(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042275
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】燃料分配管
(51)【国際特許分類】
F02M 55/02 20060101AFI20230317BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
F02M55/02 330A
F02M55/02 310
F02M55/02 330B
F02M55/02 320W
F02M55/02 320P
F02M37/00 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149495
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】390039929
【氏名又は名称】三桜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114270
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 朋也
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 伸司
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 透
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AB02
3G066AD05
3G066BA12
3G066BA30
3G066BA54
3G066CB04
3G066CB05
3G066CB12
3G066CD10
3G066CD17
3G066CD21
(57)【要約】
【課題】製造時の二酸化炭素の発生を抑制するとともに燃料の脈動を抑制する。
【解決手段】燃料分配管1は、金属ケース2と、樹脂部であるインレット3、複数のインジェクターカップ4、及び複数のブラケット5と、を備える。金属ケース2は、金属部である第一ケース部6及び第二ケース部7と、樹脂部であるシール部8と、を備える。シール部8は、第一ケース部6と第二ケース部7とを接続して、第一ケース部6と第二ケース部7との間をシールする。シール部8は、第一ケース部6と第二ケース部7との接続部分を覆うように第一ケース部6及び第二ケース部7に接合されている。インレット3は、第一ケース部6の一部を覆うように第一ケース部6に接合されており、複数のインジェクターカップ4及び複数のブラケット5は、第二ケース部7の一部を覆うように第二ケース部7に接合されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を複数のインジェクタに分配供給する燃料分配管であって、
前記燃料を貯留する貯留空間を形成する金属部と、
前記金属部の一部を覆うように前記金属部に接合された樹脂部と、を備える、
燃料分配管。
【請求項2】
前記金属部は、第一ケース部と、第二ケース部と、を有し、
前記樹脂部は、前記第一ケース部と前記第二ケース部とを接続して前記第一ケース部と前記第二ケース部との間をシールするシール部を有し、
前記シール部は、前記第一ケース部と前記第二ケース部との接続部分を覆うように前記第一ケース部及び前記第二ケース部に接合されている、
請求項1に記載の燃料分配管。
【請求項3】
前記第二ケース部の少なくとも一部は、前記第一ケース部の少なくとも一部に重ね合わされており、
前記シール部は、前記第一ケース部と前記第二ケース部との重ね合わせ部分を覆うように前記第一ケース部及び前記第二ケース部に接合されている、
請求項2に記載の燃料分配管。
【請求項4】
前記重ね合わせ部分において、前記第一ケース部の少なくとも一部は、前記第二ケース部から離れる方向に延びている、
請求項3に記載の燃料分配管。
【請求項5】
前記重ね合わせ部分において、前記第一ケース部の少なくとも一部は、前記第二ケース部から離れる方向に屈曲している、
請求項3に記載の燃料分配管。
【請求項6】
前記重ね合わせ部分における前記第一ケース部と前記第二ケース部との間に間隙が形成されており、
前記シール部は、前記間隙に充填されている、
請求項3~5の何れか一項に記載の燃料分配管。
【請求項7】
前記第一ケース部は、前記貯留空間とは反対側に延びる第一フランジ部を有し、
前記第二ケース部は、前記貯留空間とは反対側に延びて前記第一フランジ部に重ね合わされる第二フランジ部を有し、
前記シール部は、前記第一フランジ部の少なくとも一部及び前記第二フランジ部の少なくとも一部を覆うように前記第一ケース部及び前記第二ケース部に接合されている、
請求項2~5の何れか一項に記載の燃料分配管。
【請求項8】
第一フランジ部及び第二フランジ部は、第一フランジ部及び第二フランジ部を貫通する穴を有しており、
前記シール部は、前記穴に充填されている、
請求項7に記載の燃料分配管。
【請求項9】
前記金属部は、前記貯留空間に連通された開口を有し、
前記樹脂部は、前記開口に隣接する前記金属部の一部を覆うように前記金属部に接合された開口接続部を有する、
請求項1~8の何れか一項に記載の燃料分配管。
【請求項10】
前記開口接続部は、前記開口に隣接する前記金属部の外表面の一部及び前記開口に隣接する前記金属部の内表面の一部を覆うように前記金属部に接合されている、
請求項9に記載の燃料分配管。
【請求項11】
前記金属部は、前記貯留空間を形成するケース本体と、前記ケース本体に対して屈曲して前記開口を形成する円筒部を有し、
前記開口接続部は、前記ケース本体の一部及び前記円筒部を覆うように前記金属部に接合されている、
請求項9又は10に記載の燃料分配管。
【請求項12】
前記開口接続部は、前記燃料を前記貯留空間に供給するために前記開口に連通される流路が形成されたインレットを有する、
請求項9~11の何れか一項に記載の燃料分配管。
【請求項13】
前記開口接続部は、前記インジェクタを保持するとともに、前記燃料を前記インジェクタに供給するために前記開口に連通される流路が形成されたインジェクターカップを有する、
請求項9~12の何れか一項に記載の燃料分配管。
【請求項14】
前記樹脂部は、前記燃料分配管を車両に固定するためのブラケットを有し、
前記ブラケットは、前記金属部の外表面の一部を覆うように前記金属部に接合されている、
請求項1~13の何れか一項に記載の燃料分配管。
【請求項15】
前記樹脂部は、前記インジェクタを保持するためのインジェクターカップと、前記燃料分配管を車両に固定するためのブラケットと、が一体成形された一体形成部を更に備え、
前記一体形成部は、前記金属部の一部を覆うように前記金属部に接合されている、
請求項1~14の何れか一項に記載の燃料分配管。
【請求項16】
前記金属部には、めっきが施されている、
請求項1~15の何れか一項に記載の燃料分配管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を複数のインジェクタに分配供給する燃料分配管に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料を複数のインジェクタに分配供給する燃料分配管としては、例えば、特許文献1に記載されたような金属製の燃料分配管や、特許文献2に記載されたような樹脂製の燃料分配管が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010―242712号公報
