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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042300
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】水分検知タグ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/04 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
G01N27/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149532
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松保 諒
(72)【発明者】
【氏名】水谷 芳宏
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA05
2G060AC01
2G060AE12
2G060AF07
2G060AG03
2G060FA01
2G060JA06
2G060KA05
(57)【要約】
【課題】ベース基材上に設けられた検知用配線の導通状態を検出することで水分の発生を検知する水分検知タグにおいて、未使用時に検知用配線を保護しながらも簡易に使用時の状態とする。
【解決手段】ベース基材10に形成された2本の検知用配線13a,13bの導通状態を検出し、その検出結果をアンテナ12を介して非接触送信することで、被検知領域における水分の発生を検知する水分検知タグ1において、アンテナ12、検知用配線13a,13b及びICチップ11を覆うようにベース基材10に貼着された防水シート20が、2本の検知用配線13a,13bを跨ぐ一部の領域に、ミシン目21を介して防水シート20から分離可能に区画形成された分離部22を有し、分離部22は、ベース基材10に貼着されていない、または剥離可能に貼着されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材と、
前記ベース基材に設けられたアンテナ及び2本の検知用配線と、
前記アンテナ及び前記検知用配線の端部にそれぞれ接続されて前記ベース基材に設けられ、前記検知用配線の導通状態を検出し、その検出結果を前記アンテナを介して非接触送信する検出手段と、
前記アンテナ、前記2本の検知用配線及び前記検出手段を覆うように前記ベース基材に貼着された保護シートとを有する水分検知タグであって、
前記保護シートは、前記2本の検知用配線を跨ぐ一部の領域に、切り離し線を介して当該保護シートから分離可能に区画形成された分離部を有し、
前記分離部は、前記ベース基材に貼着されていない、または剥離可能に貼着されている水分検知タグ。
【請求項2】
請求項1の水分検知タグにおいて、
前記分離部は、前記ベース基材に対向する面に、前記2本の検知用配線を導通させるための導通層を有する、水分検知タグ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水分検知タグにおいて、
前記保護シートは、耐水性を具備する、水分検知タグ。
【請求項4】
ベース基材と、
前記ベース基材に設けられたアンテナ及び2本の検知用配線と、
前記アンテナ及び前記検知用配線の端部にそれぞれ接続されて前記ベース基材に設けられ、前記検知用配線の導通状態を検出し、その検出結果を前記アンテナを介して非接触送信する検出手段と、
前記2本の検知用配線を跨ぐ一部の領域を除いて、前記アンテナ、前記2本の検知用配線及び前記検出手段を覆うように前記ベース基材に貼着された保護シートとを有する水分検知タグであって、
前記2本の検知用配線のうち前記保護シートによって覆われていない部分を覆って前記ベース基材に剥離可能に貼着された被覆片を有する水分検知タグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検知領域に取り付けられ、被検知領域にて水分が発生した場合にその旨を検知する水分検知タグに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅のキッチンや洗面所等の流し台の下においては、水漏れが発生する虞があり、そのための様々な対策が施されている。その対策の1つとして、住宅のキッチンや洗面所等の流し台の下に、水分の発生を検知可能なセンサを配置しておき、このセンサによって水漏れ等による水分の発生を検知することが考えられる。
【0003】
ここで、特許文献1には、ベース基材上に一対の導電パターンを形成しておき、水分が発生した場合にその水分によって一対の導電パターン間を短絡させ、一対の導電パターン間が非導通状態であるか導通状態であるかを、アンテナを介して読み出すことで水分の発生を検知する水分検知センサが開示されている。この技術を用いることで、上述したような漏水を検知することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-124657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたものにおいては、ベース基材上に形成された導電パターンは、発生した水分が付着しやすくするために表出している。そのため、保管時に酸化によって劣化してしまったり、輸送時に擦れ等によって物理的な損傷を受けてしまったりする虞がある。このように導電パターンが劣化したり損傷を受けたりした場合、使用時に水分の発生を検知できなくなってしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、ベース基材上に設けられた検知用配線の導通状態を検出することで水分の発生を検知する水分検知タグにおいて、未使用時に検知用配線を保護しながらも簡易に使用時の状態とすることができる水分検知タグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
