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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042504
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】レーザマーキング装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20230317BHJP
   B23K 26/02 20140101ALI20230317BHJP
【FI】
B23K26/00 B
B23K26/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2021215003
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴章
(72)【発明者】
【氏名】安藤 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】船橋 駿斗
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 博三
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA00
4E168CA06
4E168CB04
4E168CB19
4E168CB22
4E168DA04
4E168EA15
4E168JA17
4E168JA27
(57)【要約】
【課題】位置合わせ用マークが付されたワークをマーキング対象としたレーザマーキング装置において、その使い勝手を向上させる。
【解決手段】レーザマーキング装置Lは、印字パターンPpおよびトリガーディレイOfを設定する設定部103と、位置合わせ用マークMrが検出される度にトリガ信号を受信する第2IF部107と、そのトリガ信号に対応したワーク要素Weの移動量がトリガーディレイOfに達したか否かを判定する移動量監視部110と、移動量監視部110による判定結果に基づいてレーザ光走査部3を制御するマーキング制御部109と、を備え、設定部103は、可撓性ワークWにおける位置合わせ用マークMrとトリガーディレイOfを視覚的に示す設定支援画像Paを表示部102に表示させるとともに、該設定支援画像Paを表示させた状態で、トリガーディレイOfを設定するためのユーザ入力を受け付ける。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に沿って位置合わせ用マークが等間隔で付されたシート状の可撓性ワークに対し、レーザ光を用いたマーキングを行うレーザマーキング装置であって、
レーザ光を生成するレーザ光生成部と、
前記レーザ光生成部により生成されたレーザ光を前記可撓性ワークの表面上で走査するレーザ光走査部と、
前記可撓性ワークにマーキングされるべき印字パターン、および、所定のトリガ信号を受信したときの、前記レーザ光走査部によるレーザ光の照射範囲から前記可撓性ワークにおける前記印字パターンのマーキング開始位置までのオフセット量を設定する設定部と、
前記可撓性ワークの搬送に際して前記位置合わせ用マークが検出される度に、前記トリガ信号を受信するインターフェース部と、
前記インターフェース部がトリガ信号を受信する度に、該トリガ信号に対応した可撓性ワークの移動量が前記オフセット量に達したか否かを判定する移動量監視部と、
前記インターフェース部がトリガ信号を受信した場合に、前記移動量監視部による判定結果に基づいて、前記設定部により設定された印字パターンが前記可撓性ワークにマーキングされるように、前記レーザ光走査部を制御するマーキング制御部と、を備え、
前記設定部は、前記可撓性ワークにおける前記位置合わせ用マークと前記オフセット量を視覚的に示す設定支援画像を表示部に表示させるとともに、該設定支援画像を表示させた状態で、前記オフセット量を設定するためのユーザ入力を受け付けるように構成されている
ことを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたレーザマーキング装置において、
前記設定支援画像として、互いに異なる複数の設定支援画像のうちの一を前記表示部に表示し、
前記設定部は、前記複数の設定支援画像のうち、前記レーザマーキング装置の姿勢に対応した設定支援画像を表示する
ことを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたレーザマーキング装置において、
前記設定部は、前記レーザマーキング装置の姿勢を示すユーザ入力を受け付けるとともに、前記複数の設定支援画像の中から、該ユーザ入力が示す姿勢に対応した設定支援画像を表示する
ことを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載されたレーザマーキング装置において、
前記設定部は、前記複数の設定支援画像として、一の設定支援画像を90°ずつ、45°ずつまたは30°ずつ回転させた画像を前記表示部に表示させる
ことを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載されたレーザマーキング装置において、
前記設定支援画像はさらに、前記位置合わせ用マークを検出するセンサと、前記レーザマーキング装置との間の距離を視覚的に示しており、
前記設定部は、前記設定支援画像が示す距離の入力を受け付けるように構成されている
ことを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載されたレーザマーキング装置において、
前記設定支援画像はさらに、
前記照射範囲におけるマーキングの開始位置と、
前記照射範囲におけるマーキングの終了位置と、を視覚的に示しており、
前記設定部は、前記開始位置および前記終了位置の入力を受け付けるように構成されている
ことを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載されたレーザマーキング装置において、
前記設定部は、
前記設定支援画像を視覚的に示した第1の設定画面と、
前記レーザ光走査部による走査速度を含んだ印字品質の入力を受け付ける第2の設定画面と、の間で前記表示部における表示内容を切替可能に構成されている
ことを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載されたレーザマーキング装置において、
前記可撓性ワークの搬送速度に応じたパルス信号を出力するエンコーダに対し、該パルス信号を受信可能に接続された第2のインターフェース部を備え、
前記設定部は、前記第2のインターフェース部を介して入力されたパルス信号に基づいて、前記可撓性ワークが所定距離移動する際に出力されるパルス数を算出する
ことを特徴とするレーザマーキング装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載されたレーザマーキング装置において、
前記設定部は、前記インターフェース部によるトリガ信号の受信間隔と、前記搬送方向における前記照射領域の長さと、前記可撓性ワークに対するマーキングに要するマーキング時間と、に基づいて、所定時間あたりに実行可能なマーキング回数の上限値を算出する
ことを特徴とするレーザマーキング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザマーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、帯状フィルムの移動経路上にプリント装置を配置するとともに、このプリント装置によって帯状フィルムにプリントすることが開示されている。この帯状フィルムには、搬送方向に沿って所定間隔毎にレジマークが付されており、このレジマークをセンサによって検知することで、帯状フィルムの現在位置を装置に認識させるようになっている。帯状フィルムの位置合わせを行うことで、同フィルム中の所望の位置にプリントを行うことができる。
【0003】
すなわち、前記特許文献1に係るレジマークは、プリントに際して帯状フィルムを位置合わせするための、いわば“位置合わせ用マーク”として機能することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-212222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に記載されているような位置合わせ用マークが検知された際に、帯状フィルムのどの位置に印字するかの判定は、前記プリント装置にトリガ信号が送られるタイミングを通じて調整される。
【0006】
例えば、位置合わせ用マークが検知され次第、ただちにトリガ信号を出力するように調整することで、可能な限り速やかに印字を行うことが可能になる。あるいは、位置合わせ用マークが検知された後、帯状フィルムが一定距離にわたって移動されるのを待ってトリガ信号を出力するように調整することで、印字タイミングを遅らせることが可能になる。
【0007】
しかしながら、このような調整は、熟練したユーザであっても試行錯誤を要するものであり、装置の使い勝手に欠けるという問題があった。このような問題は、前記特許文献1に開示されているようなプリント装置に限らず、シート状の可撓性ワークにマーキングするように構成された、いわゆるレーザマーキング装置においても共通である。
【0008】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、位置合わせ用マークが付されたワークをマーキング対象としたレーザマーキング装置において、その使い勝手を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様は、搬送方向に沿って位置合わせ用マークが等間隔で付されたシート状の可撓性ワークに対し、レーザ光を用いたマーキングを行うレーザマーキング装置に係る。このレーザマーキング装置は、レーザ光を生成するレーザ光生成部と、前記レーザ光生成部により生成されたレーザ光を前記可撓性ワークの表面上で走査するレーザ光走査部と、前記可撓性ワークにマーキングされるべき印字パターン、および、所定のトリガ信号を受信したときの、前記レーザ光走査部によるレーザ光の照射範囲から前記可撓性ワークにおける前記印字パターンのマーキング開始位置までのオフセット量を設定する設定部と、前記可撓性ワークの搬送に際して前記位置合わせ用マークが検出される度に、前記トリガ信号を受信するインターフェース部と、前記インターフェース部がトリガ信号を受信する度に、該トリガ信号に対応した可撓性ワークの移動量が前記オフセット量に達したか否かを判定する移動量監視部と、前記インターフェース部がトリガ信号を受信した場合に、前記移動量監視部による判定結果に基づいて、前記設定部により設定された印字パターンが前記可撓性ワークにマーキングされるように、前記レーザ光走査部を制御するマーキング制御部と、を備える。
【0010】
そして、前記第1の態様によれば、前記設定部は、前記可撓性ワークにおける前記位置合わせ用マークと前記オフセット量を視覚的に示す設定支援画像を表示部に表示させるとともに、該設定支援画像を表示させた状態で、前記オフセット量を設定するためのユーザ入力を受け付けるように構成されている。
【0011】
ここで、「オフセット量」は、ユーザが直に入力するように構成してもよいし、ユーザに他のパラメータを入力させるとともに、該他のパラメータに基づいて設定部が算出するように構成してもよい。
【0012】
前記第1の態様によると、レーザマーキング装置は、ワークの移動量がオフセット量に達したときにマーキングを開始する。ここで、表示部上に設定支援画像を表示させることで、不慣れなユーザであっても、その設定支援画像を参照してオフセット量を容易に設定することができる。これにより、レーザマーキング装置の使い勝手を向上させることができる。
【0013】
また、本開示の第2の態様によれば、前記レーザマーキング装置は、前記設定支援画像として、互いに異なる複数の設定支援画像のうちの一を前記表示部に表示し、前記設定部は、前記複数の設定支援画像のうち、前記レーザマーキング装置の姿勢に対応した設定支援画像を表示する、としてもよい。
【0014】
前記第2の態様によると、レーザマーキング装置の設置状況に応じた設定支援画像を表示させることができ、そのことで、レーザマーキング装置の使い勝手をさらに向上させることができる。
【0015】
また、本開示の第3の態様によれば、前記設定部は、前記レーザマーキング装置の姿勢を示すユーザ入力を受け付けるとともに、前記複数の設定支援画像の中から、該ユーザ入力が示す姿勢に対応した設定支援画像を表示する、としてもよい。
【0016】
前記第3の態様によると、レーザマーキング装置の姿勢を入力可能に構成するとともに、その入力内容に応じた設定支援画像を表示することができ、レーザマーキング装置の使い勝手をさらに向上させることができる。
【0017】
また、本開示の第4の態様によれば、前記設定部は、前記複数の設定支援画像として、一の設定支援画像を90°ずつ、45°ずつまたは30°ずつ回転させた画像を前記表示部に表示させる、としてもよい。
【0018】
前記第4の態様によると、複数枚の設定支援画像を用意する代わりに、一枚の設定支援画像を90°、180°または270°回転させて表示することになる。これにより、レーザマーキング装置の姿勢に応じた画像をより容易に表示することが可能となる。
【0019】
また、本開示の第5の態様によれば、前記設定支援画像はさらに、前記位置合わせ用マークを検出するセンサと、前記レーザマーキング装置との間の距離を視覚的に示しており、前記設定部は、前記設定支援画像が示す距離の入力を受け付けるように構成されている、としてもよい。
