(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042195
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20230317BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20230317BHJP
B60L 58/16 20190101ALI20230317BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20230317BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230317BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20230317BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20230317BHJP
【FI】
G01C21/26 C
B60L3/00 N
B60L58/16
G08G1/0969
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149380
(22)【出願日】2021-09-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 住友三井オートサービス株式会社主催技術説明会にて公開した。(公開日:令和3年8月23日)
(71)【出願人】
【識別番号】599115217
【氏名又は名称】株式会社 ディー・エヌ・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】二見 徹
(72)【発明者】
【氏名】左向 貴代
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 正人
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 千絵
(72)【発明者】
【氏名】森 洋慶
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅男
(72)【発明者】
【氏名】伊予永 昭寛
【テーマコード(参考)】
2F129
5H125
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129DD49
2F129EE02
2F129EE39
2F129EE78
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF62
2F129HH12
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125BC18
5H125CA18
5H125CD02
5H125EE29
5H125EE55
5H125EE64
5H181AA01
5H181BB08
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181FF39
(57)【要約】
【課題】時間が経過した後の航続距離をユーザが把握しやすくする。
【解決手段】情報処理装置1は、第1基準日からの経過時間又は前記第1基準日からの電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、電気自動車の最大充電時における走行可能距離と、の関係を示す性能データを記憶する記憶部12と、性能データを参照することにより、第1基準日における電気自動車の最大充電時の第1最大走行距離と、第1基準日から第2基準日までの経過時間又は累積走行距離に基づいて、第2基準日における電気自動車の最大充電時の第2最大走行距離と、を特定する走行距離特定部133と、走行距離特定部が特定した第1最大走行距離に対応する第1距離画像と第2最大走行距離に対応する第2距離画像とを識別可能に表示装置に表示させる表示処理部134と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の走行可能距離を表示装置に表示させる情報処理装置であって、
第1基準日からの経過時間又は前記第1基準日からの前記電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、前記電気自動車の最大充電時における走行可能距離と、の関係を示す性能データを記憶する記憶部と、
前記性能データを参照することにより、前記第1基準日における前記電気自動車の最大充電時の第1最大走行距離と、前記第1基準日から第2基準日までの前記経過時間又は前記第1基準日から前記第2基準日までの間における前記累積走行距離に基づいて、前記第2基準日における前記電気自動車の最大充電時の第2最大走行距離と、を特定する走行距離特定部と、
前記走行距離特定部が特定した前記第1最大走行距離に対応する第1距離画像と前記第2最大走行距離に対応する第2距離画像とを識別可能に前記表示装置に表示させる表示処理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記電気自動車に搭載された電池の性能に関連付けられた複数の前記性能データを記憶し、
前記情報処理装置は、前記第1基準日における前記電池の性能を示す処理基準データを取得する基準データ取得部をさらに有し、
前記走行距離特定部は、前記基準データ取得部が取得した前記処理基準データが示す前記電池の性能に関連付けられた前記性能データを参照することにより、前記第1最大走行距離と前記第2最大走行距離とを特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理基準データは、前記電気自動車から取得する実測データ、前記電気自動車の製造日を示すデータ、前記電気自動車の走行距離を示すデータ、又は前記電気自動車が新車か中古車かを示すデータの少なくともいずれかを含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記電気自動車が走行を開始する基準位置を示す位置データを取得する位置データ取得部をさらに有し、
前記表示処理部は、前記位置データ取得部が取得した前記位置データが示す前記基準位置から前記第1最大走行距離の位置を示す第1線画像と、前記基準位置から前記第2最大走行距離の位置を示す第2線画像と、前記基準位置を示す画像と、を地図画像に重ねて前記表示装置に表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示処理部は、前記基準位置の地名を示す画像を第1態様で前記地図画像に重ねて表示させ、前記第1最大走行距離に対応する位置の地名を示す画像又は前記第2最大走行距離に対応する位置の地名を示す画像の少なくともいずれかを前記第1態様と異なる第2態様で前記地図画像に重ねて表示させる、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記電気自動車が走行を開始する基準位置を示す位置データを取得する位置データ取得部をさらに有し、
