(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042562
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】セラミック電子部品、その製造方法、及び誘電体粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230317BHJP
H01G 4/10 20060101ALI20230317BHJP
H01G 4/12 20060101ALI20230317BHJP
C04B 35/468 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
H01G4/30 201K
H01G4/30 201L
H01G4/30 512
H01G4/30 515
H01G4/30 517
H01G4/30 311D
H01G4/30 311Z
H01G4/10
H01G4/12 270
H01G4/12 450
C04B35/468 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】36
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114705
(22)【出願日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0122734
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0044143
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、タエ ユン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュー ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウォン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ヒュン サブ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ヒュン ジョーン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ヨン ビン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC10
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E001AJ03
5E082AB03
5E082BC40
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE26
5E082EE35
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG54
5E082GG10
5E082GG26
5E082GG28
5E082LL02
5E082MM24
(57)【要約】
【課題】本発明は、セラミック電子部品、その製造方法、及び誘電体粉末の製造方法に関する。
【解決手段】本発明の一実施形態によるセラミック電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、Ni、Mg、Al、Si、及びOを含む二次相を第1二次相としたときに、上記誘電体層は複数の第1二次相を含み、上記複数の第1二次相のうち少なくとも1つ以上は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体に配置され、前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
Ni、Mg、Al、Si、及びOを含む二次相を第1二次相としたときに、
前記誘電体層は複数の第1二次相を含み、
前記複数の第1二次相のうち少なくとも1つ以上は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である、セラミック電子部品。
【請求項2】
前記複数の第1二次相のうち少なくとも1つ以上は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が10以上である、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項3】
前記本体は、第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を含み、
前記本体を第1及び第2方向に切断した断面の中央部に位置する10μm×10μmの領域に含まれている第1二次相のうち、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である二次相が6個以上である、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項4】
前記10μm×10μmの領域に含まれている第1二次相のうち、短軸の長さに対する長軸の長さの比が10以上である二次相が2個以上である、請求項3に記載のセラミック電子部品。
【請求項5】
前記本体は、第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を含み、
前記本体を第1及び第2方向に切断した断面の中央部に位置する10μm×10μmの領域で第1二次相が占める面積の割合が0.5%以上である、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項6】
前記10μm×10μmの領域で第1二次相が占める面積の割合が0.9%以上である、請求項5に記載のセラミック電子部品。
【請求項7】
前記10μm×10μmの領域で第1二次相が占める面積の割合が1.1%以上である、請求項5に記載のセラミック電子部品。
【請求項8】
前記10μm×10μmの領域で誘電体層が占める面積のうち第1二次相が占める面積の割合が1.0%以上である、請求項5に記載のセラミック電子部品。
【請求項9】
Ni、Mg、Al、Si、及びOのうち1つ以上を含まない二次相を第2二次相としたときに、
前記誘電体層は1つ以上の第2二次相をさらに含み、前記誘電体層に含まれている二次相の全個数に対する第1二次相の個数の割合が30%以上である、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項10】
前記複数の第1二次相のうち少なくとも1つ以上は、前記内部電極と一部接して配置される、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項11】
前記複数の第1二次相のうち少なくとも1つ以上は、前記内部電極と誘電体層の界面に配置される、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項12】
前記本体を第1及び第2方向に切断した断面で、前記内部電極は切れ部を含み、前記複数の第1二次相のうち少なくとも1つ以上は前記切れ部を貫通して配置される、請求項3に記載のセラミック電子部品。
【請求項13】
前記誘電体層の平均厚さが0.4μm以下である、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項14】
前記内部電極の平均厚さが0.4μm以下である、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項15】
前記誘電体層は複数の誘電体結晶粒を含み、前記誘電体結晶粒のサイズのCV値が0.21%以下である、請求項1に記載のセラミック電子部品。
【請求項16】
水系溶液で熱処理により誘電体物質を合成及び粒成長させる段階と、
前記水系溶液を冷却した後、前記水系溶液に第1元素を含む化合物を追加する段階と、
前記水系溶液を熱処理し、前記誘電体物質の表面に前記第1元素を含むコーティング層を形成する段階と、
前記コーティング層が形成された誘電体物質を乾燥する段階と、を含む、誘電体粉末の製造方法。
【請求項17】
前記第1元素はSiであり、前記第1元素を含む化合物はSi(OR)4である、請求項16に記載の誘電体粉末の製造方法。
【請求項18】
