部は左右両側方向に長い四角形の面になっている。
【0063】
このようにして上下の各止め金フック35は、上下の各止め金フック取付凹部33に、左右の各軸受34の軸挿通部340と各止め金フック35の軸挿通部との間に挿通される軸36、この場合、ステンレス製のスプリングピンを介して軸支されて、各係止爪35Cが各止め金フック取付凹部33からハンドル軸3一端の上面部、下面部の外側へ出没可能に配置される。また、この場合、ばね部材37に後述のとおりコイルスプリング(以下コイルスプリング37という。)が用いられるため、各止め金フック35の内面に有底(円)筒状の孔が形成され、コイルスプリング37が両端を各止め金フック35の孔に保持され、各止め金フック35間に介装される。ここで各止め金フック35の孔は、ハンドル軸3の一端が各止め金フック35とともに止め金4の取付孔40に通される前又は後で、各止め金フック35の各係止爪35Cが各止め金フック取付凹部33からハンドル軸3一端の上面部、下面部の外側へ突出されるときに、コイルスプリング37をハンドルケース1のフランジ11側に凸の円弧状に変形案内可能に、各止め金フック35の内面に対して所定の角度を付けて形成され、かつ各止め金フック35の孔の各止め金フック35の一方の端部側及び他方の端部側の内周面の一部が、ハンドル軸3の一端が各止め金フック35とともに止め金4の取付孔40に通される間で、各止め金フック35の各係止爪35Cが各止め金フック取付凹部33に没入されるときに、コイルスプリング37をハンドルケース1のフランジ11とは反対側に凸の円弧状に変形案内可能に、孔の奥側から開口側に向けて漸次拡径される所定の角度の傾斜を付けて形成される。
【0064】
コイルスプリング37は、ハンドル軸3一端の各止め金フック取付凹部33間のばね通し孔330を通じて一端が上の止め金フック取付凹部33内の止め金フック35の孔の底部に取り付けられ、他端が下の止め金フック取付凹部33内の止め金フック35の孔の底部に取り付けられて、上下の各止め金フック35間に介装され、各止め金フック35の各係止爪35Cが常態として各止め金フック取付凹部33からハンドル軸3一端の上面部、下面部の外側へ突出可能に回動付勢される。
【0065】
なお、ここでは、各止め金フック取付凹部33間にばね通し孔330が設けられて、1つのコイルスプリング37が各止め金フック取付凹部33間を貫通して各止め金フック35間に介装され、各係止爪35Cを常態として各止め金フック取付凹部33からハンドル軸3の一端側の上面部、下面部の外側へ突出可能に回動付勢するものとしたが、各止め金フック取付凹部33間にばね通し孔330が設けられなくてもよく、この場合には、2つのコイルスプリング37が各止め金フック35と各止め金フック取付凹部33との間に介装されて、各係止爪35Cを常態として各止め金フック取付凹部33からハンドル軸3の一端側の上面部、下面部の外側へ突出可能に回動付勢してもよい。このようにしても同様の作用効果を奏することができる。
【0066】
このようにして止め金4はハンドル軸3先端の止め金取付部3Aに次のようにして取り付けられる。まず、ハンドル軸3の止め金取付部3Aを止め金4の取付孔40に止め金4の正面側から背面側へ挿入するとともに、止め金取付部3Aの一端の各止め金フック35を止め金4の取付孔40の縁部で押圧して各止め金フック取付凹部33に没入させながら取付孔40を止め金4の正面側から背面側へ通す。そして、止め金4の背面側で各止め金フック35をハンドル軸3一端の上面部、下面部から外側へ突出させる。これにより、止め金4の正面側でハンドルケース1の背面、この場合、軸筒部101の背面側開口端が取付孔40の縁部周囲に圧接されるとともに、止め金4の背面側で各止め金フック35の各係止爪35Cが取付孔40の縁部又は縁部周囲に係止されて、止め金4がハンドル軸3に取り付けられる。このような止め金取付部3Aを備えることで、止め金4をハンドル軸3にワンタッチで簡易にしかも確実に取り付けることができる。
【0067】
図3に示すように、ハンドルレバー取付部3Bは、ハンドル軸3の軸本体3Sの他端面302から板状に延び、その両側面間に貫通されるピン挿通孔310を有する軸受31と、軸受31のピン挿通孔310に挿通されるハンドル軸ピン32とからなる。このハンドルレバー取付部3Bでは、ハンドルレバー2に、後述のとおり、背面部2b上部から対にして板状に延び、各々の両側面間に軸受31のピン挿通孔310に連通されるピン挿通孔20を有する一対の軸受部21を備え、ハンドルレバー2がハンドルレバー取付部3Bにハンドルレバー2の各軸受部21がハンドルレバー取付部3Bの軸受31の両側に配置されて、各軸受部21、軸受31の各ピン挿通孔20、310間にハンドル軸ピン32を挿通されて取り付けられる形式になっている。この場合、軸受31は、ハンドル軸3の軸本体3Sの他端面302の幅方向中央に比較的厚みのある(幅が比較的広い)板状に突出形成され、その一端は半円形に形成される。そして、ピン挿通孔310は軸受31の左右両側面で、一端の半円形の直径上の中心(円の中心)間に貫通して形成される。
【0068】
