(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042302
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】裁断支援装置、裁断パターン生成方法、および裁断システム
(51)【国際特許分類】
A43D 3/02 20060101AFI20230317BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20230317BHJP
【FI】
A43D3/02
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149535
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小塚 祐也
(72)【発明者】
【氏名】波多野 元貴
(72)【発明者】
【氏名】岩下 直人
(72)【発明者】
【氏名】高島 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】若杉 晋作
【テーマコード(参考)】
4F050
5L049
【Fターム(参考)】
4F050NA02
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】複数の板状パーツを組み立てて靴型を作製する場合において、複数の板状パーツを板状の部材から裁断するための裁断パターンを生成する裁断支援装置、裁断パターン生成方法、および裁断システムを提供する。
【解決手段】裁断支援装置100は、靴型データを受け付ける入力部106と、複数の板状パーツの形状および種類を記憶するストレージ110と、靴型データおよび複数の板状パーツの形状に基づいて、あらかじめ定められた大きさの板状の部材から複数の板状パーツを裁断するための裁断パターンを生成するプロセッサ102と、裁断パターンを出力する出力部108と、を備えている。プロセッサ102は、靴型を構成する板状パーツの種類に応じて、板状の部材に配置する板状パーツのエリアを複数に分け、エリアの各々において、当該エリア内に配置する複数の板状パーツの位置を配置条件から求め、裁断パターンを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴型を構成する複数の板状パーツを板状の部材から裁断するための裁断パターンを生成する裁断支援装置であって、
靴型データを受け付ける入力部と、
前記複数の板状パーツの形状および種類を記憶する記憶部と、
前記入力部で受け付けた前記靴型データおよび前記記憶部に記憶する前記複数の板状パーツの形状に基づいて、あらかじめ定められた大きさの前記板状の部材から前記複数の板状パーツを裁断するための前記裁断パターンを生成する演算部と、
前記演算部で演算した前記裁断パターンを出力する出力部と、を備え、
前記演算部は、
前記靴型を構成する板状パーツの種類に応じて、前記板状の部材に配置する板状パーツのエリアを複数に分け、
前記エリアの各々において、当該エリア内に配置する前記複数の板状パーツの位置を配置条件から求め、前記裁断パターンを生成する、裁断支援装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記板状の部材内における前記エリアの各々の位置を、前記配置条件を用いて求める、請求項1に記載の裁断支援装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記複数の板状パーツの組み立て順をさらに記憶し、
前記配置条件は、前記複数の板状パーツの組み立て順に並べる条件と、前記複数の板状パーツを配置する各々のエリアの面積が最小となる条件との少なくとも一方を含む、請求項1または請求項2に記載の裁断支援装置。
【請求項4】
前記複数の板状パーツの組み立て順は、つま先側からの順である、請求項3に記載の裁断支援装置。
【請求項5】
前記配置条件は、各々のエリア内に配置する前記複数の板状パーツの裁断時間が最小となる条件をさらに含む、請求項3または請求項4に記載の裁断支援装置。
【請求項6】
前記配置条件は、各々のエリア内に配置する前記複数の板状パーツの向きを揃える条件をさらに含む、請求項3~請求項5のいずれか1項に記載の裁断支援装置。
【請求項7】
前記演算部は、複数枚の前記板状の部材に分けて、前記複数の板状パーツを配置した前記裁断パターンを生成する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の裁断支援装置。
【請求項8】
前記演算部は、前記裁断パターンがあらかじめ定めた枚数以上の前記板状の部材を必要とする場合、前記複数の板状パーツから前記板状の部材に配置する板状パーツの数を減らして前記裁断パターンを生成する、請求項7に記載の裁断支援装置。
【請求項9】
前記演算部は、前記複数の板状パーツの中で前記靴型の形状に対して影響が少ない板状パーツを減らして前記裁断パターンを生成する、請求項8に記載の裁断支援装置。
【請求項10】
前記演算部は、前記複数の板状パーツに識別情報をそれぞれ付与した前記裁断パターンを生成する、請求項3に記載の裁断支援装置。
【請求項11】
前記演算部は、前記識別情報の向きが、前記複数の板状パーツを組み立てた後に同じ向きになるように前記識別情報を前記裁断パターンに付与する、請求項10に記載の裁断支援装置。
【請求項12】
靴型を構成する複数の板状パーツを板状の部材から裁断するための裁断パターンを生成し、生成した前記裁断パターンに基づいて前記板状の部材から前記複数の板状パーツを裁断する裁断システムであって、
前記裁断パターンを生成する裁断支援装置と、
前記裁断支援装置で演算した前記裁断パターンに基づいて前記板状の部材から前記複数の板状パーツを裁断する裁断装置と、を備え、
前記裁断支援装置は、
靴型データを受け付ける入力部と、
前記複数の板状パーツの形状および種類を記憶する記憶部と、
前記入力部で受け付けた前記靴型データおよび前記記憶部に記憶する前記複数の板状パーツの形状に基づいて、あらかじめ定められた大きさの前記板状の部材から前記複数の板状パーツを裁断するための前記裁断パターンを生成する演算部と、
