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特開2023-42549アンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム
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  • 特開-アンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042549
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】アンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/20 20060101AFI20230317BHJP
   F02B 43/10 20060101ALI20230317BHJP
   F01D 15/04 20060101ALI20230317BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20230317BHJP
   F01K 25/06 20060101ALI20230317BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20230317BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20230317BHJP
【FI】
B63H21/20
F02B43/10 Z
F01D15/04
F01K25/10 F
F01K25/06
H01M8/04 Z
H01M8/00 Z
H01M8/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097354
(22)【出願日】2022-06-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】202111076550.8
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520409578
【氏名又は名称】哈爾濱工程大学
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】趙 建輝
(72)【発明者】
【氏名】王 偉
(72)【発明者】
【氏名】陳 敬炎
【テーマコード(参考)】
3G081
5H127
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BB07
5H127AA05
5H127AB04
5H127AB26
5H127AB29
5H127AC04
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB39
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液体アンモニア供給装置と、アンモニア燃料動力装置と、水素燃料動力装置と、船舶主母線と、変速機ケースとを含むアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システムを提供する。
【解決手段】液体アンモニアタンクは電気ヒータに接続され、電気ヒータは船舶主母線及びアンモニア燃料エンジンに接続され、アンモニア燃料エンジンは可逆モータに接続され、可逆モータは変速機ケース及び船舶主母線に接続され、水素ガスタンクはプロトン交換膜燃料電池に接続され、圧縮空気はプロトン交換膜燃料電池に接続され、プロトン交換膜燃料電池、第1のインバータ、第2の遮断器は順に接続されかつ船舶主母線に接続され、船舶主母線は主電動機スイッチを介して主電動機に接続され、主電動機はメインクラッチを介して変速機ケースに接続され、変速機ケースは船舶プロペラに接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体アンモニア供給装置と、アンモニア燃料動力装置と、水素燃料動力装置と、船舶主母線と、変速機ケースとを含み、前記液体アンモニア供給装置は液体アンモニアタンクを含み、前記アンモニア燃