(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004224
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】付属品の取付構造
(51)【国際特許分類】
B62J 25/08 20200101AFI20230110BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B62J25/08
B62J23/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105785
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】岡島 弘起
(57)【要約】
【課題】車体に付属品を取り付けることができ、付属品が車体から取り外されていても外観性の悪化を抑える。
【解決手段】付属品(51)の取付構造は、鞍乗型車両に形成されている。付属品の取付構造には、鞍乗型車両の骨格を形成するフレーム(61)と、フレームに取り付けられるグラブバー(40)と、が設けられている。グラブバーの基端部(41)にはフレームとの対向面に凹部(46)が形成され、グラブバーの凹部とフレームに付属品の取付部(52)が挟持されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両に取り付けられる付属品の取付構造であって、
前記鞍乗型車両の骨格を形成するフレームと、
前記フレームに取り付けられるグラブバーと、を備え、
前記グラブバーの基端部には前記フレームとの対向面に凹部が形成され、
前記グラブバーの凹部と前記フレームに前記付属品の取付部が挟持されていることを特徴とする付属品の取付構造。
【請求項2】
前記グラブバーの基端部は一対の固定部材によって前記フレームに固定され、
前記一対の固定部材の間に前記グラブバーの凹部が位置付けられていることを特徴とする請求項1に記載の付属品の取付構造。
【請求項3】
前記グラブバーの凹部及び前記付属品の取付部のいずれか一方に掛止突起が形成され、いずれか他方に当該掛止突起が挿し込まれる掛止穴が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の付属品の取付構造。
【請求項4】
前記グラブバーの基端部の車幅方向外側に把持部が設けられ、当該把持部が前記グラブバーの凹部を斜め上方から覆っていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の付属品の取付構造。
【請求項5】
前記フレームと前記グラブバーの間に介在するフレームカバーを備え、
前記グラブバーの凹部及び前記フレームカバーによって前記付属品の取付部が入り込む隙間が形成され、
前記フレームカバーには前記隙間に向けて突出する圧潰可能な凸部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の付属品の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付属品の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両として、車両後部のバックレストにリアキャリアを取り付けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の鞍乗型車両にはシートの後方にバックレストが設けられており、このバックレストを支えるフレームにリアキャリアのブラケットがネジ止めされている。また、カバー部品から成る車体に対してアクセサリーバーや小物入れ等の付属品が取り付けられる場合がある。このような場合、予め車体に取付構造を設けるか、後から車体に取付構造を追加するか、既存部品に付属品を共締めすることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
