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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042449
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】ロータリエンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20230317BHJP
   F16H 1/20 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
G01D5/245 110W
F16H1/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149747
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】林本 茂
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 遼
(72)【発明者】
【氏名】尾関 泰地
【テーマコード(参考)】
2F077
3J009
【Fターム(参考)】
2F077CC07
2F077DD05
2F077NN02
2F077NN17
2F077NN24
2F077PP05
2F077QQ07
2F077QQ15
2F077QQ17
2F077TT81
2F077VV08
3J009EA04
3J009EA11
3J009EA21
3J009EA43
3J009EB24
3J009FA11
(57)【要約】
【課題】主軸マグネットと主軸センサとの間の距離を一定に保つことができるとともに主軸マグネットの特性の安定化を図ることができるロータリエンコーダを提供する。
【解決手段】主軸20と、主軸歯車40と、主軸マグネット29と、主軸センサ151と、主軸センサ基板150と、主軸センサ基板150を支持する支持体90と、を備える。主軸20におけるモータ軸の一端504の連結部と主軸歯車40の固定箇所との間に、中空の円筒部25aよりなる熱抵抗部を設けた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸に連結された主軸と、
前記主軸に固定された主軸歯車と、
前記主軸に保持された主軸マグネットと、
前記主軸の軸方向において前記主軸マグネットに対向して配置され、前記主軸マグネットの回転に伴う磁界の変化を検出する主軸センサと、
前記主軸センサを実装した主軸センサ基板と、
前記主軸センサ基板を支持する支持体と、
を備えるロータリエンコーダであって、
前記主軸における前記モータ軸の連結部と前記主軸歯車の固定箇所との間に、中空の円筒部よりなる熱抵抗部を設けた
ことを特徴とするロータリエンコーダ。
【請求項2】
前記支持体におけるモータの取付面には凸面が形成され、前記凸面の先端面がモータ側と接触している
ことを特徴とする請求項1に記載のロータリエンコーダ。
【請求項3】
前記主軸マグネットを保持する主軸マグネット保持体と前記主軸とが螺合している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリエンコーダ。
【請求項4】
前記支持体は、前記主軸の軸方向に延びる支柱を有し、
前記支柱は、前記主軸の軸方向において前記主軸センサ基板の位置決め面を有する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のロータリエンコーダ。
【請求項5】
前記主軸歯車に噛み合う副軸歯車と、
前記副軸歯車を回転可能に支持する副軸と、
前記副軸歯車に保持された副軸マグネットと、
前記副軸の軸方向において前記副軸マグネットに対向して配置され、前記副軸マグネットの回転に伴う磁界の変化を検出する副軸センサと、
前記副軸センサを実装した副軸センサ基板と、
を更に備え、
前記支持体は、前記主軸センサ基板及び前記副軸センサ基板を支持する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のロータリエンコーダ。
【請求項6】
前記噛み合う前記主軸歯車及び前記副軸歯車を収容する歯車収容箱体を更に備え、
前記支持体は、前記主軸の軸方向に延びる支柱を有し、
前記支柱は、前記主軸の軸方向において異なる位置に、前記主軸センサ基板の位置決め面、前記歯車収容箱体の位置決め面、前記副軸センサ基板の位置決め面を有する
ことを特徴とする請求項5に記載のロータリエンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリエンコーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のエンコーダにおいては、モータ出力軸に連結される主軸が玉軸受を介してケースに収容されているとともに、ケースの一端側にはモータが、他端側には基板が固定されている。主軸にはマグネットが固着されている。そして、基板に設けたセンサにより主軸の回転に対応して磁場の変化を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-109431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、主軸に設けたマグネットと基板に設けたセンサとはギャップを介して対向配置されるが、当該センサ/マグネット間のギャップを精度よく一定に保つことで回転の検出精度向上を図りたいという要求がある。また、マグネットの特性の安定化を図りたいという要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのロータリエンコーダは、モータ軸に連結された主軸と、前記主軸に固定された主軸歯車と、前記主軸に保持された主軸マグネットと、前記主軸の軸方向において前記主軸マグネットに対向して配置され、前記主軸マグネットの回転に伴う磁界の変化を検出する主軸センサと、前記主軸センサを実装した主軸センサ基板と、前記主軸センサ基板を支持する支持体と、を備えるロータリエンコーダであって、前記主軸における前記モータ軸の連結部と前記主軸歯車の固定箇所との間に、中空の円筒部よりなる熱抵抗部を設けたことを要旨とする。
【0006】
これによれば、主軸におけるモータ軸の連結部と主軸歯車の固定箇所との間に、中空の円筒部よりなる熱抵抗部が設けられているため、モータに発生した熱が主軸マグネットに伝わりにくくなる。よって、主軸マグネットと主軸センサとの間の距離を一定に保つことができる。また、主軸マグネットの特性の安定化を図ることができる。
【0007】
また、上記ロータリエンコーダにおいて、前記支持体におけるモータの取付面には凸面が形成され、前記凸面の先端面がモータ側と接触しているとよい。
これによれば、支持体におけるモータの取付面には凸面が形成されているとともに凸面の先端面がモータ側と接触しているため、モータに発生した熱が支持体に伝わりにくくなる。よって、主軸マグネットと主軸センサとの間の距離を一定に保つことができるとともに主軸マグネットの特性の安定化を図ることができる。
【0008】
また、上記ロータリエンコーダにおいて、前記主軸マグネットを保持する主軸マグネット保持体と前記主軸とが螺合しているとよい。
これによれば、主軸マグネットを保持する主軸マグネット保持体と主軸とが螺合しているため、主軸マグネット保持体と主軸とを一部品で構成した場合に比べ、次のようになる。主軸マグネット保持体と主軸とを別体化するとともに螺合することによって、モータに発生した熱が主軸マグネット保持体に伝わりにくくなる。その結果、主軸マグネットと主軸センサとの間の距離を一定に保つことができるとともに主軸マグネットの特性の安定化を図ることができる。
【0009】
また、上記ロータリエンコーダにおいて、前記支持体は、前記主軸の軸方向に延びる支柱を有し、前記支柱は、前記主軸の軸方向において前記主軸センサ基板の位置決め面を有するとよい。
【0010】
