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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042328
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】吸音壁材
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/86 20060101AFI20230317BHJP
   E04C 2/38 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
E04B1/86 D
E04C2/38 S
E04B1/86 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149571
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】菅原 一也
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 意法
(72)【発明者】
【氏名】西 涼太
【テーマコード(参考)】
2E001
2E162
【Fターム(参考)】
2E001DF04
2E001GA12
2E001GA18
2E001GA42
2E001GA63
2E001HA32
2E001HB01
2E001HC01
2E001HC02
2E001HD01
2E001HD02
2E001HD03
2E162BA05
2E162BB08
2E162CA31
2E162CA35
2E162CB01
2E162CC01
2E162CC03
2E162CD01
2E162CD02
2E162CD04
(57)【要約】
【課題】吸音性能に優れ、なお且つ、簡易な施工により設置が可能な吸音壁材を提供する。
【解決手段】吸音率のピーク値の周波数が異なる複数の吸音材が積層された多層吸音材3と、多層吸音材3を内側に収容する枠体2と、枠体2の表面側を覆うと共に、少なくとも多層吸音材3と対向する面側に複数の孔部4が設けられた表面材5とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸音率のピーク値の周波数が異なる複数の吸音材が積層された多層吸音材と、
前記多層吸音材を内側に収容する枠体と、
前記枠体の表面側を覆うと共に、少なくとも前記多層吸音材と対向する面側に複数の孔部が設けられた表面材とを備える吸音壁材。
【請求項2】
前記複数の吸音材は、前記表面材側から順に、吸音率のピーク値の周波数が低くなることを特徴とする請求項1に記載の吸音壁材。
【請求項3】
前記多層吸音材は、前記表面材側から順に、吸音率のピーク値の周波数が2500Hz以上である第1の吸音材と、吸音率のピーク値の周波数が400~1200Hzである第2の吸音材とを含むことを特徴とする請求項2に記載の吸音壁材。
【請求項4】
前記第1の吸音材は、繊維系の吸音材であり、
前記第2の吸音材は、発泡樹脂系の吸音材であることを特徴とする請求項3に記載の吸音壁材。
【請求項5】
前記表面材の前記複数の孔部が設けられた面と前記多層吸音材との間に配置された通気性のカバー材を備えることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の吸音壁材。
【請求項6】
前記枠体の上側又は下側に位置して、上下方向に移動自在に取り付けられた横桟の位置を可変に調整するアジャスター機構を備えることを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の吸音壁材。
【請求項7】
吸音率のピーク値の周波数が異なる複数の吸音材が積層された多層吸音材と、
前記多層吸音材を内側に収容する通気性の袋材とを備える吸音壁材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音壁材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、空間を仕切る間仕切壁に音を吸収する機能(吸音機能)を持たせた吸音壁材がある(下記特許文献1を参照。)。
【0003】