ベース基材と、
前記ベース基材に設けられたアンテナ及び2本の検知用配線と、
前記アンテナ及び前記検知用配線の端部にそれぞれ接続されて前記ベース基材に設けられ、前記検知用配線の導通状態を検出し、その検出結果を前記アンテナを介して非接触送信する検出手段と、
前記アンテナ、前記2本の検知用配線及び前記検出手段を覆うように前記ベース基材に貼着された保護シートとを有する水分検知タグであって、
前記保護シートは、前記2本の検知用配線を跨ぐ一部の領域に、切り離し線を介して当該保護シートから分離可能に区画形成された分離部を有し、
前記分離部は、前記ベース基材に貼着されていない、または剥離可能に貼着されている。
【0008】
上記のように構成された本発明においては、ベース基材に設けられた非導通状態の2本の検知用配線が表出していることで、水分検知タグの周囲にて水分が発生した場合、発生した水分が検知用配線に付着して2本の検知用配線が導通した状態となり、その導通状態が検出手段からアンテナを介して非接触送信されることで、水分の発生が検知されることになるが、未使用時においては、ベース基材に貼着された保護シートによって検知用配線が覆われていることで、保管時に検知用配線が酸化によって劣化したり、輸送時に擦れ等によって検知用配線が物理的な損傷を受けてしまったりすることが回避される。また、保護シートはベース基材に貼着されているものの、2本の検知用配線を跨ぐ一部の領域に、分離部が切り離し線を介して保護シートから分離可能に区画形成され、この分離部が、ベース基材に貼着されていない、または剥離可能に貼着されていることで、使用時は、切り離し線を破断して分離部を保護シートから分離するだけで2本の検知用配線を表出させることができ、簡易に使用時の状態とすることができる。
【0009】
また、分離部が、ベース基材に対向する面に、2本の検知用配線を導通させるための導通層を有する構成とすれば、分離部が分離シートから分離していない状態においては、2本の検知用配線が導通層を介して導通した状態となっているため、検出手段において2本の検知用配線が導通した状態であることを確認することで、検知用配線が使用前の状態において意図しない部分にて断線していないことやICチップの搭載ずれによる導通不良が検出されることになる。
【0010】
また、保護シートが耐水性を具備する構成であれば、使用時にアンテナや検知手段が水分から保護される。
【0011】
また、ベース基材と、
前記ベース基材に設けられたアンテナ及び2本の検知用配線と、
前記アンテナ及び前記検知用配線の端部にそれぞれ接続されて前記ベース基材に設けられ、前記検知用配線の導通状態を検出し、その検出結果を前記アンテナを介して非接触送信する検出手段と、
前記2本の検知用配線を跨ぐ一部の領域を除いて、前記アンテナ、前記2本の検知用配線及び前記検出手段を覆うように前記ベース基材に貼着された保護シートとを有する水分検知タグであって、
前記2本の検知用配線のうち前記保護シートによって覆われていない部分を覆って前記ベース基材に剥離可能に貼着された被覆片を有する。
【0012】
上記のように構成された本発明においては、ベース基材に設けられた非導通状態の2本の検知用配線が表出していることで、水分検知タグの周囲にて水分が発生した場合、発生した水分が検知用配線に付着して2本の検知用配線が導通した状態となり、その導通状態が検出手段からアンテナを介して非接触送信されることで、水分の発生が検知されることになるが、未使用時においては、ベース基材に貼着された保護シートと被覆片とによって検知用配線が覆われていることで、保管時に検知用配線が酸化によって劣化したり、輸送時に擦れ等によって検知用配線が物理的な損傷を受けてしまったりすることが回避される。また、被覆片はベース基材に剥離可能に貼着されていることで、使用時は、被覆片をベース基材から剥離するだけで2本の検知用配線を表出させることができ、簡易に使用時の状態とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ベース基材上に表出して設けられた検知用配線の導通状態を検出することで水分の発生を検知する水分検知タグにおいて、ベース基材に貼着された保護シートによって検知用配線が覆われており、保護シートが、2本の検知用配線を跨ぐ一部の領域に、切り離し線を介して保護シートから分離可能に区画形成された分離部を有し、この分離部が、ベース基材に貼着されていない、または剥離可能に貼着されている構成であることにより、未使用時は、検知用配線が保護シートによって覆われており、使用時は、切り離し線を破断して分離部を保護シートから分離するだけで検知用配線を表出させることができ、未使用時に検知用配線を保護しながらも簡易に使用時の状態とすることができる。
【0014】
また、分離部が、ベース基材に対向する面に、2本の検知用配線を導通させるための導通層を有するものにおいては、分離部が分離シートから分離していない状態においては、2本の検知用配線が導通層を介して導通した状態となっているため、検出手段において2本の検知用配線が導通した状態であることを確認することで、検知用配線が使用前の状態において意図しない部分にて断線していないことやICチップの搭載ずれによる導通不良を検出することができる。
【0015】