【特許文献2】特開2011―231695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属製の燃料分配管は、肉厚を薄くすることができるため、インジェクタの開閉に起因する燃料の脈動を燃料分配管の変形により抑制することができる。しかしながら、金属製の燃料分配管は、複数の部材をろう付けすることにより製造される。ろう付けでは、金属製のろう材を溶融するために大量の二酸化炭素が発生する。また、金属製の燃料分配管は、樹脂製の燃料分配管に比べて、製造コストが高くなる。なお、鉄(炭素鋼)製の燃料分配管は、ステンレス製やアルミ製の燃料分配管に比べて製造コストを低くすることができるが、耐食性の観点からめっきで被覆する必要があるため、製造拠点が限られる。
【0005】
一方、樹脂製の燃料分配管は、金属製の燃料分配管のように金属製のろう材を溶融する必要がないため、製造時の大量の二酸化炭素の発生を抑制することができる。また、樹脂製の燃料分配管は、金属製の燃料分配管に比べて、軽量であり、製造コストを低くすることができる。しかしながら、樹脂製の燃料分配管は、剛性を確保するために肉厚を厚くする必要があるため、金属製の燃料分配管のような燃料の脈動抑制効果を得ることができない。
【0006】
そこで、本発明は、製造時の二酸化炭素の発生を抑制することができるとともに燃料の脈動を抑制することができる燃料分配管を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る燃料分配管は、燃料を複数のインジェクタに分配供給する燃料分配管であって、燃料を貯留する貯留空間を形成する金属部と、金属部の一部を覆うように金属部に接合された樹脂部と、を備える。
【0008】
この燃料分配管では、金属部に接合された樹脂部を備えるため、全ての部材がろう付けされる金属製の燃料分配管に比べて、製造時の二酸化炭素の発生を抑制することができる。また、樹脂部は、金属部の一部を覆うように金属部に接合されているため、射出成型等により、樹脂部と金属部とを強固に接合することができる。そして、金属部が燃料を貯留する貯留空間を形成するため、燃料の脈動に追従するように金属部が変形することで、燃料の脈動を抑制することができる。これにより、製造時の二酸化炭素の発生を抑制することができるとともに燃料の脈動を抑制することができる。
【0009】
金属部は、第一ケース部と、第二ケース部と、を有し、樹脂部は、第一ケース部と第二ケース部とを接続して第一ケース部と第二ケース部との間をシールするシール部を有し、シール部は、第一ケース部と第二ケース部との接続部分を覆うように第一ケース部及び第二ケース部に接合されていてもよい。この燃料分配管では、金属部が第一ケース部及び第二ケース部を有し、第一ケース部と第二ケース部とは、樹脂部であるシール部により接続及びシールされている。このため、貯留空間の気密性を確保することができるとともに、燃料分配管を容易に製造することができる。また、シール部は、第一ケース部と第二ケース部との接続部分を覆うように第一ケース部及び第二ケース部に接合されているため、第一ケース部及び第二ケース部と樹脂部とを強固に接合することができる。
【0010】
第二ケース部の少なくとも一部は、第一ケース部の少なくとも一部に重ね合わされており、シール部は、第一ケース部と第二ケース部との重ね合わせ部分を覆うように第一ケース部及び第二ケース部に接合されていてもよい。この燃料分配管では、第一ケース部の少なくとも一部と第二ケース部の少なくとも一部とが重ね合わされており、シール部が、第一ケース部と第二ケース部との重ね合わせ部分を覆うように第一ケース部及び第二ケース部に接合されている。このため、第一ケース部と第二ケース部との接続を容易に行うことができるる。
【0011】
重ね合わせ部分において、第一ケース部の少なくとも一部は、第二ケース部から離れる方向に延びていてもよい。この燃料分配管では、重ね合わせ部分において、第一ケース部の少なくとも一部が第二ケース部から離れる方向に延びている。このため、第一ケース部がシール部に引っ掛かることで、第一ケース部と第二ケース部との重ね合わせ方向と直交する方向への、シール部に対する第一ケース部の抜けを抑制することができる。
【0012】
重ね合わせ部分において、第一ケース部の少なくとも一部は、第二ケース部から離れる方向に屈曲していてもよい。この燃料分配管では、重ね合わせ部分において、第一ケース部の少なくとも一部が第二ケース部から離れる方向に屈曲している。このため、第一ケース部がシール部に引っ掛かることで、第一ケース部と第二ケース部との重ね合わせ方向と直交する方向への、シール部に対する第一ケース部の抜けを抑制することができる。
【0013】
重ね合わせ部分における第一ケース部と第二ケース部との間に間隙が形成されており、シール部は、間隙に充填されていてもよい。この燃料分配管では、重ね合わせ部における第一ケース部と第二ケース部との間に形成された間隙にシール部が充填されている。これにより、第一ケース及び第二ケースとシール部との接触面積が増大するため、第一ケース部及び第二ケース部とシール部とを更に強固に接合することができる。
【0014】
第一ケース部は、貯留空間とは反対側に延びる第一フランジ部を有し、第二ケース部は、貯留空間とは反対側に延びて第一フランジ部に重ね合わされる第二フランジ部を有し、シール部は、第一フランジ部の少なくとも一部及び第二フランジ部の少なくとも一部を覆うように第一ケース部及び第二ケース部に接合されていてもよい。この燃料分配管では、貯留空間とは反対側に延びる第一ケース部の第一フランジ部と貯留空間とは反対側に延びる第二ケース部の第二フランジ部とが重ね合わされており、シール部が、第一フランジ部の少なくとも一部及び第二フランジ部の少なくとも一部を覆うように第一ケース部及び第二ケース部に接合されている。つまり、シール部は、第一フランジ部と第二フランジ部とを挟み込むように、第一ケース部及び第二ケース部に接合されている。このため、第一フランジ部と第二フランジ部との重ね合わせ方向において、シール部により第一ケース部と第二ケース部とを更に強固に接続することができる。
【0015】
第一フランジ部及び第二フランジ部は、第一フランジ部及び第二フランジ部を貫通する穴を有しており、シール部は、穴に充填されていてもよい。この燃料分配管では、第一フランジ部及び第二フランジ部を貫通する穴にシール部が充填されている。つまり、シール部は、第一フランジ部と第二フランジ部とを挟み込むとともに、第一フランジ部と第二フランジ部との重ね合わせ方向と直交する方向への第一フランジ部及び第二フランジ部の相対移動を阻害するように、第一ケース部及び第二ケース部に接合されている。このため、シール部により第一ケース部と第二ケース部とを更に強固に接続することができる。
【0016】
金属部は、貯留空間に連通された開口を有し、樹脂部は、開口に隣接する金属部の一部を覆うように金属部に接合された開口接続部を有してもよい。この燃料分配管では、樹脂部である開口接続部が、開口に隣接する金属部の一部を覆うように金属部に接合されている。このため、金属部と開口接続部とを強固に接合することができる。
【0017】
開口接続部は、開口に隣接する金属部の外表面の一部及び開口に隣接する金属部の内表面の一部を覆うように金属部に接合されていてもよい。この燃料分配管では、開口接続部が、開口に隣接する金属部の外表面の一部及び開口に隣接する金属部の内表面の一部を覆うように金属部に接合されている。つまり、開口接続部は、金属部を挟み込むように金属部に接合されている。このため、金属部と開口接続部とを強固に接合することができる。
【0018】
