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特開2023-42291回転機のステータ固定構造、回転機のステータ固定方法
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  • 特開-回転機のステータ固定構造、回転機のステータ固定方法 図1
  • 特開-回転機のステータ固定構造、回転機のステータ固定方法 図2
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  • 特開-回転機のステータ固定構造、回転機のステータ固定方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042291
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】回転機のステータ固定構造、回転機のステータ固定方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
H02K1/18 A
H02K1/18 C
H02K1/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149520
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】東 義高
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601GA02
5H601GA40
5H601GB05
5H601GC02
5H601GC12
5H601GC32
5H601GD02
5H601GD12
5H601GD22
5H601JJ04
5H601KK18
5H601KK19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フレームレス構造の回転機においてブラケット並行精度を改善し、フレーム付きの場合と同様なワニス処理の実現を図る。
【解決手段】フレームレスモータ21は、中間リング23a,23b間に金属ロッド26を備える。この中間リング23a,23b間にステータコア5aが挟まれている。中間リング23aにはボルト孔5bに連通する連通孔24fが形成され、中間リング23bにはボルト孔5bに対応する位置に雌ねじ穴24dが形成されている。この連通孔24fおよびボルト孔5bに挿通された通しボルト25の軸部25bを、雌ねじ穴24dに締結してステータコア5dを固定する。このとき中間リング23a,23b間が金属ロッド26の長さに制限される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータの外周側に空隙を介して配置されたステータと、
前記ロータに固定されたシャフトの軸受を保持する一対のブラケットと、
前記ブラケットと前記ステータとの間に配置される中間リングと、
を備え、
前記中間リング間に前記ステータをフレームレスの状態で固定する回転機のステータ固定構造であって、
前記中間リング間にロッドを備える一方、
前記ステータは、複数の鋼板を積層したステータコアと、該ステータコアを軸方向に貫通する複数のボルト孔とを備え、
前記両中間リングは、前記ボルト孔に連通する孔部と雌ねじ部とがそれぞれ形成され、
前記孔部および前記ボルト孔に挿通されたボルトの軸部を前記雌ねじ部に締結する際に
前記中間リング間が前記ロッドの長さに制限されることを特徴とする回転機のステータ固定構造。
【請求項2】
前記孔部の径は、前記ボルトの頭部の径よりも小さく形成され、
前記頭部が前記孔部の内周縁を締め付けることで前記中間リング間に前記ステータコアが固定される
ことを特徴とする請求項1記載の回転機のステータ固定構造。
【請求項3】
ロータの外周側に空隙を介して配置されたステータと、
前記ロータに固定されたシャフトの軸受を保持する一対のブラケットと、
前記ブラケットと前記ステータとの間に配置される中間リングと、
を備え、
前記中間リング間に前記ステータをフレームレスの状態で固定する回転機のステータ固定構造であって、
前記中間リング間にロッドを備える一方、
前記ステータは、複数の鋼板を積層したステータコアと、該ステータコアを軸方向に貫通する複数のボルト孔とを備え、
前記両中間リングは、前記ボルト孔に連通する孔部と雌ねじ部とがそれぞれ形成され、