料動力装置は電気ヒータ、アンモニア燃料エンジンおよび可逆モータを含み、液体アンモニアタンクは第1の逆止弁を介して電気ヒータに接続され、電気ヒータは電気ヒータスイッチを介して船舶主母線に接続され、電気ヒータはアンモニア燃料エンジンに接続され、アンモニア燃料エンジンは第1のクラッチを介して可逆モータに接続され、可逆モータは第2のクラッチを介して変速機ケースに接続され、可逆モータは第1の遮断器を介して船舶主母線に接続され、前記水素燃料動力装置は水素ガスタンク、圧縮空気およびプロトン交換膜燃料電池を含み、水素ガスタンクは第1の吸気弁を介してプロトン交換膜燃料電池に接続され、圧縮空気は第2の吸気弁を介してプロトン交換膜燃料電池に接続され、プロトン交換膜燃料電池、第1のインバータ、第2の遮断器は順に接続されかつ船舶主母線に接続され、船舶主母線は主電動機スイッチを介して主電動機に接続され、主電動機はメインクラッチを介して変速機ケースに接続され、変速機ケースは船舶プロペラに接続される、ことを特徴とするアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム。
【請求項2】
バッテリエネルギー貯蔵装置をさらに含み、前記バッテリエネルギー貯蔵装置はバッテリを含み、バッテリは第2のインバータに接続され、第2のインバータはバッテリ出口スイッチを介して船舶主母線に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム。
【請求項3】
余熱利用装置をさらに含み、前記余熱利用装置は水タンクと、熱交換器と、セパレータと、パワータービンと、復熱器と、凝縮器とを含み、液体アンモニアタンクは第2の逆止弁を介して水タンクに接続され、熱交換器の2つの入口はアンモニア燃料エンジンおよび水タンクにそれぞれ接続され、熱交換器の出口はセパレータに接続され、セパレータは第3の吸気弁を介してパワータービンに接続され、セパレータはゲートバルブを介して凝縮器に接続され、パワータービン、発電機、第3の遮断器は順に接続されかつ船舶主母線に接続され、パワータービン、復熱器、凝縮器は順に接続され、凝縮器は低圧ポンプを介して復熱器に接続され、復熱器は水タンクに接続される、ことを特徴とする請求項1または2に記載のアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム。
【請求項4】
船舶始動モードでは、第1の逆止弁が開き、第2の逆止弁が閉じ、バッテリ出口スイッチがオンになり、バッテリは第2のインバータを介して直流電力を交流電力に変換して船舶主母線に充電し、主電動機スイッチがオフになり、主電動機が始動せず、電気ヒータスイッチがオンになり、船舶主母線は電気ヒータに給電し、電気ヒータが始動して液体アンモニアを加熱し、液体アンモニアは、気化した後、燃焼のためにアンモニア燃料エンジンに入り、第1のクラッチと第2のクラッチが結合され、第1の遮断器が切断し、可逆モータは電動機作動状態に切り替え、出力動力は変速機ケースを介して船舶プロペラの回動を駆動する、ことを特徴とする請求項3に記載のアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム。
【請求項5】
船舶加速モードでは、第1の吸気弁および第2の吸気弁が開き、水素ガスタンクはセルスタックアノードにアクセスし、圧縮空気はセルスタックカソードにアクセスし、プロトン交換膜燃料電池が作動し、出力電力は第2のインバータを介して直流電力を交流電力に変換して船舶主母線に充電し、バッテリ出口スイッチがオフになり、プロトン交換膜燃料電池は電気ヒータに給電し、主電動機スイッチがオンになり、メインクラッチが結合され、船舶主母線はアンモニア燃料エンジンと共にメイン変速機ケースの作動を駆動する、ことを特徴とする請求項3に記載のアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム。
【請求項6】
