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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042477
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/16 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
A47L9/16
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149793
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 有輝
【テーマコード(参考)】
3B062
【Fターム(参考)】
3B062AB13
3B062AH05
(57)【要約】
【課題】集塵装置において毛や挨などの塵埃が巻き付くのを抑制可能な電気掃除機の提供を目的とした。
【解決手段】電気掃除機は、電動送風機を有する掃除機本体と、掃除機本体に着脱可能な集塵部50と、を備えている。集塵部50は、集塵部流入口52b、及び軸線方向一方側に設けられた開口部52aを備えた外筒52と、外筒52の内部に配される構造体54と、外筒52、及び構造体54の間に形成される集塵空間56と、を有する。構造体54は、軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部70を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置と、
を備え、
前記集塵装置は、
流入口、及び軸線方向一方側に設けられた開口部を備えた外筒と、
前記外筒の内部に配される構造体と、
前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、
を有し、
前記構造体は、
前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有すること、を特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記構造体は、
前記テーパー部を前記集塵空間から排気するための集塵空間排気部として備えた内筒と、
前記内筒から前記軸線方向他方側に延びる延出部と、
を有すること、を特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記外筒は、前記軸線方向他方側に底をなす外筒底部を有するものであり、
前記延出部は、前記軸線方向の他方側の端部が、前記集塵空間の内部において前記外筒底部から離間していること、を特徴とする請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記内筒は、前記軸線方向の他方側の端部が閉塞されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記集塵装置は、前記内筒と前記外筒との間において、前記軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から前記流入口に向けて近づくよう延びる第一ガイド部を備えること、を特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記集塵装置は、前記流入口から前記集塵空間に流入する気流を案内する第二ガイド部を有し、
前記第二ガイド部は、前記内筒と外筒との間において、前記軸線方向と交差する方向に延びるように設けられていること、を特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記構造体は、
前記軸線方向の一方側に配される一側筒部を含み、
前記内筒が前記一側筒部に接続されていること、を特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記構造体は、
前記軸線方向の一方側に配される一側筒部を含み、
前記集塵空間の外部に空気を流出させるための気流流出部を有し、前記内筒の内部において前記軸線方向に延びるように配される接続体を有し、
前記内筒と前記接続体とが接続されていること、を特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記集塵装置は、前記流入口よりも前記軸線方向の一方側において、前記構造体と前記外筒との間を封止する封止部を有すること、を特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記構造体は、前記集塵空間から排気するための気流流出部を有する内筒を備え、
前記テーパー部は、前記内筒と前記外筒の間に前記軸線方向と交差する方向に延びるように形成されており、
前記テーパー部に対して前記軸線方向他方側に、前記流入口が配されていること、を特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項11】
前記構造体は、前記集塵空間から排気するための気流流出部を有する内筒を備え、
前記テーパー部は、前記内筒と前記外筒の間に前記軸線方向と交差する方向に延びるように形成されており、
前記テーパー部と前記外筒の底との間に、前記流入口から空気が流入すること、を特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項12】
前記流入口は、前記軸線方向において、前記外筒の底と前記テーパー部との間であって、前記テーパー部に対して近い位置に配されていること、を特徴とする請求項10又は11に記載の電気掃除機。
【請求項13】
前記テーパー部は、メッシュ部材が配されていること、を特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項14】
前記メッシュ部材は、樹脂材料、金属材料又はこれらの組み合わせによって構成されていることを特徴とする、請求項13に記載の電気掃除機。
【請求項15】