金属部は、貯留空間を形成するケース本体と、ケース本体に対して屈曲して開口を形成する円筒部を有し、開口接続部は、ケース本体の一部及び円筒部を覆うように金属部に接合されていてもよい。この燃料分配管では、金属部が、ケース本体に対して屈曲する円筒部を有し、開口接続部が、ケース本体の一部及び円筒部を覆うように金属部に接合されている。このため、金属部に対する開口接続部の抜けを抑制することができる。また、金属部と開口接続部との接触面積が増大するため、金属部と開口接続部とを更に強固に接合することができる。ところで、燃料分配管の製造時は、開口接続部の成形後の収縮により、開口接続部は金属部に押し付けられて金属部に密着する。この燃料分配管では、円筒部がケース本体に対して屈曲しているため、開口接続部の金属部に向かう収縮方向における開口接続部の肉厚を積算した総肉厚を増加することができる。つまり、金属部に向かう開口接続部の収縮量を増加することができる。このため、金属部に対する開口接続部の密着性を向上することができる。
【0019】
開口接続部は、燃料を貯留空間に供給するために開口に連通される流路が形成されたインレットを有してもよい。この燃料分配管では、樹脂部であるインレットが、開口に隣接する金属部の一部を覆うように金属部に接合されている。このため、金属部とインレットとを接合する際の二酸化炭素の発生を抑制して、金属部とインレットとを強固に接合することができる。
【0020】
開口接続部は、インジェクタを保持するとともに、燃料をインジェクタに供給するために開口に連通される流路が形成されたインジェクターカップを有してもよい。この燃料分配管では、樹脂部であるインジェクターカップが、開口に隣接する金属部の一部を覆うように金属部に接合されている。このため、金属部とインジェクターカップとを接合する際の二酸化炭素の発生を抑制して、金属部とインジェクターカップとを強固に接合することができる。
【0021】
樹脂部は、燃料分配管を車両に固定するためのブラケットを有し、ブラケットは、金属部の外表面の一部を覆うように金属部に接合されていてもよい。この燃料分配管では、樹脂部であるブラケットが、金属部の外表面の一部を覆うように金属部に接合されている。このため、金属部とブラケットとを接合する際の二酸化炭素の発生を抑制して、金属部とブラケットとを強固に接合することができる。
【0022】
樹脂部は、インジェクタを保持するためのインジェクターカップと、燃料分配管を車両に固定するためのブラケットと、が一体成形された一体形成部を更に備え、一体形成部は、金属部の一部を覆うように金属部に接合されていてもよい。この燃料分配管では、インジェクターカップとブラケットとが一体形成部として一体成形されており、一体形成部が金属部の一部を覆うように金属部に接合されている。このため、インジェクターカップとブラケットとが分離されている場合に比べて、インジェクターカップ及びブラケットと金属部との接合面積を増大させることができるとともに、インジェクターカップ及びブラケットと金属部との接合構造を複雑化することができる。これにより、金属部に対するインジェクターカップ及びブラケットの接合強度を高くすることができる。
【0023】
金属部には、めっきが施されていてもよい。この燃料分配管では、金属部にめっきが施されているため、耐食性を向上することができる。このため、例えば、金属部を、安価な鉄製とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、製造時の二酸化炭素の発生を抑制することができるとともに燃料の脈動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第一実施形態の燃料分配管を示す正面図である。
【
図2】第一実施形態の燃料分配管を示す平面図である。
【
図3】第一実施形態の燃料分配管を示す底面図である。
【
図4】
図2に示すIV-IV線における断面図である。
【
図6】
図1に示すVI-VI線における断面図である。
【
図7】
図4のインレットの近傍を拡大した断面図である。
【
図8】
図4のインジェクターカップの近傍を拡大した断面図である。
【
図9】第二実施形態の燃料分配管の、
図5に対応する断面図である。
【
図10】第三実施形態の燃料分配管の、
図5に対応する断面図である。
【
図11】第四実施形態の燃料分配管の、
図7に対応する断面図である。
【
図12】第四実施形態の燃料分配管の、
図8に対応する断面図である。
【
図13】第五実施形態の燃料分配管を示す正面図である。
【
図14】
図13に示すXIV-XIV線における断面図である。
【
図15】第六実施形態の燃料分配管を示す正面図である。
【
図16】第六実施形態の燃料分配管を示す底面図である。
【
図17】
図15に示すXVII-XVII線における断面図である。
【
図18】第七実施形態の燃料分配管の、
図17に対応する断面図である。
【
図19】第八実施形態の燃料分配管を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態の燃料分配管1を示す正面図である。
図2は、第一実施形態の燃料分配管1を示す平面図である。
図3は、第一実施形態の燃料分配管1を示す底面図である。
図4は、
図2に示すIV-IV線における断面図である。
図5は、
図1に示すV-V線における断面図である。
図6は、
図1に示すVI-VI線における断面図である。
図1~
図6に示す第一実施形態の燃料分配管1は、燃料配管(不図示)から供給された燃料を、複数のインジェクタ(不図示)に分配供給するものである。燃料分配管1は、フューエルインジェクションレール、フューエルデリバリパイプ等とも呼ばれる。
【0028】
燃料分配管1は、金属ケース2と、樹脂部であるインレット3と、樹脂部である複数のインジェクターカップ4と、樹脂部である複数のブラケット5と、を備える。なお、図面では、3個のインジェクターカップ4を備える燃料分配管1を示しているが、インジェクターカップ4の数は、2以上の複数であれば特に限定されない。また、図面では、2個のブラケット5を備える燃料分配管1を示しているが、ブラケット5の数は特に限定されない。
【0029】
金属ケース2は、複数のインジェクタに燃料を供給するために、燃料配管から供給された燃料を一時的に貯留するための部分である。金属ケース2は、例えば、エンジンの気筒列方向(クランク軸方向)に沿って直線状に延びている。金属ケース2の内部には、燃料を貯留する貯留空間21が形成されている。
【0030】
金属ケース2は、金属部である第一ケース部6と、金属部である第二ケース部7と、樹脂部であるシール部8と、を有する。第一ケース部6は、貯留空間21を形成するために細長い椀状に形成されている。第二ケース部7は、貯留空間21を形成するために細長い椀状に形成されている。シール部8は、第一ケース部6と第二ケース部7とを接続して、第一ケース部6と第二ケース部7との間をシールしている。つまり、金属ケース2では、第一ケース部6と第二ケース部7とがシール部8により接続及びシールされており、第一ケース部6と第二ケース部7との間に貯留空間21が形成されている。
【0031】
具体的に説明すると、第一ケース部6の周縁部61は、第二ケース部7の周縁部71に重ね合わされている。第一ケース部6と第二ケース部7との重ね合わせ部分25では、第一ケース部6の周縁部61が第二ケース部7の周縁部71の外側(貯留空間21とは反対側)に配置されている。そして、シール部8は、第一ケース部6と第二ケース部7との重ね合わせ部分25を覆うように、第一ケース部6及び第二ケース部7に接合されている。重ね合わせ部分25は、第一ケース部6と第二ケース部7とが重ね合わされている第一ケース部6の周縁部61及び第二ケース部7の周縁部71である。そして、第一ケース部6と第二ケース部7とは、第一ケース部6と第二ケース部7との重ね合わせ部分25において、シール部8により接続されている。このため、第一ケース部6と第二ケース部7との重ね合わせ部分25は、第一ケース部6と第二ケース部7とが接続される第一ケース部6と第二ケース部7との接続部分でもある。
【0032】
