(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042470
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸アミン塩を含有する水溶性光ラジカル重合開始剤
(51)【国際特許分類】
C08F 2/50 20060101AFI20230317BHJP
C08F 20/02 20060101ALI20230317BHJP
C07C 65/11 20060101ALN20230317BHJP
C07C 215/12 20060101ALN20230317BHJP
【FI】
C08F2/50
C08F20/02
C07C65/11
C07C215/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149782
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000199795
【氏名又は名称】川崎化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152928
【弁理士】
【氏名又は名称】草部 光司
(72)【発明者】
【氏名】檜森 俊一
(72)【発明者】
【氏名】山田 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】山田 暁彦
【テーマコード(参考)】
4H006
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB40
4H006AC47
4H006BJ50
4H006BN30
4H006BS30
4H006BS70
4H006BU32
4H006BU50
4J011QA03
4J011QA06
4J011QA34
4J011SA61
4J011UA01
4J011UA02
4J100AL09P
4J100AM21P
4J100BA03P
4J100CA01
4J100FA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】365nm以上の長波長側の紫外線に対しても活性を示し、かつ、25℃での水への溶解度が10g/mL以上であるという水に対する高い溶解性とを併せ持つ、水溶性の光ラジカル重合開始剤として有用な化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)で表される1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のアミン塩を含有する光ラジカル重合開始剤。
(一般式(1)中、R
1はC1~10のアルキル基又はC数1~10のヒドロキシアルキル基を表し、R
2、R
3はそれぞれ独立に、H、C1~10のアルキル基又はC1~10のヒドロキシアルキル基を表し、XはH又はC1~10のアルキル基を表す。)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のアミン塩を含有する光ラジカル重合開始剤。
【化1】
(一般式(1)中、R
1は炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のヒドロキシアルキル基を表し、R
2、R
3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のヒドロキシアルキル基を表し、Xは水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。)
【請求項2】
請求項1に記載の光ラジカル重合開始剤、及び水溶性単量体を含有するラジカル重合性組成物。
【請求項3】
水溶性単量体が、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(2HEA)、アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル(HHA)、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA)、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、N-ヒドロキシエチルメタクリルアミド(HEMA)からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項2に記載のラジカル重合性組成物。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のラジカル重合性組成物を、300nmから470nmの波長範囲の光を含むエネルギー線を照射することにより重合させる重合方法。
【請求項5】
300nmから470nmの波長範囲の光の照射源が、中心波長が365nm、375nm、385nm、395nm、405nmの紫外LED又は半導体レーザであることを特徴とする、請求項4に記載の重合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸アミン塩を含有する水溶性光ラジカル重合開始剤及びその組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光重合反応を利用する重合・硬化システムは、クリーンな硬化方法として、また、極めて短時間に硬化反応が終了するため高速な硬化方法として種々の分野で用いられている。例えば木工用塗料、金属等のコーティング材、スクリーン印刷やオフセット印刷用インキ、電子基板に用いられるドライフィルムレジスト、また、ホログラム材料、封止剤、オーバーコート材、光造形用樹脂、接着剤等さまざまな用途に用いられており、特に、高精細を要求されるレジストの製造、高速化を要求される印刷等において重要な技術となっている。
【0003】
そして、この光重合性組成物は、主に重合性化合物と、紫外線照射により重合性化合物の重合を開始させる重合開始剤より構成されている。重合方法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合があり、このうちラジカル重合が古くから最も広く用いられている。ラジカル重合は、熱ラジカル重合と光ラジカル重合があるが、光ラジカル重合の場合、通常ラジカル重合性化合物と共に光ラジカル重合開始剤を用い、主に紫外線等のエネルギー線を照射することにより、該光ラジカル重合開始剤よりラジカルを発生させ、ラジカル重合性化合物の重合を開始させている。
【0004】
