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  • 特開-鳥インフルエンザ感染予防装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042489
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】鳥インフルエンザ感染予防装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/00 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
A01K1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021169171
(22)【出願日】2021-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】506228238
【氏名又は名称】インフォリーフ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 幸広
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA07
2B101BB10
(57)【要約】
【課題】 養鶏場で鳥インフルエンザウイルスに感染した鶏が見つかると、周囲への感染拡大を防ぐため鶏の殺処分をし、徹底した消毒を行う。そのため多大な損害が発生すると同時に、ウイルスに変異の機会を与え、パンデミック発生の危険を大きくする。一方で、鶏舎には生き物がおり、ヒトの口に入るものを生産している関係で、日々消毒を繰り返すのは難しい。消毒作業が重労働になるという問題もある。
【解決手段】 本発明はヒトにも鶏にも安全な植物エッセンスを使い、鶏舎の消毒を自動化することにより、鳥インフルエンザ感染を予防する。植物エッセンスの水溶液を、ブラウン運動を利用して拡散することで、鶏舎内の隅々までを自動的に消毒。かつ、間歇的な拡散によって消毒効果を重層的コーティングとして構成し、効果を長期間にわたって持続させ、鶏舎内での鳥インフルエンザ感染および感染拡大を低コストで防ぐ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を最大径10μm未満の超微粒子ミストにして空間に放出する能力のある噴霧器と、それを間歇的に作動させる制御回路、および生物に安全でありながら、鳥インフルエンザウイルスのエンベロープを破壊する働きをもつ植物エッセンスの水溶液(以下、「専用薬剤」という。)からなり、鶏舎内で専用薬剤を自動的、間歇的に超微粒子として噴霧し、当該超微粒子のブラウン運動を利用して、鶏および鶏舎の表面の隅々まで当該専用薬剤を付着させて鳥インフルエンザウイルスを不活化し、かつ、当該専用薬剤を間歇的に噴霧することによって当該鶏舎内および鶏に重層コーティングを施して、ウイルスを持続的に、途切れることなく不活化する鳥インフルエンザウイルス感染予防システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鳥インフルエンザウイルスの消毒システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の柑橘系植物のエッセンスには、鳥インフルエンザウイルスのエンベロープ(envelope)を壊し、不活化する能力があることが科学的に確かめられている(以後、ウイルスを不活化することを「消毒」という)。
【0003】
水を10μm程度の超微粒子にして空間に放出できる噴霧器を使い、専用薬剤(水溶液)を鶏舎内で噴霧すると、薬剤の有効成分が超微粒子として空間をただよい、ブラウン運動をしながら落下する。
【0004】
ブラウン運動では激しく分子が動くため、特定箇所から噴霧するのみで、鶏舎全体の天井・壁・床をはじめ、給餌器などの物品や設備、そして鶏自身の空気に触れている表面を、人手を要することなく、自動的に満遍なく薬剤でコーティングすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2020-108236
【特許文献2】特願2020-220048
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
鳥インフルエンザウイルスは主として野鳥により国境を越えてもたらされ、不定期ながら国内でも発生し、そのたびに大きな被害を出している。
【0007】
鳥インフルエンザウイルスは感染力が強く、一か所で発生すると周囲への感染拡大を防ぐため、徹底した殺処分と消毒作業を必要とし、巨額の損害をもたらす。
【0008】
また鳥インフルエンザウイルスはヒトに感染する変異を起こすことがあり、その変異株が万一強毒性であった場合、世界的なパンデミックを引き起こす恐れが指摘されている。
【0009】
すなわち、一例でも感染例が出た場合は、その地域の養鶏業に大きな損害をもたらす上、2020年に流行した新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックを引き起こす可能性をもつのが鳥インフルエンザウイルスであり、経済的にも公衆衛生的にも、鳥インフルエンザウイルスに鶏舎の鶏が感染することを予防することは重要な課題である。
【0010】
