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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004234
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】ボートデッキ
(51)【国際特許分類】
   B63B 5/24 20060101AFI20230110BHJP
   B63B 5/06 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B63B5/24 103
B63B5/06
B63B5/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105807
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】520476776
【氏名又は名称】株式会社TRINE
(74)【代理人】
【識別番号】100133547
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 基文
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 圭輔
(57)【要約】
【課題】既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキよりも軽い、業界最軽量のボートデッキを提供することを目的とする。
【解決手段】平板状のデッキ本体2を、ハニカム状の骨格体21を挟むように積層して成形して、シート状の繊維体22を何層も積層させないで、板厚の厚い繊維強化プラスチック製のボートデッキ1を得る。既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキよりも、繊維体の積層枚数を少なくしたり、繊維体の厚みを薄くしたりして、既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキよりもボートデッキの重さを軽くする。また、骨格体の内部を中空にして、デッキ本体の板厚が厚い割に、ボートデッキの重さを軽くする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボートに取り付けたり取り外したりするボートデッキであって、
前記ボートデッキが、平板状のデッキ本体からなり、
前記デッキ本体が、ハニカム状の骨格体を挟むように積層させたシート状の繊維体を、樹脂で固めて成形してなることを特徴とするボートデッキ。
【請求項2】
前記骨格体は、ハニカムの内部が、中空であることを特徴とする請求項1に記載のボートデッキ。
【請求項3】
前記骨格体は、ハニカムの内部が、真空であることを特徴とする請求項1に記載のボートデッキ。
【請求項4】
前記骨格体は、ハニカムの内部が、前記樹脂よりも軽い素材で満たされていることを特徴とする請求項1に記載のボートデッキ。
【請求項5】
前記骨格体が、立体図形を隙間なく並べた形状であることを特徴とする請求項1から請求項4に記載のボートデッキ。
【請求項6】
前記骨格体が、紙製であることを特徴とする請求項1から請求項5に記載のボートデッキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バス釣りなどでボートフィッシングをするときに、ボートに取り付けたり取り外したりするボートデッキに関し、特に既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキよりも軽い、業界最軽量のボートデッキに関する。
【背景技術】
【0002】
ボートデッキとしては、木製や繊維強化プラスチック製のボートデッキが実際に使われている。そして、ボートデッキとしては、木製のボートデッキが一般的なところ、数年前から、材料を木材から繊維強化プラスチックに代えて、木製のボートデッキよりも軽くて、雨にぬれても木製のボートデッキのようにカビが生えたり、腐ったりしないようにした繊維強化プラスチック製のボートデッキが使われ始めている。
【0003】
ボートデッキではないものの、発泡体の芯部に繊維強化プラスチックを積層させたウィンドサーフィン用のボードを、紙製の蜂の巣(ハニカムともいう。)形状の構造体(ペーパーハニカムともいう。)で補強したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このウィンドサーフィン用のボードでは、繊維強化プラスチックをペーパーハニカムで補強することで、繊維強化プラスチックを何層も積層させなくて済むようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2-114085号公報(第3頁左上欄第2行-第12行、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記実際に使われている木製のボートデッキでは、成人男性が乗っても安全な強度を出すために、板厚を厚くしなくてはならず、ボートデッキが重くなってしまう。また、前記実際に使われている繊維強化プラスチック製のボートデッキでも、成人男性が乗ってもたわみが生じないように、板厚を厚くしなくてはならず、ボートデッキが重くなってしまう。そのため、実際に使われている繊維強化プラスチック製のボートデッキは、木製のボートデッキに対して、さほど軽量化がされていない。
【0006】
前記特許文献1に係るウィンドサーフィン用のボードでは、ペーパーハニカムの内部(特許文献1では、空間部分という。)に樹脂を充填しているために、ウィンドサーフィン用のボードが重くなってしまう。
