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特開2023-42494オープン型湾曲スライドブロック及びそれを備えるスライドブロックアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042494
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】オープン型湾曲スライドブロック及びそれを備えるスライドブロックアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/24 20060101AFI20230317BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20230317BHJP
   F16C 31/04 20060101ALI20230317BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
F16H25/24 B
F16H25/20 Z
F16H25/24 H
F16C31/04
F16C19/06
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021176667
(22)【出願日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0122547
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521473745
【氏名又は名称】ウィナー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WINNER CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】13, Bidumeokgol-gil, Munmak-eup, Wonju-si, Gangwon-do 26496, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ソン,チョン ボク
【テーマコード(参考)】
3J062
3J104
3J701
【Fターム(参考)】
3J062AA27
3J062AB21
3J062AC07
3J062BA15
3J062CD02
3J062CD22
3J062CD54
3J062CD57
3J104AA15
3J104AA17
3J104AA23
3J104AA63
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA75
3J104AA76
3J104AA77
3J104BA65
3J104DA01
3J104DA02
3J104DA11
3J104EA06
3J701AA02
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA65
3J701AA72
3J701BA77
3J701FA01
3J701FA46
3J701GA60
(57)【要約】
【課題】スライドブロックアセンブリにおいて、最初の組立時又は運転中にベアリングの外輪表面(外周面)とスクリューのねじ谷との間の予圧が適正範囲から逸脱した際に、容易に予圧を調整できるようにする。
【解決手段】スクリューの回転により前記スクリューの長手方向に直線往復運動するスライドブロックであって、前記スライドブロックは、スクリューの周りの少なくとも一部を取り囲むように構成されるとともに、スクリューの全周は取り囲まないオープン型ブロックであり、着脱自在な複数のベアリングモジュール(200)を備え、各ベアリングモジュール(200)は、前記スクリューのねじ谷の傾斜面に接するメインベアリング(230)をそれぞれ1つずつ備え、複数のベアリングモジュールのメインベアリングが、スクリューの長手方向における第1の向きへと倒れ込むように傾いて設置され、スクリューのねじ谷の第1傾斜面に接するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリューの回転により前記スクリューの長手方向に直線往復運動するスライドブロックであって、
前記スライドブロックは、スクリューの周りの少なくとも一部を取り囲むように構成されるとともに、スクリューの全周は取り囲まないオープン型ブロックであり、着脱自在な複数のベアリングモジュール(200)を備え、
各ベアリングモジュール(200)は、前記スクリューのねじ谷の傾斜面に接するメインベアリング(230)をそれぞれ1つずつ備え、
複数のベアリングモジュールのメインベアリングが、スクリューの長手方向における第1の向きへと傾いて設置され、スクリューのねじ谷の第1傾斜面に接するように構成されることを特徴とする、オープン型スライドブロック。
【請求項2】
複数のベアリングモジュールのメインベアリングが、スクリューからの放射状をなす少なくとも2つの方向にてスクリューに接するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のオープン型スライドブロック。
【請求項3】
前記スライドブロックが、前記スクリューの周りの180°以下を取り囲むように構成されることを特徴とする、請求項1に記載のオープン型スライドブロック。
【請求項4】
スクリューの回転により前記スクリューの長手方向に直線往復運動するスライドブロックを製造する方法であって、
中心に貫通孔が形成されることにより、外周面(310)及び内周面(320)を有する円筒部材(300)を長手方向に2等分して半円筒部材(400)を形成するステップと、
前記半円筒部材を加工してスライドブロック(100)を形成するステップであって、前記円筒部材の外周面(310)及び内周面(320)が、それぞれ前記スライドブロックの上部面(110)及び下部面(120)となるスライドブロックを形成するステップと、
前記スライドブロックの表面に複数のベアリングモジュール収容部(130)を形成するステップと、
を含むことを特徴とする、オープン型スライドブロックの製造方法。
【請求項5】