具体的に、下記特許文献1には、間仕切りパネルにおいて、その表面材に大小異なる種類の穴を複数設け、該表面材の裏側にはグラスウールやロックウール、又はウレタンスポンジなどの吸音材を貼り合わせて構成し、大小異なる穴の組み合わせ及び穴数の組み合わせにより広周波帯域で吸音することを特徴とする吸音機能を備えた間仕切りパネルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-35524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した吸音機能を備えた間仕切壁(吸音壁材)では、更なる吸音性能の向上が求められている。また、このような間仕切壁を設置する際の施工の容易さも求められている。
【0006】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、吸音性能に優れ、なお且つ、簡易な施工により設置が可能な吸音壁材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 吸音率のピーク値の周波数が異なる複数の吸音材が積層された多層吸音材と、
前記多層吸音材を内側に収容する枠体と、
前記枠体の表面側を覆うと共に、少なくとも前記多層吸音材と対向する面側に複数の孔部が設けられた表面材とを備える吸音壁材。
〔2〕 前記複数の吸音材は、前記表面材側から順に、吸音率のピーク値の周波数が低くなることを特徴とする前記〔1〕に記載の吸音壁材。
〔3〕 前記多層吸音材は、前記表面材側から順に、吸音率のピーク値の周波数が2500Hz以上である第1の吸音材と、吸音率のピーク値の周波数が400~1200Hzである第2の吸音材とを含むことを特徴とする前記〔2〕に記載の吸音壁材。
〔4〕 前記第1の吸音材は、繊維系の吸音材であり、
前記第2の吸音材は、発泡樹脂系の吸音材であることを特徴とする前記〔3〕に記載の吸音壁材。
〔5〕 前記表面材の前記複数の孔部が設けられた面と前記多層吸音材との間に配置された通気性のカバー材を備えることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の吸音壁材。
〔6〕 前記枠体の上側又は下側に位置して、上下方向に移動自在に取り付けられた横桟の位置を可変に調整するアジャスター機構を備えることを特徴とする前記〔1〕~〔5〕の何れか一項に記載の吸音壁材。
〔7〕 吸音率のピーク値の周波数が異なる複数の吸音材が積層された多層吸音材と、
前記多層吸音材を内側に収容する通気性の袋材とを備える吸音壁材。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明によれば、吸音性能に優れ、なお且つ、簡易な施工により設置が可能な吸音壁材を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る吸音壁材の構成を示す斜視図である。
図2図1に示す吸音壁材の一部の構成を分解した斜視図である。
図3図2に示す吸音壁材の一部の構成を分解した斜視図である。
図4図3に示す吸音壁材の一部の構成を分解した斜視図である。
図5図4に示すアジャスター機構の構成を示す断面図である。
図6図1に示す吸音壁材の施工例を示す斜視図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る吸音壁材の構成を示す分解斜視図である。
図8図7に示す吸音壁材の構成を示す断面図である。
図9図7に示す吸音壁材の使用例を示す斜視図である。
図10】実施例1及び比較例1~4の多層吸音材を用いた吸音壁材の吸音性能の評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態として、例えば図1図5に示す吸音壁材1について説明する。
なお、図1は、吸音壁材1の構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す吸音壁材1の一部の構成を分解した斜視図である。図3は、図2に示す吸音壁材1の一部の構成を分解した斜視図である。図4は、図3に示す吸音壁材1の一部の構成を分解した斜視図である。図5は、図4に示すアジャスター機構9の構成を示す断面図である。
【0012】
本実施形態の吸音壁材1は、図1図4に示すように、空間を仕切る間仕切壁に音を吸収する機能(吸音機能)を持たせたものであり、矩形枠状の枠体2と、枠体2の内側に収容される矩形平板状の多層吸音材3と、枠体2の表面側を覆うと共に、少なくとも多層吸音材3と対向する面側に複数の孔部4が設けられた矩形平板状の表面材5と、枠体2の裏面側を覆う矩形平板状の裏面材6と、表面材5及び裏面材6が取り付けられた枠体2の両側面を覆う左右一対の縦枠カバー7と、表面材5及び裏面材6が取り付けられた枠体2の下端部に取り付けられる一対の巾木8a,8bとを備えている。