また、保護シートが耐水性を具備するものにおいては、使用時にアンテナや検知手段を水分から保護することができる。
【0016】
また、ベース基材上に設けられた検知用配線の導通状態を検出することで水分の発生を検知する水分検知タグにおいて、ベース基材に貼着された保護シート及び被覆片によって検知用配線が覆われており、被覆片がベース基材に剥離可能に貼着されていることにより、未使用時は、検知用配線が保護シート及び被覆片によって覆われており、使用時は、被覆片をベース基材から剥離するだけで検知用配線を表出させることができ、未使用時に検知用配線を保護しながらも簡易に使用時の状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の水分検知タグの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シート及び粘着層を取り除いた構成を示す図である。
図2図1に示した水分検知タグの使用方法を説明するための図である。
図3図1に示した水分検知タグの使用形態の一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した矢印A方向から見た面図である。
図4図1に示した水分検知タグが図3に示したように水分検知領域に取り付けられた状態にて水分検知領域に水分が発生した場合の作用を説明するための図であり、(a)は水分検知領域に水分が発生していないときの状態を示す図、(b)は水分検知領域に水分が発生したときの状態を示す図である。
図5図1に示した水分検知タグを用いて水分検知領域における水漏れを検知するためのシステムの一例を示す図である。
図6図5に示したシステムにおいて図1に示した水分検知タグが図3に示したように水分検知領域に取り付けられた場合の水分検知領域における水漏れを検知する方法を説明するためのフローチャートである。
図7】本発明の水分検知タグの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シート及び粘着層を取り除いた構成を示す図である。
図8図5に示したシステムにおいて図7に示した水分検知タグの導通不良を検査する方法を説明するためのフローチャートである。
図9】本発明の水分検知タグの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シート及び粘着層を取り除いた構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の水分検知タグの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シート20及び粘着層30aを取り除いた構成を示す図である。なお、後述するように、粘着層30a上には糊殺し層50が積層されているが、検知用配線13a,13bと糊殺し層50との位置関係を示すために、図1(d)においては、糊殺し層50を記載している。
【0020】
本形態は図1に示すように、ベース基材10の表面に耐水性を具備する防水シート20が積層、貼着されるとともに、ベース基材10の裏面に剥離紙40が剥離可能に貼着されて構成された水分検知タグ1である。
【0021】
ベース基材10は、例えば紙等の吸湿性を具備する材料から構成されており、長方形の形状を有している。ベース基材10の一方の面には、非接触通信用のアンテナ12及び2本の検知用配線13a,13bが形成されているとともに、検出手段となるICチップ11が搭載されている。
【0022】
アンテナ12は、ベース基材10の一方の面に、2つの二等辺三角形の導体が空隙を介して並ぶようにして形成されている。なお、アンテナ12の形状としてはこれに限らず、2つの帯状の導体が空隙を介して直線上に並んだものや、1つの導体から構成されたもの等、様々なものが考えられる。
【0023】
2本の検知用配線13a,13bは、それぞれ一方の端部がICチップ11に接続され、そこからICチップ11から離れる方向に互いに並行して延び、ベース基材10の端辺の手前にて終端している。
【0024】
ICチップ11は、2つのアンテナ端子(不図示)と、2つの検知用端子(不図示)とが設けられており、これらアンテナ端子及び検知用端子が設けられた面が搭載面となって、ベース基材10のアンテナ12及び検知用配線13a,13bが形成された面に搭載され、異方性導電ペースト(不図示)によって固定されている。ICチップ11のアンテナ端子はそれぞれアンテナ12に接続され、ICチップ11の検知用端子は、検知用配線13a,13bのそれぞれの一方の端部に接続されており、異方性導電ペーストによって、アンテナ端子がアンテナ12に、検知用端子が検知用配線13a,13bにそれぞれ導通している。ICチップ11は、アンテナ12を介した非接触通信によって得た電力による電流を検知用配線13a,13bに流すことで検知用配線13a,13b間の抵抗値を検出し、その抵抗値に基づいて検知用配線13a,13bの導通状態を検出し、その検出結果をデジタル情報に変換してアンテナ12を介して非接触送信する。
【0025】
防水シート20は、本願発明にて保護シートとなるものである。防水シート20は、一方の面の全面に粘着層30aが積層されており、ベース基材10のアンテナ12及び検知用配線13a,13bが設けられた面の全面に、アンテナ12、検知用配線13a,13b及びICチップ11を覆って積層され、粘着層30aによって貼着されている。防水シート20としては、防水シート20の一方の面に粘着層30aが積層された防水タック紙を使用することができる。このように、防水シート20によってICチップ11が覆われていることで、アンテナ12やICチップ11を水分から保護することができる。また、防水シート20には、防水シート20の端辺のうち検知用配線13a,13bと並行する2つの端辺を結ぶ切り離し線となるミシン目21が、検知用配線13a,13bのICチップ11とは反対側の端部に近接する端辺に沿って形成されており、このミシン目21を介して検知用配線13a,13bのICチップ11とは反対側の端部に対向する側が分離部22となって防水シート20から分離可能に区画形成されている。これにより、防水シート20は、検知用配線13a,13bを跨ぐ一部の領域に分離部22が分離可能に区画形成されている。