【0020】
前記第5の態様によると、オフセット量の入力を直に受け付ける代わりに、前記距離の入力を受け付けるように構成される。この距離の大きさは、定規等を用いて計測することができる。そのため、前記第5の態様に係る構成は、レーザマーキング装置の使い勝手の向上に資する。
【0021】
また、本開示の第6の態様によれば、前記設定支援画像はさらに、前記照射範囲におけるマーキングの開始位置と、前記照射範囲におけるマーキングの終了位置と、を視覚的に示しており、前記設定部は、前記開始位置および前記終了位置の入力を受け付けるように構成されている、としてもよい。
【0022】
前記第6の態様によると、前記オフセット量のみならず、より詳細な設定を行うことができる。例えばマーキングの開始位置を照射範囲の中央部に近接させることで、その開始位置を照射範囲の縁部に設定した場合と比べて、印字品質を向上させることができる。このように、より詳細な設定を許容するように構成することで、よりバリエーションに富んだ設定を実現可能とし、ひいてはレーザマーキング装置の使い勝手を向上させる上で有利になる。
【0023】
また、本開示の第7の態様によれば、前記設定部は、前記設定支援画像を視覚的に示した第1の設定画面と、前記レーザ光走査部による走査速度を含んだ印字品質の入力を受け付ける第2の設定画面と、の間で前記表示部における表示内容を切替可能に構成されている、としてもよい。
【0024】
また、本開示の第8の態様によれば、前記レーザマーキング装置は、前記可撓性ワークの搬送速度に応じたパルス信号を出力するエンコーダに対し、該パルス信号を受信可能に接続された第2のインターフェース部を備え、前記設定部は、前記第2のインターフェース部を介して入力されたパルス信号に基づいて、前記可撓性ワークが所定距離移動する際に出力されるパルス数を算出する、としてもよい。
【0025】
また、本開示の第9の態様によれば、前記設定部は、前記インターフェース部によるトリガ信号の受信間隔と、前記搬送方向における前記照射領域の長さと、前記可撓性ワークに対するマーキングに要するマーキング時間と、に基づいて、所定時間あたりに実行可能なマーキング回数の上限値を算出する、としてもよい。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本開示によれば、位置合わせ用マークが付されたワークにマーキングするように構成されたレーザマーキング装置において、その使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、レーザマーキングシステムの全体構成を例示する図である。
図2図2は、レーザマーキング装置の概略構成を例示するブロック図である。
図3図3は、印刷装置とマーカヘッドとの置換について説明するための図である。
図4図4は、印字ブロックおよびその変更規則を説明するための図である。
図5A図5Aは、表示部の画面遷移について説明するための図である。
図5B図5Bは、表示部の画面遷移について説明するための図である。
図5C図5Cは、表示部の画面遷移について説明するための図である。
図6図6は、トリガーディレイについて説明するための図である。
図7図7は、レーザマーキングシステムの運転時に行われる処理を例示するフローチャートである。
図8図8は、印字ジョブの作成に関する処理を例示するフローチャートである。
図9図9は、印字ジョブの切替に関する処理を例示するフローチャートである。
図10図10は、印字ジョブの運転に関する処理を例示するフローチャートである。
図11図11は、ホーム画面の表示態様を例示する図である。
図12図12は、ジョブメニュー画面の表示態様を例示する図である。
図13図13は、ブロック選択画面の表示態様を例示する図である。
図14図14は、ジョブ編集画面の表示態様を例示する図である。
図15図15は、詳細設定画面の表示態様を例示する図である。
図16図16は、ジョブ情報設定画面の表示態様を例示する図である。
図17図17は、ジョブ情報設定画面の表示態様を例示する図である。
図18図18は、ジョブ情報設定画面の表示態様を例示する図である。
図19図19は、パルス入力数を算出するためのユーザインターフェースを例示する図である。
図20図20は、設定支援画像の切替について説明するための図である。
図21図21は、設定支援画像の回転について説明するための図である。
図22A図22Aは、文字列の向きの切替について説明するための図である。
図22B図22Bは、文字列の向きの切替について説明するための図である。
図23図23は、第2のジョブ情報設定画面の表示態様を例示する図である。
図24図24は、印字テスト画面の表示態様を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
【0029】
すなわち、本実施形態では、レーザ光を用いたマーキングの代表例として印字加工(以下、「マーキング」と呼称したり、「印字」と呼称したり、単に「加工」と呼称したりする)について説明するが、本開示は、図形のマーキング等、複数の走査線からなる任意のマーキングに適用することができる。
【0030】
<全体構成>
図1は、レーザマーキングシステムSの全体構成を例示する図であり、図2は、レーザマーキングシステムSにおけるレーザマーキング装置Lの概略構成を例示する図である。また、図3は、印刷装置1001とマーカヘッド1との置換について説明するための図である。
【0031】
図1に例示されるレーザマーキングシステムSは、レーザマーキング装置Lと、これに接続される外部機器400と、レーザマーキング装置Lが取り付けられるとともにワークWを搬送する加工設備500と、を備えている。このうち、図1および図2に例示されるレーザマーキング装置Lは、所定の照射エリアR1に向けてレーザ光を照射するとともに、該レーザ光をワークWの表面上で走査する。
【0032】
前述のようにレーザ光を走査することで、このレーザマーキング装置Lは、シート状の可撓性ワークWに対し、レーザ光を用いたマーキングを行うことができる(以下、「可撓性ワーク」を単にワークという)。なお、このマーキングは、事前に設定された印字パターンPp、印字ジョブPbおよび印字ジョブPjに対応して行われるようになっている。
【0033】
なお、ここでいう照射エリアR1とは、ワークWの表面上に設定される領域であり、表示部102上の設定平面R2に予め対応づけられた印字面に相当する領域である。印字面としての照射エリアR1は、レーザマーキング装置LとワークWとの相対的な位置関係、レーザマーキング装置Lの仕様、ワークWの移動経路等に応じて、種々の形態を取り得る。例えば、2次元平面に沿って移動するワークWの照射エリアR1は、その移動経路に沿った平面となる。一方、3次元空間内を移動するワークWの照射エリアR1は、その移動経路に沿った曲面となり得る。
【0034】
また、以下の記載における印字パターンPpには、ワークWにマーキングされるべき文字のパターンに加え、「:」、「×」、バーコードやQRコード(登録商標)等、ワークWにマーキングされるべき図形のパターンが含まれる。
【0035】
特に、本実施形態に係るレーザマーキング装置Lは、ワークWを加工するためのレーザ光として、350nm付近の波長を有するレーザ光を出射することができる。この波長は、紫外線の波長域に含まれる。そのため、以下の記載では、ワークWを加工するためのレーザ光を「UVレーザ光」と呼称して、近赤外線等、他のレーザ光と区別する場合がある。
【0036】
以下、シート状のフィルムによって構成されたワーク(前述の「可撓性ワーク」)Wをマーキング対象とし、かつ、そのフィルムにUVレーザ光と化学反応するUV反応層(不図示)が含有された場合について説明する。
【0037】
なお、本開示におけるワークWは、プラスチック製のフィルムによって構成してもよいし、アルミ層を含んだフィルムによって構成してもよいし、アルミ蒸着層を含んだフィルムによって構成してもよいし、紙層を含んだフィルムによって構成してもよい。種々の素材からなるフィルムによってワークWを構成することができる。また、ワークWを構成するフィルムは、三層構造を有していてもよいし、三層以上の多層構造を有していてもよい。
【0038】
また、図1に示すように、本実施形態に係るワークWは、所定の搬送方向Atに沿って複数のワーク要素Weを並べてなる。各ワーク要素Weは、搬送方向Atに沿って一体的に繋がっていてもよいし、搬送方向Atに間隔を空けて配置してもよい。各ワーク要素Weには、それぞれ、レーザマーキング装置Lによって個別にマーキングが施されるようになっている。ワーク要素Weは、ワークW表面上に設定されかつ搬送方向Atに沿って等間隔で並んだ複数の被加工領域、または、非印字領域と言い換えることもできる。
【0039】
ここで、複数のワーク要素Weのそれぞれに対して同様のマーキングを施すために、マーカヘッド1に対する各ワーク要素Weの相対位置を都度検知することが考えられる。そのために、ワークWの表面には、搬送方向に沿って等間隔で位置合わせ用マークMrが付されている。各位置合わせ用マークMrは、図1に示すように、搬送方向Atに並んだワーク要素Weの間の部位に付してもよい。あるいは、各位置合わせ用マークMrは、各ワーク要素Weの搬送幅方向一側(図1の+X側または-X側)に付してもよい(不図示)。
【0040】
また、本実施形態に係るレーザマーキング装置Lは、レーザ光を2次元走査することで、いわゆる2次元印字を行うように構成されているが、このレーザマーキング装置Lは従来品よりも焦点深度が深くなるように構成されているため、いわゆる3次元印字を行うこともできる。そのため、このレーザマーキング装置Lは、3次元的な移動経路に沿って搬送されるワークWさえもマーキング対象とすることができる。
【0041】
図1および図2に示すように、本実施形態に係るレーザマーキング装置Lは、マーカヘッド1と、マーカコントローラ100と、を備えている。マーカヘッド1およびマーカコントローラ100は、本実施形態においては互いに別体とされており、ケーブル200によって接続されている。本実施形態に係るケーブル200は、マーカコントローラ100の内部からマーカヘッド1に電力を伝送するための電気配線と、そうした電気配線と、アナログ信号、ディジタル信号等を送受するための信号配線と、の少なくとも一部を束ねることによって構成してもよい。
【0042】
(マーカコントローラ100)
マーカコントローラ100は、マーカヘッド1を制御するためのコントローラ本体100aと、ユーザによる各種入力を受け付けるユーザ端末100bと、を有している。
【0043】
このうち、コントローラ本体100aは、例えば印字パターンPpに関する設定にしたがってマーカヘッド1を制御することで、ワークW表面上でレーザ光を走査することができる。コントローラ本体100aは、そうした設定を記憶するための記憶装置120を有している。この記憶装置120は、揮発性メモリおよび/または非揮発性メモリを組み合わせてなる。
【0044】
例えば、コントローラ本体100aは、マーカヘッド1を制御するための機能的要素として、図2に例示するマーキング制御部109を備えている。このマーキング制御部109は、マーカヘッド1における後述のレーザ光生成部2およびレーザ光走査部3と電気的に接続されており、これらを制御することで、ワークWに対してレーザ光を用いたマーキングを行うことができる。コントローラ本体100aにおけるその他の細部については後述する。
【0045】
一方、ユーザ端末100bは、例えば中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)およびメモリを有しており、コントローラ本体100aに対し、有線または無線によって電気信号を送受可能に接続されている。
【0046】
特に、本実施形態に係るユーザ端末100bは、タッチパネル式のコンソールによって構成することができる。ユーザ端末100bは、コントローラ本体100aと別体に構成してもよいし、一体に構成してもよい。別体に構成する場合、タッチパネル式のコンソールの代わりに、タブレット端末、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ等によってユーザ端末を構成することができる。
【0047】
ユーザ端末100bは、種々の印字条件を設定するとともに、ワークWに対するマーキングに関連した情報をユーザに示すための端末として機能する。このユーザ端末100bは、ユーザに情報を表示するための表示部102と、ユーザによる操作入力を受け付ける操作部101と、種々の情報を記憶するための記憶装置(不図示)と、を備えている。なお、ユーザ端末100bは、種々の印字条件を設定するための印字設定装置と呼んでもよい。また、マーカヘッド1とマーカコントローラ100を纏めてレーザマーカと呼んでもよい。
【0048】
表示部102は、直交座標により規定された設定平面R2を表示することができる。この表示部102は、本実施形態における「表示手段」の例示である。また、図1に示すように、表示部102により表示された設定平面R2上には、マーキングされるべき文字(以下、「印字パターンPp」という)の入力を受け付ける入力インターフェースIuが配置される。この入力インターフェースIuは、設定平面R2の範囲を示す枠、設定平面R2上での印字パターンPpの位置を示す図形等のユーザインターフェースからなり、操作部101に対する操作入力に基づいて、印字パターンPpの入力を受け付けるとともに、受け付けた印字パターンPpの内容を設定平面R2上に表示することができる。
【0049】