前記気流流出部は、金属材料、樹脂材料又はこれらの組み合わせで構成される壁部に、複数の孔が形成されたものであること、を特徴とする請求項8に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されている電気掃除機が提供されている。この電気掃除機は、集塵容器の円周部にその周方向に設けられた空気流入口から吸い込まれた空気を前記略円筒状の内周面に沿って旋回させた後、集塵容器の中心部から排気するための排気口が形成された内筒を設け、空気に含まれる塵埃を集塵容器の底部で捕集するものとされている。また、この電気掃除機が備える集塵容器の内筒は、外周壁の一部が通過する空気を濾過する内筒フィルターによって構成したものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-26686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来技術の場合、内筒フィルタ一周りに形成される旋囲気流によって、集塵容器内において毛や挨などの塵埃が巻き付きやすいという問題がある。このような塵埃の巻き付きが集塵容器内において発生すると、排気抵抗の増加に伴う集塵性能の低下や、メンテナンス性の低下等の副次的な問題が生じる懸念もある。
【0005】
そこで本発明は、集塵装置において毛や挨などの塵埃が巻き付くのを抑制可能な電気掃除機の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく提供される本発明の電気掃除機は、電動送風機を有する掃除機本体と、前記掃除機本体に着脱可能な集塵装置と、を備え、前記集塵装置が、流入口、及び軸線方向一方側に設けられた開口部を備えた外筒と、前記外筒の内部に配される構造体と、前記外筒、及び前記構造体の間に形成される集塵空間と、を有し、前記構造体が、前記軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部を有すること、を特徴とするものである。
【0007】
本発明の電気掃除機は、外筒の内部に配される構造体に軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるテーパー部を設けたものとされている。これにより、流入口を介して集塵空間に流入した気流が、テーパー部の影響によって集塵空間内において旋回しつつ軸線方向他方側に向かうように進み、外筒の内部に配された構造体に毛や埃などの塵埃が絡みつきにくくなる。従って、本発明によれば、集塵装置において毛や挨などの塵埃が巻き付くのを抑制可能な電気掃除機を提供できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、集塵装置において毛や挨などの塵埃が巻き付くのを抑制可能な電気掃除機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る電気掃除機を示す斜視図である。
図2図1の電気掃除機が備える掃除機本体を示す斜視図である。
図3図2の掃除機本体の要部断面図である。
図4図2の掃除機本体に装着される集塵部を示す断面図である。
図5図4の集塵部を示す斜視図である。
図6図4の集塵部を示す分解斜視図である。
図7図4の集塵部において外筒の内部に第一内筒を配した状態を示す斜視図である。
図8図4の集塵部を構成する第一内筒を示す斜視図である。
図9図4の集塵部が備える第二内筒を示す分解斜視図である。
図10図4のA-A断面図である。
図11】変形例に係る集塵部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る電気掃除機1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、電気掃除機1の全体構成について概略を説明した後、要部についてさらに詳細に説明する。なお、以下の説明においては、特に断りの無い限り上下方向、幅方向、前後方向等の位置関係については、図1に示すように電気掃除機1を立設させた状態を基準として説明する。
【0011】
≪電気掃除機1の全体構成について≫
図1に示すように、電気掃除機1は、スティック状(縦型)の外観を有する掃除機である。電気掃除機1は、例えば、充電式のものや、電源コードを介して外部電源から電力を得るものとすることができる。図1に示すように、電気掃除機1は、掃除機本体10、集塵部50(集塵装置)、吸込口体100、管部110、及び清掃用具130等を備えている。
【0012】
掃除機本体10は、電気掃除機1の本体をなし、吸引力を発揮して集塵する機能を発揮する部分である。具体的には、図2図3に示すように、掃除機本体10は、筐体をなす本体ケース12の内部に、空気を吸引して気流を発生させるための電動送風機14やバッテリー18、基板部20、その他の部品等を組み込んだものとされている。
【0013】
掃除機本体10は、把持部16を備えている。把持部16は、電気掃除機1の使用者が掃除機本体10を把持するために設けられた部分である。すなわち、電気掃除機1は、例えば把持部16により構成された開口部分に使用者が親指を除く指を通す等することにより、掃除機本体10を把持できる構成とされている。掃除機本体10は、把持部16が延びる前後方向を基準に左右方向の少なくとも一方側において、電動送風機14から排出された空気を排出する排気口15(図1参照)を有する。
【0014】
図3に示すように、掃除機本体10は、風路構成部38を有する。風路構成部38は、集塵部50に連通する風路38bを構成する部分である。風路構成部38は、集塵部50の背面側において、上下方向に延びるように形成されている。風路38bは、集塵部50の集塵部流入口52bに接続される風路排出口38xを有する。また、風路38bは、管部110や吸込口体100が接続するための接続口として機能する吸引口38yを有する。吸引口38yは、管部110や吸込口体100を介して吸引される空気の入口となる部分である。吸引口38yは、風路構成部38の下端側において開口している。
【0015】
集塵部50は、電気掃除機1により吸引された塵芥が集められる部分である。図1図3に示すように、集塵部50は、掃除機本体10に対して連続するように設けられている。集塵部50は、電気掃除機1において特徴的な構成を備えているため、具体的な構造については後に詳述する。
【0016】
図1に示すように、管部110は、掃除機本体10と吸込口体100とを着脱可能に接続する筒状の部材である。管部110は、一端側が掃除機本体10に設けられた吸引口38yに差し込み可能な形状とされ、他端が吸込口体100に対して接続可能な形状とされている。管部110を介して掃除機本体10と吸込口体100とを接続することにより、吸込口体100から掃除機本体10に至る一連の連通した経路(風路)を形成できる。
【0017】
吸込口体100は、掃除機本体10の吸引口38yに対して直接的、あるいは管部110を介して間接的に接続されるものである。吸込口体100は、吸込口103及び継手部104を有する。吸込口103は、底面に向けて開口している。また、継手部104は、吸引口38yあるいは管部110に接続可能とされている。
【0018】