光ラジカル重合開始剤は、分子内開裂型と水素引抜き型に分類される。分子内開裂型の光ラジカル重合開始剤は、特定の波長の光を吸収することで、特定の部位の結合が切断され、その切断された部位にラジカルが発生し、それが重合開始種となりラジカル重合性化合物の重合が始まる。一方、水素引き抜き型の場合は、光ラジカル重合開始剤が特定の波長の光を吸収し励起状態になり、その励起種が周囲にある水素供与体から水素引き抜き反応を起こすことにより活性なラジカル種が発生し、それが重合開始種となりラジカル重合性化合物の重合が始まる。
【0005】
分子内開裂型光ラジカル重合開始剤としては、アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アミノアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤やオキシムエステル系光ラジカル重合開始剤等が知られている。
【0006】
一方、水素引き抜き型ラジカル重合開始剤としては、ベンゾフェノン系光ラジカル重合開始剤、チオキサントン系光ラジカル重合開始剤等が知られている。
【0007】
これらの光ラジカル重合開始剤の中で、アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤は、窒素原子やリン原子等の生体に対する活性が高く安全性に懸念を有する原子を含まず、酸素原子、炭素原子、水素原子のみからなる環境にやさしい光ラジカル重合開始剤である。これらの光ラジカル重合開始剤は、エネルギー線の照射源として高圧水銀ランプ(350nmより短い波長域にも発光スペクトルを持つ)が主に用いられてきた。しかし、より長波長の光を含むメタルハライドランプやガリウムドープドランプが用いられるようになり、高圧水銀ランプの照射波長領域では、アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤は十分な開始能力がないことから、アミノアルキルフェノン系やアシルホスフィンオキサイド系、さらにはオキシムエステル系の光ラジカル重合開始剤が開発されてきた。
【0008】
そして近年、エネルギー線として紫外線を用いた重合反応において、照射源としてLED(発光ダイオード)が用いられるようになってきた。LEDの特徴としては、高圧水銀ランプと異なり、発熱が少なく、かつ長寿命なことから、LEDを用いた紫外線硬化技術の開発が加速している。このLEDの代表的なものとしては、紫外LED、青色LEDが知られている。特に、紫外LEDがUV硬化用照射源として、インクジェット用または半導体関連のレジスト用に開発が先行している。この紫外LEDの中心波長は405nm、395nm、385nm、375nm、365nmのLEDが開発されている。これらの波長に適合する光ラジカル重合開始剤としては、先に挙げた光ラジカル重合開始剤の中でも、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名OMNIRAD907)あるいは2-ベンジルメチル2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(商品名OMNIRAD369)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド(商品名OMNIRADTPO)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド(商品名OMNIRAD819)等が高感度であることが知られている(特許文献2)。
【0009】
しかしながら、これらの光ラジカル重合開始剤は分子構造中の構成元素として、窒素原子、硫黄原子又はリン原子を含んでいるため、生体に対する活性が高く、安全性に懸念が抱かれることが多い。また、窒素原子、硫黄原子を含む光重合開始剤は、作業中や硬化物の臭気が問題になることもある。さらに、経時的な黄変も指摘されている。
【0010】
現在、350nmから420nmの範囲の光を発するLED等でラジカル重合を開始することができる光ラジカル重合開始剤は、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤、一部のオキシムエステル系光ラジカル重合開始剤やチオキサントン系光ラジカル重合開始剤等に限られており、いずれも、窒素原子、硫黄原子又はリン原子を含有させた化合物に限られており、炭素原子、水素原子及び酸素原子のみからなる化合物で、当該波長範囲で活性な光ラジカル重合開始剤はほとんど知られていない。すなわち、波長範囲が350nmから420nmの光を含むエネルギー線に対して活性が高くするためには窒素原子、硫黄原子又はリン原子を含有させざるを得ないのが現状である。よって、波長範囲が350nmから420nmの光を含むエネルギー線に対して活性が高く、かつ炭素原子、水素原子及び酸素原子のみからなる環境に優しい光ラジカル重合開始剤が求められている。
【0011】
一方、光重合性組成物は、一般に油溶性の化合物で構成されており、重合開始剤も水に難溶性の化合物が多く、水溶性の重合開始剤はあまり知られていない。しかしながら、近年の環境意識の高まりとともに、このUV印刷インク、インクジェット印刷の分野でも、感作性等が懸念されるモノマーの使用量を減らした、水を溶媒に用いた水性の効果システムが注目されている。しかしながら、水溶性のモノマーは多く知られているが、ほとんどの光重合開始剤は油溶性であり、市販されている水溶性の光開始剤としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-ヒドロキシエトキシ)フェニルプロパン-1-オンが挙げられるが、水中にわずか0.5質量%しか溶解性せず、さらに高圧水銀灯のメイン発光波長であり、LEDの発光波長でもある365nm以上の範囲に光吸収も少ないために、充分な光感度が得られていない(特許文献1、2)。本発明において、水溶性とは25℃で水100mlに対して1g以上溶解することとしているが、その定義では該光重合開始剤は水溶性とは言えない。
【0012】
また、水に対する十分な溶解度はないが、長波長側の紫外線照射に対する光硬化特性に優れ、変着色の少ない光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド化合物が知られている。具体的には2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドが例示されている(特許文献3)。しかし、ホスフィン化合物の多くは生体や環境に対する悪影響が懸念され、その用途が限られるという問題がある。
【0013】
