(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042280
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】端末位置特定システム、端末位置特定方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 7/06 20060101AFI20230317BHJP
G01S 5/02 20100101ALI20230317BHJP
【FI】
H04B7/06 040
G01S5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149501
(22)【出願日】2021-09-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日 令和3年8月23日 ウェブサイトのアドレス https://www.ieice.org/ken/paper/20211021HCfP/ ウェブサイトの掲載日 令和3年8月31日 https://www.ieice-taikai.jp/2021society/jpn/webpro/_html/cs.html https://www.ieice-taikai.jp/2021society/jpn/program.html
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124800
【弁理士】
【氏名又は名称】諏澤 勇司
(74)【代理人】
【識別番号】100206966
【弁理士】
【氏名又は名称】崎山 翔一
(72)【発明者】
【氏名】大槻 知明
(72)【発明者】
【氏名】モンデル ボアジジ
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062CC18
(57)【要約】
【課題】端末の位置の特定精度が容易に向上され得る端末位置特定システムを提供する。
【解決手段】端末位置特定システム1は、情報取得部11と、格納部12と、位置情報演算部14と、を備えている。情報取得部11は、端末データマップに関するマップ情報を取得する。端末データマップは、端末Tにおけるビーム信号の受信強度に関する受信強度情報をビーム信号の種別ごとに示している。格納部12は、位置推定モデルを格納している。位置推定モデルは、マップ情報と端末Tの位置に関する位置情報とを関連付けている。位置情報演算部14は、情報取得部11によって取得されたマップ情報と位置推定モデルとに基づいて、位置情報を演算する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信端末におけるビーム信号の受信強度に関する受信強度情報を前記ビーム信号の種別ごとに示す端末データマップに関するマップ情報を取得する情報取得部と、
前記マップ情報と前記移動通信端末の位置に関する位置情報とを関連付けている位置推定モデルを格納している格納部と、
前記情報取得部によって取得された前記マップ情報と前記位置推定モデルとに基づいて、前記位置情報を演算する位置情報演算部と、を備えている、端末位置特定システム。
【請求項2】
前記情報取得部は、複数の前記移動通信端末のそれぞれに対応する複数の前記端末データマップの差分を示す差分情報を前記マップ情報として取得し、
前記位置推定モデルは、前記差分情報と当該差分情報に対応する前記複数の移動通信端末の相対位置に関する相対位置情報とを関連付けており、
前記位置情報演算部は、前記差分情報と前記位置推定モデルとに基づいて、前記相対位置情報を演算する、請求項1に記載の端末位置特定システム。
【請求項3】
前記情報取得部は、
前記複数の移動通信端末のうち第1移動通信端末の前記端末データマップと、前記複数の移動通信端末のうち第2移動通信端末の前記端末データマップとを取得するデータマップ取得部と、
前記第1移動通信端末の前記端末データマップと前記第2移動通信端末の前記端末データマップとの差分を前記差分情報として演算する差分情報演算部と、を含んでいる、請求項2に記載の端末位置特定システム。
【請求項4】
前記情報取得部は、複数の前記移動通信端末のうち第1移動通信端末の前記端末データマップと、前記複数の移動通信端末のうち第2移動通信端末の前記端末データマップとの各々を、前記マップ情報として取得するデータマップ取得部を含んでおり、
前記位置推定モデルは、前記端末データマップと前記移動通信端末の前記位置情報とを関連付けており、
前記位置情報演算部は、
前記第1移動通信端末の前記端末データマップと前記位置推定モデルとに基づいて、前記第1移動通信端末の前記位置情報を演算し、かつ、前記第2移動通信端末の前記端末データマップと前記位置推定モデルとに基づいて、前記第2移動通信端末の前記位置情報を演算する端末位置演算部と、
前記端末位置演算部によって演算された前記第1移動通信端末の前記位置情報と前記第2移動通信端末の前記位置情報とに基づいて、前記第1移動通信端末と前記第2移動通信端末との相対位置に関する相対位置情報を演算する相対位置演算部と、を含んでいる、請求項1に記載の端末位置特定システム。
【請求項5】
前記相対位置情報は、前記複数の移動通信端末の間の相対距離を含んでいる、請求項2から4のいずれか一項に記載の端末位置特定システム。
【請求項6】
基地局から送信される複数の前記ビーム信号の種別ごとに前記移動通信端末における前記受信強度情報を示す第1データマップに基づいて、超解像技術によって、前記第1データマップの解像度よりも高い解像度を有している第2データマップを演算する超解像部をさらに備え、
前記端末データマップは、前記超解像部によって演算された前記第2データマップである、請求項1から5のいずれか一項に記載の端末位置特定システム。
【請求項7】
前記ビーム信号の種別は、基地局から前記ビーム信号が送信される方位を含んでいる、請求項1から6のいずれか一項に記載の端末位置特定システム。
【請求項8】
前記端末データマップは、互いに異なる前記ビーム信号の種別に対応する複数の画素を含んでいると共に、各前記画素おいて、前記画素に対応する種別の前記ビーム信号の前記受信強度情報を示す画像を含んでいる、請求項1から7のいずれか一項に記載の端末位置特定システム。
【請求項9】
前記位置推定モデルは、複数の学習用の前記端末データマップに関する複数の学習用の前記マップ情報と、各前記学習用のマップ情報に対応する前記移動通信端末の位置に関する学習用位置情報とを用いて学習され、かつ、前記マップ情報の入力に応じて前記位置情報を出力する、モデルを含んでおり、
前記複数の学習用の端末データマップは、互いに異なる位置に存在する前記移動通信端末に対応している、請求項1から8のいずれか一項に記載の端末位置特定システム。
【請求項10】
複数の学習用の前記端末データマップに関する複数の学習用の前記マップ情報と、各前記学習用のマップ情報に対応する前記移動通信端末の位置に関する学習用位置情報とを用いた学習によって、前記マップ情報の入力に応じて前記位置情報を出力するモデルを前記位置推定モデルとして作成するモデル作成部をさらに備え、
前記複数の学習用の端末データマップは、互いに異なる位置に存在する前記移動通信端末に対応しており、
前記複数の学習用のマップ情報は、前記情報取得部によって取得された前記マップ情報を含んでおり、
前記格納部は、前記モデル作成部によって作成された前記モデルを格納する、請求項1から9のいずれか一項に記載の端末位置特定システム。
【請求項11】
移動通信端末におけるビーム信号の受信強度に関する受信強度情報を前記ビーム信号の種別ごとに示す端末データマップに関するマップ情報を取得することと、
前記マップ情報と前記移動通信端末の位置に関する位置情報とを関連付けている位置推定モデルを取得することと、
取得された前記マップ情報と取得された前記位置推定モデルとに基づいて、前記位置情報を演算することと、を含んでいる、端末位置特定方法。
【請求項12】
互いに異なる位置に存在する複数の前記移動通信端末に対応している複数の学習用の前記マップ情報を取得することと、
前記複数の学習用のマップ情報にそれぞれ対応する複数の前記移動通信端末の位置に関する複数の学習用位置情報を取得することと、
前記複数の学習用のマップ情報と前記複数の学習用位置情報とを用いた学習によって、前記マップ情報の入力に応じて前記位置情報を出力するモデルを前記位置推定モデルとして作成することと、をさらに含んでいる、
請求項11に記載の端末位置特定方法。
【請求項13】
各々が、複数の前記移動通信端末のそれぞれに対応する複数の学習用の前記端末データマップの差分を示す複数の学習用差分情報を取得することと、
各前記学習用差分情報に対応する前記複数の移動通信端末の相対位置に関する学習用相対位置情報を取得することと、
前記複数の学習用差分情報と前記各学習用差分情報に対応する前記複数の移動通信端末の相対位置に関する前記学習用相対位置情報とを用いた学習によって、複数の前記移動通信端末のそれぞれに対応する複数の前記端末データマップの差分を示す差分情報の入力に応じて、当該差分情報に対応する前記複数の移動通信端末の相違位置情報を出力するモデルを前記位置推定モデルとして作成することと、をさらに含んでいる、請求項11に記載の端末位置特定方法。
【請求項14】
前記マップ情報の取得において、複数の前記移動通信端末のそれぞれに対応する複数の前記端末データマップの差分を示す差分情報が前記マップ情報として取得され、
前記位置推定モデルは、前記差分情報と前記複数の移動通信端末の相対位置に関する相対位置情報とを関連付けており、
前記位置情報の演算において、前記差分情報と前記位置推定モデルとに基づいて、前記相対位置情報が演算される、請求項11又は13に記載の端末位置特定方法。
【請求項15】
複数の前記移動通信端末に対して複数の学習用の前記端末データマップをそれぞれ取得することと、
各前記学習用の端末データマップに対応する前記移動通信端末の位置に関する学習用位置情報を取得することと、
前記複数の学習用の端末データマップと前記各学習用の端末データマップに対応する前記移動通信端末の位置に関する前記学習用位置情報とを用いた学習によって、前記端末データマップの入力に応じて当該端末データマップに対応する前記移動通信端末の前記位置情報を出力するモデルを前記位置推定モデルとして作成することと、をさらに含んでいる、請求項11に記載の端末位置特定方法。
【請求項16】
前記マップ情報の取得において、複数の前記移動通信端末のうち第1移動通信端末に対応する前記端末データマップと、前記複数の移動通信端末のうち第2移動通信端末に対応する前記端末データマップとの各々が前記マップ情報として取得され、
前記位置推定モデルは、前記端末データマップと前記移動通信端末の位置に関する位置情報とを関連付けており、
前記位置情報の演算において、
前記第1移動通信端末の前記端末データマップと前記位置推定モデルとに基づいて、前記第1移動通信端末の位置に関する前記位置情報が演算され、
前記第2移動通信端末の前記端末データマップと前記位置推定モデルとに基づいて、前記第2移動通信端末の位置に関する前記位置情報が演算され、
演算された前記第1移動通信端末の前記位置情報と演算された前記第2移動通信端末の前記位置情報とに基づいて、前記第1移動通信端末と前記第2移動通信端末との相対位置に関する相対位置情報が演算される、請求項11又は15に記載の端末位置特定方法。
【請求項17】
基地局から送信される複数のビーム信号の種別ごとに前記移動通信端末における受信強度情報を示す第1データマップに基づいて、超解像技術によって、前記第1データマップの解像度よりも高い解像度を有している第2データマップを演算すること、をさらに含んでおり、
前記端末データマップは、演算された前記第2データマップである、請求項11から16のいずれか一項に記載の端末位置特定方法。
【請求項18】
前記基地局から送信された複数のビーム信号の種別ごとに前記移動通信端末における受信強度情報を示す複数の学習用のデータマップグループを取得することと、
前記複数の学習用のデータマップグループを用いた学習によって、前記第1データマップの入力に応じて前記第2データマップを出力する超解像モデルを作成することと、をさらに含んでおり、
前記複数の学習用のデータマップグループの各々は、互いに同一の位置に存在している前記移動通信端末における受信強度情報を示す、学習用の前記第1データマップと学習用の前記第2データマップとを含んでおり、
前記第2データマップの演算において、前記第1データマップと前記超解像モデルとに基づいて、前記第2データマップが演算される、請求項17に記載の端末位置特定方法。
【請求項19】
基地局から送信される複数のビーム信号の種別ごとに移動通信端末における受信強度情報を示す端末データマップに関するマップ情報と、前記マップ情報と前記移動通信端末の位置に関する位置情報とを関連付けている位置推定モデルと、に基づいて、前記位置情報を演算することをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末位置特定システム、端末位置特定方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
端末の位置を特定する種々の技術が知られている(例えば、非特許文献1)。非特許文献1には、基地局と端末との通信による情報に基づいて、端末の位置を特定することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】F.Hejazi,K. Vuckovic, and N. Rahnavard, “DyLoc: Dynamic Localization for Massive MIMOUsing Predictive Recurrent Neural Networks,” in arXiv preprintarXiv:2101.07848.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端末の位置の特定精度を向上するための技術が検討されている。端末は、例えば、携帯電話などの移動通信端末である。端末の位置が特定されれば、例えば、端末の所有者の位置を特定することができる。例えば非特許文献1には、ToA(Time of Arrival)及びAOA(Angle of Arrival)技術などによって、端末の位置を特定することが記載されている。しかし、この技術では、環境に応じて特定された端末の位置についてメートル単位の誤差がしばしば生じる。
【0005】
複数の端末の位置の特定によって、端末間の相対位置情報も特定され得る。端末の位置の特定精度が向上されれば、端末の所有者間の接触も判定され得る。この場合、例えば、ウィルス保有者との接触も判定され得る。
【0006】
このような端末間の相対位置情報の特定において要求される位置の特定精度を満たすためには、上述したような従来技術では、多数の基地局による情報の取得、及び、高度な演算処理が要される。Bluetooth(登録商標)又はWiFi(登録商標)を用いた端末間の相対位置の特定技術も知られているが、これらの技術においても要求を満たす精度が得られ難い。Bluetooth及びWiFiの通信範囲は比較的狭く、比較的近くに位置する端末のみが特定の対象となる。また、Bluetooth又はWiFiを用いる場合には、端末へのソフトウェアのインストール、及び、Bluetooth又はWiFiの動作を端末上において有効にする操作を要する。
