IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シマノの特許一覧

<>
  • 特開-アイウェア 図1
  • 特開-アイウェア 図2
  • 特開-アイウェア 図3
  • 特開-アイウェア 図4
  • 特開-アイウェア 図5
  • 特開-アイウェア 図6
  • 特開-アイウェア 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042401
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】アイウェア
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/14 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
G02C5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149680
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】入江 克典
(72)【発明者】
【氏名】松本 大知
(57)【要約】
【課題】ユーザーの着用時にはレンズ部の脱落を確実に防止でき、非着用時にはレンズ部の着脱を容易にしたアイウェアを提供する。
【解決手段】接続部41を有する前枠4と、一端が前記前枠4と開閉可能に接続されるテンプル5と、光を透過する透光部、および、前記前枠4への装着の際に前記接続部41に接続される被接続部、を有し、前記前枠に着脱可能に設けられるレンズ部3と、前記テンプル5に設けられ、前記テンプル5の開閉動作に連動して前記前枠4に対して接近離反し、前記レンズ部3と係合可能である係合部51と、を備えるアイウェアである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続部を有する前枠と、
前記前枠と開閉可能に接続されるテンプルと、
光を透過する透光部、および、前記前枠への装着の際に前記接続部に接続される被接続部、を有し、前記前枠に着脱可能に設けられるレンズ部と、
前記テンプルに設けられ、前記テンプルの開閉動作に連動して前記前枠に対して接近離反し、前記レンズ部と係合可能である係合部と、
を備えるアイウェア。
【請求項2】
前記係合部は、前記テンプルの前記前枠側の一端に設けられる、請求項1に記載のアイウェア。
【請求項3】
前記係合部は前記テンプルが開いている状態で、前記レンズ部と係合する、請求項1または2に記載のアイウェア。
【請求項4】
前記レンズ部が前記前枠に装着され、前記係合部が前記レンズ部に係合されるとき、前記被接続部と前記係合部とが、前記レンズ部に対する前方視で、少なくとも一部が重なる、請求項1~3のいずれか一項に記載のアイウェア。
【請求項5】
前記レンズ部は、前記前枠の前方に位置し、
前記係合部は、前記レンズ部と係合している状態で前記被接続部を前記前枠へ押圧するように設けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載のアイウェア。
【請求項6】
前記接続部と前記被接続部のいずれか一方に設けられる磁石と、他方に設けられる前記磁石が磁着される磁性体と、を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のアイウェア。
【請求項7】
前記レンズ部は、左眼部と右眼部とが一体に設けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載のアイウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サングラス、眼鏡等のアイウェアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズ部をフレーム部から着脱可能としたアイウェアが存在している(例えば特許文献1)。特許文献1に記載のアイウェアは、前枠(フロントフレーム)の左右両端部に、前枠に対して開閉可能に移動するレバーが設けられている。そして、前枠とレバーの各々に磁石が設けられている。各磁石は吸着するように配置されている。
【0003】
前枠と閉じた状態のレバーに挟まれるようにレンズ部を位置させることで、前枠とレバーの各々に設けられた磁石がレンズ部を挟んで吸着する。これにより、前枠とレバーとの間にレンズ部が保持される。
【0004】