これによれば、主軸の軸方向において支持体の支柱の位置決め面に主軸センサ基板が位置決めされるため、支持体に介在物を介して主軸センサ基板を設置した場合に比べ、主軸マグネットと主軸センサとの間の距離を一定に保つことができる。
【0011】
また、上記ロータリエンコーダにおいて、前記主軸歯車に噛み合う副軸歯車と、前記副軸歯車を回転可能に支持する副軸と、前記副軸歯車に保持された副軸マグネットと、前記副軸の軸方向において前記副軸マグネットに対向して配置され、前記副軸マグネットの回転に伴う磁界の変化を検出する副軸センサと、前記副軸センサを実装した副軸センサ基板と、を更に備え、前記支持体は、前記主軸センサ基板及び前記副軸センサ基板を支持するとよい。
【0012】
ここで、上記ロータリエンコーダにおいて、前記噛み合う前記主軸歯車及び前記副軸歯車を収容する歯車収容箱体を更に備え、前記支持体は、前記主軸の軸方向に延びる支柱を有し、前記支柱は、前記主軸の軸方向において異なる位置に、前記主軸センサ基板の位置決め面、前記歯車収容箱体の位置決め面、前記副軸センサ基板の位置決め面を有するとよい。
【0013】
これによれば、主軸の軸方向において支持体の支柱の位置決め面に主軸センサ基板、歯車収容箱、副軸センサ基板が位置決めされる。一方、副軸マグネットは副軸歯車に保持されるので、歯車収容箱体の位置によって副軸マグネットの位置が決まる。よって、主軸マグネットと主軸センサとの間の距離、及び、副軸マグネットと副軸センサとの間の距離を一定に保つことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、主軸マグネットと主軸センサとの間の距離を一定に保つことができるとともに主軸マグネットの特性の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電動アクチュエータ及びロータリエンコーダを示す斜視図である。
図2】電動アクチュエータ及びロータリエンコーダの分解斜視図である。
図3】ロータリエンコーダの断面図である。
図4】電動アクチュエータ及びロータリエンコーダの分解斜視図である。
図5】電動アクチュエータ及びロータリエンコーダを示す斜視図である。
図6】支持体を示す斜視図である。
図7】支持体を示す斜視図である。
図8】主軸歯車、第1副軸歯車、第2副軸歯車を示す斜視図である。
図9】主軸歯車、第1副軸歯車、第2副軸歯車を示す斜視図である。
図10】歯車収容箱体の本体の斜視図である。
図11】歯車収容箱体の本体の斜視図である。
図12】歯車収容箱体の本体、主軸歯車、第1副軸歯車、第2副軸歯車を示す斜視図である。
図13】歯車収容箱体のカバーの斜視図である。
図14】歯車収容箱体のカバーの斜視図である。
図15】歯車収容箱体の本体、主軸歯車、第1副軸歯車、第2副軸歯車を示す平面図である。
図16】グリスの流れを説明するための歯車収容箱体の本体、主軸歯車、第1副軸歯車、第2副軸歯車を示す平面図である。
図17】別例の歯車収容箱体の本体、主軸歯車、副軸歯車を示す平面図である。
図18】別例の歯車収容箱体の本体、主軸歯車、副軸歯車を示す平面図である。
図19】別例のロータリエンコーダの一部断面図である。
図20】別例のロータリエンコーダの一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、電動アクチュエータに具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1図2に示すように、電動アクチュエータ500はモータ501を有する。モータ501は、ステータ502とベアリングホルダ503を備える。ベアリングホルダ503より、モータ軸の一端504が垂直に突出している。モータ軸の他端はベアリングホルダ503の反対側に突出しており、図示しないアクチュエータの回転部に接続されて、モータで駆動される電動アクチュエータを構成している。モータ軸の一端504の軸線方向をX方向とするとともにX方向に直交する面をY-Z面とする。モータ軸の一端504が突出するベアリングホルダ503にはロータリエンコーダ10が設けられている。
【0017】
ベアリングホルダ503の一面503aがロータリエンコーダ設置の際の基準面となる。ベアリングホルダ503の一面503aを基準としてX,Y,Z方向の各部品の取付位置が決められる。
【0018】
ロータリエンコーダ10は電動アクチュエータ500の位置、即ち、モータ501の回転位置を検出するためのものである。
<ロータリエンコーダ10の全体構成>
ロータリエンコーダ10は、アブソリュートロータリエンコーダである。図2図3に示すように、ロータリエンコーダ10は、棒状の主軸20と、主軸歯車40と、丸ピンよりなる第1副軸50と、第1副軸歯車61と、丸ピンよりなる第2副軸70と、第2副軸歯車81を備える。また、ロータリエンコーダ10は、支持体90と、本体120及びカバー140からなる歯車収容箱体110と、主軸センサ基板150と、副軸センサ基板160と、シールドカバー170を備える。さらに、ロータリエンコーダ10は、主軸マグネット29と、副軸マグネット181,191と、主軸センサ151と、副軸センサ161,162を備える。
【0019】
ロータリエンコーダ10は、主軸歯車40、第1副軸歯車61及び第2副軸歯車81の位相差を利用してモータ501の絶対回転数を測定することができる。主軸20はモータ軸の一端504の先端側においてX方向に同軸線上に配置されている。主軸20と第1副軸50と第2副軸70とは、互いの軸線がX方向に平行に延在するとともに、Y方向において離間して配置されている。主軸センサ基板150及び副軸センサ基板160は、主軸20、第1副軸50及び第2副軸70の軸線方向に対し直交する面上に配置されている。
【0020】
歯車収容箱体110内に3つの歯車40,61,81が収容されている。各歯車40,61,81は、X方向が歯幅方向となるとともにY-Z面に延在している。X方向において歯車収容箱体110よりもモータ側にセンサ161,162を実装したセンサ基板160が配置されるとともに、歯車収容箱体110よりも反モータ側にセンサ151を実装したセンサ基板150が配置される。支持体90によりセンサ基板150,160、歯車収容箱体110が支持される。
【0021】
<主軸関連部品の構成>
図3図4に示すように、主軸20は、全体として円柱状をなしている。主軸20は、基端側であるモータ側が大径部21をなすとともに先端側である反モータ側が小径部22をなしている。主軸20は、基端側に径の大きなモータ軸挿入孔23が形成されているとともに先端側に径の小さい雌ネジ孔24が形成されている。小径部22におけるモータ軸挿入孔23の周辺は薄い円筒部25aとなっている。主軸20のモータ軸挿入孔23にはモータ501のモータ軸の一端504が互いの軸線が一致する状態で挿入されている。軸方向に直交する方向から螺入される止めネジSc1,Sc2によりモータ軸の一端504に対し主軸20が固定されている。これにより主軸20はモータ軸の一端504に連結されている。そして、モータ軸の一端504の回転に伴って主軸20が一体的に回転する。
【0022】
主軸歯車40は平歯車である。主軸歯車40の中央部には貫通孔41が形成されている。主軸20の反モータ側である先端外周面には主軸歯車40の貫通孔41が嵌合する状態で挿入されている。
【0023】
主軸20の雌ネジ孔24にはマグネット保持体25が螺入されている。マグネット保持体25は、本体26と、雄ネジ軸27と、マグネット収容凹部28を有する。X方向において本体26からモータ側に雄ネジ軸27が突出している。本体26の反モータ側の端面には円形のマグネット収容凹部28が形成されている。主軸20の雌ネジ孔24にマグネット保持体25の雄ネジ軸27を螺入することにより主軸20にマグネット保持体25が固定されている。主軸20の回転に伴いマグネット保持体25が一体的に回転する。主軸歯車40は主軸20にマグネット保持体25を螺着することで固定されている。主軸歯車40は、主軸20の回転に伴い一体的に回転する。
【0024】
図3に示すように、X方向においてマグネット保持体25は、主軸歯車40からモータ側及び反モータ側に突出している。