清掃用具130は、モップ132と、モップ収容ケース134とを有する。清掃用具130は、管部110の背面側に取り付けられたモップ収容ケース134に対し、モップ132を軸線方向に出し入れ可能とされている。電気掃除機1は、吸込口体100等において塵埃を吸引して清掃するのに加えて、モップ収容ケース134からモップ132を取り出して清掃することもできる。
【0019】
電気掃除機1は、大略、上述したような構成とされている。電気掃除機1は、集塵部50や、吸込口体100等、各部に特徴的な構造を備えたものとされている。以下、電気掃除機1の各部の構造について、さらに詳細に説明する。
【0020】
≪集塵部50の構成について≫
以下、集塵部50について、図4図10を参照しつつ詳細に説明する。集塵部50は、掃除機本体10に対して着脱可能に設けられている。集塵部50は、いわゆるサイクロン式の集塵装置とされている。すなわち、集塵部50は、外筒52に設けられた集塵部流入口52bから空気を導入し、外筒52内で旋回気流を形成した後、空気を排出させる過程において集塵できるものとされている。また、集塵部50は、いわゆる単段あるいは複数段の分離方式のものを採用できるが、本実施形態では単段式の分離方式を採用したものとされている。
【0021】
図4等に示すように、集塵部50は、外筒52(ダストカップ)、及び構造体54を有し、これらの間に集塵空間56が形成されたものである。集塵部50は、集塵空間56内に導入された空気を、構造体54と外筒52との間で旋回する旋回気流を形成可能なものとされている。集塵部50は、掃除機本体10において電動送風機収容部34の下方側の位置に着脱可能とされている。
【0022】
外筒52は、塵埃を内部に堆積するための容器である。外筒52は、上端側が開口した筒体とされている。図4図6に示すように、外筒52は、軸線方向一方側(図示例では上方側)に開口部52aを有し、軸線方向他方側(図示例では下方側)に外筒底部52cを有する有底筒状のものとされている。外筒底部52cは、外筒52に溜まった塵埃を廃棄するために、開閉可能な蓋部を有していてもよい。また、外筒52は、周部に集塵部流入口52b(流入口)を有する。
【0023】
集塵部流入口52bは、吸引口38yから風路38b内に吸引され、風路排出口38xから排出される空気を流入させるための入口となる部分である。集塵部流入口52bは、風路排出口38xに相当する位置に設けられ、例えば外筒52の軸線方向(上下方向)の中間部に位置する。そのため、集塵部50を掃除機本体10に取り付けることにより、集塵部流入口52bと風路排出口38xとを連通させることができる。また、集塵部流入口52bは、風路排出口38xから排出された空気を外筒52の内周面の接線方向に向けて集塵空間56の内部に導入可能とされている。そのため、集塵部流入口52bから集塵空間56の内側に導入された空気は、外筒52の内周面に沿って流れる旋回流を形成する。
【0024】
図4図6に示すように、構造体54は、外筒52の内部に配される部材である。構造体54は、外筒52との間に空気が流入する集塵空間56を構成する部材である。構造体54は、外筒52と軸心位置が略一致するように配されている。構造体54は、軸線方向一方側(図中上方側)から他方側(図中下方側)に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分(後述のテーパー部70)を有する。構造体54は、第一内筒60(内筒)及び一側筒部64を有するとともに、必須の構成ではないが接続体62をさらに有する。第一内筒60は、一側筒部64と接続されるが、接続体62が設けられる場合は一側筒部64および接続体62の少なくとも一方と接続される。
【0025】
図4図7図8等に示すように、第一内筒60は、テーパー部70、好ましくは延出部72を備えている。また、第一内筒60は、テーパー部70の外周部に第一ガイド部74、及び第二ガイド部76を備え、必須の構成ではないがテーパー部70の内周部に第三ガイド部78を備えたものとされている。
【0026】
テーパー部70は、軸線方向一方側(図中上方側)から他方側(図中下方側)に向かうにつれて外形が小さくなるように形成された部分である。テーパー部70は、円錐台状に形成されており、軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて軸心側に向けて外周面が直線的に傾斜するように形成されている。テーパー部70は、軸線方向一方側(上方側)に向けて開口する一方で、軸線方向他方側(下方側)において閉塞された閉塞部70aを備えたものとされている。
【0027】
図4に示すように、テーパー部70は、軸線方向一方側における大径部70bの外径が、外筒52の内径と略一致するように形成されている。また、大径部70bの外周面には周方向に延びる周溝70cが設けられている。テーパー部70は、周溝70cに装着されたOリング等からなる気密部材(第一気密部材70d)により、外筒52の内周面との間に形成される隙間を封止する第一封止部73を形成できる。すなわち、閉塞部70aを外筒底部52c側に向けた姿勢としてテーパー部70を外筒52の内側にセットすることにより、周溝70cに装着された第一気密部材70dと外筒52の内周面とが密接した第一封止部73が形成される。また、第一封止部73よりも軸線方向他方側(外筒52の外筒底部52c側)において、テーパー部70(第一内筒60)と外筒52との間に集塵空間56が形成される。また、第一封止部73は、集塵空間56に連通した集塵部流入口52bよりも上方側に形成される。
【0028】
テーパー部70は、上述したようにして集塵空間56を形成する機能に加え、集塵空間56から排気するための集塵空間排気部80としての機能も有する。具体的には、テーパー部70には、内外を連通するように形成された通気孔70eが周方向に多数設けられている。テーパー部70は、樹脂成形により構成されていてもよいし、メッシュ部材82で構成されてもよい。メッシュ部材82は、樹脂材料、金属材料又はこれらの組み合わせによって構成される網状のものとされている。そのため、集塵空間排気部80をなす通気孔70eを通過する空気に含まれている塵埃を、メッシュ部材82によって捕捉することができる。メッシュ部材82よりも樹脂成形の方が、テーパー部70の表面が滑らかになるため、塵埃の引っ掛かりを低減させることが可能である。
【0029】