前記孔部を介して前記ボルト孔に挿通されたボルトの軸部を前記雌ねじ部に締結する際に
前記中間リング間が前記ロッドの長さに制限されることを特徴とする回転機のステータ固定構造。
【請求項4】
前記孔部の径は、前記ボルトの頭部の径よりも大きく形成され、
前記頭部が前記ボルト孔の内周縁を締め付けることで前記ステータコアが前記中間リングに固定される
ことを特徴とする請求項3記載の回転機のステータ固定構造。
【請求項5】
前記ステータコアは、周方向に複数の分割コアを備え、
前記分割コア毎に前記孔部および前記雌ねじ部が形成されている
ことを特徴とする請求項3または4記載の回転機のステータ固定構造。
【請求項6】
前記中間リングには、前記ロッドの端部を装着して保持する保持部が形成されている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか記載の回転機のステータ固定構造。
【請求項7】
請求項3または4記載の前記ステータコアを前記中間リング間に固定する方法であって、
一方の前記中間リングを前記ステータコアの一端部側に配置する工程と、
前記ステータコアの他端部側から前記ボルトの軸部を前記ボルト孔に挿通する工程と、
前記軸部を一方の前記中間リングの各雌ねじ部に締結する工程と、
他方の前記中間リングを前記ステータコアの他端部側に配置する工程と、
前記両中間リング間に前記ロッドの端部を装着する工程と、
一方の前記中間リングの前記孔部を介して前記ボルトの軸部を、他方の前記中間リングの前記ボルト孔に挿通する工程と、
前記軸部を他方の前記中間リングの前記各雌ねじ部に締結する工程と、
を有することを特徴とする回転機のステータ固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームレス構造の回転機(電動機・発電機)にステータを固定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図1(a)中の1は、フレーム付き構造の電動機(フレーム付きモータ)の一例を示している。ここではステータ5の外周にフレーム2が取り付けられ、軸受4の取り付けられたブラケット3a,3bでフレーム2を挟み込む構造が採用されている。
【0003】
ところが、トランジスタインバータなどで駆動される可変速モータなどは、ロータ6が高速から低速まで変化する範囲でステータ5を十分に冷却する必要がある。そのため、特許文献1に示すように、フレーム2を省略してステータ5が露呈したフレームレス構造が利用されている。
【0004】
図1(b)中の11は、フレームレス構造のモータ(フレームレスモータ)の一例を示している。ここではステータコア5aにボルト孔5bが形成され、ステータコア5aをブラケット13a,13bで挟み、ボルト孔5aに通しボルト25を挿通して固定する構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-219950
【特許文献2】特開2007-295740
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のフレームレス構造によれば、冷却性能だけでなく、モータ材料のコストを抑えることが可能である。
【0007】
しかしながら、フレームレス構造は機械加工で製作されるフレーム2の代わりに、ブラケット13a,13bにより電磁鋼板5dを積層したステータコア5aを挟んでいることから、その軸方向が長くなると電磁鋼板5bの精度(バリの有無など)によってはステータ5が傾く場合がある。
【0008】
その結果、ブラケット13a,13bの平行度の精度が悪化し、軸受4の摩耗が進行して製品寿命が短くなるなどの問題が生じるおそれがある。この場合にステータ5が一体鉄心であれば転積する(180°回転させて交互に積む)など手法により並行度を改善することは可能なものの、それにより作業工程が煩雑化するおそれがある。
【0009】
特に特許文献2のように分割鉄心の場合には積む方向が決まっているため、転積ができない場合が多い。また、フレームレス構造の場合にはブラケット13a,13bを取り付ける前にステータコア5aのワニス処理が必要なものの、前記分割鉄心の場合には分割コアの単位で内側からワニスを滴下含侵するなどの複雑な工程が必要となってしまう。
【0010】