【0007】
本発明の一つの態様は、端末の位置の特定精度が容易に向上され得る端末位置特定システムを提供することを目的とする。本発明の別の態様は、端末の位置の特定精度が容易に向上され得る端末位置特定方法を提供することを目的とする。本発明のさらに別の態様は、端末の位置の特定精度が容易に向上され得るプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様における端末位置特定システムは、情報取得部と、格納部と、位置情報演算部と、を備えている。情報取得部は、端末データマップに関するマップ情報を取得する。端末データマップは、移動通信端末におけるビーム信号の受信強度に関する受信強度情報を前記ビーム信号の種別ごとに示している。格納部は、位置推定モデルを格納している。位置推定モデルは、マップ情報と移動通信端末の位置に関する位置情報とを関連付けている。位置情報演算部は、情報取得部によって取得されたマップ情報と位置推定モデルとに基づいて、位置情報を演算する。
【0009】
上記一つの態様において、位置情報演算部は、上記端末データマップに関するマップ情報と位置推定モデルとに基づいて、移動通信端末の位置情報を演算する。端末データマップは、移動通信端末におけるビーム信号の受信強度に関する受信強度情報を前記ビーム信号の種別ごとに示している。本願発明者は、基地局から送信される複数のビーム信号と受信強度情報との組み合わせは、移動通信端末の位置情報に関係する情報を豊富に含んでいることを見出した。この端末位置特定システムによれば、端末の位置の特定精度が容易に向上され得る。
【0010】
上記一つの態様において、情報取得部は、差分情報をマップ情報として取得してもよい。差分情報は、複数の移動通信端末のそれぞれ対応する複数の端末データマップの差分を示している。位置推定モデルは、差分情報と当該差分情報に対応する複数の移動通信端末の相対位置に関する相対位置情報とを関連付けていてもよい。位置情報演算部は、差分情報と位置推定モデルとに基づいて、相対位置情報を演算してもよい。この場合、相対位置情報は、個々の移動通信端末の位置情報を求めることなく、複数の端末データマップの差分を示す差分情報と位置推定モデルとに基づいて演算される。このため、環境の変化によるロバスト性が向上し得る。したがって、移動通信端末間の相対位置情報が容易かつ高精度に演算され得る。
【0011】
上記一つの態様において、情報取得部は、データマップ取得部と、差分情報演算部とを含んでいてもよい。データマップ取得部は、複数の移動通信端末のうち第1移動通信端末の端末データマップと、複数の移動通信端末のうち第2移動通信端末の端末データマップとを取得してもよい。差分情報演算部は、第1移動通信端末の端末データマップと第2移動通信端末の端末データマップとの差分を上記差分情報として演算する。この場合、第1移動通信端末と第2移動通信端末との間の相対位置情報がより容易に演算され得る。
【0012】
上記一つの態様において、情報取得部は、データマップ取得部を含んでいてもよい。データマップ取得部は、複数の移動通信端末のうち第1移動通信端末の端末データマップと、複数の移動通信端末のうち第2移動通信端末の端末データマップとの各々を、マップ情報として取得してもよい。位置推定モデルは、端末データマップと移動通信端末の位置情報とを関連付けていてもよい。位置情報演算部は、端末位置演算部と、相対位置演算部とを含んでいてもよい。端末位置演算部は、第1移動通信端末の端末データマップと位置推定モデルとに基づいて、第1移動通信端末の位置情報を演算してもよい。端末位置演算部は、第2移動通信端末の端末データマップと位置推定モデルとに基づいて、第2移動通信端末の位置情報を演算してもよい。相対位置演算部は、端末位置演算部によって演算された第1移動通信端末の位置情報と第2移動通信端末の位置情報とに基づいて、第1移動通信端末と第2移動通信端末との相対位置に関する相対位置情報を演算してもよい。この場合、移動通信端末間の相対位置情報が容易かつ高精度に演算され得る。
【0013】
上記一つの態様において、相対位置情報は、複数の移動通信端末の間の相対距離を含んでいてもよい。
【0014】
上記一つの態様において、端末位置特定システムは、超解像部をさらに備えていてもよい。超解像部は、基地局から送信される複数のビーム信号の種別ごとに移動通信端末における受信強度情報を示す第1データマップに基づいて、超解像技術によって、第1データマップの解像度よりも高い解像度を有している第2データマップを演算してもよい。端末データマップは、超解像部によって演算された第2データマップである。基地局から送信される複数のビーム信号の種別が少なかったとしても、より多くの情報に基づいて移動通信端末の位置情報が演算され得る。移動通信端末の位置情報の特定において、ロバスト性が向上する。複数のビーム信号の種別ごとの受信強度情報の取得において、オーバーヘッドも削減され得る。したがって、移動通信端末間の位置情報がより容易かつ高精度に演算され得る。
【0015】
上記一つの態様において、ビーム信号の種別は、基地局からビーム信号が送信される方位を含んでいてもよい。この場合、端末データマップは、互いに異なる方位に送信された複数のビーム信号の各々に対する受信強度情報を示している。このため、移動通信端末の位置情報の特定において、ロバスト性が向上する。したがって、移動通信端末間の位置情報がより容易かつ高精度に演算され得る。
【0016】
上記一つの態様において、端末データマップは、互いに異なるビーム信号の種別に対応する複数の画素を含んでいてもよい。端末データマップは、各画素おいて、画素に対応する種別のビーム信号の受信強度情報を示す画像を含んでいてもよい。この場合、ビーム信号の種別ごとの受信強度情報が視覚的に識別され得る。位置推定モデルとして、画像に関するアーキテクチャを有するモデルが用いられ得る。
【0017】
上記一つの態様において、位置推定モデルは、複数の学習用の端末データマップに関する複数の学習用のマップ情報と、各学習用のマップ情報に対応する移動通信端末の位置に関する学習用位置情報とを用いて学習され、かつ、マップ情報の入力に応じて位置情報を出力する、モデルを含んでいてもよい。複数の学習用の端末データマップは、互いに異なる位置に存在する移動通信端末に対応していてもよい。この場合、マップ情報に含まれる多くの情報が考慮され、移動通信端末の位置情報の特定において、演算負荷が抑制されながらロバスト性が確保され得る。したがって、移動通信端末間の位置情報がより高精度に演算され得る。
【0018】
上記一つの態様において、端末位置特定システムは、モデル作成部をさらに備えていてもよい。モデル作成部は、複数の学習用の端末データマップに関する複数の学習用のマップ情報と、各学習用のマップ情報に対応する移動通信端末の位置に関する学習用位置情報とを用いた学習によって、マップ情報の入力に応じて位置情報を出力するモデルを位置推定モデルとして作成してもよい。複数の学習用の端末データマップは、互いに異なる位置に存在する移動通信端末に対応していてもよい。複数の学習用のマップ情報は、情報取得部によって取得された上記マップ情報を含んでいてもよい。格納部は、モデル作成部によって作成された上記モデルを格納してもよい。この場合、マップ情報に含まれる多くの情報が考慮され、移動通信端末の位置情報の特定において、演算負荷が抑制されながらロバスト性が確保され得る。したがって、移動通信端末間の位置情報がより高精度に演算され得る。
【0019】
本発明の別の態様における端末位置特定方法は、マップ情報を取得することと、位置推定モデルを取得することと、位置情報を演算することと、を含んでいる。マップ情報の取得において、移動通信端末におけるビーム信号の受信強度に関する受信強度情報をビーム信号の種別ごとに示す端末データマップに関するマップ情報が取得される。位置推定モデルの取得において、マップ情報と移動通信端末の位置に関する位置情報とを関連付けている位置推定モデルを取得する。位置情報の演算において、取得されたマップ情報と取得された位置推定モデルとに基づいて、位置情報を演算することと、を含んでいる。
【0020】
上記別の態様において、上記端末データマップに関するマップ情報と位置推定モデルとに基づいて、移動通信端末の位置情報が演算されている。端末データマップは、移動通信端末におけるビーム信号の受信強度に関する受信強度情報をビーム信号の種別ごとに示している。この端末位置特定方法によれば、端末の位置の特定精度が容易に向上され得る。
【0021】
上記別の態様において、端末位置特定方法は、複数の学習用のマップ情報を取得することと、複数の学習用位置情報を取得することと、モデルを作成することとをさらに含んでいてもよい。複数の学習用のマップ情報は、互いに異なる位置に存在する複数の移動通信端末に対応していてもよい。複数の学習用位置情報は、複数の学習用のマップ情報にそれぞれ対応する複数の移動通信端末の位置に関していてもよい。モデルの作成において、複数の学習用のマップ情報と複数の学習用位置情報とを用いた学習によって、マップ情報の入力に応じて位置情報を出力するモデルが位置推定モデルとして作成されてもよい。この場合、マップ情報に含まれる多くの情報が考慮され、移動通信端末の位置情報の特定において、演算負荷が抑制されながらロバスト性が確保され得る。したがって、移動通信端末間の位置情報がより高精度に演算され得る。
【0022】
上記別の態様において、端末位置特定方法は、複数の学習用差分情報を取得することと、学習用相対位置情報を取得することと、モデルを作成することとをさらに含んでいてもよい。複数の学習用差分情報の各々は、複数の移動通信端末のそれぞれに対応する複数の学習用の端末データマップの差分を示していてもよい。学習用相対位置情報は、各学習用差分情報に対応する複数の移動通信端末の相対位置に関していてもよい。複数の学習用差分情報と各学習用差分情報に対応する複数の移動通信端末の相対位置に関する学習用相対位置情報とを用いた学習によって、複数の移動通信端末のそれぞれに対応する複数の端末データマップの差分を示す差分情報の入力に応じて、当該差分情報に対応する複数の移動通信端末の相違位置情報を出力するモデルが位置推定モデルとして作成されてもよい。この場合、移動通信端末間の相対位置情報が容易かつ高精度に演算され得る。
【0023】
上記別の態様において、マップ情報の取得において、複数の移動通信端末のそれぞれに対応する複数の端末データマップの差分を示す差分情報がマップ情報として取得されてもよい。位置推定モデルは、差分情報と複数の移動通信端末の相対位置に関する相対位置情報とを関連付けていてもよい。位置情報の演算において、差分情報と位置推定モデルとに基づいて、相対位置情報が演算されてもよい。この場合、移動通信端末間の相対位置情報が容易かつ高精度に演算され得る。
【0024】
上記別の態様において、端末位置特定方法は、複数の移動通信端末に対して複数の学習用の端末データマップをそれぞれ取得することと、各学習用の端末データマップに対応する移動通信端末の位置に関する学習用位置情報を取得することと、複数の学習用の端末データマップと各学習用の端末データマップに対応する移動通信端末の位置に関する学習用位置情報とを用いた学習によって、端末データマップの入力に応じて当該端末データマップに対応する移動通信端末の位置情報を出力するモデルを位置推定モデルとして作成することと、をさらに含んでいてもよい。この場合、移動通信端末間の相対位置情報が容易かつ高精度に演算され得る。
【0025】
上記別の態様において、マップ情報の取得において、複数の移動通信端末のうち第1移動通信端末に対応する端末データマップと、複数の移動通信端末のうち第2移動通信端末に対応する端末データマップとの各々がマップ情報として取得されてもよい。位置推定モデルは、端末データマップと移動通信端末の位置に関する位置情報とを関連付けていてもよい。位置情報の演算において、第1移動通信端末の端末データマップと位置推定モデルとに基づいて、第1移動通信端末の位置に関する位置情報が演算されてもよい。第2移動通信端末の端末データマップと位置推定モデルとに基づいて、第2移動通信端末の位置に関する位置情報が演算されてもよい。演算された第1移動通信端末の位置情報と演算された第2移動通信端末の位置情報とに基づいて、第1移動通信端末と第2移動通信端末との相対位置に関する相対位置情報が演算されてもよい。この場合、移動通信端末間の相対位置情報が容易かつ高精度に演算され得る。
【0026】
上記別の態様において、端末位置特定方法は、基地局から送信される複数のビーム信号の種別ごとに移動通信端末における受信強度情報を示す第1データマップに基づいて、超解像技術によって、第1データマップの解像度よりも高い解像度を有している第2データマップを演算すること、をさらに含んでいてもよい。端末データマップは、演算された第2データマップであってもよい。この場合、基地局から送信される複数のビーム信号の種別が少なかったとしても、より多くの情報に基づいて移動通信端末の位置情報が演算され得る。移動通信端末の位置情報の特定において、ロバスト性が向上する。複数のビーム信号の種別ごとの受信強度情報の取得において、オーバーヘッドも削減され得る。したがって、移動通信端末間の位置情報がより容易かつ高精度に演算され得る。
【0027】
上記別の態様において、端末位置特定方法は、基地局から送信された複数のビーム信号の種別ごとに移動通信端末における受信強度情報を示す複数の学習用のデータマップグループを取得することと、複数の学習用のデータマップグループを用いた学習によって、第1データマップの入力に応じて第2データマップを出力する超解像モデルを作成することと、をさらに含んでいてもよい。複数の学習用のデータマップグループの各々は、互いに同一の位置に存在している移動通信端末における受信強度情報を示す、学習用の第1データマップと学習用の第2データマップとを含んでいてもよい。第2データマップの演算において、第1データマップと超解像モデルとに基づいて、第2データマップが演算されてもよい。この場合、移動通信端末間の位置情報がより容易かつ高精度に演算され得る。
【0028】
本発明のさらに別の態様におけるプログラムは、基地局から送信される複数のビーム信号の種別ごとに移動通信端末における受信強度情報を示す端末データマップに関するマップ情報と、マップ情報と移動通信端末の位置に関する位置情報とを関連付けている位置推定モデルと、に基づいて、位置情報を演算することをコンピュータに実行させる。
【0029】