延出部72は、テーパー部70からさらに軸線方向他方側に延びるように形成された部分であるが、本実施形態では軸線方向他方側の端部(図示例では下端部)を基端として軸線方向他方側に向けて延びている。延出部72は、集塵空間56の内部において外筒底部52cから軸線方向一方側(図示例では上方側)に離間するように形成されている。延出部72は、閉塞部70aの周囲を取り囲むように形成されている。これにより、延出部72は、上端側が閉塞部70aによって閉塞され、下端側において開口した筒状の形状とされている。閉塞部70aの周囲を取り囲むように延出部72が設けられていることにより、集塵空間56の軸心側の位置において外筒52の底部から舞い上がってきた気流や塵埃が閉塞部70aに衝突し、軸線方向に対して交差する方向に拡がり難くなる。その結果、電気掃除機1においては、気流に含まれている毛や埃などの塵埃がテーパー部70に絡みつきにくくなる。延出部72は、筒形状である。延出部72は、上端から下端に亘って同一の外形寸法を有する筒形状であるか、上端から下端に向けて外形が小さくなるテーパー状の筒形状であることが好ましい。これにより、第一ガイド部74によってガイドされて軸線方向他方側(外筒底部52c)側に向けてスムーズに案内されてきた気流や塵埃が延出部72にて絡み付くことを抑制できる。なお、延出部72は、筒状に限定されるものではなく、軸線方向に延びる複数の延出部材が互いに間隔を空けて設けられる構成であってもよい。
【0030】
また、閉塞部70aは、中心側が外側に対して外筒52の底部に向けて凸形状となっていても良く、さらに好ましくは湾曲していても良い。これにより、集塵空間56の軸心側の位置において外筒52の底部から舞い上がってきた気流や塵埃が閉塞部70aにて延出部72に向けて移動させ易くなる。
【0031】
また、外筒52の底として一体的に形成された外筒底部52c、または外筒52の周部に設けられた支軸を介して回動可能に軸支される等して外筒52の底を開閉可能とされた蓋状の外筒底部52cには、塵埃が旋回気流により動くことを規制する複数のリブ(突起部)52dが設けられてもよい。複数のリブ52dは、構造体54に向かって延び、周方向に間隔を空けて配される。また、前述したように外筒52の底として一体的に形成された外筒底部52cまたは外筒52の底を開閉可能な蓋状のものとされた外筒底部52cには、複数のリブ52dに代えて、または、複数のリブ52dに加えて、構造体54(閉塞部70a)に向かって延びる突出部が設けられてもよい。複数のリブ52dとともに突出部が設けられる場合には、突出部の周囲に複数のリブ52dが軸線に対して交差する方向(本実施形態では径方向)に間隔を空けて配される。また、突出部は、柱状であり、例えば、円柱状、角柱状、断面が十字の柱状、または、構造体54側に向けてテーパー形状となった円柱状、角柱状、断面が十字の柱状とすると良い。これにより、閉塞部70aの下方に集まる塵埃が気流により動くことを抑制することができる。外筒52の底を回動により開閉可能な蓋状のものを外筒底部52cとした場合には、塵埃が突出部やリブ52dに絡まっても、塵埃の廃棄が容易である。
【0032】
図7図8に示すように、第一ガイド部74は、テーパー部70の外周側に設けられたリブ状の部分であり、外筒52の内周面に当接している。第一ガイド部74は、テーパー部70や延出部72を外筒底部52c側に向けた姿勢として構造体54を外筒52に挿入した状態において、外筒52と第一内筒60との間に配される。第一ガイド部74は、集塵部流入口52bから集塵空間56に流入して外筒52の内周に沿う方向に旋回する気流を、軸線方向他方側(外筒底部52c側)に案内するための案内部材として機能する。第一ガイド部74は、軸線方向の一方側から他方側(図示例では上方側から下方側)に向かうに連れて集塵部流入口52bに近づくよう延びている。第一ガイド部74の端部は、集塵部流入口52bに達していてもよい。別の表現をすると、第一ガイド部74は、軸線方向の一方側から他方側(図示例では上方側から下方側)に向かうに連れて、集塵部流入口52bに対して気流の旋回方向上流側の位置から集塵部流入口52bに向けて近づくよう延びている。なお、第一ガイド部74は、構造体54に設けられる構成を例に説明したが、外筒52の内周面に設ける構成であってもよい。この場合、第一ガイド部74は、テーパー部70(構造体54)の外周面に当接することが好ましい。
【0033】
第二ガイド部76は、第一ガイド部74と同様に、テーパー部70の外周側に設けられたリブ状の部分である。第二ガイド部76は、集塵部流入口52bから集塵空間56に流入する気流を案内するためのガイド部材として機能するリブである。第二ガイド部76は、外筒52と第一内筒60との間において、軸線方向と交差し、旋回方向に沿って延びるように形成されている。第二ガイド部76は、上述した第一ガイド部74の終端部と連結されている。
【0034】
第三ガイド部78は、第一内筒60の内周側に設けられたリブ状のものである。第三ガイド部78は、第一内筒60の内部空間84の内部に配される。第三ガイド部78は、内部空間84内に複数、周方向に所定の間隔毎に設けられている。第三ガイド部78は、内部空間84の周方向一方側から他方側に延びるように形成されている。本実施形態では、構造体54を軸線方向に対して直交する平面で切断して軸線方向一方側(上方側)から見た状態において、第三ガイド部78の基端部(テーパー部70の内周面との接続部)に対して先端部(自由端)が右回り方向(旋回方向と同じ方向)に離れた位置に来るように形成されている。なお、接続体62が設けられる場合には、テーパー部70(第一内筒60)と接続体62との間で形成される内部空間84に第三ガイド部78が配される。
【0035】
接続体62は、集塵空間56の内部に流入した空気を集塵部50の外部に流出させるための気流流出部67として機能するものであり、必須の構成ではないが気流流出部67にフィルタを有していてもよい。また、接続体62は、第一内筒60と着脱可能に接続されていてもよく、この場合、接続体62のうち軸線方向他方側の端部が第一内筒60の内部にて接続される。図4等に示すように、接続体62は、例えば筒状の枠体で構成されている。以下では、一例として、接続体62を第二内筒62Aとして説明する。第二内筒62Aは、第一内筒60に対して内側(集塵部50の軸心側)に配されるものである。第二内筒62Aは、第一内筒60及び一側筒部64の双方あるいは一方に対して接続される。本実施形態では、第二内筒62Aは、第一内筒60に対して接続されている。これにより、第一内筒60と第二内筒62Aとの間には、内部空間84が形成されている。上述した第三ガイド部78は、内部空間84の内部において周方向に所定の間隔毎に複数設けられている。
【0036】
図9に示すように、第二内筒62Aは、第二内筒外枠90、第二内筒内枠92、及び第二内筒フィルタ94(フィルタ)を有する。
【0037】
第二内筒外枠90は、円筒状であって、筒軸方向の中間部に支柱部90a、開口部90bを有する。支柱部90aは、筒軸方向に延びる柱状の部分であり、第二内筒外枠90の周方向に所定の間隔毎に複数(本実施形態では4つ)設けられている。開口部90bは、第二内筒外枠90において、周方向に並ぶ支柱部90a,90aの間において開口した部分である。