また、このハンドルレバー取付部3Bにあっては、軸受31の両端面間にピン挿通孔310の内周面の一部に貫通して止めねじs1を螺挿可能にねじ孔311を有し、ハンドル軸ピン32はハンドルレバー取付部3Bの軸受31のピン挿通孔310に挿通される中間部に全周に亘ってねじ孔311に螺挿される止めねじs1に係合可能に係止溝320を有する。このようにしてハンドル軸ピン32は、ハンドルレバー取付部3Bの軸受31のピン挿通孔310に挿通されて、ハンドル軸ピン32の係止溝320とハンドルレバー取付部3Bの軸受31のねじ孔311に螺挿される止めねじs1との係合により固定される。この場合、ねじ孔311は軸受31の上下両端面間でかつピン挿通孔310の後方に隣接しねじ孔311の一部がピン挿通孔310内を通る位置に、軸受31の上下両端面間を一端の半円形の直径ラインと平行に貫通して形成される。このようにしてハンドル軸ピン32は、ハンドルレバー取付部3Bの軸受31のピン挿通孔310に挿通され、ハンドルレバー取付部3Bの軸受31のねじ孔311に止めねじs1が螺挿されて、この止めねじs1がハンドル軸ピン32の係止溝320に係合し、ハンドル軸ピン32の抜け止めになって、軸受31のピン挿通孔310に回転可能に取り付けられるようになっている。
【0069】
さらに、このハンドルレバー取付部3Bにあっては、ハンドル軸3の軸本体3Sの他端面302で軸受31(の前後方向)をピン挿通孔310とともに水平に向けた状態のピン挿通孔310の上下にそれぞれ段部302a、302bが上の段部302aの高さよりも下の段部302bの高さを高くして形成され、上下の各段部302a、302b間に板ばね302Bが斜めに配置される。この場合、上下の段部302a、302bはそれぞれ、ハンドル軸3の軸本体3Sの他端面302において、軸受31の上下各面から少し間隔を空けて軸受31の上下に対称的に、軸受31の幅よりも少し大きい間隔で他端面302円周上の2点間を結ぶ弧と弦との間に、正面が弓形で上側が低く、下側が高い同じ適宜角度の傾斜面状に、かつ上の段部302aは低い所定の高さに、下の段部302bは高い所定の高さに、凸状に形成される。かくして上下の段部302a、302bはそれぞれ、所定の高さを有し、下の段部302bが上の段部302aよりも高く突出され、上下の各段部302a、302bの正面は上下方向に連続する(上側が低く、下側が高い)所定の角度の傾斜面をなす。また、この場合、板ばね302Bは、ステンレスバネ鋼からなる平板により、ハンドル軸3の軸本体3Sの他端面302と略同じ大きさの円形に形成され、その中央に軸本体3Sの他端面302の軸受31を挿通可能に角形(四角形)に軸受挿通孔304が形成される。このようにして板ばね302Bはハンドル軸3の軸本体3Sの他端面302上に軸受31を通し上下の各段部302a、302bを介して上側が低く、下側が高い適宜角度の斜めに設置される。
【0070】
このようにしてこのハンドルレバー取付部3Bにハンドルレバー2がハンドル軸3の軸本体3Sの他端面302に板ばね302Bを介在して軸本体3Sの他端面302の軸受31にハンドル軸ピン32を介して取り付けられるようになっている。
【0071】
図8に示すように、この平面ハンドルHにおいて、ハンドルレバー2は、亜鉛ダイカストやアルミニウムなどの金属材料により、本体が縦に長い薄厚のプレート状に形成され、この本体の背面部2bの上部に一対の軸受部21、下部側に錠前ユニット6の鍵孔60を表出可能に小さな開口部220が形成されるとともにこの開口部220に連通して錠前ユニット6を装着可能に筒形を呈する錠前ユニット保持部としての錠前ユニットケース保持部22が錠前ユニットケース固定部23とともに本体と一体に設けられて、ハンドルレバー2の上下方向中間部から下部下端側にかけてがグリップ部24になっている。
【0072】
この場合、ハンドルレバー2は全体がハンドルケース1の正面部1aの開口10内に嵌合可能に形成される。すなわち、本体(正面部2aと、背面部2bと、4側面部2c-2f)が、ハンドルケース1の正面側4側面部1c1-1f1で囲まれる空間内に嵌合可能に、正面視上部が半円形でその下方が縦に長い略長方形に、当該空間と同じ長さ、幅、奥行きを有する薄厚のプレート状に形成される。本体の背面部1b上部の一対の軸受部21は、ハンドルケース1のハンドル軸3のハンドルレバー取付部3B(軸受31)に作動連結可能に形成され、各軸受部21がハンドルケース1の背面側4側面部1c2-1f2で囲まれる空間内に配置可能な奥行きに形成される。本体の背面部2b下部側の錠前ユニットケース取付部22は筒状の保持部22Aと溝形のガイド部22Bとからなり、錠前ユニットケース固定部23とともに、全体がハンドルケース1の4側面部1c-1fで囲まれる空間内に配置可能な大きさに形成される。
【0073】