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされ、フレームレス構造の回転機においてブラケットの並行精度を改善し、またフレーム付き構造と同様なワニス処理を可能とすることを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の一態様は、
ロータの外周側に空隙を介して配置されたステータと、
前記ロータに固定されたシャフトの軸受を保持する一対のブラケットと、
前記ブラケットと前記ステータとの間に配置される中間リングと、
を備え、
前記中間リング間に前記ステータをフレームレスの状態で固定する回転機のステータ固定構造であって、
前記中間リング間にロッドを備える一方、
前記ステータは、複数の鋼板を積層したステータコアと、該ステータコアを軸方向に貫通する複数のボルト孔とを備え、
前記両中間リングは、前記ボルト孔に連通する孔部と雌ねじ部とがそれぞれ形成され、
前記孔部および前記ボルト孔に挿通されたボルトの軸部を前記雌ねじ部に締結する際に
前記中間リング間が前記ロッドの長さに制限されることを特徴としている。
【0012】
(2)本発明の他の態様は、
ロータの外周側に空隙を介して配置されたステータと、
前記ロータに固定されたシャフトの軸受を保持する一対のブラケットと、
前記ブラケットと前記ステータとの間に配置される中間リングと、
を備え、
前記中間リング間に前記ステータをフレームレスの状態で固定する回転機のステータ固定構造であって、
前記中間リング間にロッドを備える一方、
前記ステータは、複数の鋼板を積層したステータコアと、該ステータコアを軸方向に貫通する複数のボルト孔とを備え、
前記両中間リングは、前記ボルト孔に連通する孔部と雌ねじ部とがそれぞれ形成され、
前記孔部を介して前記ボルト孔に挿通されたボルトの軸部を前記雌ねじ部に締結する際に
前記中間リング間が前記ロッドの長さに制限されることを特徴としている。
【0013】
(3)本発明のさらに他の態様は、前記他の態様の前記ステータコアを前記中間リング間に固定する方法であって、
一方の前記中間リングを前記ステータコアの一端部側に配置する工程と、
前記ステータコアの他端部側から前記ボルトの軸部を前記ボルト孔に挿通する工程と、
前記軸部を一方の前記中間リングの各雌ねじ部に締結する工程と、
他方の前記中間リングを前記ステータコアの他端部側に配置する工程と、
前記両中間リング間に前記ロッドの端部を装着する工程と、
一方の前記中間リングの前記孔部を介して前記ボルトの軸部を、他方の前記中間リングの前記ボルト孔に挿通する工程と、
前記軸部を他方の前記中間リングの前記各雌ねじ部に締結する工程と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フレームレス構造の回転機においてブラケットの並行精度が改善され、またフレーム付き構造と同様なステータコアのワニス処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は従来のフレーム付きモータの縦断面図、(b)は同フレームレスモータの縦断面図。
図2】(a)は実施例1のステータ固定構造を採用したフレームレスモータの縦断面図、(b)は同ステータに中間リングを取り付ける状態の斜視図。
図3】同 ステータコア(分割鉄心)の斜視図。
図4】(a)は実施例2のステータ固定構造を採用したフレームレスモータの縦断面図、(b)は中間リングの正面図。
図5】(a)は図4(a)のステータ固定方法の第1工程図、(b)は同第2工程図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る回転機のステータ固定構造(固定方法)を説明する。このステータ固定構造は、図1(b)と同様なフレームレス構造の回転機に適用される。
【実施例0017】
図2および図3に基づき前記ステータ固定構造の実施例1を説明する。ここでは図1(a)(b)と同一の構成は、同じ符号を用いて説明する。
【0018】
図2(a)中の21は、本実施例の前記ステータ固定構造を採用したフレームレスモータを示している。このフレームレスモータ21は、ロータ6の外周側に空隙を介して配置されたステータ5と、ロータ6に固定されたシャフト7と、シャフト7の軸受4を保持するブラケット23a,23bと、ブラケット23a,23bとステータ5との間に配置される中間リング24a,24bと、中間リング24a,24b間の金属ロッド26とを備えている。
【0019】