【0038】
第二内筒内枠92は、第二内筒外枠90の内側に配される筒状の部材である。第二内筒内枠92は、筒軸方向の中間部に支柱部92a、開口部92bを有する。支柱部92aは、筒軸方向に延びる柱状の部分であり、第二内筒内枠92の周方向に所定の間隔毎に複数(本実施形態では4つ)設けられている。開口部92bは、第二内筒内枠92において、周方向に並ぶ支柱部92a,92aの間において開口した部分である。
【0039】
第二内筒フィルタ94は、第二内筒62Aを介して環状空間84から排出される空気に含まれている塵埃を捕捉するためのものである。第二内筒フィルタ94は、細かい孔が多数形成されたメッシュ状のものである。第二内筒フィルタ94は、第二内筒外枠90及び第二内筒内枠92に沿って湾曲させた状態とされ、第二内筒外枠90と第二内筒内枠92との間に挟み込まれる。これにより、第二内筒フィルタ94は、第二内筒62Aの壁部となると共に、第二内筒外枠90の開口部90b、及び第二内筒内枠92の開口部92bを通過しようとする空気に含まれている塵埃を捕捉可能とされている。
【0040】
図4図6に示すように、一側筒部64は、上述した第二内筒62Aに対して、外筒52の底部側から離れる方向(軸線方向一方側)に設けられている。一側筒部64は、第二内筒62Aと一体的または着脱可能に設けられ、第二内筒62Aに対して上方側に隣接する位置に設けられている。図6に示すように、一側筒部64は、拡径部64a、中間部64b、及びフィルタ配置部64cを有する。
【0041】
拡径部64aは、第二内筒62A側から上方側に連続する部分である。拡径部64aは、上方側に向かうに連れてテーパー状に拡大するように形成されている。また、中間部64bは、拡径部64aに対して軸線方向上方側に隣接する位置に設けられた部分である。中間部64bは、外筒52の軸線方向に延びるように形成されている。一側筒部64の外周面には周方向に延びる周溝64dが設けられている。一側筒部64は、周溝64dに装着されたOリング等からなる気密部材(第二気密部材64e)により、外筒52の内周面との間に形成される隙間を封止する第二封止部65を形成できる。フィルタ配置部64cは、外筒52の内径と略同一とされている。そのため、フィルタ配置部64cの外周面と、外筒52の内周面との間には、殆ど隙間が形成されていない。
【0042】
また、フィルタ配置部64cは、内周側において中間部64bとの境目をなす部分に段部64fが形成されている。この段部64fには、気密部材64jが配される環状の溝部が設けられ、第二フィルタ64hの下端部に当接することで、気密性を向上させている。フィルタ配置部64cの内側には、第一フィルタ64g、及び第二フィルタ64hが配されている。第一フィルタ64gは、例えば不織布やスポンジ等によって構成されたフィルタである。第一フィルタ64gは、段部64fの上に配されている。また、第二フィルタ64hは、プリーツ型のフィルタと、このフィルタの周囲を囲む枠体64iとを少なくとも有する。気密部材64jは、この枠体64iの下端部に当接する。また、第二フィルタ64hをなすプリーツフィルタは、第一フィルタ64gの上に配され、枠体64iは第一フィルタ64gの周囲を囲うように内部に有する。また、第二フィルタ64hは、枠体64iの上面において気密部材64kが配され、気密部材64kが吸気側構成部42aに当接することで、気密性を向上させている。なお、第二フィルタ64hのプリーツフィルタと第一フィルタ64gとが離間することで、その空間で空気が分散するため、プリーツフィルタの表面を有効に活用することができる。これにより、フィルタが早期に目詰まりを起こして吸引力が低下するという課題を解決することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、構造体54の内筒60にテーパー部70を設け、テーパー部70の終端部(径方向外側の端部)が一側筒部64の外周面に連続するように形成された例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、テーパー部70に代えて、テーパー部70とは異なる位置に配されるテーパー部70Aを設けてもよい。つまり、テーパー部70を一側筒部64に対して軸線方向他方側(外筒底部52c側)に離れた位置まで移動させ、一側筒部64に対して軸線方向に離間させた構成とする。このような構成とした場合、テーパー部70Aが軸線方向他方側(外筒底部52c側)に向けて凸状となる傘状の形態(逆傘型の形態)となる。このような構成とした場合についても、上記実施形態に係る電気掃除機1と同様に、毛や埃などの塵埃が構造体54に絡みつくのを抑制できる。なお、このような構成とする場合についても、集塵部流入口52bは、テーパー部70Aよりも外筒底部52c側の領域において連通するように形成することが好ましく、外筒底部52cに対してテーパー部70Aに近い位置に形成されることがより好ましい。なお、テーパー部70Aには、第一ガイド部74、第二ガイド部76および第三ガイド部78が設けられなくてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、延出部72が外筒底部52cから軸線方向に離間したものとされているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、延出部72は、テーパー部70Aから外筒底部52cに到達するように形成されても良い。また、図11では、テーパー部70Aのような逆傘型とした例において延出部72を外筒底部52cに到達するように形成した例を示したが、上記実施形態のようにテーパー部70と一側筒部64とが連続するように設けられたもの(テーパー部70が一側筒部64側に寄った位置に設けられているもの)においても、延出部72を外筒底部52cまで到達するように形成しても良い。
【0045】
≪電気掃除機1の構成により得られる効果等について≫
以下、上述した電気掃除機1の構成により得られる効果等について説明する。
【0046】
(1)本実施形態の電気掃除機1は、電動送風機14を有する掃除機本体10と、掃除機本体10に着脱可能な集塵部50と、を備え、集塵部50は、集塵部流入口52b、及び軸線方向一方側に設けられた開口部52aを備えた外筒52と、外筒52の内部に配される構造体54と、外筒52、及び構造体54の間に形成される集塵空間56と、を有し、構造体54は、軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるように形成されたテーパー部70を有することを特徴とするものである。
【0047】