ここで、本体の背面部2b上部の一対の軸受部21についてハンドルケース1のハンドル軸3のハンドルレバー取付部3Bとの関連でみると、各軸受部21は、ハンドル軸3の軸受31に並列に配置可能にかつハンドル軸3の板ばね302Bに係合可能に垂直断面略くの字形に突出して形成される。この場合、一対の軸受部21は、ハンドルレバー2の背面部2bの上部において略円柱形の基本形状を有し、その背面部が垂直断面略くの字形に形成されて斜め上方に向けられる上面部と斜め下方に向けられる下面部とからなり、この背面部の幅方向中央に上下方向に水平断面が略コ字形にかつ前面部側の垂直断面(側面断面)が略半円形で背面部側の垂直断面(側面断面)が前記略半円形の上下両端から背面部まで漸次拡開される略ハの字形に溝210を形成されて、この溝210の両側に(一対の軸受部21として)形成される。また、この場合、溝210の垂直断面略半円形の部分は円の中心を背面部の上面部と下面部との間の背面上部突出部211の位置(高さ)よりも下方に少し下がった位置(高さ)におき、ハンドル軸3の軸受31先端の略半円形と略同径の断面略半円形に形成されて、これらの軸受部21がハンドル軸3のハンドルレバー取付部3Bの軸受31の一端面に沿って一端面周りに回動可能に、かつ各軸受部21の背面上部突出部211がハンドル軸3の他端面302上の板ばね302Bの平面を上下方向に摺動し板ばね302Bの平面を押圧可能に組み合わせられる。このようにしてハンドルレバー2はハンドルケース1にハンドル軸3を介して起伏回動可能に取り付けられ、ハンドルレバー2をハンドルケース1から引き起こすと、板ばね302Bの反力によりハンドルレバー2が任意の引き起こし位置に保持され、ハンドルレバー2をハンドルケース1上に倒伏し当接させると、板ばね302Bの反力によりこの倒伏位置にハンドルレバー2が保持されるようになっている。
【0074】
この平面ハンドルHのハンドルレバー2に組み込まれる錠前ユニット6は、
図2に示すように、公知のディスクタンブラ錠機構を採用する円筒形のシリンダー錠で、ロータの前端面に鍵孔60を有し、ロータの後端面には回転中心から偏心した位置に駆動用のカム突起61が突設される。錠止部材62は幅が錠前ユニット6の径よりも小さく、長さが錠前ユニット6の径よりも大きい平板状のプレート(以下、スライドプレート62という。)で、プレート面の中央に幅方向に長い長孔状に受動用の溝孔620を有する。このスライドプレート62は溝孔620に錠前ユニット6のカム突起61が係合されて錠前ユニット6に作動連結される。このようにして錠前ユニット6の前端面の鍵孔60に鍵5(
図1参照)を差し込み、回すことにより、ロータが回転し、これに連動してスライドプレート62が錠前ユニット6の軸方向に対して直交方向(この場合は上下方向)に進退駆動されるようになっている。
【0075】
図8に示すように、このハンドルレバー2の背面部2bには、錠前ユニット6をスライドプレート62とともに錠前ユニットケース25を介して保持する錠前ユニットケース取付部22が錠前ユニットケース固定部23とともに設けられる。
【0076】
図9に示すように、錠前ユニットケース25は、ハンドルレバー2とは別体に形成され、錠前ユニット6をその外周面に沿って保持可能な内周面を有する筒状の保持部25Aと、保持部25Aの一端にスライドプレート62の駆動方向に延び、スライドプレート62をその駆動方向に案内可能な内周面を有する筒形のガイド部25Bと、保持部25Aの周面に突出され、保持部25Aの外側から保持部25Aの内側へ固定ねじs2(
図2参照)を締め込み可能にねじ孔250を有するボス部251とを有してなる。この場合、保持部25Aは錠前ユニット6の外周面に沿って保持可能に円筒形の内周面を有し、外周面を円筒状とする円筒形形状に形成される。ガイド部25Bはスライドプレート62をその駆動方向に摺動案内可能に、保持部25Aの一端に直交方向に延び、角形(断面四角形)の内周面を有し、外形を角形(断面四角形)とする角筒形形状に形成される。これら保持部25A、ガイド部25Bは全体として側面視略T字形を呈する。ボス部251は保持部25Aの周面部で一端側に底面視略U字形に形成され、ガイド部25Bと平行に突出される。
【0077】
錠前ユニットケース取付部22は、ハンドルレバー2の正面部2aの下面部2f側に背面部2bまで貫通して錠前ユニット6の鍵孔60を表出する開口部220を形成され、背面部2bにこの開口部220に連通して一体的に形成され、錠前ユニットケース25の保持部25Aを嵌挿可能にかつその内部側の端部で錠前ユニットケース25のガイド部25Bを係止可能に筒状を呈し、周面部に錠前ユニットケース25のボス部251を挿通可能に溝部221を有してなる。この場合、開口部220は錠前ユニット6と略同径の円形に形成される。錠前ユニットケース取付部22はハンドルレバー2の背面部2bにおいて、錠前ユニットケース25の保持部25Aを嵌挿可能にかつ内部側の端部で錠前ユニットケース25のガイド部25Bを係止可能に内周面、外周面を円筒状とする円筒形形状に形成される。溝部221はこの円筒形形状の周面部で内部側の端部の近傍にこの端部から軸方向に向けてボス部251を挿通可能に形成される。この溝部221の終端部は半円形に形成される。錠前ユニットケース固定部23は、背面部2bから連続して錠前ユニットケース取付部22の溝部221の外側近傍に溝部221からボス部251の長さだけ離間して、一方の側面部を溝部221と平行に四角形の板状に突出形成され、その側面部において溝部221の終端部に対向する位置に、錠前ユニットケース25のボス部251のねじ孔250に締結される固定ねじs2を挿通可能に、ねじ挿通孔230が円形に貫通形成されてなる。
【0078】
このようにして錠前ユニット6はスライドプレート62とともに錠前ユニットケース25を介して錠前ユニットケース取付部22に取り付けられ、錠止ユニット固定部23からボス部251を通じて締め込まれる固定ねじs2により固定されるようになっている。