なお、第一ケース部6と第二ケース部7とは、重ね合わせ部分25の全域において当接されていてもよく、重ね合わせ部分25の一部においてのみ当接されていていてもよく、重ね合わせ部分25の全域において離間していてもよい。本実施形態では、一例として、第一ケース部6と第二ケース部7とが重ね合わせ部分25の全域において当接されている。また、シール部8は、金属ケース2の外表面側(貯留空間21の反対側)にのみ形成されていてもよく、金属ケース2の内表面側(貯留空間21側)にのみ形成されていてもよく、その双方に形成されていてもよい。本実施形態では、製造容易性の観点から、一例として、シール部8は、金属ケース2の外表面側にのみ形成されている。
【0033】
第一ケース部6及び第二ケース部7の肉厚は、特に限定されるものではない。燃料の脈動抑制効果を高める観点から、第一ケース部6及び第二ケース部7の肉厚は、例えば、3.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましく、1.6mm以下であることが更に好ましい。つまり、金属ケース2の肉厚がこれら範囲内にあることで、金属ケース2が燃料の脈動に追従するように変形しやすくなって、燃料の脈動抑制効果が高まる。また、第一ケース部6及び第二ケース部7の剛性を十分に確保する観点から、第一ケース部6及び第二ケース部7の肉厚は、例えば、0.5mm以上であることが好ましく、0.7mm以上であることがより好ましく、1.0mm以上であることが更に好ましい。また、これらの観点から、第一ケース部6及び第二ケース部7の肉厚は、例えば、0.5mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.7mm以上2.0mm以下であることがより好ましく、1.0mm以上1.6mm以下であることが更に好ましい。なお、これらの肉厚は、例えば、第一ケース部6及び第二ケース部7の最も薄い部分の肉厚である。
【0034】
第一ケース部6には、貯留空間21に連通されたインレット用開口26が形成されている。インレット用開口26は、インレット3に接続される開口であり、第一ケース部6を貫通している。第二ケース部7には、貯留空間21に連通された複数のインジェクターカップ用開口27が形成されている。インジェクターカップ用開口27は、インジェクターカップ4に接続される開口であり、第二ケース部7を貫通している。このため、インジェクターカップ用開口27の数は、インジェクターカップ4の数と同じである。
【0035】
図7は、
図4のインレットの近傍を拡大した断面図である。
図1,2,4,7に示すように、インレット3は、燃料配管に接続されて、燃料配管から供給された燃料を貯留空間21に供給するための部分である。インレット3は、インレット用開口26に隣接する第一ケース部6の一部を覆うように第一ケース部6に接合された開口接続部である。インレット3は、燃料配管に接続されるため、略円筒状に延びている。インレット3には、インレット用開口26に連通される流路31が形成されている。流路31は、燃料配管から供給された燃料を貯留空間21に供給するための流路である。
【0036】
具体的に説明すると、インレット3は、インレット用開口26に隣接する第一ケース部6の外表面62の一部及びインレット用開口26に隣接する第一ケース部6の内表面63の一部を覆うように、第一ケース部6に接合されている。つまり、インレット3は、インレット用開口26の周囲において、第一ケース部6を外表面62側と内表面63側とから挟み込むように、第一ケース部6に接合されている。インレット3は、第一ケース部6の外表面62の一部を覆う外表面部32と、第一ケース部6の内表面63の一部を覆う内表面部33と、インレット用開口26を介して外表面部32と内表面部33とに接続される接続部34と、を有する。接続部34は、流路31を塞がないように、インレット用開口26内において円筒状に形成されている。
【0037】
図8は、
図4のインジェクターカップの近傍を拡大した断面図である。
図1,3,4,8に示すように、複数のインジェクターカップ4のそれぞれは、インジェクタを保持するための部分である。なお、複数のインジェクターカップ4は、基本的に互いに同じ形状であるため、代表して一つのインジェクターカップ4についてのみ説明する。インジェクターカップ4は、インジェクターカップ用開口27に隣接する第二ケース部7の一部を覆うように第二ケース部7に接合された開口接続部である。インジェクターカップ4は、インジェクタを保持するため、略カップ状に形成されている。インジェクターカップ4には、インジェクターカップ用開口27に連通される流路41が形成されている。流路41は、貯留空間21から燃料をインジェクタに供給するための流路である。
【0038】
具体的に説明すると、インジェクターカップ4は、インジェクターカップ用開口27に隣接する第二ケース部7の外表面72の一部及びインジェクターカップ用開口27に隣接する第二ケース部7の内表面73の一部を覆うように、第二ケース部7に接合されている。つまり、インジェクターカップ4は、インジェクターカップ用開口27の周囲において、第二ケース部7を外表面72側と内表面73側とから挟み込むように、第二ケース部7に接合されている。インジェクターカップ4は、第二ケース部7の外表面72の一部を覆う外表面部42と、第二ケース部7の内表面73の一部を覆う内表面部43と、インジェクターカップ用開口27を介して外表面部42と内表面部43とに接続される接続部44と、を有する。接続部44は、流路41を塞がないように、インジェクターカップ用開口27内において円筒状に形成されている。
【0039】
図1~4,6に示すように、複数のブラケット5は、燃料分配管1を車両のシリンダヘッドやインテークマニホールド(何れも不図示)等に固定するための部分である。なお、複数のブラケット5は、基本的に互いに同じ形状であるため、代表して一つのブラケット5についてのみ説明する。ブラケット5は、第二ケース部7の外表面の一部を覆うように第二ケース部7に接合されている。ブラケット5は、エンジンブロック等に固定されるために細長い板状に形成さている。そして、ブラケット5の一方端部が、第二ケース部7に接合されており、ブラケット5の他方端部に、ボルト等の固定部材を挿入するための穴が形成されている。
【0040】
第一ケース部6及び第二ケース部7の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、鉄(炭素鋼)、ステンレス、アルミ等である。ステンレス及びアルミは、鉄に比べて、樹脂との熱膨張差が小さい。このため、熱膨張に伴う第一ケース部6及び第二ケース部7と樹脂部との間の接合強度の低下を抑制する観点から第一ケース部6及び第二ケース部7の材質は、鉄よりもステンレス又はアルミとすることが好ましい。また、第一ケース部6及び第二ケース部7は、耐食性等の観点から、めっきが施されていてもよい。特に、第一ケース部6及び第二ケース部7の材質が鉄である場合は、めっきを施すことが好ましい。
【0041】
樹脂部であるシール部8、インレット3、インジェクターカップ4、及びブラケット5の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、ガラス繊維が35%配合されたポリアミド66(PA66-GF35)等である。シール部8、インレット3、インジェクターカップ4、及びブラケット5の材質は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0042】