【0026】
粘着層30aのベース基材10との貼着面のうち分離部22に対向する領域には、ベース基材10と防水シート20とを貼着するための粘着層30aによる貼着力をなくすための糊殺し層50が積層されている。なお、糊殺し層50は、UVニスを塗布した後に硬化させることで積層することや、糊殺し層50の幅を有する細い幅の紙片を粘着層30aに貼り付けることで積層すること等が考えられる。
【0027】
これにより、防水シート20は、ベース基材10のうち分離部22以外の領域においては、粘着層30aによってベース基材10に貼着され、分離部22においては、糊殺し層50によってベース基材10に貼着されていないものとなっている。
【0028】
剥離紙40は、剥離台紙(不図示)の一方の面に剥離剤(不図示)が塗布されて構成され、粘着層30bによってベース基材10に剥離可能に貼着されている。
【0029】
以下に、上記のように構成された水分検知タグ1の使用方法及びその際の作用について説明する。
【0030】
図2は、図1に示した水分検知タグ1の使用方法を説明するための図である。
【0031】
図1に示した水分検知タグ1は、未使用時、すなわち使用前の状態においては、上述したように検知用配線13a,13bが全て防水シート20で覆われている。
【0032】
図1に示した水分検知タグ1を使用する場合は、図2(a)に示すように、ミシン目21を破断していくことによって分離部22を切り離して分離する。防水シート20は、粘着層30aによってベース基材10に貼着されているものの、分離部22は、粘着層30a上に積層された糊殺し層50によってベース基材10に貼着されていないため、防水シート20から切り離してベース基材10から分離することができる。
【0033】
分離部22が防水シート20から切り離されて分離すると、図2(b)に示すように、検知用配線13a,13bの一部がそれぞれ表出する。分離部22は、上述したように、検知用配線13a,13bのICチップ11とは反対側の端部に対向しているため、分離部22が防水シート20から切り離されて分離すると、検知用配線13a,13bのICチップ11とは反対側の端部がそれぞれ表出することになる。
【0034】
そして、検知用配線13a,13bの表出した部分に水分が付着することで、発生した水分が検知されることになる。
【0035】
図3は、図1に示した水分検知タグ1の使用形態の一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した矢印A方向から見た面図である。
【0036】
図1に示した水分検知タグ1は、例えば図3に示すように、被検知領域となる水分検知領域2の床面3に取り付けられ、水分検知領域2にて発生した水分を検知するために使用することが考えられる。その場合、剥離紙40を剥離し、表出した粘着層30bによってL字アングル7の側面に水分検知タグ1を貼着する。
【0037】
図4は、図1に示した水分検知タグ1が図3に示したように水分検知領域2に取り付けられた状態にて水分検知領域2に水分が発生した場合の作用を説明するための図であり、(a)は水分検知領域2に水分が発生していないときの状態を示す図、(b)は水分検知領域2に水分が発生したときの状態を示す図である。
【0038】
図1に示した水分検知タグ1が図3に示したように水分検知領域2に取り付けられた状態で、水分検知領域2にて水漏れ等によって水分が発生していない場合は、図4(a)に示すように、検知用配線13a,13b間が導通しておらず、それにより検知用配線13a,13b間が非導通状態となっている。
【0039】
一方、図1に示した水分検知タグ1が図3に示したように水分検知領域2に取り付けられた状態で、水分検知領域2にて水漏れ等によって水分が発生すると、図4(b)に示すように、発生した水分4が検知用配線13a,13bの防水シート20で覆われていない端部間に付着し、それにより、2本の検知用配線13a,13bが水分4によって短絡して導通状態となる。そして、この検知用配線13a,13b間の導通状態を検出することで、水分検知領域2にて水漏れ等によって水分が発生した旨が検知されることになる。
【0040】
このように、水分検知領域2にて水漏れ等によって水分が発生していない場合は、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっており、一方、水分検知領域2にて水漏れ等によって水分が発生している場合は、検知用配線13a,13b間が導通状態となるため、検知用配線13a,13bの導通状態を検出することで、水分検知領域2にて水漏れ等によって水分が発生していることを検知することができる。また、図3に示したように、水分検知タグ1を水分検知領域2の床面3に貼着するのではなく、L字アングル7の側面に貼着して水分検知領域2に取り付けることで、検知用配線13a,13bの防水シート20から表出した端部が下側となるように水分検知タグ1をL字アングル7に貼着すれば、水分検知領域2の床面3に水分が溜まっていった場合に、検知用配線13a,13b間が発生した水分によって導通状態となってから、ICチップ11やアンテナ12が発生した水分によって水没するまでの時間を稼ぐことができる。また、図3に示したように、水分検知タグ1を水分検知領域2の側壁に貼着するのではなく、L字アングル7の側面に貼着して水分検知領域2に取り付けることで、特に水分検知領域2が狭い場合等において作業効率が向上する。