予め車体に取付構造を設ける場合には、付属品が取り付けられないことも考慮して目立たない位置に取付構造を設ける必要があるが、奥まった位置に取付構造が設けられると付属品の取付作業が煩雑になる。後から車体に取付構造を追加する場合には、車体等に穴を空けると元の状態に戻し難くなる。既存部品に付属品を共締めする場合には、ボルトの長さ変更によるフレーム形状や周辺部品の位置変化を見込んで設計する必要があり、付属品の取付位置によっては無駄なクリアランスが生じて外観性が悪化する。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、車体に付属品を取り付けることができ、付属品が車体から取り外されていても外観性が悪化することがない付属品の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の取り付け構造は、鞍乗型車両に取り付けられる付属品の取付構造であって、前記鞍乗型車両の骨格を形成するフレームと、前記フレームに取り付けられるグラブバーと、を備え、前記グラブバーの基端部には前記フレームとの対向面に凹部が形成され、前記グラブバーの凹部と前記フレームに前記付属品の取付部が挟持されていることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の取付構造によれば、フレームにグラブバーが取り付けられることで、グラブバーの凹部とフレームに付属品の取付部が挟持される。よって、車体に対する付属品の取付作業が煩雑になることがない。付属品がグラブバーを介して車体に取り付けられるため、車体に対する大幅な設計変更及び追加加工が不要になっている。よって、車体から付属品が取り外された状態でも鞍乗型車両の外観性が悪化することがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本実施例のアクセサリーバーを取り付けた車両後部の側面図である。
【
図3】本実施例のアクセサリーバーの取付箇所を示す車両後部の斜視図である。
【
図7】本実施例のアクセサリーバーの取付構造を示す上面図である。
【
図8】
図7のアクセサリーバーの取付構造をA-A線で切断した断面図である。
【
図9】
図7のアクセサリーバーの取付構造をB-B線で切断した断面図である。
【
図10】
図9のグラブバーからアクセサリーバーを取り外した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の取付構造は、鞍乗型車両に取り付けられる付属品の取付構造である。取付構造は、鞍乗型車両の骨格を形成するフレームと、フレームに取り付けられるグラブバーとを備えている。グラブバーの基端部にはフレームとの対向面に凹部が形成され、フレームにグラブバーが取り付けられることで、グラブバーの凹部とフレームに付属品の取付部が挟持される。よって、車体に対する付属品の取付作業が煩雑になることがない。付属品がグラブバーを介して車体に取り付けられるため、車体に対する大幅な設計変更及び追加加工が不要になっている。よって、車体から付属品が取り外された状態でも鞍乗型車両の外観性が悪化することがない。
【実施例0010】
以下、添付図面を参照して、本実施例の付属品の取付構造を適用した鞍乗型車両について説明する。
図1は本実施例の鞍乗型車両の側面図である。
図2は本実施例のアクセサリーバーを取り付けた車両後部の側面図である。ここでは、付属品としてアクセサリーバーを例示して説明するが、鞍乗型車両に取付可能な付属品であればよい。また、以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。
【0011】
図1に示すように、スクータタイプの鞍乗型車両1は、アンダーボーン型の車体フレーム(不図示)に車体外装として各種カバーを装着して構成されている。車両前側にはフロントフレームカバー11が設けられており、フロントフレームカバー11の後側にはライダーの足回りを保護するフロントレッグシールド12が設けられている。フロントレッグシールド12の下端から後方にリアレッグシールド13が延在しており、リアレッグシールド13の後方にはシートフレームカバー14が設けられている。フロントレッグシールド12とリアレッグシールド13によってメインシート15の前方にライダーの足置き空間が形成されている。
【0012】
フロントフレームカバー11の上側にはハンドル21が設けられ、フロントフレームカバー11の下側には一対のフロントフォーク22を介して前輪23が回転可能に支持されている。シートフレームカバー14の上側にはメインシート15及びサブシート16が設けられており、シートフレームカバー14の下側にはエンジン25が設けられている。エンジン25には変速機構を介して後輪26が連結されており、変速機構を介してエンジン25の動力が後輪26に伝達されている。エンジン25の下部から後輪26の右側方に向かって排気管27が延びており、排気管27の下流側にはマフラ28が取り付けられている。
【0013】