上記さらに別の態様において、上記端末データマップに関するマップ情報と位置推定モデルとに基づいて、移動通信端末の位置情報が演算されている。端末データマップは、移動通信端末におけるビーム信号の受信強度に関する受信強度情報をビーム信号の種別ごとに示している。このプログラムによれば、端末の位置の特定精度が容易に向上され得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一つの態様は、端末の位置の特定精度が容易に向上され得る端末位置特定システムを提供する。本発明の別の態様は、端末の位置の特定精度が容易に向上され得る端末位置特定方法を提供する。本発明のさらに別の態様は、端末の位置の特定精度が容易に向上され得るプログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本実施形態における端末位置特定システムのブロック図である。
【
図2】基地局から送信されるビーム信号を説明するための概略図である。
【
図3】(a)から(c)は、端末データマップを示す図である。
【
図6】超解像モデルの作成方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】位置推定モデルの作成方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8】端末位置特定方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態の変形例における端末位置特定システムのブロック図である。
【
図10】本実施形態の変形例における位置推定モデルの作成方法の一例を示すフローチャートである。
【
図11】本実施形態の変形例における端末位置特定方法の一例を示すフローチャートである。
【
図12】本実施形態および本実施形態の変形例における端末位置特定システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図13】本実施形態における端末位置特定システムの実験結果を示す図である。
【
図14】本実施形態における端末位置特定システムの実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しつつ本発明における端末位置特定システムの実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。まず、
図1から
図8を参照して、本発明の実施形態における端末位置特定システムの概略構成について説明する。
図1は、本実施形態における端末位置特定システムのブロック図である。
【0033】
端末位置特定システム1は、基地局Bと通信を行う端末Tの位置情報を特定する。端末位置特定システム1は、複数の端末Tの位置情報を特定する。位置情報の特定には、機械学習による推定が用いられる。端末位置特定システム1は、位置推定モデルを用いて、位置情報を特定する。本実施形態において、位置情報は、複数の端末Tの相対位置情報を含んでいる。相対位置情報は、一対の端末Tの相対距離を含んでいる。相対距離の演算は、非線形回帰によって定式化される。本実施形態の変形例として、位置情報は、各端末Tの位置を示す情報を含んでいてもよい。相対位置情報は、一対の端末Tのうち一方の端末Tの位置を基準位置とした場合において、基準点からの他方の端末Tの相対位置であってもよい。換言すれば、相対位置情報は、一対の端末Tのうち一方の端末Tの位置を原点とした場合において、原点からの他方の端末Tの座標であってもよい。
【0034】
端末Tは、例えば、移動通信端末である。移動通信端末としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、及び、モバイルPC(Personal Computer)が挙げられる。基地局Bと端末Tとは、例えば、セルラー方式によって通信を行う。基地局Bと複数の端末Tとの間において、セルラーネットワークが構築されている。基地局Bと端末Tとの通信には、例えば、MIMO(multiple-input multiple-output)が用いられる。基地局Bと端末Tとの通信には、UPA(uniform planar array)が用いられる。
【0035】
例えば、基地局Bは複数のアンテナを含み、端末は単一のアンテナを含んでいる。例えば、基地局Bにおいてアンテナは、行列状に2次元配列されている。基地局Bのアンテナの数は、Mt=Mv×Mhによって示される。“Mt”は、基地局Bが含んでいるアンテナの数である。“Mv”は、垂直方向における基地局Bのアンテナの数である。“Mh”は、水平方向における基地局Bのアンテナの数である。
【0036】
基地局Bと端末Tとの通信システムは、例えば、5G(5th generationmobile communication system)である。基地局Bは、ビーム信号を送信し、このビーム信号によって端末Tと通信を行う。ビーム信号は、例えば、ミリ波である。ビーム信号の周波数は、例えば、60GHzである。
【0037】
図2に示されているように、基地局Bは、アナログビームフォーミングによって、ビーム信号Sを所定の範囲αに送信する。範囲αは、1つのビーム信号Sによってカバーされる範囲である。基地局Bは、ビーム信号Sを掃引し、複数の範囲αにビーム信号Sを送信する。換言すれば、基地局Bは、ビーム信号Sの掃引によって、複数の範囲αを含む領域Rの全体にビーム信号Sを送信する。領域Rは、例えば、基地局Bと端末Tとが通信可能な領域である。
【0038】
基地局Bは、複数のビーム信号Sを送信し、複数のビーム信号Sによって領域Rの全体をカバーする。基地局Bは、ビーム信号Sが送信される範囲αの広さを変化させることによって、領域Rをカバーするビーム信号Sの数を変化させる。本実施形態において、基地局Bは、領域Rを4×4の範囲αに区分し、各領域Rにビーム信号を送信するようにビーム信号を掃引する。基地局Bは、領域Rを4×4以外の数の範囲αに区分してもよい。領域Rが区分される数が多いほど、解像度が向上し、端末Tの位置検出精度も向上する。領域Rが区分される数が少ないほど、ビーム信号を掃引する時間が低減される。例えば、基地局Bは、領域Rを8×8の範囲αに区分し、各領域Rにビーム信号を送信してもよい。
【0039】
基地局Bは、複数のビーム信号Sをそれぞれ区別するビーム信号の種別の情報に応じて、各ビーム信号Sを送信する。各ビーム信号Sは、所定の広さの範囲に均一の強度で掃引されるブロードキャストビームである。各ビーム信号Sは、基地局Bの複数のアンテナから送信される信号の組み合わせによって形成されている。基地局Bは、例えば、互いに異なる種別のビーム信号Sを順次送信することによって、領域Rにおいてビーム信号Sを掃引する。換言すれば、基地局Bは、連続するタイムスロットにおいて複数のビーム信号Sを種別ごとに順次送信することによって、領域Rに送信するビーム信号Sの掃引を実行する。基地局Bは、同時に送信される複数のビーム信号Sをそれぞれ掃引してもよい。
【0040】
ビーム信号Sの種別の情報は、例えば、複数のビーム信号Sをそれぞれ区別する符号である。ビーム信号Sの種別の情報は、例えば、基地局Bから各ビーム信号Sが送信される方位に関する情報を含んでいる。例えば、ビーム信号Sが送信される方位に関する情報は、互いに異なる方位に送信されるビーム信号Sを示す符号である。ビーム信号Sが送信される方位に関する情報は、ビーム信号Sが送信される方位自体であってもよいし、ビームフォーミングにおいて各アンテナから送信される信号に関する情報であってもよい。たとえば、ビーム信号Sの種別は、基地局Bからビーム信号Sが送信される方位である。ビーム信号Sの種別の情報は、ビーム信号Sの出力強度、ビーム信号Sの周波数、及び、ビーム信号Sが送信される距離を含んでいてもよい。出力強度は、例えば、出力電力である。
【0041】
本実施形態において、基地局Bから送信される複数のビーム信号Sの各々を行列の要素とする場合、領域Rの全体をカバーするのに必要なビーム信号Sの数は、以下の式(1)のように示される。この場合、行列の各要素は、各種別のビーム信号Sである。
【数1】
【0042】
“N
b”は、領域Rの全体をカバーするのに必要なビーム信号Sの数である。“n
b
v”は、垂直方向のビーム信号の数である。“n
b
h”は、水平方向のビーム信号の数である。この場合、基地局Bから送信される複数のビーム信号Sを示す行列Wは、以下の式(2)のように表される。
【数2】
【0043】
“W”は、UPAにおける送信機に対する離散フーリエ変換に基づくコードブックである。この“W”は、複数のビーム信号Sを形成するアナログビームフォーミングを適用する際に用いられる。この場合、端末Tにおける受信信号は、以下の式(3)のように表される。
【数3】
【0044】
“r
k”は、領域R内に位置する複数の端末Tのうちk番目の端末Tによって受信される受信信号である。“w
k,n”は、ビームフォーミングにおいてk番目の端末Tに対するn番目のビーム信号のパラメータである。“W
k,n”は、“W”に属する要素である。“P”は、送信電力である。“s”は、送信信号である。“n
k”は、“CN(0,σ
k
2)”に相当し、k番目の端末Tにおいて平均がゼロであり分散がσ
k
2である場合の加算性白色ガウス雑音(AWGN:additive white Gaussian noise)である。“h
k”は、基地局Bとk番目の端末Tとの間におけるチャンネルベクトルである。“h
k”は、以下の式(4)及び(5)のように表される。
【数4】
【数5】
【0045】
“L”は、複数のパスの合計数である。“α
l”は、l番目のパスの複素パスゲインである。“a”は、ステアリングベクトルである。“α
l”は、以下の式(6)によって表される。
【数6】
【0046】
“a
l“は、l番目のパスの減衰である。“d
p”は、パスの距離である。“λ”は、波長である。垂直軸及び水平軸のステアリングベクトルは、以下の式(7)及び(8)のように表される。
【数7】
【数8】
【0047】
本実施形態において、UPAシステムが適用されており、“d”は、垂直方向及び水平方向の双方において連続するアンテナ間の距離である。ビーム信号Sの掃引の間、端末Tは、異なるビーム信号Sを受信し、各ビーム信号Sの受信強度情報を基地局Bに送信する。受信強度情報は、例えば、受信強度を示す電力の情報である。受信強度情報は、例えば、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)である。例えば、端末Tは、ミリ波制御チャンネルによって、各ビーム信号Sの受信強度情報を基地局Bにフィードバックする。
【0048】
基地局Bは、各ビーム信号Sの受信強度情報を用いて、ビーム信号の品質を予測し、チャンネルを推定する。基地局Bは、さらに、各ビーム信号Sの受信強度情報を端末位置特定システム1に送信する。端末位置特定システム1は、基地局Bから受信した各ビーム信号Sの受信強度情報に基づいて、端末Tの位置情報を特定する。
【0049】
各端末Tから送信された受信強度情報は、例えば、データマップとして、基地局Bに格納される。例えば、基地局Bが、複数の端末Tのそれぞれに対応する複数のデータマップを作成する。「端末Tに対応するデータマップ」とは、端末Tにおける受信強度情報を示すデータマップを意味する。データマップは、端末Tごとに作成される。例えば、複数の端末Tが端末T1と端末T2とを含んでいる場合、端末T1に対応するデータマップと、端末T2に対応するデータマップとが作成される。本実施形態の変形例として、データマップは、端末T又は端末位置特定システム1において作成されてもよい。端末T1が第1移動端末である場合、端末T2は第2移動端末に相当する。
【0050】
データマップは、1つの端末Tにおいてビーム信号Sごとの受信強度情報を行列状に示している。データマップは、端末Tを有するユーザの位置のフィンガープリントに相当する。各データマップは、基地局Bから送信される複数のビーム信号Sの種別を示す種別の情報と、端末Tにおける複数のビーム信号Sの各々の受信強度情報とを含んでいる。種別情報は、例えば、上述した“Wk,n”である。例えば、各データマップは、互いに種別が異なるビーム信号Sと受信強度情報とを対応付けている。各データマップは、端末Tにおけるビーム信号Sの受信強度に関する受信強度情報をビーム信号Sの種別ごとに示している。
【0051】
各データマップは、例えば、複数の要素を含んでいる行列である。各データマップの複数の要素は、互いに異なる種別のビーム信号Sの受信強度情報をそれぞれ示す。各データマップは、2次元画像を含んでいる。各データマップを示す画像は、例えば、行列の各要素の値を色相、彩度、及び、明度のいずれか又はそれらの組み合わせによって表される。この画像は、互いに異なるビーム信号Sの種別に対応する複数の画素を含んでいると共に、各画素おいて、画素に対応するビーム信号の受信強度情報を示す。
【0052】
例えば、k番目の端末Tのデータマップにおける各要素は、“m
k
(x,y)”として表される。例えば、“m
k
(x,y)”は、k番目の端末Tにおけるある種別のビーム信号SのRSSIを示す。“x”は、x∈0,・・・,M
vを満たしている。“y”は、y∈0,・・・,M
hを満たしている。換言すれば、“m
k
(x,y)”は、例えば、基地局Bから送信される複数のビーム信号Sのうち、任意の1つのビーム信号SのRSSIを示す。任意の2つの端末Tにおけるデータマップをそれぞれ“M
k”及び“M
l”とした場合、以下の式(9)が成り立つ。
【数9】
【0053】
式(9)においては、“Mk”のみが示されているが、“Ml”も“Mk”と同様の構成を有している。“Mk”及び“Ml”は、正方行列である。“nb”は、式(1)に示した“Nb”の平方根である。本実施形態において、領域Rが4×4の範囲αに区分されており、“Nb”は16である。この場合、データマップは、16の要素によって構成される4×4の行列によって示される。領域Rが8×8の範囲αに区分される場合、“Nb”は64である。この場合、データマップは、64の要素によって構成される8×8の行列によって示される。
【0054】
端末位置特定システム1は、端末Tに対応するデータマップと位置推定モデルとに基づいて、端末Tの位置情報を特定する。本実施形態において、端末位置特定システム1は、複数の端末Tの各々に対応するデータマップに基づいて、端末Tの相対位置に関する相対位置情報を特定する。この場合、端末位置特定システム1は、複数の端末Tの各々に対応するデータマップの差分を示す差分情報を演算する。例えば、データマップ“M
k”及びデータマップ“M
l”の差分情報は、以下の式(10)によって示される。
【数10】
【0055】
式(10)は、以下の式(11)ように表記され得る。
【数11】
【0056】
各データマップ及び差分情報は、例えば、
図3(a)から
図3(c)に示されるように、画像Vによって示される。
図3(a)から
図3(c)は、一例として、“N
b”が64である場合の画像Vを示している。この場合、画像Vは、64の画素eを含む8×8の画像である。各画像Vは、互いに異なるビーム信号Sの種別に対応する複数の画素eを含んでいると共に、各画素eおいて、画素eに対応する種別のビーム信号Sの受信強度情報を示す。例えば、
図3(a)は、端末T1に対応するデータマップとして画像V1を示している。
図3(b)は、端末T2に対応するデータマップとして画像V2を示している。