マグネット保持体25のマグネット収容凹部28にはX方向において主軸マグネット29と主軸マグネット遮磁部材30が重なるように配置されている。主軸20に保持される主軸マグネット29は円板状をなしている。主軸マグネット29は2極着磁や両面4極着磁など、適宜適応が可能である。主軸マグネット遮磁部材30は円板状をなしている。主軸マグネット29と主軸マグネット遮磁部材30とは同径である。マグネット収容凹部28において、主軸マグネット29が反モータ側である開口部側に、主軸マグネット遮磁部材30がモータ側である底部になるように重ねて密着した状態でマグネット保持体25に接着固定されている。主軸マグネット29は、硬質磁性材料よりなる。主軸マグネット遮磁部材30は、軟質磁性材料よりなる。
【0025】
このように、主軸歯車40は、モータ軸の一端504に固定された主軸20に、マグネット29と主軸マグネット遮磁部材30を固定したマグネット保持体25を螺着することにより主軸20に固定されている。また、主軸マグネット29はマグネット保持体25に接着固定されている。マグネット保持体25を主軸20に螺着することにより主軸歯車40が固定される。
【0026】
図3に示すように、主軸20の中央のモータ軸挿入孔23においてモータ軸の一端504の先端面とモータ軸挿入孔23の底部との間には空隙V1が形成されている。詳しくは、主軸20のモータ軸挿入孔23にモータ軸の一端504を圧入する際に、モータ軸の一端504の先端面がモータ軸挿入孔23の底部に接触するまで挿入するのではなく、モータ軸の一端504の先端面とモータ軸挿入孔23の底部との間に空隙V1を形成している。これにより、主軸20における空隙V1の外周の薄い部位に大きな熱抵抗部が形成されている。つまり、モータ軸挿入孔23のうちのモータ軸の一端504の先端側の部位の長さを長くして断面積の小さい円筒部25aを長くする。これによって主軸20におけるモータ軸の一端504の連結部と主軸歯車40の固定箇所との間に中空の円筒部25aよりなる熱抵抗部が設けられている。
【0027】
図3に示すように、主軸20の雌ネジ孔24とマグネット保持体25の雄ネジ軸27との間は螺合部となっている。これにより、マグネット保持体25と主軸20との間において大きな熱抵抗部が形成されている。また、主軸20の反モータ側の先端面とマグネット保持体25とは面接触している。これにより、マグネット保持体25と主軸20との間において大きな熱抵抗部が形成されている。
【0028】
図5に示すように、主軸歯車40に対し第1副軸歯車61が噛み合っている。第1副軸歯車61は平歯車である。また、主軸歯車40に対し第2副軸歯車81が噛み合っている。第2副軸歯車81は平歯車である。主軸歯車40、第1副軸歯車61及び第2副軸歯車81は、Y方向において真ん中に主軸歯車40が位置する状態で3つの歯車が並んで配置されている。
【0029】
主軸歯車40の歯数、第1副軸歯車61の歯数、第2副軸歯車81の歯数について、例えば、主軸歯車40の歯数は「21」、第1副軸歯車61の歯数は「23」、第2副軸歯車81の歯数は「25」である。
【0030】
図15に示すように、主軸歯車40、第1副軸歯車61及び第2副軸歯車81は、歯車収容箱体110の内部に収容されている。歯車収容箱体110の内部はグリスGr1で満たされている。
【0031】
<支持体90の構成>
図6図7に示すように、支持体90は、金属製であり、非磁性材料かつ導電性材料よりなる。支持体90は、ダイカストよりなる。支持体90は、Y-Z面に延在する四角ベース部91と、ベース部91からX方向に延びる支柱92を有する。金属加工により支持体90を加工しているので、寸法精度が高いものとなっている。四角ベース部91の中心部には円形の貫通孔93が形成されている。図3に示すように、円形の貫通孔93に主軸20が通る。
【0032】
図6図7に示すように、四角ベース部91における外周部には支柱92が立設されている。支持体90の四角ベース部91には、3つの貫通孔94が形成されている。貫通孔94は長孔である。貫通孔94を通して図2に示すように取付ネジSc3,Sc4,Sc5をモータのベアリングホルダ503の雌ネジ孔505,506,507に螺入することにより支持体90がモータのベアリングホルダ503にモータ軸の一端504の軸心に合わせて固定されている。また、四角ベース部91には、2つの貫通孔95が形成されている。
【0033】
図7に示すように、四角ベース部91の裏面、即ち、モータ側の面における貫通孔94,95の周囲には凸面96が形成されている。また、四角ベース部91の裏面における角部にも凸面97が形成されている。凸面96,97の先端面が図3に示すようにモータのベアリングホルダ503の一面503aに接触する。なお、凸面97は、支持体90が傾かないようにバランスをとるためのものである。
【0034】
支持体90に、センサ基板150,160及び歯車収容箱体110を独立して直接支持しているので、センサ151,161,162の位置及びマグネット29,181,191の位置を一定にすることができる。具体的には、支持体90は中央の貫通孔93とモータ501への取付底面を基準にしてX方向の高さ及び平面方向の寸法が加工されて加工面98,99,100が設けられている。加工面98,99,100を用いて2つのセンサ基板150,160と樹脂製の歯車収容箱体110の位置が決められる。加工面98,99,100については後述する。
【0035】
支持体90はモータ501に対し、モータ軸の一端504と中央の貫通孔93とで中心が合わせられて同軸となるように取り付けられる。主軸20は、モータ端面からの距離が一定になるようモータ軸の一端504に直接固定される。主軸20がモータ端面であるベアリングホルダ503の一面503aから距離が決まることにより支持体90によって加工面98,99,100のX方向での高さも決まる。
【0036】
図3図7に示すように、凸面96,97によりモータのベアリングホルダ503の一面503aと支持体90との間において大きな熱抵抗部が形成されている。
図6に示すように、支柱92におけるX方向での低い位置には、副軸センサ基板160の位置決め面としての副軸センサ基板位置決め用加工面98が3箇所にわたり形成されている。副軸センサ基板位置決め用加工面98に、図3に示すように、副軸センサ基板160が接触するように配置される。これにより、副軸センサ基板160のX方向での位置が決められている。図6に示すように、副軸センサ基板位置決め用加工面98において副軸センサ基板160の外周端面が接触する突起101が形成され、副軸センサ基板160のY-Z面での位置が決められている。副軸センサ基板160は、図2に示すように、取付ネジSc6,Sc7により支持体90に固定されている。
【0037】
図6に示すように、支柱92におけるX方向での副軸センサ基板位置決め用加工面98よりも高い位置には、歯車収容箱体110の位置決め面としての箱体位置決め用加工面99が2箇所にわたり形成されている。箱体位置決め用加工面99に、図3に示すように、歯車収容箱体110が接触するように配置される。これにより、歯車収容箱体110のX方向での位置が決められている。図6に示すように、箱体位置決め用加工面99において歯車収容箱体110の外周端面が接触する突起102が形成され、歯車収容箱体110のY-Z面での位置が決められている。歯車収容箱体110は、図2に示すように、取付ネジSc8,Sc9により支持体90に固定されている。
【0038】
図6に示すように、支柱92におけるX方向での箱体位置決め用加工面99よりも高い位置には、主軸センサ基板150の位置決め面としての主軸センサ基板位置決め用加工面100が2箇所にわたり形成されている。主軸センサ基板位置決め用加工面100に、図3に示すように、主軸センサ基板150が接触するように配置される。これにより、主軸センサ基板150のX方向での位置が決められている。図6に示すように、主軸センサ基板位置決め用加工面100において主軸センサ基板150の外周端面が接触する突起103が形成され、主軸センサ基板150のY-Z面での位置が決められている。主軸センサ基板150は、図2に示すように、取付ネジSc10,Sc11により支持体90に固定されている。