具体的に、表示部102は、液晶ディスプレイ又は有機ELパネルによって構成することができる。ユーザ端末100bをコントローラ本体100aに組み込んだり、タッチパネル式のコンソールを用いたりした場合、コントローラ本体100aまたはコンソールに設けられた表示画面を表示部とすることができる。
【0050】
操作部101は、キーボード、ポインティングデバイスによって構成することができる。ポインティングデバイスには、マウス、ジョイスティック等が含まれる。ユーザ端末100bをコントローラ本体100aに組み込んだり、タッチパネル式のコンソールを用いたりした場合、コントローラ本体100aまたはコンソールに設けられたスイッチ、ボタン、あるいは、ディスプレイそのものを操作部とすることができる。
【0051】
前述のように構成されるユーザ端末100bは、ユーザによる操作入力に基づいて、マーキングにおける印字条件を設定することができる。この印字条件には、印字パターンPpの詳細に加え、レーザ光の目標出力(レーザパワー)およびワークW上でのレーザ光の走査速度(スキャンスピード)等が含まれる。
【0052】
ユーザ端末100bにより設定される印字条件は、コントローラ本体100aに出力されて、該コントローラ本体100aの記憶装置120に記憶される。必要に応じて、ユーザ端末100bの記憶装置に印字条件を記憶してもよい。
【0053】
(マーカヘッド1)
一方、マーカヘッド1は、マーカコントローラ100と電気的に接続されている。マーカヘッド1は、マーカコントローラ100と有線または無線で通信することができ、該マーカコントローラ100によって制御されることで、照射エリアR1に向けてUVレーザ光を出射することができる。
【0054】
本実施形態に係るマーカヘッド1は、シート状のフィルムにより構成されたワークWを加工対象とした加工設備500上に設置される。この加工設備500は、図3に示すように、マーカヘッド1を支持する支持部材501と、ワークWが巻き掛けられる搬送ローラ502と、を備える。
【0055】
このうち、支持部材501は、図3に示すように、レーザマーキング装置L、特にマーカヘッド1の筐体10を所定の被取付位置に取り付けることができる。図1および図3に示す支持部材501は、その構成の一例として、筐体10を上方から吊り下げることができる。
【0056】
一方、搬送ローラ502は、ワークWの短尺方向に延びる中心軸を有する円筒状に構成されている。この場合、ワークWは、搬送ローラ502の回転によって、所定の移動経路に沿って長尺方向に搬送されることになる。
【0057】
ここで、本実施形態に係る加工設備500は、図3の上図および下図に示すように、本実施形態に係るマーカヘッド1と、レーザ光によるマーキング以外の方式を用いて印刷する印刷装置1001と、の間で共有化されている。
【0058】
すなわち、本実施形態に係るマーカヘッド1は、印刷装置1001を取り付けるべく構成された加工設備500の支持部材501に対し、その印刷装置1001の代わりに取り付けることができるように構成されている。
【0059】
マーカヘッド1と置換可能な印刷装置1001としては、例えば熱転写式産業用サーマルプリンタ(Thermal Transfer Overprinter:TTO)が挙げられるが、他の印刷装置1001と置換することもできる。
【0060】
詳しくは、上述のように置換可能な印刷装置1001としては、例えば、ワークW上の印刷エリアに接触する印刷部1006を露出させてなる印刷面1010dと、該印刷面1010dと相違する一面であって、かつ支持部材501に接続可能な接続面1010uと、を備える略直方体状に構成された筐体1010を具備するものであればよい。
【0061】
この場合、図3の上図および下図に示すように、接続面1010uに接続可能な支持部材501によって、印刷装置1001と同様にマーカヘッド1が支持されることになる。そうして支持されたマーカヘッド1は、印刷エリア(印刷装置1001において印刷部1006と接触する領域)に対応して設定される照射エリアR1に向けてUVレーザ光を照射することで、ワークWに対してマーキングを行うことになる。
【0062】
また、本実施形態に係るレーザマーキング装置Lは、マーキング結果を撮像するための撮像装置92を備えた構成とされている。この撮像装置92は、マーカヘッド1の筐体10外面、または、筐体10内部に配置されており、ワークW表面を撮像することができる。この撮像装置92は、外部機器400の一をなす画像センサ404と電気的に接続されている。
【0063】
外部機器400は、必要に応じてマーカコントローラ100に接続される。図1および図2に示す例では、外部機器400は、エンコーダ401と、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller:PLC)402と、マーク検出センサ403と、前述した画像センサ404と、によって構成されている。これらの機器のうち、エンコーダ401は第1のインターフェース部106を介してマーカコントローラ100と接続されている。同様に、PLC402は第2のインターフェース部107を介してマーカコントローラ100と接続されており、マーク検出センサ403は第3のインターフェース部108を介してマーカコントローラ100と接続されている。図示は省略したが、いわば「第4のインターフェース部」を介して画像センサ404をマーカコントローラ100と接続してもよい。
【0064】
以下、第1のインターフェース部106、第2のインターフェース部107、および、第3のインターフェース部108を、それぞれ、第1IF部106、第2IF部107および第3IF部108と呼称する場合がある。
【0065】
エンコーダ401は、本実施形態ではロータリエンコーダによって構成されており、ワークWの搬送速度を検出することができる。エンコーダ401は、その検出結果を示す信号(検出信号)をマーカコントローラ100へ出力する。マーカコントローラ100は、エンコーダ401から入力された検出信号に基づいて、レーザ光の2次元走査等を制御する。
【0066】
図1に例示するように、ロータリエンコーダによって構成されたエンコーダ401は、搬送ローラ502の回転に伴って、自らのホイールを回転させるように配置されている。エンコーダ401は、そのホイールの回転をパルス信号(いわゆる「エンコーダパルス」)に変換して出力するように構成されている。
【0067】
ここで、搬送方向Atに沿ってワークWが単位距離にわたって移動する際に、エンコーダ401から出力されるパルス数(以下、「出力パルス数」という)は、搬送ローラ502の回転数に応じて増減することになる。エンコーダ401の出力パルス数は、搬送ローラ502の回転数、ひいてはワークWの搬送速度を特徴付けるものである。ワークWの搬送速度は、この出力パルス数を通じて検出することができる。
【0068】
PLC402は、例えばマイクロプロセッサによって構成されており、マーカコントローラ100に制御信号を入力することができる。PLC402は、予め定めたシーケンスに従ってレーザマーキングシステムSを制御するために用いられる。
【0069】
マーク検出センサ403は、例えば受光量型の光電センサ(いわゆるカラーセンサ)によって構成されており、ワークW表面に付された位置合わせ用マークMrの位置を検出することができる。マーク検出センサ403は、その検出信号を示す信号(トリガ信号)をマーカコントローラ100へ出力する。マーカコントローラ100は、マーク検出センサ403から入力されたトリガ信号に基づいて、マーキングの開始タイミング等を制御する。
【0070】
画像センサ404は、撮像装置92と電気的に接続されており、当該撮像装置92によって生成された画像信号が入力されるようになっている。画像センサ404は、入力された画像信号に基づいて、ワークW表面に加工された印字内容を検査する。その際、マーキングの形状、色、光沢等に基づいた検査を行ってもよいし、特に文字列をマーキングする場合にあっては、OCR(Optical Character Reader)を用いた検査を行ってもよい。
【0071】
画像センサ404による検査結果を示す信号は、PLC402およびマーカコントローラ100の少なくとも一方に入力することができる。PLC402および/またはマーカコントローラ100は、入力された信号に基づいて、加工設備500および/またはレーザマーキング装置Lの動作を制御することができる。
【0072】
なお、画像センサ404は、マーカコントローラ100に組み込んでもよい。言い換えると、撮像装置92とマーカコントローラ100とを直結することで、画像センサ404が行うべき機能をマーカコントローラ100に行わせることもできる。
【0073】
レーザマーキング装置Lには、上述した機器および装置以外にも、操作および制御を行うための装置、その他の各種処理を行うためのコンピュータ、記憶装置、周辺機器等を無線または有線で接続することができる。
【0074】
<マーカヘッド1>
図2に示すように、マーカヘッド1は、主たる構成要素として、レーザ光生成部2と、レーザ光走査部3と、を備えている。レーザ光生成部2は、マーカヘッド1の外部から供給される電力に基づいて、レーザ光(例えばUVレーザ光)を生成する。レーザ光走査部3は、レーザ光生成部2により生成されたレーザ光を所望の方向に反射することで、該レーザ光をワークWの表面上で走査する。
【0075】
マーカヘッド1はまた、前述した構成要素、すなわち、レーザ光生成部2とレーザ光走査部3を収容する筐体10を備えている。この筐体10には、レーザ光走査部3によって反射されたレーザ光を透過する出射窓4が形成されている。詳細は省略するが、この筐体10は、略直方体状の外形を有しており、出射窓4が形成された出射面10dと、該出射面10dと相違する一面であって、かつ支持部材501に接続可能な取付面10uと、を有している。取付面10uは、アタッチメント7を介して支持部材501に接続されている(図3を参照)。
【0076】
(レーザ光生成部2)
レーザ光生成部2は、ケーブル200を介して供給された電力に基づいて、該電力に応じた励起光を生成する。励起光を生成するための励起光源21は、例えばレーザダイオードとしてもよい。この励起光源21は、筐体10ではなくマーカコントローラ100に収容してもよい。その場合、レーザ光生成部は、その一部がマーカコントローラ100に収容され、その他部が筐体10に収容されることになる。
【0077】
レーザ光生成部2はまた、生成した励起光に基づいて基本波を生成する固体レーザ結晶22と、その基本波を変調することでUVレーザ光を生成する非線形光学結晶(不図示)と、を有している。
【0078】
固体レーザ結晶22としては、例えばロッド状のNd:YVO(イットリウム・バナデイト)を用いることができる。エンドポンピングによる1方向励起方式など、任意の方法で基本波を生成することができる。
【0079】
非線形光学結晶は、第2高調波を生成するための光学結晶、および第3高調波を生成するための光学結晶など、複数の光学結晶によって構成することができる。各光学結晶としては、種々の光学材料を用いることができる。
【0080】
(レーザ光走査部3)
レーザ光走査部3は、いわゆる2軸(X軸およびY軸)式のガルバノスキャナを用いて構成されており、Y方向にレーザ光を走査する第1スキャナ(不図示)と、X方向にレーザ光を走査する第2スキャナ(不図示)と、を有している。
【0081】
(レーザ光走査部3)
レーザ光走査部3は、いわゆる2軸(X軸およびY軸)式のガルバノスキャナを用いて構成されており、Y方向にレーザ光を走査する第1スキャナ(不図示)と、X方向にレーザ光を走査する第2スキャナ(不図示)と、を有している。
【0082】
レーザ光走査部3は、予め作成された印字データにしたがって第1スキャナおよび第2スキャナを駆動することで、照射エリアR1に向かって照射されるように、レーザ光生成部2によって生成されたレーザ光を偏光する。そうして偏向されたレーザ光は、出射窓4を透過して照射エリアR1に照射される。
【0083】
<マーカコントローラ100>
前述のように、マーカコントローラ100は、前述のユーザ端末100bに加えて、マーカヘッド1を制御するためのコントローラ本体100aを備えている。このコントローラ本体100aは、主たる構成要素として、設定部103と、受付部104と、表示制御部105と、前述の第1IF部106、第2IF部107および第3IF部108と、同じく前述したマーキング制御部109と、移動量監視部110と、を備えている。
【0084】
(設定部103)
設定部103は、操作部101を通じたユーザ入力に基づいて、マーキング制御部109によって各ワーク要素Weにマーキングされるべき文字列(印字パターンPp)と、その印字パターンPpの属性情報と、が対応付けられた印字ブロックPbを設定する。
【0085】
ここで、印字パターンPpの属性情報には、例えば、文字のフォント、フォントサイズ、文字の太さ、文字間隔、および、設定平面R2上で見た印字パターンPpの位置のうちの1つ以上が含まれる。
【0086】
具体的に、本実施形態に係る設定部103は、後述の図14等に示すように、表示部102上の設定平面R2に印字ブロックPbを表示すると同時に、その付近に印字ブロックPbの入力欄(例えば、図14の第14表示項目I14)、および、属性情報の入力欄(例えば、図14の第15表示項目I15~第19表示項目I19)を表示する。これらの入力欄には、タッチパネル操作、操作部101に対する入力等を通じて文字列・数値を入力することができ、そのユーザ入力を通じて、印字ブロックPbを設定することができるようになっている。
【0087】