図3(c)は、端末T1に対応するデータマップと端末T2に対応するデータマップと差分情報として画像V3を示している。画像V1,V2,V3の各々は、各画素eにおいて値の大きさをグレースケールで示している。画素eに対応する値が高いほど、当該画素eの明度が低い。
【0057】
画像V1及び画像V2は、各画素eにおいて受信強度に対応する値を受信強度情報として示している。例えば、画像V1及び画像V2が式(9)によって示される行列“Mk”に対応する場合、複数の画素eはそれぞれ行列“Mk”の要素“mk
(x,y)”の値を示している。画像V3は、各画素eにおいて、端末T1に対応するデータマップと端末T2に対応するデータマップとの差分の絶対値を示している。画像V3が式(10)によって示される行列“Dk,l”に対応する場合、複数の画素eはそれぞれ行列“Dk,l”の要素“|mk
(x,y)-ml
(x,y)|”の値を示している。
【0058】
本実施形態において、端末位置特定システム1は、超解像技術によって、第1データマップの解像度を向上させる。第1データマップは、基地局B等から取得されたデータマップである。第1データマップは、基地局Bから送信される複数のビーム信号Sの種別ごとに端末Tにおける受信強度情報を示す。端末位置特定システム1は、超解像モデルを用いて第1データマップの超解像化を実行し、第1データマップの解像度を向上させる。超解像モデルは、第1データマップの入力に応じて第2データマップを出力する。第2データマップは、第1データマップよりも高い解像度を有するデータマップである。換言すれば、第2データマップの解像度は、第1データマップの解像度よりも高い。例えば、第1データマップは4×4の解像度を有する画像Vによって示され、第2データマップは8×8の解像度を有する画像Vによって示される。
【0059】
本実施形態において、端末位置特定システム1は、超解像モデルと位置推定モデルとに基づいて、端末Tの位置情報を特定する。端末位置特定システム1は、超解像モデルによって解像度が向上された第2データマップと位置推定モデルとに基づいて、端末Tの位置情報を特定する。本実施形態の変形例において、端末位置特定システム1は、データマップの超解像化を実行しない場合には、第2データマップを用いずに、基地局B等から取得された第1データマップと位置推定モデルとに基づいて、端末Tの位置情報を特定する。
【0060】
例えば、超解像モデル及び位置推定モデルは、機械学習によって学習された学習モデルである。本実施形態において、端末位置特定システム1は、機械学習によって超解像モデルを作成する学習フェーズと、機械学習によって位置推定モデルを作成する学習フェーズと、端末Tの位置情報を特定する推定フェーズとを実行する。端末位置特定システム1は、各学習フェーズにおいて作成された超解像モデル及び位置推定モデルに基づいて、推定フェーズを実行する。端末位置特定システム1は、推定フェーズにおいて取得された情報に基づいて、さらに学習フェーズを実行してもよい。
【0061】
機械学習とは、与えられた情報に基づいて反復的に学習することで法則又はルールを自律的に見つけ出す手法である。たとえば、端末位置特定システム1において行われる機械学習では、学習データセットを用いた学習によって、活性化関数、重み付け値等のモデルのパラメータが最適化される。これによって、超解像モデル及び位置推定モデルが作成される。
【0062】
端末位置特定システム1において行われる機械学習は、ディープラーニングである。この機械学習は、多層パーセプトロン(MLP:Multilayer perceptron)によって構成される教師あり学習である。端末位置特定システム1は、ニューラルネットワークを含むように構成される機械学習を用いる。端末位置特定システム1おいて行われる機械学習は、教師あり学習に限定されない。端末位置特定システム1において行われる機械学習は、ランダムフォレスト、サポートベクトルマシン、ニューラルネットワーク(NN)、ディープニューラルネットワーク(DNN)などを含むように構成されてもよい。ニューラルネットワークとは、人間の脳神経系の仕組みを模した情報処理モデルをいう。
【0063】
超解像モデルは、例えば、
図4に示されているニューラルネットワークを有している。
図4に示されている超解像モデルは、畳み込み層51、サブピクセル畳み込み層52、アップサンプリング層53、畳み込み層54、畳み込み層55、平坦化層56、デンス層57、デンス層58、デンス層59、バッチ正規化層60、及び、デンス層61をこの順で含んでいる。
【0064】
例えば、第1データマップに相当する画像V4が、畳み込み層51に入力される。画像V4は、4×4の解像度を有している。畳み込み層51が有するフィルタの数は、4である。畳み込み層54及び畳み込み層55が有するフィルタの数は、それぞれ、40である。畳み込み層55からの出力は、平坦化層56によって平坦化され、3つの連続したデンス層57,58,59に入力される。デンス層57,58,59のニューロンの数は、それぞれ、128,256,128である。以上の層のアクティベーションは、ReLU(Rectified Linear Unit)に設定されている。その後、バッチ正規化を適用するバッチ正規化層60と、デンス層61とが続く。デンス層61のアクティベーションは、線形に設定されている。デンス層61は、出力される画像V5の画素数と同一の数のフィルタを有している。画像V5は、第2データマップに相当し、8×8の解像度を有している。以上の様に、
図4に示されている超解像モデルによれば、4×4の解像度を有する入力画像が、8×8の解像度に変換される。
【0065】
図4に示されている超解像モデルの学習において、平均二乗誤差(MSE:Mean Squared Error)が損失関数として用いられた。MSEは、以下の式(12)によって定義される。
【数12】
【0066】
“b”はバッチを示し、“Sb”はバッチサイズを示し、“X(b)”は学習用の第1データマップであり、“y(b)”は学習用の第2データマップであり、“yi
(b)(F)”(ハットを省略)は超解像モデルθを用いた場合に構築される第2データマップである。
【0067】
位置推定モデルは、例えば、
図5に示されているニューラルネットワークを有している。
図5に示されている位置推定モデルは、上述した差分情報の“D
k,l”の入力に応じて、複数の端末Tの間の相対距離を出力する。
図5に示されている位置推定モデルは、畳み込み層71、畳み込み層72、畳み込み層73、畳み込み層74、最大プーリング層75、デンス層76、デンス層77、デンス層78、及び、デンス層79をこの順で含んでいる。
【0068】
例えば、差分情報に相当する画像V3が、畳み込み層71に入力される。画像V3は、8×8の解像度を有している。この位置推定モデルは、4つの畳み込み層71,72,73,74を含んでいる。畳み込み層71,72,73,74のフィルタサイズは、全て、3×3である。畳み込み層71,72,73,74が有するフィルタの数は、それぞれ、128、256、256、128である。最大プーリング層のサイズは、2×2である。最大プーリング層75には、4つのデンス層76,77,78,79が続く。デンス層76,77,78,79のニューロンの数は、それぞれ、128,512,256,64である。以上の層のアクティベーションは、ReLUに設定されている。この位相推定モデルの最後の層80は、単一のニューロンを持つデンス層であり、この層のアクティベーションは線形である。層80は、入力された差分情報に対応する一対の端末Tの相対距離を出力する。一対の端末Tの相対距離は、各端末Tの所有者間の相対距離に相当する。
【0069】
図5に示されている位相推定モデルの学習において、実際の一対の端末T間の相対距離と、推定距離との間のMSEが、位相推定モデルを最小化させるための損失関数として用いられた。実際の一対の端末T間の相対距離は、グラウンドトゥルースである。位相推定モデルの損失関数は、以下の式(13)によって定義される。
【数13】
【0070】
“b”はバッチを示し、“Sb”はバッチサイズを示し、“X(b)”は差分情報Dk,lのデータマップであり、“y(b)”は実際の一対の端末T間の相対距離であり、“yi
(b)(F)”(ハットを省略)は位置推定モデルFを用いた場合に出力される推定される相対距離である。このように定義された位相推定モデルは、十分に機能しながら、可能な限り少ない層とパラメータを有するように構成されている。これよりも浅いニューラルネットワークでは、性能が顕著に低下する。性能は、例えば、推定される相対距離のMSEである。より深いニューラルネットワークは、上述したアーキテクチャとあまり大きな違いが見られない。上記位相推定モデルの技術的な実装(Kerasを使用)において、入力の形式を4×4又は8×8の解像度を有する情報などに特定することが求められる。このため、入力の形式が異なる場合には、異なるニューラルネットワークが構築される。本明細書においては、説明を容易にするため、ニューラルネットワークのこれらのインスタンスの全てを1つとして言及する。
【0071】
端末位置特定システム1は、推定フェーズにおいて動作する推定部10と学習フェーズにおいて動作する学習部20,30とを備えている。学習部20は、超解像モデルの学習を行う。学習部30は、位置推定モデルの学習を行う。端末位置特定システム1は、推定部10として、情報取得部11と、格納部12と、超解像部13と、位置情報演算部14と、出力部15とを備えている。端末位置特定システム1は、学習部20として、情報取得部11と、格納部12と、超解像モデル作成部22とを備えている。端末位置特定システム1は、学習部30として、情報取得部11と、格納部12と、超解像部13と、位置推定モデル作成部32とを備えている。本実施形態において、情報取得部11と、格納部12とは、推定部10と学習部20,30との全てに含まれている。本実施形態において、超解像部13は、推定部10と学習部30との双方に含まれている。
【0072】
本実施形態の変形例として、推定部10と学習部20と学習部30とは互いに分離していてもよい。この場合、推定部10と学習部20と学習部30とは、それぞれ異なる情報取得部11、及び、格納部12を備えていてもよい。推定部10と学習部30とは、それぞれ異なる超解像部13を備えていてもよい。
【0073】
次に、推定フェーズにおける端末位置特定システム1の各機能部について、より詳細に説明する。推定フェーズにおいては、推定部10が動作する。推定部10は、情報取得部11と、格納部12と、超解像部13と、位置情報演算部14と、出力部15とによって、端末Tの位置情報を特定し、出力する。推定部10は、情報取得部11によってデータマップを取得し、端末Tの位置情報を推定する。
【0074】
情報取得部11は、端末位置特定システム1における各種の機能部及び端末位置特定システム1の外部から情報を取得する。情報取得部11は、基地局B及び端末Tの少なくとも1つから情報を取得する。情報取得部11は、データマップ取得部41と、差分情報演算部42とを含んでいる。
【0075】
データマップ取得部41は、基地局Bから上述したデータマップを取得する。本実施形態の変形例において、データマップ取得部41は、各端末Tからデータマップを取得してもよい。本実施形態のさらなる変形例として、データマップ取得部41は、基地局Bから取得された情報と各端末Tから取得された情報とに基づいて、データマップを作成し、取得してもよい。
【0076】
データマップ取得部41は、基地局B等から取得されたデータマップに基づいて、各端末Tに対応する端末データマップを取得する。端末データマップは、端末Tにおけるビーム信号Sの受信強度に関する受信強度情報をビーム信号Sの種別ごとに示している。「端末Tに対応する端末データマップ」とは、端末Tにおける受信強度情報を示す端末データマップを意味する。例えば、複数の端末Tが端末T1と端末T2とを含んでいる場合、データマップ取得部41は、端末T1に対応する端末データマップと、端末T2に対応する端末データマップとを取得する。
【0077】
本実施形態において、端末データマップは、超解像技術によって、基地局B等から取得された第1データマップの解像度を向上した第2データマップに相当する。本実施形態の変形例として、第1データマップの超解像化が実行されない場合には、端末データマップは、基地局B等から取得された第1データマップ自体であってもよい。換言すれば、本実施形態の変形例において、端末位置特定システム1は、データマップの超解像化を実行せずに、基地局B等から取得されたデータマップを端末データマップとして取得してもよい。
【0078】
データマップ取得部41は、端末データマップに関するマップ情報を取得する。マップ情報は、位置推定モデルに入力される情報である。位置推定モデルは、端末データマップに関するマップ情報の入力に応じて、端末Tの位置情報を出力する。本実施形態において、データマップ取得部41は、複数の端末Tのそれぞれに対応する複数の端末データマップの差分を示す差分情報をマップ情報として取得する。
【0079】
差分情報演算部42は、データマップ取得部41において取得された複数の端末データマップ間の差分を演算する。例えば、差分情報演算部42は、端末T1に対応する端末データマップと端末T2に対応する端末データマップとの差分を差分情報として演算する。差分情報演算部42は、演算された差分情報をデータマップ取得部41に出力する。
【0080】
例えば、
図3(a)に示される画像V1が端末T1に対応する端末データマップに相当し、
図3(b)に示される画像V2が端末T2に対応する端末データマップに相当する。この場合、
図3(c)に示される画像V3は、端末T1に対応する端末データマップと端末T2に対応する端末データマップと差分情報である。本実施形態において、画像V3が、端末データマップに関するマップ情報に相当する。
【0081】
格納部12は、情報取得部11によって取得された各種情報を格納している。推定フェーズにおいて、格納部12は、超解像モデルと、位置推定モデルとを格納している。格納部12は、情報取得部11によって取得されたデータマップ、端末データマップ、及び、マップ情報等を格納してもよい。超解像モデルは、超解像モデル作成部22において作成される。位置推定モデルは、位置推定モデル作成部32において作成される。
【0082】
超解像モデルは、上述したように、第1データマップの入力に応じて第1データマップ解像度よりも高い解像度を有する第2データマップを出力する。超解像モデルは、複数の学習用のデータマップグループを用いた学習によって作成される。各学習用のデータマップグループは、基地局Bから送信された複数のビーム信号の種別ごとに端末Tにおける受信強度情報を示す。各学習用のデータマップグループは、学習用の第1データマップと、学習用の第2データマップとを含んでいる。学習用の第1データマップと、学習用の第2データマップとは、互いに同一の位置に存在している端末Tにおける受信強度情報を示している。
【0083】