【0039】
このように、支持体90は、主軸20の軸方向に延びる支柱92を有する。支柱92は、主軸20の軸方向において異なる位置に、主軸センサ基板150の位置決め面としての加工面98、歯車収容箱体110の位置決め面としての加工面99、副軸センサ基板160の位置決め面としての加工面100を有する。
【0040】
<副軸関連部品の構成>
図3図9に示すように、歯車本体60は第1副軸歯車61とマグネット保持部62からなり、一体成型されている。マグネット保持部62は、第1副軸歯車61を保持した状態で第1副軸マグネット181を保持するためのものである。第1副軸歯車61とマグネット保持部62は同軸上に一体成型されている。
【0041】
マグネット保持部62はX方向に延びている。マグネット保持部62の反モータ側である一端外周部に第1副軸歯車61が形成されている。図3図8に示すように、マグネット保持部62の反モータ側である一端面には円形の凹部64が形成されている。マグネット保持部62の一端面における凹部64の中心部には円形の凸部65が形成されている。円形の凸部65の中心には軸固定孔としてのピン圧入孔66が形成されている。ピン圧入孔66の先端部は小径でマグネット保持部62を貫通している。図3図9に示すように、マグネット保持部62のモータ側である他端面には円形の凹部67が形成されている。凹部67は第1副軸マグネット181を保持するためのものである。凹部67の底面においてピン圧入孔66が開口している。ピン圧入孔66に図3に示すように第1副軸50が挿入される。第1副軸(ピン)50は、図3図10に示すように歯車収容箱体110の本体120のピン挿入孔125に圧入固定される。第1副軸50により第1副軸歯車61が回転可能に支持される。
【0042】
同様に、図3図9に示すように、歯車本体80は第2副軸歯車81とマグネット保持部82からなり、一体成型されている。マグネット保持部82は、第2副軸歯車81を保持した状態で第2副軸マグネット191を保持するためのものである。第2副軸歯車81とマグネット保持部82は同軸上に一体成型されている。
【0043】
マグネット保持部82はX方向に延びている。マグネット保持部82の反モータ側である一端外周部に第2副軸歯車81が形成されている。図3図8に示すように、マグネット保持部82の反モータ側である一端面には円形の凹部84が形成されている。マグネット保持部82の一端面における凹部84の中心部には円形の凸部85が形成されている。円形の凸部85の中心には軸固定孔としてのピン圧入孔86が形成されている。ピン圧入孔86の先端部は小径でマグネット保持部82を貫通している。図3図9に示すように、マグネット保持部82のモータ側である他端面には円形の凹部87が形成されている。凹部87は第2副軸マグネット191を保持するためのものである。凹部87の底面においてピン圧入孔86が開口している。ピン圧入孔86に図3に示すように第2副軸70が挿入される。第2副軸(ピン)70は、図3図10に示すように歯車収容箱体110の本体120のピン挿入孔126に圧入固定される。第2副軸70により第2副軸歯車81が回転可能に支持される。
【0044】
<歯車収容箱体110の関連部品の構成>
図2に示すように、歯車収容箱体110はX方向での反モータ側の本体120とモータ側のカバー140により構成されている。図10図11に示すように、本体120は、Y-Z面に延在する平板部121を有する。平板部121の中央部には貫通孔122が形成されている。図11に示すように、平板部121における歯車収容箱体110の外面に相当する面において、貫通孔122の周囲には貫通孔122を中心として180度毎に2つの円柱部123,124が突設されている。一方の円柱部123には、ピン挿入孔125が形成されている。このピン挿入孔125は歯車収容箱体110の内面に開口している。図3に示すように、ピン挿入孔125には第1副軸50が圧入される。
【0045】
図11に示すように、他方の円柱部124にはピン挿入孔126が形成されている。このピン挿入孔126は歯車収容箱体110の内面に開口している。図3に示すように、ピン挿入孔126には第2副軸70が圧入される。
【0046】
図11に示すように、平板部121の反モータ側である一方の面において外周部は凸部127が突出している。
図10に示すように、平板部121における歯車収容箱体110の内面に相当する面において、貫通孔122の周囲には円弧状の凸部128a,128bが突設されている。円弧状の凸部128a,128bの内部に図12に示すように主軸歯車40が配置される。つまり、凸部128a,128bは貫通孔122を中心とした円の一部をなし、かつ、X方向において主軸歯車40の歯幅よりも若干大きく突出している。円弧状の凸部128a,128bの内径は主軸歯車40の歯の山の径よりも若干大きい。主軸歯車40の歯と、歯車収容箱体110の凸部128a,128bとの間に回転隙間が構成されている。この円弧状の凸部128a,128bの内径面と主軸歯車40の歯の谷との間に図15に示すようにグリス貯留部146が形成される。
【0047】
図10に示すように、平板部121における歯車収容箱体110の内面に相当する面において、一方のピン挿入孔125(第1副軸50)の周囲には円弧状の凸部129が突設されている。円弧状の凸部129の内部に図12に示すように第1副軸歯車61が配置される。つまり、凸部129はピン挿入孔125(第1副軸50)を中心とした円の一部をなし、かつ、X方向において第1副軸歯車61の歯幅よりも若干大きく突出している。円弧状の凸部129の内径は第1副軸歯車61の歯の山の径よりも若干大きい。第1副軸歯車61の歯と、歯車収容箱体110の凸部129との間に回転隙間が構成されている。この円弧状の凸部129の内径面と第1副軸歯車61の歯の谷との間に図15に示すようにグリス貯留部147が形成される。
【0048】
図10に示すように、平板部121における歯車収容箱体110の内面に相当する面において、他方のピン挿入孔126(第2副軸70)の周囲には円弧状の凸部130が突設されている。円弧状の凸部130の内部に図12に示すように第2副軸歯車81が配置される。つまり、凸部130はピン挿入孔126(第2副軸70)を中心とした円の一部をなし、かつ、X方向において第2副軸歯車81の歯幅よりも若干大きく突出している。円弧状の凸部130の内径は第2副軸歯車81の歯の山の径よりも若干大きい。第2副軸歯車81の歯と、歯車収容箱体110の凸部130との間に回転隙間が構成されている。この円弧状の凸部130の内径面と第2副軸歯車81の歯の谷との間に図15に示すようにグリス貯留部148が形成される。
【0049】
図10に示すように、Y方向に並べて形成された3つの円弧状の凸部128a,128b,129,130の内部は連通している。つまり、貫通孔122の周囲に形成された円弧状の凸部128a,128bと一方のピン挿入孔125(第1副軸50)の周囲に形成された円弧状の凸部129とは一部が重なっていることにより、円弧状の凸部128a,128bの内部と円弧状の凸部129の内部は連通している。同様に、貫通孔122の周囲に形成された円弧状の凸部128a,128bと他方のピン挿入孔126(第2副軸70)の周囲に形成された円弧状の凸部130とは一部が重なっていることにより、円弧状の凸部128a,128bの内部と円弧状の凸部130の内部は連通している。
【0050】
このように、図12に示すように、歯車収容箱体110の内部において主軸歯車40の両側に第1副軸歯車61及び第2副軸歯車81が配置される。