【0041】
上述したように図1に示した水分検知タグ1においては、ベース基材10に設けられた非導通状態の2本の検知用配線13a,13bが表出していることで、水分検知タグ1の周囲にて水分が発生した場合、発生した水分が検知用配線13a,13bに付着して2本の検知用配線13a,13bが導通した状態となり、その導通状態がICチップ11からアンテナ12を介して非接触送信されることで、水分の発生が検知されることになるが、未使用時においては、ベース基材10に貼着された防水シート20によって検知用配線13a,13bが覆われていることで、保管時に検知用配線13a,13bが酸化によって劣化したり、輸送時に擦れ等によって検知用配線13a,13bが物理的な損傷を受けてしまったりすることが回避される。また、防水シート20はベース基材10に貼着されているものの、2本の検知用配線13a,13bを跨ぐ一部の領域に、ベース基材10に貼着されていない分離部22がミシン目21を介して防水シート20から分離可能に区画形成されていることで、使用時は、ミシン目21を破断して分離部22を防水シート20から分離するだけで2本の検知用配線13a,13bを表出させることができ、簡易に使用時の状態とすることができる。また、ベース基材10の全面に防水シート20が積層、貼着されていることで、複数の水分検知タグ1が一列に並んだ帯状のシート体を用いて水分検知タグ1を製造する場合に、分離部を予め切り離した状態で製造する場合と比較して段差がなくなり、シート体をロール状に巻き取る工程等において取り扱いやすくなる。
【0042】
なお、図1に示した水分検知タグ1においては、粘着層30aのベース基材10との貼着面のうち分離部22に対向する領域に糊殺し層50が積層され、それにより、分離部22が糊殺し層50によってベース基材10に貼着されていない構成となっているが、分離部22がベース基材10に剥離可能に貼着された構成としてもよい。その際、分離部22をベース基材10から剥離しやすいように、分離部22にコーナーカット等を設けてもよい。
【0043】
以下に、上述した作用を利用して水分検知タグ1を用いて水分検知領域2における水漏れの発生を検知する具体的な方法について説明する。
【0044】
図5は、図1に示した水分検知タグ1を用いて水分検知領域2における水漏れを検知するためのシステムの一例を示す図である。
【0045】
図1に示した水分検知タグ1を用いて図3に示した水分検知領域2における水漏れを検知するためのシステムとしては、図5に示すように、水分検知タグ1に対して非接触通信が可能な読取手段となるリーダライタ5と、リーダライタ5と有線または無線を介して接続された処理手段となる管理用パソコン6とを有するシステムが考えられる。なお、読取手段のみならず処理手段が内蔵されたハンディターミナルをリーダライタとして用いることも考えられ、その場合、管理用パソコンが不要となる。
【0046】
図6は、図5に示したシステムにおいて図1に示した水分検知タグ1が図3に示したように水分検知領域2に取り付けられた場合の水分検知領域2における水漏れを検知する方法を説明するためのフローチャートである。
【0047】
図1に示した水分検知タグ1においては、リーダライタ5が水分検知タグ1の通信可能範囲にて翳され、リーダライタ5にて水分検知タグ1が検出されると(ステップ1)、まず、リーダライタ5から、水分検知タグ1に電力が供給されるとともに、検知用配線13a,13bの導通状態の検出及びその検出結果の送信をする旨の命令が水分検知タグ1に対して送信される(ステップ2)。
【0048】
リーダライタ5から供給された電力が水分検知タグ1にて得られるとともに、リーダライタ5から送信された命令が水分検知タグ1のアンテナ12を介してICチップ11にて受信されると(ステップ3)、リーダライタ5から供給された電力によって検知用配線13a,13bに電流が供給される。
【0049】
ICチップ11においては、供給された電流を用いて検知用配線13a,13b間の抵抗値が検出されることで、検知用配線13a,13bの導通状態が検出されることになる(ステップ4)。ここで、水分検知タグ1が図3に示したように水分検知領域2に取り付けられ、水分検知領域2にて水漏れが発生していない場合は、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっている。その状態においては、リーダライタ5から供給された電力によって検知用配線13a,13bに電流が供給されても、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっていることから検知用配線13a,13bには電流が流れず、それにより、ICチップ11において検出される抵抗値は、ほぼ無限大となる。
【0050】
ICチップ11においては、検出された抵抗値がほぼ無限大である場合は、検知用配線13a,13b間が非導通状態になっていると判断され、その判断結果が検知用配線13a,13bの導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される(ステップ5)。なお、検知用配線13a,13b間が導通状態である場合にICチップ11にて検出される抵抗値が、後述するように、検知用配線13aと検知用配線13bとが水分4によって短絡した抵抗値、すなわち、最大でも、検知用配線13aと検知用配線13bとが防水シート20から表出した部分間にて互いに接続された抵抗値となることから、ICチップ11において、検知用配線13a,13b間が非導通状態であると判断するための抵抗値として、ほぼ無限大ではなく、検知用配線13aと検知用配線13bとが防水シート20から表出した部分間にて互いに接続された抵抗値よりも大きな一定の閾値以上のものを用いてもよい。