位置推定モデルは、マップ情報と端末Tの位置に関する位置情報とを関連付けている。本実施形態において、位置推定モデルは、差分情報と当該差分情報に対応する複数の端末Tの相対位置に関する相対位置情報とを関連付けている。位置推定モデルは、複数の学習用のマップ情報と各学習用のマップ情報に対応する端末Tの位置に関する学習用位置情報とを用いた学習によって作成される。位置推定モデルは、マップ情報である差分情報の入力に応じて、当該差分情報に対応する複数の端末Tの相違位置情報を出力するモデルを含んでいる。
【0084】
超解像部13は、超解像技術によって、入力された情報に対して超解像化を実行する。超解像部13は、格納部12に格納されている超解像モデルを用いて、入力された情報の解像度を向上する。超解像部13は、情報取得部11において取得された各端末Tのデータマップを、当該データマップの解像度よりも高い解像度を有しているデータマップに変換する。例えば、超解像部13は、上述した第1データマップに基づいて、超解像技術によって、第1データマップの解像度よりも高い解像度を有している第2データマップを演算する。端末データマップは、超解像部13によって演算された第2データマップである。
【0085】
例えば、超解像部13は、超解像モデルを用いて、入力されたデータマップの解像度を向上する。データマップ取得部41は、超解像部13によって演算されたデータマップを端末データマップとして取得する。差分情報演算部42は、超解像部13によって解像度が向上されたデータマップを用いて差分情報を演算する。例えば、超解像部13が端末T1に対応するデータマップとして画像V1を出力し、及び端末T2に対応するデータマップとして画像V2を出力する。この場合、差分情報演算部42は、例えば、超解像部13によって演算された画像V1と超解像部によって演算された画像V2との差分情報として画像V3を演算する。
【0086】
位置情報演算部14は、情報取得部11によって取得されたマップ情報と位置推定モデルとに基づいて、位置情報を演算する。例えば、位置情報演算部14は、画像V3と位置推定モデルとに基づいて、位置情報を演算する。本実施形態において、位置情報演算部14は、相対位置演算部45を含んでいる。相対位置演算部45は、差分情報と位置推定モデルとに基づいて、相対位置情報を演算する。相対位置情報は、差分情報に対応する複数の端末Tの相対位置に関する。例えば、差分情報は、一対の端末Tのそれぞれに対応する一対の端末データマップの差分を示し、相対位置情報は、当該差分情報に対応する一対の端末Tの相対位置を含んでいる。例えば、相対位置演算部45は、差分情報演算部42によって演算された差分情報と位置推定モデルとに基づいて、相対位置情報を演算する。例えば、相対位置演算部45は、画像V3と位置推定モデルとに基づいて、画像V1に対応する端末T1と、画像V2に対応する端末T2との相対距離を演算する。
【0087】
出力部15は、位置情報演算部14によって演算された位置情報を端末位置特定システム1の外部に出力する。例えば、出力部15は、位置情報演算部14によって演算された相対位置情報を端末位置特定システム1の外部に出力する。出力部15は、例えば、位置情報演算部14によって演算された位置情報を不図示のモニタに表示する。出力部15は、位置情報演算部14によって演算された位置情報を、通信ネットワークなどを介して、サーバ端末又は他の端末に出力してもよい。
【0088】
次に、学習フェーズにおける端末位置特定システム1の各機能部について、より詳細に説明する。学習フェーズにおいては、学習部20,30が動作する。学習部20,30の情報取得部11は、基地局B、端末T、又は、それら以外の装置から通信ネットワーク等を介して学習データセットを取得する。情報取得部11は、格納部12から、予め格納されていた学習データセットを取得してもよい。
【0089】
学習部20は、種々の情報を含む学習データセットを用いて学習された超解像モデルを作成する。学習部20は、例えば、情報取得部11と、格納部12と、超解像モデル作成部22とによって、超解像モデルを作成する。
【0090】
学習部20が動作する場合、情報取得部11は、超解像モデルの学習に用いられる学習データセットを取得する。格納部12は、作成された超解像モデルを格納する。格納部12は、情報取得部11において取得された学習データセットを格納してもよい。超解像モデル作成部22は、超解像モデルの学習に用いられる学習データセットを用いて、超解像モデルを作成する。超解像モデル作成部22は、推定フェーズにおいて取得された情報に基づいて、超解像モデルを再作成、又は、更新してもよい。超解像モデル作成部22は、学習フェーズの終了後に、端末位置特定システム1から除外されてもよい。
【0091】
本実施形態の変形例として、情報取得部11の差分情報演算部42は、情報取得部11において取得された複数の学習用のデータマップの差分を示す学習用差分情報を演算してもよい。情報取得部11において取得される学習データセットは、差分情報演算部42において演算された学習用差分情報を含んでいてもよい。
【0092】
超解像モデルの学習に用いられる学習データセットは、例えば、複数の学習用のデータマップグループを含んでいる。各学習用のデータマップグループは、端末Tにおけるビーム信号Sの受信強度に関する受信強度情報をビーム信号Sの種別ごとに示す。各学習用のデータマップグループは、学習用の第1データマップと、学習用の第2データマップとを含んでいる。上述したように、各学習用のデータマップグループに含まれる学習用の第1データマップと学習用の第2データマップとは、互いに同一の位置に存在している端末Tにおける受信強度情報を示している。各学習用のデータマップグループにおいて、学習用の第2データマップの解像度は、学習用の第1データマップの解像度よりも高い。
【0093】
学習用の第1データマップ、及び、学習用の第2データマップは、例えば、第1データマップ、及び、第2データマップと同様に、画像を含んでいる。学習用の第1データマップは、例えば、推定フェーズにおいて超解像モデルに入力される第1データマップの解像度と同一の解像を有している画像を含んでいる。学習用の第2データマップは、例えば、推定フェーズにおいて超解像モデルから出力される第2データマップの解像度と同一の解像度を有している画像を含んでいる。本実施形態の変形例として、学習用の第1データマップ、及び、学習用の第2データマップは、画像でなく、複数の値を要素として格納している行列形式の情報であってもよい。
【0094】
学習部30は、種々の情報を含む学習データセットを用いて学習された位置推定モデルを作成する。学習部30は、例えば、情報取得部11と、格納部12と、超解像部13と、位置推定モデル作成部32とによって、位相推定モデルを作成する。
【0095】
学習部30が動作する場合、情報取得部11は、位置推定モデルの学習に用いられる学習データセットを取得する。格納部12は、作成された位置推定モデルを格納する。格納部12は、情報取得部11において取得された学習データセットを格納してもよい。
【0096】
本実施形態において、超解像部13は、情報取得部11において取得された複数の学習用のデータマップに対して超解像化を実行する。情報取得部11は、超解像部13によって超解像化された複数の学習用のデータマップを取得する。情報取得部11の差分情報演算部42は、超解像部13によって超解像化された複数の学習用のデータマップの差分を示す学習用差分情報を演算する。情報取得部11において取得される学習データセットは、差分情報演算部42において演算された学習用差分情報を含んでいる。
【0097】
位置推定モデル作成部32は、位置推定モデルの学習に用いられる学習データセットを用いて、位置推定モデルを作成する。位置推定モデル作成部32は、推定フェーズにおいて取得された情報に基づいて、位置推定モデルを再作成、又は、更新してもよい。位置推定モデル作成部32は、学習フェーズの終了後に、端末位置特定システム1から除外されてもよい。
【0098】
位相推定モデルの学習に用いられる学習データセットは、例えば、複数の学習用のマップ情報と複数の学習用位置情報とを含んでいる。複数の学習用のマップ情報は、複数の学習用の端末データマップに関し、互いに異なる位置に存在する複数の端末Tに対応している。複数の学習用の端末データマップは、互いに異なる位置に存在する端末Tに対応している。本実施形態において、複数の学習用のマップ情報は、それぞれ、複数の学習用差分情報である。各学習用差分情報は、複数の端末Tのそれぞれに対応する複数の学習用の端末データマップの差分を示す。例えば、各学習用差分情報は、推定フェーズにおいて入力される差分情報と同様の構成を有している画像である。本実施形態の変形例として、各学習用差分情報は、画像でなく、複数の値を要素として格納している行列形式の情報であってもよい。
【0099】
複数の学習用位置情報は、複数の学習用のマップ情報にそれぞれ対応する複数の端末Tの位置に関する。各学習用位置情報は、学習用のマップ情報に対応する端末Tの位置に関する位置情報である。本実施形態において、各学習用位置情報は、各学習用差分情報に対応する複数の端末Tの相対位置に関する学習用相対位置情報である。
【0100】
次に、
図6から
図8を参照して、本実施形態における端末位置特定方法の一例について説明する。例えば、端末位置特定方法は、超解像モデル及び位置推定モデルの作成方法を含んでおり、超解像モデル及び位置推定モデルを作成する学習フェーズと作成された超解像モデル及び位置推定モデルを用いて端末Tの位置情報を特定する推定フェーズとを実行する。まず、
図6を参照して、学習フェーズにおける超解像モデルの作成方法の一例について説明する。
図6は、超解像モデルの作成方法の一例を示すフローチャートである。
【0101】
まず、情報取得部11が複数の学習用のデータマップグループを取得する(処理S1)。処理S1において取得される複数の学習用のデータマップグループは、超解像モデルの学習に用いられる学習データセットに相当する。各学習用のデータマップグループは、学習用の第1データマップと、学習用の第2データマップとを含んでいる。学習用の第1データマップと、学習用の第2データマップとは、互いに同一の位置に存在している端末Tにおける受信強度情報を示す。
本実施形態の各学習用のデータマップグループにおいて、学習用の第1データマップは画像であり、学習用の第2データマップは学習用の第1データマップの解像度より高い解像度を有している画像である。
【0102】
次に、超解像モデル作成部22が超解像モデルを作成する(処理S2)。超解像モデル作成部22は、処理S1において取得された学習データセットを用いて、超解像モデルを作成する。処理S2において作成された超解像モデルは、第1データマップの入力に応じて、第1データマップの解像度よりも高い解像度を有している第2データマップを出力する。本実施形態において、第1データマップは画像であり、第2データマップは第1データマップの解像度より高い解像度を有している画像である。
【0103】
処理S2において作成された超解像モデルは、格納部12に格納される。処理S2が終了すると、超解像モデルの作成方法の一連の処理が終了される。
【0104】
次に、
図7を参照して、学習フェーズにおける位置推定モデルの作成方法の一例について説明する。
図7は、位置推定モデルの作成方法の一例を示すフローチャートである。
【0105】
まず、情報取得部11が複数の学習用のデータマップを取得する(処理S11)。処理S11において取得される複数の学習用のデータマップは、端末Tにおけるビーム信号Sの受信強度に関する受信強度情報を、基地局Bから送信される複数のビーム信号Sの種別ごとに示している。本実施形態において、処理S11において取得される複数の学習用のデータマップは、互いに異なる位置に端末Tが存在する場合における複数の学習用のデータマップを含んでいる。
【0106】
次に、情報取得部11が複数の学習用位置情報を取得する(処理S12)。処理S12において取得される各学習用位置情報は、処理S11において取得された各学習用のデータマップに対応する端末Tの位置に関する位置情報である。処理S11と処理S12とは、並行して実行されてもよい。本実施形態において、処理S12において取得される各学習用位置情報は、互いに異なる一対の端末Tの相対位置に関する相対位置情報に相当する。
【0107】
次に、超解像部13が処理S11において取得された各学習用のデータマップに対して超解像化を実行する(処理S13)。処理S11において取得された各学習用のデータマップは第1データマップに相当し、処理S13において超解像化された各学習用のデータマップは、第2データマップに相当する。処理S13において、超解像化された各学習用のデータマップは、学習用の端末データマップに相当する。本実施形態において、処理S13において取得される複数の学習用の端末データマップは、互いに異なる位置に端末Tが存在する場合における複数の学習用の端末データマップを含んでいる。
【0108】
次に、差分情報演算部42が学習用差分情報を演算する(処理S14)。処理S14において、差分情報演算部42は、処理S13において取得された複数の学習用の端末データマップの差分を演算する。差分情報演算部42は、互いに異なる位置に端末Tが存在する複数の学習用の端末データマップの差分を学習用差分情報として演算する。換言すれば、差分情報演算部42は、複数の端末Tのそれぞれに対応する複数の学習用の端末データマップの差分を学習用差分情報として演算する。差分情報演算部42は、互いに異なる学習用の端末データマップの組み合わせに基づいて、複数の学習用差分情報を演算する。
【0109】
本実施形態において、各学習用差分情報は、学習用のマップ情報に相当する。すなわち、処理S14において、複数の学習用のマップ情報が取得される。複数の学習用のマップ情報は、互いに異なる位置に存在する複数の端末Tの受信強度情報を示している。各学習用のマップ情報は、画像V3と同様の構成を有する画像である。処理S12において取得された複数の学習用位置情報と処理S14において取得された複数の学習用のマップ情報とによって、位置推定モデルの学習に用いられる学習データセットが構成される。処理S12において取得された複数の学習用位置情報は、複数の学習用のマップ情報にそれぞれ対応する複数の端末Tの位置に関する位置情報を含んでいる。
【0110】
次に、位置推定モデル作成部32が位置推定モデルを作成する(処理S15)。位置推定モデル作成部32は、処理S12及び処理S14によって取得された学習データセットを用いて、位置推定モデルを作成する。位置推定モデル作成部32は、処理S12において取得された複数の学習用位置情報と処理S14において取得された複数の学習用のマップ情報とを用いて、位置推定モデルを作成する。位置推定モデル作成部32は、複数の学習用差分情報と各学習用差分情報に対応する複数の端末Tの相対位置に関する学習用相対位置情報とを用いた学習によって、位置推定モデルを作成する。
【0111】
処理S15において作成された位置推定モデルは、マップ情報と端末Tの位置に関する位置情報とを関連付けている。本実施形態において、位置推定モデルは、差分情報と当該差分情報に対応する複数の端末Tの相対距離とを関連付けている。位置推定モデルは、差分情報の入力に応じて、当該差分情報に対応する複数の端末Tの相違位置情報を出力する。
【0112】