図10に示すように、平板部121における歯車収容箱体110の内面に相当する面において、貫通孔122の周囲の凸部128a,128bの外径側には第1グリス循環路形成用凸部131及び第2グリス循環路形成用凸部132が形成されている。貫通孔122の周囲の凸部128aと第1グリス循環路形成用凸部131との間に第1グリス循環路R1が形成されている。第1グリス循環路R1の一端は、円弧状の凸部128aと円弧状の凸部129との接続部分に開口して開口部OP1を構成している。第1グリス循環路R1の他端は、円弧状の凸部128aと円弧状の凸部130との接続部分に開口して開口部OP2を構成している。また、図10に示すように、貫通孔122の周囲の凸部128bと第2グリス循環路形成用凸部132との間に第2グリス循環路R2が形成されている。第2グリス循環路R2の一端は、円弧状の凸部128bと円弧状の凸部129との接続部分に開口して開口部OP3を構成している。第2グリス循環路R2の他端は、円弧状の凸部128bと円弧状の凸部130との接続部分に開口して開口部OP4を構成している。
【0051】
図10に示すように、平板部121における歯車収容箱体110の内面に相当する面において、一方のピン挿入孔125(第1副軸50)の周囲には円形の凸部133が突設されている。この円形の凸部133は、円弧状の凸部129の内方に形成されている。この円形の凸部133のX方向の突出量は、円弧状の凸部129のX方向の突出量よりも低い。同様に、平板部121における歯車収容箱体110の内面に相当する面において、他方のピン挿入孔126(第2副軸70)の周囲には円形の凸部134が突設されている。この円形の凸部134は、円弧状の凸部130の内方に形成されている。この円形の凸部134のX方向の突出量は、円弧状の凸部130のX方向の突出量よりも低い。
【0052】
図10に示すように、平板部121における歯車収容箱体110の内面に相当する面において、外周部は凸部135が突出している。
図13図14に示すように、歯車収容箱体110のカバー140はY-Z面に延在する平板部141を有する。平板部141には3つの貫通孔142,143,144がY方向に並んだ状態で形成されている。図14に示すように、平板部141における歯車収容箱体110の内面に相当する面において、各貫通孔142,143,144の内径部には、それぞれ、凸部145が円形に形成されている。
【0053】
平板部121における歯車収容箱体110の内面に相当する面側にカバー140が配置される。この状態で、図2に示すように、本体120及びカバー140を貫通する取付ネジSc8,Sc9を支持体90に螺入することにより、歯車収容箱体110が支持体90に固定される。
【0054】
図3に示すように、マグネット装着端部を除く歯車40,61,81の外周部及び歯幅方向を歯車収容箱体110で隙間を構成して囲んでいる。副軸歯車61,81は、歯車収容箱体110により歯幅を挟むことと、副軸50,70により回転中心が位置決めされている。軸受の潤滑は副軸50,70のみが必要な状態である。また、歯車40,61,81と歯車収容箱体110は線膨張係数が同じ樹脂で構成されている。
【0055】
図12に示す歯車収容箱体110内において歯車40,61,81の周囲には、図15に示すように、グリスGr1が満たされる。また、グリス循環路R1,R2にもグリスGr1が満たされているので、グリス封入量が増加している。このとき、グリス循環路R1,R2は、歯車40,61,81が回転するときに生じる、噛み合い部のグリス排出部とグリス吸入部とが接続されており、歯車40,61,81が回転するときのグリス圧力の変動を防ぎ、流出圧力の発生を抑止している。さらに、グリスGr1が接する面積を増加させる事と隙間による表面張力により、グリスGr1の流出を抑止している。
【0056】
図3に示すように、歯車収容箱体110のカバー140における3つの貫通孔142,143,144のうちの中央の貫通孔142には主軸20が通る。貫通孔142と主軸20との間には僅かな隙間が形成される。貫通孔143にはマグネット保持部62が通る。貫通孔143とマグネット保持部62との間には僅かな隙間が形成される。つまり、マグネット保持部62の円筒外形部は、歯車収容箱体110との間で隙間を構成し、グリス流出を防いでいる。貫通孔144にはマグネット保持部82が通る。貫通孔144とマグネット保持部82との間には僅かな隙間が形成される。つまり、マグネット保持部82の円筒外形部は、歯車収容箱体110との間で隙間を構成し、グリス流出を防いでいる。
【0057】
図3に示すように、歯車収容箱体110の本体120の貫通孔122には主軸のマグネット保持体25が配置される。貫通孔122とマグネット保持体25との間には僅かな隙間が形成される。
【0058】
X方向においてマグネット保持部62の凸部65の先端と歯車収容箱体110の本体120の平板部121が接触する。また、X方向において第1副軸歯車61の端面とカバー140の凸部145の先端面とが接触する。これにより第1副軸歯車61及びマグネット保持部62の軸方向への位置が決められる。このとき、マグネット保持部62の凹部64内に歯車収容箱体110の本体120の凸部133が配置される。凹部64と凸部133とはX,Y方向に一定の距離をおいて離間していることにより、凹部64と凸部133との間にグリスGr1が満たされる。
【0059】
同様に、マグネット保持部82の凸部85の先端と歯車収容箱体110の本体120の平板部121が接触する。また、X方向において第2副軸歯車81の端面とカバー140の凸部145の先端面とが接触する。これにより第2副軸歯車81及びマグネット保持部82の軸方向への位置が決められる。このとき、マグネット保持部82の凹部84内に歯車収容箱体110の本体120の凸部134が配置される。凹部84と凸部134とはX,Y方向に一定の距離をおいて離間していることにより、凹部84と凸部134との間にグリスGr1が満たされる。
【0060】
図10に示す本体120の開口部は図13に示す平板状のカバー140により覆われる。
図3に示すように、第1副軸50の一端が歯車収容箱体110の本体120のピン挿入孔125に圧入されている。第1副軸50の他端にはマグネット保持部62が対向している。第1副軸50の他端がマグネット保持部62のピン圧入孔66に摺動可能に配置されている。ピン圧入孔66において第1副軸50が摺動回転可能に挿入されることにより、滑り軸受を構成している。同様に、第2副軸70の一端が歯車収容箱体110の本体120のピン挿入孔126に圧入されている。第2副軸70の他端にはマグネット保持部82が対向している。第2副軸70の他端がマグネット保持部82のピン圧入孔86に摺動可能に配置されている。ピン圧入孔86において第2副軸70が摺動回転可能に挿入されることにより、滑り軸受を構成している。
【0061】
このようにして、歯車収容箱体110により主軸歯車40及び副軸歯車61,81が歯幅で軸方向に位置決めされるとともに副軸歯車61,81が回転可能に支持されている。
図3に示すように、X方向において第1副軸50は、歯車収容箱体110にモータ側に向かって圧入にて固定されており、その副軸50に歯車61が回転可能に挿入されている。マグネット保持部62における円形の凹部67にはマグネット保持体180が圧入にて固定されている。このとき、マグネット保持体180と凹部67の底部との間には、隙間Sp1が設けられている。この隙間Sp1にグリスGr2が貯留されている。このグリスが貯留される隙間Sp1は副軸50の径よりも大きなグリス溜まりとなっている。つまり、マグネット保持体180を凹部67に挿入する際に凹部67の底部に隙間Sp1が残されるよう設定されることにより、グリスGr2の貯留部として使用される。当該部位にピン圧入孔66が面していることにより、グリス供給が可能となる。
【0062】
マグネット保持部62の回転に伴いマグネット保持体180が一体的に回転する。マグネット保持体180は有底円筒状をなしている。有底円筒状をなすマグネット保持体180の内部にはX方向において第1副軸マグネット181と第1副軸マグネット遮磁部材182が重なるように配置されている。第1副軸歯車61に保持される第1副軸マグネット181は円板状をなしている。第1副軸マグネット181は2極着磁や両面4極着磁など、適宜適応が可能である。第1副軸マグネット遮磁部材182は円板状をなしている。第1副軸マグネット181と第1副軸マグネット遮磁部材182とは同径である。有底円筒状をなすマグネット保持体180の内部において、第1副軸マグネット181が開口部側に、第1副軸マグネット遮磁部材182が底部になるように重ねて密着した状態でマグネット保持体180に接着固定されている。第1副軸マグネット181は、硬質磁性材料よりなる。第1副軸マグネット遮磁部材182は、軟質磁性材料よりなる。