一方、本発明の1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸骨格を有する化合物に関しては、特許文献4において、本発明のカルボキシラート基を有する化合物を含む縮合多環芳香族骨格を有する連鎖移動剤が開示されており、その例示として、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸がそのエステル化合物である2-メトキシカルボニル-1,4-ジヒドロキシナフタレン、2-フェノキシカルボニル-1,4-ジヒドロキシナフタレンなどと共に列記されている。そして、該化合物をラジカル重合性化合物である一般的な(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリル化合物、芳香族ビニル化合物、置換エチレン化合物等に対して重合開始剤と共に添加する事により、生成するポリマーの末端あるいは主鎖の一部に、縮合多環芳香族骨格を有する連鎖移動剤に由来する残基を有するポリマーを製造することができることが開示されている。しかし、これらの化合物は水に難溶性であり、水溶性である1,4-ジヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸の塩に関しての記載はなく、実施例においてもメタクリル酸メチルに1,4-ジヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸添加した例があるのみで、水溶性モノマーに水溶性の本発明の化合物を添加した例は記載されていない。カルボン酸がアニオンとして解離した状態におけるナフタレン環の電子状態やアニオンのラジカル捕捉に与える影響は想到することは困難であり、カルボン酸とそのエステルが同列でその効果を有することが記載されている本文献からはカルボン酸アニオンが同様の効果を有するとは言えないと考えられる。更に、本発明は、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸の塩の中でも、ナトリウム塩やアンモニウム塩には開始剤としての効果はなく、アミン塩とした場合にのみ光ラジカル重合開始剤としての効果を発するものであるが、その特異性に関しては全く記載も示唆もない。
【0014】
同様に、特許文献5に1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸化合物が光重合増感剤として作用することが開示されているが、そのことからも明らかである。該文献には、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸及びそのエステルである1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸フェニルと光重合開始剤であるオニウム塩存在下に、ラジカル重合性化合物の光重合を促進することが記載されている。水溶性のラジカル重合性化合物ではなく、重合開始剤も本発明の開始剤とは異なるが、重合促進効果を有することが記載されている。しかし、該文献に記載された化合物も水に難溶性であり、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸の塩についての記載はなく、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸の塩の中でも、アミン塩とした場合にのみ光ラジカル開始剤としての効果を発するという本発明の特異性に関しては全く記載も示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平6-228218号公報
【特許文献2】国際公開第86/05778パンフレット
【特許文献3】特開2014-185319号公報
【特許文献4】特開2014-91814号公報
【特許文献5】特開2017-8269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、365nm以上の長波長側の紫外線に対しても活性を示し、かつ、25℃での水への溶解度が10g/mL以上であるという水に対する高い溶解性とを併せ持つ、水溶性の光ラジカル重合開始剤として有用な化合物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者等は、長年ナフタレン骨格の化合物について鋭意研究を続けてきた。その結果、特定の構造を有するナフタレン化合物が水溶性であり、該化合物が光照射によりラジカル種を発生して、水溶性モノマーの重合を開始することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0018】
すなわち、第一の発明は、下記一般式(1)で表される1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のアミン塩を含有する光ラジカル重合開始剤に存する。
【0019】
【0020】
一般式(1)中、R1は炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のヒドロキシアルキル基を表し、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のヒドロキシアルキル基を表し、Xは水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。
【0021】
第2の発明は、第1の発明に記載の光ラジカル重合開始剤、及び水溶性単量体を含有するラジカル重合性組成物に存する。
【0022】
第3の発明は、水溶性単量体が、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(2HEA)、アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル(HHA)、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA)、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、N-ヒドロキシエチルメタクリルアミド(HEMA)からなる群より選択される少なくとも1つである、第2の発明に記載のラジカル重合性組成物に存する。
【0023】
第4の発明は、第2又は第3の発明に記載のラジカル重合性組成物を、300nmから470nmの波長範囲の光を含むエネルギー線を照射することにより重合させる重合方法に存する。
【0024】
第5の発明は、300nmから470nmの波長範囲の光の照射源が、中心波長が365nm、375nm、385nm、395nm、405nmの紫外LED又は半導体レーザであることを特徴とする、第4の発明に記載の重合方法に存する。
【0025】