ステータ5は、電磁鋼板5dを積層したステータコア5aと、ステーコア5aを軸方向に貫通する複数のボルト孔5bとを備えている。このステータコア5aは、図3に示すように、周方向に12個の分割コア(分割鉄心)5cを備え、分割コア5c毎にボルト孔5bが形成されている。なお、分割コア5dは、所定形状の分割ピースに打ち抜かれた電磁鋼板5dが積層され、かしめ・溶接などの手段により一体化されて製造されている。
【0020】
中間リング24a,24bは、図2(b)に示すように円環状に形成され、ステータコア5aの両端部に配置されている。この中間リング24aは周方向に沿って等間隔に孔部24cが形成されている一方、中間リング24bは周方向沿って等間隔に雌ねじ穴(タップ穴)24dが形成されている。この両者24c,24dは、図2(a)に示すように、それぞれ対応した位置に形成され、ボルト孔5bに連通している。
【0021】
具体的には孔部24cは、中間リング24aの外面(ブラケット23aの対向面)側に形成された凹溝24eと、凹溝24eの溝底24jに形成されてボルト孔5bに連通する連通孔24fとを有する二段孔に形成されている。
【0022】
一方、雌ねじ穴24dは、中間リング24bの内面(ステータコア5aの対向面)側に形成されている。ここでは通しボルト25の軸部25bが、凹溝24cを介して連通孔24fおよびボルト孔5bに挿通され、雌ねじ穴24dに締結されている。
【0023】
また、中間リング24a,24bの外周には凸状に形成されたボス部24gが形成されている。この各ボス部24g同士の対向面には、金属ロッド26の端部が装着される凹部24hが形成されている。この両凹部24hにより金属ロッド26の端部が保持され、両中間リング24a,24b間に金属ロッド26が設置される。
【0024】
このような前記ステータ固定構造によれば、ステータ5の固定作業は次の工程にて行われる。まず、中間リング24a,24b間にステータ5を配置し、凹部24hに金属ロッド26を装着する。つぎに凹溝24cを介して連通孔24fおよびボルト孔5bに前記ボルト25の軸部25bを挿通し、軸部25bの先端を雌ねじ穴24dに締結すればよい。
【0025】
すなわち、雌ねじ穴24dに軸部25bが螺入するにしたがって通しボルト25の頭部25aが凹溝24eの溝底24j(連通孔24fの内周縁)を押圧するため、各分割コア5cが中間リング24a,24b間に挟まれて固定される。
【0026】
このときステータコア5aが中間リング24a,24b間で締め付けられるが、金属ロッド26が突っ張るため、中間リング24a,24b間の距離が金属ロッド26の軸方向の長さに制限される。したがって、中間リング24a,24b間の距離は、ステータコア5aの長さ(鉄心長)ではなく、機械加工された金属ロッド26の精度による。
【0027】
その結果、電磁鋼板5bの精度(バリの有無など)によって鉄心長が多少の偏差があっても金属ロッド26の長さまで締め付ければ、中間リング24a,24bの傾きを防止することができる。これにより中間リング24a,24bについて精度の良い並行度を保つことが可能となる。
【0028】
そして、中間リング24a,24bを取り付けた後、該中間リング24a,24bのインロー(入れ子構造)の後加工を施すことにより、さらに精度良い並行度・同芯度を実現することができる。したがって、ブラケット23a,23bの並行度の精度が改善され、この点で軸受4の摩耗進行などの製品寿命の問題が解消される。
【0029】
また、中間リング24a,24bを取り付けた状態のままステータコア5aのワニス含浸を行えるため、フレーム付きモータ1と同様にブラケット23a,23bを取り付ける前のワニス含浸が可能となる。これにより従来のように分割コア5c単位で内側からワニスを滴下含侵するなどの複雑工程を行う必要が無く、ワニス処理の簡素化を図ることができる。
【実施例0030】
図4および図5に基づき前記ステータ固定構造の実施例1を説明する。図4(a)中の31は、本実施例の前記ステー固定構造を採用したフレームレスモータを示している。
【0031】
フレームレスモータ31は、中間リング24a,24bに代わって中間リング34a,34bが設けられている。この中間リング34a,34bは、周方向に沿って大径の孔部(バカ孔)34cと雌ねじ穴24dとが交互に等間隔に形成されている。
【0032】