前記複数のベアリングモジュール収容部を形成するステップにおいて、前記スライドブロックの表面に前記スライドブロックの長手方向に平行であり、互いに離隔した少なくとも2つの列(D1、D2)に沿って各列(D1、D2)に少なくとも1つずつベアリングモジュール収容部(130)を形成することを特徴とする、請求項4に記載のオープン型スライドブロックの製造方法。
【請求項6】
各ベアリングモジュール収容部にベアリングモジュール(200)を着脱自在に取り付けるステップをさらに含み、
各ベアリングモジュール(200)は、前記スクリューのねじ谷の傾斜面に接するメインベアリング(230)をそれぞれ1つずつ備えることを特徴とする、請求項5に記載のオープン型スライドブロックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交ロボットなどの搬送装置に関し、より詳しくは、搬送装置にてスクリューの回転によって直線往復運動するスライドブロック、及びそれを備えるスライドブロックアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、「直交ロボット」又は「直交座標型ロボット」は、スクリュー又はベルトなどの駆動部と、LMガイド(直線案内用ベアリング;リニアガイド)などのガイド部とから構成され、直線往復運動する1軸の搬送装置モジュールを1つ以上組み合わせて、1次元、2次元、又は3次元に運動する搬送装置として実現したものであって、機械的な強度及び精度が高いために様々な産業現場で用いられている。
【0003】
一般的なボールスクリュー動力伝達装置は、スクリューシャフトの外側に円筒状のスライドブロックが設けられ、スライドブロックの内側にスクリューシャフトのねじ山又はねじ谷の軌跡に沿って複数のボールを配列し、スクリューシャフトが回転すると、スクリューシャフトとスライドブロックとの間の複数のボールが転がり運動を行ってスライドブロックが直線往復運動するようになる。
【0004】
ところで、このような従来におけるボールスクリュー動力伝達装置は、スライドブロックがスクリューシャフトを完全に取り囲む、円筒の閉鎖型タイプであるため、スクリューシャフトの中間地点にシャフトを支持することができず、シャフトが長くなると荷重によって曲がることから、シャフトの長さ又はスライドブロックに加えられる荷重を制限しなければならないという短所がある。
【0005】
また、スクリューシャフトの回転力がボールに伝達されるためには、ボールと、スクリューシャフトのねじ谷との間に力伝達に求められる摩擦力を発生させることができるよう、一定の接触圧力(以下、「予圧」という)で接触が保持されるべきであるが、従来の閉鎖型タイプのスライドブロックにおいては、ボールがスライドブロックの内部にあってボールが外部に現れないため、各ボールの予圧を適切なレベルに調整することが難しく、特に、運転中に予圧の変化が深刻に発生するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するために案出されたもので、スライドブロックがスクリューシャフトを部分的に取り囲む形状のオープン型湾曲スライドブロック及びそれを製造する方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明は、最初の組立時又は運転中にベアリングの外輪表面(外周面)とスクリューのねじ谷との間の予圧が適正範囲から逸脱した際に、容易に予圧を調整できるスライドブロックアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、スクリューの回転によって前記スクリューの長手方向に直線往復運動するスライドブロックであって、前記スライドブロックは、スクリューについての少なくとも一部の周囲を取り囲むように構成されるが、スクリューについての全体の周囲を取り囲まないオープン型のブロックであり、着脱自在な複数のベアリングモジュールを備え、各ベアリングモジュールは、前記スクリューのねじ谷の傾斜面に接するメインベアリングをそれぞれ1つずつ備え、スクリューからの放射状をなす少なくとも2つの方向にてそれぞれのベアリングモジュールのメインベアリングが前記スクリューの傾斜面に接するよう構成されているオープン型スライドブロックを開示する。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、スクリューの回転によって前記スクリューの長手方向に直線往復運動するスライドブロックを製造する方法であって、中心に貫通孔が形成されることにより外周面及び内周面を有する円筒部材を長手方向に二等分して半円形部材を形成するステップと、前記半円形部材をミーリング加工してスライドブロックを形成するステップであって、前記円筒部材の外周面及び内周面が、それぞれ前記スライドブロックの上部面及び下部面となるスライドブロックを形成するステップと、前記スライドブロックの表面に複数のベアリングモジュール収容部を形成するステップとを含むことを特徴とするオープン型スライドブロックの製造方法を開示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、スライドブロックがスクリューシャフトを部分的に取り囲む形状のオープン型湾曲スライドブロック形状を有することで、スライドブロックの製造が簡単かつ容易であり、スクリュー軸に対して複数の放射状の方向にベアリングを設置できるため、高い荷重を耐えながらも、騒音及び振動を低減することができる。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、スライドブロックに取り付けられるベアリングモジュールについて、設置位置をスクリュー軸の放射状方向に移動して設置できるため、スクリューの直径が変わっても、ウォッシャーといった高さ調整手段を用いてベアリングモジュールの設置の高さを調整し、ベアリングがスクリューの中心軸に向かって加圧することで、スクリューに作用するスライドブロックの荷重が、分散することなく、スクリュー中心軸に作用するようにして、スライドブロックを移動させる際に振動や騒音を低減することができる。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係るスライドブロックアセンブリは、組立時又は運転中に、ベアリングの外輪の表面(外周面)と、スクリューのねじ谷との間の予圧が適正範囲から逸脱した際に、容易に予圧を調整できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るスライドブロックの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るスライドブロックの斜視図である。