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルあるいはメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
【0026】
また、本発明において、「水溶性」とは、水に対する溶解度が、25℃で1g/100mL以上のものを指すものとする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の上記一般式(1)で表される1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のアミン塩は、水に対する溶解度が非常に高く、且つ、300nm~470nmの波長範囲の光照射によりラジカル種を発生して、水溶性モノマーの重合を開始する働きを有する有用な化合物である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のアミン塩、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のナトリウム塩又は1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のアンモニウム塩を含有する水溶性ラジカル重合組成物に405nmの光を照射したときの発熱量を時間経過とともに測定したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を詳細に記述する。
【0030】
(光ラジカル重合開始剤)
本発明の光ラジカル重合開始剤は、一般式(1)で表される1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のアミン塩である。
【0031】
【0032】
一般式(1)中、R1は炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のヒドロキシアルキル基を表し、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数1~10のヒドロキシアルキル基を表し、Xは水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。
【0033】
一般式(1)中、R1、R2、R3で表される炭素数1から10のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、n-アミル基、i-アミル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基等を挙げることができる。また、は炭素数1~10のヒドロキシアルキル基としては、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシアミル基、6-ヒドロキシヘキシル基、7-ヒドロキシヘプチル基、8-ヒドロキシオクチル基、9-ヒドロキシノニル基、10-ヒドロキシデシル基等が挙げられる。
【0034】
一般式(1)中、Xで表される炭素数1から10のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、n-アミル基、i-アミル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基等を挙げることができる。
【0035】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のトリエチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピリジン等の塩、さらに、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、シクロヘキシルジエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドロキシエチルピペリジン、ヒドロキシエチルモルホリン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、シクロヘキシルジエタノールアミン塩等が挙げられる。そして、更に、5-メチル-1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のトリエチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピリジン等の塩、さらに、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、シクロヘキシルジエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドロキシエチルピペリジン、ヒドロキシエチルモルホリン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、シクロヘキシルジエタノールアミン塩等が挙げられる。6-メチル-1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のトリエチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピリジン等の塩、さらに、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、シクロヘキシルジエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドロキシエチルピペリジン、ヒドロキシエチルモルホリン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、シクロヘキシルジエタノールアミン塩等が挙げられる。
【0036】
(1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のアミン塩の製造方法)
本発明の1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のアミン塩は、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸化合物とほぼ当量の対応するアミン化合物とを脱イオン水等の溶媒中で混合溶解することにより、製造できる。得られた1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のアミン塩の水溶液をそのまま用いることもできるが、水溶媒を蒸発乾固し、要すれば、再結晶等精製して用いることもできる。
【0037】
(水溶性単量体)