この孔部34cと雌ねじ穴24dとは、中間リング24a,24bのそれぞれを対応した位置に形成されている。図4(b)は中間リング34aの孔部34c・雌ねじ穴24dの形成位置を示している。これに対して中間リング34bは、中間リング34aの孔部34cに対応した位置に雌ねじ穴24dが形成され、中間リング34aの雌ねじ穴24dに対応した位置に孔部34cが形成されている。
【0033】
ここでは中間リング34a,34bは、孔部34c・雌ねじ穴24dをそれぞれ6個ずつ形成されている。この孔部34cの径はボルト5の頭部5aおよびボルト孔5bの径よりも大きく形成され、孔部34c・雌ねじ穴24dはボルト孔5bに対応した位置に連通形成されている。このボルト孔5bは分割コア5c毎に形成されているため、中間リング34a,34bは分割コア5c毎に孔部34c/雌ねじ穴25dが形成されている。
【0034】
そして、前記ボルト25の軸部25bを中間リング34a,34bの孔部34cを介してボルト孔5bに挿通に挿通し、それぞれの雌ねじ穴24dに締結することで各分割コア5cが中間リング34a.34b間に挟まれて固定されている。
【0035】
≪ステータ固定方法≫
図5に基づき本実施例によるステータ固定方法の工程を説明する。図5(a)(b)中の矢印Pはステータコア5aの一端部側を指し、同矢印Qはステータコア5bの他端部側を指している。
【0036】
第1工程:図5(a)に示すように、中間リング34bをステータコア5aの矢印P側に配置する。この状態のまま矢印Q側から6本の通しボルト25の軸部25bを中間リング34bのボルト孔5bに挿通する。ここで挿通された前記軸部25bの先端を中間リング34bの雌ねじ穴25dに締結することでステータコア5aが中間リング34bに固定される。
【0037】
第2工程:図5(b)に示すように、図5(a)の状態を180°回転させてステータコア5aの矢印Q側に中間リング34aを配置し、両中間リング34a,34bの凹部24hに金属ロッド26の両端部を装着する。この状態のまま矢印P側から6本の前記ボルト25の軸部25bを、中間リング34bの孔部34cを介して中間リング34bのボルト孔5bに挿通する。ここで挿通された前記軸部25bの先端を中間リング34aの雌ねじ穴25dに締結する。
【0038】
これにより中間リング34a,34b間にステータコア5aの各分割コア5cが挟まれて固定される。このとき金属ロッド26の長さまで締め付ければ中間リング34a,34bの傾きを防止でき、この点で実施例1と同様な効果を得ることができる。
【0039】
ここで実施例1の固定構造は、中間リング24a,24b間で各分割コア5cを締め付けるため、分割コア5c毎の軸方向の長さの相違によりステータコア5aの締め付けが緩むおそれがある。
【0040】
これに対して本実施例は、前記ボルト25の頭部25aが各分割コア25cのボルト孔25bの内周縁を直接締め付けるため、前記モータ31の音・振動などによる電磁鋼板5dの緩みを抑えることができる。これにより前記モータ31の低騒音・低振動を実現でき、特に分割鉄心の場合に優れた効果が得られる。
【0041】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載された範囲内で変形して実施することができる。例えば本発明のステータコア5aは分割鉄心の場合に限らず、一体鉄心による構成でもよいものとする。
【0042】
ただし、実施例2の固定構造は、前記ボルト25の頭部25aがボルト孔5bの内周縁を直接締め付けるため、一体鉄心の場合に積層電磁鋼板(ステータコア5a)が波打つおそれがある。この場合には前記各ボルト25の締付量を調整することで対処して均一化を図ることが好ましい。
【0043】
また、実施例1の孔部24cは、必ずしも二段孔に形成する必要はなく、連通孔24fを中間リング24aに貫通形成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
4…軸受
5…ステータ
5a…ステータコア
5b…ボルト孔
5c…分割コア
5d…電磁鋼板
6…ロータ
7…シャフト
21,31…フレームレスモータ
23a,23b…ブラケット
24a,24b,34a,34b…中間リング
24c,34c…孔部
24d…雌ねじ穴(雌ねじ部)
24e…凹溝
24f…連通孔
24g…ボス部
24h…凹部(保持部)
25…通しボルト(ボルト)
25a…頭部
25b…軸部
26…金属ロッド(ロッド)
図1
図2
図3
図4
図5