【0079】
このように錠前ユニット6はスライドプレート62とともに錠前ユニットケース25を介して錠前ユニットケース取付部22に取り付けられるようにしたので、形状、大きさの異なる錠前ユニット6でも、それぞれの錠前ユニット6毎に、その外形、大きさに対応する内部構造(内部の形状、大きさ)を有しこの錠前ユニットケース取付部22に対応する共通の外形を有する錠前ユニットケース25を備えておくことで、錠前ユニット6を大きさ、形状の異なるものであっても任意に入れ替えることができる。したがって、この平面ハンドルHに用いることのできる錠前ユニット6のバリエーションが拡大し、ユーザーのニーズにも広く対応することができる。また、製造コストも低く抑えることができる。
【0080】
このハンドルレバー2はこのようにして構成され、ハンドルケース1の背面部1bの軸筒部101に挿着されたハンドル軸3のハンドルレバー取付部3Bに、ハンドル軸3の軸本体3Sの他端面302に板ばね302Bを介在して軸本体3Sの他端面302の軸受31にハンドル軸ピン32を介して取り付けられる。このハンドルレバー2の取り付けでは、
図2を参照すると、まず、ハンドル軸3の軸本体3Sの他端面302に板ばね302Bを他端面302の軸受31を板ばね302Bの軸受挿通孔304に通して他端面302の上下の段部302a、302b間に斜めに設置する。続いて、ハンドルレバー2の各軸受部21をハンドルレバー取付部3Bの軸受31の両側に配置して、各軸受部21、軸受31の各ピン挿通孔20、310間にハンドル軸ピン32を挿通して、ハンドルレバー2をハンドルレバー取付部3Bに取り付ける。そしてこのとき、
図3に示すように、ハンドルレバー取付部3Bの軸受31のねじ孔311に止めねじs1を締め込む。この止めねじs1の締め込みにより、この止めねじs1がハンドル軸ピン32中央の係止溝320に係合し、これがハンドル軸ピン32の抜け止めになって、ハンドル軸ピン32が軸受31のピン挿通孔310に回転可能に固定される。このようにこのハンドルレバー2の取り付けにおいては、ハンドル軸ピン32の固定が簡易で、この分だけ、ハンドルレバー2をハンドルレバー取付部3Bに容易に取り付けることができる。
【0081】
そして、この平面ハンドルHは、かかる構成を備えて、扉パネルに取り付けられる。
図1にこの平面ハンドルの扉パネルへの取り付け例を併せて示している。ここで、扉パネルPには予め所定の位置に平面ハンドルHの取付用開口P0をハンドルケース1が嵌挿可能に縦に長い長方形状に形成してある。この場合、扉パネルPに従来のようなねじ穴や透孔は、不要のため、設けていない。
【0082】
なお、この平面ハンドルHは、扉パネルPに取り付ける前の通常の状態では、ハンドルケース1の上下のケースフック12、フック15は初期状態になっている。すなわち、上のケースフック12は、支持部121がハンドルケース1の背面側上面部1c2において上部フランジ11cに近接する端部側から立ち上げられて背面側上面部1c2と上部フランジ11cとの中間に斜めに延び、その他端で略U字形に折り返されて弾性係合部122が支持部121との間に所定の間隔を介して支持部121と平行に延び、弾性係合部122の一端が背面側上面部1c2と上部フランジ11cとの交差部に近接して配置される。下のフック15はフック15とフック取付凹部13との間のコイルスプリング17(
図5参照)により外側方向に回動付勢されて、フック15の係止爪15Cがフック取付凹部13からハンドルケース1の背面側下面部1f2の外側(下方)へ弾性的に突出される。
【0083】
この平面ハンドルHを扉パネルPへ取り付けるに当たり、まず、ハンドルケース1のフランジ11の背面にケースパッキンを被着し、ハンドルケース1を縦向きにして扉パネルPの取付用開口P0の向きに合せ、ハンドルケース1の背面部1bから背面側4側面部1c2-1f2を背面側上面部1c2上のケースフック12と共に扉パネルPの取付用開口P0に扉パネルPの正面側から背面側へ挿入する。続いて、ハンドルケース1を背面側下面部1f2のケースフック機構15Dのフック15とともに扉パネルPの取付用開口P0に差し込み、押し込む(ワンプッシュする)。このようにして背面側下面部1f2のフック15を取付用開口P0の縁部で押圧してフック取付凹部13に没入させながら取付用開口P0を扉パネルPの正面側から背面側へ通して、扉パネルPの背面側においてフック15の係止爪15Cをフック取付凹部13から背面側下面部1f2外へ突出させる。
【0084】