船舶減速モードでは、バッテリ出口スイッチがオンになり、バッテリは第2のインバータ装置を介して直流電力を交流電力に変換して船舶主母線に充電し、遮断器が切断し、第1の吸気弁および第2の吸気弁が閉じ、水素燃料動力装置が作動を停止し、第1の遮断器がオンになり、第2のクラッチがオフになり、可逆モータは発電機作動状態に切り替えて電力を発して船舶主母線に供給し、バッテリ出口スイッチがオフになり、船舶はアンモニア燃料エンジンによって可逆モータを駆動して発電して船舶主母線に供給し、船舶主母線によって主電動機に給電し、船舶プロペラを駆動する、ことを特徴とする請求項3に記載のアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム。
【請求項7】
余熱利用モードでは、第2の逆止弁が開き、液体アンモニアの一部が液体アンモニアタンクの第2の出口を通過して水タンクに入ってアンモニア水溶液に混合され、第2の出口から流出する液体アンモニアの体積が設定値に達するとき、第2の逆止弁が閉じ、アンモニア燃料エンジンの出口排ガスは熱交換器内でアンモニア水溶液を加熱し、アンモニア水溶液はセパレータにおいて飽和アンモニア蒸気および希釈アンモニア溶液に分離され、第3の吸気弁が開き、飽和アンモニア蒸気はパワータービンに入って膨張して仕事をし、発電機の作動を駆動し、第3の遮断器およびバッテリ出口スイッチがオンになり、余熱利用装置によって出力された電力は船舶主母線を介して分配されかつバッテリに貯蔵され、ゲートバルブが開き、仕事を完了したアンモニア蒸気は復熱器を介して凝縮器に入って、希釈アンモニア溶液はゲートバルブを介して凝縮器に入ってアンモニア蒸気と共に凝縮され、低圧ポンプは凝縮されたアンモニア水溶液を復熱器を介して水タンクに戻して次回の熱的サイクルを行う、ことを特徴とする請求項3に記載のアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は船舶動力装置に関し、具体的には船舶混合動力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海洋排出規制の厳格化に伴い、各国の海運部門から船舶汚染物質の排出問題への関心が高まっている。さらに、世界貿易の継続的な発展は、船舶の載貨力に対するより高い要件も提唱している。従来のディーゼルエンジン推進法は、船舶の航行中の負荷要件を迅速に満たすことができるが、エネルギー利用率が低く、運転中の燃料消費量が多すぎ、騒音が大きすぎるなどの欠点がある。電気推進は、クリーンで、応答速度が速く、運転効率が高いなどの利点があるが、航続力の悪さ、運転条件の頻繁な切り替えなど、船舶の送電網に損傷を与えやすく、運用・維持費が高すぎるなどの欠点がある。ディーゼル推進と電気推進を組み合わせて船舶混合動力システムを形成することで、両者の利点を効果的に組み合わせ、それぞれの欠点を補うことができる。混合動力システムは、純粋なディーゼル推進と比較して、運転中の燃料消費ノイズを低減し、エネルギー利用率を向上させ、混合動力システムは、純粋な電気推進と比較して、船舶の航続力を改善し、船舶の送電網の維持費を削減する。
【0003】
中国特許出願「新エネルギー船舶用リチウムイオン電池-燃料油混合動力システム」(特許文献1)は新エネルギー船舶用リチウムイオン電池-燃料油混合動力システムを提供し、運転中に騒音がなく、船舶の航続距離が長くなるなどの利点を有するが、それはエンジン燃料として燃料油を用いるため、二酸化硫黄、一酸化炭素などの汚染物質の排出が多く、かつリチウムイオン電池を電気推進源とし、充電時間が長く、運転寿命が低いなどの欠点が存在する。
【0004】
中国特許出願「船舶エンジンの余熱利用システムおよび方法」(特許文献2)は新規な船舶エンジンの余熱利用システムを提供し、船舶エンジンのスモークと冷却水の結合階段利用を実現し、エンジンの効率を顕著に向上させるが、水蒸気と有機物をランキンサイクル作動媒体として余熱を回収して発電し、出力電力が安定せず、余熱利用率が高くないなどの欠点が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】CN112572745A
【特許文献2】CN109736963B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、現在の船舶が航行しているときの二酸化硫黄および炭化水素の過剰排出や余熱の低い利用率などの問題を解決するためのアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、以下のように実現される。