前記演算部で演算した前記裁断パターンを出力する出力部と、を備え、
前記演算部は、
前記靴型を構成する板状パーツの種類に応じて、前記板状の部材に配置する板状パーツのエリアを複数に分け、
前記エリアの各々において、当該エリア内に配置する前記複数の板状パーツの位置を配置条件から求め、前記裁断パターンを生成する、裁断システム。
【請求項13】
靴型を構成する複数の板状パーツを板状の部材から裁断するための裁断パターンを生成する裁断パターンの生成方法であって、
靴型データを受け付けるステップと、
受け付けた前記靴型データおよび記憶部に記憶する前記複数の板状パーツの形状に基づいて、あらかじめ定められた大きさの前記板状の部材から前記複数の板状パーツを裁断するための前記裁断パターンを生成するステップと、
演算した前記裁断パターンを出力するステップと、含み、
前記裁断パターンを生成するステップは、
前記靴型を構成する板状パーツの種類に応じて、前記板状の部材に配置する板状パーツのエリアを複数に分けるステップと、
前記エリアの各々において、当該エリア内に配置する前記複数の板状パーツの位置を配置条件から求めるステップと、含む、裁断パターンの生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、裁断支援装置、裁断パターン生成方法、および裁断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの足に合わせたオーダーメイドのシューズを作製する際、測定装置で測定した足形に合わせて靴型を作製する必要がある。特許文献1には、可搬型のハウジング内で履物を製造することが開示されている。特許文献2には、形状記憶ポリマーにより再成形できるラストプリフォームが開示されている。特許文献3には、3Dプリントにより靴型を形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0014609号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0206049号明細書
【特許文献3】中国特許第109732913号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、いずれの特許文献においてもユーザ専用の靴型を作製するには、専用の大型機械が用いられ、時間およびコストを要していた。また、いずれの特許文献においてもユーザ自身が靴型を作製する体験を実現することは困難であった。ユーザ自身が靴型を作製する体験を実現するには、例えば、店舗などで複数の板状パーツを組み立てて靴型を作製することが必要である。店舗などで、複数の板状パーツを組み立てて靴型を作製するには、ユーザが組み立て易いように複数の板状パーツを準備する必要がある。
【0005】
本開示では、複数の板状パーツを組み立てて靴型を作製する場合において、複数の板状パーツを板状の部材から裁断するための裁断パターンを生成する裁断支援装置、裁断パターン生成方法、および裁断システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従う裁断支援装置は、靴型を構成する複数の板状パーツを板状の部材から裁断するための裁断パターンを生成する。裁断支援装置は、靴型データを受け付ける入力部と、複数の板状パーツの形状および種類を記憶する記憶部と、入力部で受け付けた靴型データおよび記憶部に記憶する複数の板状パーツの形状に基づいて、あらかじめ定められた大きさの板状の部材から複数の板状パーツを裁断するための裁断パターンを生成する演算部と、演算部で演算した裁断パターンを出力する出力部と、を備える。演算部は、靴型を構成する板状パーツの種類に応じて、板状の部材に配置する板状パーツのエリアを複数に分け、エリアの各々において、当該エリア内に配置する複数の板状パーツの位置を配置条件から求め、裁断パターンを生成する。
【0007】
本開示のある局面に従う裁断システムは、靴型を構成する複数の板状パーツを板状の部材から裁断するための裁断パターンを生成し、生成した裁断パターンに基づいて板状の部材から複数の板状パーツを裁断する。裁断システムは、靴型データを受け付ける入力装置と、複数の板状パーツの形状および種類を記憶する記憶装置と、入力装置で受け付けた靴型データおよび記憶装置に記憶する複数の板状パーツの形状に基づいて、あらかじめ定められた大きさの板状の部材から複数の板状パーツを裁断するための裁断パターンを生成する演算装置と、演算装置で演算した裁断パターンに基づいて板状の部材から複数の板状パーツを裁断する裁断装置と、を備える。演算装置は、靴型を構成する板状パーツの種類に応じて、板状の部材に配置する板状パーツのエリアを複数に分け、エリアの各々において、当該エリア内に配置する複数の板状パーツの位置を配置条件から求め、裁断パターンを生成する。
【0008】
本開示のある局面に従う裁断パターン生成方法は、靴型を構成する複数の板状パーツを板状の部材から裁断するための裁断パターンを生成する方法である。裁断パターン生成方法は、靴型データを受け付けるステップと、受け付けた靴型データおよび記憶部に記憶する複数の板状パーツの形状に基づいて、あらかじめ定められた大きさの板状の部材から複数の板状パーツを裁断するための裁断パターンを生成するステップと、演算した裁断パターンを出力するステップと、含む。裁断パターンを生成するステップは、靴型を構成する板状パーツの種類に応じて、板状の部材に配置する板状パーツのエリアを複数に分けるステップと、エリアの各々において、当該エリア内に配置する複数の板状パーツの位置を配置条件から求めるステップと、含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、複数の板状パーツを板状の部材から裁断し、複数の板状パーツを組み立てて靴型を作製する場合に適した裁断パターンを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る裁断システムの構成例を示す概略図である。
【
図2】実施の形態1に係る裁断支援装置のハードウェア構成例を示す模式図である。