【0051】
一方、水分検知タグ1が図3に示したように水分検知領域2に取り付けられ、水分検知領域2にて水漏れが発生している場合は、上述したように、検知用配線13aと検知用配線13bとが水分4によって短絡することで検知用配線13a,13b間が導通状態となっているため、ICチップ11においては、検知用配線13aと検知用配線13bとが水分4が付着した領域間で接続された抵抗値が検出されることになる。
【0052】
検知用配線13aと検知用配線13bとが水分4によって短絡することで導通状態となっている場合は、上述したように、検出される抵抗値は、最大でも検知用配線13aと検知用配線13bとが防水シート20から表出した部分間にて互いに接続された抵抗値となることから、ICチップ11においては、検出された抵抗値が、検知用配線13aと検知用配線13bとが防水シート20から表出した部分間にて互いに接続された抵抗値以下である場合は、検知用配線13a,13b間が導通状態にあると判断され、その判断結果が検知用配線13a,13bの導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される。なお、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっている場合にICチップ11にて検出される抵抗値が、上述したようにほぼ無限大となることから、ICチップ11において、検知用配線13a,13b間が導通状態にあると判断するための抵抗値として、検知用配線13aと検知用配線13bとが防水シート20から表出した部分間にて互いに接続された抵抗値ではなく、それよりも大きな一定の閾値以下のものを用いてもよい。
【0053】
このように、リーダライタ5においては、水分検知タグ1にて検出された検知用配線13a,13bの導通状態を、アンテナ12を介して非接触送信させることになる。
【0054】
上記のようにして水分検知タグ1からリーダライタ5に非接触送信された検出結果がリーダライタ5にて受信されると(ステップ6)、リーダライタ5にて受信された検出結果は管理用パソコン6に転送される(ステップ7)。
【0055】
リーダライタ5から転送されてきた検出結果が管理用パソコン6にて受信されると(ステップ8)、管理用パソコン6において、水分検知タグ1からリーダライタ5に非接触送信され、管理用パソコン6に転送されてきた検出結果に基づいて、水分検知領域2にて水漏れが発生しているかどうかが判断されることになる(ステップ9)。具体的には、リーダライタ5から管理用パソコン6に転送されてきた検出結果において、検知用配線13a,13b間が非導通状態である場合は水分検知領域2にて水漏れが発生していないと判断され、検知用配線13a,13b間が導通状態である場合は水分検知領域2にて水漏れが発生していると判断されることになる。
【0056】
このように、水分検知領域2に水分検知タグ1を取り付けておき、リーダライタ5にて非接触状態で水分検知タグ1の検知用配線13a,13bの導通状態を確認することで水分検知領域2における水漏れ等による水分の発生を検知できるため、例えば、水分検知領域2が、住宅のキッチンや洗面所等の流し台の下である場合等、扉を開けたり、引き出しを引き出したりしなければ水漏れ等による水分の発生を確認できない場所である場合でも、水漏れ等による水分の発生を容易に検知することができる。
【0057】
(第2の実施の形態)
図7は、本発明の水分検知タグの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シート20及び粘着層30aを取り除いた構成を示す図である。なお、後述するように、粘着層30a上には糊殺し層50を介して導電層60が積層されているが、検知用配線13a,13bと導電層60との位置関係を示すために、図7(d)においては、導電層60を記載している。
【0058】
本形態は図7に示すように、図1に示したものに対して、防水シート20の分離部22において粘着層30a上に糊殺し層50を介して導電層60が積層されている点が異なる水分検知タグ101である。
【0059】
上記のように構成された水分検知タグ101においては、分離部22が防水シート20から分離していない状態においては、2本の検知用配線13a,13bが導電層60を介して導通している。そこで、この導通状態を確認することで、検知用配線13a,13bが使用前の状態において意図しない部分にて断線していないことやICチップ11の搭載ずれによる導通不良を検出することができる。
【0060】
なお、本形態においては、糊殺し層50上に導電層60が積層されることで、導電層60が、防水シート20の端辺に沿った帯状のものとなっているが、導電層60は、少なくとも2本の検知用配線13a,13bを跨ぐように検知用配線13a,13b間に設けられていればよい。
【0061】
図8は、図5に示したシステムにおいて図7に示した水分検知タグ101の導通不良を検査する方法を説明するためのフローチャートである。
【0062】
図7に示した水分検知タグ101においては、分離部22が防水シート20から分離していない状態にてリーダライタ5が水分検知タグ101に近接され、リーダライタ5にて水分検知タグ1が検出されると(ステップ11)、図6にて示したフローチャートにおける処理と同様にまず、リーダライタ5から、水分検知タグ1に電力が供給されるとともに、検知用配線13a,13bの導通状態の検出及びその検出結果の送信をする旨の命令が水分検知タグ1に対して送信される(ステップ12)。