前記記憶部は、温度に関連付けて複数の前記性能データを記憶し、
前記走行距離特定部は、前記位置データが示す前記基準位置における基準気温に対応する温度に関連付けられた前記性能データを参照することにより、前記基準位置を起点とする前記第1最大走行距離及び前記第2最大走行距離を特定し、
前記表示処理部は、前記基準位置を起点とする前記第1最大走行距離及び前記第2最大走行距離を前記表示装置に表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1基準日から前記第2基準日までの期間を示す期間データを取得する期間データ取得部をさらに有し、
前記走行距離特定部は、前記期間データが示す期間に基づいて前記第2最大走行距離を特定し、
前記表示処理部は、前記期間データ取得部が新たな前記期間データを取得するたびに、前記表示装置に表示させる前記第2距離画像を変化させる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記記憶部は、温度に関連付けて複数の前記性能データを記憶し、
前記走行距離特定部は、前記電気自動車が使用されるエリアの時期ごとの平均気温に対応する前記性能データを参照することにより、複数の時期それぞれにおける前記第1最大走行距離及び前記第2最大走行距離を特定し、
前記表示処理部は、複数の時期それぞれに関連付けて前記第1距離画像及び前記第2距離画像を前記表示装置に表示させる、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記記憶部は、前記電気自動車の複数の用途それぞれに関連付けて、基準用途における走行距離を前記複数の用途それぞれにおける実走行距離に変換する係数を示す実効係数を記憶し、
前記表示処理部は、複数の前記用途から一の用途を選択するための画面を前記表示装置に表示させ、選択された用途に対応する前記実効係数によって前記基準用途における前記第1最大走行距離及び前記第2最大走行距離を変換することにより算出される、当該用途における前記第1最大走行距離及び前記第2最大走行距離に対応する前記第1距離画像及び前記第2距離画像を前記表示装置に表示させる、
請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記記憶部は、前記電気自動車の車種に関連付けて複数の前記性能データを記憶し、
前記表示処理部は、複数の前記車種から一の車種を選択するための画面を前記表示装置に表示させ、当該画面において選択された前記車種に対応する前記第1最大走行距離及び前記第2最大走行距離に対応する前記第1距離画像及び前記第2距離画像を前記表示装置に表示させる、
請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記電気自動車の使用希望者から、必要走行距離を含む前記電気自動車の使用条件を取得する使用条件取得部と、
前記使用条件が示す前記必要走行距離と、複数の前記電気自動車それぞれに対応する前記第1最大走行距離又は前記第2最大走行距離の少なくともいずれかと、を比較することにより、複数の前記電気自動車のうち前記使用希望者が使用可能な一以上の前記電気自動車を選択する選択部と、
をさらに有する、
請求項1から10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータが実行する、電気自動車の走行可能距離を表示装置に表示させるための情報処理方法であって、
第1基準日からの経過時間又は前記第1基準日からの前記電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、前記電気自動車の最大充電時における走行可能距離と、の関係を示す性能データを参照することにより、前記第1基準日における前記電気自動車の最大充電時の第1最大走行距離と、前記第1基準日から第2基準日までの前記経過時間又は前記第1基準日から前記第2基準日までの間における前記累積走行距離に基づいて、前記第2基準日における前記電気自動車の最大充電時の第2最大走行距離と、を特定するステップと、
特定した前記第1最大走行距離に対応する第1距離画像と前記第2最大走行距離に対応する第2距離画像とを識別可能に前記表示装置に表示させるステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
第1基準日からの経過時間又は前記第1基準日からの電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、前記電気自動車の最大充電時における走行可能距離と、の関係を示す性能データを参照することにより、前記第1基準日における前記電気自動車の最大充電時の第1最大走行距離と、前記第1基準日から第2基準日までの前記経過時間又は前記第1基準日から前記第2基準日までの間における前記累積走行距離に基づいて、前記第2基準日における前記電気自動車の最大充電時の第2最大走行距離と、を特定するステップと、
特定した前記第1最大走行距離に対応する第1距離画像と前記第2最大走行距離に対応する第2距離画像とを識別可能に表示装置に表示させるステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在位置を中心とする円によって自車両の走行可能範囲を表示する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車においては電池の経年変化により、電気自動車が走行可能な距離(航続距離)が時間の経過とともに変化する。従来の技術を用いて走行可能な距離(航続距離)を表示する場合、時間が経過した後の航続距離をユーザが把握できないという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、一例として、時間が経過した後の航続距離をユーザが把握しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、電気自動車の走行可能距離を表示装置に表示させる情報処理装置であって、第1基準日からの経過時間又は前記第1基準日からの前記電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、前記電気自動車の最大充電時における走行可能距離と、の関係を示す性能データを記憶する記憶部と、前記性能データを参照することにより、前記第1基準日における前記電気自動車の最大充電時の第1最大走行距離と、前記第1基準日から第2基準日までの前記経過時間又は前記第1基準日から前記第2基準日までの間における前記累積走行距離に基づいて、前記第2基準日における前記電気自動車の最大充電時の第2最大走行距離と、を特定する走行距離特定部と、前記走行距離特定部が特定した前記第1最大走行距離に対応する第1距離画像と前記第2最大走行距離に対応する第2距離画像とを識別可能に前記表示装置に表示させる表示処理部と、を有する。