前記誘電体物質は、BaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、及びBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)のうち1つ以上である、請求項16に記載の誘電体粉末の製造方法。
【請求項19】
前記第1元素を含む化合物はアルコキシドである、請求項16に記載の誘電体粉末の製造方法。
【請求項20】
前記第1元素は、Si、Mg、Mn、Al、V、Ca、Li、Cu、Dy、Tb、Nb、Sm、及び、Gdのうち1つ以上である、請求項16に記載の誘電体粉末の製造方法。
【請求項21】
前記コーティング層は、BaとSiの複合相を含む、請求項16に記載の誘電体粉末の製造方法。
【請求項22】
前記誘電体物質は、BaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、及びBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)のうち1つ以上であり、前記第1元素はSiであり、前記第1元素を含む化合物はSi(OR)4であり、
前記コーティング層は、BaとSiの複合相を含む、請求項16に記載の誘電体粉末の製造方法。
【請求項23】
前記コーティング層を形成する段階での熱処理は、前記水系溶液を100℃以上の温度で30分以上維持して行う、請求項16に記載の誘電体粉末の製造方法。
【請求項24】
水系溶液で熱処理により誘電体物質を合成及び粒成長させる段階と、
前記水系溶液を冷却した後、前記水系溶液に第1元素を含む化合物を追加する段階と、
前記水系溶液を熱処理し、前記誘電体物質の表面に前記第1元素を含むコーティング層を形成する段階と、
前記コーティング層が形成された誘電体物質を乾燥して誘電体粉末を得る段階と、
前記誘電体粉末を用いてセラミックグリーンシートを形成する段階と、
前記セラミックグリーンシート上に内部電極用導電性ペーストを印刷した後、積層して積層体を形成する段階と、
前記積層体を焼成し、誘電体層及び内部電極を含む本体を形成する段階と、
前記本体に外部電極を形成する段階と、を含む、セラミック電子部品の製造方法。
【請求項25】
前記誘電体物質はBaTiO3であり、前記第1元素はSiであり、前記コーティング層は、BaとSiの複合相を含む、請求項24に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項26】
前記コーティング層は、Mg、Mn、Al、V、Ca、Li、Cu、Dy、Tb、Nb、Sm、及びGdのうち1つ以上をさらに含む、請求項25に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項27】
前記誘電体物質は、BaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、及びBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)のうち1つ以上であり、
前記第1元素は、Si、Mg、Mn、Al、V、Ca、Li、Cu、Dy、Tb、Nb、Sm、及びGdのうち1つ以上である、請求項24に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項28】
前記第1元素はSiであり、
前記セラミックグリーンシートを形成する時に、添加剤としてSiを追加する、請求項24に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項29】
前記第1元素を含む化合物はSi(OR)4である、請求項28に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項30】
前記誘電体粉末は、100モルの前記誘電体物質に対して0.25モル以上2.49モル以下のSiを含む、請求項24に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項31】
前記誘電体粉末は、100モルの前記誘電体物質に対して0.25モル以上1.66モル以下のSiを含む、請求項24に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項32】
前記誘電体粉末は、100モルの前記誘電体物質に対して0.25モル以上1.25モル以下のSiを含む、請求項24に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項33】
前記コーティング層を形成する段階での熱処理は、前記水系溶液を100℃以上の温度で30分以上維持して行う、請求項30に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項34】
Ni、Mg、Al、Si、及びOを含む二次相を第1二次相としたときに、
前記誘電体層は複数の第1二次相を含み、
前記複数の第1二次相のうち少なくとも1つ以上は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である、請求項30に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項35】
前記本体は、第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を含み、
前記本体を第1及び第2方向に切断した断面の中央部に位置する10μm×10μmの領域で第1二次相が占める面積の割合が0.5%以上である、請求項34に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項36】
前記焼成は、窒素(N2)気体と0.05~ 0.2vol%の水素(H2)気体が混合された気体雰囲気下で行われる、請求項24に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック電子部品、その製造方法、及び誘電体粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック電子部品の1つである積層セラミックキャパシター(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピューター、スマートフォン、及び携帯電話などの種々の電子製品のプリント回路基板に取り付けられ、電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサーである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシターは、小型でありながらも高容量が保障され、且つ実装が容易であるという利点を有するため、種々の電子装置の部品として用いられることができる。近年、コンピューター、モバイル機器などの各種電子機器の小型化、高出力化に伴い、積層セラミックキャパシターに対する小型化及び高容量化の要求も増大している。
【0004】
積層セラミックキャパシターの小型化及び高容量化を達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くし、積層数を増加させる必要がある。現在、誘電体層の厚さは、約0.6μmレベルまで達している状態であり、薄層化が進みつつある。しかし、誘電体層の厚さが薄くなるほど、同一の作動電圧で誘電体に印加される電界が大きくなるため、誘電体の信頼性を確保することが必須である。
【0005】
そこで、信頼性が向上した誘電体の構造の開発が求められている。また、誘電体層を形成するための誘電体粉末の微粒化と、添加剤の分布に対する重要性が大きくなっており、微粒の誘電体粉末への添加剤の分布を均一化する技術開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の様々な目的の1つは、信頼性に優れたセラミック電子部品を提供することにある。
【0007】
本発明の様々な目的の1つは、信頼性に優れたセラミック電子部品の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の様々な目的の1つは、均一なコーティング層が配置され、低温で焼成が可能な誘電体粉末の製造方法を提供することにある。
【0009】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によるセラミック電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、Ni、Mg、Al、Si、及びOを含む二次相を第1二次相としたときに、上記誘電体層は複数の第1二次相を含み、上記複数の第1二次相のうち1つ以上は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上であることができる。