【0063】
同様に、X方向において第2副軸70は、歯車収容箱体110にモータ側に向かって圧入にて固定されており、その副軸70に歯車81が回転可能に挿入されている。マグネット保持部82における円形の凹部87にはマグネット保持体190が圧入にて固定されている。このとき、マグネット保持体190と凹部87の底部との間には、隙間Sp2が設けられている。この隙間Sp2にグリスGr3が貯留されている。このグリスが貯留される隙間Sp2は副軸70の径よりも大きなグリス溜まりとなっている。つまり、マグネット保持体190を凹部87に挿入する際に凹部87の底部に隙間Sp2が残されるよう設定されていることにより、グリスGr3の貯留部として使用される。当該部位にピン圧入孔86が面していることにより、グリス供給が可能となる。
【0064】
マグネット保持部82の回転に伴いマグネット保持体190が一体的に回転する。マグネット保持体190は有底円筒状をなしている。有底円筒状をなすマグネット保持体190の内部にはX方向において第2副軸マグネット191と第2副軸マグネット遮磁部材192が重なるように配置されている。第2副軸歯車81に保持される第2副軸マグネット191は円板状をなしている。第2副軸マグネット191は2極着磁や両面4極着磁など、適宜適応が可能である。第2副軸マグネット遮磁部材192は円板状をなしている。第2副軸マグネット191と第2副軸マグネット遮磁部材192とは同径である。有底円筒状をなすマグネット保持体190の内部において、第2副軸マグネット191が開口部側に、第2副軸マグネット遮磁部材192が底部になるように重ねて密着した状態でマグネット保持体190に接着固定されている。第2副軸マグネット191は、硬質磁性材料よりなる。第2副軸マグネット遮磁部材192は、軟質磁性材料よりなる。
【0065】
主軸マグネット29の径は例えば5mm、副軸マグネット181,191の径は例えば4mmである。主軸マグネット29の径を大きくして安定した磁界が出るようにしている。主軸マグネット遮磁部材30の厚さは例えば0.5mmである。副軸マグネット遮磁部材182,192の厚さは例えば1mmである。このように、副軸マグネット遮磁部材182,192における歯幅方向での厚みは、主軸マグネット遮磁部材30における歯幅方向での厚みよりも厚い。
【0066】
<センサ関連部品の構成>
図3に示すように、X方向において歯車収容箱体110の反モータ側において主軸センサ基板150が歯車収容箱体110と対向するように配置されている。主軸センサ基板150には主軸センサ151が実装されている。主軸センサ151は主軸マグネット29とギャップを介して対向配置されている。主軸センサ151は、主軸20の軸方向において主軸マグネット29に対向して配置されている。主軸センサ151は、主軸マグネット29の回転に伴う磁界の変化を検出する。
【0067】
X方向において支持体90と歯車収容箱体110との間に副軸センサ基板160が歯車収容箱体110と対向するように配置されている。副軸センサ基板160には第1副軸センサ161及び第2副軸センサ162が実装されている。第1副軸センサ161は第1副軸マグネット181とギャップを介して対向配置されている。また、第2副軸センサ162は第2副軸マグネット191とギャップを介して対向配置されている。第1副軸センサ161は、第1副軸50の軸方向において第1副軸マグネット181に対向して配置されている。第1副軸センサ161は、第1副軸マグネット181の回転に伴う磁界の変化を検出する。同様に、第2副軸センサ162は、第2副軸70の軸方向において第2副軸マグネット191に対向して配置されている。第2副軸センサ162は、第2副軸マグネット191の回転に伴う磁界の変化を検出する。
【0068】
このとき、支持体90の加工面98,99,100によりセンサ基板150,160の高さが決められるとともに、センサ151,161,162の高さも決められる。マグネット181,191の高さも決められる。よって、マグネット/センサ間の距離も一定となる。
【0069】
シールドカバー170は、遮磁部材である。シールドカバー170は、軟磁性材料かつ導電性材料よりなる。シールドカバー170は、四角筒部171と、四角筒部171の一方の開口部を塞ぐ平板部172を有する。図2に示すように、シールドカバー170を貫通する取付ネジSc10,Sc11を支持体90に螺入することによりシールドカバー170が支持体90のモータ対向側端部に主軸センサ基板150を挟んで固定されている。このとき、シールドカバー170は、磁性材料からなるモータ側部品には接触しない。
【0070】
シールドカバー170は、3組のセンサ151,161,162、マグネット29,181,191、遮磁部材30,182,192から距離をおいている。つまり、シールドカバー170は、ロータリエンコーダ10の構成部品である主軸20、第1副軸50、第2副軸70、支持体90、歯車収容箱体110、主軸センサ基板150、副軸センサ基板160等を囲っている。具体的には、主軸センサ151における主軸マグネット29との対向面とは反対面と、主軸センサ151における主軸マグネット29との対向面とは直交する面(側面)、及び、副軸センサ161,162における副軸マグネット181,191との対向面とは直交する面(側面)と、から距離をおいて囲うように遮磁部材よりなるシールドカバー170が配置されている。
【0071】
遮磁部材であるシールドカバー170がセンサ全体の外表面を覆っている。シールドカバー170、遮磁部材30,182,192は軟質磁性材料、マグネット29,181,191が硬質磁性材料、それ以外は非磁性材料で構成されている。シールドカバー170は、マグネット29,181,191に接触することなく近接する磁性体が無いように構成されている。導電性部材からなる支持体90にセンサ基板150及び導電性部材からなるシールドカバー170が固定されている。センサ基板150のグランドラインが支持体90及びシールドカバー170と導通状態となっている。つまり、シールドカバー170は、主軸センサ151を実装した主軸センサ基板150を挟んで支持体90に固定されている。そして、主軸センサ基板150において配置されたシグナルグランドパターンとフレームグランドパターンのうちのフレームグランドパターンにシールドカバー170と支持体90が接続されている。
【0072】
歯車収容箱体110、主軸歯車40、第1副軸歯車61及び第2副軸歯車81は、同一材料の樹脂よりなるので、線膨張係数が同じである。具体的には、歯車収容箱体110、主軸歯車40、第1副軸歯車61及び第2副軸歯車81は、例えば、ポリアセタール(POM)を用いている。他にも、例えば、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いることができる。
【0073】
第1副軸50及び第2副軸70の材質は、ステンレスである。
次に、ロータリエンコーダ10の作用について説明する。
主軸20はモータ軸の一端504に固定されている。センサ151,161,162を用いてモータ501の回転角度を検出する。主軸20及び副軸50,70の歯車40,61,81の歯数は異なり、異なる位相で回転する。具体的には、例えば主軸歯数が「21」、副軸歯数が「23」と「25」というように主軸歯数が最も少ない。主軸歯車40と副軸歯車61,81の回転角度が測定されて、各歯車の位相のずれと歯数を関数として、主軸20の回転角及び回転数を演算可能になっている。歯数の関係に制限されないため、歯車収容箱体110の交換で測定回転数の変更が可能である。このとき、測定可能な回転数は副軸歯数の積算値で演算することができるため、センサピッチの変更しない条件の設定も可能である。
【0074】
<歯車及び滑り軸受の潤滑機構の作用>