シートフレームカバー14は、フロントセンターカバー31、左右一対のサイドフレームカバー32、左右一対のリアフレームカバー33、リアセンターカバー34、アッパーカバー35によって形成されている。フロントセンターカバー31の後縁にサイドフレームカバー32の前縁が連なり、サイドフレームカバー32の後縁にリアフレームカバー33の前縁が連なっている。リアフレームカバー33の上縁にアッパーカバー35が連なり、リアフレームカバー33の下縁にリアセンターカバー34が連なっている。また、車両後部には、サブシート16に座った同乗者が把持するためのグラブバー40が設けられている。
【0014】
図2に示すように、鞍乗型車両1のカバー部品から成る車体には、アクセサリーバー51等の付属品が取り付けられる場合がある。車体に対する付属品の取付箇所は強度やレイアウト等によって制限があり、さらに車体に加工等が施されて改造されると元の状態に戻すことは難しい。車体に対して事前に付属品の取付箇所を設けておくことも考えられるが、付属品を取り外したときに取付箇所が目立たないようにする必要がある。そこで、本実施例のグラブバー40に取付構造を形成して、グラブバー40を介して付属品を車体に取り付けると共に、付属品を取り外した状態でも車体の外観を損なわないようにしている。
【0015】
図2から
図6を参照して、鞍乗型車両の車両後部について説明する。
図3は本実施例のアクセサリーバーの取付箇所を示す車両後部の斜視図である。
図4は本実施例のグラブバーの上面図である。
図5は本実施例のグラブバーの側面図である。
図6は本実施例のグラブバーの斜視図である。
【0016】
図2に示すように、リアフレームカバー(フレームカバー)33の上縁側には同乗者用のグラブバー40が設置されている。グラブバー40は、リアフレームカバー33上の基端部41と、基端部41から後方に延びる把持部42と、を有している。グラブバー40の基端部41は、リアフレームカバー33の内側のフレームブラケット63(
図3参照)に固定されている。グラブバー40の把持部42は、基端部41からサブシート16の外縁に沿うようにして後方に延びている。本実施例の鞍乗型車両1には片持ち構造のグラブバー40が使用されているが、両持ち構造のグラブバーが使用されてもよい。
【0017】
グラブバー40の下方には、車両側面及び車両後面を囲むようにアクセサリーバー51が配置されている。アクセサリーバー51は車両後部の外観を向上させる他、別のオプション部品が取り付け可能なマウントバーとしても機能する。アクセサリーバー51の両側部から車幅方向内側にステー(取付部)52が延びており、グラブバー40によってステー52が車体に取り付けられている。なお、アクセサリーバー51の先端も車体下方に取り付けられているが、アクセサリーバー51の先端の取付箇所は目立ち難く、車両の外観性に大きな影響を与えることがない。
【0018】
図3に示すように、左右一対のリアフレーム61の後部は、車幅方向に広がるフレームブリッジ62を介して連結されている。フレームブリッジ62の左右両側は下方からリアフレームカバー33を支持するフレームブラケット63になっている。フレームブラケット63には一対の固定ボルト67(
図8参照)が挿し込まれる一対の貫通穴64が形成され、フレームブラケット63の裏面には一対の貫通穴64と同軸上に一対の溶接ナット65(
図8参照)が設けられている。フレームブラケット63の上面には、リアフレームカバー33の上縁側を車幅方向内側に屈曲させた設置部55が重ねられている。
【0019】
リアフレームカバー33の設置部55には、フレームブラケット63の一対の貫通穴64と同軸上に、一対の貫通穴64よりも大径な一対の位置決め穴56が形成されている。一対の位置決め穴56を通じてリアフレームカバー33からフレームブラケット63の上面が部分的に露出されている。リアフレームカバー33の設置部55の上面からは一対の線状凸部(凸部)57が僅かに突出している。一対の線状凸部57は、一対の位置決め穴56の間を略車幅方向に横断している。リアフレームカバー33が樹脂製であるため、一対の線状凸部57に強い圧力が作用することで一対の線状凸部57が押し潰される。
【0020】
左右一対のリアフレームカバー33はリアセンターカバー34を介して連結されている。リアフレームカバー33及びリアセンターカバー34の連結には、例えば、ネジ止め、クリップ止め、掛け止めのいずれかの取付方法が用いられている。左右一対のリアフレームカバー33及びリアセンターカバー34を外側から囲むようにアクセサリーバー51が設けられている。アクセサリーバー51のステー52はリアフレームカバー33の一対の線状凸部57によって下方から支持されている。ステー52の先端側にはグラブバー40に対する掛止穴53が形成されている。