ここで、設定部103は、例えば、製造年月日を示す第1の印字ブロックPb、ロット番号を示す第2の印字ブロックPb、および、製造工場を示す第3の印字ブロックPbといったように、一のワーク要素Weに対し行われるマーキングについて、複数の印字ブロックPbを設定することができる。
【0088】
複数の印字ブロックPbを設定可能とすることで、例えば製造年月日とロット番号とで文字のフォントを異ならせることが可能となり、よりバリエーションに富んだマーキングを実現することが可能になる。
【0089】
さらに、設定部103は、操作部101を通じたユーザ入力に基づいて、複数の印字ブロックPbを互いに関連付けて一括りにした印字ジョブPjを生成することができる(図4の上段を参照)。例えば、第1の印字ブロックPbと、第2の印字ブロックPbと、第3の印字ブロックPbとを一括りにした第1の印字ジョブPjを生成したり、第4の印字ブロックPbと、第5の印字ブロックPbとを一括りにした第2の印字ジョブPjを生成したりすることができる。なお、第1の印字ブロックPb~第5の印字ブロックPbといったナンバリングは例示にすぎない。任意の数の印字ブロックPbを一括りにすることで、印字ジョブPjを生成することができる。
【0090】
ここで、設定部103は、例えば、食品Aの小袋にマーキングされるべき印字ブロックPbを一括りにした第1の印字ジョブPj、食品Bの小袋にマーキングされるべき印字ブロックPbを一括りにした第2の印字ジョブPj、および、小袋以外の製品にマーキングされるべき印字ブロックPbを一括りにした第3の印字ジョブPjといったように、ワークWの種類、マーキングの用途等に応じて、複数の異なる印字ジョブPjを設定することができる。
【0091】
複数の印字ジョブPjを設定可能とすることで、例えばワークWの切替に際し、複数の印字ブロックPbの1つ1つを再設定せずとも、印字ジョブPjを切り替えるだけで、切替後のワークWに適したマーキングを行うことができる。印字ジョブPjを設定するためのユーザインターフェースの具体例は後述する。
【0092】
設定部103はまた、各印字ジョブPjを構成する複数の印字ブロックPbの各々について、各印字ブロックPbの設定変更を許可するか否かを規定した変更規則Clを設定することができる(図4の下段を参照)。この変更規則Clは、記憶装置120に記憶することができ、必要に応じて新規に作成したり、事前に作成されたものを上書き保存したりすることができるようになっている。
【0093】
変更規則Clを事前に設定しておくことで、例えば製造ラインのオペレータが印字ジョブPjを切り替えようとしたときに、製造年月日を示す印字ブロックPb等、その印字パターンPpが日々変動し得るものについては、その都度、設定変更させることができる。その一方で、製造工場を示す印字ブロックPb等、その印字パターンPpが原則不変となるものについては、設定変更させることなく、固定させることができる。
【0094】
変更規則Clの設定は、例えば、製造ラインの管理者等、所定の管理権限を有するユーザであることを条件として許可してもよい。この場合、製造ラインのオペレータ等、管理権限を有さないユーザは、変更規則Clの設定が許可されず、これを変更することができなくなる。
【0095】
その他、設定部103は、印字ジョブPjの属性情報(以下、「ジョブ情報」ともいう)として、ワークWの搬送速度、マーキングの開始タイミングを特徴付けるパラメータ等、文字列以外の情報を設定することもできる。
【0096】
例えば設定部103は、ジョブ情報として、例えば、所定のトリガ信号を受信したときの、レーザ光走査部3によるレーザ光の照射エリアR1から、各ワーク要素Weにおける印字パターンPpのマーキング開始位置までのオフセット量(いわゆる「トリガーディレイ」ともいう)Ofを設定することができる(図6を参照)。ここで、トリガ信号は、マーク検出センサ403が位置合わせ用マークMrを検出するたびに出力されるようになっている。
【0097】
したがって、マーク検出センサ403が位置合わせ用マークMrを検出してから、その位置合わせ用マークMrに対応したワーク要素Weにマーキングを開始するまでの待機時間を「遅延時間」と呼称すると、ここでいうトリガーディレイOfは、その遅延時間におけるワークWの移動量とみなすことができる。トリガーディレイOfを適切に設定することで、各ワーク要素Weに対し、より適切なタイミングでマーキングを行うことができる。
【0098】
特に本実施形態では、トリガーディレイOfは、照射エリアR1内の基準点(例えば、照射エリアR1の中心位置)Poに対するマーク検出センサ403のオフセット量(以下、「第1オフセット量」ともいう)O1と、各ワーク要素Weのマーキング開始位置に対する位置合わせ用マークMrのオフセット量(以下、「第2オフセット量」ともいう)O2と、の2つのパラメータに分けて設定することが可能である。
【0099】
この場合、図6に示すように、
トリガーディレイ(mm)=第1オフセット量(mm)+第2オフセット量(mm)
の関係が成立することになる。なお、各長さの単位は例示である。
【0100】
また、ここで挙げたトリガーディレイOf、第1オフセット量O1および第2オフセット量O2は、いずれも、搬送方向Atに沿った距離の大きさとして定義される。したがって、第1オフセット量O1は、前記基準点からマーク検出センサ403までの距離と言い換えることができる。同様に、第2オフセット量O2は、位置合わせ用マークMrからマーキング開始位置までの距離と言い換えることができる。
【0101】
第1オフセット量O1は、通常、正の値となる。一方、第2オフセット量O2は、正の値ばかりでなく、負の値も許容される。トリガーディレイOfは、正の値となる必要がある。
【0102】
例えば、第1オフセット量O1と第2オフセット量O2をユーザが事前に入力しておくことで、設定部103が自動的にトリガーディレイPfを算出し、その算出結果を記憶装置120に記憶させておくことができる。トリガーディレイOfを事前かつ自動的に設定しておくことで、マーキングの開始タイミングを設定する手間を省き、ユーザビリティを向上させることができる。
【0103】
トリガーディレイOfに関連した他の入力パラメータ、および、その入力インターフェースの詳細は、画面の具体例を説明する際に後述する。
【0104】
その他、設定部103は、ジョブ情報として、ワークWの搬送を一時的に停止させた状態での印字(いわゆる「静止印字」)を行うか、あるいは、ワークWの搬送を停止せずに継続させた状態での印字(いわゆる「移動印字」)を行うかを設定することもできる。
【0105】
設定部103はまた、ユーザによる印字ジョブPjの選択操作を受け付けるとともに、選択された印字ジョブPjへの切替を実行する。その後、設定部103は、選択された印字ジョブPjを構成する印字ブロックPbの各々について、各印字ブロックPbをなす文字列のマーキングに際してレーザ光が辿るべき軌跡を決定する。レーザ光が辿るべき軌跡は、文字の太さ、文字間隔等、前述した属性情報に応じて変化する。設定部103によって決定されたデータは、コントローラ本体100aの記憶装置120に一時的または継続的に記憶される。
【0106】
以下、レーザ光が辿るべき軌跡を示すデータを「展開データ」と呼称するとともに、その展開データを決定するための処理を「展開処理」と呼称する場合がある。
【0107】
(受付部104)
受付部104は、設定部103により設定された変更規則Clに基づいて、該変更規則Clにおいて設定変更が許可された印字ブロックPbの文字列を変更するためのユーザ入力を、操作部101を通じて受け付ける。
【0108】
例えば、本実施形態に係る受付部104は、印字ジョブPjの切替に際し、その印字ジョブPjを構成する印字ブロックPbのうち、設定変更が許可された印字ブロックPbのみを画面上に並べて表示することができる(図示省略)。その画面に対してタッチ操作等を入力することで、設定変更が許可された印字ブロックPbの文字列を変更することが可能となる。
【0109】
なお、文字列変更後の展開データに関し、設定部103による展開処理は、受付部104が文字列の変更を受け付けた後に行われることになる。展開処理を通じて生成された展開データは、記憶装置120に記憶された後、マーキング制御部109によって適宜読み込まれるようになっている。文字列変更前の展開データについては、文字列の変更前に生成してもよいし、文字列の変更後に生成してもよい。本実施形態では、文字列の変更を受付部104が受け付ける前に、事前に変更前の展開データを生成するようになっている。
【0110】
(第1IF部106)
第1IF部106は、PLC402と電気的に接続されており、レーザマーキングシステムSの運用に際し、PLC402から出力された制御信号を受信する。この制御信号は、第1IF部106を介してマーキング制御部109等に入力されて、コントローラ本体100aの制御に用いられるようになっている。
【0111】
(第2IF部107)
第2IF部107は、マーク検出センサ403と電気的に接続されており、ワークWの搬送に際し、位置合わせ用マークMrが検出される度に、当該マークMrが検出されたことを示すトリガ信号を受信する。第2IF部107は、本実施形態における「インターフェース部」の例示である。
【0112】
第2IF部107が受信したトリガ信号は、第2IF部107を介して、移動量監視部110とマーキング制御部109とに入力されるようになっている。トリガ信号は、前述したオフセット量Ofとともに、各ワーク要素Weに対してマーキングを行うタイミングを制御するために用いられる。
【0113】
(第3IF部108)
第3IF部108は、ワークWの搬送速度に応じたパルス信号(エンコーダパルス)を出力するエンコーダ401に対し、該エンコーダパルスを受信可能に接続されている。第3IF部108は、本実施形態における「第2のインターフェース部」の例示である。
【0114】
第3IF部108が受信したエンコーダパルスは、第3IF部108を介して、移動量監視部としての第3監視部112とマーキング制御部109と設定部103とに入力されるようになっている。
【0115】
(移動量監視部110)
移動量監視部110は、第2IF部107および第3IF部108と電気的に接続されており、第2IF部107がトリガ信号を受信する度に、該トリガ信号に対応したワーク要素Weの移動量が、設定部103によって設定されたオフセット量(トリガーディレイOf)に達したか否かを判定する。
【0116】
移動量監視部110による判定は、例えば、トリガ信号の受信後に第3IF部108に入力されたエンコーダパルスのパルス数、または、トリガ信号の受信後に経過した時間に基づいて行うことができる。トリガ信号の受信後にオフセット量に達したと判定された場合、移動量監視部110は、そのことを示す信号をマーキング制御部109に入力する。
【0117】
(マーキング制御部109)
マーキング制御部109は、記憶装置120に事前に記憶されている展開データを読み出すとともに、読み出された展開データが示す軌跡に沿ってレーザ光が走査されるように、レーザ光走査部3を走査する。
【0118】
マーキング制御部109は、各ワーク要素Weの表面上でレーザ光を走査することで、各ワーク要素Weに対してマーキングを行う。各ワーク要素Weにおいてマーキングを開始するタイミングは、前述したように、トリガ信号と、オフセット量に係る判定とによって制御することができる。
【0119】
詳しくは、マーキング制御部109は、第2IF部107がトリガ信号を受信した場合において、移動量監視部110による判定結果に基づいて、設定部103により設定された印字パターンPpが可撓性ワークWにマーキングされるようにレーザ光走査部3を制御する。
【0120】
さらに詳しくは、マーキング制御部109は、トリガ信号の受信後に、そのトリガ信号に対応したワーク要素Weの移動量がオフセット量(トリガーディレイOf)に達したと判定された場合に、展開データの読出と、その展開データを用いたレーザ光走査部3の制御と、を行うように構成されている。
【0121】
(表示制御部105)
表示制御部105は、種々の電気信号に基づいて、表示部102に所定の表示画面を表示させると同時に、キースイッチのオン/オフ、ユーザ入力等に基づいて、その表示画面を適宜切り替えることができる。さらにまた、表示制御部105は、レーザマーキングシステムSの状態に基づいて、各表示画面の表示態様を遷移させるように構成されている。
【0122】
具体的に、表示制御部105は、レーザマーキング装置Lに電源が投入されている場合において、当該装置Lが停止状態にあるときには、そのことを示す停止画面D1を表示部102に表示し、当該装置Lが調整状態にあるときには、そのことを示す調整画面D2を表示部102に表示し、当該装置Lが待機状態にあるときには、そのことを示す待機画面D3を表示部102に表示し、当該装置Lが運転状態にあるときには、そのことを示す運転画面D4を表示部102に表示することができる。
【0123】
ここで、「停止状態」とは、レーザマーキング装置Lに電源が投入されているものの、そのキースイッチがオフ状態となった状態を示す。「調整状態」とは、停止状態においてキースイッチがオン状態とされたものの、固体レーザ結晶22の温度調整等、レーザマーキング装置Lの調整が未完の状態を示す。「待機状態」とは、調整状態においてレーザマーキング装置Lの調整が完了した状態を示す。「運転状態」とは、待機状態においてユーザインターフェースが操作された結果、マーキング制御部109によってマーキング可能となった状態を示す。例えば停止状態および調整状態は、マーキング制御部109によるマーキングが停止された状態とみなすことができる。
【0124】
