(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042178
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】開閉状態検出装置を備えた飛散防止装置
(51)【国際特許分類】
B60P 7/04 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
B60P7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149344
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】518199849
【氏名又は名称】大煌工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000208204
【氏名又は名称】大林道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】山下 将弘
(57)【要約】
【課題】
ダンプトラックを運転する作業員が、飛散防止装置の本体部2を荷台の内側へ倒しておくことを失念し、荷台両側壁から外側へ開いた状態でダンプトラックを走行させることを防止する手段を提供すること。
【解決手段】
荷台両側壁の上端に設置された一対の本体部2を備える飛散防止装置において、前記本体部2の開閉状態検出装置4及び警報手段を有し、ダンプトラックの走行開始時に本体部2が荷台の両側壁から外側へ開いている場合には、作業員に警報を発することからなる飛散防止装置を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台の両側壁の上縁に設置された一対の本体部を備える飛散防止装置において、前記本体部の開閉状態検出装置と警報装置を備え、ダンプトラックの走行開始時に前記本体部の開閉状態を検出し、前記本体部が前記荷台の両側壁から外側へ開いている場合には、警報を発することを特徴とする飛散防止装置。
【請求項2】
前記開閉状態検出装置が磁気検出手段によるものであることを特徴とする、請求項1に記載の飛散防止装置。
【請求項3】
前記磁気検出手段は、前記本体部のシャフトに設けた磁性体と、荷台の側壁上に設けた磁気センサーからなることを特徴とする、請求項2に記載の飛散防止装置。
【請求項4】
前記開閉状態検出装置が機電接点手段によるものであることを特徴とする、請求項1に記載の飛散防止装置。
【請求項5】
前記機電接点手段は、前記本体部のシャフトに設けた押圧部材と、荷台の側壁上に設けたスイッチ装置からなることを特徴とする、請求項4に記載の飛散防止装置。
【請求項6】
前記警報装置が、警報音を発するブザー、及び/又は、点滅光を含む光を発するライトであることを特徴とする、請求項1~5の何れかに記載の飛散防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂等を運搬するダンプトラックの荷台に取り付けられ、当該ダンプトラックに積載された土砂等が荷台から飛散することを防ぐ飛散防止装置に開閉状態検出装置を設置することに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、本発明で採用する飛散防止装置の概要を示すものである。一般に土砂等を運搬するダンプトラックにあっては、積載した土砂が荷台から飛散することを防ぐために、荷台の両側壁1に飛散防止装置を取り付けることがおこなわれている。
この飛散防止装置においては、梯子状の枠部材に樹脂製のシートを展設した一対の本体部2が、両側壁1の上縁に沿って設置されている。この本体部2の側壁1と接する長辺を構成する枠部材からは、その長辺の延長線に沿ってダンプトラックの前後方向に一対のシャフト3a、3bが突出しており、側壁1の両端付近に固定された一対の軸受け(図示せず)に支持されている。
【0003】
一対の本体部2は、軸受けに設けられた駆動手段により、又は手動により、このシャフト3a、3bを中心軸にして両側壁1の内側と外側に傾動させることができる。
図1は、土砂等を積み込んだ後に、前記本体部2を側壁1の内側に倒した状態を示すものある。このように、本体部2を内側に倒した状態を保持して走行することで、運搬時における土砂等の落下や飛散を防ぐことができる(特許文献1)。
したがって、従来の飛散防止装置は、本体部2、シャフト3a、3b、軸受け及び必要に応じて本体部2の開閉をおこなう駆動手段から構成されている。この飛散防止装置は、例えば、コボレーン(登録商標)などと呼ばれ、土砂等を運搬するダンプトラックにおいて広く普及している。
【0004】
図2は、本体部2を側壁1の外側に傾斜した状態を示す。パワーショベル等の重機を用いて土砂等を荷台へ積載する際には、一対の本体部2は、積み上げの邪魔にならないようそれぞれの側壁1の外側に傾斜させることが通常おこなわれている。
そして、荷積みが終了してダンプトラックが走行する段階になると、一対の本体部2は荷台の内側へ倒して荷台上の土砂が両側壁から落下したり飛散したりすることを防いでいる。
【0005】
このように、本体部2は、荷物の積載中には荷台の両側壁1から外側に向けて張り出して開き、荷物の積み込みが終わってダンプトラックが走行する際には、荷台の内側へ倒して使用されている。しかし、作業員の不注意により、本体部2を荷台の両側壁1から外側へ向けて開いたままで、ダンプトラックの運転を開始してしまう事態が時折発生していた。