ここで、燃料分配管1の製造方法の一例について説明する。まず、プレス成型等により第一ケース部6及び第二ケース部7を製造する。次に、インサート成形等により、第一ケース部6に対して樹脂を射出成型することで、第一ケース部6に接合されたインレット3を成型する。これにより、第一ケース部6にインレット3が接合された第一中間部品が製造される。また、インサート成形等により、第二ケース部7に対して樹脂を射出成型することで、第二ケース部7に接合された複数のインジェクターカップ4及び複数のブラケット5を成型する。これにより、第二ケース部7に複数のインジェクターカップ4及び複数のブラケット5が接合された第二中間部品が製造される。その後、第一中間部品の第一ケース部6の周縁部61Aと第二中間部品の第二ケース部7の周縁部71Aとを重ね合わせる。そして、インサート成形等により、第一ケース部6と第二ケース部7との重ね合わせ部分25に対して樹脂を射出成型することで、第一ケース部6及び第二ケース部7に接合されたシール部8を成型するとともに、シール部8により第一ケース部6と第二ケース部7とを接続するとともに第一ケース部6と第二ケース部7との間をシールする。これにより、燃料分配管1が製造される。
【0043】
このように、本実施形態の燃料分配管1では、金属部に接合された樹脂部を備えるため、全ての部材がろう付けされる金属製の燃料分配管に比べて、製造時の二酸化炭素の発生を抑制することができる。また、樹脂部は、金属部の一部を覆うように金属部に接合されているため、射出成型等により、樹脂部と金属部とを強固に接合することができる。そして、金属部が燃料を貯留する貯留空間21を形成するため、燃料の脈動に追従するように金属部が変形することで、燃料の脈動を抑制することができる。これにより、製造時の二酸化炭素の発生を抑制することができるとともに燃料の脈動を抑制することができる。
【0044】
また、この燃料分配管1では、金属部である第一ケース部6及び第二ケース部7を有し、第一ケース部6と第二ケース部7とは、樹脂部であるシール部8により接続及びシールされている。このため、貯留空間21の気密性を確保することができるとともに、燃料分配管1を容易に製造することができる。また、シール部8は、第一ケース部6と第二ケース部7との接続部分を覆うように第一ケース部6及び第二ケース部7に接合されているため、第一ケース部6と第二ケース部7とを強固に接合することができるとともに、第一ケース部6及び第二ケース部7とシール部8、インレット3、インジェクターカップ4、及びブラケット5とを強固に接合することができる。
【0045】
また、燃料分配管1では、第一ケース部6の少なくとも一部と第二ケース部7の少なくとも一部とが重ね合わされており、シール部8が、第一ケース部6と第二ケース部7との重ね合わせ部分25を覆うように第一ケース部6及び第二ケース部7に接合されている。このため、第一ケース部6と第二ケース部7との接続を容易に行うことができる。
【0046】
また、この燃料分配管1では、開口接続部であるインレット3が、インレット用開口26に隣接する第一ケース部6の一部を覆うように第一ケース部6に接合されている。また、開口接続部であるインジェクターカップ4が、インジェクターカップ用開口27に隣接する第二ケース部7の一部を覆うように第二ケース部7に接合されている。このため、第一ケース部6及び第二ケース部7とインレット3及びインジェクターカップ4とを強固に接合することができる。
【0047】
また、この燃料分配管1では、開口接続部であるインレット3が、インレット用開口26に隣接する第一ケース部6の外表面62の一部及びインレット用開口26に隣接する第一ケース部6の内表面63の一部を覆うように第一ケース部6に接合されている。つまり、インレット3は、第一ケース部6を挟み込むように第一ケース部6に接合されている。また、開口接続部であるインジェクターカップ4が、インジェクターカップ用開口27に隣接する第二ケース部7の外表面72の一部及びインジェクターカップ用開口27に隣接する第二ケース部7の内表面73の一部を覆うように第二ケース部7に接合されている。つまり、インジェクターカップ4は、第二ケース部7を挟み込むように第二ケース部7に接合されている。このため、第一ケース部6及び第二ケース部7とインレット3及びインジェクターカップ4とを強固に接合することができる。
【0048】
また、この燃料分配管1では、樹脂部であるインレット3が、インレット用開口26に隣接する第一ケース部6の一部を覆うように第一ケース部6に接合されている。このため、第一ケース部6とインレット3とを接合する際の二酸化炭素の発生を抑制して、第一ケース部6とインレット3とを強固に接合することができる。
【0049】
また、この燃料分配管1では、樹脂部であるインジェクターカップ4が、インジェクターカップ用開口27に隣接する第二ケース部7の一部を覆うように第二ケース部7に接合されている。このため、第二ケース部7とインジェクターカップ4とを接合する際の二酸化炭素の発生を抑制して、第二ケース部7とインジェクターカップ4とを強固に接合することができる。
【0050】
また、この燃料分配管1では、樹脂部であるブラケット5が、金属部である第二ケース部7の外表面72の一部を覆うように第二ケース部7に接合されている。このため、第二ケース部7とブラケット5とを接合する際の二酸化炭素の発生を抑制して、第二ケース部7とブラケット5とを強固に接合することができる。
【0051】
また、この燃料分配管1では、第一ケース部6及び第二ケース部7にめっきが施されているため、耐食性を向上することができる。このため、例えば、第一ケース部6及び第二ケース部7を、安価な鉄製とすることができる。
【0052】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であり、第一ケース部、第二ケース部、及びシール部の形状が異なる点のみ、第一実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の説明を省略する。
【0053】
図9は、第二実施形態の燃料分配管の、
図5に対応する断面図である。
図9に示すように、第二実施形態の燃料分配管1Aは、第一実施形態の金属ケース2に対応する金属ケース2Aを備える。金属ケース2Aは、第一実施形態の第一ケース部6に対応する第一ケース部6Aと、第一実施形態の第二ケース部7に対応する第二ケース部7Aと、第一実施形態のシール部8に対応するシール部8Aと、を有する。
【0054】
第一ケース部6Aの周縁部61Aは、第二ケース部7Aの周縁部71Aに重ね合わされている。第一ケース部6Aと第二ケース部7Aとの重ね合わせ部分25Aでは、第一ケース部6Aの周縁部61Aが第二ケース部7Aの周縁部71Aの外側に配置されている。第一ケース部6Aと第二ケース部7Aとの重ね合わせ部分25Aにおいて、第一ケース部6Aの周縁部61Aは、第二ケース部7Aの周縁部71Aから離れる方向に延びている。また、第一ケース部6Aと第二ケース部7Aとの重ね合わせ部分25Aにおいて、第二ケース部7Aの周縁部71Aは、第一ケース部6Aの周縁部61Aから離れる方向に延びている。このため、重ね合わせ部分25Aにおける第一ケース部6Aと第二ケース部7Aとの間に間隙22Aが形成されている。
【0055】
シール部8Aは、第一ケース部6Aと第二ケース部7Aとの重ね合わせ部分25Aを覆うようように、第一ケース部6A及び第二ケース部7Aに接合されている。また、シール部8Aは、重ね合わせ部分25Aにおける第一ケース部6Aと第二ケース部7Aとの間に形成された間隙22Aに充填されている。
【0056】
このように、本実施形態の燃料分配管1Aでは、重ね合わせ部分25Aにおいて、第一ケース部6Aの周縁部61Aが第二ケース部7Aから離れる方向に延びている。このため、第一ケース部6Aがシール部8Aに引っ掛かることで、第一ケース部6Aと第二ケース部7Aとの重ね合わせ方向D1と直交する方向への、シール部8Aに対する第一ケース部6Aの抜けを抑制することができる。
【0057】