図3】一実施形態に係るスライドブロックを説明する図である。
図4】一実施形態に係るベアリングモジュールの斜視図である。
図5】一実施形態に係るベアリングモジュールの分解斜視図である。
図6】一実施形態に係スライドブロックの正面図である。
図7】一実施形態に係るベアリングモジュール及びスクリューの配置関係を説明する図である。
図8】一実施形態に係るベアリングモジュール及びスクリューの配置関係を説明する図である。
図9】スクリューのサイズによるベアリングモジュールの設置深度を説明する図である。
図10】一実施形態に係るベアリングの傾きの方向を説明する図である。
図11】一実施形態に係スライドブロックの製造方法を説明する図である。
図12】スライドブロック形状の様々な実施形態を説明する図である。
図13】一実施形態に係るスライドブロックアセンブリとレールアセンブリの斜視図である。
図14】一実施形態に係るスライドブロックアセンブリの斜視図である。
図15】一実施形態に係るスライドブロックアセンブリの分解斜視図である。
図16】一実施形態に係るスライドブロックアセンブリとレールアセンブリの正面図である。
図17】代替案的な一実施形態に係るスライドブロックアセンブリとレールアセンブリの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以上の本発明の目的、他の目的、特徴及び利点は、添付された図面に関連する以下の好適な実施形態によって容易に理解できるのであろう。しかし、本発明は、ここで説明する実施形態に限定されることなく、別の形態に具体化されてもよい。むしろ、ここで紹介される実施形態は、開示された内容が徹底かつ完全になるよう、そして、当業者に本発明の思想を十分に伝達するために提供されるものである。
【0015】
本明細書において単数形は、特に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「~を含む」、「~で構成される」、及び「~からなる」という表現は、言及された構成要素の他に1つ以上の更なる構成要素の存在又は追加を排除しない。
【0016】
本明細書において、いずれかの構成要素が他の構成要素に接続(又は、結合、締結、付着など)されると言及した場合、これは、他の構成要素に直接的に接続(又は、結合、締結、付着など)されたり、又は、その間に第3の構成要素を介在して間接的に接続(又は、結合、締結、付着など)されることを意味する。
【0017】
以下、図面を参照して本発明を詳説する。下記の特定の実施形態の記述において、様々な特定的な内容は発明をさらに具体的に説明して理解を助けるために作成されたものである。しかし、本発明が理解できる程度の、この分野の知識を有する者は、このような様々な特定的な内容がなくても使用され得ることを認知できる。場合に応じて、発明の記述において、周知であって発明とは大きく関連のない部分は、本発明の説明において混沌を防止すために記述しないことを予め言及しておく。
【0018】
図1及び図2は、本発明の一実施形態によりベアリングモジュール200を取り付けたスライドブロック100の斜視図であり、図3は、ベアリングモジュール200が取り除かれた状態のスライドブロック100の斜視図である。
【0019】
図1図3を参照すると、一実施形態に係るスライドブロック100は、スクリュー10に取り付けられてもよい。スクリュー10には表面に沿ってねじ谷が形成され、スライドブロック100がスクリュー10に、往復スライド運動できるように結合されている。
【0020】
スライドブロック100は、複数のベアリングモジュール200を備える。図示する実施形態において、スライドブロック100は、3つのベアリングモジュール200a,200b,200cを備えているが、これは例示に過ぎず、代替案的な一実施形態において、2つ以上の任意の数のベアリングモジュール200がスライドブロック100に備えられてもよい。
【0021】
各ベアリングモジュール200a,200b,200cは、下部に、即ち、スクリュー10に向かっている面に、下方から突出したメインベアリング230a,230b,230cをそれぞれ1つずつ備えている。各メインベアリング230(以下、簡単に「ベアリング」という)は、スクリュー10に向かって傾いて設けられ、ベアリング230の外輪(外周面)がスクリュー10のねじ谷の傾斜面に接するように構成されている。ベアリング230は、例えば、ラジアルベアリングであってもよい。
【0022】
好ましい一実施形態において、スクリュー10からの放射状の少なくとも2方向に、ベアリングモジュール200のベアリング230が、スクリュー10の表面に接するように構成されている。例えば、図1の点線で示すように、スライドブロックの長手方向(Z方向)に平行であって互いに離隔した少なくとも2つの列D1、D2に沿って、複数のベアリングモジュール200がスライドブロック100に取り付けられている。例えば、図1に示す実施形態において、第1列D1に沿って第1ベアリングモジュール200a及び第3ベアリングモジュール200cが整列して取り付けられ、第2列D2に沿って第2ベアリングモジュール200bが取り付けられている。
【0023】
代案的な一実施形態において、スライドブロック100が4つ以上のベアリングモジュール200を備える場合、ベアリングモジュール200が長手方向(Z方向)に沿ってジグザグに配列されてもよい。例えば、第1、第3、第5、...ベアリングモジュール200a、200c、...は、第1列D1に沿ってスライドブロック100に取り付けられ、第2、第4、第6、...ベアリングモジュール200b、...は、第2列D2に沿ってスライドブロック100に取り付けられるものと理解できるであろう。
【0024】
図3を参照すると、スライドブロック100は、略六面体(概略、直方体)の形状の部材であるが、上部面110及び下部面120がそれぞれ曲面形状に形成され、従って、全体的にスクリュー10の周囲を部分的に取り囲む湾曲形状のブロックであってもよい。