【
図4】実施の形態1に係る1枚目の裁断パターンの平面図である。
【
図5】
図4に示す裁断パターンに配置した板状パーツの靴型での位置を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係る2枚目の裁断パターンの平面図である。
【
図7】
図6に示す裁断パターンに配置した板状パーツの靴型での位置を示す図である。
【
図8】実施の形態1に係る裁断支援装置において板状パーツの裁断パターンを作成する方法を説明するためのフローチャートである。
【
図9】実施の形態1の変形例に係る裁断パターンの平面図である。
【
図10】実施の形態2に係る裁断パターンによる組み立て支援の概要を示す図である。
【
図11】実施の形態2に係る組み立て支援で表示部に表示される表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0012】
<実施の形態1>
[システム構成]
実施の形態1では、本発明が適用される場面の一例について説明する。例えば店舗において、ユーザの足に合わせたオーダーメイドの靴を作製する場合、測定装置で測定した足型データに基づいて生成された靴型データから、靴型を作製する必要がある。特に、店舗において靴型を作製する場合、設備の制約、ユーザによる靴型の作製体験などの理由から複数の板状パーツを組み立てて靴型を作製する方法を採用している。そのため、MDF(Medium-Density Fiberboard)などの木質ボードから複数の板状パーツを裁断する必要がある。
【0013】
実施の形態1では、木質ボードから複数の板状パーツを裁断するための裁断パターンを裁断支援装置で生成する。その後、実施の形態1では、裁断支援装置から生成された裁断パターンに基づいて木質ボードから複数の板状パーツを裁断装置で裁断する。実施の形態1では、これら一連の処理を行い、靴型を作製するために必要な複数の板状パーツを作製する裁断システムについて説明する。
【0014】
実施の形態1では、複数の板状パーツの各々に係合溝が形成されており、当該係合溝に各々の板状パーツを取り付けることで靴型を作製することができる。複数の板状パーツを裁断する板状の部材は、以下の説明では木質ボードを例に説明する。なお、木質ボードは、MDFに限らず、インシュレーションファイバーボード(IB:Insulation Fiberboard)またはハードファイバーボード(HB:Hard Fiberboard)などの他の木質ボードであってもよい。IBとしては、A級インシュレーションボード、タタミボード、またはシージングボードが板状パーツの材料に用いられてもよい。HBとしては、スタンダードボードまたはテンパードボードが板状パーツの材料に用いられてもよい。さらに、板状パーツの材料は、上述したような木質ボードに限らず、リサイクル性の高い段ボールであっても、コルク、金属、熱可塑性樹脂など、板状パーツに適した材料であってもよい。
【0015】
図1は、実施の形態1に係る裁断システム10の構成例を示す概略図である。
図1を参照して、裁断システム10は、裁断支援装置100、足型を測定する測定装置200、裁断パターンに基づいて木質ボードを裁断する裁断装置400を含む。なお、
図1に示す裁断システム10では、測定装置200をシステムに含めているが、当該測定装置200をシステムに含めずに、あらかじめ記憶されている靴型データを利用してもよい。また、店舗によっては、または、ユーザの自宅等の遠隔地からは、測定装置200に代えてスマートフォンなどの携帯端末300を用いて足型を測定してもよい。さらに、裁断支援装置100は、店舗内または店舗外に設置された図示していないデータサーバと通信することが可能である。
【0016】
裁断支援装置100は、測定装置200または携帯端末300から得られた足型データに基づき靴型データを生成し、さらに靴型データに基づいて複数の板状パーツの裁断パターンを生成する。なお、裁断支援装置100は、あらかじめ記憶されている靴型データを利用する場合など、靴型データを生成せずに裁断パターンを生成するだけでもよい。
図2は、実施の形態1に係る裁断支援装置100のハードウェア構成例を示す模式図である。
図2を参照して、裁断支援装置100は、プロセッサ102と、メインメモリ104と、入力部106と、出力部108と、ストレージ110と、光学ドライブ112と、通信コントローラ120とを含む。これらのコンポーネントは、プロセッサバス118を介して接続されている。
【0017】
プロセッサ102は、CPUやGPUなどで構成され、ストレージ110に記憶されたプログラム(一例として、OS1102および靴型プログラム1104)を読出して、メインメモリ104に展開して実行することができる。プロセッサ102では、ストレージ110から読み出した様々なプログラムを実行する。具体的に、靴型プログラム1104は、入力部106で受け付けた足型データおよび付加情報から所定のアルゴリズムに基づいて靴型データを演算する。裁断プログラム1106は、所定のアルゴリズムを利用して、靴型データから複数の板状パーツの裁断パターンを生成する。例えば、裁断プログラム1106は、個々の板状パーツに対してバウンディングボックスを適用し、複数の板状パーツを配置条件に従って木質ボードに敷き詰めるアルゴリズムなどが含まれている。これらのプログラムを実行するプロセッサ102は、裁断支援装置100の演算部に対応する。
【0018】
メインメモリ104は、DRAMやSRAMなどの揮発性記憶装置などで構成される。ストレージ110は、例えば、HDDやSSDなどの不揮発性記憶装置などで構成される。
【0019】
ストレージ110には、基本的な機能を実現するためのOS1102に加えて、裁断支援装置100としての機能を提供するための靴型プログラム1104,裁断プログラム1106が記憶される。さらに、ストレージ110には、複数の板状パーツの形状および種類、複数の板状パーツの組み立て順などの情報が記憶されている。
【0020】