【0008】
本発明のアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システムは、液体アンモニア供給装置と、アンモニア燃料動力装置と、水素燃料動力装置と、船舶主母線と、変速機ケースとを含み、前記液体アンモニア供給装置は液体アンモニアタンクを含み、前記アンモニア燃料動力装置は電気ヒータ、アンモニア燃料エンジンおよび可逆モータを含み、液体アンモニアタンクは第1の逆止弁を介して電気ヒータに接続され、電気ヒータは電気ヒータスイッチを介して船舶主母線に接続され、電気ヒータはアンモニア燃料エンジンに接続され、アンモニア燃料エンジンは第1のクラッチを介して可逆モータに接続され、可逆モータは第2のクラッチを介して変速機ケースに接続され、可逆モータは第1の遮断器を介して船舶主母線に接続され、前記水素燃料動力装置は水素ガスタンク、圧縮空気およびプロトン交換膜燃料電池を含み、水素ガスタンクは第1の吸気弁を介してプロトン交換膜燃料電池に接続され、圧縮空気は第2の吸気弁を介してプロトン交換膜燃料電池に接続され、プロトン交換膜燃料電池、第1のインバータ、第2の遮断器は順に接続されかつ船舶主母線に接続され、船舶主母線は主電動機スイッチを介して主電動機に接続され、主電動機はメインクラッチを介して変速機ケースに接続され、変速機ケースは船舶プロペラに接続される、ことを特徴とする。
【0009】
本発明は、さらに以下を含んでもよい。
1、バッテリエネルギー貯蔵装置をさらに含み、前記バッテリエネルギー貯蔵装置はバッテリを含み、バッテリは第2のインバータに接続され、第2のインバータはバッテリ出口スイッチを介して船舶主母線に接続される。
【0010】
2、余熱利用装置をさらに含み、前記余熱利用装置は水タンクと、熱交換器と、セパレータと、パワータービンと、復熱器と、凝縮器とを含み、液体アンモニアタンクは第2の逆止弁を介して水タンクに接続され、熱交換器の2つの入口はアンモニア燃料エンジンおよび水タンクにそれぞれ接続され、熱交換器の出口はセパレータに接続され、セパレータは第3の吸気弁を介してパワータービンに接続され、セパレータはゲートバルブを介して凝縮器に接続され、パワータービン、発電機、第3の遮断器は順に接続されかつ船舶主母線に接続され、パワータービン、復熱器、凝縮器は順に接続され、凝縮器は低圧ポンプを介して復熱器に接続され、復熱器は水タンクに接続される。
【0011】
3、船舶始動モードでは、第1の逆止弁が開き、第2の逆止弁が閉じ、バッテリ出口スイッチがオンになり、バッテリは第2のインバータを介して直流電力を交流電力に変換して船舶主母線に充電し、主電動機スイッチがオフになり、主電動機が始動せず、電気ヒータスイッチがオンになり、船舶主母線は電気ヒータに給電し、電気ヒータが始動して液体アンモニアを加熱し、液体アンモニアは、気化した後、燃焼のためにアンモニア燃料エンジンに入り、第1のクラッチと第2のクラッチが結合され、第1の遮断器が切断し、可逆モータは電動機作動状態に切り替え、出力動力は変速機ケースを介して船舶プロペラの回動を駆動する。
【0012】
4、船舶加速モードでは、第1の吸気弁および第2の吸気弁が開き、水素ガスタンクはセルスタックアノードにアクセスし、圧縮空気はセルスタックカソードにアクセスし、プロトン交換膜燃料電池が作動し、出力電力は第2のインバータを介して直流電力を交流電力に変換して船舶主母線に充電し、バッテリ出口スイッチがオフになり、プロトン交換膜燃料電池は電気ヒータに給電し、主電動機スイッチがオンになり、メインクラッチが結合され、船舶主母線はアンモニア燃料エンジンと共にメイン変速機ケースの作動を駆動する。
【0013】
5、船舶減速モードでは、バッテリ出口スイッチがオンになり、バッテリは第2のインバータ装置を介して直流電力を交流電力に変換して船舶主母線に充電し、遮断器が切断し、第1の吸気弁および第2の吸気弁が閉じ、水素燃料動力装置が作動を停止し、第1の遮断器がオンになり、第2のクラッチがオフになり、可逆モータは発電機作動状態に切り替えて電力を発して船舶主母線に供給し、バッテリ出口スイッチがオフになり、船舶はアンモニア燃料エンジンによって可逆モータを駆動して発電して船舶主母線に供給し、船舶主母線によって主電動機に給電し、船舶プロペラを駆動する。