しかし前記構成には、改善すべきいくつかの点がある。まず、レンズ部が磁力のみで保持されるため、例えばアイウェアに衝撃が加わった際に、レンズ部が前枠から脱落しやすい点が挙げられる。次に、前枠にレンズ部を装着する際に、前枠の両端部に設けられたレバー部を閉じる作業が必要である。前枠からレンズ部を外す際も同様にレバー部を開く作業が必要である。このため、レンズ部の着脱が煩雑である点が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-315751号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、ユーザーの着用時にはレンズ部の脱落を確実に防止でき、非着用時にはレンズ部の着脱を容易にしたアイウェアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、接続部を有する前枠と、前記前枠と開閉可能に接続されるテンプルと、光を透過する透光部、および、前記前枠への装着の際に前記接続部に接続される被接続部、を有し、前記前枠に着脱可能に設けられるレンズ部と、前記テンプルに設けられ、前記テンプルの開閉動作に連動して前記前枠に対して接近離反し、前記レンズ部と係合可能である係合部と、を備えるアイウェアである。
【0008】
この構成によれば、前枠の接続部とレンズ部の被接続部との接続に加えて、テンプルの係合部がレンズ部に係合する。このため、レンズ部が前枠とテンプルの両方で保持されるので、前枠からレンズ部を脱落しにくくできる。また、係合部がテンプルの開閉動作に連動する構成のため、例えば、着用の際にテンプルを開くと、これに従い係合部をレンズ部に係合するようにできるので、係合のためだけの操作を要しない。
【0009】
また、前記係合部は、前記テンプルの前記前枠側の一端に設けられるものとできる。
【0010】
この構成によれば、テンプルの一部を係合部とできるので、前枠に対して接近離反する係合部を簡単に構成できる。
【0011】
また、前記係合部は前記テンプルが開いている状態で、前記レンズ部と係合するものとできる。
【0012】
この構成によれば、テンプルの開きに伴いレンズ部への係合をできるので、ユーザーの着用時には係合部が機能するため、レンズ部の脱落抑制を確実にできる。
【0013】
また、前記レンズ部が前記前枠に装着され、前記係合部が前記レンズ部に係合されるとき、前記被接続部と前記係合部とが、前記レンズ部に対する前方視で、少なくとも一部が重なる
ものとできる。
【0014】
この構成によれば、被接続部と係合部の一部が前方視で重なっている位置関係であることにより、接続部と被接続部との接続、係合部とレンズ部との係合が同じ位置でなされる。よって、係合部が接続部と被接続部の接続状態を補助できる。
【0015】
また、前記レンズ部は、前記前枠の前方に位置し、前記係合部は、前記レンズ部と係合している状態で前記被接続部を前記前枠へ押圧するように設けられるものとできる。
【0016】
この構成によれば、係合に加えて更に押圧がされるので、接続をより確実にできる。
【0017】
また、前記接続部と前記被接続部のいずれか一方に設けられる磁石と、他方に設けられる前記磁石が磁着される磁性体と、を有するものとできる。
【0018】
この構成によれば、磁石と磁性体との組み合わせにより、磁力で接続がなされるため、透光部とフレームとの着脱が容易でありながら、係合部により、透光部の脱落防止を確実にできる。
【0019】
また、前記レンズ部は、左眼部と右眼部とが一体に設けられるものとできる。
【0020】
この構成によれば、左右まとめて着脱できることから、レンズ部の着脱が容易である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、前枠からレンズ部を脱落しにくくでき、かつ、係合のための特別な操作が不要である。このため、ユーザーの着用時にはレンズ部の脱落を確実に防止でき、非着用時にはレンズ部の着脱を容易にしたアイウェアを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るアイウェア(サングラス)を示す斜視図である。
図2】前記アイウェアのフレーム部を示す斜視図である。
図3】前記アイウェアのレンズ部を示す斜視図である。
図4】前記アイウェアの前枠とテンプルの接続部分を顔面側から前上方に向かい示した要部拡大斜視図である。
図5】前記アイウェアにてテンプルを半開きにした状態の、係合部と前枠及びレンズ部との関係を示す要部拡大底面図である。
図6】前記アイウェアにてテンプルを完全に開いた状態の、係合部と前枠及びレンズ部との関係を示す要部拡大底面図である。
図7】本発明の他実施形態に係るアイウェア(サングラス)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の一実施形態に係る、アイウェアとしてのサングラス1を取り上げて説明を行う。なお、以下における前後及び上下の表現は、図1に示す状態における方向に対応している。また、着用時にユーザーの顔面から遠い側を前方とし、ユーザーの顔面に近い側を後方とする。また、ユーザーの右目に対応する側の方向を右方とし、左目に対応する側の方向を左方とする。