【0013】
枠体2は、左右一対の縦枠2aと上下一対の横枠2bとにより四方を囲むと共に、縦枠2aの間を連結する複数(本実施形態では3つ)の中枠2cが上下方向に並ぶように組み合わされた木材(角材)により構成されている。
【0014】
また、枠体2の上側又は下側(本実施形態では上側)には、上下方向に移動自在に取り付けられた横桟2dの位置を可変に調整するアジャスター機構9が設けられている。横桟2dは、横枠2bと同じ長さの木材(角材)により構成されている。
【0015】
アジャスター機構9は、図3図5に示すように、横枠2bと横桟2dとの間を連結する左右一対の調整ボルト9aを有している。調整ボルト9aは、横桟2dから下方に延長した状態で横桟2dに回転自在に取り付けられると共に、横枠2bを貫通した状態で横枠2bに取り付けられたナット9bと螺合されている。
【0016】
アジャスター機構9では、調整ボルト9aを回転させながら、この調整ボルト9aの横枠2bと横桟2dのとの間の長さを変更することで、横枠2bに対する横桟2dの上下方向の位置を可変に調整することが可能である。
【0017】
これにより、本実施形態の吸音壁材1では、アジャスター機構9により枠体2の高さ調整を行うことが可能である。
【0018】
また、この吸音壁材1を床面から起立した状態とし、アジャスター機構9により横枠2bに対する横桟2dの上下方向の位置を調整しながら、この横桟2dを天井に押し当てることで、床面と天井との間で吸音壁材1の起立状態を保持する(突っ張らせる)ことが可能である。
【0019】
多層吸音材3は、枠体2の縦枠2a、横枠2b及び中枠2cにより上下方向に仕切られた複数(本実施形態では4つ)の空間のうち、その中央側に位置する2つの空間の内側にそれぞれ配置されている。また、各多層吸音材3は、それぞれの空間の内側に嵌め込まれた状態で、中枠2cの中央部に取り付けられた上下一対の留め具10により固定されている。
【0020】
本実施形態の吸音壁材1は、この状態から、枠体2の表面及び裏面に表面材5及び裏面材6を取り付けた後、表面材5及び裏面材6が取り付けられた枠体2の両側面に縦枠カバー7と、表面材5及び裏面材6が取り付けられた枠体2の下端部に一対の巾木8a,8bとを取り付けることによって構成されている。
【0021】
表面材5及び裏面材6については、例えば、木製や樹脂製、金属製などの板材又はこれらの複合材(合板)を用いることができる。また、表面材5及び裏面材6の表面には、意匠フィルムや意匠シート、織物シートなどを貼付したり、塗装や印刷等を施したりしてもよい。
【0022】
縦枠カバー7についても、表面材5及び裏面材6と同じものを用いることができる。
【0023】
一対の巾木8a,8bについては、例えば、縦枠カバー7と同じものや、表面材5及び裏面材6と同じものを用いることができる。一対の巾木8a,8bは、表面材5及び裏面材6が取り付けられた枠体2の下端部に沿って、表面材5及び裏面材6が取り付けられた枠体2を前後方向に挟み込むように取り付けられている。
【0024】
なお、表面材5及び裏面材6が取り付けられた枠体2の上面及び下面には、滑り止めシートを取り付けることが可能である。上面側の滑り止めシートについては、天井のクロスを傷付けない程度の天井に対する滑り止め効果を有するものを用いることができる。下面側の滑り止めシートについては、床面に対するグリップ性能が強く、吸音壁材1の転倒を防止するものを用いることができる。なお、下面側の滑り止めシートについては、表面材5及び裏面材6が取り付けられた枠体2の上面側に取り付けることも可能である。
【0025】
複数の孔部4は、表面材5の多層吸音材3と対向する面に、上下方向及び左右方向に等間隔に並んで設けられている。孔部4の直径は、5~10mm程度である。また、孔部4の中心間隔(ピッチ)は、10~50mm程度である。なお、複数の孔部4については、直径の異なる孔部4を配置した構成とすることも可能である。
【0026】
表面材5の複数の孔部4が設けられた面と多層吸音材3との間には、通気性のカバー材11が配置されている。カバー材11は、不織布又は織布などの通気性シートからなる。カバー材11は、複数の孔部4を通して多層吸音材3が直接視認されることを防止する意匠効果を有している。
【0027】