一方、鳥インフルエンザウイルスを抑制できる消毒剤は多数あるが、それらを使って感染予防をしようとすると、大きな二つの課題に直面する。
【0011】
第一は、最終的に卵や鶏肉の形で、ヒトの口に入るということだ。
【0012】
そのため、卵や鶏肉に残留すると、ヒトの健康を損なう可能性のあるものは使えない。
【0013】
第二は、数万羽単位で飼育している鶏舎内で、消毒剤を効率よく、的確に使用する方法論が見当たらないということである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の課題を解決するため本発明では、ヒトおよび動物に健康被害のない植物エッセンスのうち、鳥インフルエンザウイルスの消毒能力をもつものを専用薬剤として利用し、この専用薬剤を空間に自動的、間歇的に超微粒子として放出する噴霧装置により、ブラウン運動を利用して、専用薬剤を鶏舎内の壁、天井、床、物品、鶏のすべての表面に自動的に付着させて鳥インフルエンザウイルスを消毒する。
【0015】
加えて、噴霧装置を間歇的に作動させることで、専用薬剤を鶏舎内の露出表面に重層コーティングし、鳥インフルエンザウイルスに対して消毒効果のある状態を持続する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の装置は、10μm以下の超微粒子で専用薬剤を自動的、間歇的に空間に放出する。
【0017】
その後、超微粒子の薬剤はブラウン運動で激しく運動しながら、鶏舎内の隅々まで行き渡り、鳥インフルエンザウイルスを消毒する。
【0018】
そして間歇的に噴霧された専用薬剤は重層コーティングされた状態で鶏舎内の露出表面に定着し、落下ウイルスをその表面で不活化し続ける。
【0019】
従来、鶏舎の隅々まで消毒をするのは、必要とされる労力が多大であること、そして食の安全性を確保するためにヒトに対して毒性の強いものは使いにくいことから、頻繁に行うのは難しいのが現実であった。
【0020】
本発明は鶏舎内の消毒作業を自動化するため、鶏舎内の消毒作業は、専用薬剤をセットした装置を鶏舎内に起き、電源スイッチをいれ、タイマー作動時間および間歇作動間隔設定を行うのみである。
【0021】
専用薬剤は生体に対して安全な植物エッセンスで構成するため、鶏舎内の鶏および最終的に消費者となるヒトに対して悪影響を及ぼすことはない。
【0022】
すなわち、本発明はヒトと鶏に安全や薬剤を使い、消毒作業を自動化するため、従来では考えられない頻度、すなわち毎日数回の頻度で鶏舎内を消毒することを可能にし、鶏舎内で鶏が鳥インフルエンザに感染することを予防する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面を用いて説明する。
【0024】
第1図は本実施形態の鶏舎内消毒システムの構成を示したものである。
【0025】
本発明の鳥インフルエンザウイルス感染予防装置は、コンプレッサとノズルと制御装置とからなる噴霧器と、専用薬剤タンクからなる。
【0026】
制御装置は、作動開始時刻・終了時刻、間歇運転の時間間隔、日時指定による自動作動などを制御する。
【0027】
鶏舎内に本装置を置き、空間の大きさに応じて、作動開始時刻・終了時刻、間歇運転の時間間隔、日時指定による自動作動などを設定して、電源を入れる。
【0028】
あるいは、本装置を鶏舎外に据置とし、噴霧ノズルと専用薬剤タンクのみを鶏舎内に設置することも可能である。
【実施形態の効果】
【0029】
以上述べたように本発明によれば、装置を設置して作動設定を行うのみで、鶏舎中の鳥インフルエンザウイルスを消毒し、かつ、自動的、間歇的に噴霧を行うことでその効力を人手と、時間を掛けることなく実現し、かつ持続させることができる。
【0030】
専用薬剤の鳥インフルエンザウイルス不活化機序は、表面のエンベロープの破壊にあるから、今後、どのように変異した鳥インフルエンザウイルスであっても、エンベロープ型ウイルスであるかぎりは、本発明による装置が消毒し、感染を予防することができる。
【他の実施形態】
【0031】
本発明は、コンプレッサに限らず、モーター等の動力を利用したファンを使うこともできる。
【0032】
さらに、ノズルのかわりに超音波式のミスト発生装置を使ってもよく、ミスト発生装置にサーキュレータを組み合わせることによっても実現できる。
【0033】
要するに、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は頻繁に鶏舎内を自動消毒し、鳥インフルエンザウイルス感染を予防する装置であるが、万一感染が発生した場合のヒトとモノ、そして車両等を消毒するためにも用いることができる。
【0035】
さらに消臭効果の高い薬剤など別の薬剤を用いれば、畜産の消臭を本発明で実現することもできる。
【0036】
また、ノズル、モーター、コンプレッサ、超音波式ミスト発生器などすでに普及している部品の組み合わせによって実現しているため、利用可能性は非常に高い。
【0037】
車載式のコンパクトなものから、鶏舎の大きさにあわせた中型品や大型品を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明にかかる装置全体の機器構成図である。
【符号の説明】
【0039】
11 噴霧ノズル
12 専用薬剤タンク
13 送風機
14 制御装置
15 ノズルに空気を送り込むパイプ
16 ノズルに専用薬剤を送り込むパイプ
図1