【0024】
本実施形態のサングラス1は、図1に示すように、フレーム部2と、フレーム部2とは別体として形成されたレンズ部3とを備える。図2に示すように、フレーム部2は、着用時にユーザーの顔面前方に位置する前枠4と、前枠4の左右端に連続しており、着用時にユーザーの耳に掛けられる一対のテンプル5,5と、から構成されている。前枠4は接続部41を有する。この接続部41は、レンズ部3に設けられた被接続部33(図3参照)に対して接続される。これにより、フレーム部2とレンズ部3とが図1に示すように一体となる。本実施形態における前記接続は磁力によりなされる。このため、本実施形態の接続部41は、前枠4において、磁性体411である磁性金属が埋め込まれた部分とされている。
【0025】
前枠4と各々のテンプル5とはヒンジ6(図4等参照)により回動可能に接続されている。これにより、テンプル5は前枠4に対して回動する。そしてこの回動により、テンプル5は前枠4と開閉可能に接続される。図1が完全に開いた状態である。一対のテンプル5,5のうち左右各部が重なり合うようにヒンジ6を中心に回動して、閉じた状態(図示しない)となる。テンプル5は、レンズ部3のフレーム部2からの脱落抑制をなす係合部51を有する。係合部51に関しては後述する。
【0026】
レンズ部3は、前枠4に対して着脱可能な部分であって、装着時には図1に示すように、前枠4の前方に位置する。ここで前記「着脱可能」とは、本実施形態の磁力等での接続によって実現され、ユーザーの手によって着脱が可能な状態とされていることを指し、ねじ止め等、工具を用いなければ着脱できない構成は含まれないものとする。
【0027】
図3に示すように、レンズ部3は、厚み方向に光を透過する透光部(レンズ)31、鼻当て32、前枠4への装着の際に前枠4の接続部41に接続される被接続部33を有する。被接続部33は、磁石(永久磁石)331と、磁石331が埋め込まれた枠状の磁石保持部332を有する。本実施形態では、磁石331と磁石保持部332とが一体不可分の形態とされている。磁石保持部332は透光部31の左右の後面に接着等により固定されている。レンズ部3が有する磁石331とフレーム部2が有する磁性体411との組み合わせにより、磁力によってレンズ部3と前枠4とが接続されるため、装着に当たって、ユーザーは前枠4に対してレンズ部3を位置合わせするだけでよい。よって、ユーザーの手によるレンズ部3と前枠4との着脱が容易である。また、本実施形態のレンズ部3は、左眼部と右眼部とが一体に設けられる。このため、レンズ部3を前枠4に対して一体で、容易に着脱可能である。
【0028】
なお、磁石331は、接続部41と被接続部33のいずれか一方(本実施形態では被接続部33)に設けられ、前記磁石331が磁着される磁性体411は、接続部41と被接続部33のいずれか他方(本実施形態では接続部41)に設けられていればよい。また、磁石331と磁性体411の組み合わせに代えて、極性を反対の関係で対向させた一対の磁石を用いてもよい。
【0029】
本実施形態のサングラス1において、透光部31は着色された透光材料(具体的には樹脂板)から構成されている。透光部31は、度付き(眼鏡)であっても度なし(サングラス等)であってもよい。透光部31は透明であってもよい。さらに透光部31は、不透明の板に一つ以上のスリットまたは穴が厚み方向に貫通して構成されていてもよい。また透光部31は網状であってもよい。
【0030】
係合部51はテンプル5に設けられる。具体的に、係合部51は、テンプル5の前枠4側の一端に一体的に設けられる。このように構成することで、前枠4に対して接近離反する係合部51を簡単に構成できる。係合部51は具体的に、図5に示すような、テンプル5の前記一端が絞られて形成された爪部511を有する。この爪部511は、テンプル5の横断寸法が縮小された形態であって、テンプル5の一端における左右いずれかの側に片寄せて形成された板状の部分である。本実施形態では、図5に示すように、テンプル5の一端において爪部511と共に、上方に張り出した上面部52が形成されており、この上面部52もテンプル5の一端に一体的に設けられているが、上面部52は設けないこともできる。
【0031】
係合部51(詳しくは爪部511)は、テンプル5のヒンジ6を中心とした回動による開閉動作に連動して、前枠4に対して接近離反する。テンプル5が前枠4に対して接近した際には、前枠4の前方に位置するレンズ部3と係合可能である。より詳しくは、係合部51はテンプル5が開いている状態(具体的には、図1図6に示す完全に開いた状態)でレンズ部3と係合する。係合部51は、レンズ部3における磁石保持部332の一部である側方端縁3321(図3参照)に対し、沿うようにして係合する。係合部51は、磁石保持部332を前方から覆うように係合する。係合部51がこのように構成されたことにより、テンプル5の開きに伴いレンズ部3への係合をできるので、レンズ部3のフレーム部2(前枠4)からの脱落抑制を確実にできる。