このようにすると、ハンドルケース1の背面側下面部1f2、背面側左右側面部1d2、1e2の各面が背面部1b側の一端から中間へ、中間から正面部1a側の他端へ、扉パネルPの取付用開口P0の短辺方向及び長辺方向の各縁部を摺動しつつ、扉パネルPの取付用開口P0を通過する。この間、ハンドルケース1の背面側下面部1f2の面から外側に突出されるフック15の係止爪15Cが扉パネルPの取付用開口P0の短辺方向の縁部に接触して押圧され、係止爪15Cがフック15とフック取付凹部13との間のコイルスプリング17の付勢力に抗して(コイルスプリング17を圧縮しながら)ハンドルケース1の背面側下面部1f2のフック取付凹部13に向けて回動し、フック取付凹部13内に没入されていく。そして(ハンドルケース1が扉パネルPの取付用開口P0に押し込まれた瞬間)、フック15の係止爪15Cが完全にフック取付凹部13内に没入されて、ハンドルケース1が扉パネルPの取付用開口P0を完全に通過し、ハンドルケース1の正面開口10の周囲のフランジ11がケースパッキンを介して扉パネルPの正面側で取付用開口P0の全周縁部の周囲に当接するとともに、フック取付凹部13内のフック15は扉パネルPの取付用開口P0の通り抜けにより扉パネルPの背面側でフック15とフック取付凹部13との間のコイルスプリング17の付勢力(コイルスプリング17の弾性復帰)によりフック15の係止爪15Cがハンドルケース1の背面側下面部1f2のフック取付凹部13から外側方向へ回動し、フック取付凹部13から外側に突出されて、扉パネルPの取付用開口P0の短辺方向の縁部に弾性係止される。ここで、この平面ハンドルHは、
図7に示したように、フック15の回動中心C1がフック15の一方の端部15a側でかつ外面15dと内面15eとの間の少し内面15e寄りに設けられ、フック15の他方の端部15fが円の中心をフック15の回動中心C1よりもフック15の一方の端部15aに近くかつ内面15e寄りの位置におく円弧状に形成されたことで、フック15は、係止爪15Cの外側への回動とともに係止爪15Cの円弧状の部分が扉パネルPの取付用開口P0の縁部に向けて迫り出して、取付用開口P0の短辺方向の縁部に食い込む。これにより、ハンドルケース1の正面側のフランジ11は(ケースパッキンを介して)扉パネルPの正面側で取付用開口P0の全周縁部の周囲に引き寄せられて圧接され、ハンドルHが扉パネルPに強固に取り付け固定される。
【0085】
そして、このフック15の作用とともに、背面側上面部1c2上のケースフック12が取付用開口P0の縁部に弾性係合される。すなわち、背面側下面部1f2のフック15の作用により、ケースフック12の弾性係合部122が取付用開口P0の縁部により加圧変形されてこの弾性係合部122の扉パネル6の短辺方向の縁部に対する反力により、扉パネルPの正面側でフランジ11が取付用開口Pの縁部周囲に圧接されるとともに、扉パネルPの背面側でケースフック12の弾性係合部122が取付用開口P0の短辺方向の縁部に圧接される。
【0086】
このように、この平面ハンドルHの扉パネルPへの取り付けでは、ハンドルケース1の背面部1bから背面側4側面部1c2-1f2を背面側上面部1c2上のケースフック12と共に扉パネルPの取付用開口P0に扉パネルPの正面側から背面側へ挿入するとともに、ハンドルケース1を背面側下面部1f2のフック15と共に扉パネルPの取付用開口P0に差し込み、押し込む(ワンプッシュする)だけで、背面側上面部1c2上のケースフック12は弾性係合部122が、背面側下面部1f2のフック15は係止爪15Cが、それぞれ、取付用開口60の各短辺方向の縁部により加圧されるとともに、取付用開口60の縁部がケースフック12の先端.フック15の係止爪15Cとフランジ11との間に挟持されて、この状態が、ケースフック12の弾性係合部122の取付用開口60の縁部に対する反力と、フック15の係止爪15Cの取付用開口60の縁部に対する弾性係止とにより固定される。かくして平面ハンドルHは扉パネルPの取付用開口P0にがたつくことなく確実に取り付けられる。
【0087】
このようにこの平面ハンドルHによれば、扉パネルPにワンタッチで簡易迅速にかつ確実に固定することができる。
【0088】
図1にこの平面ハンドルHの使用例を併せて示している。
なお、扉パネルPが固定枠体に対して閉じられているときは、通常、ハンドルレバー2がハンドルケース1上に倒伏され、この場合、
図10に示すように、ハンドルレバー2の背面上部突出部211により板ばね302Bの上部(ハンドルレバー2の回動中心よりも上の位置)が押圧変形され、この板ばね302Bに生じる反力が背面上部突出部211に対してハンドルレバー2の倒伏方向に加えられて、この倒伏位置にハンドルレバー2が保持される。そして、この状態で、鍵5により錠前ユニット6が施錠状態とされ(すなわち、スライドプレート62が上方に移動されてハンドルケース1側の錠止部材受け部111に係合されて)、ハンドルレバー2は施錠される。
【0089】
このような扉パネルDの施錠状態から、扉パネルDを開けるときは、まず、ハンドルレバー2の施錠を解除する。この場合、
図2を参照すると、鍵5を錠前ユニット6の鍵孔60に通し錠前ユニット6を解錠方向に回転して、錠前ユニット6を解錠状態にすると、スライドプレート62が下方に移動してハンドルケース1の錠止部材受け部111がら離脱され、ハンドルレバー2が解錠される。そして、ハンドルレバー2をハンドルケース1から引き起こすと、このハンドルレバー2の任意の引き起こし位置で、ハンドルレバー2の背面上部突出部211により板ばね302Bの上下方向中間部(ハンドルレバー2の回動中心よりも少し下の位置)が押圧変形され、この板ばね302Bに生じる反力が背面上部突出部211にハンドルレバー2の起立方向に加えられて、この引き起こし位置にハンドルレバー2が保持される。この場合、ハンドル軸3の軸本体3Sの他端面302の上下にそれぞれ段部302a、302bが設けられ、下の段部302bの高さが上の段部302aの高さよりも高くなっていて、上下の段部302a、302b間に板ばね302Bが斜め上方に向けられて斜めに配置されている。