ダンプトラックがこのような状態で道路を走行すると、他の走行車両との関係で危険であるばかりでなく、外側に張り出した本体部2が高速道路の料金所ブースと接触し、これを破壊してしまう事故が発生することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、上記した事故が発生することを防ぐことを目的とするものである。すなわち、ダンプトラックを運転する作業員が本体部2を荷台の内側へ倒すことを失念し、荷台の両側壁1から外側へ張り出した状態でダンプトラックを走行させることを防止する手段を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、荷台の両側壁1の上縁に設置された一対の本体部2を備える飛散防止装置において、本体部2の開閉状態検出装置と警報装置を備え、ダンプトラックの走行開始時に前記本体部2の開閉状態を検出し、本体部2が荷台の両側壁1から外側へ向けて開いている場合には、作業員に警報を発するように構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記本体部2の開閉状態検出装置が磁気検出手段によるものであることを特徴とし、具体的には前記本体部のシャフトに設けた磁性体と、荷台の側壁上に設けた磁気センサーからなる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記本体部2の開閉状態検出装置が機電接点手段によるものであることを特徴とし、具体的には前記本体部のシャフトに設けた押圧部材と、荷台の側壁上に設けたスイッチ装置からなる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5の何れかに記載の発明において、前記警報装置が、警報音を発するブザー、及び/又は、点滅光を含む光を発するするライトであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成によれば、荷物の積み込みが終わって本体部2を荷台の内側へ倒すことを作業員が失念した場合であっても、作業員がダンプトラックを走行させようとした段階で、作業員に対して警報が発せられるので、本体部2が荷台の両側壁から外側へ向けて開放された状態で走行することに起因する事故を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の飛散防止装置の本体部2を側壁1の内側へ倒した状態を示す。
【
図2】本発明の飛散防止装置の本体部2を側壁1の外側へ傾斜した状態を示す。
【
図3】磁気検出型の開閉検出装置4の概念図であり、(a)は飛散防止装置の本体部2が直立しているのでスイッチがオフの状態であり、(b)は本体部2が荷台の両側壁1から外側へ開いているので、磁気センサー6が磁性体5に反応してスイッチがオンとなる状態を示す。
【
図4】機電接点型の開閉検出装置4の概念図であり、(a)は飛散防止装置の本体部2が直立しているのでスイッチがオフの状態であり、(b)は本体部2が荷台の両側壁1から外側へ開いているので、押圧部材7がスイッチ装置8のスイッチを押圧してスイッチがオンとなる状態を示す。
【
図5】本発明において採用する電気配線図であり、開閉状態検出装置4を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
(開閉状態検出装置)
本発明の飛散防止装置においては、前記した従来の飛散防止装置の構成に加えて、本体部2の開閉状態検出装置4及び警報装置を有する。この開閉状態検出装置4は、
図1のシャフト3aに接続して設置される。この検出手段として、具体的には、マグネットを利用する磁気検出手段、あるいは、スイッチを利用する機電接点手段を用いることができる。さらには、光、電波、あるいは音波を利用して本体部2の開閉状態を検出してもよい。
以下では、磁気検出手段と機電接点手段について詳述する。
【0016】
(磁気検出手段)
図3は、磁気検出手段の内容を示す概念図である。
図3に示す通り、シャフト3aの一部にはシャフト3aの略半円部分を覆うように磁性体5が固定され、荷台の側壁上に磁気センサー6が設置されている。そして、飛散防止装置の本体部2が垂直方向に起立又は両側壁1の内側に倒れている場合には、
図3(a)に示される通り、磁性体5は磁気センサー6から離間しているので磁気センサー6は反応しない。しかし、
図3(b)に示されるように、本体部2が荷台の両側壁1から外側へ向けて開いている場合には、シャフト3aの略半円部分を覆っている磁性体が磁気センサー6に接近し、磁気センサー6が磁性体5の磁気に反応して電気出力を発生する。この状態のままでダンプトラックが走行を開始すると、ドライバーである作業員に警報が発せられる。
【0017】
(機電接点手段)
図4は、機電接点手段の内容を示す概念図である。
シャフト3aには、シャフト3aの略半円部分を覆うように押圧部材7が固定され、前記押圧部材7の下部にはスイッチ装置8が設置されている。そして、飛散防止装置の本体部2が垂直方向に起立又は両側壁1の内側に倒れている場合には、
図4(a)に示される通り、押圧部材7はスイッチ装置8から離間しているのでスイッチは押されない。しかし、
図4(b)に示されるように、本体部1が荷台両側壁1から外側へ向けて開いている場合には、シャフト3aの略半円部分を覆っている押圧部材7がスイッチ装置8に接近してスイッチを押圧し、電気出力を発生する。この状態でダンプトラックが走行を開始すると、ドライバーである作業員に警報が発せられる。
【0018】
(警報装置)
警報装置は、飛散防止装置の本体部1が荷台の両側部1の外側に開いたままダンプトラックが走行を開始することをドライバーに知らせるものである。警告音が断続的に鳴り続けることやライトの光が点滅することで警報を発する。ドライバーは、この警報に接することで、本体部2が荷台の両側壁1から外側へ開いたままであることを察知し、本体部2を荷台内に倒すことができる。
警報は、運転席内の適当な位置に設置したブザーから警告音を発すること、及び/又は、ドライバーから見やすい位置に設置したライトから点滅光を含む光を発することでおこなう。
【0019】
(電気配線)
図5は、本発明で採用する飛散防止装置に関する電気配線図を示すもので、4が本体部2の開閉状態検出装置であり、上記した磁気検出手段又は機電接点手段で構成することができる。
飛散防止装置の本体部2が両側壁1の外側へ傾斜した状態では、開閉状態検出装置4のスイッチはオンの状態である。その状態で、ダンプトラックのエンジンを始動させるためにイグニッションスイッチがオンになると電気回路が開通し、ブザーから警告音及び/又はライトから点滅光が発せられ、ドライバーに対して本体部2が両側壁1の外側に開いた状態であることを警告する。この警告を受けて、ドライバーは本体部2を両側壁1の内側へ倒すことができる。
【0020】
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0021】
1 荷台の側壁
2 飛散防止装置の本体部
3a、3b シャフト
4 開閉状態検出装置
5 磁性体
6 磁気センサー
7 押圧部材
8 スイッチ装置