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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042152
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20230317BHJP
   E03C 1/10 20060101ALI20230317BHJP
   C02F 1/28 20230101ALI20230317BHJP
   C02F 1/70 20230101ALI20230317BHJP
【FI】
A47K3/28
E03C1/10
C02F1/28 R
C02F1/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149298
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】507039187
【氏名又は名称】株式会社ニコリオ
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】宍田 光紀
【テーマコード(参考)】
2D060
2D132
4D050
4D624
【Fターム(参考)】
2D060CC11
2D060CD09
2D132FA12
2D132FJ04
2D132FJ07
4D050AA04
4D050AB45
4D050BA06
4D050BD03
4D050CA06
4D050CA15
4D624AA02
4D624AB07
4D624AB11
4D624BA02
4D624CA12
4D624CA13
4D624CA15
4D624DB03
4D624DB22
(57)【要約】
【課題】既設のシャワー設備に容易に取り付けることが可能な水処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の水処理装置100は、シャワー装置10のシャワーヘッド11を覆うことが可能に構成された袋状のカバー体110と、カバー体110に設けられ、カバー体110に覆われたシャワーヘッド11から吐水された水を処理する水処理部120と、水処理部120によって処理された水を吐水する吐水部140と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワー装置のシャワーヘッドを覆うことが可能に構成された袋状のカバー体と、
前記カバー体に設けられ、前記カバー体に覆われた前記シャワーヘッドから吐水された水を処理する水処理部と、
前記水処理部によって処理された水を吐水する吐水部と、
を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記カバー体の開口側の開口端部を前記シャワー装置の持ち手部分及び前記シャワーヘッドに水を供給する給水管の少なくとも一方に緊締可能に構成された緊締機構をさらに備える、請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記水処理部は、流入した水の濾過処理及び残留塩素の除去処理のうちの少なくとも1つを行う、請求項1又は2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記カバー体は、前記カバー体の開口から前記シャワーヘッドの挿入方向にわたって延在する第1挿入方向端及び第2挿入方向端を有し、
前記水処理装置は、前記第1挿入方向端及び前記第2挿入方向端を接合又は分離するファスナ部をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記カバー体内が水で満たされた状態では、前記シャワーヘッドから吐水された水の前記水処理部への流入、前記水処理部によって処理された水の前記吐水部への流入、及び前記吐水部からの吐水は、前記カバー体における前記溜まった水の圧力によってなされる、請求項1から4のいずれか1項に記載の水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャワーヘッドから吐水される水の水質を改善するために、シャワーヘッドに水処理装置が設けている。従来の水処理装置は、シャワーヘッドに内蔵される。この水処理装置を内蔵したシャワーヘッドは、既設のシャワー設備のシャワーヘッドと交換することで、給水ホースに接続されて使用される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-169044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の水処理装置では、これを内蔵したシャワーヘッドを既設のシャワー設備のシャワーヘッドと交換して取り付ける作業が煩雑であるという問題があった。