【0011】
本発明の一実施形態による誘電体粉末の製造方法は、水系溶液で熱処理により誘電体物質を合成及び粒成長させる段階と、上記水系溶液を冷却した後、上記水系溶液に第1元素を含む化合物を追加する段階と、上記水系溶液を熱処理し、上記誘電体物質の表面に上記第1元素を含むコーティング層を形成する段階と、上記コーティング層が形成された誘電体物質を乾燥する段階と、を含むことができる。
【0012】
本発明の一実施形態によるセラミック電子部品の製造方法は、水系溶液で熱処理により誘電体物質を合成及び粒成長させる段階と、上記水系溶液を冷却した後、上記水系溶液に第1元素を含む化合物を追加する段階と、上記水系溶液を熱処理し、上記誘電体物質の表面に上記第1元素を含むコーティング層を形成する段階と、上記コーティング層が形成された誘電体物質を乾燥して誘電体粉末を得る段階と、上記誘電体粉末を用いてセラミックグリーンシートを形成する段階と、上記セラミックグリーンシート上に内部電極用導電性ペーストを印刷した後、積層して積層体を形成する段階と、上記積層体を焼成し、誘電体層及び内部電極を含む本体を形成する段階と、上記本体に外部電極を形成する段階と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の様々な効果の一効果として、誘電体層が、Ni、Mg、Al、Si、及びOを含む複数の第1二次相を含み、上記複数の第1二次相のうち1つ以上は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上を満たすことで、セラミック電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0014】
本発明の様々な効果の一効果として、水系溶液で誘電体粉末を粒成長させた後、上記水系溶液にコーティング物質を投入し、熱処理により分散及びコーティングを進行するため、製造される複数の誘電体粉末全体に添加剤を均一に分布させることができる。
【0015】
但し、本発明の多様で且つ有益な利点と効果は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態によるセラミック電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
【
図2】
図1のI-I'に沿った断面図を概略的に示したものである。
【
図3】
図1のII-II'に沿った断面図を概略的に示したものである。
【
図4】本発明の一実施形態によるセラミック電子部品の本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【
図6】試験番号1のキャパシターをSEM-EDSにより分析した画像である。
【
図7】試験番号2のキャパシターをSEM-EDSにより分析した画像である。
【
図8】試験番号3のキャパシターをSEM-EDSにより分析した画像である。
【
図9】試験番号4のキャパシターをSEM-EDSにより分析した画像である。
【
図10】本発明の一実施形態による誘電体粉末の製造方法を説明するための図である。
【
図12】試験番号7の誘電体粉末を(a)SEMで観察した画像、及び(b)SEM-EDSによりSiの分布を分析した画像である。
【
図13】試験番号3の誘電体粉末を(a)SEMで観察した画像、及び(b)SEM-EDSによりSiの分布を分析した画像である。
【
図14】発明例及び比較例の温度変化による収縮変化率を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0018】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」とは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0019】
図面において、第1方向は厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義されることができる。
【0020】
セラミック電子部品
図1は本発明の一実施形態によるセラミック電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
図2は
図1のI-I'に沿った断面図を概略的に示したものである。
図3は
図1のII-II'に沿った断面図を概略的に示したものである。
図4は本発明の一実施形態によるセラミック電子部品の本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
図5は
図2のP領域を拡大した図である。
【0021】
以下、
図1から
図5を参照して、本発明の一実施形態によるセラミック電子部品100について詳細に説明する。また、セラミック電子部品の一例として積層セラミックキャパシター(Multi-layered Ceramic Capacitor、以下、「MLCC」という)について説明するが、本発明がこれに限定されるものではなく、セラミック材料を用いる様々なセラミック電子部品、例えば、インダクター、圧電体素子、バリスター、またはサーミスターなどにも適用可能である。
【0022】
本発明の一実施形態によるセラミック電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と、上記本体に配置され、上記内部電極と連結される外部電極131、132と、を含み、Ni、Mg、Al、Si、及びOを含む二次相を第1二次相SEとしたときに、上記誘電体層111は複数の第1二次相SEを含み、上記複数の第1二次相のうち少なくとも1つ以上は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上であることができる。
【0023】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。
【0024】
本体110の具体的な形状は特に制限されないが、図示されたように、本体110は、六面体形状またはそれに類似の形状からなることができる。焼成過程における、本体110に含まれているセラミック粉末の収縮により、本体110は、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0025】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2と、上記第1及び第2面1、2と連結されて第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4と、第1及び第2面1、2と連結され、且つ第3及び第4面3、4と連結されて第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6と、を有することができる。
【0026】
本体110を成す複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認が困難な程度に一体化されていることができる。
【0027】
本発明の一実施形態によると、Ni、Mg、Al、Si、及びOを含む二次相を第1二次相SEとしたときに、誘電体層111は複数の第1二次相SEを含み、上記複数の第1二次相SEのうち少なくとも1つ以上は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上であることができる。
【0028】
セラミック電子部品の1つである積層型キャパシター(MLCC:multi-layer ceramic capacitor)は高容量化及び薄層化する傾向にある。誘電体層の厚さが薄くなるほど、同一の作動電圧で、粒界(Grain boundary)、及び誘電体層と内部電極の界面に加えられる電界負荷が大きくなるため、誘電体の信頼性を確保することが必須である。
【0029】