処理S15において作成された位置推定モデルは、格納部12に格納される。処理S15が終了すると、位置推定モデルの作成方法の一連の処理が終了される。以上、位置推定モデルの作成方法の一例について説明したが、各処理の順序はこれに限定されない。たとえば、処理S12は、処理S15の前であればいつ実行されてもよい。処理S11から処理S14の代わりに、情報取得部11が位置推定モデルの学習に用いられる学習データセットを端末位置特定システム1の外部から取得してもよい。位置推定モデルの学習に用いられる学習データセットは、予め格納部12に格納されてもよい。
【0113】
次に、
図8を参照しながら、推定フェーズにおける端末位置特定方法の一例について説明する。
図8は、端末位置特定方法の一例を示すフローチャートである。
【0114】
まず、データマップ取得部41が複数のデータマップを取得する(処理S21)。処理S21において、データマップ取得部41は、基地局Bから複数のデータマップを取得する。各データマップは、端末Tにおけるビーム信号Sの受信強度に関する受信強度情報をビーム信号Sの種別ごとに示している。処理S21において、データマップ取得部41は、複数の端末Tのそれぞれに対応する複数のデータマップを取得する。
【0115】
次に、超解像部13が処理S21において取得された各データマップに対して超解像化を実行する(処理S22)。処理S21において取得された各データマップは第1データマップに相当し、処理S21において超解像化された各データマップは第2データマップに相当する。処理S22において、超解像化された各データマップは、端末データマップに相当する。処理S22において、超解像部13は、複数の端末Tのそれぞれに対応する複数のデータマップに対して超解像化を実行し、複数の端末Tのそれぞれに対応する端末データマップを取得する。
【0116】
次に、差分情報演算部42が差分情報を演算する(処理S23)。処理S23において、差分情報演算部42は、処理S22において取得された複数の端末データマップの差分を差分情報として演算する。差分情報演算部42は、複数の端末Tのそれぞれに対応する複数の端末データマップの差分を差分情報として演算する。各差分情報は、マップ情報に相当する。マップ情報は、データマップ取得部41に出力され、取得される。複数のマップ情報は、複数の端末Tの受信強度情報を示している。各マップ情報は、画像V3に相当する。
【0117】
次に、相対位置演算部45が相対位置情報を演算する(処理S24)。処理S24において、相対位置演算部45が、処理S23において取得された複数のマップ情報と位置推定モデルとに基づいて、相対位置情報を演算する。相対位置情報は、差分情報に対応する複数の端末Tの相対位置に関する。位置推定モデルは、差分情報と複数の端末Tの相対位置に関する相対位置情報とを関連付けている。相対位置情報は、例えば、互いに異なる端末Tの相対距離を含んでいる。相対位置演算部45は、例えば、画像V3と位置推定モデルとに基づいて、画像V1に対応する端末T1と、画像V2に対応する端末T2との相対距離を演算する。
【0118】
次に、出力部15が、処理S24において演算された相対位置情報を出力又は記憶する(処理S25)。出力部15は、例えば、演算された相対位置情報を端末位置特定システム1の外部に出力する。出力部15は、例えば、処理S24において演算された相対距離を端末Tに送信する。出力部15は、例えば、演算された相対位置情報を格納部12に格納する。処理S25が終了すると、端末位置特定方法の一連の処理が終了される。
【0119】
次に、
図9から
図11を参照して、本実施形態の変形例における端末位置特定システム及び端末位置特定方法について説明する。
図9は、本実施形態の変形例における端末位置特定システムのブロック図である。本変形例は、概ね、上述した実施形態及び変形例と類似又は同じである。本変形例は、各端末Tの位置を特定した後に相対位置情報を特定する点において、上述した実施形態及び変形例と相違する。以下、上述した実施形態及び変形例と本変形例との相違点を主として説明する。
【0120】
図9に示されているように、端末位置特定システム1Aは、推定フェーズにおいて動作する推定部10Aと学習フェーズにおいて動作する学習部20A,30Aとを備えている。学習部20Aは、超解像モデルの学習を行う。学習部30Aは、位置推定モデルの学習を行う。端末位置特定システム1Aは、推定部10Aとして、情報取得部11Aと、格納部12Aと、超解像部13Aと、位置情報演算部14Aと、出力部15Aとを備えている。端末位置特定システム1Aは、学習部20Aとして、情報取得部11Aと、格納部12Aと、超解像モデル作成部22Aとを備えている。端末位置特定システム1Aは、学習部30Aとして、情報取得部11Aと、格納部12Aと、超解像部13Aと、位置推定モデル作成部32Aとを備えている。本変形例において、情報取得部11Aと、格納部12Aとは、推定部10Aと学習部20A,30Aとの全てに含まれている。本変形例において、超解像部13Aは、推定部10Aと学習部30Aとの双方に含まれている。
【0121】
本変形例のさらなる変形例として、推定部10Aと学習部20Aと学習部30Aとは互いに分離していてもよい。この場合、推定部10Aと学習部20Aと学習部30Aとは、それぞれ異なる情報取得部11A、及び、格納部12Aを備えていてもよい。推定部10Aと学習部30Aとは、それぞれ異なる超解像部13Aを備えていてもよい。
【0122】
次に、推定フェーズにおける端末位置特定システム1Aの各機能部について、より詳細に説明する。推定フェーズにおいては、推定部10Aが動作する。推定部10Aは、情報取得部11Aと、格納部12Aと、超解像部13と、位置情報演算部14Aと、出力部15Aとによって、端末Tの位置情報を特定し、出力する。推定部10Aは、情報取得部11Aによって端末データマップに関するマップ情報を取得し、端末Tの位置情報を推定する。
【0123】
情報取得部11Aは、端末位置特定システム1Aにおける各種の機能部及び端末位置特定システム1の外部から情報を取得する。情報取得部11Aは、基地局B及び端末Tの少なくとも1つから情報を取得する。情報取得部11Aは、データマップ取得部41Aを含んでいる。
【0124】
データマップ取得部41Aは、基地局Bから上述したデータマップを取得する。本変形例のさらなる変形例において、データマップ取得部41Aは、各端末Tからデータマップを取得してもよい。さらなる変形例として、データマップ取得部41Aは、基地局Bから取得された情報と各端末Tから取得された情報とに基づいて、データマップを作成し、取得してもよい。
【0125】
データマップ取得部41Aは、基地局B等から取得されたデータマップに基づいて、各端末Tに対応する端末データマップを取得する。例えば、複数の端末Tが端末T1と端末T2とを含んでいる場合、データマップ取得部41Aは、端末T1に対応する端末データマップと、端末T2に対応する端末データマップとを取得する。
【0126】
データマップ取得部41Aは、端末データマップに関するマップ情報を取得する。本変形例において、データマップ取得部41Aは、端末データマップ自体をマップ情報として取得する。例えば、データマップ取得部41Aは、端末T1に対応する端末データマップと、端末T2に対応する端末データマップとの各々を、マップ情報として取得する。
【0127】
格納部12Aは、情報取得部11Aによって取得された各種情報を格納している。推定フェーズにおいて、格納部12Aは、超解像モデルと、位置推定モデルとを格納している。格納部12Aは、情報取得部11Aによって取得されたデータマップ、端末データマップ、及び、マップ情報等を格納してもよい。超解像モデルは、超解像モデル作成部22Aにおいて作成される。位置推定モデルは、位置推定モデル作成部32Aにおいて作成される。
【0128】
超解像モデルは、複数の学習用のデータマップグループを用いた学習によって作成される。複数の学習用のデータマップグループは、情報取得部11Aによって取得される。位置推定モデルは、マップ情報と端末Tの位置に関する位置情報とを関連付けている。本変形例において、位置推定モデルは、端末データマップと端末Tの位置に関する位置情報とを関連付けている。位置推定モデルは、複数の学習用のマップ情報と各学習用のマップ情報に対応する端末Tの位置に関する学習用位置情報とを用いた学習によって作成される。本変形例において、位置推定モデルは、複数の学習用の端末データマップと各学習用の端末データマップに対応する端末Tの位置に関する学習用位置情報とを用いた学習によって作成される。位置推定モデルは、端末データマップの入力に応じて、当該端末データマップに対応する端末Tの位置情報を出力するモデルを含んでいる。
【0129】
超解像部13Aは、超解像技術によって、入力された情報に対して超解像化を実行する。超解像部13Aは、格納部12Aに格納されている超解像モデルを用いて、入力された情報の解像度を向上する。超解像部13Aは、情報取得部11Aにおいて取得された各端末Tのデータマップを、当該データマップの解像度よりも高い解像度を有しているデータマップに変換する。例えば、超解像部13Aは、第1データマップに基づいて、超解像技術によって、第1データマップの解像度よりも高い解像度を有している第2データマップを演算する。端末データマップは、超解像部13Aによって演算された第2データマップである。
【0130】
例えば、超解像部13Aは、超解像モデルを用いて、入力された画像の解像度を向上する。データマップ取得部41Aは、超解像部13Aによって演算されたデータマップを端末データマップとして取得する。
【0131】
位置情報演算部14Aは、情報取得部11Aによって取得されたマップ情報と位置推定モデルとに基づいて、位置情報を演算する。位置情報演算部14Aは、端末位置演算部91Aと、相対位置演算部92Aとを含んでいる。
【0132】
端末位置演算部91Aは、複数の端末Tのそれぞれに対応する端末データマップと位置推定モデルとに基づいて、複数の端末Tの位置情報を演算する。例えば、端末位置演算部91Aは、端末T1の端末データマップと位置推定モデルとに基づいて、端末T1の位置情報を演算する。端末位置演算部91Aは、端末T2の端末データマップと位置推定モデルとに基づいて、端末T2の位置情報を演算する。例えば、端末T1の端末データマップは画像V1に相当し、端末T2の端末データマップは画像V2に相当する。
【0133】
相対位置演算部92Aは、端末位置演算部91Aによって演算された複数の端末Tの位置情報に基づいて、複数の端末Tの相対位置に関する相対位置情報を演算する。例えば、相対位置演算部92Aは、端末位置演算部91Aによって演算された端末T1の位置情報と端末T2の位置情報とに基づいて、端末T1と端末T2との相対位置に関する相対位置情報を演算する。相対位置演算部92Aは、端末T1の位置情報と端末T2の位置情報とに基づいて、端末T1と端末T2との相対距離を演算する。
【0134】
出力部15Aは、位置情報演算部14Aによって演算された位置情報を端末位置特定システム1Aの外部に出力する。出力部15Aは、端末位置演算部91Aによって演算された各端末Tの位置情報を外部に出力してもよい。出力部15Aは、端末位置演算部91Aによって演算された各端末Tの位置情報を格納部12Aに格納してもよい。出力部15Aは、相対位置演算部92Aによって演算された相対位置情報を端末位置特定システム1の外部に出力する。出力部15Aは、相対位置演算部92Aによって演算された各端末Tの相対位置情報を格納部12Aに格納してもよい。出力部15Aは、例えば、位置情報演算部14Aによって演算された位置情報を不図示のモニタに表示する。出力部15Aは、位置情報演算部14Aによって演算された位置情報を、通信ネットワークなどを介して、サーバ端末又は他の端末に出力してもよい。
【0135】
次に、学習フェーズにおける端末位置特定システム1Aの各機能部について、より詳細に説明する。学習フェーズにおいては、学習部20A,30Aが動作する。学習部20A,30Aの情報取得部11Aは、基地局B、端末T、又は、それら以外の装置から通信ネットワーク等を介して学習データセットを取得する。情報取得部11Aは、格納部12Aから、予め格納されていた学習データセットを取得してもよい。
【0136】
学習部20Aは、種々の情報を含む学習データセットを用いて学習された超解像モデルを作成する。学習部20Aは、例えば、情報取得部11Aと、格納部12Aと、超解像モデル作成部22Aとによって、超解像モデルを作成する。
【0137】
学習部20Aが動作する場合、情報取得部11Aは、超解像モデルの学習に用いられる学習データセットを取得する。格納部12Aは、作成された超解像モデルを格納する。格納部12Aは、情報取得部11Aにおいて取得された学習データセットを格納してもよい。超解像モデル作成部22Aは、超解像モデルの学習に用いられる学習データセットを用いて、超解像モデルを作成する。超解像モデル作成部22Aは、推定フェーズにおいて取得された情報に基づいて、超解像モデルを再作成、又は、更新してもよい。超解像モデル作成部22は、学習フェーズの終了後に、端末位置特定システム1Aから除外されてもよい。
【0138】
学習部30Aは、種々の情報を含む学習データセットを用いて学習された位置推定モデルを作成する。学習部30Aは、例えば、情報取得部11Aと、格納部12Aと、超解像部13Aと、位置推定モデル作成部32Aとによって、位相推定モデルを作成する。
【0139】
学習部30Aが動作する場合、情報取得部11Aは、位置推定モデルの学習に用いられる学習データセットを取得する。格納部12Aは、作成された位置推定モデルを格納する。格納部12Aは、情報取得部11Aにおいて取得された学習データセットを格納してもよい。
【0140】
本変形例において、超解像部13Aは、情報取得部11Aにおいて取得された複数の学習用のデータマップに対して超解像化を実行する。情報取得部11Aは、超解像部13Aによって超解像化された複数の学習用のデータマップを取得する。位置推定モデル作成部32Aは、位置推定モデルの学習に用いられる学習データセットを用いて、位置推定モデルを作成する。位置推定モデル作成部32Aは、推定フェーズにおいて取得された情報に基づいて、位置推定モデルを再作成、又は、更新してもよい。位置推定モデル作成部32Aは、学習フェーズの終了後に、端末位置特定システム1Aから除外されてもよい。
【0141】
位相推定モデルの学習に用いられる学習データセットは、複数の学習用のマップ情報と複数の学習用位置情報とを含んでいる。学習用のマップ情報は、学習用の端末データマップに相当する。本変形例において、位相推定モデルの学習に用いられる学習データセットは、複数の学習用の端末データマップと各学習用の端末データマップに対応する端末Tの位置に関する学習用位置情報とを含んでいる。複数の学習用のマップ情報は、複数の学習用の端末データマップに関し、互いに異なる位置に存在する複数の端末Tに対応している。各学習用のマップ情報は、画像である。本変形例のさらなる変形例として、各学習用のマップ情報は、画像でなく、複数の値を要素として格納している行列形式の情報であってもよい。複数の学習用位置情報は、複数の学習用のマップ情報にそれぞれ対応する複数の端末Tの位置に関する。各学習用位置情報は、学習用のマップ情報に対応する端末Tの位置に関する位置情報である。