【0007】
前記記憶部は、前記電気自動車に搭載された電池の性能に関連付けられた複数の前記性能データを記憶し、前記情報処理装置は、前記第1基準日における前記電池の性能を示す処理基準データを取得する基準データ取得部をさらに有し、前記走行距離特定部は、前記基準データ取得部が取得した前記処理基準データが示す前記電池の性能に関連付けられた前記性能データを参照することにより、前記第1最大走行距離と前記第2最大走行距離とを特定してもよい。
【0008】
前記処理基準データは、前記電気自動車から取得する実測データ、前記電気自動車の製造日を示すデータ、前記電気自動車の走行距離を示すデータ、又は前記電気自動車が新車か中古車かを示すデータの少なくともいずれかを含んでもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、前記電気自動車が走行を開始する基準位置を示す位置データを取得する位置データ取得部をさらに有し、前記表示処理部は、前記位置データ取得部が取得した前記位置データが示す前記基準位置から前記第1最大走行距離の位置を示す第1線画像と、前記基準位置から前記第2最大走行距離の位置を示す第2線画像と、前記基準位置を示す画像と、を地図画像に重ねて前記表示装置に表示させてもよい。
【0010】
前記表示処理部は、前記基準位置の地名を示す画像を第1態様で前記地図画像に重ねて表示させ、前記第1最大走行距離に対応する位置の地名を示す画像又は前記第2最大走行距離に対応する位置の地名を示す画像の少なくともいずれかを前記第1態様と異なる第2態様で前記地図画像に重ねて表示させてもよい。
【0011】
前記情報処理装置は、前記電気自動車が走行を開始する基準位置を示す位置データを取得する位置データ取得部をさらに有し、前記記憶部は、温度に関連付けて複数の前記性能データを記憶し、前記走行距離特定部は、前記位置データが示す前記基準位置における基準気温に対応する温度に関連付けられた前記性能データを参照することにより、前記基準位置を起点とする前記第1最大走行距離及び前記第2最大走行距離を特定し、前記表示処理部は、前記基準位置を起点とする前記第1最大走行距離及び前記第2最大走行距離を前記表示装置に表示させてもよい。
【0012】
前記情報処理装置は、前記第1基準日から前記第2基準日までの期間を示す期間データを取得する期間データ取得部をさらに有し、前記走行距離特定部は、前記期間データが示す期間に基づいて前記第2最大走行距離を特定し、前記表示処理部は、前記期間データ取得部が新たな前記期間データを取得するたびに、前記表示装置に表示させる前記第2距離画像を変化させてもよい。
【0013】
前記記憶部は、温度に関連付けて複数の前記性能データを記憶し、前記走行距離特定部は、前記電気自動車が使用されるエリアの時期ごとの平均気温に対応する前記性能データを参照することにより、複数の時期それぞれにおける前記第1最大走行距離及び前記第2最大走行距離を特定し、前記表示処理部は、複数の時期それぞれに関連付けて前記第1距離画像及び前記第2距離画像を前記表示装置に表示させてもよい。
【0014】
前記記憶部は、前記電気自動車の複数の用途それぞれに関連付けて、基準用途における走行距離を前記複数の用途それぞれにおける実走行距離に変換する係数を示す実効係数を記憶し、前記表示処理部は、複数の前記用途から一の用途を選択するための画面を前記表示装置に表示させ、選択された用途に対応する前記実効係数によって前記基準用途における前記第1最大走行距離及び前記第2最大走行距離を変換することにより算出される、当該用途における前記第1最大走行距離及び前記第2最大走行距離に対応する前記第1距離画像及び前記第2距離画像を前記表示装置に表示させてもよい。
【0015】
前記記憶部は、前記電気自動車の車種に関連付けて複数の前記性能データを記憶し、前記表示処理部は、複数の前記車種から一の車種を選択するための画面を前記表示装置に表示させ、当該画面において選択された前記車種に対応する前記第1最大走行距離及び前記第2最大走行距離に対応する前記第1距離画像及び前記第2距離画像を前記表示装置に表示させてもよい。
【0016】
前記情報処理装置は、前記電気自動車の使用希望者から、必要走行距離を含む前記電気自動車の使用条件を取得する使用条件取得部と、前記使用条件が示す前記必要走行距離と、複数の前記電気自動車それぞれに対応する前記第1最大走行距離又は前記第2最大走行距離の少なくともいずれかと、を比較することにより、複数の前記電気自動車のうち前記使用希望者が使用可能な一以上の前記電気自動車を選択する選択部と、をさらに有してもよい。
【0017】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、コンピュータが実行する、電気自動車の走行可能距離を表示装置に表示させるための情報処理方法であって、第1基準日からの経過時間又は前記第1基準日からの前記電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、前記電気自動車の最大充電時における走行可能距離と、の関係を示す性能データを参照することにより、前記第1基準日における前記電気自動車の最大充電時の第1最大走行距離と、前記第1基準日から第2基準日までの前記経過時間又は前記第1基準日から前記第2基準日までの間における前記累積走行距離に基づいて、前記第2基準日における前記電気自動車の最大充電時の第2最大走行距離と、を特定するステップと、特定した前記第1最大走行距離に対応する第1距離画像と前記第2最大走行距離に対応する第2距離画像とを識別可能に前記表示装置に表示させるステップと、を有する。
【0018】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータに、第1基準日からの経過時間又は前記第1基準日からの電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、前記電気自動車の最大充電時における走行可能距離と、の関係を示す性能データを参照することにより、前記第1基準日における前記電気自動車の最大充電時の第1最大走行距離と、前記第1基準日から第2基準日までの前記経過時間又は前記第1基準日から前記第2基準日までの間における前記累積走行距離に基づいて、前記第2基準日における前記電気自動車の最大充電時の第2最大走行距離と、を特定するステップと、特定した前記第1最大走行距離に対応する第1距離画像と前記第2最大走行距離に対応する第2距離画像とを識別可能に表示装置に表示させるステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、一例として、時間が経過した後の航続距離をユーザが把握しやすくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】情報処理システムSの概要を説明するための図である。