【0032】
レンズ部3が前枠4に装着され、テンプル5における係合部51がレンズ部3に係合されるとき、レンズ部3における被接続部33と係合部51とが、レンズ部3に対する前方視で(前後方向で)、少なくとも一部が重なる状態となる。これにより、レンズ部3が前枠4から前方に外れようとしても、係合部51がレンズ部3を前方から押さえ込んでいることから、レンズ部3が前方に移動できない。したがって、係合部51が接続部41と被接続部33の接続状態を補助できる。
【0033】
また、係合部51は、レンズ部3と係合している状態で被接続部33を前枠4(接続部41)へ押圧することができる。本実施形態では、前述のように、被接続部33と係合部51とが、レンズ部3に対する前方視で(前後方向で)、少なくとも一部が重なる状態となっていることから、係合部51による被接続部33の押圧をしやすい。係合部51が、レンズ部3に対する係合に加えて更に被接続部33を前枠4に対して押圧させるので、係合状態が強化され、レンズ部3の脱落抑制をより確実にできる。なお、被接続部33が押圧されていれば透光部31の押圧はされていなくてもよい。むしろ、透光部31をひずませないため、係合部51による透光部31の押圧はされないことが好ましい。
【0034】
以上、本実施形態によれば、前枠4の接続部41とレンズ部3の被接続部33との接続に加えて、テンプル5の係合部51がレンズ部3に係合する。このため、前枠4に対して磁力による接続がなされているレンズ部3を、さらに係合部51によって前枠4に係合させることができることから、前枠4からレンズ部3を脱落しにくくできるとの利点を発揮できる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0036】
例えば、接続部41と被接続部33は磁石(永久磁石)331と磁性体411との組み合わせであった。しかし、接続方式はこれに限定されない。例えば、切り欠き、穴、凹部のいずれかと突起の組み合わせのように嵌合による接続であってもよいし、面ファスナーを利用した接続、粘着部材を利用した接続であってもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、レンズ部3の被接続部33が、磁石(永久磁石)331と、磁石331が埋め込まれた枠状の磁石保持部332と、を有するものであった。しかし、例えば磁石保持部332を有しないものとし、磁石331を直接透光部31に固定した構成とすることもできる。
【0038】
また、前記実施形態では、係合部51は、レンズ部3における磁石保持部332の一部である側方端縁3321に係合するよう構成されていた。しかし、これに限定されず、レンズ部3における他の部分(透光部31を含む)に係合するよう構成されていてもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、前枠4の左右両側に接続部41(磁性体411)が設けられ、一対のテンプル5の左右各々の端部に係合部51が設けられていた。しかしこれに限らず、左右を異なる構成としてもよい。具体的には、前枠4の左右一方側にのみ接続部41(磁性体411)が設けられ、一対のテンプル5の左右他方側にのみ係合部51が設けられていてもよい。この際、前枠4の左右他方側は磁力ではなく、凹凸嵌合等の係合によりレンズ部3を保持するよう構成されていてもよい。また、前記実施形態のように前枠4の左右両側に接続部41(磁性体411)が設けられているものの、一対のテンプル5の左右片側にのみ係合部51が設けられていてもよい。
【0040】
また、係合部51はテンプル5の一部ではなく、テンプル5の本体に取り付けられた別個の部材であってもよい。この場合であっても、係合部51はテンプル5の開閉動作に連動して前枠4に対して接近離反するよう構成されていればよい。
【0041】
また、レンズ部3は、図7のように透光部31が左眼部31Lと右眼部31Rに分離した形態であってもよい。この場合、例えば、前枠4及び一対のテンプル5における左右両側での接続部41、係合部51の機能は前記実施形態と同様であって、鼻当て32付近で前枠4とレンズ部3とが凹凸嵌合等の係合によりレンズ部3を保持するよう構成されることができる。そして逆に、鼻当て32付近で磁力による接続を行い、テンプル5の側で係合部51による係合を行ってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 アイウェア、サングラス
2 フレーム部
3 レンズ部
31 透光部
32 鼻当て
33 被接続部
331 磁石
332 磁石保持部
4 前枠
41 接続部
411 磁性体
5 テンプル
51 係合部
6 ヒンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7