図15に示すように、歯車収容箱体110の内部に主軸歯車40が位置している。歯車収容箱体110は、噛み合う主軸歯車40、第1副軸歯車61及び第2副軸歯車81の周囲を微小な隙間で包囲する状態で主軸歯車40、第1副軸歯車61及び第2副軸歯車81を収容している。歯車収容箱体110にはグリスGr1が満たされている。歯車収容箱体110は図15に示すようにグリス貯留部146,147,148及びグリス循環路R1,R2を有する。グリス貯留部146,147,148は、主軸歯車40及び副軸歯車61,81における歯の谷部と歯車収容箱体110との間に形成されている。グリス循環路R1,R2は、図15に示すように一端が一方の隣り合った歯車の噛み合い部に開口するとともに他端が隣り合った他方の歯車の噛み合い部に開口するように延在している。
【0075】
モータ軸の一端504の回転に伴い、図16において主軸20及び主軸歯車40が矢印A1で示す反時計回りに回転する場合、この主軸歯車40の回転に伴い、主軸歯車40に噛み合う第1副軸歯車61及び第2副軸歯車81は矢印B1,C1に示すように時計回りに回転する。
【0076】
このとき、図16に示すように、グリスGr1は歯車収容箱体110と歯車40,61,81の歯の谷との空間に満たされる。そして、歯車40,61,81の歯とともに矢印A10,A11,B10,B11,C10,C11に示すように移動する。図16において歯車40,61,81の噛み合い部分にグリスGr1が到達すると、歯の谷部からグリスGr1が押し出される。回転が進んだ対面側では新たな谷の空間部が発生するが、グリスGr1の供給が難しい。上記のように隙間が狭い状況にあると、噛み合い部分でグリスGr1の圧力が高まり外部へ排出されやすくなる。
【0077】
本実施形態では、図15に示すように歯車収容箱体110には隙間からの開口部OP1,OP2,OP3,OP4が設けられている。開口部OP1と隣り合う噛み合い部の開口部OP2とを繋ぐ空間で循環路R1を構成している。また、開口部OP3と隣り合う噛み合い部の開口部OP4とを繋ぐ空間で循環路R2を構成している。そして、噛み合い部で排出されたグリスGr1は、図16において矢印D1,D2,D3及び矢印E1,E2,E3に示すように、循環路R1,R2を循環して、新たに生じる谷の空間部へ補充される。
【0078】
このようにグリス圧力を高めることが無いため外部への流出が抑制されるとともに回転する歯の谷部分へのグリス供給が可能となる。
主軸歯車40の回転方向が逆転すると、グリスGr1の排出側と新たな歯谷の発生側が反転し、需給関係が入れ替わる。
【0079】
よって、多くの量のグリスを用いることができ、潤滑性能がよく、長期に潤滑が保たれる。その結果、信頼性の向上が図られる。即ち、安定した潤滑により、発熱・摩耗が防止される。
【0080】
なお、循環路R1,R2の断面積は歯幅×歯谷の断面積とすればよいが、図15のようにグリス貯留機能を有するようにそれよりも大きな断面積となるように構成してもよい。
歯車61,81の端面側に、歯車収容箱体110との摺接面が互いに凹凸状となっている。即ち、図3に示すように、副軸歯車61,81の端面側での歯車収容箱体110の内面とマグネット保持部62,82との間において、一方に形成した凹部64,84の内部に他方に形成した凸部133,134が一定間隔を保った状態で入り込んでいる。この構成により、副軸歯車61,81の端面側が平坦である場合に比べ、グリスの接触面積と空間が増加してグリス保持能力が高められるとともに、歯車回転時の遠心力によりグリスGr1が外径側に移動することを抑制することができる。よって、副軸歯車61,81の接触端面のグリス保持性が高められる。即ち、マグネット保持部62における歯車端面は歯車収容箱体110との間の相互に噛み合う凹凸でグリスの径方向への流出を防いでいる。マグネット保持部82における歯車端面は歯車収容箱体110との間の相互に噛み合う凹凸でグリスの径方向への流出を防いでいる。
【0081】
歯車40,61,81、歯車収容箱体110は同一材料よりなることにより、モータ501の発熱で温度上昇しても歯車40,61,81の周りの微小な隙間の寸法変化が抑制される。
【0082】
マグネット保持部62,82は、副軸マグネット181,191を保持するマグネット保持体180,190が挿入される凹部67,87を有する。軸固定孔としてのピン圧入孔66,86は凹部67,87の底面に開口する。凹部67,87の底面とマグネット保持体180,190との間には隙間Sp1,Sp2が形成されている。隙間Sp1,Sp2にはグリスGr2,Gr3が貯留されている。これにより、滑り軸受の潤滑が行われる。
【0083】
<熱的影響の低減及び位置精度を向上させた構造の作用>
図3に示すように、主軸20はモータ軸挿入孔23を延長した中空の円筒部25aによる熱抵抗部を持つ。よって、断面積の減少により熱抵抗が増加し、伝達される熱量が減少することにより温度勾配が生じる。これにより、熱の発生源はモータ501であるのでモータ熱をセンサ151,161,162やマグネット29,181,191に伝わりにくくなる。よって、モータ軸の一端504から伝わってくる熱を少なくしてセンサ151,161,162の隙間精度が維持されるとともに歯車収容箱体110及び歯車40,61,81の装着が容易に行われる。つまり、図3に示すように、モータ501に発生する熱のうちの主軸マグネット29に向かう熱Q1は主軸20を通る。このとき、中空の円筒部25aよりなる熱抵抗部により、モータ501から主軸20の主軸マグネット29への熱伝達が抑制される。これにより、モータ501側から伝わってくる熱を少なくできる。なお、熱による位置ずれを低下させるべく熱抵抗の調整は中空の円筒部25aの肉厚と長さで行うことができる。
【0084】
また、支持体90におけるモータ501の取付面には凸面96,97が形成され、凸面96,97の先端面がモータ501側と接触している。これにより、図3に示すようにモータ501に発生する熱のうちロータリエンコーダ10に向かう熱Q2は支持体90を通るが、ベアリングホルダ503の一面503aから支持体90への熱伝達が抑制される。具体的には、支持体90の底面のモータ取付部に凸面96,97による熱抵抗部が設けられている。詳しくは、貫通孔94,95等の周辺部に凸面96,97による接触部を集中させて最小限の面積に低減させている。このことで、熱伝達量を減少させることで温度上昇と温度による寸法変化が低減される。なお、接触面積の量は、主軸マグネット29とセンサ151との間隔の温度変化量が少なくなるよう調整すればよい。
【0085】
さらに、主軸マグネット29を保持する主軸マグネット保持体25と主軸20とが螺合している。これにより、図3に示すようにモータ501に発生する熱のうちの主軸マグネット29に向かう熱Q1は主軸20を通るが、モータ501から主軸20の主軸マグネット29への熱伝達が抑制される。つまり、主軸20に対しマグネット保持体25を別部品化するとともにネジ締結することにより接触抵抗としても作用し、温度を低下させる。このことによりマグネット29,181,191の温度の上昇が防止される。よって、磁界強度の低下が防止されるとともにマグネット29,181,191の先端部の位置ずれが抑制される。
【0086】
また、主軸20の反モータ側の先端面とマグネット保持体25とは面接触しているので、モータ501に発生する熱のうちの主軸マグネット29に向かう熱Q1は主軸20を通るが、モータ501から主軸20の主軸マグネット29への熱伝達が抑制される。
【0087】
主軸センサ基板150は、支持体90において四角ベース部91から突出した支柱先端部の加工面100に取り付けられる。従って、マグネット29とセンサ151との間隔が精度よく設定される。また、副軸センサ基板160は支持体90の加工面98に、歯車収容箱体110は支持体90の加工面99に、固定される。このことで副軸側のセンサ161,162とマグネット181,191の間隔が精度よく設定される。このようにして加工面98,99,100を位置決め部として、センサ151,161,162とマグネット29,181,191の間隔の他、センサ中心の位置決めが行われる。
【0088】
歯車収容箱体110及び歯車40,61,81は同一材質の樹脂で成形されているので、熱による位置ずれが抑えられる。