【0063】
リーダライタ5から供給された電力が水分検知タグ101にて得られるとともに、リーダライタ5から送信された命令が水分検知タグ101のアンテナ12を介してICチップ11にて受信されると(ステップ13)、リーダライタ5から供給された電力によって検知用配線13a,13bに電流が供給される。
【0064】
ICチップ11においては、供給された電流を用いて検知用配線13a,13b間の抵抗値が検出されることで、検知用配線13a,13bの導通状態が検出されることになる(ステップ14)。ここで、水分検知タグ101の検知用配線13a,13bが使用前の状態において意図しない部分にて断線していなかったりICチップ11の搭載ずれによる導通不良が生じていなければ、検知用配線13a,13bが導電層60を介して導通状態となっているため、ICチップ11においては、検知用配線13aと検知用配線13bとが導電層60を介して接続された抵抗値が検出されることになる。
【0065】
検知用配線13aと検知用配線13bとが導電層60を介して導通状態となっている場合は、検出される抵抗値は、検知用配線13aと検知用配線13bとが導電層60を介して接続された抵抗値となることから、ICチップ11においては、検出された抵抗値が、検知用配線13aと検知用配線13bとが導電層60を介して接続された抵抗値以下である場合は、検知用配線13a,13bが導通状態にあると判断され、その判断結果が検知用配線13a,13bの導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される(ステップ15)。なお、検知用配線13a,13bが非導通状態となっている場合にICチップ11にて検出される抵抗値が、後述するようにほぼ無限大となることから、ICチップ11において、検知用配線13a,13bが導通状態にあると判断するための抵抗値として、検知用配線13aと検知用配線13bとが導電層60を介して接続された抵抗値ではなく、それよりも大きな一定の閾値以下のものを用いてもよい。
【0066】
一方、水分検知タグ101の検知用配線13a,13bが使用前の状態において意図しない部分にて断線していたりICチップ11の搭載ずれによる導通不良が生じている場合は、検知用配線13aと検知用配線13bとが導電層60を介して接続されているものの、リーダライタ5から供給された電力によって検知用配線13a,13bに電流が供給されても、検知用配線13a,13bには電流が流れず、それにより、ICチップ11において検出される抵抗値は、ほぼ無限大となる。
【0067】
ICチップ11においては、検出された抵抗値がほぼ無限大である場合は、検知用配線13a,13bが非導通状態になっていると判断され、その判断結果が検知用配線13a,13bの導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される。なお、検知用配線13a,13bが導通状態である場合にICチップ11にて検出される抵抗値が、上述したするように、検知用配線13aと検知用配線13bとが導電層60を介して接続された抵抗値となることから、ICチップ11において、検知用配線13a,13bが非導通状態であると判断するための抵抗値として、ほぼ無限大ではなく、検知用配線13aと検知用配線13bとが導電層60を介して接続された抵抗値よりも大きな一定の閾値以上のものを用いてもよい。
【0068】
このように、リーダライタ5においては、水分検知タグ101にて検出された検知用配線13a,13bの導通状態を、アンテナ12を介して非接触送信させることになる。
【0069】
上記のようにして水分検知タグ101からリーダライタ5に非接触送信された検出結果がリーダライタ5にて受信されると(ステップ16)、リーダライタ5にて受信された検出結果は管理用パソコン6に転送される(ステップ17)。
【0070】
リーダライタ5から転送されてきた検出結果が管理用パソコン6にて受信されると(ステップ18)、管理用パソコン6において、水分検知タグ101からリーダライタ5に非接触送信され、管理用パソコン6に転送されてきた検出結果に基づいて、検知用配線13a,13bが使用前の状態において意図しない部分にて断線していたりICチップ11の搭載ずれによる導通不良が生じていたりするかどうかが判断されることになる(ステップ19)。具体的には、リーダライタ5から管理用パソコン6に転送されてきた検出結果において、検知用配線13a,13bが導通状態である場合は、検知用配線13a,13bが使用前の状態において意図しない部分にて断線していたりICチップ11の搭載ずれによる導通不良が生じていないと判断され、検知用配線13a,13bが非導通状態である場合は、検知用配線13a,13bが使用前の状態において意図しない部分にて断線していたりICチップ11の搭載ずれによる導通不良が生じていたりするといった導通不良が生じていると判断されることになる。
【0071】
なお、本形態においては、防水シート20の分離部22において糊殺し層50上に導電層60が積層されているものを例に挙げて説明したが、ベース基材10の分離部22に対向する領域に導電層60を積層してもよい。ただしその場合は、分離部22を防水シート20から切り離した場合に、導電層60もベース基材10から分離される構成とする必要がある。
【0072】
また、導電層60が糊殺し層50を兼ねていれば、糊殺し層50をあえて設ける必要はない。
【0073】