また、この燃料分配管1Aでは、重ね合わせ部分25Aにおける第一ケース部6Aと第二ケース部7Aとの間に形成された間隙22Aにシール部8Aが充填されている。これにより、第一ケース部6A及び第二ケース部7Aとシール部8Aとの接触面積が増大するため、第一ケース部6A及び第二ケース部7Aとシール部8Aとを更に強固に接合することができる。
【0058】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態について説明する。第三実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であり、第一ケース部、第二ケース部、及びシール部の形状が異なる点のみ、第一実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の説明を省略する。
【0059】
図10は、第三実施形態の燃料分配管の、
図5に対応する断面図である。
図10に示すように、第三実施形態の燃料分配管1Bは、第一実施形態の金属ケース2に対応する金属ケース2Bを備える。金属ケース2Bは、第一実施形態の第一ケース部6に対応する第一ケース部6Bと、第一実施形態の第二ケース部7に対応する第二ケース部7Bと、第一実施形態のシール部8に対応するシール部8Bと、を有する。
【0060】
第一ケース部6Bの周縁部61Bは、第二ケース部7Bの周縁部71Bに重ね合わされている。第一ケース部6Bと第二ケース部7Bとの重ね合わせ部分25Bでは、第一ケース部6Bの周縁部61Bが第二ケース部7Bの周縁部71Bの外側に配置されている。第一ケース部6Bと第二ケース部7Bとの重ね合わせ部分25Bにおいて、第一ケース部6Bの周縁部61Bは、第二ケース部7Bの周縁部71Bから離れる方向に屈曲している。このため、重ね合わせ部分25Bにおける第一ケース部6Bと第二ケース部7Bとの間に間隙22Bが形成されている。
【0061】
シール部8Bは、第一ケース部6Bと第二ケース部7Bとの重ね合わせ部分25Bを覆うようように、第一ケース部6B及び第二ケース部7Bに接合されている。また、シール部8Bは、重ね合わせ部分25Bにおける第一ケース部6Bと第二ケース部7Bとの間に形成された間隙22Bに充填されている。
【0062】
このように、本実施形態の燃料分配管1Bでは、重ね合わせ部分25Bにおいて、第一ケース部6Bの周縁部61Bが第二ケース部7Bから離れる方向に屈曲している。このため、第一ケース部6Bがシール部8Bに引っ掛かることで、第一ケース部6Bと第二ケース部7Bとの重ね合わせ方向D2と直交する方向への、シール部8Bに対する第一ケース部6Bの抜けを抑制することができる。
【0063】
また、この燃料分配管1Bでは、重ね合わせ部分25Bにおける第一ケース部6Bと第二ケース部7Bとの間に形成された間隙22Bにシール部8Bが充填されている。これにより、第一ケース部6B及び第二ケース部7Bとシール部8Bとの接触面積が増大するため、第一ケース部6B及び第二ケース部7Bとシール部8Bとを更に強固に接合することができる。
【0064】
[第四実施形態]
次に、第四実施形態について説明する。第四実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であり、金属ケースの形状が異なる点のみ、第一実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の説明を省略する。
【0065】
図11は、第四実施形態の燃料分配管の、
図7に対応する断面図である。
図12は、第四実施形態の燃料分配管の、
図8に対応する断面図である。
図11及び
図12に示すように、第四実施形態の燃料分配管1Cは、第一実施形態の金属ケース2に対応する金属ケース2Cを備える。金属ケース2Cは、第一実施形態の第一ケース部6に対応する第一ケース部6Cと、第一実施形態の第二ケース部7に対応する第二ケース部7Cと、第一実施形態のシール部8と同様のシール部(不図示)と、を有する。
【0066】
図11に示すように、第一ケース部6Cは、第一ケース本体64Cと、第一円筒部65Cと、を有する。第一ケース本体64Cは、第二ケース部7Cとともに貯留空間21を形成する。第一円筒部65Cは、インレット用開口26Cを形成する。インレット用開口26Cは、貯留空間21に連通されて、インレット3に接続される開口である。第一円筒部65Cは、第一ケース本体64Cに対して屈曲している。第一ケース本体64Cに対する第一円筒部65Cの屈曲方向は、特に限定されるものではない。例えば、第一円筒部65Cは、第一ケース本体64Cに対して貯留空間21の反対側(第一ケース本体64Cの外表面62C側)に屈曲していてもよく、第一ケース本体64Cに対して貯留空間21側(第一ケース本体64Cの内表面63C側)に屈曲していてもよい。本実施形態では、一例として、第一円筒部65Cは、第一ケース本体64Cに対して貯留空間21の反対側に屈曲している。そして、インレット3は、第一ケース本体64Cの一部及び第一円筒部65Cを覆うように、第一ケース部6Cに接合されている。
【0067】
図12に示すように、第二ケース部7Cは、第二ケース本体74Cと、第二円筒部75Cと、を有する。第二ケース本体74Cは、第一ケース部6Cとともに貯留空間21を形成する。第二円筒部75Cは、インジェクターカップ用開口27Cを形成する。インジェクターカップ用開口27Cは、貯留空間21に連通されて、インジェクターカップ4に接続される開口である。第二円筒部75Cは、第二ケース本体74Cに対して屈曲している。第二ケース本体74Cに対する第二円筒部75Cの屈曲方向は、特に限定されるものではない。例えば、第二円筒部75Cは、第二ケース本体74Cに対して貯留空間21の反対側(第二ケース本体74Cの外表面72C側)に屈曲していてもよく、第二ケース本体74Cに対して貯留空間21側(第二ケース本体74Cの内表面73C側)に屈曲していてもよい。本実施形態では、一例として、第二円筒部75Cは、第二ケース本体74Cに対して貯留空間21の反対側に屈曲している。そして、インジェクターカップ4は、第二ケース本体74Cの一部及び第二円筒部75Cを覆うように、第二ケース部7Cに接合されている。
【0068】
このように、本実施形態の燃料分配管1Cでは、第一ケース部6Cが、第一ケース本体64Cに対して屈曲する第一円筒部65Cを有し、インレット3が、第一ケース本体64Cの一部及び第一円筒部65Cを覆うように第一ケース部6Cに接合されている。このため、第一ケース部6Cに対するインレット3の抜けを抑制することができる。また、第一ケース部6Cとインレット3との接触面積が増大するため、第一ケース部6Cとインレット3とを更に強固に接合することができる。同様に、第二ケース部7Cが、第二ケース本体74Cに対して屈曲する第二円筒部75Cを有し、インジェクターカップ4が、第二ケース本体74Cの一部及び第二円筒部75Cを覆うように第二ケース部7Cに接合されている。このため、第二ケース部7Cに対するインジェクターカップ4の抜けを抑制することができる。また、第二ケース部7Cとインジェクターカップ4との接触面積が増大するため、第二ケース部7Cとインジェクターカップ4とを更に強固に接合することができる。
【0069】