【0025】
スライドブロック100に1つ以上のボルト穴115が形成されてもよい。ボルト穴115は、スライドブロック100を、図13図17を参照して後述するアセンブリフレーム510とボルトでもって結合するために形成したのである。従って、代替案的な一実施形態において、他の締結方式によりアセンブリフレーム510と締結する場合、ボルト穴115が省略され得るのは勿論のことである。
【0026】
一実施形態に係るスライドブロック100には、ベアリングモジュール200を収容できる複数のモジュール収容部130が形成されている。図示する実施形態において、モジュール収容部130は、スライドブロック100を貫通する円形断面の貫通口の形状であり、ベアリングモジュール200をモジュール収容部130に載置して結合できるように、モジュール収容部130内に段部131が形成されている。段部131には、1以上のボルト穴132が形成され、締結ボルトを用いてベアリングモジュール200をスライドブロック100のモジュール収容部130に取り付けることができる。
【0027】
図4は、一実施形態に係るベアリングモジュール200の斜視図であり、図5は、ベアリングモジュール200の分解斜視図である。ベアリングモジュール200は、スライドブロック100に着脱自在に取り付けられる。図4及び図5を参照すると、一実施形態に係るベアリングモジュール200は、モジュール本体210、下方突出部220及びメインベアリング230を含む。図示する実施形態において、モジュール本体210は、略半球状の部材であって、モジュール本体210の下側へと下方突出部220が伸びて一体に形成されてもよい。モジュール本体210の形状は必ずしも半球型である必要はなく、例えば、円柱や多角柱の形状であってもよい。
【0028】
下方突出部220の一側面は、下側へと向かうように所定の角度傾斜した傾斜面225であり、この傾斜面225にベアリング230との結合のためのベアリング連結孔227が形成されている。ベアリング230は、例えば、ラジアルベアリングであってもよく、ボルトなどの結合手段により連結孔227に回転自在に取り付けられる。
【0029】
一実施形態に係るベアリングモジュール230は、上下方向に貫通する1つ以上のボルト穴211が形成され、このボルト穴211は、スライドブロック100のモジュール収容部130内の段部131に形成されているボルト穴132の位置に対応する。従って、ベアリングモジュール200をモジュール収容部130に挟み、2つのボルト穴211,132を通して締結ボルト240でもって締結することで、ベアリングモジュール200をスライドブロック100に結合させることができる。
【0030】
ここで、スライドブロックのモジュール収容部130内にて、段部131によって、突出部の嵌め込み凹部133の領域が画されるのであるが、ベアリングモジュール200の下方突出部220を突出部の嵌め込み凹部133に挿入して、ベアリングモジュール200をモジュール収容部130に嵌め込むことで、ベアリングモジュール200の方向を固定させ得る。
【0031】
一実施形態において、ベアリングモジュール200をモジュール収容部130に挿入して締結するにあたり、ウォッシャー250及び/又はばね(図示せず)を介在して締結してもよい。ウォッシャー250を介在して締結する場合、締結力を高めるだけでなく、スライドブロック100に対するベアリングモジュール200の締結の高さを調整することができる。これについては、図6及び図9を参照して後述することにする。
【0032】
また、ばね(図示せず)を介在させてベアリングモジュール200をスライドブロック100に締結する場合、複数のベアリング230が均一な予圧でスクリュー10のねじ谷に噛み合うことができる。一般に、スライドブロック100やベアリングモジュール200、又はスクリュー10を加工する際に加工誤差が生じ、全てのベアリング230がスクリュー10の表面に正確に同じ高さで接触できない場合もあるのであり、このような場合、ベアリング230ごとに受ける荷重が互いに異なることから騒音及び振動の原因となり、ベアリング230の寿命が短縮される原因となる。しかし、スライドブロック100と各ベアリングモジュール200との間にばねを介在させれば、このような加工誤差によるベアリング230の荷重偏差を減らし得るため、スライドブロック100の動作時における騒音及び振動を低減し、ベアリング230の寿命を延長させることができる。
【0033】
一実施形態において、スライドブロック100とベアリングモジュール200との間に、ウォッシャー250及びばね(図示せず)を個別に介在させてもよい。代替的に、ばね状のウォッシャー(「ばねウォッシャー」)をスライドブロック100とベアリングモジュール200との間に介在させてもよい。ばねウォッシャーは、例えば、螺旋形のばね状であってもよく、代替的に、図5に示すように、円盤状であって波形の表面を有するウォッシャーであるか、又は周知の他の形態のウォッシャーであってもよい。
【0034】
図6は、スライドブロックの正面図であって、スクリューの軸方向(図1におけるZ方向)からスライドブロック100を見た外観を、概略的に示した。
【0035】
図6を参照すると、好ましい一実施形態に係るスライドブロック100は、「オープン型」のスライドブロックである。即ち、図6の正面図からみた場合に、スライドブロックがスクリュー10の周りを360度にわたって完全に取り囲む閉鎖型のタイプではなく、スクリュー10の周りの一部のみを取り囲んだオープンタイプである。例えば、図6において、スライドブロック100がスクリュー10の周りを所定の角度θ1でだけ取り囲み、この角度θ1は、例えば180°以下であってもよい。
【0036】
また、好ましい一実施形態において、スライドブロック100は「湾曲型」のブロックである。スライドブロック100の上部面110及び下部面120は、表面が平坦ではなく、図6に示すように、スクリュー10を取り囲むためにスライドブロック100が曲げられている。スライドブロック100の上部面110及び下部面120が、曲面から形成されるか、又は、複数の平面が連続的に折り曲げられて全体的に湾曲な形状に形成されるのでありうる。
【0037】