入力部106は、測定装置200または携帯端末300と接続して、測定装置200または携帯端末300から足型データを受け付ける入力インターフェースを含む。また、入力部106は、キーボードやマウス、マイク、タッチデバイスなどで構成され、ユーザにより選択された情報をさらに受け付けることができる。
【0021】
出力部108は、プロセッサ102で算出した複数の板状パーツの裁断パターンを裁断装置400に出力する出力インターフェースを含む。また、出力部108は、ディスプレイ、各種インジケータ、プリンタなどで構成され、プロセッサ102からの処理結果などを出力する。
【0022】
通信コントローラ120は、有線通信または無線通信を用いて、他の制御装置などとの間でデータを遣り取りする。裁断支援装置100は、測定装置200または携帯端末300との間で通信コントローラ120を介して足型データ、付加情報の遣り取りを行ったり、裁断装置400との間で通信コントローラ120を介して裁断パターンの遣り取りを行ったりしてもよい。なお、通信コントローラ120と別にプロセッサバス118に接続されるUSBコントローラを設け、USB接続を介して、他の制御装置などとの間でデータを遣り取りしてもよい。
【0023】
裁断支援装置100は、光学ドライブ112を有しており、コンピュータ読取可能なプログラムを非一過的に記憶する記録媒体114(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体)から、その中に記憶されたプログラムが読取られてストレージ110などにインストールしてもよい。
【0024】
裁断支援装置100で実行される裁断プログラム1106などは、コンピュータ読取可能な記録媒体114を介してインストールされてもよいが、ネットワーク上のサーバ装置などからダウンロードする形でインストールするようにしてもよい。また、実施の形態に係る裁断支援装置100が提供する機能は、OSが提供するモジュールの一部を利用する形で実現される場合もある。
【0025】
図2には、プロセッサ102がプログラムを実行することで、裁断支援装置100として必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードウェア回路(例えば、ASICまたはFPGAなど)を用いて実装してもよい。また、
図2に示した裁断支援装置100の構成は例示であって、この構成に限定されない。
【0026】
測定装置200は、レーザ測定による3次元の足型スキャナで、天板に足を載せ、当該足を挟んで両側に設けた壁に内蔵されたレーザ測定装置が、足のつま先から踵まで移動して測定することでユーザの3次元の足型データを得る。なお、測定装置200は、3次元の足型データを測定することができれば、測定方式などは特に問わない。また、スマートフォンなどの携帯端末300を用いて、ユーザの足を撮影して、足の画像データを取得し、あらかじめインストールされているソフトウェアにより撮影した足の画像データから足型データを生成してもよい。
【0027】
裁断装置400は、裁断パターンに基づいて、例えばレーザ光で板状の木質ボードから複数の板状パーツを裁断する装置である。裁断装置400は、新しい板状の木質ボードがセットされると、裁断パターンに基づいて複数の板状パーツを裁断した木質ボード3を出力する。なお、裁断方法は、レーザ光に限定されず、金属刃や水圧などで板状の木質ボードを裁断してもよい。
【0028】
[裁断パターン]
図3は、実施の形態1に係る靴型2の斜視図である。
図3に示す靴型2は、木質ボードから裁断された複数の板状パーツを組み立てて作製されている。板状パーツの各々に係合溝が形成されており、当該係合溝に各々の板状パーツを取り付けることで靴型2を組み立てることができる。
【0029】
標準的な靴型2を作製する場合、300mm×450mmサイズの木質ボードを2枚使って片足分の靴型2が作製できる。2枚の木質ボードから41個の板状パーツが裁断される。裁断支援装置100は、通常、2枚の木質ボードから材料ロスを減らして41個の板状パーツを裁断するために、41個の板状パーツを木質ボードに敷き詰めて裁断パターンを生成することになる。
【0030】
しかし、無条件で裁断パターンを生成すると、靴型2での板状パーツの位置とは無関係に配置された裁断パターンが生成される。この裁断パターンに基づいて複数の板状パーツを裁断した場合、裁断された複数の板状パーツから靴型2を組み立てる際に組み立て難くなる課題が生じる。特に、ユーザに靴型2の作製体験をして貰うためには、組み立て易さを考慮した裁断パターンを裁断支援装置100で作成する必要がある。なお、木質ボードのサイズ、板状パーツの個数は、一例であって、当該値に限定されない。
【0031】
そこで、裁断支援装置100では、靴型2を構成する板状パーツの種類に応じて、木質ボードに配置する板状パーツのエリアを複数に分け、エリアの各々において、当該エリア内に配置する複数の板状パーツの位置を配置条件から求めて裁断パターンを生成している。ここで、靴型2を構成する板状パーツは、大きく分けて「つま先パーツ」、「甲パーツ」、「足首パーツ」、「踝パーツ」、「足長パーツ」、「踵高さパーツ」、「踵周方向パーツ」の種類に分けることができる。なお、上記の分け方は、一例であり、「つま先パーツ」、「甲パーツ」、「足首パーツ」をまとめて「足幅方向パーツ」としてもよく、また「踝パーツ」を「内踝パーツ」と「外踝パーツ」とに分けてもよい。
【0032】
このように、裁断支援装置100は、板状パーツの種類に応じてエリアを分けて裁断パターンを生成することで、当該裁断パターンに基づいて木質ボードを裁断した場合に板状パーツの種類ごとにまとまって複数の板状パーツが裁断される。そのため、靴型2での位置が近い複数の板状パーツがまとまって裁断されるため、靴型2が組み立て易くなる。
【0033】
具体的に、裁断支援装置100で生成する裁断パターンを説明する。まず、裁断支援装置100は、「つま先パーツ」、「甲パーツ」、「足首パーツ」、および「踝パーツ」を配置するエリアを1枚目の裁断パターンに割り当てる。
図4は、実施の形態1に係る1枚目の裁断パターン30aの平面図である。
図4に示す裁断パターン30aでは、図中左側から「つま先パーツ」のエリア31、「甲パーツ」のエリア32、「足首パーツ」のエリア33、「踝パーツ」のエリア34の順に割り当てられている。