【
図2】情報端末2が第1距離画像及び第2距離画像を表示する画面の一例を示す図である。
【
図6】車種と用途がユーザUにより選択された後に第1距離画像及び第2距離画像が表示された画面の一例を示す図である。
【
図7】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第2実施形態に係る情報処理装置1aの構成を示す図である。
【
図9】ユーザUが使用条件を入力するための画面の一例を示す図である。
【
図10】選択結果を表示する画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、電池により走行する電気自動車に関する情報をユーザUに提供するためのシステムである。情報処理システムSは、情報処理装置1と、情報端末2とを備える。情報処理装置1と情報端末2とは、インターネット又はイントラネット等のネットワークを介してデータを送受信可能である。情報端末2は、情報を表示する機能を有する任意の表示装置であってよく、例えばスマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。
【0022】
情報処理装置1は、情報端末2に対して、電気自動車の使用希望者であるユーザUが使用する候補になっている電気自動車の航続距離(例えば最大走行可能距離)を示す距離画像を表示させる。最大走行可能距離は、最大量まで充電した状態の電池により走行できる距離である。電池は、最大量まで電池を充電した際に出力できる電力量が、時間の経過又は電気自動車の累積走行距離に伴って変化する。したがって、電池により走行する電気自動車の最大走行可能距離は、時間の経過、累積走行距離(いわゆる充放電回数と相関性を有する)、又は走行地域の環境に応じて異なる値になる。
【0023】
情報処理装置1が情報端末2に表示させる最大走行可能距離が、新しい電池を最大量まで充電した状態で電気自動車が走行可能な距離だけであるとすると、ユーザUは、当該最大走行可能距離に基づいて、候補になっている電気自動車の最大走行可能距離で足りるか否かを判断するしかない。時間の経過又は累積走行距離の増加に伴って実際の最大走行可能距離が減少してしまっている(すなわち性能劣化が生じている)と、候補になっている電気自動車の最大走行可能距離で足りるとユーザUが判断したとしても、ユーザUが1回の充電で走行しなければならない距離よりも実際の最大走行可能距離が短いという場合が生じ得る。
【0024】
一例として、ユーザUが1日の業務で150kmを走行するとする。そして、電気自動車が新しい状態(すなわち性能劣化していない新しい電池を使用する状態)における最大走行可能距離が160kmである場合、ユーザUが電気自動車を使用する当初は、ユーザUが1日の業務の開始前に電気自動車を充電しておけば、途中で充電することなく1日の業務を遂行することができる。ところが、6年後における最大走行可能距離が120kmになってしまうとすると、ユーザUが1日の業務の開始前に電気自動車を充電しておいたとしても、1日の業務の途中で電気自動車に充電をしなければならないという問題が生じてしまう。
【0025】
そこで、情報処理装置1は、電気自動車に新しい電池が搭載されてからの経過日が異なる複数の日における複数の最大走行可能距離を示す画像を情報端末2に表示させる。本明細書において、複数の日を第1基準日及び第2基準日という。第1基準日は、例えば、電気自動車が出荷された直後の日であるが、ユーザUが電気自動車の使用を開始する予定の日であってもよい。第2基準日は、例えば第1基準日から所定の年数が経過した後の日である。第1基準日、第2基準日、又は第1基準日と第2基準日との間の期間の長さは、ユーザUが情報端末2を介して設定してもよい。ユーザUは、第1基準日、第2基準日、又は第1基準日と第2基準日との間の期間の長さの他、電気自動車の種別(車種)又は用途を含む使用条件を設定してもよい。
【0026】
本明細書において、第1基準日における最大走行可能距離を第1最大走行距離といい、第2基準日における最大走行可能距離を第2最大走行距離という場合がある。また、第1最大走行距離に対応する画像を第1距離画像といい、第2最大走行距離に対応する画像を第2距離画像という場合がある。
【0027】
図2は、情報端末2が第1距離画像及び第2距離画像を表示する画面の一例を示す図である。
図2の左上の領域R1には、第1距離画像及び第2距離画像を表示する対象とする車種を選択するための画像が表示されている。領域R2には、ユーザUが電気自動車を使用する用途を選択するための文字が表示されている。
図2に示す例では、電気自動車を使用する部署名が用途として表示されているが、用途は部署名に限らず、「長距離輸送」、「荷物の配達」といったように業務の内容を直接的に示す文字が表示されてもよい。
【0028】
領域R3には、月別の最大走行可能距離が示されている。画像G1は第1最大走行距離を示しており、画像G2は第2最大走行距離を示している。画像G1は第1距離画像の一例であり、画像G2は第2距離画像の一例である。画像G3は、ユーザUの用途で必要な走行距離を示している。ユーザUの用途で必要な走行距離は、例えば、用途で必要な距離に加えて、使用時におけるバッファとして所定の値を加えて算出された距離である。電池及び電気自動車の特性は温度によって変化するので、第1最大走行距離及び第2最大走行距離は月によって異なる値になっている。ユーザUは、領域R3に表示された画像を見ることで、最大走行可能距離が最も少ない月であっても、最大走行可能距離がユーザUの用途で必要な走行距離よりも大きいか否かを確認することができる。
【0029】
領域R4には、地図に重ねて、ユーザUが電気自動車を使用する際の出発地点である基準位置(
図2においては横浜)を起点とする第1距離画像及び第2距離画像が示されている。領域R4に示す画像G4(一点鎖線)は、第1距離画像であり、画像G5(破線)は第2距離画像である。横浜から第1距離画像が示す位置までの距離が、横浜から第2距離画像が示す位置までの距離よりも大きいことが確認できる。
図2においては、道路に沿った距離、道路の勾配及び道路の渋滞度合いなどを考慮して算出された第1最大走行距離及び第2最大走行距離に対応する第1距離画像及び第2距離画像が表示されている。第1距離画像及び第2距離画像は、出発地点を中心とする同心円により、出発地点から第1最大走行距離及び第2最大走行距離に対応する概略の位置が表されてもよい。
【0030】
第1基準日から第2基準日までの間の期間内において想定される最大走行距離に対応する範囲が、所定の模様で塗りつぶされることにより第1距離画像及び第2距離画像が示されてもよい。この場合、
図2の領域R4に示す画像G4と画像G5との間の領域が塗りつぶされた状態になり、当該領域における基準位置から最も遠い側の外縁が第1距離画像に相当し、当該領域における基準位置に最も近い側の外縁が第2距離画像に相当する。
【0031】