【0142】
次に、
図10及び
図11を参照して、本変形例における端末位置特定方法の一例について説明する。例えば、端末位置特定方法は、超解像モデル及び位置推定モデルの作成方法を含んでおり、超解像モデル及び位置推定モデルを作成する学習フェーズと作成された超解像モデル及び位置推定モデルを用いて端末Tの位置情報を特定する推定フェーズとを実行する。本変形例の学習フェーズにおける超解像モデルの作成方法において、情報取得部11Aが処理S1を実行し、超解像モデル作成部22Aが処理S2を実行する。
【0143】
次に、
図10を参照して、本変形例の学習フェーズにおける位置推定モデルの作成方法の一例について説明する。
図10は、本変形例における位置推定モデルの作成方法の一例を示すフローチャートである。
【0144】
まず、情報取得部11Aが複数の学習用のデータマップを取得する(処理S11)。処理S11において取得される複数の学習用のデータマップは、端末Tにおけるビーム信号Sの受信強度に関する受信強度情報を、基地局Bから送信される複数のビーム信号Sの種別ごとに示している。本変形例において、処理S11において取得される複数の学習用のデータマップは、互いに異なる位置に端末Tが存在する場合における複数の学習用のデータマップを含んでいる。
【0145】
次に、情報取得部11Aが複数の学習用位置情報を取得する(処理S41)。処理S41において取得される各学習用位置情報は、処理S11において取得された各学習用のデータマップに対応する端末Tの位置に関する位置情報である。処理S11と処理S41とは、並行して実行されてもよい。本変形例において、処理S41において取得される各学習用位置情報は、互いに異なる一対の端末Tの各々の位置に相当する。
【0146】
次に、超解像部13Aが処理S11において取得された各学習用のデータマップに対して超解像化を実行する(処理S13)。処理S11において取得された各学習用のデータマップは第1データマップに相当し、処理S13において超解像化された各学習用のデータマップは、第2データマップに相当する。処理S13において、超解像化された各学習用のデータマップは、学習用の端末データマップに相当する。
【0147】
本変形例において、処理S13において取得される複数の学習用の端末データマップは、互いに異なる位置に端末Tが存在する場合における複数の学習用の端末データマップを含んでいる。本変形例において、各学習用の端末データマップは、学習用のマップ情報に相当する。すなわち、処理S13において、複数の端末Tに対して複数の学習用のマップ情報がそれぞれ取得される。学習用のマップ情報は、画像V1と画像V2と同様の構成を有する画像である。処理S13において取得された複数の学習用の端末データマップと、処理S41において取得された学習用位置情報とによって、位置推定モデルの学習に用いられる学習データセットが構成される。学習データセットは、学習用の端末データマップと各学習用の端末データマップに対応する端末Tの位置に関する学習用位置情報とを含んでいる。処理S41において取得された複数の学習用位置情報は、複数の学習用のマップ情報にそれぞれ対応する複数の端末Tの位置に関する位置情報を含んでいる。換言すれば、処理S41において取得された学習用位置情報は、各学習用の端末データマップに対応する端末Tの位置に関する位置情報を含んでいる。
【0148】
次に、位置推定モデル作成部32Aが位置推定モデルを作成する(処理S42)。位置推定モデル作成部32Aは、処理S13及び処理S41によって取得された学習データセットを用いて、位置推定モデルを作成する。位置推定モデル作成部32Aは、処理S41において取得された複数の学習用位置情報と処理S13において取得された複数の学習用の端末データマップとを用いて、位置推定モデルを作成する。
【0149】
処理S42において作成された位置推定モデルは、端末データマップと端末Tの位置に関する位置情報とを関連付けている。位置推定モデル作成部32Aは、複数の学習用の端末データマップと各学習用の端末データマップに対応する端末Tの位置に関する学習用位置情報とを用いた学習によって、位置推定モデルを作成する。本変形例において、位置推定モデルは、複数の端末データマップの入力に応じて当該端末データマップに対応する端末Tの位置情報を出力するモデルを位置推定モデルとして作成する。
【0150】
処理S42において作成された位置推定モデルは、格納部12Aに格納される。処理S42が終了すると、位置推定モデルの作成方法の一連の処理が終了される。以上、位置推定モデルの作成方法の一例について説明したが、各処理の順序はこれに限定されない。たとえば、処理S41は、処理S42の前であればいつ実行されてもよい。処理S11、処理S41、及び、処理S13の代わりに、情報取得部11Aが位置推定モデルの学習に用いられる学習データセットを端末位置特定システム1Aの外部から取得してもよい。位置推定モデルの学習に用いられる学習データセットは、予め格納部12Aに格納されてもよい。
【0151】
次に、
図11を参照しながら、本変形例の推定フェーズにおける端末位置特定方法の一例について説明する。
図11は、端末位置特定方法の一例を示すフローチャートである。
【0152】
まず、データマップ取得部41Aが複数のデータマップを取得する(処理S21)。処理S21において、データマップ取得部41Aは、基地局Bから複数のデータマップを取得する。各データマップは、端末Tにおけるビーム信号Sの受信強度に関する受信強度情報をビーム信号Sの種別ごとに示している。処理S21において、データマップ取得部41は、複数の端末Tのそれぞれに対応する複数のデータマップを取得する。
【0153】
次に、超解像部13Aが処理S21において取得された各データマップに対して超解像化を実行する(処理S22)。処理S21において取得された各データマップは第1データマップに相当し、処理S21において超解像化された各データマップは第2データマップに相当する。処理S22において、超解像化された各データマップは、端末データマップに相当する。処理S22において、超解像部13は、複数の端末Tのそれぞれに対応する複数のデータマップに対して超解像化を実行し、複数の端末Tのそれぞれに対応する端末データマップを取得する。例えば、複数の端末Tのうち端末T1に対応する端末データマップと、複数の端末Tのうち端末T2に対応する端末データマップとの各々がマップ情報として取得される。各端末データマップは、マップ情報に相当する。マップ情報は、データマップ取得部41に出力され、取得される。
【0154】
次に、端末位置演算部91Aが各端末Tの位置情報を演算する(処理S51)。処理S51において、端末位置演算部91Aは、各端末Tの端末データマップと位置推定モデルとに基づいて、端末Tの位置に関する位置情報を演算する。位置推定モデルは、端末データマップと移動通信端末の位置に関する位置情報とを関連付けている。端末位置演算部91Aは、端末T1の端末データマップと位置推定モデルとに基づいて、端末T1の位置に関する位置情報を演算する。端末位置演算部91Aは、端末T2の端末データマップと位置推定モデルとに基づいて、端末T2の位置に関する位置情報を演算する。
【0155】
次に、相対位置演算部92Aが相対位置情報を演算する(処理S52)。処理S52において、相対位置演算部92Aは、処理S51において演算された複数の端末Tの位置情報に基づいて、複数の端末Tの間の相対位置に関する相対位置情報を演算する。相対位置演算部92Aは、処理S51において演算された端末T1の位置情報と処理S51において演算された端末T2の位置情報とに基づいて、端末T1と端末T2との相対位置に関する相対位置情報を演算する。相対位置演算部92Aは、処理S51において演算された端末T1の位置情報と処理S51において演算された端末T2の位置情報との差分を端末T1と端末T2との相対距離として演算する。
【0156】
次に、出力部15Aが、処理S52において演算された相対位置情報を出力又は記憶する(処理S25)。出力部15Aは、例えば、演算された相対位置情報を端末位置特定システム1Aの外部に出力する。出力部15Aは、例えば、処理S52において演算された相対距離を端末Tに送信する。出力部15Aは、例えば、演算された相対位置情報を格納部12Aに格納する。処理S25が終了すると、端末位置特定方法の一連の処理が終了される。
【0157】
次に、
図12を参照して、端末位置特定システム1,1Aのハードウェア構成について説明する。
図12は、端末位置特定システム1,1Aのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0158】
端末位置特定システム1,1Aは、プロセッサ101と、主記憶装置102と、補助記憶装置103と、通信装置104と、入力装置105と、出力装置106とを備えている。端末位置特定システム1,1Aは、これらのハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとにより構成された、1又は複数のコンピュータを含んでいる。情報取得部11,11A、格納部12,12A、超解像部13,13A、位置情報演算部14,14A、出力部15,15A、超解像モデル作成部22,22A、及び、位置推定モデル作成部32,32Aのそれぞれは、1つのコンピュータによって構成されていてもよいし、複数のコンピュータによって構成されていてもよい。端末位置特定システム1,1Aは、ハードウェアと協働して実現されている。
【0159】
端末位置特定システム1,1Aが、複数のコンピュータによって構成される場合には、これらのコンピュータはローカルで接続されてもよいし、インターネット又はイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されてもよい。この接続によって、論理的に1つの端末位置特定システム1,1Aが構築される。
【0160】
プロセッサ101は、オペレーティングシステム及びアプリケーション・プログラムなどを実行する。主記憶装置102は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)により構成される。例えば、端末位置特定システム1,1Aの各種機能部の少なくとも一部は、プロセッサ101及び主記憶装置102によって実現され得る。
【0161】
補助記憶装置103は、ハードディスク及びフラッシュメモリなどにより構成される記憶媒体である。補助記憶装置103は、一般的に主記憶装置102よりも大量のデータを記憶する。例えば、格納部12,12Aの少なくとも一部は、補助記憶装置103によって実現され得る。
【0162】
通信装置104は、ネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。例えば、情報取得部11,11Aの少なくとも一部は、通信装置104によって実現され得る。入力装置105は、キーボード、マウス、及び、タッチパネルなどにより構成される。例えば、情報取得部11,11Aの少なくとも一部は、入力装置105によって実現され得る。出力装置106は、プリンタ、及び、ディスプレイなどにより構成される。例えば、出力部15,15Aの少なくとも一部は、出力装置106によって実現され得る。
【0163】
補助記憶装置103は、予め、プログラム及び処理に必要なデータを格納している。このプログラムは、端末位置特定システム1の各機能要素をコンピュータに実行させる。このプログラムによって、例えば、端末位置特定方法における各処理がコンピュータにおいて実行される。このプログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に記録された上で提供されてもよい。このプログラムは、データ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0164】
次に、上述した実施形態における端末位置特定システム1,1A、端末位置特定方法、及び、プログラムによる作用効果について説明する。
【0165】
位置情報演算部14,14Aは、上記端末データマップに関するマップ情報と位置推定モデルとに基づいて、端末Tの位置情報を演算する。端末データマップは、端末Tにおけるビーム信号Sの受信強度に関する受信強度情報を前記ビーム信号Sの種別ごとに示している。本願発明者は、基地局Bから送信される複数のビーム信号Sと受信強度情報との組み合わせは、端末Tの位置情報に関係する情報を豊富に含んでいることを見出した。この端末位置特定システム1によれば、端末Tの位置の特定精度が容易に向上され得る。
【0166】
フィンガープリントと端末Tの位置との関係など各端末Tの位置情報を推定してから、推定された各端末Tの位置情報を用いて端末T間の相対位置情報を演算する場合には、各端末Tの位置情報の推定において生じる誤差が相対位置情報の演算に影響を及ぼす。
【0167】
端末位置特定システム1において、情報取得部11は、差分情報をマップ情報として取得する。差分情報は、複数の端末Tのそれぞれ対応する複数の端末データマップの差分を示している。位置推定モデルは、差分情報と当該差分情報に対応する複数の端末Tの相対位置に関する相対位置情報とを関連付けている。位置情報演算部14は、差分情報と位置推定モデルとに基づいて、相対位置情報を演算している。この場合、相対位置情報は、個々の端末Tの位置情報を求めることなく、複数の端末データマップの差分を示す差分情報と位置推定モデルとに基づいて演算される。このため、環境の変化によるロバスト性が向上し得る。したがって、端末T間の相対位置情報が容易かつ高精度に演算され得る。
【0168】
情報取得部11は、データマップ取得部41と、差分情報演算部42とを含んでいる。データマップ取得部41は、複数の端末Tのうち端末T1の端末データマップと、複数の端末Tのうち端末T2の端末データマップとを取得する。差分情報演算部42は、端末T1の端末データマップと端末T2の端末データマップとの差分を上記差分情報として演算する。この場合、端末T1と端末T2との間の相対位置情報がより容易に演算され得る。
【0169】
情報取得部11Aは、データマップ取得部41Aを含んでいる。データマップ取得部41Aは、複数の端末Tのうち端末T1の端末データマップと、複数の端末Tのうち端末T2の端末データマップとの各々を、マップ情報として取得する。位置推定モデルは、端末データマップと端末Tの位置情報とを関連付けていている。位置情報演算部14Aは、端末位置演算部91Aと、相対位置演算部92Aとを含んでいる。端末位置演算部91Aは、端末T1の端末データマップと位置推定モデルとに基づいて、端末T1の位置情報を演算する。端末位置演算部91Aは、端末T2の端末データマップと位置推定モデルとに基づいて、端末T2の位置情報を演算する。相対位置演算部92Aは、端末位置演算部91Aによって演算された端末T1の位置情報と端末T2の位置情報とに基づいて、端末T1と端末T2との相対位置に関する相対位置情報を演算する。この場合、端末T1,T2間の相対位置情報が容易かつ高精度に演算され得る。