これにより、ハンドルレバー2をハンドルケース1から徐々に引き起こしていくにつれて、ハンドルレバー2の背面上部突出部211はこの斜めの板ばね302Bの平面を上から下に摺動しながら板ばね302Bの上下方向中間部(ハンドルレバー2の回動中心よりもさらに下の位置)を押圧変形し、この板ばね302Bに生じる反力が漸次増大される。つまり、板ばね302Bの反力が徐々に強くなる。そして、ハンドルレバー2が最上位置まで引き起こされて、板ばね302Bの反力が最大になる。したがって、ハンドルレバー2はハンドルケース1に対してどの引き起こし位置に引き起こされても、ハンドルケース1に対してがたつくことがなく安定的に保持される。そして、ハンドルレバー2が最上位置まで引き起こされて、この状態から、ハンドルレバー2を所定の開方向に回すと、ハンドルレバー2とハンドル軸3の間のハンドル軸ピン32を介してハンドル軸3が同方向に一体回転して、止め金4が固定枠体側の受け金から離脱される。この状態から扉パネルPを開動すると、扉パネルPが開かれる。
【0090】
これに引き続いて、扉パネルPを閉めるときは、扉パネルPの閉動後、最上位置に保持されたハンドルレバー2を所定の閉方向に回し、ハンドルレバー2とハンドル軸3の間のハンドル軸ピン32を介してハンドル軸3を同方向に一体回転して、止め金4を固定枠体側の受け金に係合させる。これにより扉パネルPが閉められる。続いて、ハンドルレバー2をハンドルケース1上に倒伏すると、
図10に示すように、ハンドルレバー2の背面上部突出部211により板ばね302Bの上部(ハンドルレバー2の回動中心よりも上の位置)が押圧変形され、この板ばね302Bに生じる反力が背面上部突出部211にハンドルレバー2の倒伏方向に加えられて、この倒伏位置にハンドルレバー2が保持される。これにより扉パネルPを閉めた状態が保持される。そして、ハンドルレバー2を施錠する場合は、鍵5を錠前ユニット6の鍵孔60に通し錠前ユニット6を施錠方向に回転して、錠前ユニット6を施錠状態にすると、スライドプレート62が錠前ユニット6の上方に移動されてハンドルレバー2の錠止部材受け部111に係合され、ハンドルレバー2が施錠される。
【0091】
以上説明したように、この平面ハンドルHによれば、ハンドルケース1の背面側上面部1c2にケースフック12、背面側下面部1f2にケースフック機構15Dを備え、平面ハンドルHの扉パネルへの取り付けに当たり、ハンドルケース1を背面部1b側から背面側上面部1c2のケースフック12と共に扉パネルの取付用開口に扉パネルの正面側から背面側へ挿入するとともに、背面側下面部1f2のケースフック機構15Dのフック15を取付用開口の縁部で押圧してフック取付凹部13に没入させながら取付用開口を扉パネルの正面側から背面側へ通して、扉パネルの背面部1b側においてフック15の係止爪15Cをフック取付凹部13から背面側下面部1f2の外側へ突出させることにより、扉パネルの正面側でフランジ11を取付用開口の縁部周囲に圧接するとともに、扉パネルの背面側でケースフック12の弾性係合部122及びケースフック機構15Dのフック15の係止爪15Cをそれぞれ、取付用開口の縁部に弾性係合させて、平面ハンドルHを扉パネルにワンタッチで取り付けるようにしたので、ハンドルケース1を扉パネルに、ねじを使用することなしに、ワンタッチで簡易にかつ確実に取り付けることができ、取付作業の大幅な向上を図ることができる。
【0092】
また、ハンドルケース1の背面側上面部1c2にケースフック12を設け、背面側下面部1f2にケースフック機構15Dを設け、ケースフック機構15Dを背面側下面部1f2一箇所にしたことで、平面ハンドルHの取り付けに要する部品点数を大幅に削減し、コストの低減を図ることができる。
【0093】
また、この場合、ケースフック12は、支持部121が背面側上面部1c2においてフランジ11に近接する端部側から立ち上げられて背面側上面部1c2とフランジ11との中間に斜めに延び、その他端で略U字形に折り返されて弾性係合部122が支持部121との間に所定の間隔を介して支持部121と平行に延び、弾性係合部122の一端が背面側上面部1c2とフランジ11との交差部に近接して配置されるので、弾性係合部22の反力が扉パネルの背面側から正面側に向けて生じるので、ケースフック機構15Dのフック15のコイルスプリング17による付勢力とともに、ハンドルケース1のフランジ11を扉パネルの正面に引き付けるように作用し、ケースフック12及びケースフック機構15Dとフランジ11とにより、平面ハンドルHを扉パネルにがたつくことなくしっかりと固定することができる。
【0094】
また、この平面ハンドルHはさらに次のような利点を有する。