領域R4には、第1距離画像及び第2距離画像に重ねて地名も表示されている。ユーザUは、第1距離画像、第2距離画像、及び重ねて表示された地名などを見ることにより、ユーザUの業務において、
図2に距離画像が表示された電気自動車を使用できるかどうかを判断することができる。
【0032】
[情報処理装置1の構成]
図3は、情報処理装置1の構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。制御部13は、基準データ取得部131と、入力データ取得部132と、走行距離特定部133と、表示処理部134と、を有する。
【0033】
通信部11は、ネットワークを介して情報端末2との間でデータを送受信するための通信インターフェースを含む。通信部11は、情報端末2から受信したデータを基準データ取得部131、入力データ取得部132又は走行距離特定部133に入力する。また、通信部11は、表示処理部134から入力されたデータを情報端末2へと送信する。
【0034】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を含む。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部12は、制御部13が情報端末2に第1距離画像及び第2距離画像を表示させるために用いる各種のデータを記憶する。記憶部12は、例えば第1基準日からの経過時間又は第1基準日からの電気自動車の累積走行距離の少なくともいずれかと、電気自動車の最大充電時における走行可能距離と、の関係を示す性能データを記憶する。
【0035】
図4は、性能データの一例を示す図である。
図4に示すグラフの横軸は、電気自動車の使用が開始される時点からの経過時間を示す。縦軸は、電池を最大量まで充電した満充電状態における最大走行可能距離を示す。
図4に示すように、時間の経過に伴って最大走行可能距離が低下する。
図4におけるT1は第1基準日に対応しており、T2は第2基準日に対応している。第2基準日における第2最大走行距離が第1基準日における第1最大走行距離よりも短いことがわかる。
【0036】
図4(a)及び
図4(b)は、それぞれ異なる第1基準日T1の時点における電池の性能(例えば電池容量)が異なる場合を示している。電池容量は、電池の性能劣化によって変化する最大充電量である。
図4(a)は、第1基準日T1の時点での最大走行可能距離がL1であり、第2基準日T2の時点での最大走行可能距離がL2であることを示している。
【0037】
図4(b)は、
図4(a)におけるT1’の時点が第1基準日になっている場合の性能データを示している。
図4(b)においては、第1基準日T1の時点での最大走行可能距離がL1’であり、経過時間がT2の時点での最大走行可能距離がL2’であることを示している。
図4(b)におけるT1は、
図4(a)のT1’の時点に対応しており、L1’はL1よりも小さく、L2’はL2よりも小さい。
【0038】
性能データは、例えば、製造からの日数(保存劣化度)、新車か中古車か(保存劣化度及び充放電サイクル劣化度)、累積走行距離(保存劣化度及び充放電サイクル劣化度)、その他の要因(保存劣化度、充放電サイクル劣化度、充放電パターン)等に基づいて算出されたデータである。なお、充放電パターンは、例えば、運転の方法や走行する場所の地形により異なる。
【0039】
性能データは、電気自動車に搭載された電池の種別、電気自動車が使用される環境、又は電気自動車の用途によって異なる。そこで、記憶部12は、電気自動車に搭載された電池の性能に関連付けられた複数の性能データを記憶してもよい。また、記憶部12は、温度に関連付けて複数の性能データを記憶してもよく、用途に関連付けて複数の性能データを記憶してもよい。また、記憶部12は、電気自動車が製造されてからの経過時間又は累積走行距離に関連付けて複数の性能データを記憶してもよい。さらには、性能データは、経過時間から算出される性能劣化による充電容量の変化であってもよいし、経過時間に加えて累積走行距離(サイクル数)に基づいて算出された性能劣化による充電容量の変化であってもよい。さらには、当該車両が走行中に取得した走行データ(使用状況・運転状況等の履歴情報)に基づいてさらに精緻に算出されるものであってもよい。
【0040】
以下、
図3を参照しながら、制御部13の各部の構成及び動作を説明する。
基準データ取得部131は、電気自動車に搭載された電池の性能を示す処理基準データを取得する。基準データ取得部131は、少なくとも第1基準日における電池の性能を示す処理基準データを取得する。基準データ取得部131は、電気自動車の車種又は電池の種別に関連付けて処理基準データを取得してもよい。
【0041】
処理基準データは、電池の性能との相関性がある任意のデータを含んでよく、例えば、電気自動車から取得する実測データ、電気自動車の製造日を示すデータ、電気自動車の走行距離を示すデータ、又は電気自動車が新車か中古車かを示すデータの少なくともいずれかを含む。基準データ取得部131は、予め記憶部12に記憶された処理基準データを取得してもよく、電気自動車に関するデータを記憶している外部装置から処理基準データを取得してもよい。基準データ取得部131は、取得した処理基準データを走行距離特定部133に通知する。
【0042】
入力データ取得部132は、情報端末2において入力された各種のデータを取得する。入力データ取得部132は、例えば、情報端末2において複数の車種からユーザUが選択した車種を示す車種データを取得する。また、入力データ取得部132は、ユーザUによる電気自動車の用途を示す用途データを情報端末2から取得してもよい。入力データ取得部132は、取得したデータを走行距離特定部133に通知する。
【0043】
入力データ取得部132は、情報端末2において入力された、電気自動車が走行を開始する基準位置を示す位置データを取得する位置データ取得部として機能してもよい。位置データは、基準位置を示す住所や郵便番号、基準位置の代表地点を示す地名であってもよく、基準位置の緯度・経度を示すデータであってもよい。
【0044】
入力データ取得部132は、第1基準日から第2基準日までの期間を示す期間データを取得する期間データ取得部として機能してもよい。期間データは、例えば、ユーザUが電気自動車の使用を開始する第1基準日から、電気自動車の使用を終了する予定の第2基準日までの期間である。
図2に示した例において、当該期間は6年に設定されている。
【0045】
走行距離特定部133は、各種のデータに基づいて、ユーザUが使用可能な電気自動車の最大走行可能距離を特定する。走行距離特定部133は、例えば、記憶部12に記憶された性能データを参照することにより、第1基準日における電気自動車の最大充電時の第1最大走行距離を特定する。具体的には、走行距離特定部133は、基準データ取得部131が取得した基準処理データが示す電池の状態に対応する性能に対応する性能データを参照し、性能データが示す第1基準日に対応する最大走行距離を第1最大走行距離として特定する。
【0046】