停止画面D1、調整画面D2、待機画面D3および運転画面D4は、一部の項目を除き、共通のレイアウトを有している。すなわち、これらの画面D1~D4は、それぞれの表示要素として、レーザマーキング装置Lの現在の状態、日時、エラーボタン等を表示するためのステータスバーS1と、ユーザに伝えるべきメインの情報を表示するためのメイン表示部S2と、レーザマーキング装置Lの状態を切り替えるためのスイッチボタンS3と、メイン表示部S2の表示内容を切り替えるためのメニューボタンS4と、を有し得る。これらの表示要素のうち、少なくともスイッチボタンS3は、停止画面D1においては省略してもよい。
【0125】
図5Aに示すように、本実施形態に係る表示制御部105は、調整画面D2と、待機画面D3と、運転画面D4と、の間で表示要素S1~S4のレイアウトが共通化されている。4種の画面D1~D4の間では、例えば、ステータスバーS1の表示態様(特に、表示される文字列の内容)と、スイッチボタンS3の有無およびその表示態様と、メニューボタンS4の表示態様と、が相違するようになっている。
【0126】
-スイッチボタンS3-
図5Aに示すように、スイッチボタンS3は、例えば、表示部102の画面の隅に表示されるようになっている。このスイッチボタンS3は、ポインティングデバイスの操作、タッチ操作等を受け付けるようになっており、運転画面D4においては「ストップ」と表示されていて、当該ボタンS3を操作することで前記運転状態から前記待機状態へと切り替えることができる。一方、スイッチボタンS3は、待機画面D3においては「スタート」と表示されていて、当該ボタンS3を操作することで待機状態から運転状態へと切り替えることができる。
【0127】
-メニューボタンS4-
メニューボタンS4は、前述した4種の画面D1~D4の間で共通の表示項目である。
【0128】
具体的に、本実施形態に係るメニューボタンS4は、例えば、縦方向にならんだ複数のボタンからなる。各ボタンは、ポインティングデバイスの操作、タッチ操作等を受け付けるようになっている。各ボタンには、「ホーム」、「ジョブ」、「設定」、「点検」等、メイン表示部S2の表示内容に対応したメニュー項目が表示されている(例えば、図11に示す運転画面D4を参照)。
【0129】
-メイン表示部S2-
メイン表示部S2は、前述した4種の画面D1~D4の間で共通の表示項目である。
【0130】
具体的に、メニューボタンS4において「ホーム」が選択された状態では、メイン表示部S2には、レーザマーキングシステムLの運用状況を表示するためのホーム表示が示されるようになっている。このホーム表示では、印字ジョブPjの内容(図例では、大文字の「ABC」)を示す表示欄と、レーザマーキング装置Lの使用を開始してから累積された印字回数(累積印字回数)と、現在の印字ジョブPjに切り替えてから累積された印字回数(ジョブ印字回数)と、一分間辺りの印字回数(印字スループット)と、を表示させることができる。ホーム表示は、ワークWに対するマーキングの進捗状況を示す進捗画面とみなすことができる。
【0131】
また、メニューボタンS4において「ホーム」が選択された状態では、画面中に切替インターフェースS5が表示されており、これを操作することで、印字ジョブPjの内容が拡大表示されたプレビュー拡大モード(図5Bの下図を参照)と、累積印字回数、ジョブ印字回数および印字スループットの表示欄が拡大表示されたモニター拡大モード(図5Bの上図を参照)と、の間で表示態様を切り替えることができる。
【0132】
一方、メニューボタンS4において「ジョブ」が選択された状態では、メイン表示部S2には、図5Cの画面D4’に示すようなジョブメニューが表示されるようになっている。このジョブメニューでは、「ジョブA」、「ジョブB」および「ジョブC」と各印字ジョブPjを一覧表示しかつ一の印字ジョブPjを選択可能に構成された表示欄と、選択された印字ジョブPjへの切替を実行する切替ボタンS6と、選択された印字ジョブPjの内容を示す表示欄と、を表示させることができる。
【0133】
また、図5Cでは省略したが、ジョブメニューから、選択された印字ジョブPjにおけるジョブ情報の設定画面D4、選択された印字ジョブPjにおける印字ブロックPbの設定画面、および、選択された印字ジョブPjの印字テスト画面D4等へと直に遷移させることもできる。
【0134】
その他、「設定」項目を選択することで、レーザマーキング装置Lの通信、日付などの設定画面をメイン表示部S2に表示させたり、「点検」項目を選択することで、レーザマーキングシステムLのログ、稼動情報等を確認するための画面をメイン表示部S2に表示させたりすることもできる。
【0135】
-ステータスバーS1-
ステータスバーS1は、前述した4種の画面D1~D4の間で共通の表示項目である。
【0136】
具体的に、本実施形態に係るステータスバーS1は、例えば図5Aに示すように、停止状態においては「停止中」と表示し、調整状態においては「調整中」と表示し、待機状態においては「待機中」と表示し、運転状態においては「運転中」と表示させることができる。
【0137】
なお、図6に示すように、「調整中」との表示と併せて、その調整に要する所要時間(予想値)をステータスバーS1に表示してもよい。また、「調整中」と表示されている際にスイッチボタンS3が操作された場合には、「調整中」という表示を「運転準備中」に切り替えると同時に、スイッチボタンS3の表示内容を「スタート」から「ストップ」へと切り替えてもよい(以下、この状態を「運転準備状態」ともいう)。
【0138】
<レーザマーキングシステムSの運用例>
図7は、レーザマーキングシステムSを運転する際に行われる処理を、印字ジョブPjに着目してフローチャート化した図である。図7に示すように、レーザマーキングシステムSの運転に際しては、印字ジョブPjの作成(ステップSt1)と、印字ジョブPjの切替(ステップSt2)と、印字ジョブPjの運転(ステップSt3)と、が主に行われるようになっている。
【0139】
以下、これらの工程に係る処理の詳細と、各工程における表示部102の表示画面と、の具体例を説明する。
【0140】
実際の運用に際しては、ステップSt1に先だってレーザマーキング装置Lに電源が投入されて、キースイッチのON操作等が行われる。これらの工程を行うことで、表示部102の表示内容は、インターロック状態またはトラブル状態に陥らない限り、前述した停止画面D1、調整画面D2、待機画面D3および運転画面D4,D4’の順番で遷移していくことになる。
【0141】
図5Aおよび図5B等にも例示したように、運転画面D4,D4’は、主な表示態様として、図11に示すようにホーム表示に設定された運転画面D4と、図12に示すようにジョブメニューに設定された運転画面D4’との間で切り替えることができる。前述のように、この切替は、メニューボタンS4に対してクリック操作、タッチ操作等を行うことで実行可能である。以下、ホーム表示に設定された運転画面D4を単に「ホーム画面D4」と呼称したり、ジョブメニューに設定された運転画面D4’を「ジョブメニュー画面D4’」と呼称したりする場合がある。
【0142】
具体的に、図11に示すように、ホーム画面D4には、主たる表示項目として、ステータスバーS1と、メイン表示部S2と、スイッチボタンS3と、メニューボタンS4と、が表示される。これらの表示項目は、後述の全ての画面において共通化されている。
【0143】
ホーム画面D4におけるステータスバーS1には、レーザマーキング装置Lの現在の状態を示す第1表示項目I1と、報知マークS7と、が表示されている。
【0144】
また、同じ運転画面D4のメイン表示部S2には、前述の切替インターフェースS5と、印字ジョブPjを識別するためのジョブID(例えば、「0000」)と、当該印字ジョブPjの名称(例えば、「食品A」)を表示する第2表示項目I2と、第2表示項目I2に表示された印字ジョブPjを構成する複数の印字ブロックPbの文字列、および、各印字ブロックPbの属性情報を視覚的に表示する第3表示項目I3と、が表示されている。第3表示項目I3の表示領域が、前述した設定平面R2に相当する。この例では、図5に例示した印字ジョブPjと同じ内容が、第3表示項目I3に表示されている。
【0145】
さらに、同じ運転画面D4のメイン表示部S2には、前述の累積印字回数を表示する第4表示項目I4と、ジョブ印字回数を表示する第5表示項目I5と、印字スループットを表示する第6表示項目I6と、が表示されている。これらの表示内容は、レーザマーキング装置Lによるマーキングの開始後、順次、カウントアップされていくようになっている。
【0146】
一方、図12に示すように、ジョブメニュー画面D4’には、主たる表示項目として、複数の印字ジョブPjの一覧を表示するとともに、一の印字ジョブPjを選択する操作を受け付ける第7表示項目I7と、第7表示項目I7において選択された印字ジョブPjへの切替を実行するための切替ボタンS6と、選択された印字ジョブPjの内容を設定するためのジョブ設定ボタンS8と、が表示されている。
【0147】
(ステップSt1)
図8は、印字ジョブPjの作成に関する処理を例示するフローチャートであり、図7のステップSt1の詳細を示す図である。つまり、図7のステップSt1は、図8のステップSt11~St17を一ステップとして表したものに相当する。
【0148】
まず、ステップSt11に先だって、図11に示すホーム画面D4は表示部102に表示される。そのホーム画面D4においてメニューボタンS4が操作されると、ホーム画面D4から、図12に示すジョブメニュー画面D4’へと切り換えられる。この切替は、表示制御部105が実行するように構成されている。
【0149】
その後、ジョブメニュー画面D4’において一の印字ジョブPjが選択された状態で、ジョブ設定ボタンS8に対するユーザ入力を受け付けると、表示制御部105は、ジョブメニュー画面D4’から、同画面D4’と同様に運転画面の一をなすブロック選択画面D4”へと遷移させる。
【0150】
図13に例示するように、ブロック選択画面D4”では、主たる表示項目として、メニューボタンS4’と、複数の印字ブロックPbの一覧を表示するとともに、一の印字ブロックPbを選択する操作を受け付ける第8表示項目I8と選択された印字ブロックPbの内容を設定するためのブロック設定ボタンS9と、が表示されている。
【0151】
ブロック選択画面D4”において一の印字ブロックPbが選択された状態で、ブロック設定ボタンS9に対するユーザ入力を受け付けると、表示制御部105は、ブロック選択画面D4”から、同画面D4”と同様に運転画面の一をなすジョブ編集画面D4へと遷移させる。
【0152】
-ステップSt11-
図8のステップSt11において、設定部103および受付部104は、ジョブ編集画面D4に対するユーザ入力に基づいて、各印字ブロックPbについて、文字列の内容、および、該文字列の属性情報を設定するようになっている。
【0153】
図14に例示するように、ジョブ編集画面D4では、その主たる表示項目として、選択されている印字ブロックPbの文字列を変更するための設定画面に遷移させる第1切替タブI9と、その印字ブロックPbのレイアウトを決定するための設定画面に遷移させる第2切替タブI10と、その他の詳細設定を入力するための設定画面に遷移させる第3切替タブI11と、が表示されている。図14に示すジョブ編集画面D4は、第1切替タブI9が選択された状態に相当する。また、ジョブ編集画面D4中の完了ボタンS10は、印字ジョブPjの編集の完了に際して操作されるボタンである。
【0154】
また、ジョブ編集画面D4には、他の印字ブロックPbへの切替操作を受け付ける第12表示項目I12と、現在選択中の印字ブロックPbにおいて、その書式を選択する操作を受け付ける第13表示項目I13と、第13表示項目I13を介して選択された書式に応じて、その印字ブロックPbの文字列を変更する操作を受け付ける第14表示項目I14と、が表示されている。
【0155】
例えば、第13表示項目I13で「日付」と選択された場合において、第14表示項目I14が操作されると、表示制御部105は、表示部102上にカレンダーを表示させる。設定部103および受付部104は、そのカレンダーに対するユーザ入力に基づいて、文字列としての「日付」を設定することができる。
【0156】
第12表示項目I12~第14表示項目I14に対するユーザ入力を受け付けることで、設定部103および受付部104は、印字ブロックPbの文字列を新規に設定したり、その設定内容を後から変更したりすることができる。
【0157】
また、ジョブ編集画面D4には、現在選択中の印字ブロックPbにおいて、その文字列のサイズを設定する操作を受け付ける第15表示項目I15と、その文字列の文字幅を設定する操作を受け付ける第16表示項目I16と、文字間隔等、その文字列の配置に関するパラメータを設定する操作を受け付ける第17表示項目I17および第18表示項目I18と、その文字列の太さを設定する操作を受け付ける第19表示項目I19と、が表示されている。
【0158】
第15表示項目I15~第19表示項目I19に対するユーザ入力を受け付けることで、設定部103および受付部104は、印字ブロックPbの属性情報を新規に設定したり、その設定内容を後から変更したりすることができる。
【0159】
-ステップSt12-
図8のステップSt12において、設定部103および受付部104は、詳細設定画面D4に対するユーザ入力に基づいて、各印字ブロックPbについて、図4を用いて説明した変更規則Clの設定、および、その他の詳細を設定するようになっている。
【0160】