(1)ハンドル軸3のハンドルレバー取付部3Bは、ハンドル軸3の軸本体3Sの他端面302から板状に延び、その両側面間に貫通されるピン挿通孔310を有する軸受31と、軸受31のピン挿通孔310に挿通されるハンドル軸ピン32とからなる。これに対してハンドルレバー2は背面部2b上部に対にして板状に延び、各々の両側面間に軸受31のピン挿通孔310に連通されるピン挿通孔20を有する一対の軸受部21を備える。このようにしてハンドルレバー2はハンドルレバー取付部3Bにハンドルレバー取付部3Bの軸受31の両側にハンドルレバー2の各軸受部21が配置されて、各軸受部21、軸受31の各ピン挿通孔20、310間にハンドル軸ピン32を挿通されて取り付けられる。このような取り付け形式において、ハンドルレバー取付部3Bの軸受31の両端面間にピン挿通孔310の内周面の一部に貫通して止めねじs1を螺挿可能なねじ孔311が設けられる。ハンドル軸ピン32にはハンドル取付部3Bの軸受31のピン挿通孔310に挿通される中間部に全周に亘ってねじ孔311に螺挿される止めねじs1に係合可能に係止溝320が設けられる。このようにしてハンドル軸ピン32は、ハンドルレバー取付部3Bの軸受31のピン挿通孔310に挿通されて、ハンドル軸ピン32の係止溝320とハンドルレバー取付部3Bの軸受31のねじ孔311に螺挿される止めねじs1との係合により固定される。このようにしたことで、ハンドル軸ピン32の固定を簡易にすることができ、この分だけ、ハンドルレバー2をハンドルレバー取付部3Bに容易に取り付けることができる。
【0095】
(2)このハンドル軸3において、ハンドルレバー取付部3Bは、ハンドル軸3の軸本体3Sの他端面302から板状に延び、その両側面間にピン挿通孔310を有する軸受31と、軸受31のピン挿通孔310に挿通されるハンドル軸ピン32と、ハンドル軸本体32の他端面302でピン挿通孔310を水平に向けた状態のピン挿通孔310の上下にそれぞれ段部302a、302bが設けられて、各段部302a、302b間に配置され、ハンドルレバー2(背面上部突出部211)が弾性係合可能な板ばね302Bとを備える。そして、軸本体3Sの他端面302の各段部302a、302bは、上の段部302aの高さよりも下の段部302bの高さが高く、上下の段部302a、302b間に板ばね302Bは斜めに配置される。このようにしたことで、ハンドルレバー2をハンドルベース1から徐々に引き起こしていくにつれて、ハンドルレバー2の背面上部突出部211と板ばね302Bとの弾性係合による板ばね302Bに生じる反力を徐々に強くすることができ、ハンドルレバー2をハンドルベース1に対してどの引き起こし位置に引き起こしても、がたつくことがなく安定的に保持することができ、ハンドルレバー2を最上位置にがたつくことなく確実に保持することができる。したがって、ハンドルレバー2の引き起こし操作、回転操作をいずれも良好に行うことができ、ハンドルレバー2の操作性の向上を図ることができる。
【0096】
(3)この平面ハンドルHは、ハンドルレバー2に、正面に鍵孔60を有し背面にカム突起61を有する錠前ユニット6と、錠前ユニット6のカム突起61に作動連結されて錠前ユニット6の背面側で駆動されるスライドプレート62とを組み込まれ、他方に、スライドプレート62に係脱可能な錠止部材受け部111を形成されてなるロック装置L6を備える。そして、このハンドルレバー2では、ハンドルレバー2とは別体にして形成され、錠前ユニット6をその外周面に沿って保持可能な内周面を有する筒状の保持部25Aと、保持部25Aの一端にスライドプレート62の駆動方向に延び、スライドプレート62をその駆動方向に案内可能な内周面を有する筒形のガイド部25Bと、保持部25Aの周面に突出され、保持部25Aの外側から保持部25Aの内側へ固定ねじs2を締め込み可能にねじ孔250を有するボス部251とを有してなる錠前ユニットケース25と、ハンドルレバー2の正面部2aの下面部1f側に背面部2bに貫通して錠前ユニット6の鍵孔60を表出する開口部220を形成されて、背面部2bに開口部220に連通して一体的に形成され、錠前ユニットケース25の保持部25Aを嵌挿可能にかつその内部側の端部で錠前ユニットケース25のガイド部25Bを係止可能な筒状を呈し、その周面部に錠前ユニットケース25のボス部251を挿通可能に溝部221を有してなる錠前ユニットケース取付部22、及び錠前ユニットケース取付部22の溝部221の終端部に対向し当該終端部221からボス部251の長さだけ離間して配置され、ボス部251のねじ孔250に連通可能にねじ挿通部230を有する錠前ユニットケース固定部23とを備える。このようにして錠前ユニット6はスライドプレート62とともに錠前ユニットケース25を介して錠前ユニットケース取付部22に取り付けられ、錠止ユニット固定部23からボス部251を通じて締め込まれる固定ねじs2により固定される。このようにしたことで、形状、大きさの異なる錠前ユニット6でも、それぞれの錠前ユニット6毎に、その外形、大きさに対応する内部構造(内部の形状、大きさ)を有しこの錠前ユニットケース取付部22に対応する共通の外形を有する錠前ユニットケース25を備えておくことで、錠前ユニット6を大きさ、形状の異なるものであっても任意に入れ替えることができる。したがって、この平面ハンドルHに用いることのできる錠前ユニット6のバリエーションを拡大し、ユーザーのニーズに広く対応することができる。また、製造コストも低く抑えることができる。
【0097】