ところで、本実施形態の吸音壁材1では、吸音率のピーク値の周波数が異なる複数(本実施形態では2つ)の吸音材31,32が積層された多層吸音材3を用いている。
【0028】
多層吸音材3は、このような吸音率のピーク値の周波数が異なる複数の吸音材31,32を積層することで、厚みの増加を防ぎつつ、広い音域での効率の良い吸音が可能である。
【0029】
また、複数の吸音材31,32は、表面材5側から裏面材6側に向かって、吸音率のピーク値の周波数が順に低くなっている。具体的に、これら複数の吸音材31,32のうち、表面材5側に位置する第1の吸音材31は、繊維系の吸音材であり、吸音率のピーク値の周波数が2500Hz以上である。一方、裏面材6側に位置する第2の吸音材32は、発泡樹脂系の吸音材であり、吸音率のピーク値の周波数が400~1200Hzである。
【0030】
繊維系の吸音材(第1の吸音材31)としては、例えばグラスウールやロックウール、不織布、経編材などを用いることができる。このうち、グラスウールの密度は、80~100kg/m、グラスウールの厚みは、30~100mmであることが好ましい。一方、ロックウールの密度は、60~200kg/m、ロックウールの厚みは、20~100mmであることが好ましい。一方、不織布の密度は、45~100kg/m、不織布の厚みは、0.15~15mm、経編材の密度は、1~2kg/m、経編材の厚みは、10~30mmであることが好ましい。
【0031】
発泡樹脂系の吸音材(第2の吸音材32)としては、例えばポリプロピレン樹脂やウレタン樹脂、フェノール樹脂などの発泡体を用いることができる。発泡体の連泡率は、80~99%、発泡体の密度は、20~50kg/m、発泡体の厚みは、20~80mmであることが好ましい。
【0032】
以上のように、本実施形態の吸音壁材1では、上述した第1の吸音材31及び第2の吸音材32を積層した多層吸音材3を用いることで、高音域から低音域まで効率良く音を吸収(吸音)すること可能である。また、本実施形態の吸音壁材1では、上述した多層吸音材3の厚みの増加を抑えながら、優れた吸音性能を得ることが可能である。さらに、本実施形態の吸音壁材1では、上述したアジャスター機構9を備えることで、簡易な施工により設置が可能である。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記吸音壁材1を用いて空間を仕切る場合には、複数の吸音壁材1を並べて施工すればよい。
【0034】
具体的には、図6(A)に示すように、2つの吸音壁材1をI字状に並べた構成や、図6(B)に示すように、3つの吸音壁材1をT字状に並べた構成、図6(C)に示すように、4つの吸音壁材1を十字状に並べた構成、図6(D)に示すように、3つの吸音壁材1をコ字状に並べた構成とすることが可能である。
【0035】
上記吸音壁材1を用いて空間を仕切る場合には、これらの組み合わせにより空間を自由に仕切ることが可能である。
【0036】
なお、上記吸音壁材1では、上述した吸音率のピーク値の周波数が異なる2つの吸音材31,32が積層された多層吸音材3を用いた場合を例示しているが、吸音率のピーク値の周波数が異なる3つ以上の吸音材が積層された多層吸音材を用いることも可能である。
【0037】
また、複数の孔部4は、上述した表面材5の多層吸音材3と対向する面に設けられた構成に必ずしも限定されるものではなく、裏面材6の多層吸音材3と対向する面に設けることも可能である。
【0038】
例えば、表面材5及び裏面材6に複数の孔部4を設けた場合には、多層吸音材3として、第1の吸音材31と第2の吸音材32と第1の吸音材31とを積層したものを用いることが好ましい。
【0039】
なお、上記吸音壁材1は、上述した間仕切壁に好適に用いられるものの、間仕切壁に限らず、例えば、壁面に固定される壁材や、自立式のパーテーションなどにも適用可能である。
【0040】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態として、例えば図7図9に示す吸音壁材50について説明する。
なお、図7は、吸音壁材50の構成を示す分解斜視図である。図8は、吸音壁材50の構成を示す断面図である。図9は、吸音壁材50の使用例を示す斜視図である。また、以下の説明では、上記吸音壁材1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0041】