本実施形態の電気掃除機1は、外筒52の内部に配される構造体54に軸線方向一方側から他方側に向かうにつれて外形が小さくなるテーパー部70を設けたものとされている。これにより、集塵部流入口52bを介して集塵空間56に流入した気流が、テーパー部70の傾斜の影響によって集塵空間56内において旋回しつつ軸線方向他方側(外筒底部52c側)に向かうように進み、外筒52の内部に配された構造体54に毛や埃などの塵埃が絡みつきにくくなる。
【0048】
(2)本実施形態の電気掃除機1は、構造体54が、テーパー部70を集塵空間56から排気するための集塵空間排気部80として備えた第一内筒60(内筒)と、第一内筒60から軸線方向他方側に延びる延出部72と、を有することを特徴とするものである。
【0049】
本実施形態の電気掃除機1は、第一内筒60から軸線方向他方側に延びる延出部72を備えている。このような構成とされているため、集塵空間56において旋回し、集塵空間56の軸心側の位置においてテーパー部70側に舞い上がる気流が発生した状態において、気流やこれに含まれている塵埃の流れが延出部72によって阻害される。すなわち、上述した構成とした場合、集塵空間56の軸心側の位置において外筒52の底部から舞い上がってきた気流や塵埃が、軸線方向に対して交差する方向に拡がり難くなる。その結果、電気掃除機1においては、気流に含まれている毛や埃などの塵埃がテーパー部70に絡みつきにくくなる。
【0050】
なお、上記実施形態においては、延出部72を筒状の形状とした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。電気掃除機1は、例えば、ブラシや櫛の歯のようなものを第一内筒60から軸線方向他方側に延びるように設け、これを延出部72として備えたものすることも可能である。
【0051】
(3)本実施形態の上述した(2)における電気掃除機1は、外筒52が、軸線方向他方側に底をなす外筒底部52cを有するものであり、延出部72の軸線方向他方側の端部が、集塵空間56の内部において外筒底部52cから離間していることを特徴とするものである。
【0052】
本実施形態の電気掃除機1は、延出部72の軸線方向他方側の端部(外筒底部52c側の端部)を外筒底部52cから離間させることにより、集塵空間56の内容積を十分に確保しつつ、外筒底部52cから舞い上がる気流が外側に広がることを抑制できる。つまり、電気掃除機1は、上記(3)のような構成とすることにより、第一内筒60の下方かつ延出部72の内側に塵埃が集まり易くなる。
【0053】
(4)本実施形態における上述した(2)または(3)の電気掃除機1は、第一内筒60の軸線方向他方側の端部が閉塞されていることを特徴とするものである。
【0054】
本実施形態の電気掃除機1は、上述した構成とすることにより、第一内筒60の軸線方向他方側の端部が塵埃によって目詰まりするのを回避できる。
【0055】
なお、本実施形態では第一内筒60の軸線方向他方側の端部を閉塞した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第一内筒60の軸線方向他方側の端部を閉塞しないようにしても良い。なお、第一内筒60の軸線方向他方側の端部を閉塞しない場合には、当該部位が塵埃によって目詰まりしにくい構成とすると良い。
【0056】
(5)本実施形態における上述した(2)~(4)いずれかの電気掃除機1は、集塵部50が、第一内筒60と外筒52との間において、軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から集塵部流入口52bに向けて近づくよう延びる第一ガイド部74を備えることを特徴とするものである。
【0057】
本実施形態の電気掃除機1は、上述したような第一ガイド部74を備えているため、集塵部流入口52bから集塵空間56に流入した気流が、第一ガイド部74によってガイドされて軸線方向他方側(外筒底部52c)側に向けてスムーズに案内される。つまり、本実施形態の電気掃除機1においては、集塵部流入口52bから集塵空間56に流入して軸線方向一方側(上方側)にて生じる旋回気流を軸線方向他方側に向かい易くすることにより、気流に含まれている毛や埃などの塵埃が第一内筒60のテーパー部70に巻き付くのを抑制できる。
【0058】
なお、本実施形態では、上述したような第一ガイド部74を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第一ガイド部74を設けない構成としたり、第一ガイド部74に代わる他のガイド部材を設けた構成としたりしても良い。第一ガイド部74を設けない場合には、例えば集塵部流入口52bにおける気流の流入方向が軸線方向他方側(外筒底部52c)に向くように集塵部流入口52bの形状等を最適化する等の方策を講じると良い。また、第一ガイド部74に代わる他のガイド部材を設ける場合には、第一ガイド部74と同様に、集塵部流入口52bから集塵空間56に流入した気流が軸線方向他方側に向けてスムーズに流れるようにガイドするものとしたり、集塵部流入口52bから流入した気流が集塵空間56の周方向に一周回るまでの間に気流の向きが軸線方向他方側に変わるようにガイドするものとしたりすると良い。
【0059】
(6)本実施形態における上述の(2)~(5)いずれかの電気掃除機1は、集塵部50が、集塵部流入口52bから集塵空間56に流入する気流を案内する第二ガイド部76を有し、第二ガイド部76が、第一内筒60と外筒52との間において、軸線方向と交差する方向に延びるように設けられていることを特徴とするものである。
【0060】
本実施形態の電気掃除機1は、上述したような第二ガイド部76を備えているため、集塵部流入口52bから集塵空間56に気流をスムーズに導入して旋回させることができる。
【0061】
なお、本実施形態では、上述した第二ガイド部76を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第二ガイド部76を設けない構成としたり、第二ガイド部76に代えて同等の機能を発揮する構成を設けたりしても良い。
【0062】
(7)本実施形態における上述した(2)~(6)いずれかの電気掃除機1は、構造体54が、軸線方向の一方側に配される一側筒部64を含み、第一内筒60が一側筒部64に接続されたものとすることができる。
【0063】
本実施形態の電気掃除機1は、上述したように内筒60と一側筒部64とが接続された構成とすることにより、第一内筒60をしっかりと保持することができる。
【0064】
(8)本実施形態における上述した(2)~(6)いずれかの電気掃除機1は、構造体54は、軸線方向の一方側に配される一側筒部64を含み、集塵空間56の外部に空気を流出させるための気流流出部67を有し、第一内筒60の内部において軸線方向に延びるように配される接続体62を有し、第一内筒60と接続体62とが接続されていることを特徴とするものである。