なお、この実施の形態では、ケースフック12がハンドルケース1の一方の面の近傍、この場合、上部フランジ11cに固定されて、ハンドルケース1の一方の面上に設けられるものとしたが、ケースフック12は一方の面に固定されてもよい。また、ケースフック12は一対のフック12Bを備えるものとしたが、フック12B単体であってもよく、複数のフック12Bからなるものであってもよい。さらに、平面ハンドルHの扉パネルへの取り付けに当たり、扉パネルの背面側でケースフック12の弾性係合部122及びケースフック機構15Dのフック15の係止爪15Cをそれぞれ、取付用開口の縁部に弾性係合させたが、ケースフック12の弾性係合部122及びケースフック機構15Dのフック15の係止爪15Cをそれぞれ、取付用開口の縁部周囲に弾性係合させるようにしてもよい。
このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0098】
また、この実施の形態では、ケースフック機構15Dは、ハンドルケース1のエンドカバーA1に設けられるものとしたが、ハンドルケース1にエンドカバーA1が設けられない場合は、ハンドルケース1それ自体に設けられる。この場合、ハンドルケース1の背面側下面部1f2に同様に平板が突設され、又はこの背面側下面部1f2を開口して凹部が形成されて、フック取付凹部が設けられ、各平板又は凹部の両側面に軸受が形成される。このようにすることでケースフック機構15が同様に構成される。
このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0099】
さらに、この実施の形態では、ハンドルレバー2に錠前ユニット6がスライドプレート62と共に組み込まれるものとしたが、ハンドルレバー2に代えてハンドルケース1に設けられるものとしてもよい。この場合、ハンドルケースに、ハンドルケースと別体に形成され、錠前ユニットをその外周面に沿って保持可能な内周面を有する筒状の保持部と、保持部の一端に錠止部材の駆動方向に延び、錠止部材をその駆動方向に案内可能な内周面を有する筒形のガイド部と、保持部の周面に突出され、保持部の外側から保持部の内側へ固定ねじを締め込み可能にねじ孔を有するボス部とを有してなる錠前ユニットケースと、ハンドルケースの正面部の下面部側に背面部に貫通して錠前ユニットの鍵孔を表出する開口部を形成されて、その背面側に当該開口部に連通して一体的に形成され、錠前ユニットケースの保持部を嵌挿可能にかつその内部側の端部で錠前ユニットケースのガイド部を係止可能に筒状を呈し、周面部に錠前ユニットケースのボス部を挿通可能に溝部を有してなる錠前ユニットケース取付部、及び錠前ユニットケース取付部の溝部の終端部に対向しこの終端部からボス部の長さだけ離間して配置され、ボス部のねじ孔に連通可能にねじ挿通部を有する錠前ユニットケース固定部とを備え、錠前ユニットはスライドプレートと共に錠前ユニットケースを介して錠前ユニットケース取付部に取り付けられ、錠止ユニット固定部からボス部を通じて締め込まれる固定ねじにより固定される。
このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0100】
H 平面ハンドル(ハンドル)
1 ハンドルケース
1a 正面部
1b 背面部
1c 上面部
1c0 ねじ孔
1c10 ねじ孔
1c11 仕切り部
1d 左側面部
1d0 凹部
1e 右側面部
1e0 凹部
1f 下面部
10 開口
101 軸筒部
102 受座
102a 平面部
102b 段部
103 ボス
103s ねじ孔
s3 取付ねじ
A0 開口部
A1 エンドカバー
A11 平板部
A110 ねじ挿通孔
A12 平板部
A13 平板部
A131 支持部
11 フランジ(段差部)
111P 錠止部材受け部取付部
1110 ねじ挿通孔
111 錠止部材受け部(スライドプレート受け部)
1111 係止面
1112 ねじ孔
s4 取付ねじ
12 ケースフック
12A 取付部
12a1 基部
12a2 基部延長部
12a3 ねじ挿通孔
s ねじ
12B フック
121支持部
122 弾性係合部
13 フック取付凹部
130 ばね受部
15D ケースフック機構
15 フック
15C 係止爪
2 ハンドルレバー
2a 正面部
2b 背面部
2c 上面部
2d 左側面部
2e 右側面部
2f 下面部
20 ピン挿通孔
21 軸受部
210溝
211 背面上部突出部
22 錠前ユニットケース取付部
22A 保持部
22B ガイド部
220 開口部
221 溝部
23 錠前ユニットケース固定部
230 ねじ挿通孔
24 グリップ部
25 錠前ユニットケース
25A 保持部
25B ガイド部
250 ねじ孔
251 ボス部
s2 固定ねじ
3 ハンドル軸
3S 軸本体
301 一端面
302 他端面
302a 段部
302b 段部
302B 板ばね
303 回動方向規制部
303a ガイド溝
303b ガイドピン
304 軸受挿通孔
3B ハンドルレバー取付部
31 軸受
310 ピン挿通孔
311 ねじ孔
32 ハンドル軸ピン
320 係止溝
s1 止めねじ
3A 止め金取付部
33 止め金フック取付凹部
330 ばね通し孔
34 軸受
340 軸挿通部
35 止め金フック
35C 係止爪
36 軸
37 ばね部材(コイルスプリング)
4 止め金
40 取付孔
5 鍵
L6 ロック装置
6 錠前ユニット(シリンダー錠)
60 鍵孔
61 カム突起
62 錠止部材(スライドプレート)
620 溝孔
P 扉パネル
P0 取付用開口