本実施形態の吸音壁材50は、図7及び図8に示すように、吸音率のピーク値の周波数が異なる複数(本実施形態では3つ)の吸音材31,32,31が積層された多層吸音材51と、多層吸音材51を内側に収容する袋材52とを備えている。
【0042】
多層吸音材51は、上述した第1の吸音材31と第2の吸音材32と第1の吸音材31とを積層したものからなる。
【0043】
袋材52は、多層吸音材51の形状に対応して、例えば不織布又は織布などの通気性を有する布材を袋状に縫製したものからなる。また、袋材52は、その内側に多層吸音材51を収容した後に、例えばファスナーなどにより封止することが可能となっている。
【0044】
本実施形態の吸音壁材50は、多層吸音材51を収容する複数(本実施形態では3つ)の袋材52が折り曲げ自在に連結された構造を有している。
【0045】
以上のような構成を有する本実施形態の吸音壁材50は、例えば図9(A)に示すように、パーテーションとして、机100の上で折り曲げて起立した状態で使用することが可能である。
【0046】
また、本実施形態の吸音壁材50は、例えば図9(B)に示すように、壁面200に設けられた面ファスナー201を介して貼り付けた状態で使用することが可能である。
【0047】
以上のように、本実施形態の吸音壁材50では、上述した複数の吸音材31,32,31を積層した多層吸音材51を用いることで、高音域から低音域まで効率良く音を吸収(吸音)すること可能である。また、本実施形態の吸音壁材50では、上述した多層吸音材51の厚みの増加を抑えながら、優れた吸音性能を得ることが可能である。
【実施例0048】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0049】
本実施例では、下記の実施例1及び比較例1~4の多層吸音材を用いた吸音壁材について、吸音性能の評価試験を行った。その評価結果を図10に示す。
【0050】
(実施例1)
実施例1では、繊維系の吸音材と発泡樹脂系の吸音材とを積層した多層吸音材を用いた。具体的に、繊維系の吸音材として、密度が1.5kg/m、厚みが10mmの経編材を用い、発泡樹脂系の吸音材として、密度が23kg/m、厚み20mmの紙が混入された発泡ポリプロピレン樹脂系吸音材を用いた。
【0051】
実施例1では、枠体の内側に、繊維系の吸音材が表側、発泡樹脂系の吸音材が裏側となるように多層吸音材を収容した後に、枠体の表面側に複数の孔部が設けられた表面材と、枠体の裏面側に裏面材とを取り付けた。
【0052】
(比較例1)
比較例1では、発泡樹脂系の吸音材のみを用いた。具体的に、発泡樹脂系の吸音材として、密度が23kg/m、厚み20mmの紙が混入された発泡ポリプロピレン樹脂系吸音材を用いた。それ以外は、実施例1と同様に吸音壁材を作製した。
【0053】
(比較例2)
比較例2では、発泡樹脂系の吸音材のみを用いた。具体的に、発泡樹脂系の吸音材として、密度が23kg/m、厚み80mmの紙が混入された発泡ポリプロピレン樹脂系吸音材を用いた。それ以外は、実施例1と同様に吸音壁材を作製した。
【0054】
(比較例3)
比較例3では、繊維系の吸音材のみを用いた。具体的に、繊維系の吸音材として、密度が1.5kg/m、厚みが10mmの経編材を用いた。それ以外は、実施例1と同様に吸音壁材を作製した。
【0055】
(比較例4)
比較例4では、繊維系の吸音材のみを用いた。具体的に、繊維系の吸音材として、密度が80kg/m、厚み30mmのグラスウールを用いた。それ以外は、実施例1と同様に吸音壁材を作製した。
【0056】
吸音性能の評価試験については、残響室(室容積38.9m、室表面積68.3m)において、残響室法吸音率測定方法により吸音率を算出した。また、測定周波数範囲は、100~10000Hz(1/3オクターブバンド)であり、試験体サイズは、縦1.8m×横1.8m、また、測定には、定常音圧発生装置ME-RE3300、音響インテンシティー測定装置BK213を使用した。
【0057】
図10に示すように、実施例1の多層吸音材を用いた吸音壁材は、比較例1~4の多層吸音材を用いた吸音壁材に比べて、高音域から低音域までの広い音域で優れた吸音性能が得られた。
【符号の説明】
【0058】
1…吸音壁材 2…枠体 3…多層吸音材 4…孔部 5…表面材 6…裏面材 7…縦枠カバー 8a,8b…巾木 9…アジャスター機構 11…カバー材 31…第1の吸音材 32…第2の吸音材 50…吸音壁材 51…多層吸音材 52…袋材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10