【0034】
さらに、裁断支援装置100は、各々のエリア内での複数の板状パーツの位置を配置条件から求める。ここで、配置条件として、複数の板状パーツの組み立て順に並べる条件と、複数の板状パーツを配置する各々のエリアの面積が最小となる条件とを含んでいる。つまり、裁断支援装置100は、各々のエリア内に配置する複数の板状パーツを組み立て順に並べつつ、各々のエリアの面積が最小となるように複数の板状パーツを敷き詰めて裁断パターン30aを演算する。なお、配置条件は、上記の条件に限定されず、複数の板状パーツの組み立て順に並べる条件、複数の板状パーツを配置する各々のエリアの面積が最小となる条件のいずれか一方でもよく、さらに別の条件を付加してもよい。例えば、各々のエリア内に配置する複数の板状パーツの裁断時間が最小となる条件、各々のエリア内に配置する複数の板状パーツの向きを揃える条件などを付加してもよい。具体的に、裁断支援装置100は、裁断時間が最小となる条件が付加された場合、木質ボードを裁断する裁断装置400の裁断部(レーザ光が出射される部分)の移動距離が短くなるように複数の板状パーツを配置した裁断パターンを生成する。
【0035】
図4に示す裁断パターン30aでは、複数の板状パーツの組み立て順に並べる条件として、例えば、つま先側からの順を採用している。そのため、
図4に示すようにエリア31内の板状パーツ(つま先パーツ)は、図中下側の位置より、つま先側からの順で敷き詰められている。同じように、エリア32内の板状パーツ(甲パーツ)は、エリア31に続いてつま先側からの順で敷き詰められ、エリア33内の板状パーツ(足首パーツ)は、エリア32に続いてつま先側からの順で敷き詰められている。
【0036】
「つま先パーツ」、「甲パーツ」、「足首パーツ」を含む「足幅方向パーツ」の板状パーツには、識別情報として1番~22番の通し番号が付与されている。
図4では、板状パーツ201が1番目の板状パーツを、板状パーツ204が4番目の板状パーツをそれぞれ示している。なお、
図4では、図面の煩雑さを避けるため、板状パーツの全てに符号を付していないが、n番目の板状パーツには板状パーツ2nの符号が付されているものとする。
【0037】
エリア34内の板状パーツ(踝パーツ)は、図中上側の位置より、つま先側からの順で敷き詰められている。「踝パーツ」の板状パーツには、識別情報としてS1番~S4番の通し番号が付与されている。S1番およびS2番の板状パーツは、「外踝パーツ」の板状パーツで、S3番およびS4番の板状パーツは、「内踝パーツ」の板状パーツである。
図4では、板状パーツ2S1がS1番目の板状パーツを、板状パーツ2S2がS2番目の板状パーツをそれぞれ示している。なお、
図4では、図面の煩雑さを避けるため、板状パーツの全てに符号を付していないが、Sn番目の板状パーツには板状パーツ2Snの符号が付されているものとする。
【0038】
図5は、
図4に示す裁断パターン30aに配置した板状パーツの靴型2での位置を示す図である。
図5(a)では、「つま先パーツ」、「甲パーツ」、「足首パーツ」を含む「足幅方向パーツ」の板状パーツにハッチングが付され靴型2での位置を示している。具体的に、1番目の板状パーツ201から22番目の板状パーツ222までの「足幅方向パーツ」にハッチングが付されている。
【0039】
図5(b)では、「踝パーツ」の板状パーツにハッチングが付され靴型2での位置を示している。具体的に、S1番目の板状パーツ2S1からS4番目の板状パーツ2S4までの「踝パーツ」にハッチングが付されている。なお、
図5(b)には、S1番目の板状パーツ2S1およびS2番目の板状パーツ2S2の板状パーツのみが図示されている。
【0040】
次に、裁断支援装置100は、「足長パーツ」、「踵高さパーツ」、および「踵周方向パーツ」を配置するエリアを2枚目の裁断パターンに割り当てる。
図6は、実施の形態1に係る2枚目の裁断パターン30bの平面図である。
図6に示す裁断パターン30bでは、図中左側から「足長パーツ」のエリア35、「踵高さパーツ」のエリア36、「踵周方向パーツ」のエリア37の順に割り当てられている。
【0041】
さらに、裁断支援装置100は、各々のエリア内での複数の板状パーツの位置を配置条件から求める。例えば、「足長パーツ」の板状パーツの組み立て順を外側からの順とした場合、
図6に示すようにエリア35内の板状パーツ(足長パーツ)は、図中左側の位置より外側からの順で敷き詰められている。「踵高さパーツ」の板状パーツの組み立て順を足首側からの順とした場合、
図6に示すようにエリア36内の板状パーツ(踵高さパーツ)は、図中下側の位置より足首側からの順で敷き詰められている。「踵周方向パーツ」の板状パーツの組み立て順を外側からの順とした場合、
図6に示すようにエリア37内の板状パーツ(踵周方向パーツ)は、図中左上側の位置より外側からの順で敷き詰められている。
【0042】
「足長パーツ」の板状パーツには、識別情報としてN1番~N3番の通し番号が付与されている。
図6では、板状パーツ2N1がN1番目の板状パーツを、板状パーツ2N2がN2番目の板状パーツを、板状パーツ2N3がN3番目の板状パーツをそれぞれ示している。
【0043】
「踵高さパーツ」の板状パーツには、識別情報としてA~Hの記号が付与されている。
図6では、板状パーツ2Aが記号Aの板状パーツを、板状パーツ2Hが記号Hの板状パーツをそれぞれ示している。「踵周方向パーツ」の板状パーツには、識別情報としてa~dの記号が付与されている。
図6では、板状パーツ2cが記号cの板状パーツを、板状パーツ2dが記号dの板状パーツをそれぞれ示している。なお、
図6では、図面の煩雑さを避けるため、板状パーツの全てに符号を付していないが、記号の板状パーツには板状パーツ2+記号の符号が付されているものとする。
【0044】
図7は、
図6に示す裁断パターン30bに配置した板状パーツの靴型2での位置を示している。
図7(a)では、「足長パーツ」の板状パーツにハッチングが付され靴型2での位置を示している。具体的に、N1番目の板状パーツ2N1からN3番目の板状パーツ2N3までの「足長パーツ」にハッチングが付されている。
【0045】