【0014】
6、余熱利用モードでは、第2の逆止弁が開き、液体アンモニアの一部が液体アンモニアタンクの第2の出口を通過して水タンクに入ってアンモニア水溶液に混合され、第2の出口から流出する液体アンモニアの体積が設定値に達するとき、第2の逆止弁が閉じ、アンモニア燃料エンジンの出口排ガスは熱交換器内でアンモニア水溶液を加熱し、アンモニア水溶液はセパレータにおいて飽和アンモニア蒸気および希釈アンモニア溶液に分離され、第3の吸気弁が開き、飽和アンモニア蒸気はパワータービンに入って膨張して仕事をし、発電機の作動を駆動し、第3の遮断器およびバッテリ出口スイッチがオンになり、余熱利用装置によって出力された電力は船舶主母線を介して分配されかつバッテリに貯蔵され、ゲートバルブが開き、仕事を完了したアンモニア蒸気は復熱器を介して凝縮器に入って、希釈アンモニア溶液はゲートバルブを介して凝縮器に入ってアンモニア蒸気と共に凝縮され、低圧ポンプは凝縮されたアンモニア水溶液を復熱器を介して水タンクに戻して次回の熱的サイクルを行う。
【発明の効果】
【0015】
本発明の利点は、以下のとおりである。
1、アンモニア-水素駆動の複合型船舶混合動力システムを採用し、船舶の運転中に燃料が完全に燃焼する生成物は窒素と水であり、二酸化硫黄、炭化水素、カーボンスモーク、一酸化炭素などの汚染物の排出を低減させ、省エネルギーで排出を低減させ、グリーンで低炭素、海洋環境保護という目的を達成する。
【0016】
2、アンモニア水混合物を作動媒体として熱的サイクルに参与し、アンモニア水混合物が変温プロセスにおいて沸騰を実現できるという特徴を利用し、吸熱プロセスにおける不可逆損失を効果的に削減し、それによりアンモニア燃料エンジン排気ガスの余熱利用率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明についてさらに詳細に説明する。
図1を合わせて、本発明は、液体アンモニア供給装置1と、アンモニア燃料動力装置2と、余熱利用装置3と、バッテリエネルギー貯蔵装置4と、水素燃料動力装置5と、船舶主母線6と、主電動機スイッチ7と、主電動機8と、メインクラッチ9と、変速機ケース10と、船舶プロペラ11とを含む。
【0019】
上記液体アンモニア供給装置1は、液体アンモニアタンク101と、圧力計102と、圧力警報器103と、制御ユニット104と、第1の逆止弁105と、第2の逆止弁106とを含む。圧力計102は第1の液体アンモニアタンク101の上端に取り付けられ、圧力計102は圧力警報器103と連結され、圧力警報器103は制御ユニット104と連結され、制御ユニット104は第1の逆止弁105の電磁弁コアと連結され、液体アンモニアタンクの第1の出口は第1の逆止弁105の入口と連結され、第1の逆止弁105の出口は電気ヒータ201の入口に接続される。液体アンモニアタンク101の第2の出口は第2の逆止弁106の入口と連結され、第2の逆止弁106の出口は水タンク301の入口に接続される。
【0020】
前記アンモニア燃料動力装置2は、電気ヒータ201と、アンモニア燃料エンジン202と、第1のクラッチ203と、可逆モータ204と、第2のクラッチ205と、遮断器206と、電気ヒータスイッチ207とを含む。電気ヒータ201は電気ヒータスイッチ207を介して船舶主母線6に接続される。電気ヒータ201の出口はアンモニア燃料エンジン202の入口と連結され、アンモニア燃料エンジン202は第1のクラッチ203と同軸に連結され、第1のクラッチ203は可逆モータ204に接続され、可逆モータ204は第2のクラッチ205および遮断器206とそれぞれ連結され、遮断器206は船舶主母線6に接続され、第2のクラッチ205は変速機ケース10に接続され、変速機ケース10は船舶プロペラ11に接続される。
【0021】