そこで、本発明では、誘電体層111にNi、Mg、Al、Si、及びOを含む二次相(第1二次相、SE)を配置することで、粒界抵抗を強化し、信頼性を向上させようとした。具体的に、誘電体層111が複数の第1二次相SEを含み、上記複数の第1二次相のうち少なくとも1つ以上は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上を満たすことで、セラミック電子部品100の耐電圧(withstand voltage)、初期故障時間及びMTTF(平均故障時間、Mean Time To Failure)のうち1つ以上を向上させることができる。ここで、二次相とは「secondary phase」を意味し、本体110を焼結した後に析出された新しい相(phase)を意味し得る。また、第1二次相SEに含まれているNi、Mg、Al、Si、及びOは、化学的に結合されて化合物の形態で存在することができ、第1二次相SEはNi-Mg-Al-Si-Oで表されることができる。
【0030】
第1二次相SEは、Ni、Mg、Al、Si、及びOを全て含むことで粒界抵抗を向上させることができ、特に、第1二次相SEの短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である場合、より多くの粒界に影響を与えることができるため、粒界抵抗を効率的に向上させることができる。この時、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である二次相を、針状の二次相または「rod」状の二次相と定義することができる。
【0031】
第1二次相SEがNi、Mg、Al、Si、及びOのうち何れか1つ以上の元素を含まない場合、粒界抵抗が向上する効果が不十分である恐れがある。誘電体層で観察される一般的な二次相としては、Si-O二次相、Al-Si-O二次相、Ni-Mg-O二次相などがあるが、これらの二次相は、Ni、Mg、Al、Si、及びOを全て含む二次相に比べて、粒界抵抗の向上効果が微小であり、短軸の長さに対する長軸の長さの比を4以上確保することが困難である恐れがある。一方、本発明の一実施形態による誘電体層111に含まれている全ての二次相がNi、Mg、Al、Si、及びOを含むものではなくてもよく、誘電体層111は、Si-O二次相、Al-Si-O二次相、Ni-Mg-O二次相などをさらに含むことができる。また、Ni、Mg、Al、Si、及びOを含む二次相は、Ni、Mg、Al、Si、及びO以外に、他の元素をさらに含んでもよい。
【0032】
誘電体層111に含まれている複数の第1二次相SEに、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上の二次相が1つもない場合には、粒界抵抗の向上効果が不十分である恐れがある。
【0033】
第1二次相SEのサイズは特に限定する必要はない。例えば、第1二次相SEの短軸の長さは10~500nmであり、長軸の長さは100~2500nmであることができる。
【0034】
一実施形態において、誘電体層111に含まれている複数の第1二次相SEのうち少なくとも1つ以上は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が10以上であることができる。ここで、短軸の長さに対する長軸の長さの比とは、長軸の長さを短軸の長さで除した値を意味する。これにより、より多くの粒界に影響を与えることができるため、粒界抵抗をより効率的に向上させ、信頼性をさらに向上させることができる。
【0035】
一実施形態において、本体110を第1及び第2方向に切断した断面の中央部に位置する10μm×10μmの領域に含まれている第1二次相SEのうち、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である二次相は6個以上であることができる。上記10μm×10μmの領域が、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である第1二次相SEを6個以上含むことで、信頼性をより向上させることができる。より好ましくは、本体110を第1及び第2方向に切断した断面の中央部に位置する10μm×10μmの領域に含まれている第1二次相SEのうち、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である二次相は7個以上であることができる。
【0036】
この時、上記10μm×10μmの領域に含まれている第1二次相SEのうち、短軸の長さに対する長軸の長さの比が10以上である二次相は2個以上であることができる。これにより、粒界抵抗をさらに向上させ、信頼性をさらに向上させることができる。
【0037】
一実施形態において、本体110を第1及び第2方向に切断した断面の中央部に位置する10μm×10μmの領域で第1二次相SEが占める面積の割合は0.5%以上であることができる。すなわち、第1二次相SEが占める面積を100μm2で除した後、100を乗じた値が0.5以上であることができる。これにより、粒界抵抗をより向上させ、信頼性をより向上させることができ、MTTFを向上させることができる。
【0038】
第1二次相SEが占める面積の割合が0.5%未満である場合には、第1二次相SEによるMTTFの向上効果が不十分である恐れがある。
【0039】
一方、第1二次相SEが占める面積の割合の上限は特に制限する必要はないが、3.0%を超えて確保することは製造工程上困難であり得るため、上記10μm×10μmの領域で第1二次相SEが占める面積の割合は3.0%以下であることができる。
【0040】
この時、上記10μm×10μmの領域で第1二次相SEが占める面積の割合は0.9%以上であることができる。これにより、耐電圧及び初期故障時間を向上させることができる。
【0041】
第1二次相SEが占める面積の割合が0.9%未満である場合には、第1二次相SEによる耐電圧及び初期故障時間の向上効果が不十分である恐れがある。
【0042】
また、上記10μm×10μmの領域で第1二次相SEが占める面積の割合は1.1%以上であることができる。これにより、耐電圧をより向上させることができ、MTTFをより著しく向上させることができる。
【0043】
第1二次相SEが占める面積の割合が1.1%未満である場合には、第1二次相SEによる耐電圧の向上効果が不十分である恐れがある。
【0044】
この時、上記10μm×10μmの領域で、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である第1二次相SEが占める面積の割合は0.7%以上であることができる。また、上記10μm×10μmの領域で、短軸の長さに対する長軸の長さの比が10以上である第1二次相SEが占める面積の割合は0.2%以上であることができる。
【0045】
さらに、上記10μm×10μmの領域で第1二次相SEが占める面積の割合は1.5%以上であることができる。これにより、初期故障時間をより著しく向上させることができる。
【0046】
この時、上記10μm×10μmの領域で、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である第1二次相SEが占める面積の割合は0.9%以上であることができる。また、上記10μm×10μmの領域で、短軸の長さに対する長軸の長さの比が10以上である第1二次相SEが占める面積の割合は0.5%以上であることができる。
【0047】
一実施形態において、上記10μm×10μmの領域で誘電体層が占める面積に対する、第1二次相SEが占める面積の割合は1.0%以上であることができる。この時、上記10μm×10μmの領域で誘電体層が占める面積に対する、第1二次相SEが占める面積の割合の上限は特に制限する必要はないが、例えば、6%以下であることができる。
【0048】
一実施形態において、Ni、Mg、Al、Si、及びOのうち1つ以上を含まない二次相を第2二次相としたときに、誘電体層111は、1つ以上の第2二次相をさらに含み、誘電体層111に含まれている二次相の全個数に対する第1二次相SEの個数の割合は30%以上であることができる。好ましくは、誘電体層111に含まれている二次相の全個数に対する第1二次相SEの個数の割合は50%以上であり、より好ましくは70%以上であることができる。
【0049】
第2二次相は特に限定する必要はなく、例えば、上記第2二次相は、Si-O二次相、Al-Si-O二次相、及びNi-Mg-O二次相のうち1つ以上であることができる。
【0050】