ところで、燃料分配管1の製造時は、インレット3及びインジェクターカップ4の成形後の収縮により、インレット3及びインジェクターカップ4は第一ケース部6C及び第二ケース部7Cに押し付けられて第一ケース部6C及び第二ケース部7Cに密着する。この燃料分配管1Cでは、第一円筒部65Cが第一ケース本体64Cに対して屈曲しているため、インレット3の第一ケース部6Cに向かう収縮方向におけるインレット3の肉厚を積算した総肉厚を増加することができる。つまり、第一ケース部6Cに向かうインレット3の収縮量を増加することができる。このため、第一ケース部6Cに対するインレット3の密着性を更に向上することができる。同様に、第二円筒部75Cが第二ケース本体74Cに対して屈曲しているため、インジェクターカップ4の第二ケース部7Cに向かう収縮方向におけるインジェクターカップ4の肉厚を積算した総肉厚を増加することができる。つまり、第二ケース部7Cに向かうインジェクターカップ4の収縮量を増加することができる。このため、第二ケース部7Cに対するインジェクターカップ4の密着性を更に向上することができる。
【0070】
[第五実施形態]
次に、第五実施形態について説明する。第五実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であり、金属ケースの形状が異なる点のみ、第一実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の説明を省略する。
【0071】
図13は、第五実施形態の燃料分配管を示す正面図である。
図14は、
図13に示すXIV-XIV線における断面図である。
図13及び
図14に示すように、第五実施形態の燃料分配管1Dは、第一実施形態の金属ケース2に対応する金属ケース2Dを備える。
【0072】
金属ケース2Dは、燃料の脈動抑制効果を高める観点から、金属ケース2Dの延在方向(複数のインジェクターカップ4の配列方向)と直交する断面において、略L字状に形成されている。つまり、金属ケース2Dの内部に形成された貯留空間21Dが、当該断面において略L字状に形成されている。金属ケース2Dは、第一実施形態の第一ケース部6に対応する第一ケース部6Dと、第一実施形態の第二ケース部7と同様の第二ケース部7Dと、第一実施形態のシール部8と同様のシール部8Dと、を有する。そして、第一ケース部6が、金属ケース2Dの延在方向と直交する断面において、略L字状に形成されている。
【0073】
このように、金属ケース2の形状が第一実施形態と異なっていても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0074】
[第六実施形態]
次に、第六実施形態について説明する。第六実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であり、金属ケース、インジェクターカップ、及びブラケットの形状が異なる点のみ、第一実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の説明を省略する。
【0075】
図15は、第六実施形態の燃料分配管を示す正面図である。
図16は、第六実施形態の燃料分配管を示す底面図である。
図17は、
図15に示すXVII-XVII線における断面図である。
図15~
図17に示すように、第六実施形態の燃料分配管1Eは、第一実施形態の金属ケース2に対応する金属ケース2Eと、第一実施形態と同様のインレット3と、樹脂部である一体形成部9Eと、を備える。
【0076】
金属ケース2Eは、第一実施形態の第一ケース部6に対応する第一ケース部6Eと、第一実施形態の第二ケース部7に対応する第二ケース部7Eと、第一実施形態のシール部8に対応するシール部8Eと、を有する。
【0077】
第一ケース部6Eには、貯留空間21に連通されたインレット用開口(不図示)が形成されており、第二ケース部7Eには、貯留空間21に連通された複数のインジェクターカップ用開口27Eが形成されている。第一ケース部6Eは、貯留空間21とは反対側に延びる第一フランジ部66Eを有する。第一フランジ部66Eは、第一ケース部6Eの周縁部を形成している。第二ケース部7Eは、貯留空間21とは反対側に延びる第二フランジ部76Eを有する。第二フランジ部76Eは、第二ケース部7Eの周縁部を形成している。第二フランジ部76Eは、第一フランジ部66Eと重ね合わされている。つまり、第一ケース部6Eと第二ケース部7Eとは、第一フランジ部66Eと第二フランジ部76Eとにおいて、互いに重ね合わされている。
【0078】
シール部8Eは、第一フランジ部66Eの少なくとも一部及び第二フランジ部76Eの少なくとも一部を覆うように、第一ケース部6E及び第二ケース部7Eに接合されている。本実施形態では、一例として、第一フランジ部66E及び第二フランジ部76Eの全体を覆うように、第一ケース部6E及び第二ケース部7Eに接合されている。
【0079】
インレット3は、インレット用開口(不図示)に隣接する第一ケース部6Eの一部を覆うように第一ケース部6Eに接合されている。
【0080】
一体形成部9Eは、第二ケース部7Eの一部を覆うように第二ケース部7Eに接合されている。一体形成部9Eは、第一実施形態の複数のインジェクターカップ4に対応する複数のインジェクターカップ4Eと、第一実施形態の複数のブラケット5に対応する複数のブラケット5Eと、を有する。つまり、複数のインジェクターカップ4E及び複数のブラケット5Eは、一体形成部9Eとして一体成形されている。複数のインジェクターカップ4Eのそれぞれは、インジェクターカップ用開口27Eに隣接する第二ケース部7Eの一部を覆うように第二ケース部7Eに接合されている。複数のインジェクターカップ4Eのそれぞれには、インジェクターカップ用開口27Eに連通される流路41Eが形成されている。複数のブラケット5Eのそれぞれは、第二ケース部7Eの外表面の一部を覆うように第二ケース部7Eに接合されている。
【0081】
このように、本実施形態の燃料分配管1Eでは、貯留空間21とは反対側に延びる第一ケース部6Eの第一フランジ部66Eと貯留空間21とは反対側に延びる第二ケース部7Eの第二フランジ部76Eとが重ね合わされており、シール部8Eが、第一フランジ部66Eの少なくとも一部及び第二フランジ部76Eの少なくとも一部を覆うように第一ケース部6E及び第二ケース部7Eに接合されている。つまり、シール部8Eは、第一フランジ部66Eと第二フランジ部76Eとを挟み込むように、第一ケース部6E及び第二ケース部7Eに接合されている。このため、第一フランジ部66Eと第二フランジ部76Eとの重ね合わせ方向D3において、シール部8Eにより第一ケース部6Eと第二ケース部7Eとを更に強固に接続することができる。
【0082】
また、この燃料分配管1Eでは、複数のインジェクターカップ4Eと複数のブラケット5Eとが一体形成部9Eとして一体成形されており、一体形成部9Eが第二ケース部7Eの一部を覆うように第二ケース部7Eに接合されている。このため、複数のインジェクターカップ4E及び複数のブラケット5Eが互いに分離されている場合に比べて、複数のインジェクターカップ4E及び複数のブラケット5Eと第二ケース部7Eとの接合面積を増大させることができるとともに、複数のインジェクターカップ4E及び複数のブラケット5Eと第二ケース部7Eとの接合構造を複雑化することができる。これにより、第二ケース部7Eに対する複数のインジェクターカップ4E及び複数のブラケット5Eの接合強度を高くすることができる。
【0083】
[第七実施形態]
次に、第七実施形態について説明する。第七実施形態は、基本的に第六実施形態と同様であり、第一ケース部、第二ケース部、及びシール部の形状が異なる点のみ、第六実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第六実施形態と相違する事項のみを説明し、第六実施形態と同様の説明を省略する。
【0084】
図18は、第七実施形態の燃料分配管の、
図17に対応する断面図である。
図18に示すように、第七実施形態の燃料分配管1Fは、第六実施形態の金属ケース2Eに対応する金属ケース2Fを備える。金属ケース2Fは、第六実施形態の第一ケース部6Eに対応する第一ケース部6Fと、第六実施形態の第二ケース部7Eに対応する第二ケース部7Fと、第六実施形態のシール部8Eに対応するシール部8Fと、を有する。