前記余熱利用装置3は、水タンク301と、熱交換器302と、セパレータ303と、吸気弁304と、パワータービン305と、発電機306と、遮断器307と、ゲートバルブ308と、復熱器309と、凝縮器310と、低圧ポンプ311とを含む。液体アンモニアタンク101は第2の逆止弁106を介して液体アンモニアを水タンク301に輸送し、液体アンモニアと水を混合する。水タンク301の出口は熱交換器302の第1の入口と連結され、熱交換器302の第2の入口はアンモニア燃料エンジン202の排ガス出口と連結され、熱交換器302の出口はセパレータ303の入口と連結される。セパレータ303において、アンモニア水溶液は飽和アンモニア蒸気および希釈アンモニア溶液に分離される。飽和アンモニア蒸気は吸気弁304を介してパワータービン305に入って膨張して仕事をし、パワータービン305は発電機306と同軸に連結され、発電機306は電力を出力するために遮断器307を介して船舶主母線6に接続される。仕事を完了した飽和アンモニア蒸気は復熱器309を介して凝縮器310に入って、希釈アンモニア溶液はゲートバルブ308を介して凝縮器310に入って共に凝縮される。凝縮器310の出口にある液体は低圧ポンプ311を通過して、まず復熱器309に流入してから水タンク301に戻り、次回の熱的サイクルに参与する。
【0022】
前記バッテリエネルギー貯蔵装置4は、バッテリ401と、インバータ402と、バッテリ出口スイッチ403とを含む。バッテリ401はインバータ402に接続され、インバータ402はバッテリ出口スイッチ403と連結され、バッテリ出口スイッチ403は船舶主母線6に接続される。
【0023】
前記水素燃料動力装置5は、水素ガスタンク501と、圧縮空気502と、吸気弁503と、吸気弁504と、プロトン交換膜燃料電池505と、インバータ506と、遮断器507とを含む。水素ガスタンク501は吸気弁503を介してプロトン交換膜燃料電池505のセルスタックアノードに接続され、圧縮空気502は吸気弁504を介してプロトン交換膜燃料電池505のセルスタックカソードに接続され、セルスタックの出口はインバータ506に接続され、インバータ506の出口は遮断器507に接続され、さらに船舶主母線6に接続される。
【0024】
前記船舶主母線6は主電動機スイッチ7を介して主電動機8と連結され、主電動機8はメインクラッチ9に接続され、メインクラッチ9は変速機ケース10に接続され、さらに船舶プロペラ11に接続される。
【0025】
船舶始動モードでは、圧力計102は、圧力測定値が正常範囲内にあり、圧力警報器103および制御ユニット104は動作せず、第1の逆止弁105が開き、第2の逆止弁106が閉じる。バッテリ出口スイッチ403をオンにし、バッテリ401はインバータ装置402を介して直流電力を交流電力に変換して船舶主母線6に充電する。主電動機スイッチ7がオフになり、主電動機8は始動しない。電気ヒータスイッチ207がオンになり、船舶主母線6は電気ヒータ201に給電する。電気ヒータ201が始動して液体アンモニアを加熱し、液体アンモニアは、気化した後、燃焼のためにアンモニア燃料エンジン202に入り、第1のクラッチ203と第2のクラッチ205が結合され、遮断器206が切断し、可逆モータ205は電動機作動状態に切り替え、出力動力は変速機ケース10を介して船舶プロペラ11の回動を駆動する。このとき、船舶が始動する。
【0026】
船舶加速モードでは、船舶が始動した後、吸気弁503および吸気弁504が開き、水素ガスタンク501はセルスタックアノードにアクセスし、圧縮空気502はセルスタックカソードにアクセスし、プロトン交換膜燃料電池505が作動し、出力電力はインバータ装置506を介して直流電力を交流電力に変換して船舶主母線6に充電する。バッテリ出口スイッチ403をオフにし、バッテリ401と船舶主母線6との接続を遮断し、プロトン交換膜燃料電池505によって電気ヒータ201に給電する。主電動機スイッチ7をオンにし、主電動機8が始動し、メインクラッチ9が結合し、船舶主母線およびアンモニア燃料エンジン202は共にメイン変速機ケース10の作動を駆動し、船舶プロペラ11を作動させる。このとき、船舶はアンモニア燃料エンジン-電力によって混合推進され、供給される動力が増加し、加速モードに入る船舶の負荷需要を満たすことができる。
【0027】