第1二次相SEが配置される位置は特に限定する必要はない。例えば、第1二次相SEは、誘電体層の中間に配置され、内部電極と接しないように配置されることができ、内部電極121、122と一部が接するように配置されてもよく、内部電極121、122と誘電体層111の界面に配置されてもよい。また、本体110を第1及び第2方向に切断した断面で、内部電極121、122は切れ部Gを含み、第1二次相SEは上記切れ部Gを貫通して配置されてもよい。この時、第1二次相SEが内部電極121、122と一部接するか、内部電極121、122と誘電体層111の界面に配置される場合、または切れ部Gを貫通して配置される場合、信頼性の向上効果がより増加することができる。切れ部Gには、誘電体及び/または気孔が配置されることができる。
【0051】
上述の第1二次相SEの面積の割合、個数、形態などは、本体110を第1及び第2方向に切断した断面の中央部に位置する10μm×10μmの領域で測定することができる。
【0052】
例えば、SEM(Scanning Electron Microscope)またはTEM(Transmission Electron Microscope)により上記10μm×10μmの領域をスキャンして画像を得る。その後、上記画像に対して、SEM-EDS(Scanning Electron Microscope-Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)またはTEM-EDS(Transmission Electron Microscope-Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)を用いてNi、Mg、Al、Si、及びOの各元素毎のマッピング画像を得た後、各元素毎のマッピング画像を分析することで、Ni、Mg、Al、Si、及びOを全て含む二次相を第1二次相SEとして選別することができる。その後、画像分析プログラムを用いて、第1二次相SEの面積の割合、個数、形態などを測定することができる。画像分析プログラムとしてはScanproを用いることができる。第1二次相SEの短軸の長さに対する長軸の長さの比は、第1二次相SEの最大サイズを長軸の長さとし、第1二次相の中心で上記長軸に直交する直線に該当する長さを短軸の長さとして、長軸の長さを短軸の長さで除した値とすることができる。また、10μm×10μmのサイズを有する3個以上の領域で測定した値を平均することで、第1二次相が占める面積の割合、個数などをより一般化することができる。
【0053】
一方、本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができれば特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、またはチタン酸ストロンチウム系材料などが使用できる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、またはBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)などが挙げられる。
【0054】
また、上記誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの粉末に、本発明の目的に応じて、種々のセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0055】
また、第1二次相SEを形成する方法は特に制限する必要はない。但し、第1二次相SEを容易に形成することができる好ましい一例として、Ba及びSiの複合相を含むコーティング層が配置された誘電体粉末を用いることで、第1二次相SEを形成することができる。また、誘電体粉末のコーティング層の均一度及びSiの含量を制御することで、第1二次相SEの面積の割合、個数などを制御することができる。
【0056】
一実施形態において、誘電体層は複数の誘電体結晶粒を含み、上記誘電体結晶粒のサイズ(Grain Size)のCV値は0.21%以下であることができる。これにより、耐電圧、初期故障時間、及びMTTFをより向上させることができる。
【0057】
誘電体結晶粒のサイズ(Grain Size)のCV値を測定する方法は特に限定されない。具体的な例として、本体110を第1及び第2方向に切断した断面の中央部を走査型電子顕微鏡(SEM)でスキャンして得た画像で500個以上の誘電体結晶粒のサイズを測定し、CV値を計算することができる。但し、1つの画像に500個以上の誘電体結晶粒が含まれるように倍率を調節して測定する必要はなく、複数の画像に含まれている誘電体結晶粒の総個数が500個以上になるように倍率を調節し、複数の画像で測定することができる。
【0058】
誘電体結晶粒のサイズは、上記画像で、粒径測定ソフトウェアであるZootosまたはScanproを用いて求めた各誘電体結晶粒のフェレット径(Feret diameter)を意味し得る。その後、500個以上の誘電体結晶粒のサイズの平均及び標準偏差を求め、「(標準偏差/平均)×100」をCV値(%)とすることができる。この時、標準偏差は、マイクロソフトのエクセルプログラムにてSTDEVP関数を用いて求めた値であることができ、平均は算術平均を意味し得る。
【0059】
一方、誘電体層111の厚さtdは特に限定する必要はない。
【0060】
但し、一般に、誘電体層を0.6μm未満の厚さで薄く形成する場合、特に、誘電体層の厚さが0.4μm以下である場合には、信頼性が低下する恐れがあった。
【0061】
上述のように、本発明の一実施形態によると、誘電体層が複数の第1二次相SEを含み、上記複数の第1二次相のうち少なくとも1つ以上は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上を満たすことで、粒界抵抗を向上させ、信頼性を向上させることができるため、誘電体層111の厚さが0.4μm以下である場合にも優れた信頼性を確保することができる。
【0062】
したがって、誘電体層111の厚さが0.4μm以下である場合、本発明による信頼性の向上効果がより顕著になることができる。
【0063】
上記誘電体層111の厚さtdは、上記第1内部電極121と第2内部電極122との間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味し得る。
【0064】
誘電体層111の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像での1つの誘電体層において、長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層に拡張して行うと、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0065】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含み、容量が形成される容量形成部Acと、上記容量形成部Acの第1方向の上部及び下部に形成されたカバー部112、113と、を含むことができる。
【0066】
また、上記容量形成部Acは、キャパシターの容量形成に寄与する部分であり、誘電体層111を挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層することで形成されることができる。
【0067】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112と、上記容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113と、を含むことができる。
【0068】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層することで形成されることができ、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0069】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極を含まず、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。
【0070】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0071】
一方、カバー部112、113の厚さは特に限定する必要はない。但し、セラミック電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtpは20μm以下であることができる。
【0072】
また、上記容量形成部Acの側面にはマージン部114、115が配置されることができる。
【0073】
マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置されたマージン部114と、第6面6に配置されたマージン部115と、を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の幅方向の両側面に配置されることができる。
【0074】
マージン部114、115は、
図3に示されたように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面において、第1及び第2内部電極121、122の両端と本体110の境界面の間の領域を意味し得る。
【0075】
マージン部114、115は、基本的に、物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0076】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上に、マージン部が形成されるべき箇所を除いて導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することにより形成されたものであることができる。
【0077】
また、内部電極121、122による段差を抑えるために、積層後に内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に幅方向に積層することでマージン部114、115が形成されてもよい。
【0078】
内部電極121、122は、誘電体層111と交互に積層されることができる。
【0079】
内部電極121、122は第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0080】
図2を参照すると、第1内部電極121は、第4面4から離隔して第3面3を介して露出し、第2内部電極122は、第3面3から離隔して第4面4を介して露出することができる。
【0081】
この際、第1及び第2内部電極121、122は、その間に配置された誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。
【0082】
図4を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成することで形成されることができる。
【0083】
内部電極121、122はNiを含むことができる。但し、内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気伝導性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0084】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷することで形成されることができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0085】
一方、内部電極121、122の厚さteは、特に限定する必要はない。
【0086】
但し、一般に、内部電極を0.6μm未満の厚さで薄く形成する場合、特に、内部電極の厚さが0.4μm以下である場合には、信頼性が低下する恐れがあった。
【0087】
上述のように、本発明の一実施形態によると、誘電体層が複数の第1二次相SEを含み、上記複数の第1二次相のうち少なくとも1つ以上は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上を満たすことで、粒界抵抗を向上させ、信頼性を向上させることができるため、内部電極121、122の厚さが0.4μm以下である場合にも、優れた信頼性を確保することができる。
【0088】
したがって、内部電極121、122の厚さが0.4μm以下である場合、本発明による効果がより顕著になることができ、セラミック電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成することができる。
【0089】
上記内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さを意味し得る。
【0090】
内部電極121、122の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像での1つの内部電極において、長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定し、平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極に拡張して行うと、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0091】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置されることができる。
【0092】
外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。
【0093】
図1を参照すると、外部電極131、132はサイドマージン部114、115の第2方向の両端面を覆うように配置されることができる。
【0094】
本実施形態では、セラミック電子部品100が2個の外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態やその他の目的によって変わり得る。
【0095】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば如何なる物質を用いて形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらには、多層構造を有することができる。
【0096】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132aと、電極層131a、132a上に形成されためっき層131b、132bと、を含むことができる。
【0097】
電極層131a、132aのより具体的な例としては、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成(firing)電極であってもよく、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。
【0098】
また、電極層131a、132aは、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順に形成された形態であることができる。また、電極層131a、132aは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式により形成されてもよく、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式により形成されてもよい。
【0099】
電極層131a、132aに含まれる導電性金属として、電気伝導性に優れた材料を用いることができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及びこれらの合金のうち1つ以上であることができる。
【0100】
めっき層131b、132bは、実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd、及びこれらの合金のうち1つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。
【0101】
めっき層131b、132bのより具体的な例としては、めっき層131b、132bは、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層、及びSnめっき層が順に形成された形態であってもよい。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0102】
セラミック電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。
【0103】
但し、小型化及び高容量化をともに達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くし、積層数を増加させる必要があるため、1005(長さ×幅、1.0mm×0.5mm)以下のサイズを有するセラミック電子部品100において、本発明による信頼性及び絶縁抵抗の向上効果がより顕著になることができる。