図7(b)では、「踵高さパーツ」および「踵周方向パーツ」の板状パーツにハッチングが付され靴型2での位置を示している。具体的に、記号Aの板状パーツ2Aから記号Hの板状パーツ2Hまでの「踵高さパーツ」にハッチングが付され、記号aの板状パーツ2aから記号dの板状パーツ2dまでの「踵周方向パーツ」にハッチングが付されている。なお、
図7(b)には、記号aの板状パーツ2aが図示されていない。
【0046】
なお、
図4および
図6に示した識別情報は、裁断パターンの一部として裁断装置400に出力される。裁断装置400は、裁断パターンに含まれる識別情報を木質ボードに表面にレーザ光で書き込む。裁断支援装置100は、上記のように複数の板状パーツの組み立て順に基づいて、複数の板状パーツに識別情報をそれぞれ付与している。上記のようにエリアごと異なる種類の識別情報を板状パーツに付与するのではなく、全てのエリアに対して同じ種類の識別情報(例えば、1番~41番)を板状パーツに付与してもよい。また、裁断支援装置100は、識別情報の向きが、複数の板状パーツを組み立てた後に同じ向きになるように識別情報を複数の板状パーツに付与してもよい。具体的に、
図4に示す「足幅方向パーツ」の板状パーツに付与した1番~22番の通し番号のように、同じ向き識別情報が付与されている。これにより、複数の板状パーツを組み立てた後も、識別情報を視認しやすくなる。
【0047】
[裁断パターンの生成方法]
さらに、裁断支援装置100において、板状パーツの裁断パターンを作成する処理を詳しく説明する。
図8は、実施の形態に係る裁断支援装置100において板状パーツの裁断パターンを作成する方法を説明するためのフローチャートである。まず、裁断支援装置100は、測定装置200または携帯端末300で測定した足型データから演算した靴型データを受け付ける(ステップS11)。なお、裁断支援装置100は、オーダーメイドの靴の場合、測定した足型データから演算した靴型データを受け付けるが、既製品の靴の場合、既存の靴型データを受け付けてもよい。
【0048】
裁断支援装置100は、板状パーツの種類に応じて木質ボードに配置する板状パーツのエリアを分ける(ステップS12)。裁断支援装置100は、
図4および
図6に示したように、2枚の木質ボードを「つま先パーツ」、「甲パーツ」、「足首パーツ」、「踝パーツ」、「足長パーツ」、「踵高さパーツ」および「踵周方向パーツ」の各種類のエリアに分ける。
【0049】
裁断支援装置100は、各種類のエリアの位置を配置条件に基づいて決定する(ステップS13)。ここで、エリアの配置条件は、板状パーツの配置条件と同じ条件を割り当てられていると説明する。もちろん、エリアの配置条件は、板状パーツの配置条件と異なる条件としてもよい。具体的に、配置条件として、複数のエリアの組み立て順に並べる条件と、木質ボード上に配置した複数のエリアの面積が最小となる条件とを含んでいる。つまり、裁断支援装置100は、複数のエリアを組み立て順に並べつつ、木質ボード上での面積が最小となるように複数のエリアの位置を決定する。なお、配置条件は、上記の条件に限定されず、複数のエリアの組み立て順に並べる条件、木質ボード上に配置した複数のエリアの面積が最小となる条件のいずれか一方でもよく、さらに別の条件を付加してもよい。
【0050】
裁断支援装置100は、
図4および
図6に示したように、組み立て順をつま先側からの順とする以外に、例えば、組み立て順を、「足長パーツ」を先に裁断して、当該「足長パーツ」に「つま先パーツ」、「甲パーツ」、「足首パーツ」を順に差し込んでいく順としてもよい。
図9は、実施の形態1の変形例に係る裁断パターンの平面図である。
図9(a)は、変形例の1枚目の裁断パターン30cの平面図で、
図9(b)は、変形例の2枚目の裁断パターン30dの平面図である。
【0051】
図9(a)に示す裁断パターン30cでは、図中左側から「足長パーツ」のエリア35、「つま先パーツ」のエリア31、「甲パーツ」のエリア32の順に割り当てられている。
図9(b)に示す裁断パターン30dでは、図中左側から「踵高さパーツ」のエリア36、「踵周方向パーツ」のエリア37、「足首パーツ」のエリア33、「踝パーツ」のエリア34の順に割り当てられている。
【0052】
図9に示すように1枚目の裁断パターン30cに「足長パーツ」を設けることで、「足長パーツ」を先に裁断して、当該「足長パーツ」に「つま先パーツ」、「甲パーツ」を順に差し込んでいくことができ、ユーザが効率よく作業しやすくなる。
【0053】
図8に戻って、裁断支援装置100は、木質ボード上で位置が決定した各々のエリアに対して、当該エリアに含まれる複数の板状パーツの位置を、配置条件に基づいて決定する(ステップS14)。裁断支援装置100は、例えば、
図4に示す「つま先パーツ」のエリアにおいて、7個の板状パーツをつま先側からの順に並べ、当該エリアの面積が最小となるように個々の板状パーツの位置を決定する。
【0054】
複数の板状パーツの形状および大きさは、靴のサイズにより異なる。例えば、足長サイズが30cmの靴の靴型データに基づいて作成される複数の板状パーツの形状および大きさは、足長サイズが25cmの靴の靴型データに基づいて作成される複数の板状パーツの形状および大きさに比べて大きくなる。例えば、足長サイズが25cmの靴の靴型データに基づいて作成される全ての板状パーツが、2枚の木質ボードに収まる。しかし、足長サイズが30cmの靴の靴型データに基づいて作成される全ての板状パーツは、2枚の木質ボードに収まらない場合がある。
【0055】
2枚の木質ボードに全ての板状パーツが収まらない場合、収まらなかった板状パーツを3枚目の木質ボードに配置して裁断パターンを生成することになる。しかし、使用する木質ボードの枚数が増えた場合、材料ロスを減らすことができない。そこで、裁断支援装置100は、2枚の木質ボードに裁断パターンが収まるか否かを判断する(ステップS15)。
【0056】
2枚の木質ボードに裁断パターンが収まる場合(ステップS15でYES)、裁断支援装置100は、裁断パターンを裁断装置400に出力する(ステップS16)。裁断装置400は、裁断支援装置100から入力された
図4および