図6に示す実施形態において、スクリュー10からの放射状の2方向(すなわち、A方向及びB方向)にてベアリング230がスクリュー10に接している。説明の利便のために、図6においてA方向は、スクリュー10の中心軸AXから、第1ベアリング230aとスクリュー10との接点P1を通る方向であり、B方向は、スクリュー10の中心軸AXから、第2ベアリング230bとスクリュー10との接点P2を通る方向である。また、C方向は、スクリュー10の中心軸AXから、スライドブロック100を2等分する方向を示す。スクリュー10からの放射状のA方向及びB方向から、ベアリング230がスクリュー10の表面に接しており、これら2つの方向の間の角度をθ2というふうに表示した。一実施形態において、A方向とB方向との間の角度θ2は120度以下であり、好ましくは、45度~90度の範囲内であってもよい。
【0038】
一実施形態において、スライドブロック100における上部面110の曲率に基づく中心点(曲率中心)と、下部面120の曲率に基づく中心点(曲率中心)とが一致してもよい。即ち、図6を参照すると、スライドブロック100の上部面110及び下部面120についてのそれぞれの曲率による中心点が一致してもよい。また、一実施形態において、この中心点がスクリュー10の中心軸AXと一致してもよい。例えば、スライドブロック100の製造時に、モジュール収容部130の貫通方向を、前記中心点に向かっている方向としてモジュール収容部130を形成し、スクリュー10の中心軸AXを前記中心点と一致させて配置してもよい。このようにスクリュー10の中心軸AX、及び、スライドブロック100の上部面及び下部面の曲率の中心点を互いに一致させて構成すれば、スライドブロック100の製造が簡単になり、さらに、スクリュー10に沿ってスライドブロック100がスライド運動する際に騒音及び振動を低減させることができる。
【0039】
一実施形態に係るベアリング230は、スクリュー10と比較して、より大きな直径を有する。例えば、ベアリング230はスクリュー10直径の1.5倍~4倍の直径を有してもよい。したがって、図6に示すように正面から見たとき、ベアリング230a,230bが一部で重なるように配置されるのであり、図1図3を参照して説明したように、複数のベアリングモジュール200が、複数の列(図1に示すD1、D2など)に沿ってジグザグに配列されるようにしてスライドブロック100に結合される。
【0040】
図7及び図8は、一実施形態に係るベアリングモジュールとスクリューとの配置関係を説明する図であり、図7は、ベアリングモジュール200とスクリュー10を側面から見た側面図であり、図8は、上面から見た平面図を概略的に示した。
【0041】
図7及び図8を参照すると、スクリュー10は、表面に所定のピッチ(対応箇所同士の距離)を有するねじ谷11が形成され、図示するようにねじ谷11は、ねじ谷の最低点(最深点;谷底)から両方向へと傾斜面11a,11bを有する。ねじ谷の2つの傾斜面11a,11bの間の角度は、例えば90度であるが、スクリューの種類に応じて変わり得る。
【0042】
ベアリングモジュール200の前方傾斜面225に組み付けられているベアリング230は、例えば、車輪の形態のラジアルベアリングであって、ベアリング230の外輪(外周面)230aがねじ谷11と接触することで、スライドブロック100がスクリュー10に密着される。一実施形態において、摩擦とそれによる振動及び騒音を低減するために、ベアリング230がスクリューねじ谷11の一方の傾斜面11aに接するようにして載置されてもよい。ここで、ベアリング230の外周面230aが、ねじ谷の傾斜面11aと接点Pで線接触して接することになる。
【0043】
一実施形態において、ベアリング230による荷重がスクリュー10の中心軸AXに加えられることが好ましい。そのために、例えば、図8に示すように、ベアリングモジュール200を左右に2等分する中心線Lと、スクリュー10の中心軸AXとが接する地点に、ベアリング230がスクリューのねじ谷11に接する接点Pが位置するように、ベアリングモジュール200を配置してもよい。
【0044】
図9は、代替的な実施形態に係るスライドブロック100及びスクリュー10’の正面図を示した。図6と比較すると、スライドブロック100の構成は同じであり、図9に示すスクリュー10’の直径が、図6に示すスクリュー10の直径よりも大きいことが分かる。したがって、スクリュー10’の外周面と、スライドブロック100の下部面120との間の距離がより近くなったため、ベアリング230、及びこれを支持しているベアリングモジュール200が、スクリュー中心軸AXから放射状に遠くなる方向に移動し、スライドブロック100に結合されることが好ましい。これによって、図9図6とを比較すると、第1ベアリングモジュール200a及び第2ベアリングモジュール200bが、それぞれA方向及びB方向に沿って移動し、スライドブロック100の上部面110から上方へと若干突出して、スライドブロック100と結合していることが分かる。
【0045】
一実施形態において、このようにスライドブロック100に対するベアリングモジュール200の締結の高さを調整するために、ウォッシャー250を用いてもよい。例えば、図6の場合、第1厚さのウォッシャー250を介在させてスライドブロック100にベアリングモジュール200を締結したのだとすれば、図9の場合は、第1厚さよりも厚い第2厚さのウォッシャー250を使用することで、ベアリングモジュール200がスライドブロック100の上部面110の上方へと、より突出した状態で締結することができる。
【0046】
したがって、本発明の具体的な実施形態によると、様々な直径のスクリュー10、10を使用する場合であっても、スライドブロック100の形状や構造を変更する必要がなく、厚さの異なるウォッシャー250を用いてベアリングモジュール200の締結の高さを調整すればよいのであるため、1つのスライドブロック100でもって、様々なサイズのスクリュー10、10に使用することができる。また、ウォッシャー250の厚さが変わっても、ベアリングモジュール200が、スクリュー中心軸AXから放射状の方向(即ち、A方向及びB方向)に沿って高さが調整されるため、スライドブロック100の荷重が安定的にスクリュー10へと伝達されうる。
【0047】