【0104】
したがって、製造誤差、外部電極のサイズなどを考慮すると、セラミック電子部品100の長さが1.1mm以下であり、幅が0.55mm以下である場合、本発明による信頼性の向上効果がより顕著になることができる。ここで、セラミック電子部品100の長さは、セラミック電子部品100の第2方向のサイズを意味し、セラミック電子部品100の幅は、セラミック電子部品100の第3方向のサイズを意味し得る。
【0105】
誘電体粉末の製造方法
以下、上述の本発明の一実施形態によるセラミック電子部品100の製造方法を用いて、セラミック電子部品100をより容易に製造することができる誘電体粉末の製造方法について説明する。
【0106】
但し、上述の本発明の一実施形態によるセラミック電子部品の製造方法に用いられる誘電体粉末が、後述の製造方法により製造された誘電体粉末に制限されるものではないことに留意する必要がある。また、上述の内容と重複される内容は、重複説明を避けるために省略されることができる。
【0107】
誘電体粉末を用いてセラミックグリーンシートを製造する時に、電気的特性及び焼結性を実現するために添加剤が添加される。添加剤を投入する方法としては、一般に、誘電体粉末とともに添加剤を溶媒に分散した後、キャスティング(casting)法によりセラミックグリーンシートを成形する方法を用いる。近年、セラミック電子部品の小型化及び高容量化に伴って誘電体粉末が微粒化しているが、比表面積の減少による誘電体粉末の凝集と分散性の低下のため、添加剤元素分布の均一性を確保することが困難であるという問題がある。また、誘電体粉末が微粒化するほど、添加剤元素分布の均一な分布がセラミック電子部品の特性の実現に与える影響が大きくなる。
【0108】
したがって、誘電体層の信頼性を確保するべく、誘電体層を形成するための誘電体粉末の微粒化及び添加剤の分布に対する重要性は増してきており、微粒の誘電体粉末に添加剤を均一に分布させる技術開発が求められている。
【0109】
誘電体粉末を添加剤でコーティングする場合、添加剤の分布の均一性をある程度は解決できるが、従来の添加剤のコーティング方法では、一部の添加剤で凝集する現象が発生し、複数の誘電体粉末に添加剤を均一に分布させることに限界があった。
【0110】
そこで、本発明では、誘電体粉末の製造段階で、複数の誘電体粉末に添加剤を均一に分布させるための誘電体粉末の製造方法を提供する。本発明の一実施形態による誘電体粉末の製造方法は、水系溶液で誘電体物質を粒成長させた後、上記水系溶液にコーティング物質を投入し、熱処理により分散及びコーティングを進行するため、製造される複数の誘電体粉末全体に添加剤を均一に分布させることができる。
【0111】
本発明の一実施形態による誘電体粉末の製造方法は、水系溶液で熱処理により誘電体物質を合成及び粒成長させる段階と、上記水系溶液を冷却した後、上記水系溶液に第1元素を含む化合物を追加する段階と、上記水系溶液を熱処理し、上記誘電体物質の表面に上記第1元素を含むコーティング層を形成する段階と、上記コーティング層が形成された誘電体物質を乾燥する段階と、を含むことができる。
【0112】
誘電体物質の合成及び粒成長段階
図10を参照すると、水系溶液20で熱処理により誘電体物質11a'を合成及び粒成長させる。
【0113】
誘電体物質11a'を合成及び粒成長させる方法としては、水熱合成法を用いることができる。水熱合成法とは、均質な水溶液や前駆体懸濁液を昇温、昇圧し、金属塩の液相反応により誘電体粉末を合成及び粒成長させる誘電体粉末の合成法を意味する。粒成長段階での熱処理温度は特に限定する必要はなく、例えば、180~350℃で熱処理を行うことができる。
【0114】
一実施形態において、誘電体物質11a'はBaTiO3であることができる。具体的な例として、TiO2ゾルとBa(OH)2を混合し、核生成反応により10nm程度のサイズのシードBTを合成し、シードBTを高温、高圧、アルカリ環境でオストワルド成長(Ostwald ripening)により所望のサイズに粒成長させることで、BaTiO3粉末を形成することができる。オストワルド成長は、粒子の表面エネルギーが駆動力となり、分散系のより小さい粒子がさらに小さくなるか、消滅するかして、より大きい粒子が成長する現象を意味する。
【0115】
但し、誘電体物質がBaTiO3に制限されるものではなく、誘電体物質はBaTiO3系であることができる。例えば、誘電体物質11a'は、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、及びBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)のうち1つ以上であることができる。
【0116】
水系溶液20は、pHが7以上であることができる。すなわち、水系溶液20はアルカリ性であることができ、水を含むことができる。水系溶液20がアルカリ性であることで、誘電体物質の粒成長が円滑に行われることができる。また、有機溶液ではない水系溶液を用いることで、環境汚染を防止することができる。
【0117】
コーティング物質投入及びコーティング層形成段階
その後、水系溶液20を冷却した後、水系溶液20に第1元素を含む化合物11b'を追加することができる。この時、水系溶液20を常温まで冷却することができる。例えば、水系溶液20を25℃まで冷却することができる。
【0118】
誘電体物質11a'の粒成長段階の後にコーティング物質である第1元素を含む化合物11b'を投入するため、コーティング層の形成が誘電体物質11a'の結晶性に与える影響を最小化し、誘電体物質11a'の結晶性を向上させることができ、誘電体層111の誘電率を向上させることができる。
【0119】
その後、第1元素を含む化合物11b'が含まれている水系溶液20を熱処理し、誘電体物質11a'の表面に第1元素を含むコーティング層11bを形成することができる。
【0120】
本発明によると、第1元素を含む化合物11b'を投入した後、熱処理により分散とコーティングを進行する。したがって、第1元素を含む化合物11b'に対してプレ分散及び前処理工程を行う必要がなく、製造工程が簡単であるという利点がある。また、プレ分散を行ったゾルの形態で第1元素を投入する場合に比べて、複数の誘電体粉末にコーティング層を均一に形成することができ、第1元素が均一に分布されるようにすることができる。また、複数の誘電体粉末に第1元素が均一に分布されることで、第1二次相SEを容易に形成することができ、セラミック電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0121】
一実施形態において、第1元素を含む化合物11b'はアルコキシド(Alkoxide)であることができる。アルコキシド(Alkoxide)とは、アルコールのヒドロキシ基-OHの水素原子を金属原子で置換した化合物の総称を意味する。アルコキシド(Alkoxide)は熱処理により加水分解され、誘電体物質11a'に容易にコーティングされることができる。アルコキシド(Alkoxide)の例としては、Si(OR)4、Mg(OR)2、Al(OR)3、VO(OR)3、Ca(OR)2、Cu(OR)2、Dy(OR)3、Nb(OR)5、Gd(OR)3、Sm(OR)3、Hf(OR)4、Sn(OR)4、Sn(OR)2などが挙げられる。ここで、RはC2H5であることができる。
【0122】
一実施形態において、上記熱処理は、上記水系溶液を100℃以上の温度で30分以上維持して行うことができる。100℃以上の温度で30分以上維持することで、第1元素を含む化合物の加水分解を十分に起こすことができる。
【0123】
熱処理温度及び維持時間の上限は特に限定されず、第1元素を含む化合物11b'の含量及び種類によって、熱処理温度及び維持時間を適宜調節することができる。例えば、熱処理温度の上限は250℃であることができる。
【0124】
一実施形態において、コーティング層を形成する段階での熱処理温度は、上記粒成長段階での熱処理温度よりも低いことができる。これにより、コーティング層を形成する段階で誘電体物質11a'の追加的な粒成長が起こらないようにすることで、コーティング層の形成による誘電体物質11a'の結晶性への影響を最小化し、誘電体物質11a'の結晶性を向上させることができ、誘電体層111の誘電率を向上させることができる。
【0125】
一実施形態において、第1元素は、Si、Mg、Mn、Al、V、Ca、Li、Cu、Dy、Tb、Nb、Sm、及びGdのうち1つ以上であることができる。
【0126】