【0021】
図4及び
図5に示すように、グラブバー40の基端部41は略平坦に形成されており、グラブバー40の把持部42は基端部41から車幅方向外側に向かって斜め上方に突き出している。グラブバー40の基端部41はリアフレームカバー33(
図3参照)の設置部55上に設置され、グラブバー40の把持部42はリアフレームカバー33の設置部55から上方に離間している。グラブバー40の基端部41には前後に離間した一対の固定箇所が設けられ、一対の固定箇所にて一対の固定ボルト67(
図8参照)によってグラブバー40の基端部41がフレームブラケット63に固定される。
【0022】
グラブバー40の一対の固定箇所の上面側には、一対の固定ボルト67の頭部を収容する一対のサグリ穴43と、一対のサグリ穴43の底面からグラブバー40を下方に貫通した一対の貫通穴44とが形成されている。グラブバー40の一対の固定箇所の下面側には、下方に突き出した一対の位置決め部45が形成されている。グラブバー40の一対の貫通穴44はフレームブラケット63の一対の貫通穴64に対応した位置に形成され、グラブバー40の一対の位置決め部45はリアフレームカバー33の一対の位置決め穴56に対応した位置に形成されている。
【0023】
図5及び
図6に示すように、グラブバー40の下面が窪んで溝状の凹部46が形成されている。グラブバー40の下面には一対の位置決め部45の間を車幅方向に横断するように深溝47が形成されており、この深溝47の底面から4つのリブ48が突き出している。4つのリブ48は車幅方向に並んで前後方向に延びており、各リブ48の突出端面がグラブバー40の下面よりも上面側に位置している。このグラブバー40の下面と各リブ48の突出端面の高低差によってグラブバー40の下面に凹部46が形成されている。車幅方向内側から2つ目のリブ48にはアクセサリーバー51(
図3参照)のステー52に対する掛止突起49が形成されている。
【0024】
グラブバー40の凹部46の幅はステー52の幅に略一致しており、グラブバー40の凹部46の深さはステー52の板厚と略一致している。グラブバー40の掛止突起49はステー52の掛止穴53に対応する位置に形成されている。グラブバー40の掛止突起49がステー52の掛止穴53に入り込み、グラブバー40によってステー52が掛け止めされた状態で凹部46の内側にステー52が収められる。このように、グラブバー40にステー52の取付構造が形成されている。グラブバー40がフレームブラケット63に固定されることで、グラブバー40を介してアクセサリーバー51が車体に取り付けられる。
【0025】
図7から
図10を参照して、アクセサリーバーの取付構造について説明する。
図7は本実施例のアクセサリーバーの取付構造を示す上面図である。
図8は
図7のアクセサリーバーの取付構造をA-A線で切断した断面図である。
図9は
図7のアクセサリーバーの取付構造をB-B線で切断した断面図である。
図10は
図9のグラブバーからアクセサリーバーを取り外した断面図である。
【0026】
図7及び
図8に示すように、アクセサリーバー51はグラブバー40の下面に取り付けられ、グラブバー40がリアフレームカバー33の内側のフレームブラケット63に取り付けられている。フレームブラケット63はリアフレーム61の後端部に接合されており、リアフレーム61と共にフレームブラケット63(フレームブリッジ62)によって車両後部の骨格が形成されている。フレームブラケット63の上部には平坦な支持部66が形成されており、フレームブラケット63の支持部66によってリアフレームカバー33の設置部55及びグラブバー40の基端部41が下方から支持されている。
【0027】
上記したように、フレームブラケット63の支持部66には一対の貫通穴64が形成され、フレームブラケット63の支持部66の下面には一対の溶接ナット65が設けられている。フレームブラケット63の一対の貫通穴64にリアフレームカバー33の一対の位置決め穴56が位置合わせされている。リアフレームカバー33の一対の位置決め穴56にグラブバー40の一対の位置決め部45が入り込み、グラブバー40の一対の位置決め部45がフレームブラケット63の支持部66に突き当てられている。リアフレームカバー33にグラブバー40が位置決めされ、グラブバー40とフレームブラケット63の一対の貫通穴44、64が位置合わせされる。