図10は、一実施形態に係るベアリングの傾き方向を説明する図である。図10(a)を参照すると、スライドブロック100に3つのベアリングモジュール200を備え、第1~第3ベアリング230a,230b,230cがスクリュー10に接している。ここで、第1~第3ベアリング230a~230cが、全て同じ側(図面上で左側)へと倒れるように傾いて設けられており、スクリューねじ谷11の一方の傾斜面11aに接している。
【0048】
図10(b)は、代替案的な一実施形態を示すもので、スライドブロック100が3つのベアリングモジュール200a,200b,200cを備えており、そのうちの少なくとも一部のベアリングモジュールが図10(a)の場合とは反対の方向に設けられている。例えば、図示する実施形態において、第1及び第3ベアリング230a,230cは左側へと倒れるように傾いてスクリュー10の第1傾斜面11aと接し、第2ベアリング230bは、右側へと倒れるように傾いてスクリュー10の第2傾斜面11bと接していることが理解できる。
【0049】
図11は、一実施形態に係るスライドブロックの製造方法を概略的に示した。本発明のように、スライドブロック100をオープン型の湾曲形状のブロックで構成する場合、円柱又は円筒部材から簡単に加工でき、その加工が容易であることから加工時間を減らし得るという利点がある。
【0050】
まず、図11(a)に示す円筒部材300を準備する。円筒部材300は、その中心に長手方向(Z方向)の貫通孔305が形成されており、外周面310及び内周面320を有している。一実施形態において、円柱形状の母材を用いてもよく、この場合、円柱の母材の中心に貫通孔305を形成して、図11(a)に示すような円筒部材300を製造できる。
【0051】
その後、円筒部材300を長手方向(Z方向)に沿って垂直に切断し、図11(b)に示すような部材400(以下、「半円筒部材」という)を形成する。一実施形態において、円筒部材300の直径を含む切断面(中心軸を含む切断面)にて切断することで、円筒部材300を二等分して半円筒部材400を形成してもよい。代替的に、直径を含まない任意の切断面にて切断してもよい。
【0052】
図11(a)に示す円筒部材300の外周面310及び内周面320が、それぞれ図11(b)に示す半円筒部材400における外周面410及び内周面420となっている。その後、半円筒部材400をミーリング加工し、図11(c)に示すようなスライド部材100を製造することができる。例えば、半円筒部材400の角を面取り加工し、複数のモジュール収容部130及びボルト穴115,132などを形成することでスライドブロック100を製造してもよい。ここで、一実施形態において、図1を参照して説明したように、スライドブロック100の長手方向に平行であって互いに離隔した少なくとも2つの列D1、D2に沿って、各列D1、D2に少なくとも1つずつのベアリングモジュール収容部130を形成してもよい。また、図6を参照して説明したように、モジュール収容部130の貫通方向を、外周面410又は内周面420の曲率の中心点に向かう方向とするようにして、モジュール収容部130を形成することができる。
【0053】
半円筒部材400からスライドブロック100を加工することで、それぞれの半円筒部材400の外周面410及び内周面420が、それぞれスライドブロック100の上部面110及び下部面120となっていることが理解できるであろう。また、必要に応じて、外周面410又は内周面420を加工してスライドブロック100の厚さ(即ち、上部面110と下部面120との間の距離)を調整することもできる。
【0054】
このように円柱の母材又は円筒状の母材300から本発明の一実施形態に係るスライドブロック100を製造する場合、上部面110及び下部面120に対する曲面加工を行わなくても、スクリュー10を部分的に取り囲む湾曲型ブロックを形成し得るため、加工が容易で加工時間を短縮することができる。
【0055】
図12は、スライドブロックの形状についての様々な実施形態を説明する一連の図である。
【0056】
図12(a)は、図11(c)に示すスライドブロック100の正面図を示し、第1ベアリング230aと第2ベアリング230bを点線で概略的に示す。円柱の母材又は円筒状の母材300からスライドブロック100を製造したため、上部面110と下部面120に対して別途に加工しないが、図示するようにスクリュー10を部分的に取り囲む湾曲形状を有する。
【0057】
スクリューの中心軸AXから、第1ベアリング230aとスクリュー10の表面との接点を通って延長した方向をA方向、そして、スクリューの中心軸AXから、第2ベアリング230bとスクリュー10の表面との接点を通って延長した方向をB方向とするならば、A方向及びB方向が所定の角度θ2をなすように、モジュール収容部130が形成されている。また、スライドブロック100に対するベアリングモジュール200の取り付けの高さを調整するために、ベアリングモジュール200が、それぞれA方向及びB方向に沿って動くようにモジュール収容部130が構成されることが好ましい。
【0058】
図12(b)は、代替案的な一実施形態に係るスライドブロック100の正面図であり、図示するように、上部面110’に追加的な加工を行うことで、1以上の平坦な面を形成してもよい。また、図面に図示していないが、下部面120にも追加の加工を行うことで1以上の平坦な面を形成してもよい。
【0059】
図12(c)のスライドブロック100は、図12(a)及び図12(b)と比較してスクリュー10をより広い角度範囲で取り囲むように構成されている。この場合、スクリューの中心軸AXを中心に放射状の3つ以上の方向にベアリングモジュール200を配置してもよい。例えば、図12(c)において、A方向、B方向、及びC方向にモジュール収容部130を形成するようにしてベアリングモジュール200を取り付けてもよく、そのため、第1~第3ベアリング230a,230b,230cが、それぞれ異なる方向にてスクリュー10の中心軸AXへと向かうようにしてスクリュー10の表面と接触してもよい。ここで、A方向とB方向との間の角度θ3は、図12(a)における角度θ2と同一であるか、より大きくてもよく、180°よりも小さくてもよい。
【0060】
図13図17を参照して、上述した実施形態のスライドブロック10を備えるスライドブロックアセンブリについて説明する。
【0061】