一例として、走行距離特定部133は、電気自動車が製造されてから1年が経過していることを基準処理データが示している場合、電気自動車が製造されてからの経過時間が1年である場合に対応する性能データ(例えば
図4(b)に示すような性能データ)を参照する。走行距離特定部133は、電気自動車の累積走行距離が1万kmであることを基準処理データが示している場合、累積走行距離1万kmに対応する性能データを参照してもよい。
【0047】
また、走行距離特定部133は、第1基準日から第2基準日までの経過時間又は第1基準日から第2基準日までの間における累積走行距離に基づいて、第2基準日における電気自動車の最大充電時の第2最大走行距離を特定する。走行距離特定部133は、例えば、期間データが示す期間に基づいて第2最大走行距離を特定する。具体的には、走行距離特定部133は、第1最大走行距離の特定に用いた性能データにおいて、第1基準日から帰還データが示す期間が経過した後の第2基準日に対応する最大走行距離を第2最大走行距離として特定する。
【0048】
基準データ取得部131が取得した処理基準データが示す電池の性能に対応する性能データが
図3(a)に示したデータである場合、走行距離特定部133は、第1基準日T1における最大走行可能距離がL1であることから、第1最大走行距離がL1であると特定する。そして、走行距離特定部133は、期間データが示す期間ΔTだけ第1基準日T1から経過した第2基準日T2を特定し、第2基準日T2における最大走行可能距離がL2であることから、第2最大走行距離がL2であると特定する。
【0049】
走行距離特定部133は、基準データ取得部131が取得した処理基準データが示す電池の性能に関連付けられた性能データを参照することにより、第1最大走行距離と第2最大走行距離とを特定してもよい。一例として、基準データ取得部131が取得した処理基準データが示す電池の性能に対応する性能データが
図4(a)に示したデータである場合、走行距離特定部133は、第1基準日における第1最大走行距離がL1であると特定し、第1基準日から期間ΔTが経過した後の第2基準日における第2最大走行距離がL2であると特定する。
【0050】
一方、基準データ取得部131が取得した処理基準データが示す電池の性能に対応する性能データが
図4(b)に示したデータである場合、走行距離特定部133は、第1基準日における第1最大走行距離がL1’であると特定し、第2基準日における第2最大走行距離がL2’であると特定する。走行距離特定部133がこのように動作することで、第1基準日における電池の性能が考慮されて第1最大走行距離及び第2最大走行距離が特定されるので、走行距離特定部133が第1最大走行距離及び第2最大走行距離を特定する精度が向上する。
【0051】
ところで、電気自動車が使用される環境によって電池の性能は異なる。そこで、走行距離特定部133は、位置データが示す基準位置における基準気温に対応する温度に関連付けられた性能データを参照することにより、基準位置を起点とする第1最大走行距離及び第2最大走行距離を特定してもよい。走行距離特定部133は、性能データが示す値を所定の演算式に入れて第1最大走行距離及び第2最大走行距離を算出することにより、第1最大走行距離及び第2最大走行距離を特定してもよい。走行距離特定部133がこのように動作することで、情報処理装置1が第1最大走行距離及び第2最大走行距離を特定する対象となる電気自動車が、気候が異なる複数の地域で使用される場合に、地域によらず、走行距離特定部133が特定した第1最大走行距離及び第2最大走行距離と実際に電気自動車が走行可能な距離との差を小さくすることができる。
【0052】
また、走行距離特定部133は、電気自動車が使用されるエリアの時期ごとの平均気温に対応する性能データを参照することにより、複数の時期それぞれにおける第1最大走行距離及び第2最大走行距離を特定してもよい。走行距離特定部133は、例えば
図2の領域R3に示すように、1ヵ月ごとに第1最大走行距離及び第2最大走行距離を特定する。走行距離特定部133は、複数の時期に関連付けて第1最大走行距離及び第2最大走行距離を表示処理部134に通知する。
【0053】
表示処理部134は、走行距離特定部133が特定した第1最大走行距離に対応する第1距離画像と第2最大走行距離に対応する第2距離画像とを識別可能に表示装置(例えば情報端末2)に表示させる。表示処理部134は、例えば、複数の時期それぞれに関連付けて第1距離画像及び第2距離画像を表示装置に表示させる。この場合の第1距離画像は、例えば
図2の領域R3に示す画像G1であり、第2距離画像は、例えば
図2の領域R3に示す画像G2である。表示処理部134は、第1距離画像及び第2距離画像のうち、ユーザUにより選択された一方のみを情報端末2に表示させてもよい。
【0054】
表示処理部134は、
図2の領域R4に示すように、入力データ取得部132が取得した位置データが示す基準位置(例えば「横浜」)から第1最大走行距離の位置を示す第1線画像G4と、基準位置から第2最大走行距離の位置を示す第2線画像G5と、基準位置を示す画像と、を地図画像に重ねて情報端末2に表示させてもよい。表示処理部134がこのような画像を情報端末2に表示させることで、ユーザUは、電気自動車の使用を開始してから所定の年数が経過した後に、基準位置を起点とする所望の用途に電気自動車を使用し続けられるかを判断しやすくなる。
【0055】
表示処理部134は、基準位置の地名を示す画像を第1態様で地図画像に重ねて表示させ、第1最大走行距離に対応する位置の地名を示す画像又は第2最大走行距離に対応する位置の地名を示す画像の少なくともいずれかを第1態様と異なる第2態様で地図画像に重ねて表示させてもよい。
【0056】
図2の領域R4に示す例の場合、基準位置である横浜の地名は、太線の枠に囲まれており、第1最大走行距離に対応する位置の熱海、相模原、桶川、守谷、長南は破線の枠に囲まれており、第2最大走行距離に対応する位置の小田原、八王子、川越、柏、市原は細い実線の枠に囲まれている。表示処理部134は、基準位置を起点として第1最大走行距離及び第2最大走行距離に相当する位置の複数の地名のうち、予めユーザUにより設定されている地名を示す画像を表示してもよい。表示処理部134が、このように第1最大走行距離に対応する位置の地名と第2最大走行距離に対応する位置の地名とを区別できるように表示することで、ユーザUは、電気自動車で走行可能な範囲を把握しやすくなる。
【0057】
なお、表示処理部134は、第1距離画像の色と第1最大走行距離に対応する地名の色とを同系の第1色にし、第2距離画像の色と第2最大走行距離に対応する地名の色とを同系の第2色にしてもよい。表示処理部134がこのように距離画像と地名とを情報端末2に表示させることで、ユーザUが、どの地点が第1最大走行距離に対応し、どの地点が第2最大走行距離に対応するかを把握しやすくなる。
【0058】