【0085】
第一ケース部6Fは、第六実施形態の第一フランジ部66Eに対応する第一フランジ部66Fを有する。第二ケース部7Fは、第六実施形態の第二フランジ部76Eに対応する第二フランジ部76Fを有する。第一フランジ部66F及び第二フランジ部76Fは、貯留空間21とは反対側に延びて、互いに重ね合わされている。そして、第一フランジ部66F及び第二フランジ部76Fは、互いに離間する方向に屈曲している。つまり、第一フランジ部66Fは、第二フランジ部76Fと重ね合わされているとともに、第二フランジ部76Fから離れる方向に屈曲されている。また、第二フランジ部76Fは、第一フランジ部66Fと重ね合わされているとともに、第一フランジ部66Fから離れる方向に屈曲している。このため、第一フランジ部66Fと第二フランジ部76Fとの間に間隙22Fが形成されている。
【0086】
シール部8Fは、第一フランジ部66Fの少なくとも一部及び第二フランジ部76Fの少なくとも一部を覆うように、第一ケース部6F及び第二ケース部7Fに接合されている。本実施形態では、一例として、第一フランジ部66F及び第二フランジ部76Fの全体を覆うように、第一ケース部6F及び第二ケース部7Fに接合されている。また、シール部8Fは、第一フランジ部66Fと第二フランジ部76Fとの間に形成された間隙22Fに充填されている。
【0087】
このように、本実施形態の燃料分配管1Fでは、第一フランジ部66F及び第二フランジ部76Fが、互いに離間する方向に屈曲している。このため、第一フランジ部66F及び第二フランジ部76Fがシール部8Fに引っ掛かることで、第一フランジ部66Fと第二フランジ部76Fとの重ね合わせ方向D4と直交する方向への、シール部8Bに対する第一ケース部6Bの抜けを抑制することができる。
【0088】
また、この燃料分配管1Fでは、第一フランジ部66Fと第二フランジ部76Fとの間に形成された間隙22Fにシール部8Fが充填されている。これにより、第一ケース部6F及び第二ケース部7Fとシール部8Fとの接触面積が増大するため、第一ケース部6F及び第二ケース部7Fとシール部8Fとを更に強固に接合することができる。
【0089】
[第八実施形態]
次に、第八実施形態について説明する。第八実施形態は、基本的に第六実施形態と同様であり、第一ケース部、第二ケース部、及びシール部の形状が異なる点のみ、第六実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第六実施形態と相違する事項のみを説明し、第六実施形態と同様の説明を省略する。
【0090】
図19は、第八実施形態の燃料分配管を示す平面図である。
図20は、
図19に示すXX-XX線における断面図である。
図19及び
図20に示すように、第八実施形態の燃料分配管1Gは、第六実施形態の金属ケース2Eに対応する金属ケース2Gを備える。金属ケース2Gは、第六実施形態の第一ケース部6Eに対応する第一ケース部6Gと、第六実施形態の第二ケース部7Eに対応する第二ケース部7Gと、第六実施形態のシール部8Eに対応するシール部8Gと、を有する。
【0091】
第一ケース部6Gは、第六実施形態の第一フランジ部66Eに対応する第一フランジ部66Gを有する。第二ケース部7Gは、第六実施形態の第二フランジ部76Eに対応する第二フランジ部76Gを有する。第一フランジ部66G及び第二フランジ部76Gは、貯留空間21とは反対側に延びて、互いに重ね合わされている。そして、第一フランジ部66G及び第二フランジ部76Gには、第一フランジ部66G及び第二フランジ部76Gを貫通する複数の穴28Gが形成されている。複数の穴28Gのそれぞれは、第一フランジ部66Gに形成された第一穴67Gと、第二フランジ部76Gに形成された第二穴77Gと、により形成されている。穴28Gの数は特に限定されるものではなく、例えば一つであってもよい。
【0092】
シール部8Gは、第一フランジ部66Gの少なくとも一部及び第二フランジ部76Gの少なくとも一部を覆うように、第一ケース部6G及び第二ケース部7Gに接合されている。本実施形態では、一例として、第一フランジ部66G及び第二フランジ部76Gの全体を覆うように、第一ケース部6G及び第二ケース部7Gに接合されている。また、シール部8Gは、第一フランジ部66G及び第二フランジ部76Gを貫通する複数の穴28Gのそれぞれに充填されている。
【0093】
このように、本実施形態の燃料分配管1Gでは、第一フランジ部66G及び第二フランジ部76Gを貫通する複数の穴28Gのそれぞれにシール部8Gが充填されている。つまり、シール部8Gは、第一フランジ部66G及び第二フランジ部76Gにおいて、第一ケース部6Gと第二ケース部7Gとを挟み込むとともに、第一ケース部6Gと第二ケース部7Gとの重ね合わせ方向D5と直交する方向への第一ケース部6G及び第二ケース部7Gの相対移動を阻害するように、第一ケース部6G及び第二ケース部7Gに接合されている。このため、シール部8Gにより第一ケース部6Gと第二ケース部7Gとを更に強固に接続することができる。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用してもよい。
【0095】
例えば、上記の実施形態では、シール部、インレット、インジェクターカップ、及びブラケットが樹脂部であるものとして説明した。しかしながら、インレット、インジェクターカップ、及びブラケットのうちの一部は、金属部であってもよい。これらのうちの一部が金属部である場合でも、全ての部材がろう付けされる金属製の燃料分配管に比べて、ろう付け箇所が少なくなるため、製造時の二酸化炭素の発生を抑制することができる。また、これら以外の部分が樹脂部であってもよい。例えば、燃料分配管が、貯留空間に貯留されている燃料の圧力を検出する燃料圧力センサを接続するためのセンサ接続部を備える場合、センサ接続部が樹脂部であってもよい。
【0096】
また、例えば、上記の実施形態では、金属ケースは、金属部である第一ケース部及び第二ケース部と、樹脂部であるシール部と、を備えるものとして説明した。しかしながら、金属ケースは、樹脂部であるシール部を備えずに、第一ケース部と第二ケース部とが一体となった金属部のみを備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0097】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G…燃料分配管、2,2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G…金属ケース、3…インレット、4,4E…インジェクターカップ、5,5E…ブラケット、6,6A,6B,6C,6D,6E,6F,6G…第一ケース部、7,7A,7B,7C,7D,7E,7F,7G…第二ケース部、8,8A,8B,8D,8E,8F,8G…シール部、9E…一体形成部、21,21D…貯留空間、22A,22B,22F…間隙、25,25A,25B…重ね合わせ部分、26,26C…インレット用開口、27,27C,27E…インジェクターカップ用開口、28G…穴、31…流路、32…外表面部、33…内表面部、34…接続部、41,41E…流路、42…外表面部、43…内表面部、44…接続部、61,61A,61B…周縁部、62,62C…外表面、63,63C…内表面、64C…第一ケース本体、65C…第一円筒部、66E,66F,66G…第一フランジ部、67G…第一穴、71,71A,71B…周縁部、72,72C…外表面、73,73C…内表面、74C…第二ケース本体、75C…第二円筒部、76E,76F,76G…第二フランジ部、77G…第二穴、D1,D2,D3,D4,D5…重ね合わせ方向。