【0007】
そこで、この発明では、前記した課題を解決し、既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキよりも軽い、業界最軽量のボートデッキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、ボートに取り付けたり取り外したりするボートデッキについて、平板状のデッキ本体を、ハニカム状の骨格体を挟むように積層させたシート状の繊維体を樹脂で固めて成形した。
【0009】
請求項2に係る発明では、ハニカム状の骨格体について、その内部を中空にした。
【0010】
請求項3に係る発明では、ハニカム状の骨格体について、その内部を真空にした。
【0011】
請求項4に係る発明では、ハニカム状の骨格体について、その内部を、シート状の繊維体を固める樹脂よりも軽い素材で満たすようにした。
【0012】
請求項5に係る発明では、ハニカム状の骨格体を、立体図形を隙間なく並べた形状にした。
【0013】
請求項6に係る発明では、ハニカム状の骨格体を紙製にした。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、繊維強化プラスチック製のボートデッキについて、平板状のデッキ本体を、ハニカム状の骨格体を挟むように積層して成形したので、シート状の繊維体を何層も積層させなくても、デッキ本体の板厚を厚くできる。そこで、請求項1に係る発明によれば、既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキよりも、繊維体の積層枚数を少なくしたり、繊維体の厚みを薄くしたりして、ボートデッキの重さを軽くすることができる。そして、請求項1に係る発明によれば、デッキ本体を厚みのあるハニカム状の骨格体を挟むように積層して成形することで、既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキよりも、デッキ本体の板厚を厚くもできるので、成人男性が乗ってもデッキ本体にたわみが生じないようにもできる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、骨格体の内部を中空にしたので、デッキ本体をハニカム状の骨格体を挟むように積層して成形しても、繊維体を固める樹脂の使用量があまり増えない。そこで、請求項2に係る発明によれば、デッキ本体の板厚が厚い割に、ボートデッキの重さを軽くすることができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、骨格体の内部を真空にしたので、骨格体の内部を大気圧より低い圧力の気体で満たされた状態にできる。そのため、請求項3に係る発明によれば、骨格体の内部の気体が、温度の上昇によって気体の体積が膨張しにくい。そこで、請求項3に係る発明によれば、ボートデッキを高温下、例えば、真夏の炎天下で車内に放置しても、ハニカム状の骨格体とシート状の繊維体との接着部分がはがれたり、変形したりすることを防げる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、骨格体の内部を、シート状の繊維体を固める樹脂よりも軽い素材で満たすようにしたので、骨格体の内部に空気が残っていない状態にできる。そこで、請求項4に係る発明によれば、ボートデッキを高温下、例えば、真夏の炎天下で車内に放置しても、ハニカム状の骨格体とシート状の繊維体との接着部分がはがれたり、変形したりすることを防げる。そして、請求項4に係る発明によれば、骨格体の内部を、シート状の繊維体を固める樹脂よりも軽い素材で満たすようにしたので、例えば、発泡ウレタンのような軽い素材で満たせば、デッキ本体の板厚が厚い割に、ボートデッキの重さを軽くすることができる。
【0018】
また、請求項4に係る発明によれば、骨格体の内部を、シート状の繊維体を固める樹脂よりも軽い素材で満たすようにしたので、骨格体の強度を高めることもできる。そこで、請求項4に係る発明によれば、骨格体の強度が高まったことに応じて、繊維体の積層枚数を少なくしたり、繊維体の厚みを薄くしたりして、ボートデッキの重さをさらに軽くすることができる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、ハニカム状の骨格体を、立体図形を隙間なく並べた形状にしたので、蜂の巣(正六角形や正六角柱ともいう。)の形状のほかにも、球体や三角すい、立方体などの、既存のハニカム状の製品をボートデッキの骨格体に転用することができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、ハニカム状の骨格体を紙製にしたので、紙製の骨格体にも樹脂をしみ込ませることができる。そこで、請求項6に係る発明によれば、紙製の骨格に樹脂をしみ込ませて骨格体の強度をより高めたり、紙製の骨格体とシート状の繊維体との接合をより強固にしたりできる。
【0021】
このように、請求項1から請求項6に係る発明によれば、シート状の繊維体を何層も積層させなくても、デッキ本体の板厚を厚くできるので、既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキよりもボートデッキの重さを軽くすることができる。そのため、請求項1から請求項6に係る発明によれば、ボートデッキが軽いので、ボートデッキの運搬や保管のほか、ボートへの取り付けや取り外し、車への積み込みや積み下ろしなどの負担を軽減できる。そこで、請求項1から請求項6に係る発明によれば、力の弱い女性や、力が衰え始めた中高年でも、ボートデッキを無理なく使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキの斜視図である。