【0005】
上記を鑑み、本発明は、既設のシャワー設備に容易に取り付けることが可能な水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シャワー装置のシャワーヘッドを覆うことが可能に構成された袋状のカバー体と、前記カバー体に設けられ、前記カバー体に覆われた前記シャワーヘッドから吐水された水を処理する水処理部と、前記水処理部によって処理された水を吐水する吐水部と、を備えることを特徴とする水処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の水処理装置によれば、既設のシャワー設備に容易に取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】シャワーヘッドを第1実施形態の水処理装置で覆った状態を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の水処理装置の正面図である。
図3】第1実施形態の水処理装置の側面図である。
図4】シャワーヘッドを第1実施形態の水処理装置で覆った状態における水処理装置内部の様子を模式的に示す図である。
図5】シャワーヘッドを第1実施形態の水処理装置で覆った状態における水処理装置内部の様子を模式的に示す図である。
図6図6(a)はファスナ部のエレメントが切り離された状態での第2実施形態の水処理装置の背面図であり、図6(b)はファスナ部のエレメントが噛み合った状態での第2実施形態の水処理装置の背面図である。
図7図7(a)は変形例における緊締機構によって緊締する前の状態を示す図であり、図7(b)は変形例における緊締機構によって緊締した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各図面において同一または同等の構成要素、部材には同一の符号を付し、適宜重複する説明は省略する。
【0010】
(第1実施形態)
以下、本実施形態の水処理装置100について説明する。図1から図3を参照する。図1に示すように、水処理装置100は、シャワー装置10のシャワーヘッド11全体を覆うように取り付けられる。水処理装置100は、カバー体110と、水処理部120と、緊締機構130と、吐水部140と、を含む。説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX方向、X方向に直交する水平な方向をY方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を定める。また、Z方向を上下方向ということがある。このような方向の表記は水処理装置100の使用姿勢を制限するものではなく、水処理装置100は、用途に応じて任意の姿勢で使用される。
【0011】
カバー体110は、シャワー装置10のシャワーヘッド11を覆うことが可能に構成される。カバー体110は、その内部空間113にシャワーヘッド11を収納可能な袋状を成す。カバー体110には、シャワーヘッド11をカバー体110に挿入して内部空間113に収納するための開口112が形成される。カバー体110は、ゴム等の伸縮性があり且つ水を透過しない素材で構成される。カバー体110は、接続口114を介して水処理部120に連通している。
【0012】
水処理部120は、カバー体110の接続口114に取り付けられる。水処理部120には、カバー体110に覆われたシャワーヘッド11から吐水された原水が接続口114を介して流入する。水処理部120は、液体を透過可能であり、流入した原水を処理することによって浄水を生成し、吐水部140に供給する。水処理部120は、流入した水の濾過処理及び残留塩素の除去処理のうちの少なくとも1つを行う。水処理部120で用いられる浄化材として、活性炭、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムなど、塩素やサビ、雑菌等を除去しうる公知の浄化材及びその組み合わせが使用される。
【0013】
緊締機構130は、カバー体110の開口112側の開口端部111をシャワー装置10の持ち手部分12に緊締可能に構成される。緊締機構130は、カバー体110に取り付けられ、カバー体110と一体に構成される。緊締機構130は、カバー体110の開口端部111に取り付けられたバンド部材131と、バンド部材131の長手方向の一端131aに取り付けられたリング部材132と、バンド部材131の長手方向の他端131b側に取り付けられた面ファスナ133と、を有する。面ファスナ133は、バンド部材131に係止可能に構成される。
【0014】
吐水部140は、水処理部120から供給された浄水を水処理装置100の外部に浄水流Fcとして吐水する。
【0015】
以下、本実施形態の水処理装置の使用方法について説明する。使用者によって順序は色々考えられるため、以下は代表例である。