【0170】
端末位置特定システム1,1Aは、超解像部13,13Aをさらに備えている。超解像部13,13Aは、基地局Bから送信される複数のビーム信号Sの種別ごとに端末Tにおける受信強度情報を示す第1データマップに基づいて、超解像技術によって、第1データマップの解像度よりも高い解像度を有している第2データマップを演算する。端末データマップは、超解像部13,13Aによって演算された第2データマップである。基地局Bから送信される複数のビーム信号Sの種別が少なかったとしても、より多くの情報に基づいて端末Tの位置情報が演算され得る。端末Tの位置情報の特定において、ロバスト性が向上する。複数のビーム信号Sの種別ごとの受信強度情報の取得において、オーバーヘッドも削減され得る。したがって、端末T間の位置情報がより容易かつ高精度に演算され得る。
【0171】
ビーム信号Sの種別は、基地局Bからビーム信号Sが送信される方位を含んでいる。この場合、端末データマップは、互いに異なる方位に送信された複数のビーム信号Sの各々に対する受信強度情報を示している。このため、端末Tの位置情報の特定において、ロバスト性が向上する。したがって、端末T間の位置情報がより容易かつ高精度に演算され得る。
【0172】
端末データマップは、互いに異なるビーム信号Sの種別に対応する複数の画素eを含んでいる。端末データマップは、各画素eおいて、画素eに対応する種別のビーム信号Sの受信強度情報を示す画像Vを含んでいる。この場合、ビーム信号Sの種別ごとの受信強度情報が視覚的に識別され得る。位置推定モデルとして、画像に関するアーキテクチャを有するモデルが用いられ得る。
【0173】
位置推定モデルは、複数の学習用の端末データマップに関する複数の学習用のマップ情報と、各学習用のマップ情報に対応する端末Tの位置に関する学習用位置情報とを用いて学習され、かつ、マップ情報の入力に応じて位置情報を出力する、モデルを含んでいる。複数の学習用の端末データマップは、互いに異なる位置に存在する端末Tに対応している。この場合、マップ情報に含まれる豊富な情報が考慮され、端末Tの位置情報の特定において、演算負荷が抑制されながらロバスト性が確保され得る。したがって、端末T間の位置情報がより高精度に演算され得る。
【0174】
端末位置特定システム1,1Aは、位置推定モデル作成部32,32Aをさらに備えている。位置推定モデル作成部32,32Aは、複数の学習用の端末データマップに関する複数の学習用のマップ情報と、各学習用のマップ情報に対応する端末Tの位置に関する学習用位置情報とを用いた学習によって、マップ情報の入力に応じて位置情報を出力するモデルを位置推定モデルとして作成している。複数の学習用の端末データマップは、互いに異なる位置に存在する端末Tに対応している。複数の学習用のマップ情報は、情報取得部11,11Aによって取得された上記マップ情報を含んでいる。格納部12,12Aは、位置推定モデル作成部32,32Aによって作成された上記モデルを格納している。この場合、マップ情報に含まれる豊富な情報が考慮され、端末Tの位置情報の特定において、演算負荷が抑制されながらロバスト性が確保され得る。したがって、端末T間の位置情報がより高精度に演算され得る。
【0175】
端末位置特定方法は、複数の学習用差分情報を取得することと、学習用相対位置情報を取得することと、モデルを作成することとをさらに含んでいる。複数の学習用差分情報の各々は、複数の端末Tのそれぞれに対応する複数の学習用の端末データマップの差分を示している。学習用相対位置情報は、各学習用差分情報に対応する複数の端末Tの相対位置に関している。複数の学習用差分情報と各学習用差分情報に対応する複数の端末Tの相対位置に関する学習用相対位置情報とを用いた学習によって、複数の端末Tのそれぞれに対応する複数の端末データマップの差分を示す差分情報の入力に応じて、当該差分情報に対応する複数の端末Tの相違位置情報を出力するモデルが位置推定モデルとして作成される。この場合、各端末Tの位置自体を学習するのではなく、複数の端末Tの相対位置情報を学習する。このため、環境の変化によるロバスト性が向上し得る。したがって、端末T間の相対位置情報が容易かつ高精度に演算され得る。
【0176】
端末位置特定方法は、複数の端末Tに対して複数の学習用の端末データマップをそれぞれ取得することと、各学習用の端末データマップに対応する端末Tの位置に関する学習用位置情報を取得することと、複数の学習用の端末データマップと各学習用の端末データマップに対応する端末Tの位置に関する学習用位置情報とを用いた学習によって、端末データマップの入力に応じて当該端末データマップに対応する端末Tの位置情報を出力するモデルを位置推定モデルとして作成することと、をさらに含んでいる。この場合、端末T間の相対位置情報が容易かつ高精度に演算され得る。
【0177】
端末位置特定方法は、基地局Bから送信される複数のビーム信号Sの種別ごとに端末Tにおける受信強度情報を示す第1データマップに基づいて、超解像技術によって、第1データマップの解像度よりも高い解像度を有している第2データマップを演算すること、をさらに含んでいる。端末データマップは、演算された第2データマップである。この場合、基地局Bから送信される複数のビーム信号Sの種別が少なかったとしても、より多くの情報に基づいて端末Tの位置情報が演算され得る。学習フェーズにおいても、学習用のデータマップの情報が増加し得る。この結果、端末Tの位置情報の特定において、ロバスト性が向上する。複数のビーム信号Sの種別ごとの受信強度情報の取得において、オーバーヘッドも削減され得る。したがって、端末T間の位置情報がより容易かつ高精度に演算され得る。
【0178】
端末位置特定方法は、基地局Bから送信された複数のビーム信号Sの種別ごとに端末Tにおける受信強度情報を示す複数の学習用のデータマップグループを取得することと、複数の学習用のデータマップグループを用いた学習によって、第1データマップの入力に応じて第2データマップを出力する超解像モデルを作成することと、をさらに含んでいる。複数の学習用のデータマップグループの各々は、互いに同一の位置に存在している端末Tにおける受信強度情報を示す、学習用の第1データマップと学習用の第2データマップとを含んでいる。第2データマップの演算において、第1データマップと超解像モデルとに基づいて、第2データマップが演算されている。この場合、データマップの情報の増加を可能とする超解像モデルが作成され得る。この結果、端末T間の位置情報がより容易かつ高精度に演算され得る。
【0179】
次に、
図13及び
図14を参照して、上述した端末位置特定システム1,1A及び処理S1から処理S52による端末位置特定方法の検証の一例を説明する。以下、上述した端末位置特定システム1,1Aを用いた端末位置特定方法、及び、処理S1から処理S52による端末位置特定方法を「本提案手法」という。
【0180】
本検証の諸条件は以下の通りである。本検証において、基地局Bにおいてキャリア周波数は60GHzであった。基地局Bの送信アンテナは、8×8で配列された。ビーム信号Sの数は、8×8及び4×4の2パターンであった。領域Rは、60m×30mであった。端末Tから基地局Bまでの平均距離は、24.2mであった。基地局Bの高さは、10mであった。合計ダウンリンクパワーは、30dBmであった。信号の干渉パワー比は、10dBであった。経路の数は、25であった。反射ゲインは、-6dBであった。雑音指数は、9.5dBであった。超解像モデルと位置推定モデルとの実装には、KerasとTensorFlowとが用いられた。TensorFlowは、非標準レイヤ用であった。
【0181】
図13は、超解像モデルの学習におけるMSEに関して損失を示している。データD1は、超解像モデルの学習フェーズにおけるトレーニングセットの結果を示している。データD2は、超解像モデル学習フェーズにおけるバリデーションセットの結果を示している。1万のエポックに対して超解像モデルの学習を行った後でも、超解像モデルは依然として収束しており、過剰適合は観察されなかった。トレーニングロスとバリデーションロスとの双方が連続的に減少した。これは、超解像モデルの学習が行われるエポックが多いほど、パフォーマンスが向上することを示している。しかし、1万のエポックの学習が削減されても、超解像モデルの出力が我々の目的を十分達成するように収束すると判断された。この場合において、ロスは、トレーニングセットにおいて3.7×10
-4に達し、バリデーションセットにおいて3.8×10
-4に達した。
【0182】
次に、超解像モデルを用いることによる有効性を検証するために、超解像技術を用いた場合と用いない場合との間において相対距離の推定の結果を比較した。
図14は、種々の方法における相対距離の距離誤差のCDF(cumulative distribution function)の結果を示している。データD3は、8×8の解像度を有する画像と位置推定モデルとを用いた場合の相対距離の距離誤差のCDFを示している。データD4は、ToA及びAoAによる従来の方法による位置検出による相対距離の距離誤差のCDFを示している。データD5は、4×4の解像度を有する画像と位置推定モデルとを用いた場合の相対距離の距離誤差のCDFを示している。データD6は、4×4の解像度を有する画像を超解像モデルによって8×8の解像度に向上した画像と位置推定モデルとに用いた場合の相対距離の距離誤差のCDFを示している。
【0183】
位置推定モデルを用いた場合のデータD3,D5,D6のCDFは、従来の方法によるデータD4のCDFを明らかに上回った。比較的解像度が低い4×4の解像度を有する画像と位置推定モデルとを用いた場合のデータD5のCDFも、従来の方法によるデータD4のCDFを明らかに上回った。換言すれば、比較的にビーム信号Sの幅が広い場合のデータマップが用いられた場合であっても、従来の方法を用いた場合よりも優れた結果が得られた。これは、フィンガープリントをマッピングする従来の方法と異なり、位置推定モデルを用いた場合にはユーザの位置に関係なく端末T間の相対距離を特定するように学習するためである。
【0184】
位置推定モデルを用いた推定は不確実性を含んでおり、各端末Tの位置を測定する場合において、端末T間の推定に位置推定モデルが複数回使用されると推定の誤差が増加する。
【0185】
トレーニングセットにおいてN人のユーザのセットが与えられる場合を検討する。従来の方法は、N個のインスタンスによって、正確にトレーニングを行う。この場合、正確なトレーニングのために多数のユーザが必要とされる。位置推定モデルを用いる場合には、N人のユーザに対して、合計でN・(N-1)/2個のインスタンスを学習のために生成する。位置推定モデルを効率的に学習するためには、より少ないユーザに対するデータを作成するシミレーションツールが求められる。
【0186】
図14に示されているように、データD5の検出精度よりもデータD3の検出精度の方が高い。換言すれば、用いられる画像の解像度が高いほど、相対距離の推定の正確度は高い。換言すれば、ビーム信号Sの幅が狭いほど、相対距離の推定の正確度は高い。また、データD5の検出精度よりもデータD4の検出精度の方が高い。したがって、超解像技術が用いられる場合に検出精度が著しく向上することが確認された。このように、超解像技術は、画像品質の改善だけでなく、相対距離の推定においても有効である。
【0187】
また、位置推定モデルが用いられる場合、基地局Bの位置の変更に起因するパフォーマンスの低下が少ない。これは、位置推定モデルを用いた相対距離の推定のパフォーマンスは、各位置の実施のフィンガープリントでなく、端末Tごとの差異に依存するためである。
【0188】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0189】
例えば、本実施形態及び変形例において、端末位置特定システム1と、基地局B及び端末Tとは互いに独立したシステムとして説明した。しかし、端末位置特定システム1は、基地局B及び端末Tの少なくとも1つを含んでいてもよい。端末位置特定システム1は、基地局B又は端末Tに含まれていてもよい。
【0190】
基地局Bと端末Tとの通信には、MIMOに限らず、SIMO(single-input and multiple-output)又はMISO(multiple-inputand single-output)が用いられてもよい。基地局Bと端末Tとの通信には、これら以外の複数種の通信技術が用いられてもよい。
【0191】
基地局Bと端末Tとの通信システムは、5Gに限らず、6Gなどの次世代システム又はその他の適切なシステムであってもよい。基地局Bと端末Tとの通信システムは、複数種のシステムが組み合わされたシステムであってもよい。
【0192】
基地局Bから送信されるビーム信号は、ミリ波に限定されない。ビーム信号は、例えば、ミリ波よりも高い周波数を有する信号であってもよい。基地局Bから送信されるビーム信号は、複数の周波数が組み合わされた信号又は周波数が時間と共に変化するチャープ信号であってもよい。
【0193】
端末位置特定システム1は、超解像モデルを用いなくてもよい。この場合、端末位置特定システム1は、位置推定モデルとデータマップとに基づいて、端末Tの位置情報を特定する。
【0194】
端末位置特定システム1は、学習フェーズを行うことなく、推定フェーズのみを行ってもよい。この場合、端末位置特定システム1は、推定部10のみから構成されていてもよい。端末位置特定システム1は、位置推定モデル及び超解像モデルの少なくとも1つの学習モデルを端末位置特定システム1の外部から取得し、端末位置特定システム1の外部から取得された学習モデルに基づいて端末Tの位置情報を特定してもよい。
【0195】
端末位置特定システム1は、位置推定モデル及び超解像モデルの少なくとも1つの学習モデルを端末位置特定システム1の外部から取得し、端末位置特定システム1の外部から取得された学習モデルに基づいて端末Tの位置情報を特定してもよい。
【0196】
端末位置特定システム1は、推定フェーズにおいて、端末位置特定システム1の外部から上記学習モデルを取得してもよいし、予め格納部12に上記学習モデルを格納していてもよい。これらの場合、端末位置特定システム1は、第1学習セット取得部21及び超解像モデル作成部22と、第2学習セット取得部31及び位置推定モデル作成部32との少なくとも一方を備えなくてもよい。
【0197】
端末位置特定システム1は、推定フェーズを行うことなく、学習フェーズのみを行ってもよい。この場合、端末位置特定システム1は、学習部20及び学習部30の少なくとも1つのみから構成された学習システムであってもよい。
【0198】
超解像モデル及び位置推定モデルは、機械学習による学習モデルに限定されない。
【符号の説明】
【0199】
1,1A…端末位置特定システム、11,11A…情報取得部、12,12A…格納部、13,13A…超解像部、14,14A…位置情報演算部、41,41A…データマップ取得部、42…差分情報演算部、91A…端末位置演算部、B…基地局、S…ビーム信号、Dk,l…差分情報、e…画素、V,V1,V2,V3…画像。