図2】(a)は実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキの構造を説明する斜視図のうち、図1のA部分の分解斜視図であり、(b)は図1のB部分の分解斜視図である。
図3】(a)は実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキをボートに取り付けたり取り外したりすることを説明する斜視図のうち、ボートデッキを取り付ける前の斜視図であり、(b)はボートデッキを取り付けたときの斜視図であり、(c)はボートデッキを一部折り畳んだときの斜視図である。
図4】他の実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキの裏面側斜視図である。
図5】別の他の実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキの図1のA部分の分解斜視図である。
図6】それとは別の他の実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキの図1のA部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、この発明の創作の基礎となる事項について簡単に説明する。出願人は、ドイツ車などの高級外車の修理を請け負っている。ここで、高級外車の多くにはアルミ製のボディーが採用されているところ、アルミ製ボディーは日本車で多く使われている鉄板と違ってたたいて直せないため、専門的な技術がないとアルミ製ボディーの板金塗装は難しい。出願人は、創業以来ディーラーの下請け工場としてアルミ製ボディーの修理実績を積み上げることで、ディーラーに依頼した場合と遜色ない高品質な板金塗装ができる熟練した技術を有している。
【0024】
出願人は、代表取締役の外車好きが高じて、創業以来長年にわたって高級外車の修理を請け負ってきた。その経験から、出願人は、大切にされている高級外車を末長くお乗りいただけるよう、アルミ製ボディーの板金塗装を新車のように仕上げること、より具体的には、ディーラーに持ち込む以上に丁寧な仕上がりを、よりお安く、よりスピーディーに実現することを心掛けてきた。その心掛けが評価されてか、出願人は、整備工場のある埼玉県のほか、東京都や神奈川県にお住まいのお客様からも、大切な愛車をお預けいただいている。この発明は、まさに好きが高じて、ご満足いただけるモノやコトを、よりお安く、よりスピーディーに実現するという、出願人の修理に対する基本的な考え方を背景に創作されたものである。
【0025】
発明者は、出願人の代表取締役である。発明者は、将来を見据えて、ポストコロナやウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、新分野展開などの思い切った事業再構築に意欲を有している。そこで、発明者は、バス釣り好きが高じて、昨年10月に釣り関連事業を行う「ULCUS」(商願2020-149376)事業部を立ち上げた。
【0026】
発明者は、日頃からレンタルボートでのバス釣りを楽しんでいるところ、荷物の運搬を負担に感じていた。ここで、ブラックバスの釣り場には、亀山ダムのように桟橋の横まで車が進入できたり、ボートの横まで電動カートで荷物を運べたりできるところもあるが、多くの釣り場では駐車場からボートまで、手で持って荷物を運ばなくてはならず、重いボートデッキは運搬の負担になっている。
【0027】
発明者は、既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキを使っているところ、既存のものは発明者が期待していたほどには軽くなく、受注生産のため、既存のものを手にするには数が月も待たなくはならなかった。
【0028】
そこで、発明者は、高級外車の修理技術や仕入れ先のつながりを生かして、ボートデッキの自作を始めたところ、軽さと強さを追求してドライカーボンで作ろうとすると、けた違いに高額になるとともに、必要以上に高性能で実用には不釣り合いになることに気づいた。
【0029】
そして、発明者は、ウエットカーボンやガラス繊維強化プラスチックでも、航空機に使われているハニカム構造の芯材をボートデッキに転用できれば、ボートデッキを重くせずに、ボートデッキの板厚を厚くできることを見いだし、この発明を創作するに至ったものである。
【0030】
次に、この発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキの斜視図である。図1に示すように、実施形態に係るボートデッキ1は、平板状のデッキ本体2からなり、ここでは、かさ上げ台3と、防水シート4とを含んで構成されている。
【0031】
ボートデッキ1は、バス釣りなどでボートフィッシングをするときに、ボートに取り付けたり取り外したりする甲板であり、ボートの船梁(ふなばり)に置いたり(これを、ミドルデッキという。)、ボートの船縁(ふなべり)に渡したり(これを、ハイデッキという。)するものである。ここでは、ボートデッキ1は、ボートの船梁に置く、ミドルデッキと呼ばれるボートデッキである。
【0032】
デッキ本体2は、繊維強化プラスチック製の広く平らな板であり、ここでは3分割されている。
【0033】
かさ上げ台3は、デッキ本体2の裏面の隅に取り付けられた直方体の台部材であり、ここでは繊維強化プラスチック製である。
【0034】