【0028】
また、グラブバー40の基端部41がリアフレームカバー33の設置部55に接触している。グラブバー40の基端部41の下面(フレームとの対向面)には凹部46が形成され、グラブバー40の凹部46とリアフレームカバー33の設置部55によって扁平状の隙間が形成されている。この隙間にはアクセサリーバー51のステー52が入り込んでおり、グラブバー40の凹部46とリアフレームカバー33の設置部55の間にステー52が位置付けられている。グラブバー40の凹部46の掛止突起49がステー52の掛止穴53に挿し込まれて、隙間の内側にてグラブバー40にステー52が掛け止めされている。
【0029】
グラブバー40とフレームブラケット63の一対の貫通穴44、64を通じて一対の固定ボルト67が一対の溶接ナット65にネジ止めされている。これにより、グラブバー40の凹部46とフレームブラケット63の支持部66によってアクセサリーバー51のステー52が挟持されている。グラブバー40の凹部46が一対の固定ボルト67の間に位置付けられているため、一対の固定ボルト67の押圧力がグラブバー40の凹部46に対して均一に作用している。グラブバー40の凹部46によってフレームブラケット63の支持部66に対してステー52が安定的に押し付けられている。
【0030】
このとき、グラブバー40とフレームブラケット63の間にリアフレームカバー33が介在している。上記したように、リアフレームカバー33から隙間に向けて一対の線状凸部57(
図3参照)が突出しているが、一対の固定ボルト67によってステー52が一対の線状凸部57に押し付けられて一対の線状凸部57が圧潰されている。一対の線状凸部57の圧潰によってステー52がグラブバー40の凹部46に強く押し付けられる。よって、グラブバー40の凹部46とステー52のガタツキを無くして、グラブバー40に対してアクセサリーバー51が強く取り付けられる。
【0031】
また、グラブバー40の基端部41とフレームブラケット63によってステー52が広範囲で挟持され、グラブバー40とフレームブラケット63に対するステー52のブレが抑えられている。また、グラブバー40の取り付けには、カバー部品と比較して太径の固定ボルト67を用いることが多く、固定ボルト67の高い軸力によってグラブバー40がフレームブラケット63に固定されている。グラブバー40が十分な負荷に耐えるように設計されており、アクセサリーバー51以外の付属品の取り付けにもグラブバー40を使用でき、付属品の選択幅が広げられている。
【0032】
図7及び
図9に示すように、グラブバー40の基端部41の車幅方向外側に把持部42が設けられ、グラブバー40の把持部42が基端部41の斜め上方に位置付けられている。グラブバー40の基端部41はサブシート16によって上方から覆われており、一対の固定ボルト67がサブシート16に隠されて外観性が向上されている。グラブバー40の把持部42はサブシート16の側方に位置しており、グラブバー40の把持部42によって凹部46が斜め上方から覆われている。これにより、グラブバー40からアクセサリーバー51が取り外されても、グラブバー40の凹部46が目立ち難くなっている。
【0033】
より詳細には、
図10に示すように、車両側方の人物からは斜め下方にグラブバー40が見えている。このとき、人物による斜め上方からの見下ろしの視線Sを遮るように、断面視にてグラブバー40の把持部42が車幅方向外側に庇状に突出している。庇状の把持部42によって把持部42の下方に死角が作られて、車両側方の人物からはグラブバー40の凹部46が見え難くなっている。よって、グラブバー40からアクセサリーバー51が取り外された状態でも、グラブバー40の凹部46が目立つことなく、鞍乗型車両1の外観性が悪化することがない。
【0034】
以上、本実施例によれば、フレームブラケット63にグラブバー40が取り付けられることで、グラブバー40の凹部46とフレームブラケット63にアクセサリーバー51のステー52が挟持される。よって、車体に対するアクセサリーバー51の取付作業が煩雑になることがない。アクセサリーバー51がグラブバー40を介して車体に取り付けられるため、車体に対する大幅な設計変更及び追加加工が不要になっている。よって、車体からアクセサリーバー51が取り外された状態でも鞍乗型車両の外観性が悪化することがない。
【0035】
なお、本実施例では、付属品としてアクセサリーバーを例示したが、付属品は鞍乗型車両に取付可能であればよく、荷掛けフック、ヘルメットホルダ等でもよい。