船舶減速モードでは、バッテリ出口スイッチ403をオンにし、バッテリ401はインバータ装置402を介して直流電力を交流電力に変換して船舶主母線6に充電する。遮断器507は切断してプロトン交換膜燃料電池505と船舶主母線6との接続を遮断する。吸気弁503および吸気弁504が閉じ、水素燃料動力装置5は作動を停止する。遮断器206をオンにし、第2のクラッチ205を切断し、可逆モータ205は発電機作動状態に切り替えて電力を発して船舶主母線6に供給する。バッテリ出口スイッチ403はオフになってバッテリ401と船舶主母線6との接続を遮断する。このとき、船舶は、アンモニア燃料エンジン202によって発電機204を駆動して発電させて船舶電力網6に供給し、船舶電力網6によって電動機8に給電して船舶プロペラ11を駆動する。
【0028】
余熱利用モードでは、第2の逆止弁106が開き、液体アンモニアの一部は液体アンモニアタンクの第2の出口を通過して水タンク301に入ってアンモニア水溶液に混合される。第2の出口から流出する液体アンモニアの体積が設定値に達するとき、第2の逆止弁106が閉じる。アンモニア燃料エンジン202の出口排ガスは熱交換器302内でアンモニア水溶液を加熱する。アンモニア水溶液はセパレータ303において飽和アンモニア蒸気および希釈アンモニア溶液に分離され、吸気弁304を開け、飽和アンモニア蒸気はパワータービン305に入って膨張して仕事をし、発電機306の作動を駆動し、遮断器307およびバッテリ出口スイッチ403がオンになり、余熱利用装置によって出力された電力は船舶主母線を介して分配されかつバッテリ401に貯蔵される。ゲートバルブ308が開き、仕事を完了したアンモニア蒸気は復熱器309を介して凝縮器310に入る。希釈アンモニア溶液もゲートバルブ308を介して凝縮器310に入ってアンモニア蒸気と共に凝縮される。低圧ポンプ311は凝縮されたアンモニア水溶液を復熱器309を介して水タンク301に戻して次回の熱的サイクルを行う。
【符号の説明】
【0029】
1 液体アンモニア供給装置
2 アンモニア燃料動力装置
3 余熱利用装置
4 バッテリエネルギー貯蔵装置
5 水素燃料動力装置
6 船舶主母線
7 主電動機スイッチ
8 主電動機
9 メインクラッチ
10 変速機ケース
11 船舶プロペラ
101 液体アンモニアタンク
102 圧力計
103 圧力警報器
104 制御ユニット
105 第1の逆止弁
106 第2の逆止弁
201 電気ヒータ
202 アンモニア燃料エンジン
203 第1のクラッチ
204 可逆モータ
205 第2のクラッチ
206 遮断器
207 電気ヒータスイッチ
301 水タンク
302 熱交換器
303 セパレータ
304 吸気弁
305 パワータービン
306 発電機
307 遮断器
308 ゲートバルブ
309 復熱器
310 凝縮器
311 低圧ポンプ
401 バッテリ
402 インバータ
403 バッテリ出口スイッチ
501 水素ガスタンク
502 圧縮空気
503 吸気弁
504 吸気弁
505 プロトン交換膜燃料電池
506 インバータ
507 遮断器
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体アンモニア供給装置と、アンモニア燃料動力装置と、水素燃料動力装置と、船舶主母線と、変速機ケースとを含み、前記液体アンモニア供給装置は液体アンモニアタンクを含み、前記アンモニア燃料動力装置は電気ヒータ、アンモニア燃料エンジンおよび可逆モータを含み、液体アンモニアタンクは第1の逆止弁を介して電気ヒータに接続され、電気ヒータは電気ヒータスイッチを介して船舶主母線に接続され、電気ヒータはアンモニア燃料エンジンに接続され、アンモニア燃料エンジンは第1のクラッチを介して可逆モータに接続され、可逆モータは第2のクラッチを介して変速機ケースに接続され、可逆モータは第1の遮断器を介して船舶主母線に接続され、前記水素燃料動力装置は水素ガスタンク、圧縮空気およびプロトン交換膜燃料電池を含み、水素ガスタンクは第1の吸気弁を介してプロトン交換膜燃料電池に接続され、圧縮空気は第2の吸気弁を介してプロトン交換膜燃料電池に接続され、プロトン交換膜燃料電池、第1のインバータ、第2の遮断器は順に接続されかつ船舶主母線に接続され、船舶主母線は主電動機スイッチを介して主電動機に接続され、主電動機はメインクラッチを介して変速機ケースに接続され、変速機ケースは船舶プロペラに接続され、