防水シート4は、デッキ本体2の表面を覆う防水性の布である。ここでは、防水シート4は、3分割されているデッキ本体2を一枚の布で覆うことで、デッキ本体3を折り畳みできるように連結させている。
【0035】
図2の(a)は、実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキ1の構造を説明する斜視図のうち、図1のA部分の分解斜視図である。図2の(a)に示すように、実施形態に係るボートデッキ1(図1参照)は、図1のA部分、言い換えると、デッキ本体2が、骨格体21と繊維体22から構成されている。
【0036】
骨格体21は、ハニカム(蜂の巣のことをいう。)状、より具体的には正六角形や正六角柱を隙間なく並べた構造を有する骨組みである。ここでは、骨格体21は、ペーパーハニカムである。
【0037】
繊維体22は、ガラス繊維や炭素繊維のほか、アラミドなどの樹脂繊維などをシート状に加工したものである。例えば、ガラス繊維をシート状に加工したものには、ガラス糸で織り上げてクロス状に加工したガラスクロスや、短く切ったガラス繊維を無作為に重ねてマット状に加工したガラスマットがある。ここでは、繊維体22は、ガラスマットである。
【0038】
図2の(a)に示すように、実施形態に係るボートデッキ1(図1参照)は、図1のA部分、言い換えると、デッキ本体2が、ハニカム状の骨格体21を挟むように積層させたシート状の繊維体22を図示しない樹脂で固めて成形されている。このように、実施形態に係るボートデッキ1では、デッキ本体2が厚みのあるハニカム状の骨格体21を挟むように積層して成形されているために、シート状の繊維体22を何層も積層させなくても、デッキ本体2の板厚が厚くなる。
【0039】
そこで、実施形態に係るボートデッキ1(図1参照)では、既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキよりも繊維体22の積層枚数が少なくて済み、ここでは表面と裏面にそれぞれ2枚で済むために、既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキよりもボートデッキ1の重さが軽くなる。ここでは、シート状の繊維体22は、表面と裏面にそれぞれ2枚積層させて、デッキ本体2に先端のとがった物が当たっても、デッキ本体2が裂けないようにしている。
【0040】
また、図2の(a)に示すように、実施形態に係るボートデッキ1(図1参照)は、骨格体21の内部が中空になっている。このように、実施形態に係るボートデッキ1では、骨格体21の内部が中空になっているために、言い換えると、骨格体21の内部に繊維体22を固める樹脂が入り込んでいないために、デッキ本体2をハニカム状の骨格体21を挟むように積層して成形しても、繊維体22を固める樹脂の使用量があまり増えない。そこで、実施形態に係るボートデッキ1では、デッキ本体2の板厚が厚い割に、ボートデッキ1の重さが軽くなる。
【0041】
図2の(b)は、実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキ1の構造を説明する斜視図のうち、図1のB部分の分解斜視図である。図2の(b)に示すように、実施形態に係るボートデッキ1(図1参照)は、図1のB部分、言い換えると、かさ上げ台3が、ハニカム状の骨格体31を挟むように積層させたシート状の繊維体32を図示しない樹脂で固めて成形されている。このように、実施形態に係るボートデッキ1では、かさ上げ台3が厚みのある、ここでは骨格体21と比べて2倍の厚みのあるハニカム状の骨格体31を挟むように積層して成形されているために、シート状の繊維体32を何層も積層させなくても、かさ上げ台3の厚みが厚くなる。
【0042】
そこで、実施形態に係るボートデッキ1(図1参照)では、既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキのように、シート状の繊維体を何層も積層してかさ上げ台の厚みを厚くしなくて済むために、既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキよりもボートデッキ1の重さが軽くなる。ここでは、シート状の繊維体32は、裏面に2枚積層させて、かさ上げ台3に先端のとがった物が当たっても、かさ上げ台3が裂けないようにしている。
【0043】
図3は、実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキ1をボートに取り付けたり取り外したりすることを説明する斜視図である。図3の(a)は、ボートデッキを取り付ける前の斜視図であり、図3の(b)は、ボートデッキを取り付けたときの斜視図であり、図3の(c)は、ボートデッキを一部折り畳んだときの斜視図である。
【0044】
図3に示すように、実施形態に係るボートデッキ1はボートBの船梁b,bに置く、ミドルデッキと呼ばれるボートデッキである。実施形態に係るボートデッキ1では、デッキ本体2が厚みのあるハニカム状の骨格体21を挟むように積層して成形されているために(図2参照)、シート状の繊維体22を何層も積層させなくても、デッキ本体2の板厚が厚くなる。そこで、実施形態に係るボートデッキ1では、既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキよりもシート状の繊維体22の積層枚数が少なくて済み、既存の繊維強化プラスチック製のボートデッキよりもボートデッキ1の重さが軽くなる。そのため、実施形態に係るボートデッキ1では、ボートデッキ1の運搬や保管のほか、ボートBへの取り付けや取り外し、車への積み込みや積み下ろしなどの負担が軽減される。