図13は、一実施形態に係るスライドブロックアセンブリ500及びレールアセンブリ600の斜視図であり、図14は、スライドブロックアセンブリ500を下方から見た斜視図である。図13及び図14を参照すると、一実施形態に係るスライドブロックアセンブリ500は、1以上のスライドブロック100を含み、レールアセンブリ600に取り付けられてスクリュー10の回転によってスライド式に往復運動する。
【0062】
図示する実施形態において、スライドブロックアセンブリ(以下では簡単に「ブロックアセンブリ」ともいう)500は、スクリュー10の長手方向に直列に配置されている2つのスライドブロック100A,100Bを含む。第1スライドブロック100A及び第2スライドブロック100Bのそれぞれは、図1図12を参照して説明したスライドブロック100と同一又は類似の構成を有してもよい。
【0063】
一実施形態において、ブロックアセンブリ500は、板材状のアセンブリフレーム510を備え、第1及び第2スライドブロック100A,100Bがアセンブリフレーム510に、長手方向に整列して取り付けられている。図14に示すように、ブロックアセンブリ500の下部に、複数のガイドベアリング520が備え付けられてもよい。ガイドベアリング520は、後述するレールアセンブリ600のガイドレール20に噛み合わされて、ガイドレール20に沿ってスライド可能に構成されてもよい。
【0064】
第1スライドブロック100Aに備え付けられたベアリングモジュール200のベアリング230は、スクリュー10の長手方向(Z方向)における第1の向き(例えば図16の手前側)へと倒れ込むように傾いて設置され、第2スライドブロック100Bに設けられたベアリングモジュール200のベアリング230は、スクリュー10、長さ方向(Z方向)における第2の向き(例えば図16の奥側)へと倒れ込むように傾いて設置される。したがって、第1スライドブロック100Aのベアリング230は、スクリューねじ谷11の第1斜面(例えば、図7~8及び10の「11a」)と接して支持され、第2スライドブロック100Bのベアリング230は、スクリューねじ谷11の第2斜面(例えば、図7~8及び10の「11b」)と接して支持されているということが理解できるのであろう。
【0065】
図15は、スライドブロックアセンブリ500におけるスライドブロック100A,100Bとアセンブリフレーム510との結合関係を示す分解斜視図である。図15を参照すると、アセンブリフレーム510は、第1及び第2スライドブロック100A,100Bをそれぞれ収容できるブロック収容部511a,511bを備える。第1ブロック収容部511aは、第1スライドブロック100Aを少なくとも部分的に収容して固定させ、第2ブロック収容部511bは、第2スライドブロック100Bを少なくとも部分的に収容して固定させることができる。
【0066】
アセンブリフレーム510は、第1及び第2ブロック収容部511a,511bの周辺に形成されている1つ以上のボルト穴513を含む。ボルト穴513のそれぞれは、スライドブロック100A,100Bのボルト穴115に対応する位置に形成されており、したがって、ボルト530を用いてスライドブロック100A,100Bをアセンブリフレーム510に締結することができる。
【0067】
一実施形態において、アセンブリフレーム510は、前面及び後面にそれぞれ形成されている1つ以上の調整ボルト穴515をさらに含んでもよい。調整ボルト穴515を貫通した調整ボルト540は、スライドブロック100A,100Bの前面又は後面に接し、各調整ボルト穴515に挟まれる調整ボルト540の挿入の程度を調整して、アセンブリフレーム510に対するスライドブロック100A,100Bの長手方向(Z方向)の位置を微細に調整することができる。そのため、例えば、各ブロック収容部511a,511b内でスライドブロック100A,100Bが長手方向に一定の範囲内で移動できるように遊び(隙間)が存在し、また、スライドブロック100のボルト穴115及びアセンブリフレーム510のボルト穴513のうち少なくとも1つが、例えば、長孔形状の断面を有することによって長手方向に遊隙を有し得る。
【0068】
したがって、第1スライドブロック100Aを第1ブロック収容部511aに載置させてボルト530を用いて第1スライドブロック100Aを一次的に緩く固定させ、その後、調整ボルト540の挿入の程度を調整して、アセンブリフレーム510に対する第1スライドブロック100Aの長手方向の位置を微細に調整することで、スライドブロック100A,100Bの各ベアリング230について、スクリューねじ谷11の傾斜面11a又は11bに適正な予圧で接触するように位置させるようにしてから、ボルト530を完全に締結することで、スライドブロック100A,100Bをアセンブリフレーム510に固定させることができる。
【0069】
このような本発明の構成によれば、スライドブロック100A,100Bの位置を長手方向に微細に調整する調整ボルト540を使用することで、ブロックアセンブリ500の最初の組立時のみならず、ブロックアセンブリ500の使用中にも、ベアリング230の外周面230aとねじ谷11との間の予圧が適正範囲から逸脱した際に予圧の調整を容易にできるため、動力損失なしにスクリュー10の回転運動をブロックアセンブリ500の直線往復運動に切り替えることができる。
【0070】
図16は、一実施形態に係るスライドブロックアセンブリ及びレールアセンブリの正面図を概略的に示した。図16を参照すると、スクリュー10が、レールアセンブリ600のフレーム610に回転自在に支持されている。例えば、フレーム610がスクリュー10の両端を回転自在に支持する支持部(図示せず)を備え、スクリュー10の一端が駆動モータ(図示せず)に結合して回転することができる。
【0071】
フレーム610の幅方向の両側に、ガイドレール20が長手方向に配置されてもよい。ガイドレール20は、ブロックアセンブリ500の下方に設置されたガイドベアリング520と噛み合い得るのであり、これによって、ブロックアセンブリ500がレールアセンブリ600に堅固に結合された状態で長手方向にスライドできる。
【0072】