図6に示す裁断パターンに基づいて木質ボードを裁断する。
【0057】
一方、2枚の木質ボードに裁断パターンが収まらない場合(ステップS15でNO)、裁断支援装置100は、靴型を構成する板状パーツの数を減らす(ステップS17)。例えば、41個の板状パーツで靴型を構成している場合に、裁断支援装置100は、板状パーツを40個にして2枚の木質ボードに複数の板状パーツの裁断パターンが収まるように裁断パターンを変更する。
【0058】
裁断支援装置100は、板状パーツの数を減らす場合、複数の板状パーツの中で靴型の形状に対して影響が少ない板状パーツを減らして裁断パターンを生成する。ここで、靴型の形状に対して影響が少ない板状パーツとは、例えば、隣の板状パーツと形状および大きさの差が小さい板状パーツである。つまり、裁断支援装置100は、靴型において形状の変化が小さい部分の板状パーツが、靴型の形状に対して影響が少ない板状パーツであると判断する。裁断支援装置100は、例えば、「つま先パーツ」の7個の板状パーツの中から4番目の板状パーツ204を減らして、「つま先パーツ」を6個の板状パーツにする。
【0059】
裁断支援装置100は、ステップS17で板状パーツの数を減らした場合、処理をステップS14に戻し、再度、配置条件に基づき複数の板状パーツの位置をエリアごとに決定する。
【0060】
なお、裁断支援装置100は、裁断パターンが2枚の木質ボードに収まるか否かを判断したが、木質ボードのサイズにより枚数は異なる。例えば、300mm×450mmサイズより大きい木質ボードを使えば1枚でも裁断パターンは収まり、当該サイズより小さい木質ボードを使えば3枚以上必要となる。また、靴型のサイズにより、同じ300mm×450mmサイズの木質ボードでも1枚で裁断パターンが収まる場合がある。そのため、裁断支援装置100は、上記の説明では所定の部材を、例えば300mm×450mmサイズの木質ボードを2枚と設定して、裁断パターンが収まるか否かを判断している。
【0061】
<実施の形態2>
[裁断パターンの識別情報]
裁断支援装置100は、複数の板状パーツの識別情報として番号など以外に2次元コードを裁断パターンに付与してもよい。板状パーツの各々に2次元コードを付与することで靴型の作製をより積極的に支援ことができる。なお、裁断装置400は、裁断パターンに含まれる2次元コードを木質ボードに表面にレーザ光で書き込む。
【0062】
実施の形態2では、例えば店舗において、裁断パターンで木質ボードを裁断して得られた複数の板状パーツから、ユーザが靴型を作製する場合において、複数の板状パーツの組み立てを支援する方法について説明する。もちろん、靴型を作製する人はユーザに限られず、店員が作製してもよい。また、当該支援は、オーダーメイドのシューズの靴型を作製する場合の利用に限られず、既成のシューズの靴型を作製する工場などで利用してもよい。
【0063】
図10は、実施の形態2に係る裁断パターンによる組み立て支援の概要を示す図である。まず、
図4および
図6で示した裁断パターンにおいて、板状パーツの各々に2次元コードQ1を付与されているものとする。もちろん、2次元コードQ1は、板状パーツの各々に付与されている場合に限定されず、いずれか1つの板状パーツに付与されている場合や、木質ボードの余白部分に付与されている場合でもよい。
【0064】
ユーザは、作業台50に載置されている複数の板状パーツのうち1つの板状パーツを、
図10に示すように携帯端末300に内蔵されているカメラ(撮像部)で撮影する。撮影した板状パーツには2次元コードQ1が付与されているので、携帯端末300は、当該2次元コードQ1から、あらかじめサーバ等に準備されている靴型の組み立て支援サイトのURLを読み出す。
【0065】
携帯端末300は、読み出したURLのサイトにアクセスすることで、撮影した板状パーツの取り付ける位置などの情報を得ることができる。
図11は、実施の形態2に係る組み立て支援で表示部に表示される表示例を示す図である。携帯端末300のディスプレイ(表示部)には、例えば
図11に示すように、画面40が表示される。画面40には、撮像した板状パーツ204の画面40a、および完成した靴型2の立体図を示す画面40bを含む。画面40aは、例えば、撮像した板状パーツがつま先側から4番目の板状パーツ204であることを示す表示である。画面40bは、完成した靴型2のつま先側から4番目の板状パーツが取り付ける位置であることを強調する表示である。画面40bでは、完成した靴型2の立体図のうち、取り付ける位置の板状パーツを他の板状パーツと異なる色や線種で表示したり、板状パーツを明滅させて表示したりすることで、撮像した板状パーツ204の取り付ける位置を強調することができる。なお、携帯端末300のディスプレイを用いて板状パーツの取り付け位置などの支援情報を作業者に提供する例を説明したが、携帯端末300ではなくPCのモニターなどの画面であってもよい。また、仮想現実を表示するVR(virtual reality)ゴーグル、拡張現実を表示するAR(Augmented Reality)ゴーグル、仮想現実および拡張現実を表示できるMR(Mixed Reality)ゴーグルに、靴型を作製するための支援情報を表示してもよい。
【0066】
なお、板状パーツに付与される識別情報が2次元コードQ1ではなく番号のみのような場合、ユーザが靴型の組み立て支援サイトにアクセスして、板状パーツに付与されている番号を入力しても同様の支援情報が得られる。もちろん、当該支援サイトにアクセスすることなく、板状パーツに付された番号や識別情報に基づいて、ユーザが自由に組み立ててもよく、また、板状パーツに付された番号や識別情報に基づく組み立て説明書を用意してもよい。
【0067】
<まとめ>
以上のように、裁断支援装置100は、靴型を構成する複数の板状パーツを板状の部材から裁断するための裁断パターンを生成する裁断支援装置である。裁断支援装置100は、靴型データを受け付ける入力部106と、複数の板状パーツの形状および種類を記憶するストレージ110と、入力部106で受け付けた靴型データおよびストレージ110に記憶する複数の板状パーツの形状に基づいて、あらかじめ定められた大きさの板状の部材から複数の板状パーツを裁断するための裁断パターンを生成するプロセッサ102と、プロセッサ102で演算した裁断パターンを出力する出力部108と、を備えている。プロセッサ102は、靴型を構成する板状パーツの種類に応じて、板状の部材に配置する板状パーツのエリアを複数に分け、エリアの各々において、当該エリア内に配置する複数の板状パーツの位置を配置条件から求め、裁断パターンを生成する。