バッテリエネルギー貯蔵装置をさらに含み、前記バッテリエネルギー貯蔵装置はバッテリを含み、バッテリは第2のインバータに接続され、第2のインバータはバッテリ出口スイッチを介して船舶主母線に接続され、
余熱利用装置をさらに含み、前記余熱利用装置は水タンクと、熱交換器と、セパレータと、パワータービンと、復熱器と、凝縮器とを含み、液体アンモニアタンクは第2の逆止弁を介して水タンクに接続され、熱交換器の2つの入口はアンモニア燃料エンジンおよび水タンクにそれぞれ接続され、熱交換器の出口はセパレータに接続され、セパレータは第3の吸気弁を介してパワータービンに接続され、セパレータはゲートバルブを介して凝縮器に接続され、パワータービン、発電機、第3の遮断器は順に接続されかつ船舶主母線に接続され、パワータービン、復熱器、凝縮器は順に接続され、凝縮器は低圧ポンプを介して復熱器に接続され、復熱器は水タンクに接続され、
船舶減速モードでは、バッテリ出口スイッチがオンになり、バッテリは第2のインバータ装置を介して直流電力を交流電力に変換して船舶主母線に充電し、遮断器が切断し、第1の吸気弁および第2の吸気弁が閉じ、水素燃料動力装置が作動を停止し、第1の遮断器がオンになり、第2のクラッチがオフになり、可逆モータは発電機作動状態に切り替えて電力を発して船舶主母線に供給し、バッテリ出口スイッチがオフになり、船舶はアンモニア燃料エンジンによって可逆モータを駆動して発電して船舶主母線に供給し、船舶主母線によって主電動機に給電し、船舶プロペラを駆動する、ことを特徴とするアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム。
【請求項2】
船舶始動モードでは、第1の逆止弁が開き、第2の逆止弁が閉じ、バッテリ出口スイッチがオンになり、バッテリは第2のインバータを介して直流電力を交流電力に変換して船舶主母線に充電し、主電動機スイッチがオフになり、主電動機が始動せず、電気ヒータスイッチがオンになり、船舶主母線は電気ヒータに給電し、電気ヒータが始動して液体アンモニアを加熱し、液体アンモニアは、気化した後、燃焼のためにアンモニア燃料エンジンに入り、第1のクラッチと第2のクラッチが結合され、第1の遮断器が切断し、可逆モータは電動機作動状態に切り替え、出力動力は変速機ケースを介して船舶プロペラの回動を駆動する、ことを特徴とする請求項に記載のアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム。
【請求項3】
船舶加速モードでは、第1の吸気弁および第2の吸気弁が開き、水素ガスタンクはセルスタックアノードにアクセスし、圧縮空気はセルスタックカソードにアクセスし、プロトン交換膜燃料電池が作動し、出力電力は第2のインバータを介して直流電力を交流電力に変換して船舶主母線に充電し、バッテリ出口スイッチがオフになり、プロトン交換膜燃料電池は電気ヒータに給電し、主電動機スイッチがオンになり、メインクラッチが結合され、船舶主母線はアンモニア燃料エンジンと共にメイン変速機ケースの作動を駆動する、ことを特徴とする請求項に記載のアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム。
【請求項4】
余熱利用モードでは、第2の逆止弁が開き、液体アンモニアの一部が液体アンモニアタンクの第2の出口を通過して水タンクに入ってアンモニア水溶液に混合され、第2の出口から流出する液体アンモニアの体積が設定値に達するとき、第2の逆止弁が閉じ、アンモニア燃料エンジンの出口排ガスは熱交換器内でアンモニア水溶液を加熱し、アンモニア水溶液はセパレータにおいて飽和アンモニア蒸気および希釈アンモニア溶液に分離され、第3の吸気弁が開き、飽和アンモニア蒸気はパワータービンに入って膨張して仕事をし、発電機の作動を駆動し、第3の遮断器およびバッテリ出口スイッチがオンになり、余熱利用装置によって出力された電力は船舶主母線を介して分配されかつバッテリに貯蔵され、ゲートバルブが開き、仕事を完了したアンモニア蒸気は復熱器を介して凝縮器に入って、希釈アンモニア溶液はゲートバルブを介して凝縮器に入ってアンモニア蒸気と共に凝縮され、低圧ポンプは凝縮されたアンモニア水溶液を復熱器を介して水タンクに戻して次回の熱的サイクルを行う、ことを特徴とする請求項に記載のアンモニア-水素駆動に基づく複合型船舶混合動力システム。