【0016】
まず、シャワーヘッド11を開口112からカバー体110に挿入してカバー体110内に収納する。
【0017】
次に、緊締機構130を用いて開口端部111を緊締する。本実施形態の緊締機構130では、バンド部材131の他端131bをリング部材132に通してから折り返し、折り返した部分を引っ張ることによりバンド部材131で開口端部111及び持ち手部分12を十分に締め上げる。その後、折り返した部分を面ファスナ133を用いてバンド部材131に係止させることにより、開口端部111を持ち手部分12に緊締する。これにより、カバー体110の開口112と外部との間の流体の流通が妨げられ、気密性が高まる。
【0018】
次に、シャワー装置10の吐水を開始する。これにより、カバー体110内にシャワー装置10の原水流Foが流れ、緊締機構130によって気密性が高められたカバー体110内に原水Wが溜まるようになる(図4参照)。原水Wが接続口114まで溜まると、接続口114を介して原水Wが水処理部120に流入して処理され、吐水部140から浄水が吐水され始める。吐水部140における吐水量よりもシャワー装置10における吐水量が多いと、カバー体110内でさらに原水Wが溜まり、カバー体110内が原水Wで満たされた状態となる(図5参照)。
【0019】
カバー体110内が原水Wで満たされた状態でシャワー装置10から原水流Foが供給されると、図5に示すように、カバー体110内の接続口114近傍の水圧よりもカバー体110内の接続口114近傍以外の位置での水圧が高くなる。その結果、カバー体110内の原水Wは、接続口114を介してその水圧に応じた流量で水処理部120に流入して処理され、吐水部140から浄水流Fcとして吐水される。これにより、ユーザは、浄水流Fcを使用することが可能となる。
【0020】
このように、カバー体110内が原水Wで満たされた状態では、シャワーヘッド11から吐水された原水の水処理部120への流入、水処理部120によって処理された水の吐水部140への流入、及び吐水部140からの吐水は、カバー体110に溜まった水の圧力によってなされる。
【0021】
本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0022】
現在使用されている水道水には残留塩素が含まれている。この残留塩素が水道水を介して髪や皮膚に触れると、これらを痛める要因となる。また、例えば、旅先では、国や地域によっては、水道水に生体内には入れたくない細菌、ゴミ、水道管のサビなどが含まれている場合がある。
【0023】
これらを除去してシャワーヘッドから吐水される水の水質を改善するために、既設のシャワー設備のシャワーヘッドを水処理装置を内蔵したシャワーヘッドに交換することが想定される。しかし、水処理装置を内蔵したシャワーヘッドを既設のシャワー設備のシャワーヘッドと交換して取り付ける作業が煩雑である問題がある。特に、旅先では、このような交換作業は極めて煩わしいことに加え、シャワーの故障等のトラブルに発展するおそれもある。また、例えば旅行鞄等の収納スペースは限られているため、旅先には水処理装置を内蔵したシャワーヘッドのような場所をとる物は持ち込みにくい。そのため、手軽に持ち運ぶことができ、且つシャワーヘッドの交換作業を要せずに既設のシャワー設備に容易に取り付けることが可能な水処理装置が求められる。
【0024】
本実施形態の水処理装置では、シャワー装置10のシャワーヘッド11を覆うことが可能に構成された袋状のカバー体110に水処理部120が設けられる。シャワーヘッド11をカバー体110で覆った状態でシャワーヘッド11から吐水された原水が水処理部120によって処理され、その処理後の浄水が吐水部140から吐水される。本構成によると、カバー体110をシャワーヘッド11で覆うという簡単な作業だけで水処理機能を付与できる。そのため、シャワーヘッド11を交換する必要がなく、従来よりも取り付け・取り外し作業が容易になる。また、シャワーヘッド11自体を持ち運ぶ必要がないため、手軽に持ち運ぶことが可能となる。
【0025】
本実施形態の水処理装置100は、カバー体110の開口112側の開口端部111をシャワー装置10の持ち手部分12に緊締可能に構成された緊締機構130を備える。本構成によると、カバー体110の開口112における気密性を高めることができる。その結果、カバー体110内の接続口114近傍とそれ以外の位置での水圧差を大きくすることができるため、勢いが強く且つ高流量の浄水流Fcを形成することが可能となる。
【0026】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0027】