【0045】
また、実施形態に係るボートデッキ1では、デッキ本体2の裏面の隅にかさ上げ台3が取り付けられているために、目線がより高くなることで、目で見える魚を釣るサイトフィッシングに有利である。さらに、実施形態に係るボートデッキ1は、デッキ本体2の裏面の隅にかさ上げ台3が取り付けられているために、船梁b,bとデッキ本体2との間に隙間ができる。そこで、実施形態に係るボートデッキ1では、その隙間にケーブルなどを通すこともできる。加えて、実施形態に係るボートデッキ1は、デッキ本体3を折り畳めるために、ボートデッキ1を折り畳むと、ボートデッキ1の運搬や保管のほか、ボートBへの取り付けや取り外し、車への積み込みや積み下ろしなどがしやすい。
【0046】
図4は、他の実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキの裏面側斜視図である。図4に示すように、他の実施形態に係るボートデッキ1’は、デッキ本体2’の裏面に補強部材5が取り付けられている。他の実施形態に係るボートデッキ1’では、繊維体22(図2の(a)参照)よりも繊維体の積層枚数を少なくしたり、繊維体の厚みを薄くしたりした代わりに、ここでは木製の補強部材5を取り付けて、成人男性が乗ってもデッキ本体2’にたわみが生じないようになっている。
【0047】
図5は、別の他の実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキの図1のA部分の分解斜視図である。図5に示すように、別の他の実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキでは、骨格体21の内部が真空vになっている。そこで、別の他の実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキでは、骨格体21の内部が大気圧より低い圧力の気体で満たされた状態になる。そのため、別の他の実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキでは、骨格体21の内部の気体が、温度の上昇によって気体の体積が膨張しにくい。そこで、別の他の実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキでは、ボートデッキを高温下、例えば、真夏の炎天下で車内に放置しても、ハニカム状の骨格体21とシート状の繊維体22との接着部分がはがれにくく、変形もしにくい。
【0048】
図6は、それとは別の他の実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキの図1のA部分の分解斜視図である。図6に示すように、それとは別の他の実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキでは、骨格体21の内部が、シート状の繊維体22を固める樹脂よりも軽い素材で、ここでは発泡ウレタンiで満たされていて、骨格体21の内部に空気が残っていない状態になっている。そこで、それとは別の他の実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキでは、ボートデッキを高温下、例えば、真夏の炎天下で車内に放置しても、ハニカム状の骨格体21とシート状の繊維体22との接着部分がはがれにくく、変形もしにくい。
【0049】
また、それとは別の他の実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキでは、シート状の繊維体22を固める樹脂よりも軽い素材で、ここでは発泡ウレタンiで骨格体21の内部が満たされているために、デッキ本体2’’’の板厚が厚い割に、ボートデッキの重さが軽くなる。
【0050】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は前記実施形態には限定されない。例えば、実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキ1では、ミドルデッキであると説明したところ、ハイデッキでも構わない。
【0051】
また、実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキ1では、デッキ本体2が3分割されていると説明したところ、一枚物でも構わない。
【0052】
さらに、実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキ1では、骨格体21,31がペーパーハニカム(紙製)であると説明したところ、アルミニウムなどの金属製のものでも、プラスチックなどの非金属製のものでも構わない。
【0053】
加えて、実施形態に係る繊維強化プラスチック製のボートデッキ1では、繊維体22がガラスマットであると説明したところ、ガラスクロスでも構わない。
【0054】
この発明においてハニカム状とは、蜂の巣(正六角形や正六角柱ともいう。)の形状のほかにも、球体や三角すい、立方体などの立体図形を隙間なく並べた形状をいう。
【0055】
この発明においてシート状の繊維体とは、ガラス繊維や炭素繊維のほか、アラミドなどの樹脂繊維などの繊維体をいう。
【0056】
この発明において真空とは、大気圧より低い圧力の気体で満たされた状態をいう。
【符号の説明】
【0057】
1 ボートデッキ(ミドルデッキ)
2 デッキ本体
21 骨格体
22 繊維体
3 かさ上げ台
4 防水シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6