また、上述した2つの実施の形態においては、2本の検知用配線13a,13bが、ベース基材10の端辺の手前にて終端しているものを例に挙げて説明したが、ベース基材10の端辺まで延びていてもよい。ただ、2本の検知用配線13a,13bが、ベース基材10の端辺の手前にて終端している方が、防水シート20から分離部22が分離していない状態において検知用配線13a,13bが防水シート20によって完全に覆われているため、検知用配線13a,13bが酸化によって劣化したり、物理的な損傷を受けてしまったりすることを回避できるという効果を確実に得ることができる。一方、2本の検知用配線13a,13bが、ベース基材10の端辺まで延びているものにおいては、検知用配線13a,13bの端部が水分検知タグ1の端辺から表出していることで、上述した導電層60を用いなくても、分離部22が防水シート20から分離していない状態において、ICチップ11において検知用配線13a,13bの導通状態を確認することで、検知用配線13a,13bが使用前の状態において意図しない部分にて断線していないことやICチップ11の搭載ずれによる導通不良を検出することができる。
【0074】
(第3の実施の形態)
図9は、本発明の水分検知タグの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シート20及び粘着層30aを取り除いた構成を示す図である。なお、図1に示したものと同様に、粘着層30a上には糊殺し層50が積層されているが、検知用配線13a,13bと糊殺し層50との位置関係を示すために、図9(d)においては、糊殺し層50を記載している。
【0075】
本形態は図9に示すように、図1に示したものに対して、検知用配線213a,213bの形状が異なる水分検知タグ201である。
【0076】
本形態の水分検知タグ201においては、2本の検知用配線213a,213bの一部が、防水シート20の分離部22に対向する領域においてミシン目21と並行するように形成されている。そして、このミシン目21と並行している部分において、水分によって2本の検知用配線213a,213bが上記同様に短絡して導通状態となることで、水分が検知されることになる。
【0077】
なお、上述した3つの実施の形態においては、分離部22を分離可能とするためのミシン目21が防水シート20の2つの端辺を結ぶように形成され、このミシン目21を介して一方の領域が分離部22となって防水シート20から分離可能に区画形成されているが、分離部22は、2本の検知用配線13a,13b,213a,213bを跨ぐ一部の領域に設けられていれば、3辺または4辺からなるミシン目によって防水シート20からくり抜かれるようにして分離可能に区画形成された形態であってもよい。
【0078】
また、上述した3つの実施の形態においては、2本の検知用配線13a,13b,213a,213bが、互いに並行して延びたものを例に挙げて説明しているが、2本の検知用配線は互いに並行して延びていなくてもよい。また、2本の検知用配線の形状は、櫛歯状等であってもよく、上述した3つの実施の形態に示したように直線状のものに限らない。
【0079】
(他の実施の形態)
上述した実施の形態においては、防水シート20に分離可能に区画形成された分離部22によって、未使用時に検知用配線13a,13b,213a,213bを覆いながらも、使用時には検知用配線13a,13b,213a,213bを表出させているが、防水シート20とは別個に、未使用時には検知用配線13a,13b,213a,213bの一部を覆い、使用時には検知用配線13a,13b,213a,213bを表出させる被覆片を設けてもよい。その場合、防水シートは、2本の検知用配線13a,13b,213a,213bを跨ぐ一部の領域を除いて、アンテナ12、検知用配線13a,13b,213a,213b及びICチップ11を覆うようにベース基材に貼着され、被覆片は、検知用配線13a,13b,213a,213bのうち防水シート20によって覆われていない部分を覆ってベース基材10に剥離可能に貼着された構成となる。
【0080】
このように構成された水分検知タグにおいても、ベース基材10に設けられた非導通状態の2本の検知用配線13a,13b,213a,213bが表出していることで、水分検知タグの周囲にて水分が発生した場合、発生した水分が検知用配線13a,13b,213a,213bに付着して2本の検知用配線13a,13b,213a,213bが導通した状態となり、その導通状態がICチップ11からアンテナ12を介して非接触送信されることで、水分の発生が検知されることになるが、未使用時においては、ベース基材10に貼着された防水シート20と被覆片とによって検知用配線13a,13b,213a,213bが覆われていることで、保管時に検知用配線13a,13b,213a,213bが酸化によって劣化したり、輸送時に擦れ等によって検知用配線が物理的な損傷を受けてしまったりすることが回避される。また、被覆片がベース基材10に剥離可能に貼着されていることで、使用時は、被覆片をベース基材10から剥離するだけで2本の検知用配線13a,13b,213a,213bを表出させることができ、簡易に使用時の状態とすることができる。
【符号の説明】
【0081】
1,101,201 水分検知タグ
2 水分検知領域
3 床面
4 水分
5 リーダライタ
6 管理用パソコン
7 L字アングル
10 ベース基材
11 ICチップ
12 アンテナ
13a,13b,213a,213b 検知用配線
20 防水シート
21 ミシン目
22 分離部
30a,30b 粘着層
40 剥離紙
50 糊殺し層
60 導電層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9