また、支持体90と最外部のシールドカバー170とは熱的にも接続されている。このことにより図3に示すようにモータ501で発生する熱Q10の放熱性が向上する。
【0089】
<防磁構造の作用>
図3に示すように、噛み合う主軸歯車40及び副軸歯車61,81における歯幅方向において一方の面側に配した主軸センサ151が対向するように主軸マグネット29が配置されている。また、他方の面側に配した副軸センサ161,162が対向するように副軸マグネット181,191が配置されている。主軸マグネット29における主軸センサ151との対向面とは反対面に主軸マグネット遮磁部材30が配置されている。副軸マグネット181,191における副軸センサ161,162との対向面とは反対面に副軸マグネット遮磁部材182,192が配置されている。これにより、マグネット間、特に主軸マグネット29への影響を受けにくくできる。広義には、主軸センサ151における副軸マグネット181,191の磁界の影響を受けになるとともに副軸センサ161,162における主軸マグネット29の磁界の影響を受けにくくなる。詳しくは、遮磁部材30,182,192の装着により、装着側への磁界の漏出が抑えられるとともに、反対側の磁界分布の強度を調整することができ、相互の磁界影響を抑えられる。副軸50,70側の遮磁部材182,192の厚さは主軸20側の遮磁部材30に比較して厚い。よって、副軸マグネット181,191における主軸センサ151側への磁界分布がより弱められている。これにより高感度な主軸センサ151への影響が少なくなる。より詳しくは、主軸センサ151は高い検出精度が要求されるが副軸センサ161,162の検出精度は低くてもよい。具体的には、主軸センサ151の検出結果に基づく演算により主軸20が1回転目の回転なのか2回転目の回転なのか判定するというように今の角度は何回転目なのか判定している。この場合、主軸マグネット遮磁部材30の方が薄いことにより磁界が出やすい。換言すると、マグネット29,181,191の仮想距離を長く設定して、マグネット相互の影響を少なくして、物理的距離を短くすることが可能である。その結果、小型化が図られる。
【0090】
シールドカバー170により、電磁ノイズが有効に遮蔽される。詳しくは、シールドカバー170により外部からの磁界影響が抑えられる。外部磁界により誘導される磁界が生じてもシールドカバー170によりマグネット29,181,191への影響が生じにくい。
【0091】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)主軸20におけるモータ軸の一端504の連結部と主軸歯車40の固定箇所との間に、中空の円筒部25aよりなる熱抵抗部が設けられているため、モータ501に発生した熱が主軸マグネット29に伝わりにくくなる。よって、主軸マグネット29と主軸センサ151との間の距離を一定に保つことができる。また、主軸マグネット29の特性の安定化を図ることができる。
【0092】
(2)支持体90におけるモータ501の取付面には凸面96,97が形成されているとともに凸面96,97の先端面がモータ側と接触しているため、モータ501に発生した熱が支持体90に伝わりにくくなる。よって、主軸マグネット29と主軸センサ151との間の距離を一定に保つことができるとともに主軸マグネット29の特性の安定化を図ることができる。
【0093】
(3)主軸マグネット29を保持する主軸マグネット保持体25と主軸20とが螺合しているため、主軸マグネット保持体25と主軸20とを一部品で構成した場合に比べ、次のようになる。主軸マグネット保持体25と主軸20とを別体化するとともに螺合することによって、モータ501に発生した熱が主軸マグネット保持体25に伝わりにくくなる。その結果、主軸マグネット29と主軸センサ151との間の距離を一定に保つことができるとともに主軸マグネット29の特性の安定化を図ることができる。
【0094】
(4)主軸20の軸方向において支持体90の支柱92の位置決め面としての加工面100に主軸センサ基板150が位置決めされる。そのため、支持体90に介在物を介して主軸センサ基板150を設置した場合に比べ、主軸マグネット29と主軸センサ151との間の距離を一定に保つことができる。
【0095】
(5)主軸20の軸方向において支持体90の支柱92の位置決め面としての加工面98,99,100に主軸センサ基板150、歯車収容箱体110、副軸センサ基板160が位置決めされる。一方、副軸マグネット181,191は副軸歯車61,81に保持されるので、歯車収容箱体110の位置によって副軸マグネット181,191の位置が決まる。よって、主軸マグネット29と主軸センサ151との間の距離、及び、副軸マグネット181,191と副軸センサ161,162との間の距離を一定に保つことができる。また、支持体90は、1つの位置決用部品のため、誤差が集積しない。さらに、同時加工することで誤差を排除することができる。
【0096】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
図15等で示した上記実施形態では副軸は2つあったが、これに限らない。例えば、図17に示すように、1つの副軸に装着される副軸歯車200を有する構造であってよい。また、図18に示すように、3つの副軸に装着される副軸歯車210,220,230を有する構造であってもよい。
【0097】
図17において、歯車収容箱体110はグリス貯留部146,201及びグリス循環路R10,R11を有する。グリス貯留部146,201は、主軸歯車40及び副軸歯車200における歯の谷部と歯車収容箱体110との間に形成されている。グリス循環路R10,R11は、一端が一方の隣り合った歯車の噛み合い部に開口するとともに他端が隣り合った他方の歯車の噛み合い部に開口するように延在している。
【0098】
図18において、歯車収容箱体110はグリス貯留部146,211,221,231及びグリス循環路R20,R21,R22を有する。グリス貯留部146,211,221,231は、主軸歯車40及び副軸歯車210,220,230における歯の谷部と歯車収容箱体110との間に形成されている。グリス循環路R20,R21,R22は、一端が一方の隣り合った歯車の噛み合い部に開口するとともに他端が隣り合った他方の歯車の噛み合い部に開口するように延在している。
【0099】
図3等で示した上記実施形態では副軸はステンレス製の丸棒であったが、これに限らない。例えば、図19に示すように、副軸240は多孔質セラミック製でもよい。他にも、図20に示すように、副軸250は中空金属パイプ、例えば、ステンレスパイプであってもよい。
【0100】
副軸がステンレスパイプの場合、グリス量を増やすことができる。また、図20において副軸250として中空金属パイプを用いる場合において横向きの孔251を設けることもできる。副軸の材質はセラミックであってもよい。
【0101】
このように、副軸の材質はステンレス、セラミックなどが使用可能である。ステンレスパイプや多孔質セラミックスを用いると、よりグリスの保持効果が高い。
【符号の説明】
【0102】
10…ロータリエンコーダ、20…主軸、25…マグネット保持体、25a…円筒部、29…主軸マグネット、40…主軸歯車、50…第1副軸、61…第1副軸歯車、70…第2副軸、81…第2副軸歯車、90…支持体、92…支柱、96…凸面、97…凸面、98…副軸センサ基板位置決め用加工面(位置決め面)、99…箱体位置決め用加工面(位置決め面)、100…主軸センサ基板位置決め用加工面(位置決め面)、110…歯車収容箱体、150…主軸センサ基板、151…主軸センサ、160…副軸センサ基板、161…第1副軸センサ、162…第2副軸センサ、181…第1副軸マグネット、191…第2副軸マグネット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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図15
図16
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図18
図19
図20