図6(a)及び(b)を参照する。図6(a)及び(b)では、簡略化のため、緊締機構130を省略している。第2実施形態のカバー体110は、開口112からカバー体110に対するシャワーヘッド11の挿入方向にわたって延在する第1挿入方向端115a及び第2挿入方向端115bを有する。水処理装置100は、第1挿入方向端115a及び第2挿入方向端115bを接合又は分離するファスナ部150を備える。ファスナ部150は、開口112から上方向に向かって延在するエレメント151と、エレメント151の噛み合わせ又は切り離しを行うためのスライダ152と、を備える。本実施形態のファスナ部150は、ジッパーであるが、これに限定されず、面ファスナ等であってもよい。
【0028】
本実施形態によると、例えばスライダ152がエレメント151の上端部に位置するようにファスナ部150のエレメント151が切り離されている状態では(図6(a)参照)、開口112がより広がるため、シャワーヘッド11をカバー体110内に挿入しやすくなる。ただし、この状態では、カバー体110の気密性を確保しにくく、緊締機構130によって開口端部111を緊締したとしても、シャワー装置10から吐水された原水流Foがカバー体110の切り離されたエレメント151の部分から漏れやすくなるため、カバー体110内に原水Wが溜まりにくい。そのため、シャワーヘッド11をカバー体110内に挿入した後は、スライダ152を用いてエレメント151の噛み合わせを行い、スライダ152をエレメント151の下端部まで移動させ(図6(b)参照)、緊締機構130によって開口端部111を緊締する。このとき、スライダ152を緊締機構130のバンド部材131よりも下まで移動させる。これにより、カバー体110の気密性を向上できる。本構成によると、シャワーヘッド11のカバー体110内への挿入しやすさを確保しつつ、シャワー装置10から原水流Foを吐出したときにカバー体110内に原水Wが溜まりやすくなる。
【0029】
なお、本実施形態では、ファスナ部150は、水処理装置100の背面に位置するが、これに限定されず、正面及び側面に位置してもよい。
【0030】
(変形例)
以下、変形例について説明する。
【0031】
実施形態では、緊締機構130においてリング部材132が用いられたが、緊締機構130においてリング部材132が用いられなくてもよい。例えば、緊締機構130は、バンド部材131を持ち手部分12に巻き付けて、面ファスナ133で係止するように構成されてもよい。
【0032】
実施形態では、緊締機構130において面ファスナ133が用いられたが、緊締機構130において面ファスナ133が用いられなくてもよい。例えば、緊締機構130において、バンド部材131にその長手方向に所定の間隔で複数の挿入孔を形成するとともに、リング部材132にピンを設ける。バンド部材131で開口端部111を持ち手部分12に対して十分に締め上げた後、挿入孔のいずれかにピンを挿入することにより、バンド部材131の位置を固定すればよい。
【0033】
実施形態では、緊締機構130においてバンド部材131が用いられたが、これに限定されない。例えば、バンド部材131の代わりに紐状部材134を用い、紐状部材134の両端にコードストッパ135を通した構成としてもよい(図7(a)参照)。この場合、コードストッパ135を用いて開口端部111に円環状に巻き付けられた紐状部材134を絞り上げて紐状部材134の位置を固定すればよい(図7(b)参照)。
【0034】
実施形態では、緊締機構130が用いられたが、これに限定されない。例えば、緊締機構を用いずに、カバー体110に溜まった水を水処理部120で処理して吐水するようにしてもよい。
【0035】
実施形態では、緊締機構130は、カバー体110と一体に構成されたが、これに限定されず、カバー体110と別体に構成されてよい。例えば、緊締機構130は、カバー体110と別体の紐やリング状のゴム等であってもよい。この場合、紐で開口端部111を持ち手部分12に巻き付けて結んだり、リング状のゴムを引き延ばして開口端部111を持ち手部分12に多重に巻き付けてもよい。
【0036】
実施形態では、緊締機構130は、開口端部111を持ち手部分12に緊締したが、これに限定されず、シャワーヘッド11に水を供給する給水管13に開口端部111を緊締してもよい。したがって、緊締機構130は、持ち手部分12及び給水管13の少なくとも一方に対して緊締可能に構成されるといえる。
【符号の説明】
【0037】
10 シャワー装置、11 シャワーヘッド、12 持ち手部分、13 給水管、100 水処理装置、110 カバー体、111 開口端部 112 開口、113 内部空間、114 接続口、115 挿入方向端、120 水処理部、130 緊締機構、131 バンド部材、132 リング部材、133 面ファスナ、134 紐状部材、135 コードストッパ、140 吐水部、150 ファスナ部、151 エレメント、152 スライダ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7