本発明に用いられる水溶性単量体としては、水溶性単量体であれば用いることができるが、本発明の光ラジカル重合開始剤の効果を十分に発揮できるという観点から、水酸基及び極性基含有モノマーが好ましく、水酸基及び極性基含有モノマーとしては、水酸基及びカルボン酸基含有モノマー、水酸基及びアミド基含有モノマーが好ましく、水酸基及びカルボン酸基含有モノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられ、水酸基及びアミド基含有モノマーとしては、具体的には、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。特に好ましくはアクリル酸2-ヒドロキシエチル(2HEA)、アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル(HHA)、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA)、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、N-ヒドロキシエチルメタクリルアミド(HEMA)などである。
【0038】
本発明における光ラジカル重合開始剤の配合量は、その目的にもよるが、通常、水溶性単量体100重量部に対して0.1~10重量部が好ましく、0.2から5重量部がさらに好ましい。
【0039】
(ラジカル重合性組成物)
本発明の光ラジカル重合開始剤を含有するラジカル重合性組成物には、水溶性単量体、重合開始剤のほかに、ウレタン(メタ)アクリレート等の他の重合性化合物を含有してもよい。該ラジカル重合性組成物を水溶媒存在下あるいは不存在下に光を照射及び/又は加熱することにより、所望の速度で重合させることができる。本発明のラジカル重合性組成物では、水の他に必要があれば有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒は水溶性の溶媒が好ましいが、光重合性組成物中で溶解していれば、特に水溶性でない溶媒も用いることができる。
【0040】
本発明の光ラジカル重合開始剤を含有するラジカル重合性組成物には、更に、顔料及び/又は染料を含んでいてもよい。また、顔料を含む場合はその分散剤を含んでもよい。
【0041】
顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。 有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。これらの顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、顔料と染料を併用してもよい。
【0043】
顔料を分散させる分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。
【0044】
また、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりその他の添加剤を含有させることができる。 添加剤としては、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、耐電防止剤、着色剤、金型離型剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、充填剤、界面活性剤、可塑剤、分散剤及びチクソトロピー性付与剤、増粘剤、難燃剤等が挙げられる。
【0045】
(重合方法)
本発明のラジカル重合性組成物に光を照射して重合することにより、光硬化物を得ることができる。光重合性組成物に光を照射し重合させ光硬化させる場合、当該ラジカル重合性組成物をフィルム状に成形して光硬化させることもできるし、塊状に成形して光硬化させることもできる。UVインクとして液滴を基材に塗布した状態で重合させることもできる。フィルム状に成形して光硬化させる場合は、液状の当該光重合性組成物を例えばポリエステルフィルムなどの基材にバーコーターなどを用いて膜厚5~300ミクロンになるように塗布する。一方、スピンコーティング法やスクリーン印刷法により、さらに薄い膜厚あるいは厚い膜厚にして塗布することもできる。
【0046】
このようにして調製したラジカル重合性組成物からなる塗膜に、300nmから470nmの波長範囲を含むエネルギー線(紫外線)を1~1000mW/cm2程度の強さで光照射することにより、光硬化物を得ることができる。用いる光源としては、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ガリウムドープドランプ、ブラックライト、405nm紫外線LED、395nm紫外線LED、385nm紫外線LED、365nm紫外線LED、半導体レーザ、青色LED、白色LED、フュージョン社製のDバルブ、Vバルブ等が挙げられる。また、太陽光等の自然光を使用することもできる。特に、405nm紫外線LED、395nm紫外線LED、385nm紫外線LED、375nm紫外線LED、365nm紫外線LEDのような波長が365nm~405nmというような長波長域の波長範囲を含む光でも増感作用を有することが特徴であり、中心波長が365nm、375nm、385nm、395nm、405nmの紫外LED又は半導体レーザが照射源として好ましい。
【実施例0047】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」は全て重量部を示す。
【0048】
<光DSC測定>
本実施例において、重合開始速度の測定は光DSC測定により下記のようにして行った。DSC測定装置は日立ハイテク社製XDSC-7000を用い、それに光DSC測定用ユニットを装着し光を照射しながらDSC測定ができるよう設えた。
【0049】
光照射用の光源は、林時計工業社製LA-410UVを用いた。照射光は高圧水銀ランプの全波長またはバンドパスフィルターを用いて405nm光を取り出して照射した。光の照度は50mW/cm2になるように調節した。光源の光はグラスファイバーを用いてサンプル上部まで導けるようにし、光照射開始と同時にDSC測定ができるよう光源のシャッターをトリガー制御できるようにした。
【0050】
光DSCの測定は、サンプルを1mg程度測定用アルミ製パンの中に精秤し、DSC測定部に収めた後に光DSCユニットを装着した。DSCの測定部は窒素を100mL/分の速度で流通し、測定は窒素雰囲気下で行った。一回目の測定後、サンプルはそのままで再度同条件で測定を行い、一回目の測定結果から二回目の測定結果を差し引いた値を該サンプルの測定結果とした。結果は特に断らない限りサンプル1mgあたりの総発熱量で比較した。重合反応の進行に伴い発熱するので、総発熱量を測定することにより、重合反応の進行度合いを調べることができる。