図15に例示するように、詳細設定画面D4では、ジョブ切替に際して文字列の設定変更を許可するか否かを、印字ブロックPb毎に個別に切り替える規則切替ボタンS11が表示されている。この規則切替ボタンS11に対するユーザ入力に基づいて、設定部103は、印字ブロックPb毎に個別に変更規則Clを設定することができる。例えば図15に例示した状態は、設定変更が許可された状態に相当する。
【0161】
その他、詳細設定画面D4には、ジョブ切替時に行われる印字ブロックPbの設定変更に際し、表示部102に表示させるべきメッセージの入力を受け付ける第20表示項目I20と、その際に数字の入力のみを受け付けるべきか否か等、設定変更における文字列の入力制限を設定するための第21表示項目I21と、が表示されるようになっている。
【0162】
第20表示項目I20を通じて事前にメッセージを入力しておくことで、例えば、ジョブ切替に際し、適切な設定変更を行うようにユーザに促すことができる。
【0163】
その後、完了ボタンS10に対するユーザ入力を受け付けると、設定部103および受付部104は、各印字ジョブPj、各印字ブロックPbおよび印字ジョブPjの切替に関する設定を完了する。そうして行われた設定は、印字ジョブPj毎に記憶装置120に記憶される。設定の完了に伴って、表示制御部105は、詳細設定画面D4から、ワークWの搬送に関する設定等、前述したジョブ情報を設定するためのジョブ情報設定画面D4へと遷移させる。この遷移に伴って、図8に示す制御プロセスは、ステップSt12からステップSt13へと進むことになる。
【0164】
-ステップSt13~ステップSt15-
図8のステップSt13において、設定部103および受付部104は、ジョブ情報設定画面D4に対するユーザ入力に基づいて、ジョブメニュー画面D4’で選択中の印字ジョブPjについて、ジョブ情報を設定するようになっている。このジョブ情報設定画面D4は、後述する設定支援画像Paを視覚的に示しており、本実施形態における「第1の設定画面」と見なすことができる。
【0165】
図16に例示するように、ジョブ情報設定画面D4では、その主たる表示項目として、ジョブ情報の基本設定を定めるための第1のジョブ情報設定画面D4に遷移させる第4切替タブI22と、選択中の印字ジョブPjの印字品質を設定するための第2のジョブ情報設定画面D4’に遷移させる第5切替タブI23と、その他のオプション設定を定めるための第3のジョブ情報設定画面D4”に遷移させる第6切替タブI24と、が表示されている。図16に示すジョブ情報設定画面D4は、第4切替タブI22が選択された状態に相当する。
【0166】
図16に例示するように、第1のジョブ情報設定画面D4では、その主たる表示項目として、選択中の印字ジョブPjを静止印字で運転するか、移動印字で運転するかを印字ジョブPj毎に切り替える第25表示項目I25と、移動印字が選択された場合において、そのラインスピード(ワークWの搬送速度)の設定を切り替える第26表示項目I26と、ラインスピードが「等速」に設定された場合において、そのラインスピードのユーザ入力を受け付ける第27表示項目I27と、が表示されている。第26表示項目I26と第27表示項目I27は、移動印字が選択されている場合のみ、表示部102に表示されるようになっている。
【0167】
前述したように、移動量監視部110は、トリガ信号を受信する度に、その受信後のワークWの移動量がトリガーディレイOfに達したか否かを監視するようになっている。移動印字が選択された場合において、そうした監視を正確に行うためには、ラインスピードをマーカコントローラ100に事前に入力しておく必要がある。
【0168】
そこで、ステップSt13から続くステップSt14で、マーカコントローラ100は、移動印字が選択されているか否かを判定し、移動印字が選択されている場合には、制御プロセスをステップSt14からステップSt15へ進め、第26表示項目I26および第27表示項目I27等、ラインスピードを入力するためのユーザインターフェースを表示部102に表示させる。一方、ステップSt14で移動印字が選択されていないと判定された場合、マーカコントローラ100は、ステップSt15をスキップし、制御プロセスをステップSt16へ進める。
【0169】
ここで、ラインスピードの設定方法としては、例えば、その速度を直に入力する方法(第1の設定方法)と、所定時間あたりのマーキング回数(フィルム回転数)を基準とした方法(第2の設定方法)と、エンコーダ401の前記出力パルス数を基準とした方法(第3の設定方法)と、が考えられる。
【0170】
本実施形態に係るマーカコントローラ100は、それら3通りの設定方法を切替可能に構成されている。この切替は、図16に示す第26表示項目I26に対するユーザ入力をマーカコントローラ100が受け付けることで行うことができる。
【0171】
具体的に、第26表示項目I26は、いわゆるスクロールバーとして構成されており、図16に示すような「等速」と、図17に示すような「フィルム回転数」と、図18に示すような「エンコーダ」とのうちのいずれか一を選択することができる。
【0172】
(1)第1の設定方法
第1の設定方法は、第26表示項目I26で「等速」が選択された状態に相当する。この場合、表示制御部105は、ラインスピードのユーザ入力を受け付けるためのインターフェースとして、第27表示項目I27を表示部102に表示させる(図16参照)。なお、図16中の[m/min]という単位は例示である。
【0173】
この場合、移動量監視部110は、
ワークWの移動量[mm]=ラインスピード[m/min]・トリガ信号受信後の経過時間[s]・1000/60 …(A)
という演算を通じてワークWの移動量を算出することができる。そして、算出された移動量が前述したトリガーディレイOfに達したか否かに基づいて、マーキングの開始タイミングを制御することが可能となる。具体的に、移動量監視部110は、トリガ信号を受信する度に、そのトリガ信号の受信後の経過時間をカウントし、その経過時間に基づいて、ワークWの移動量がトリガーディレイOfに達したか否かを判定することができる。経過時間のカウントは、トリガ信号を受信する度にリセットしてもよい。
【0174】
その際、上記数式(A)を経過時間について逆算しておくことで、判定基準となる経過時間を事前に算出し、記憶装置120に記憶させておいてもよい。その場合、経過時間が判定基準に達したか否かに基づいて、ワークWの移動量がトリガーディレイOfに達したか否かを判定することができる。
【0175】
(2)第2の設定方法
第2の設定方法は、「フィルム回転数」が選択された状態に相当する。この場合、表示制御部105は、フィルム回転数のユーザ入力を受け付けるためのインターフェースとして、第35表示項目I35を表示部102に表示させる。なお、図17中の「RPM」という単位は例示である。例えば1分あたり50個のワーク要素Weに対してマーキングを行う場合、フィルム回転数は50[RPM]となる。また、ここでいう「フィルム回転数」とは、搬送ローラ500等の回転数ではなく、所定時間あたりにマーキングを行う回数に相当する。
【0176】
「フィルム回転数」が選択された場合、表示制御部105はさらに、図6に示す位置合わせ用マークMrの間隔(マーク間隔)Imのユーザ入力を受け付けるためのインターフェースとして、第36表示項目I36を表示部102に表示させる。なお、図16中の[mm]という単位は例示である。
【0177】
この場合、移動量監視部110は、
ワークWの移動量[mm]=フィルム回転数[min-1]・マーク間隔[mm]・トリガ信号受信後の経過時間[s]/60 …(B)
という演算を通じてワークWの移動量を算出することができる。そして、算出された移動量が前述したトリガーディレイOfに達したか否かに基づいて、マーキングの開始タイミングを制御することが可能となる。具体的に、移動量監視部110は、トリガ信号を受信する度に、そのトリガ信号の受信後の経過時間をカウントし、その経過時間に基づいて、ワークWの移動量がトリガーディレイOfに達したか否かを判定することができる。経過時間のカウントは、トリガ信号を受信する度にリセットしてもよい。
【0178】
その際、上記数式(B)を経過時間について逆算しておくことで、判定基準となる経過時間を事前に算出し、記憶装置120に記憶させておいてもよい。その場合、経過時間が判定基準に達したか否かに基づいて、ワークWの移動量がトリガーディレイOfに達したか否かを判定することができる。
【0179】
(3)第3の設定方法:基本概念
第3の設定方法は、「エンコーダ」が選択された状態に相当する。この場合、表示制御部105は、前述した出力パルス数のユーザ入力を受け付けるためのインターフェースとして、第37表示項目I37を表示部102に表示させる。なお、図17中の「パルス/mm」という単位は例示である。例えば、ワークWが1mm移動する際に50個のエンコーダパルスが出力される場合、パルス出力数は50[パルス/mm]となる。
【0180】
この場合、移動量監視部110は、
ワークWの移動量[mm]=トリガ信号受信後にカウントされたパルス入力数[パルス]/パルス出力数[パルス/min] …(C)
という演算を通じてワークWの移動量を算出することができる。ここで、「トリガ信号受信後にカウントされたパルス入力数」とは、トリガ信号を受信した後に、マーカコントローラ100に入力されたパルス数を示す。このパルス数のカウントは、トリガ信号を受信する度にリセットしてもよい。
【0181】
そして、算出された移動量が前述したトリガーディレイOfに達したか否かに基づいて、マーキングの開始タイミングを制御することが可能となる。具体的に、移動量監視部110は、トリガ信号を受信する度に、そのトリガ信号の受信後に入力されたパルス数をカウントし、そのカウント数に基づいて、ワークWの移動量がトリガーディレイOfに達したか否かを判定することができる。
【0182】
その際、上記数式(C)をパルス入力数について逆算しておくことで、判定基準となるパルス入力数を事前に算出し、記憶装置120に記憶させておいてもよい。この場合、パルス入力数が判定基準に達したか否かに基づいて、ワークWの移動量がトリガーディレイOfに達したか否かを判定することができる。
【0183】
(4)第3の設定方法:自動設定
ところで、第3の設定方法を実施するためには、パルス出力数の入力が筆ようになるものの、このパラメータが不明というケースも起こり得る。この場合、ユーザは、トライアンドエラーを重ねてパルス出力数を設定しなければならず、ユーザビリティ向上の余地がある。
【0184】
そこで、本実施形態に係る表示制御部105は、パルス出力数を自動的に設定するためのユーザインターフェースW1を表示部102に表示させるように構成されている。このユーザインターフェースW1は、図18の第38表示項目I38に対するタップ操作等を受け付けることで表示されるようになっており、例えば、図19に示すようなウインドウ形式で提供されるようになっている。
【0185】
図19に例示するように、ユーザインターフェースW1には、第2の設定方法と同様に定義されたマーク間隔の入力欄I39と、パルス出力数を計算するためのパラメータの選択欄I40と、パルス出力数の算出結果を表示する表示欄I41と、がレイアウトされている。
【0186】
ここで、入力欄I39のマーク間隔は、定規等を用いてユーザが測定した値を用いることができる。一方、選択欄I40に関し、図19に示す状態では、「トリガ入力」が選択されている。この状態でワークWを搬送させた場合、マーカコントローラ100は、一のトリガ信号を受信してから、次のトリガ信号を受信するまでの期間(トリガ信号の入力間隔)における、エンコーダパルスの数をカウントすることになる。
【0187】
この場合、マーカコントローラ100は、
パルス出力数[パルス/mm]=エンコーダパルスのカウント[パルス]/マーク間隔[mm] …(D)
という演算を通じてパルス出力数を算出することができる。ここで、表示欄I41は、トリガ信号が入力される度にリアルタイムで更新されるようになっている。入力ボタンS13に対するタップ操作等を受け付けると、マーカコントローラ100は、表示欄I41に表示されている数値をパルス出力数の入力欄(第37表示項目I37)に入力する。キャンセルボタンS12に対するタップ操作等を受け付けると、マーカコントローラ100は、ユーザインターフェースW1を閉じて、図18に示すジョブ情報設定画面D4に復帰させる。
【0188】
また、選択欄I40に対するタップ操作等を通じて、トリガ信号の入力間隔の代わりに、エンコーダ入力周波数、レディー信号等に基づいてエンコーダパルスの数をカウントさせることもできる。
【0189】
第1~第3の設定方法を通じてラインスピードに係るパラメータの入力が受け付けられると、マーカコントローラ100は、制御プロセスをステップSt16へ進める。なお、ステップSt14~ステップSt16の順番は、説明を簡略化するための例示に過ぎず、適宜、変更してもよい。例えば、ステップSt16を行った後に、ステップSt14~St15へ進むように構成してもよいし、ステップSt16とステップSt14~St15を並行して処理するように構成してもよい。
【0190】
(5)その他の設定項目
表示制御部105は、第5切替タブI23に対するユーザに入力を受け付けると、図23に示すような第2のジョブ情報設定画面D4’へと表示態様を遷移させる。第2のジョブ情報設定画面D4’は、レーザ光走査部3による走査速度(スキャンスピード)を含んだ印字品質の入力を受け付けるように構成されており、本実施形態における「第2の設定画面」と見なすことができる。設定部103は、ジョブ情報設定画面D4と、第2のジョブ情報設定画面D4’と、の間で表示部102における表示内容を切替可能に構成されている。
【0191】