【0036】
また、本実施例では、フレームブラケットにグラブバーが取り付けられているが、グラブバーは鞍乗型車両の骨格を形成するフレームに取り付けられていればよく、リアフレームにグラブバーが取り付けられてもよい。
【0037】
また、本実施例では、グラブバーに溝状の凹部が形成されたが、凹部は付属品の取付部を収容可能な形状であればよい。
【0038】
また、本実施例では、固定部材として固定ボルトを例示したが、固定部材はグラブバーをフレームに対して固定可能な部材であればよい。
【0039】
また、本実施例では、グラブバーの凹部に掛止突起が形成され、ステーに掛止穴が形成されたが、グラブバーの凹部に掛止穴が形成され、ステーに掛止突起が形成されてもよい。
【0040】
また、本実施例では、リアフレームカバーを介してフレームブラケットにグラブバーが取り付けられているが、フレームブラケットにグラブバーが直に取り付けられてもよい。
【0041】
また、本実施例では、凸部としてリアフレームカバーに線状凸部が形成されているが、凸部の形状は特に限定されない。また、リアフレームカバーには凸部が形成されていなくてもよい。
【0042】
また、付属品の取付構造は、バギータイプの自動三輪車等の他の鞍乗型車両にも適宜適用することができる。また、鞍乗型車両とは、ライダーがシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、ライダーがシートに跨らずに乗車するスクータタイプの車両も含んでいる。
【0043】
以上の通り、本実施例の付属品(アクセサリーバー51)の取付構造は、鞍乗型車両に取り付けられる付属品の取付構造であって、鞍乗型車両の骨格を形成するフレーム(フレームブラケット63)と、フレームに取り付けられるグラブバー(40)と、を備え、グラブバーの基端部(41)にはフレームとの対向面に凹部(46)が形成され、グラブバーの凹部とフレームに付属品の取付部(ステー52)が挟持されている。この構成によれば、フレームにグラブバーが取り付けられることで、グラブバーの凹部とフレームに付属品の取付部が挟持される。よって、車体に対する付属品の取付作業が煩雑になることがない。付属品がグラブバーを介して車体に取り付けられるため、車体に対する大幅な設計変更及び追加加工が不要になっている。よって、車体から付属品が取り外された状態でも鞍乗型車両の外観性が悪化することがない。
【0044】
本実施例の付属品の取付構造において、グラブバーの基端部は一対の固定部材(固定ボルト67)によってフレームに固定され、一対の固定部材の間にグラブバーの凹部が位置付けられている。この構成によれば、一対の固定部材による押圧力がグラブバーの凹部に対して均等に作用して、グラブバーの凹部によって付属品の取付部がフレームに対して安定的に押し付けられる。
【0045】
本実施例の付属品の取付構造において、グラブバーの凹部及び付属品の取付部のいずれか一方に掛止突起(49)が形成され、いずれか他方に当該掛止突起が挿し込まれる掛止穴(53)が形成されている。この構成によれば、掛止突起が掛止穴に入り込むことで、グラブバーの凹部に付属品の取付部が掛け止めされる。
【0046】
本実施例の付属品の取付構造において、グラブバーの基端部の車幅方向外側に把持部(42)が設けられ、当該把持部がグラブバーの凹部を斜め上方から覆っている。この構成によれば、把持部によって斜め上方からの視線(S)が遮られるため、把持部の下方に死角が作られてグラブバーの凹部が目立つことがない。よって、車体から付属品が取り外された状態でも車両の外観性が悪化することがない。
【0047】
本実施例の付属品の取付構造において、フレームとグラブバーの間に介在するフレームカバー(リアフレームカバー33)を備え、グラブバーの凹部及びフレームカバーによって付属品の取付部が入り込む隙間が形成され、フレームカバーには隙間に向けて突出する圧潰可能な凸部(線状凸部57)が形成されている。この構成によれば、フレームカバーの凸部が付属品の取付部に圧潰されることで、付属品の取付部がグラブバーの凹部に強く押し付けられ、グラブバーの凹部と付属品の取付部のガタツキを無くしてグラブバーに付属品が強く取り付けられる。
【0048】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0049】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。