【0051】
一方、熱分析に使われるDSCの測定も実施した。DSCの測定は、サンプルを1mg程度を測定用アルミ製密閉パンの中に窒素雰囲気下で精秤し、DSC測定部に収めた。DSCの測定部は窒素を100mL/分の速度で流通し、測定は窒素雰囲気下で測定した。結果は特に断らない限りサンプル1mgあたりの総発熱量で比較した。重合反応の進行に伴い発熱するので、総発熱量を測定することにより、重合反応の進行度合いを調べることができる。測定は30℃から170℃まで5℃/minの速度の昇温条件で測定を実施した。
【0052】
(合成例1)1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸トリエタノールアミン塩の合成
窒素雰囲気下、撹拌子を入れた20mlガラスサンプル瓶に、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸を1.0g(4.9ミリモル)、トリエタノールアミンを0.8g(5.4ミリモル)、イオン交換水を3.2g加え、室温で攪拌した。1時間攪拌後、原料が全て溶解したことを確認し、暗褐色の1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸トリエタノールアミン塩の20%水溶液を得た。その後、一部を常温、窒素雰囲気下にて20時間、乾燥させた。
【0053】
(合成例2)1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のナトリウム塩の合成
窒素雰囲気下、撹拌子を入れた10mlガラスサンプル瓶に、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸を1.0g(4.9ミリモル)、水酸化ナトリウムを0.22g(5.5ミリモル)、イオン交換水を4.4g加え、室温で攪拌した。1時間攪拌後、原料が全て溶解したことを確認し、暗褐色の1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸一ナトリウム塩の20重量%水溶液を得た。その後、一部を常温、窒素雰囲気下にて20時間、乾燥させた。
【0054】
(合成例3)1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のアンモニウム塩の合成
窒素雰囲気下、撹拌子を入れた10mlガラスサンプル瓶に、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸を1.0g(4.9ミリモル)、25%アンモニア水を0.38g(5.6ミリモル)、イオン交換水を3.6g加え、室温で攪拌した。1時間攪拌後、原料が全て溶解したことを確認し、暗褐色の1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸アンモニウム塩の20重量%水溶液を得た。その後、一部を常温、窒素雰囲気下にて20時間、乾燥させた。
【0055】
(実施例1)
水溶性単量体としてN-ヒドロキシエチルメタクリルアミド(HEMA)100重量部に対し、光ラジカル重合開始剤として合成例1で得た1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のトリエタノールアミン塩を3重量部添加し、ラジカル重合性組成物を調製した。該ラジカル重合性組成物1mgを測定用アルミパンの中に精秤し、DSC測定部に収めた後、光DSCユニットを装着した。該サンプルを、窒素雰囲気下で405nmの光を30分間照射した。その時の発熱量を計測し、その結果を
図1にプロットした。
図1において、実線「HEMA+DHNA-TEA3部」と記載したプロットである。
【0056】
また、光ラジカル重合開始剤の水溶性を調べるために、常温25℃で、合成例1で得た1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のトリエタノールアミン塩の脱イオン水に対する溶解度を測定したところ、20g/100mL以上の溶解度を示した。
【0057】
(比較例1)
光ラジカル重合開始剤として1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のトリエタノールアミン塩3重量部の代わりに合成例2で得た1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のナトリウム塩の20重量%水溶液15重量部を用いた以外は、実施例1と同様にラジカル重合性組成物を調製し、実施例1と同様にして重合させ、その時の発熱量を計測し、その結果を
図1にプロットした。
図1において、点線「HEMA+DHNANa20%aq15部」と記載したプロットである。なお、図には記載されていないが、10分後、20分後も発熱は観測されなかった。
【0058】
(比較例2)
光ラジカル重合開始剤として1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のトリアミン塩3重量部の代わりに合成例3で得た1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のアンモニウム塩の20重量%水溶液15重量部を用いた以外は、実施例1と同様にラジカル重合性組成物を調製し、実施例1と同様にして重合させ、その時の発熱量を計測し、その結果を
図1にプロットした。
図1において、太い点線「HEMA+DHNANH420%aq15部」と記載したプロットである。なお、図には記載されていないが、10分後、20分後も発熱は観測されなかった。
【0059】
(比較例3)
光ラジカル重合開始剤として1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸のトリエタノールアミン塩を添加しなかった以外は、実施例1と同様にラジカル重合性組成物を調製し、実施例1と同様にして重合させ、その時の発熱量を計測し、その結果を表1に記載すると共に
図1にプロットした。
図1において、破線「HEMABLANK」と記載したプロットである。なお、図には記載されていないが、10分後、20分後も発熱は観測されなかった。
【0060】
図1より明らかなように、本発明の光ラジカル重合開始剤を添加する事により、405nmという長波長の光の照射によって重合が開始することがわかる。一方、同様の構造を持つ塩であっても、ナトリウム塩やアンモニウム塩では全く重合が進行せず、光照射によってラジカル種を発生する効果はないといえる。