表示処理部134は、走行距離特定部133が基準位置における基準気温に対応する温度に関連付けられた性能データを参照することにより特定した、基準位置を起点とする第1最大走行距離及び第2最大走行距離を情報端末2に表示させてもよい。基準気温は、例えば基準位置における年間平均気温、年間最高気温又は年間最低気温である。表示処理部134が、このように基準位置における気温に基づいて特定された第1最大走行距離及び第2最大走行距離を情報端末2に表示させることで、いろいろな地域のユーザUが高い精度で第1最大走行距離及び第2最大走行距離を把握することができる。
【0059】
また、走行距離特定部133が、ユーザUにより入力された期間に対応する第2最大走行距離を特定する場合、表示処理部134は、入力データ取得部132が新たな期間データを取得するたびに、情報端末2に表示させる第2距離画像を変化させてもよい。表示処理部134がこのように動作することで、ユーザUは、電気自動車を使用する予定の期間を切り替えながら第2距離画像を確認することができるので、使用する予定の期間を決定したり、使用する予定の期間よりも長く電気自動車を使用した場合の状態を確認したりしやすくなる。
【0060】
[用途別の最大走行距離の表示]
ところで、自動車は、用途によって最大走行可能距離が異なる。例えば、発進と停止の頻度が低い幹線道路を走行する用途における最大走行可能距離は、発進と停止の頻度が多い用途における最大走行可能距離よりも大きい。そこで、情報処理装置1は、ユーザUから電気自動車の用途の入力を受け付けて、入力された用途ごとに異なる第1最大走行距離及び第2最大走行距離を情報端末2に表示させてもよい。
【0061】
情報処理装置1は、用途ごとに第1最大走行距離及び第2最大走行距離を特定するために、用途に関連付けられた実効係数を用いる。記憶部12は、電気自動車の複数の用途それぞれに関連付けて、基準用途における走行距離を複数の用途それぞれにおける実走行距離に変換する係数を示す実効係数を記憶する。実効係数は、基準となる用途におけるエネルギー効率に対する、各用途におけるエネルギー効率の比を示す値である。基準となる用途は、例えば、発進と停止の頻度が低く、エネルギー効率が相対的に高い用途である。
【0062】
図5は、用途ごとの実効係数の一例を示す図である。実効係数は、ガソリンによって走行する自動車で走行した場合の燃費(燃費実績)に基づいて算出されてもよく、満充電した状態の電気自動車の走行可能距離に基づいて算出されてもよいが、
図5に示す表においては、用途と燃費と実効係数とが関連付けて示されている。
図5に示す例においては、総務部門における用途の実効係数が最も高く、発進と停止の頻度が高い配達部門の用途の実効係数が最も低い。なお、電気自動車の走行可能距離は、ガソリン車の実燃費を算出し、算出した実燃費を、ガソリン車の実燃費と電気自動車の走行可能距離とを変換するための所定の係数を乗算、除算、加算又は減算することにより算出されてもよい。
【0063】
表示処理部134は、複数の用途から一の用途を選択するための画面を情報端末2に表示させ、入力データ取得部132がユーザUによる用途の入力又は選択を受け付ける。走行距離特定部133は、選択された用途に対応する実効係数によって基準用途における第1最大走行距離及び第2最大走行距離を変換することにより、選択された用途における第1最大走行距離及び第2最大走行距離を算出する。
【0064】
走行距離特定部133は、例えば、用途として実効係数が0.90の「営業」が選択され、基準用途における第1最大走行距離が150kmであり、第2最大走行距離が130kmである場合、「営業」の用途における第1最大走行距離を150×0.90=135kmと算出し、第2最大走行距離を130×0.90=117kmと算出する。表示処理部134は、このようにして算出された第1最大走行距離及び第2最大走行距離に対応する第1距離画像及び第2距離画像を情報端末2に表示させる。
【0065】
表示処理部134は、ユーザUによって選択された用途で必要な走行距離を示す情報(例えば
図2の画像G3)とともに、第1距離画像及び第2距離画像を情報端末2に表示させてもよい。ユーザUによって選択された用途で必要な走行距離は、ユーザUによって入力された距離であってもよく、記憶部12に記憶された用途と必要走行距離とが関連付けられたテーブルを参照することにより表示処理部134が特定した距離であってもよい。情報処理装置1がこのように構成されていることで、ユーザUが電気自動車を使用する用途ごとに異なる第1最大走行距離及び第2最大走行距離が情報端末2に表示されるので、ユーザUは、自身の用途において数年後にも電気自動車を使用し続けられるかどうかを適切に判断しやすくなる。
【0066】
なお、車種によっても最大走行距離は異なる。そこで、記憶部12は、電気自動車の車種に関連付けて複数の性能データを記憶し、表示処理部134は、複数の車種から一の車種を選択するための画面を情報端末2に表示させ、当該画面において選択された車種に対応する第1最大走行距離及び第2最大走行距離に対応する第1距離画像及び第2距離画像を情報端末2に表示させてもよい。この場合、走行距離特定部133は、選択された車種に対応する性能データを参照することにより、第1最大走行距離及び第2最大走行距離を特定する。
【0067】
表示処理部134は、ユーザUにより選択された用途と車種の組み合わせに対応する第1距離画像及び第2距離画像を情報端末2に表示させてもよい。この場合、走行距離特定部133は、例えば車種に対応する性能データを参照して基準用途における第1最大走行距離及び第2最大走行距離を算出し、算出した第1最大走行距離及び第2最大走行距離を、選択された用途の実効係数により変換することにより、選択された用途と車種の組み合わせに対応する第1距離画像及び第2距離画像を算出する。
【0068】
図6は、車種と用途がユーザUにより選択された後に第1距離画像及び第2距離画像が表示された画面の一例を示す図である。領域R3には、営業の用途で電気自動車を使用する場合の第1基準日(現在)における第1最大走行距離が135kmであり、6年後の第2最大走行距離が117kmであることが表示されている。情報処理装置1がこのように構成されていることで、ユーザUは、自身の用途で使用可能な車種を適切に選択することが可能になる。
【0069】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図7は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートは、第1距離画像及び第2距離画像を情報端末2に表示させるためのアプリケーションソフトウェアが起動した時点から開始している。
【0070】
表示処理部134は、車種の選択を受け付ける画面を情報端末2に表示させ、走行距離特定部133は、入力データ取得部132を介して車種を取得する(S1)。走行距離特定部133は、選択された車種に対応する性能データが記憶部12に記憶されているか否かを判定する(S2)。走行距離特定部133は、性能データが記憶部12に記憶されていないと判定した場合(S2においてNO)、表示処理部134を介して、最大走行距離を表示できないことを示すエラー情報を情報端末2に表示させる(S3)。