【0065】
本実施形態の電気掃除機1は、上述したような構成とされているため、第一内筒60を接続体62によって、しっかりと保持することができる。なお、本実施形態では、上述した構成により接続体62の例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第二内筒62Aと第一内筒60とを接続しても良い。
【0066】
(9)本実施形態における上述した(1)~(8)いずれかの電気掃除機1は、集塵部50が、集塵部流入口52bよりも軸線方向の一方側において、構造体54と外筒52との間を封止する封止部(第一封止部73、第二封止部65)を有することを特徴とするものである。
【0067】
本実施形態の電気掃除機1は、上述したように集塵部流入口52bよりも軸線方向の一方側に設けられた封止部において、構造体54と外筒52との間を封止したものであるため、集塵空間56の気密性が高い。そのため、電気掃除機1は、構造体54と外筒52との隙間から空気等が漏れることによる集塵性能の低下が起こりにくい。また、構造体54と外筒52との隙間を介して集塵空間56から外部に向かう気流が生じにくくなる。このため、そのような気流によって隙間に、塵埃が引き寄せられることを抑制することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、第一封止部73を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態の電気掃除機1は、例えば第一封止部73を設けず、上述した第二封止部65のみによって封止する構成とする等しても良い。
【0069】
(10)本実施形態における上述した(1)の電気掃除機1は、構造体54は、集塵空間56から排気するための気流流出部67を有する第二内筒62A(内筒)を備え、テーパー部70Aが、第二内筒62Aと外筒52の間に軸線方向と交差する方向に延びるように形成されており、テーパー部70Aに対して軸線方向他方側に、集塵部流入口52bが配されていることを特徴とするものである。
【0070】
本実施形態の電気掃除機1は、上述したような構成とされているため、テーパー部70Aに対して軸線方向他方側(外筒底部52c側)にある集塵空間56に対し、集塵部流入口52bから塵埃を含む気流を導入して、空気と塵埃とに分離させることができる。また、本実施形態の電気掃除機1は、上述した構成とすることにより、集塵空間56において空気と塵埃とに分離した後、テーパー部70Aを通過して軸線方向一方側に上昇した気流を、気流流出部67から集塵部50の外部に流出可能とされている。そのため、本実施形態の電気掃除機1によれば、毛や埃などの塵埃が構造体54に絡みつきにくい。
【0071】
(11)本実施形態における上述した(1)の電気掃除機1は、テーパー部70Aが、第二内筒62Aと外筒52の間に軸線方向と交差する方向に延びるように形成されており、テーパー部70Aと外筒52の外筒底部52cとの間に、集塵部流入口52bから空気が流入することを特徴とするものである。
【0072】
本実施形態の電気掃除機1は、上述したような構成とされているため、テーパー部70Aと外筒52の外筒底部52cとの間に集塵部流入口52bから集塵空間56に対し、塵埃を含む気流を導入して、空気と塵埃とに分離させることができる。そのため、本実施形態の電気掃除機1によれば、毛や埃などの塵埃が構造体54に絡みつきにくい。
【0073】
(12)本実施形態における上述した(10)または(11)の電気掃除機1は、集塵部流入口52bが、軸線方向において、外筒52の外筒底部52cとテーパー部70Aとの間であって、外筒底部52cに対してテーパー部70Aに近い位置に配されていることを特徴とするものである。
【0074】
本実施形態の電気掃除機1は、上述したように軸線方向において外筒底部52cに対してテーパー部70Aに近い位置において、集塵部流入口52bから集塵空間56に対して気流を導入することができる。これにより、集塵空間56の内側において旋回する気流に含まれている塵埃が、テーパー部70Aにより軸線方向他方側にスムーズに案内することができるため、構造体54に対して絡みつくのを抑制できる。
【0075】
(13)本実施形態における上述の(1)~(12)いずれかの電気掃除機1は、テーパー部70が、通気孔70eを有するメッシュ部材82を配したことを特徴とするものである。
【0076】
本実施形態の電気掃除機1は、上述した構成とすることにより、集塵空間56から出る気流に含まれている塵埃を適確に捕捉することができる。
【0077】
(14)本実施形態における上述した(13)の電気掃除機1は、メッシュ部材82が、樹脂材料、金属材料又はこれらの組み合わせによって構成されていることを特徴とするものである。
【0078】
本実施形態の電気掃除機1は、上述したように樹脂材料や金属材料又はこれらの組み合わせによって構成されるメッシュ部材82を設けることにより、メッシュ部材82が塵埃を適確に捕捉することができる。また、金属材料で構成する場合には、メッシュ部材82に塵埃が付着し難くなる。
【0079】
なお、本実施形態では、上述したような素材によって形成されたメッシュ部材82を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、塵埃の付着に対して効果的な他の素材によって形成されたものをメッシュ部材82として採用しても良い。
【0080】
(15)本実施形態における上述した(8)の電気掃除機1は、気流流出部67が、金属材料、樹脂材料又はこれらの組み合わせで構成される壁部(第一内筒60)に、複数の孔が形成されたものであることを特徴とするものである。
【0081】
本実施形態の電気掃除機1は、上述した構成とすることにより、気流流出部67を通過する気流に含まれている塵埃を捕捉することができる。また、壁部の表面の粗さを低減させることで、塵埃の付着を抑制することができる。
【0082】
(16)本実施形態の電気掃除機1は、第一ガイド部74と第二ガイド部76とが連結していることを特徴とするものである。
【0083】
本実施形態の電気掃除機1は、このような構成とされているため、第一ガイド部74と第二ガイド部76との境界部分に塵埃が入り込まない。
【0084】
(17)本実施形態の電気掃除機1は、第二ガイド部76が、旋回方向に沿って延びていることを特徴とするものである。
【0085】
本実施形態の電気掃除機1は、このような構成とされているため、第二ガイド部76に沿って集塵空間56に流入する気流をスムーズに旋回させることができる。
【0086】