第2のジョブ情報設定画面D4’は、その主たる表示項目として、スキャンスピードの入力欄I39と、スキャンスピードを標準設定へと切り替える標準ボタンI40と、を含んでいる。この他、スキャンスピードを直感的に設定可能なスクロールバーを設けてもよい。
【0192】
-ステップSt16-
ジョブ情報設定画面D4の説明に戻ると、図8のステップSt16において、設定部103および受付部104は、ジョブ情報設定画面D4に対するユーザ入力に基づいて、ジョブメニュー画面D4’で選択中の印字ジョブPjについて、トリガーディレイOfに関する詳細設定を行うように構成されている。
【0193】
ところで、図6に例示したように、トリガーディレイOfは、位置合わせ用マークMrおよびマーク検出センサ403に係るパラメータとしての、第1オフセット量O1と第2オフセット量O2を用いて表すことができる。
【0194】
これらのオフセット量を用いることは、位置合わせ用マークMrおよびマーク検出センサ403の実際のレイアウトに対応したマーキングを行う上で、極めて有用であるものの、不慣れなユーザには誤解されるおそれがあり、パラメータの誤入力等を招く可能性があった。このことは、レーザマーキングシステムSのユーザビリティの向上を図る上で不都合であった。
【0195】
(1)設定支援画像の基本概念
こうした不都合を解消すべく、本実施形態に係る設定部103は、表示制御部105を介して、可撓性ワークWにおける位置合わせ用マークMrおよびオフセット量(トリガーディレイOf)を視覚的に示す設定支援画像Paを表示部102に表示させる。そして、設定部103は、その設定支援画像Paを表示させた状態で、トリガーディレイOfを設定するためのユーザ入力を受け付けるように構成されている。
【0196】
図16図18に示すように、ジョブ情報設定画面D4には、設定支援画像Paを示す画像表示領域R3が設定されている。この設定支援画像Paは、少なくとも、レーザマーキング装置Lの少なくとも一部(例えば、マーカヘッド1)の位置を視覚的に示した図形と、そのレーザマーキング装置Lに対するマーク検出センサ403の相対位置を視覚的に示した図形と、ワーク要素Weに対する位置合わせ用マークMrの相対位置を視覚的に示した図形と、が含まれる。
【0197】
具体的に、本実施形態に係る設定支援画像Paは、主たる画像要素として、マーカヘッド1を模式化した図形(“3”,“4”と付された直線の直上に位置する直方体)と、ワークWおよび搬送ローラ502を模式化した図形と、ワーク要素Weを模式化した図形(「ABC」と文字が付されたシート)と、位置合わせ用マークMrを模式化した図形(ワーク要素Weの隅に配置されかつ黒色で塗りつぶされた四角)と、マーク検出センサ403を模式化した図形(位置合わせ用マークMrの直上に配置され、“1”と付された直方体)と、を含んでいる。
【0198】
ここで、設定支援画像Paにおいて“1”と付された距離は、マーク検出センサ403と、マーカヘッド1の筐体10との間の距離を視覚的に示したものであり、前述した第1オフセット量O1に相当する。また、同画像Paにおいて“2”と付された距離は、各ワーク要素Weに対応した位置合わせ用マークMrと、そのワーク要素Weにおけるマーキング開始位置との間の距離を視覚的に示したものであり、前述した第2オフセット量O2に相当する。
【0199】
これらの距離をスムースに設定するために、本実施形態に係る設定部103は、設定支援画像Paが示す距離(第1オフセット量O1および第2オフセット量O2)の入力を受け付けるように構成されている。具体的に、設定部103は、表示制御部105を介して表示部102を制御することで、第1オフセット量O1の入力を受け付ける第28表示項目I28と、第2オフセット量O2の入力を受け付ける第29表示項目29と、を表示部102に表示させる。
【0200】
また、一般に、レーザ光走査部3によるマーキングは、図1の照射エリアR1内にワーク要素Weが侵入した直後に開始することができるが、印字品質等の都合から、照射エリアR1内の所定位置までワーク要素Weが進んだのを待って、マーキングを開始することも考えられる。マーキングを終了するタイミングについても、同様の方策が考えられる。
【0201】
そうしたニーズに応えるべく、設定支援画像Paはさらに、照射エリア(照射範囲)R1におけるマーキングの開始位置と、照射エリアR1におけるマーキングの終了位置と、を視覚的に示しており、設定部103は、開始位置および終了位置の入力を受け付けるように構成されている。
【0202】
具体的に、設定支援画像Paにおいて“3”と付された距離は、照射エリアR1におけるマーキングの開始位置を視覚的に示したものである。また、同画像Paにおいて“4”と付された距離は、照射エリアR1におけるマーキングの終了位置を視覚的に示したものである。
【0203】
これらの位置をスムースに設定するために、本実施形態に係る設定部103は、設定支援画像Paが示す開始位置および終了位置の入力を受け付けるように構成されている。具体的に、設定部103は、表示制御部105を介して表示部102を制御することで、開始位置の入力を受け付ける第31表示項目I31と、終了位置の入力を受け付ける第32表示項目32と、を表示部102に表示させる。
【0204】
また、図16等に示したチェックボックス(規則切替ボタン)S11がタップ操作等を受け付けることで、設定支援画像Pa中に開始位置および終了位置を表示させた状態と、開始位置および終了位置を非表示とした状態との間で切り替えることができる。
【0205】
例えば、図16図17に示すようにチェックボックスS11がチェックされた状態では、開始位置および終了位置が設定支援画像Pa中に視覚的に示されると同時に、メイン表示部S2中に第31表示項目I31と第32表示項目32とが表示されることになる。
【0206】
一方、図18に示すようにチェックボックスS11のチェックが外された状態では、開始位置および終了位置が設定支援画像Pa中に非表示となると同時に、メイン表示部S2中に第31表示項目I31と第32表示項目32とが非表示となる。この場合、開始位置および終了位置は、それぞれ上限値および下限値に自動設定される。この自動設定により、開始位置は、搬送方向Atにおける照射エリアR1の始点に設定され、終了位置は、搬送方向Atにおける照射エリアR1の終点に設定されることになる。
【0207】
(2)設定支援画像の回転表示
また、設定部103はまた、設定支援画像として、互いに異なる複数の設定支援画像Pa,Pa’,Pa”,Paのうちの一を表示部102に表示させる。具体的に、この設定部103は、複数の設定支援画像Pa,Pa’,Pa”,Paとして、一の設定支援画像Paを90°ずつ回転させた画像を表示させるようになっている(図21参照)。この回転に際し、マーカヘッド1および可撓性ワークWは、一体的に回転されるようになっている。設定部103は、一の設定支援画像Paを90°ずつ回転させる代わりに、これを45°ずつまたは30°ずつ回転させた画像を表示してもよい。
【0208】
そして、本実施形態に係る設定部103は、例えば図20および図21に示すように、複数の設定支援画像Pa,Pa’,Pa”,Paのうち、レーザマーキング装置L、特にマーカヘッド1の姿勢に対応した設定支援画像Pa,Pa’,Pa”,Paを表示するように構成されている。
【0209】
詳しくは、複数の設定支援画像Pa,Pa’,Pa”,Paのうちの一を選択するために、設定部103は、マーカヘッド1の姿勢を示すユーザ入力を受け付けるとともに、複数の設定支援画像Pa,Pa’,Pa”,Paの中から、該ユーザ入力が示す姿勢に対応した設定支援画像Pa,Pa’,Pa”,Paを表示するように構成されている。
【0210】
さらに詳しくは、設定部103は、表示制御部105を介して表示部102を制御することで、ジョブ情報設定画面D4中に、設定支援画像Pa,Pa’,Pa”,Paのうちの一を選択するための第33表示項目I33を表示するようになっている。例えば、図16に示した状態において、第33表示項目I33に対して1回のタップ操作を施すと、図20に示すように、設定支援画像Paを90°回転させた第2の設定支援画像Pa’が画像表示領域R3に表示されることになる。
【0211】
図21の矢印に示すように、第33表示項目I33がユーザ入力を受け付ける度に、画像表示領域R3の表示態様が遷移するようになっている。具体的に、第2の設定支援画像Pa’が表示された状態で第33表示項目I33が操作されると、第2の設定支援画像Pa’をさらに90°回転させた第3の設定支援画像Pa”が画像表示領域R3に表示され、その状態で第33表示項目I33が操作されると、第3の設定支援画像Pa”をさらに90°回転させた第4の設定支援画像Paが画像表示領域R3に表示され、その状態で第33表示項目I33が操作されると、第4の設定支援画像Pa”をさらに90°回転させた最初の設定支援画像Paが画像表示領域R3に表示されることになる。画像の回転に伴って、第1オフセット量O1および第2オフセット量O2を示す視覚表示も回転させてもよい。
【0212】
また、第33表示項目I33は、いわゆるスクロールバーとして用いることができ、第33表示項目I33に複数回タップ操作を行わずとも、4通りの設定支援画像Pa,Pa’,Pa”,Paのうちの1へと、自由に切り替えることができる。
【0213】
なお、ここでいう「互いに異なる複数の設定支援画像Pa,Pa’,Pa”,Pa」とは、図21等を用いて説明したように、一の画像を90°ずつ回転させたものとすればよい。このように構成することで、4枚の画像を別々に用意せずとも、一枚の画像を用意しておくだけで、4通りの設定支援画像Pa,Pa’,Pa”,Paを実現することができる。
【0214】
(3)設定支援画像中の文字列回転
また一般に、ワーク要素We中の文字列の向き(例えば、「ABC」という文字列における文字列の並び方向)は、印字ジョブPjの種別に応じて、適宜、変わり得る。文字列の向きは、例えば図14の第2切替タブI10を操作することで、印字ブロックPbの設定に際して変更可能となっているものの、ジョブ情報の設定に際しても変更可能とすることが、ユーザビリティ向上を図る上で有効である。
【0215】
そこで、本実施形態では、設定部103は、表示制御部105を介して表示部102を制御することで、ジョブ情報設定画面D4中に、文字列の向きを変更するための第33表示項目I34を表示するようになっている。
【0216】
例えば、図18に示した状態において、設定支援画像Paから前記第2の設定支援画像Pa’へと遷移させると、図22Aに示すように、文字列も一体的に回転することになる。その状態で第34表示項目I34に対して1回または複数回のタップ操作を施すと、図22Bに示すように、第2の設定支援画像Pa’中の文字列を90°回転させることができる。第34表示項目I34をさらに操作することで、文字列を180°回転させたり、文字列を270°回転させることもできる。このように、設定支援画像Paを回転させた状態のまま、文字列のみを単独で回転させることができる。
【0217】
(4)その後の処理
切替ボタンS6中の「保存」と記されたインターフェースに対するユーザ入力を受け付けると、設定部103および受付部104は、ジョブ情報に関する設定を完了する。そうして行われた設定は、印字ジョブPj毎に記憶装置120に記憶される。設定の完了に伴って、表示制御部105は、ジョブ情報設定画面D4から、印字テストに関するインターフェースを提供するための印字テスト画面D4へと表示部102を遷移させる。この遷移に伴って、図8に示す制御プロセスは、ステップSt16からステップSt17へと進むことになる。なお、ステップSt17は必須ではなく、必要に応じてスキップしてもよい。
【0218】
-ステップSt17-
図8のステップSt17において、設定部103および受付部104は、印字テスト画面D46に対するユーザ入力に基づいて、ジョブメニュー画面D4’で選択中の印字ジョブPjについて、印字テストを踏まえた設定変更等を行うようになっている。
【0219】
図24に例示するように、印字テスト画面D4では、その主たる表示項目として、印字テスト結果を表示する第41表示項目I41と、印字テストを実行させるためのトリガボタンS14および印字時間確認ボタンS15と、印字テストに際して静止印字を実行させるか否かを切り替えるチェックボックスS16と、展開処理に要した時間(展開時間)、印字に要した時間(印字時間)、ラインスピード等を表示する第42表示項目I42と、トリガ間隔の入力を受け付ける第43表示項目I43と、最大印字スループットを表示する第44表示項目と、印字時間の調整を実行する印字時間調整ボタンS17と、印字位置を調整するための印字位置調整ボタンS18と、が含まれている。なお、印字時間調整ボタンS17をクリックすると、スキャンスピードを編集する画面が表示される。また、印字位置調整ボタンS18をクリックすると、印字ブロックのXY位置を調整する画面が表示される。
【0220】
(1)文字列の向きに関連した処理
例えば、表示制御部105は、印字位置調整ボタンS18に対するタップ操作等を受け付けた場合、印字位置を調整するための調整画面(不図示)を表示部102に表示させる。この調整画面上では、各ワーク要素Weに対する印字ジョブPjの相対位置を調整することができ、設定支援画像Paの向き、文字列の向き等に応じた最適な印字位置に設定することができる。
【0221】
その際、照射エリアR1および設定平面R2で見た方向と、前記相対位置のオフセット方向との関連付けは、前述のように設定された文字列の向き(文字列の並び方向)に応じて、設定部103が自動的に行うことができるようになっている。
【0222】