【0071】
走行距離特定部133は、性能データが記憶部12に記憶されていると判定した場合(S2においてYES)、入力データ取得部132を介して用途を取得する(S4)。走行距離特定部133は、用途に対応する実効係数を特定する(S5)。続いて、走行距離特定部133は、入力データ取得部132を介して第1基準日と第2基準日との間の期間を取得する(S6)。走行距離特定部133は、性能データに基づいて、第1最大走行距離及び取得した期間に対応する第2最大走行距離を特定する。走行距離特定部133は、特定した第1最大走行距離及び第2最大走行距離を実効係数に基づいて変換することにより、ユーザUが選択した車種及び用途に対応する第1最大走行距離及び第2最大走行距離を特定する(S7)。
【0072】
続いて、表示処理部134は、入力データ取得部132を介して基準位置を取得し(S8)、基準位置からの第1最大走行距離に対応する位置を示す第1距離画像及び第2最大走行距離に対応する第2距離画像を情報端末2に表示させる(S9)。情報処理装置1は、情報端末2において終了操作が行われたか否かを判定し(S10)、終了操作が行われるまでの間、S1からS9までの処理を繰り返す。なお、情報処理装置1が車種、用途、期間、基準位置を取得する順序は任意であり、これらを同時に取得してもよい。
【0073】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように、走行距離特定部133は、記憶部12に記憶された性能データを参照することにより、第1基準日における電気自動車の最大充電時の第1最大走行距離と、第2基準日における電気自動車の最大充電時の第2最大走行距離と、を特定する。そして、表示処理部134は、第1最大走行距離に対応する第1距離画像と第2最大走行距離に対応する第2距離画像とを識別可能に情報端末2に表示させる。情報処理装置1がこのように構成されていることで、ユーザUは、電気自動車の使用を開始する時点における最大走行距離と、数年後における最大走行距離を容易に把握することができるので、この電気自動車を選択するかどうかを容易に判断することができる。
【0074】
<第2実施形態>
以上の説明においては、ユーザUが使用する車種が予め決まっていたり、ユーザUが車種を選択したりするという場合が想定されていたが、電気自動車には多数の車種があるため、ユーザUが多数の車種から一つずつ車種を選択して第1最大走行距離及び第2最大走行距離を確認するには手間がかかり過ぎるという場合がある。そこで、情報処理装置1は、ユーザUから電気自動車の使用条件を取得し、取得した使用条件に合う電気自動車を選択し、選択した電気自動車をユーザUに提示してもよい。
【0075】
図8は、第2実施形態に係る情報処理装置1aの構成を示す図である。
図8に示す情報処理装置1aは、選択部135をさらに有するという点で
図3に示した情報処理装置1と異なる。また、情報処理装置1aにおける入力データ取得部132は、使用条件取得部としても機能する。
【0076】
入力データ取得部132は、電気自動車の使用を希望するユーザUから、必要走行距離を含む電気自動車の使用条件を取得する。入力データ取得部132は取得した使用条件を選択部135に通知する。
【0077】
走行距離特定部133は、ユーザUが使用可能な複数の電気自動車の第1最大走行距離又は第2最大走行距離の少なくともいずれかを特定する。選択部135は、使用条件が示す必要走行距離と、複数の電気自動車それぞれに対応する第1最大走行距離又は第2最大走行距離の少なくともいずれかと、を比較することにより、複数の電気自動車のうちユーザUが使用可能な一以上の電気自動車を選択する。
【0078】
選択部135は、ユーザUが電気自動車を使用する期間を入力しない場合、必要走行距離と第1最大走行距離とを比較し、必要走行距離よりも第1最大走行距離が大きい電気自動車を選択する。選択部135は、ユーザUが電気自動車を使用する期間を入力した場合、必要走行距離と、入力された期間に対応する第2基準日における第2最大走行距離とを比較し、必要走行距離よりも第2最大走行距離が大きい電気自動車を選択する。なお、ユーザUが電気自動車を使用する期間を入力しない場合、選択部135は、必要走行距離よりも、所定の期間(例えば5年)が経過した後の第2最大走行距離が大きい電気自動車を選択してもよい。
【0079】
表示処理部134は、選択部135が選択した電気自動車を識別するための情報(例えば車両番号又は車種名)を、ユーザUに推奨する電気自動車として情報端末2に表示させる。表示処理部134は、電気自動車を識別するための情報とともに、第1距離画像及び第2距離画像を情報端末2に表示させてもよい。
【0080】
図9は、ユーザUが使用条件を入力するための画面の一例を示す図である。
図9における領域R5は、ユーザUが必要走行距離を入力するための領域である。領域R6は、ユーザUが電気自動車の用途を入力するための領域である。領域R7は、ユーザUの拠点(すなわち基準位置)を入力するための領域である。ユーザUが、必要走行距離、用途、基準位置を入力した後に「検索」ボタンを押すことにより、選択部135は上述の選択処理を実行し、表示処理部134は選択結果を表示する。
【0081】
図10は、選択結果を表示する画面の一例を示す図である。
図10に示す画面は、
図2に示した画面と同等の内容を含んでいるが、領域R1に、選択部135が選択した電気自動車を識別するための情報が示されている。また、選択部135が複数の電気自動車を選択した場合、表示処理部134は領域R1に「他の車種」ボタンを表示し、ユーザUが「他の車種」ボタンを押すと、選択部135が選択した他の電気自動車に対応する第1距離画像及び第2距離画像を表示させる。
【0082】
また、領域R1には「再検索」ボタンが表示されており、ユーザUが「再検索」ボタンを押すと、表示処理部134は
図9に示す画面を再度表示する。ユーザUは、再度表示された画面において異なる条件を入力し、再度の検索を実行することができる。
【0083】
以上説明したとおり、第2実施形態に係る情報処理装置1aは、使用条件が示す必要走行距離と、複数の電気自動車それぞれに対応する第1最大走行距離又は第2最大走行距離の少なくともいずれかと、を比較することにより、複数の電気自動車のうちユーザUが使用可能な一以上の電気自動車を選択する。情報処理装置1aがこのように構成されていることで、ユーザUが多数の電気自動車の第1最大走行距離又は第2最大走行距離を必要走行距離と比較することなく、ユーザUが最適な電気自動車を容易に使用することができる。
【0084】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0085】
1 情報処理装置
2 情報端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 基準データ取得部
132 入力データ取得部
133 走行距離特定部
134 表示処理部
135 選択部