【0068】
これにより、裁断支援装置100は、複数の板状パーツを板状の部材から裁断し、複数の板状パーツを組み立てて靴型を作製する場合に適した裁断パターンを生成することができる。
【0069】
プロセッサ102は、板状の部材内におけるエリアの各々の位置を、配置条件を用いて求めてもよい。これにより、裁断支援装置100は、各々のエリアの位置を適切に支援することができる。
【0070】
ストレージ110は、複数の板状パーツの組み立て順をさらに記憶し、配置条件は、複数の板状パーツの組み立て順に並べる条件と、複数の板状パーツを配置する各々のエリアの面積が最小となる条件との少なくとも一方を含んでもよい。これにより、裁断支援装置100は、エリアの面積の最小化、および組み立て順の少なくとも一方を考慮した裁断パターンを生成することができる。
【0071】
複数の板状パーツの組み立て順は、つま先側からの順でもよい。これにより、裁断支援装置100は、つま先側からの順で組み立てる場合の順を考慮した裁断パターンを生成することができる。
【0072】
配置条件は、各々のエリア内に配置する複数の板状パーツの裁断時間が最小となる条件をさらに含んでもよい。これにより、裁断支援装置100は、靴型の作製時間を短縮することができる裁断パターンを生成することができる。
【0073】
配置条件は、各々のエリア内に配置する複数の板状パーツの向きを揃える条件をさらに含んでもよい。これにより、裁断支援装置100は、裁断された板状パーツの種類をユーザが認識し易くなり、組み立て易くなる。
【0074】
プロセッサ102は、複数枚の板状の部材に分けて、複数の板状パーツを配置した裁断パターンを生成してもよい。裁断パターンは、複数枚に分かれて生成されてもよい。
【0075】
プロセッサ102は、裁断パターンがあらかじめ定めた枚数以上の板状の部材を必要とする場合、複数の板状パーツから板状の部材に配置する板状パーツの数を減らして裁断パターンを生成してもよい。これにより、裁断支援装置100は、複数の板状パーツを板状の部材から裁断する際の材料ロスをより少なくした裁断パターンを生成することができる。
【0076】
プロセッサ102は、複数の板状パーツの中で靴型の形状への影響が少ない板状パーツを減らして裁断パターンを生成してもよい。これにより、裁断支援装置100は、靴型の精度に影響を与えることなく、複数の板状パーツを板状の部材から裁断する際の材料ロスをより少なくした裁断パターンを生成することができる。
【0077】
プロセッサ102は、複数の板状パーツに識別情報をそれぞれ付与した裁断パターンを生成してもよい。これにより、裁断支援装置100は、複数の板状パーツを組み立てて靴型を作製する場合に適した裁断パターンを生成することができる。
【0078】
プロセッサ102は、識別情報の向きが、複数の板状パーツを組み立てた後に同じ向きになるように識別情報を裁断パターンに付与してもよい。これにより、裁断支援装置100は、複数の板状パーツを組み立てて靴型を作製した場合にユーザが識別情報を認識し易い裁断パターンを生成することができる。
【0079】
裁断システム10は、靴型を構成する複数の板状パーツを板状の部材から裁断するための裁断パターンを生成し、生成した裁断パターンに基づいて板状の部材から複数の板状パーツを裁断するシステムである。裁断システム10は、裁断パターンを生成する裁断支援装置100と、裁断支援装置100で演算した裁断パターンに基づいて板状の部材から複数の板状パーツを裁断する裁断装置400と、を備える。これにより、裁断システム10は、複数の板状パーツを板状の部材から裁断し、複数の板状パーツを組み立てて靴型を作製する場合に適した裁断パターンを生成することができる。
【0080】
裁断パターンの生成方法は、靴型を構成する複数の板状パーツを板状の部材から裁断するための裁断パターンを生成する方法である。裁断パターンの生成方法は、靴型データを受け付けるステップと、受け付けた靴型データおよびストレージ110に記憶する複数の板状パーツの形状に基づいて、あらかじめ定められた大きさの板状の部材から複数の板状パーツを裁断するための裁断パターンを生成するステップと、演算した裁断パターンを出力するステップと、含む。裁断パターンを生成するステップは、靴型を構成する板状パーツの種類に応じて、板状の部材に配置する板状パーツのエリアを複数に分けるステップと、エリアの各々において、エリア内に配置する複数の板状パーツの位置を配置条件から求めるステップと、含む。これにより、裁断パターンの生成方法は、複数の板状パーツを板状の部材から裁断し、複数の板状パーツを組み立てて靴型を作製する場合に適した裁断パターンを生成することができる。
<その他の変形例>
なお、ストレージ110のデータは、店舗のデータサーバ、店舗とは異なるメーカに配置されるデータサーバ、他の場所のデータサーバに記憶されていてもよい。また、データサーバは、クラウドサービスの形態で実現されてもよい。
【0081】
上述した靴型は一例であり、これに限定されない。例えば、爪先部分を複数の板状パーツで構成し、中足部から踵部に亘る部分など一部の領域を熱可塑性樹脂などのソリッドパーツで構成したハイブリッドタイプの靴型であってもよい。
【0082】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
2 靴型、3 木質ボード、10 裁断システム、50 作業台、100 裁断支援装置、102 プロセッサ、104 メインメモリ、106 入力部、108 出力部、110 ストレージ、112 光学ドライブ、114 記録媒体、118 プロセッサバス、120 通信コントローラ、200 測定装置、300 携帯端末、400 裁断装置、1104 靴型プログラム、1106 裁断プログラム。