例えば、図22Aに示すように、搬送方向Atに対して平行になるように文字列の並び方向が設定されていた場合、搬送方向Atに垂直なオフセット方向は、設定平面R2上で見た文字列の並び方向と垂直に交わる方向となる。それと同時に、搬送方向Atに平行に延びるオフセット方向は、設定平面R2上で見た文字列の並び方向と一致する方向となる。
【0223】
その一方で、図22Bに示すように、搬送方向Atに対して垂直になるように文字列の並び方向が設定されていた場合、搬送方向Atに垂直なオフセット方向は、設定平面R2上で見た文字列の並び方向と一致する方向となる。それと同時に、搬送方向Atに平行に延びるオフセット方向は、設定平面R2上で見た文字列の並び方向と垂直に交わる方向となる。
【0224】
このように、本実施形態に係る設定部103は、図22Aおよび図22B等を用いて説明した文字列の向きに応じて、搬送方向Atと、設定平面R2上で見た方向との関連付けを自動的に行うことができる。
【0225】
(2)最大印字スループットに関連した処理
「最大印字スループット」とは、所定時間(例えば1分間)あたりにマーキング可能なワーク要素Weの上限を示している。例えば、図24のように最大印字スループットが125.0[個/min]の場合、1分間あたり125個が、マーキング可能なワーク要素Weの上限であることを意味している。最大印字スループットは、概ね、ワークWの搬送速度に対して負の相関関係を有しており、搬送速度の上限値を特徴付けるパラメータとも云える。
【0226】
一般に、移動印字において印字間隔を過度に短く設定しまうと、ワーク要素Weに対してマーキングを行うたびに、当該ワーク要素We上で見たマーキングの開始位置が徐々にずれていってしまい、最終的に、当該開始位置が照射エリアR1の範囲外までオフセットしてしまう可能性がある。
【0227】
こうした事象を抑制するためには、印字間隔に上限を設けることが考えられるが、そうした上限の設定は、不慣れなユーザには困難であり、ユーザビリティ向上という観点で改善の余地があった。
【0228】
そこで、本実施形態に係る設定部103は、第2IF部107によるトリガ信号の受信間隔と、搬送方向Atにおける各照射エリアR1の幅(以下、「印字エリア幅」ともいう)と、各ワーク要素Weに対するマーキングに要するマーキング時間と、に基づいて、可撓性ワークWの搬送速度の上限を算出する。この上限値は、ワークWの搬送速度の上限値として算出してもよいし、前述した最大印字スループットのように、搬送速度の上限を特徴付けるパラメータとして算出してもよい。ここでは、最大印字スループットを算出するケースについて例示する。
【0229】
最大印字スループットの算出に際して、設定部103は、トリガボタンS14または印字時間確認ボタンS15に対するユーザ入力を契機として、印字テストを実行し、その印字テストに要した印字時間(前記マーキング時間に相当)を更新する。トリガボタンS14が操作された場合は実際にマーキングが実行され、印字時間確認ボタンS15が操作された場合はレーザを出射せずに印字に関連した動作のみが実行されるようになっている。また、印字時間を予測する機能があれば、それを用いて印字時間を予測するように構成してもよい。
【0230】
なお、ここでいう印字時間(マーキング時間)とは、印字を開始してから次の印字を開始できるまでに経過する時間を意味しており、レーザ光走査部3を構成するスキャナミラーを所定位置まで戻すのに要する時間と、レーザ光の制御に関連した動作状態を印字開始状態へと戻す処理に要する時間とを含んでいる。
【0231】
その後、設定部103は、第43表示項目I43を通じてトリガ間隔の入力を受け付ける。ジョブ情報の設定に際して「等速印字」が選択されていた場合、トリガ間隔は、ユーザによって手動で入力されてもよい。同様に、「フィルム回転数」が選択されていた場合、マーク間隔Imの値が自動的に入力されるように構成してもよい。
【0232】
その後、設定部103は、前記印字エリア幅を記憶装置120等から読み込む。設定支援画像Paの説明に際して言及したように、照射エリアR1におけるマーキングの開始位置と、照射エリアR1におけるマーキングの終了位置とのうちの少なくとも一方が設定変更されている場合、その開始位置から終了位置までの距離が、印字エリア幅として用いられることになる。この場合、設定変更されていない場合と比較して、印字エリア幅はより狭くなる。
【0233】
さらに、XY平面に沿ってワークWを移動させるのに加えて、Z方向に沿ってワークWの位置が変化するような移動経路を採用した場合、照射エリアR1は、ワークWの移動経路に沿った3次元曲面となり得る。この場合、マーカコントローラ100は、その3次元曲面に応じた補正を前記展開処理の前後に行うことになる。そうした補正を行った場合、補正を行わない場合と比較して、印字エリア幅はより狭くなる。
【0234】
なお、マーキング開始位置および/または終了位置の設定変更と、3次元曲面に関する補正と、を併用した場合、設定部103は、もっとも狭い印字エリア幅を採用する。
【0235】
その後、設定部103は、トリガ間隔と、最狭の印字エリア幅との大小関係を比較して、より狭い一方を「有効印字エリア幅」に設定する。設定部103は、有効印字エリア幅の値を記憶装置120に記憶させたり、印字テスト画面D4に表示したりしてもよい。
【0236】
その後、設定部103は、
搬送速度の上限値[mm/s]=有効印字エリア幅[mm]/印字時間[s] …(E)
という演算を通じて搬送速度の上限値を算出する。
【0237】
その後、設定部103は、
最大印字スループット[個/min]=60/(トリガ間隔[mm]/搬送速度の上限値[mm/s]) …(F)
という演算を通じて、最大印字スループットを算出しそれを第44表示項目I44に表示させる。ユーザは、表示された最大印字スループットを参照することで、ジョブ情報を修正することができる。
【0238】
(3)その後の処理
印字テストに関する処理が完了すると、表示制御部105は、印字テスト画面D4ジョブ情報設定画面D4から、ホーム画面D4またはジョブメニュー画面D4’へと表示内容を遷移させる。この遷移に伴って、図8に示す制御プロセスは、ステップSt17に係る処理を終了し、図7のステップSt1からステップSt2へと進むことになる。
ホーム画面D4またはジョブメニュー画面D4’へと表示内容を遷移させる。この遷移に伴って、図9に示す制御プロセスは、ステップSt13に係る処理を終了し、図8のステップSt1からステップSt2へと進むことになる。
【0239】
(ステップSt2)
図9は、印字ジョブPjの切替に関する処理を例示するフローチャートであり、図7のステップSt2の詳細を示す図である。つまり、図7のステップSt2は、図9のステップSt21~St25を一ステップとして表したものに相当する。なお、ジョブ切替が不要な場合、制御プロセスは、ステップSt2をスキップしてステップSt3に進むようになっている。以下の説明は、ジョブ切替が行われることを前提としたものである。
【0240】
ステップSt21において、表示制御部105は、ユーザの操作入力に基づいて、表示部102上に、ジョブメニュー画面D4’を表示させる。この場合、設定平面R2には、現在選択中の印字ジョブPjが表示されることになる。その状態で、コントローラ本体100aは、第7表示項目I7に対するユーザ入力に基づいて、印字ジョブPjの一覧から一の印字ジョブPjを選択する。
【0241】
続くステップSt22において、受付部104は、切替先の印字ジョブPjが選択された状態で、切替ボタンS6に対するタップ操作、クリック操作等のユーザ入力を受け付ける。
【0242】
続くステップSt23において、受付部104は、切替先の印字ジョブPjに、設定変更が許可された印字ブロックPbが含まれるか否かを判定する。この判定は、記憶装置120に記憶された変更規則Clに基づいて行われるようになっている。
【0243】
ステップSt23の判定がNOの場合、制御プロセスは、ステップSt24をスキップしてステップSt25へ進み、印字ジョブPjの切替を完了する。この場合、コントローラ本体100aは、切替後の印字ジョブPjを示すデータに対して展開処理を実行し、その印字ジョブPjに対応した展開データを生成する。
【0244】
一方、ステップSt23の判定がYESの場合、制御プロセスは、ステップSt23からステップSt24へと進むことになる。この場合、表示制御部105は、ジョブメニュー画面D4’から、同画面D4’と同様に運転画面の一をなすプレビュー画面(不図示)へと、表示内容を遷移させる。
【0245】
詳細は省略するが、プレビュー画面では、設定変更が許可された印字ブロックPbを並べて表示したり、設定変更が許可された印字ブロックPbの編集画面を表示させたりすることができる。
【0246】
設定変更が許可された印字ブロックPbに対する編集操作(例えば、各印字ブロックPbの文字列変更)が完了すると、設定部103は、ジョブ切替に伴い生じる設定を完了し、制御プロセスをステップSt24からステップSt25へと進めることになる。これにより、図9に示す制御プロセスは、同図に示す処理を全て終了し、図7のステップSt2からステップSt3へと進むことになる。
【0247】
(ステップSt3)
図10は、印字ジョブPjの運転に関する処理を例示するフローチャートであって、図7のステップSt3の詳細を示す図である。つまり、図7のステップSt3は、図10のステップSt31~St35を一ステップとして表したものに相当する。
【0248】
まず、ステップSt31において、コントローラ本体100aは、スイッチボタンS3に対するタップ操作、クリック操作等のユーザ入力を受け付ける。
【0249】
続くステップSt32では、PLC402からの制御信号等を通じて加工設備500が稼動し、ワークWの搬送が開始される。続くステップSt33では、エンコーダ401、マーク検出センサ403等による検出信号がコントローラ本体100aに入力される。
【0250】
続くステップSt34では、入力された検出信号に基づいて、トリガ信号入力後のワーク要素Weの移動量が、トリガーディレイOfに達した否かを判定する。この判定がYESの場合はステップSt35に進む一方、NOの場合はステップSt34に係る判定を繰り返す。この判定は、トリガ信号入力後の経過時間が、トリガーディレイOfに相当する時間に達した否かに基づいて行ってもよい。
【0251】
続くステップSt35では、マーキング制御部109がレーザ光生成部2およびレーザ光走査部3を制御することで、各ワーク要素Weに対するマーキングを実行する。
【0252】
<レーザマーキング装置Lの設定支援について>
図16等に示したように、本実施形態によると、レーザマーキング装置Lは、ワークWの移動量がトリガーディレイOfに達したときにマーキングを開始する。ここで、表示部102上に設定支援画像Paを表示させることで、不慣れなユーザであっても、その設定支援画像Paを参照してトリガーディレイOfを容易に設定することができる。これにより、レーザマーキング装置Lの使い勝手を向上させることができる。
【0253】
また、図20および図21に示したように、レーザマーキング装置Lの設置状況に応じた設定支援画像Pa,Pa’,Pa”,Paを表示させることができ、そのことで、レーザマーキング装置の使い勝手をさらに向上させることができる。
【0254】
また、図20等の第33表示項目I33に示したように、レーザマーキング装置Lの姿勢を入力可能に構成するとともに、その入力内容に応じた設定支援画像Pa,Pa’,Pa”,Paを表示することができ、レーザマーキング装置Lの使い勝手をさらに向上させることができる。
【0255】
また、図22に示したように、複数枚の設定支援画像を用意する代わりに、一枚の設定支援画像Paを90°、180°または270°回転させて表示することで、レーザマーキング装置Lの姿勢に応じた画像をより容易に表示することが可能となる。
【0256】
また、図16等の第28表示項目I28および第29表示項目I29に示したように、トリガーディレイOfの入力を直に受け付ける代わりに、第1オフセット量O1および第2オフセット量O2の入力を受け付けるように構成した場合、定規等を用いて各パラメータを計測することできる。このことは、レーザマーキング装置Lの使い勝手の向上に資する。
【0257】
また、図16等の第31表示項目I31および第32表示項目I32に示したように、マーキングの開始位置を照射範囲(照射エリアR1)の中央部Paに近接させることで、その開始位置を照射エリアR1の縁部に設定した場合と比べて、印字品質を向上させることができる。このように、より詳細な設定を許容するように構成することで、よりバリエーションに富んだ設定を実現可能とし、ひいてはレーザマーキング装置Lの使い勝手を向上させる上で有利になる。
【符号の説明】
【0258】
L レーザマーキング装置
1 マーカヘッド
2 レーザ光生成部
3 レーザ光走査部
100 マーカコントローラ
100a コントローラ本体
100b ユーザ端末
102 表示部
103 設定部
105 表示制御部
107 第2IF部(インターフェース部)
108 第3IF部(第2のインターフェース部)
109 マーキング制御部
110 移動量監視部
403 エンコーダ
D4 ジョブ情報設定画面(第1の設定画面)
D4’ 第2のジョブ情報設定画面(第2の設定画面)
Mr 位置合わせ用マーク
Of トリガーディレイ(オフセット量)
O1 第1オフセット量
O2 第2オフセット量
Pa 設定支援画像
Pa’ 第2の設定支援画像
Pa” 第3の設定支援画像
Pa 第4の設定支援画像
R1 照射エリア(照射領域)
W ワーク(可撓性ワーク)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24