(18)本実施形態の電気掃除機1は、第一ガイド部74が、集塵部流入口52bに向かって延びていることを特徴とするものである。
【0087】
本実施形態の電気掃除機1は、このような構成とされているため、集塵部流入口52bから集塵空間56に流入した後、集塵部流入口52bに到達しようとする気流を外筒底部52c側に案内することができる。これにより、集塵部流入口52bから流入した気流が、集塵部流入口52bの位置よりも外筒底部52c側に移動することなく旋回するのを抑制し、集塵部流入口52bの近傍において毛や埃等の塵埃が巻き付くのを抑制できる。
【0088】
(19)本実施形態における上述した(2)~(8)の電気掃除機1は、第一内筒60の内部には、第一内筒60の外側から気流が流入可能な内部空間84が設けられており、第一内筒60の内周面から延びるように形成された第三ガイド部78が、内部空間84に配されていることを特徴とするものである。
【0089】
本実施形態の電気掃除機1においては、第一内筒60から内部空間84に流入した気流が、第三ガイド部78によってガイドされ、内部空間84の内側で旋回流を形成することが期待できる。これにより、内部空間84の内部に流入した気流に含まれている塵埃を空気から分離して回収し、清浄化された空気を内筒60から外部に排出できる。
【0090】
なお、本実施形態では、第三ガイド部78を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく第三ガイド部78を設けない構成としたり、第三ガイド部78に代えて他の構成を設けることにより、内部空間84において旋回流を発生させるようにしても良い。
【0091】
(20)本実施形態の電気掃除機1は、第一内筒60と外筒52との間を封止するための第一気密部材70d、及び、一側筒部64と外筒52との間を封止するための第二気密部材64eの少なくとも一方を有することを特徴とするものであれば良い。
【0092】
このような構成とすることにより、電気掃除機1は、第一内筒60と外筒52との隙間から空気や塵埃が漏出するのを抑制できる。なお、本実施形態では、第一気密部材70d及び第二気密部材64eの双方を設けることにより第一内筒60と外筒52との間の気密性を高めた構成を例示したが、少なくとも一方の気密部材を備えていれば、上記実施形態の電気掃除機1と同様の効果が期待できる。
【0093】
(21)図10に示すように、本実施形態の電気掃除機1は、集塵部50の軸心位置を通る軸線を含み、互いに直交する第一の仮想面A、及び第二の仮想面Bによって分類される四つの仮想領域X1~X4を想定した場合において、集塵部流入口52bは、四つの仮想領域のうちの一つである仮想領域X1において集塵部50の内部に連通すると共に、仮想領域X1に対して隣り合う二つの仮想領域X2,X3のうち一方側(図示例では仮想領域X2)に偏った位置に配されていることを特徴とするものである。
【0094】
本実施形態の電気掃除機1は、このような構成とされているため、集塵部流入口52bから流入した気流が第一内筒60の外周面や、外筒52の内周面に衝突して減衰する可能性を低減できる。これにより、電気掃除機1は、集塵部流入口52bを流れる気流を、スムーズかつ勢いを殆ど落とすことなく集塵空間56に流入させて旋回させ、塵埃と空気との分離効率を高めることができる。
【0095】
(22)本実施形態の電気掃除機1は、集塵部流入口52bが、第一内筒60の外周面及び外筒52の内周面のうち少なくとも一方の接線方向に気流を導入可能なように形成されていることを特徴とするものである。
【0096】
本実施形態の電気掃除機1は、このような構成とされているため、集塵部流入口52bから流入した気流の大部分を、第一内筒60の外周面や、外筒52の内周面に沿うように流入させることができる。これにより、集塵部流入口52bから流入した気流が、第一内筒60の外周面や、外筒52の内周面に衝突して減衰する可能性を低減させ、集塵空間56に対してスムーズかつ勢いよく流入させて旋回させることができる。従って、上述した構成とすることにより、塵埃と空気との分離効率を高めることができる。
【0097】
(23)集塵容器内において毛や挨などの塵埃が巻き付きやすいという特許文献1のような従来技術の問題を解決するために、本実施形態の電気掃除機1は、電動送風機14を有する掃除機本体10と、掃除機本体10に着脱可能な集塵部50とを備え、集塵部50は、集塵部流入口52b、及び軸線方向一方側に設けられた開口部52aを備えた外筒52と、外筒52の内部に配される構造体54と、外筒52、及び構造体54の間に形成される集塵空間56と、構造体54と外筒52との間において、軸線方向の一方側から他方側に向かうに連れて、気流の旋回方向上流側の位置から集塵部流入口52bに向けて近づくよう延びる第一ガイド部74とを有することを特徴とするものである。
【0098】
本実施形態の電気掃除機1は、上述したような第一ガイド部74を備えているため、集塵部流入口52bから集塵空間56に流入した気流が、第一ガイド部74によってガイドされて軸線方向他方側(外筒底部52c)側に向けてスムーズに案内される。つまり、本実施形態の電気掃除機1においては、集塵部流入口52bから集塵空間56に流入して軸線方向一方側(上方側)にて生じる旋回気流を軸線方向他方側に向かい易くすることができる。これにより、気流に含まれている毛や埃などの塵埃が構造体54に巻き付くのを抑制できる。したがって、集塵装置において毛や挨などの塵埃が巻き付くのを抑制可能な電気掃除機を提供することができる。
【0099】
本発明は、上述した実施形態や変形例等として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、縦型、キャニスター型、ロボット掃除機など電気掃除機全般において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0101】
1 :電気掃除機
10 :掃除機本体
14 :電動送風機
50 :集塵部
52 :外筒
52a :開口部
52b :集塵部流入口
52c :外筒底部
54 :構造体
56 :集塵空間
60 :第一内筒
62 :第二内筒
64 :一側筒部
64e :第二気密部材
65 :第二封止部
67 :気流流出部
70 :テーパー部
70d :第一気密部材
70e :通気孔
72 :延出部
73 :第一封止部
74 :第一ガイド部
76 :第二ガイド部
78 :第三ガイド部
80 :集塵空間排気部
82 :メッシュ部材
84 :環状空間
94 :第二内筒フィルタ
A :第一の仮想面
B :第二の仮想面
X1 :仮想領域
X2 :仮想領域
X3 :仮想領域
X4 :仮想領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11