スクリュー10の下側には、スクリュー10と接触してスクリューを支持するサポートベアリング30が設置される。サポートベアリング30は、スクリュー10の外周面の周りのうちの、メインベアリング230と干渉しない領域にてスクリュー10と接触して支持するように構成され、したがって、ブロックアセンブリ500の移動に干渉を与えない。
【0073】
サポートベアリング30は、スクリュー10の長手方向に沿って1つ以上設置されてもよい。例えば、スクリュー10の長手方向に沿って一定間隔ごとに設置することができるのであり、スクリュー10の長さが長くなっても、一定の間隔ごとにサポートベアリング30を設置することでスクリュー10の曲げを防止でき、スクリュー10の長さが制限されないという利点がある。
【0074】
図17は、代替案的な一実施形態に係るスライドブロックアセンブリ及びレールアセンブリの正面図である。図17に示す代替案的な一実施形態において、ブロックアセンブリ500’及びレールアセンブリ600’は、ガイドレール(図16に示す20)及びガイドベアリング(図16に示す520)の代わりにLMガイド構造を使用した。例えば、図17において、ブロックアセンブリ500’が、幅方向における下方両側に1つ以上のLMガイド550を備え、レールアセンブリ600’は各LMガイド550に噛み合う1つ以上のLMガイドレール620を備えてもよい。このように、図16及び図17に示すように、周知の様々なガイド方式の1つを用いてレールアセンブリ600、600’がブロックアセンブリ500、500’をガイドできるということを理解すべきであろう。
【0075】
上述したように、本発明の属する分野で通常の知識を有する者であれば、このような明細書の記載ら様々な修正及び変形が可能であることが理解できる。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態に限定されて決定されることなく、後述する特許請求の範囲のみならずこの特許請求の範囲と均等のものなどによって決定されなければならない。
【0076】
好ましい一実施形態において、直線駆動装置であるボールスクリュー(ボールねじ)は、図13に示すように、スパイラル状に延びるねじ谷11を有するスクリュー10と、スクリュー10の側方の一方(以下、上方という)からスクリュー10に組み付けられるスライドブロック100と、スライドブロック100が嵌め込まれて保持されるアセンブリフレーム510と、スクリュー10の側方の他方(以下、下方という)からアセンブリフレーム510に対して互いにスライド(摺動)可能に組付けられる長尺状のレールアセンブリ600とを備える。レールアセンブリ600の中央上部に備えられるボールベアリング30が、下方側から、スクリュー10のねじ谷11に組み付けられる。アセンブリフレーム510と、レールアセンブリ600とは、スクリュー10の両側(左右)にて、一連のガイドベアリング520、またはリニアガイド(直線案内用ベアリング)などにより、互いにスライド可能に組付けられている。
【0077】
ここで、スライドブロック100は、断面が円弧状に延びるシェル状でブロック状の形材からなり、ベアリングモジュール200をそれぞれ嵌め込むための貫通孔としてのモジュール収容部130が備えられる。モジュール収容部130は、スライドブロック100がなす円弧状における半径方向に延びる円形状の孔である。ベアリングモジュール200は、図4に示す具体例において、円形ドーム状のモジュール本体210と、その下部の片側から下方へと延びる、側方から見て直角台形状の下方突出部220と、この下方突出部220の傾斜面225に取り付けられるボールベアリング230と、スライドブロック100の径方向にモジュール本体210を貫通する一対のボルト穴211とを備える。ベアリングモジュール200の下方突出部220を左右から挟むように、各モジュール収容部130には、一対の段部131が備えられる。各段部131には、ボルト穴132が備えられ、ボルト240によりベアリングモジュール200がスライドブロック100の本体に締結される。ボールスクリューが組み立てられた状態では、図6に示すように、ベアリングモジュール200の中心軸線は、スクリュー10の中心軸を通る。
【0078】
そして、図7~8に示すように、各ベアリングモジュール200のボールベアリング230は、上記の構造により適切に位置決めされることで、外輪が、スクリュー10のねじ谷11における一方の傾斜面11aに突き合わされる。図1~2及び6などに示すように、ベアリングモジュール200のボールベアリング230は、アセンブリフレーム510に直角の方向(上下方向)から傾斜した方向から、スクリュー10のねじ谷11に組みつけられ得る。この際、前後方向に配列される複数のベアリングモジュール200の中心軸線は、図12に示すように、左右に同じ角度だけ傾斜するとともに、傾斜の向きが、互い違いになるようにすることができる。また、図10に示すように、左右方向に互いに別の方向からスクリュー10に組みつけられる、ベアリングモジュール200のボールベアリング230は、前後方向にも互いに別の方向に傾斜している。そのため、一のベアリングモジュール200のボールベアリング230が、左側から、スクリュー10のねじ谷11の前方の傾斜面11aに突き合わされる場合、その隣の一のベアリングモジュール200のボールベアリング230は、右側から、スクリュー10のねじ谷11の後方の傾斜面11bに突き合わされる。
【0079】
また、アセンブリフレーム510には、アセンブリフレーム510に対するスライドブロック100の前後方向(スクリュー10の軸方向)の位置を調製する調整ボルト540が備えられる。このために、スライドブロック100の収容部511a,511bには、ある程度の遊びが備えられる。この調整ボルト540を用いて、ベアリングモジュール200のボールベアリング230外輪が、非駆動時に、スクリュー10のねじ谷11の傾斜面11a,11bに押し付けられる予圧を容易に調整することができる。
【符号の説明】
【0080】
10:スクリュー
20:ガイドレール
30:サポートベアリング
100:スライドブロック
130:モジュール収容部
200:ベアリングモジュール
230:ベアリング
250:ウォッシャー
300:円筒部材
400:半円筒部材
500:スライドブロックアセンブリ
600:レールアセンブリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17