具体的な例として、第1元素はSiであり、第1元素を含む化合物11b'はSi(OR)4であることができる。Si(OR)4はアルコキシドであって、TEOS(tetraethoxy orthosilane)と呼ばれる。ここで、RはC2H5であることができる。
【0127】
水系溶液にSi(OR)4を添加した後、熱処理を進行すると、先ず、式1のように加水分解反応が起こり、その後、下記式2のように縮合重合反応が起こった後、下記式3のように中和反応が起こることにより、誘電体物質11a'の表面にSiを含むコーティング層11bが形成されることができる。式4は、Siを含むコーティング層に対する反応速度式であり、H2O、OH-、TEOSの濃度と温度が、TEOSの分解とコーティング層の形成に影響を与えることを表す。
【0128】
式1
【化1】
式2
【化2】
式3
【化3】
式4
【化4】
【0129】
上記Siを含むコーティング層11bは、BaとSiの複合相を含むことができる。また、Siを含むコーティング層11bは、Si酸化物、TiとSiの複合相などをさらに含むことができる。コーティング層11bがBaとSiの複合相を含むことで、誘電体の焼結時に液相を容易に形成することができるため、収縮開始温度を低くすることができ、高信頼性を確保することができる。また、コーティング層11bがBaとSiの複合相を含むことで、添加剤の固溶度が増加することにより焼結完了時点が遅くなり、第1二次相SEが容易に形成されることができる。ここで、Si酸化物は、縮合重合反応により形成されたSiO2であり、BaとSiの複合相は、中和反応により形成されたBaSiO3であることができる。
【0130】
図14は、BaTiO
3を含むコアと、及び上記コアの表面に配置され、BaとSiの複合相を含むコーティング層と、を含む誘電体粉末(発明例)、並びにコーティング層が配置されていないBaTiO
3誘電体粉末(比較例)の、温度変化による収縮変化率を示したグラフである。BaとSiの複合相を含むことで、発明例の収縮開始温度が比較例に比べて減少するとともに、添加剤の制限的な固溶が発生するが、温度が増加するに伴って添加剤の固溶度が増加することにより、1120℃の近所で収縮変化率の変曲点が観察されることが確認できる。すなわち、収縮開始温度は低くなり、焼結完了時点は延ばされることにより、第1二次相SEが容易に形成されると判断される。
【0131】
コーティング層11bを形成した後、乾燥段階を経て水分を除去することにより、誘電体物質を含むコア11aと、上記コアの表面に配置され、第1元素を含むコーティング層11bと、を含む誘電体粉末11を製造することができる。
【0132】
乾燥後、製造された複数の誘電体粉末11の画像をSEMにより30k倍率で得た後、SEM-EDSを用いて第1元素を分析する場合、第1元素が凝集している領域の最大サイズが100nm以下であることができる。本発明の一実施形態による誘電体粉末の製造方法は、水系溶液で誘電体物質を粒成長させた後、上記水系溶液にコーティング物質を投入し、熱処理により分散とコーティングを進行するため、製造される複数の誘電体粉末全体に第1元素を均一に分布させることができるためである。
【0133】
また、誘電体粉末11は、コーティング層11bの形成による粒径サイズの変化は大きくないが、比表面積は、コーティング層による表面特性の変化により、コーティング層が含まれていない場合に比べて減少することができる。
【0134】
セラミック電子部品の製造方法
以下、上述の本発明の一実施形態によるセラミック電子部品100をより容易に製造できるセラミック電子部品の製造方法について説明する。
【0135】
但し、上述の本発明の一実施形態によるセラミック電子部品100を製造するための製造方法が後述の製造方法に制限されるものではないことに留意する必要がある。また、上述の内容と重複される内容は、重複説明を避けるために省略されることができる。
【0136】
本発明の一実施形態によるセラミック電子部品の製造方法は、水系溶液で熱処理により誘電体物質を合成及び粒成長させる段階と、上記水系溶液を冷却した後、上記水系溶液に第1元素を含む化合物を追加する段階と、上記水系溶液を熱処理し、上記誘電体物質の表面に上記第1元素を含むコーティング層を形成する段階と、上記コーティング層が形成された誘電体物質を乾燥して誘電体粉末を得る段階と、上記誘電体粉末を用いてセラミックグリーンシートを形成する段階と、上記セラミックグリーンシート上に内部電極用導電性ペーストを印刷した後、積層して積層体を形成する段階と、上記積層体を焼成し、誘電体層及び内部電極を含む本体を形成する段階と、上記本体に外部電極を形成する段階と、を含むことができる。
【0137】
誘電体粉末製造段階
先ず、上述の誘電体粉末の製造方法を用いて誘電体粉末を得ることができる。具体的に、水系溶液で熱処理により誘電体物質を合成及び粒成長させる段階と、上記水系溶液を冷却した後、上記水系溶液に第1元素を含む化合物を追加する段階と、上記水系溶液を熱処理し、上記誘電体物質の表面に上記第1元素を含むコーティング層を形成する段階と、上記コーティング層が形成された誘電体物質を乾燥して誘電体粉末を得る段階と、を行うことで誘電体粉末を製造することができる。
【0138】
図11を参照すると、誘電体粉末11は、誘電体物質を含むコア11aと、上記コアの表面に配置され、第1元素を含むコーティング層11bと、を含むことができる。この時、コーティング層11bはコア11aの表面の少なくとも一部に配置されることができる。
【0139】
一実施形態において、コア11aに含まれている誘電体物質はBaTiO3であることができ、上記第1元素はSiであり、コーティング層11bは、BaとSiを含む複合相を含むことができる。この場合、誘電体粉末は、水系溶液でBaTiO3を合成及び粒成長させた後、上記水系溶液にSiを含む化合物を投入し、熱処理して形成されたものであることができる。コーティング層11bがBaとSiの複合相を含むことで、誘電体の焼結時に液相が容易に形成されることができ、収縮開始温度を低くし、高信頼性を確保することができる。また、コーティング層11bがBaとSiの複合相を含むことで、添加剤の固溶温度が増加することにより焼結完了時点が遅くなり、第1二次相SEが容易に形成されることができる
【0140】
この時、コーティング層11bは、Mg、Mn、Al、V、Ca、Li、Cu、Dy、Tb、Nb、Sm、及びGdのうち1つ以上をさらに含むことができる。
【0141】
一実施形態において、上記誘電体物質は、BaTiO3、(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)、及びBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)のうち1つ以上であり、上記第1元素は、Si、Mg、Mn、Al、V、Ca、Li、Cu、Dy、Tb、Nb、Sm、及びGdのうち1つ以上であることができる。また、コーティング層11bはBaと第1元素との複合相を含むことができる。
【0142】
セラミックグリーンシート形成段階
その後、上記誘電体粉末11を用いてセラミックグリーンシートを形成することができる。例えば、誘電体粉末11に添加剤を添加した後、エタノールとトルエンを溶媒として分散剤とともに混合した後、バインダーを混合してセラミックシートを形成することができる。
【0143】
一実施形態において、誘電体粉末11に添加剤として上記第1元素を追加してセラミックグリーンシートを形成することができる。例えば、コーティング層11bに含まれる第1元素がSiである場合、誘電体粉末11に添加剤としてSiを追加してセラミックグリーンシートを形成することができる。すなわち、第1元素は誘電体粉末のコーティング層に含まれ、セラミックグリーンシートを形成する時にも添加剤として第1元素が追加されることができる。
【0144】
この時、上記第1元素を含む化合物はSi(OR)4であることができる。
【0145】
一実施形態において、誘電体物質11a'の表面にBaとSiの複合相を含むコーティング層11bを含む誘電体粉末11を用いることで、焼結後、誘電体層111に、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上であり、Ni、Mg、Al、Si、及びOを含む第1二次相SEを容易に形成することができる。一方、第1二次相SEに含まれるNi、Mg、及びAlは、誘電体粉末11のコーティング層11bに含まれるか、副成分として添加されたものであることができる。また、第1二次相SEに含まれるNiは、内部電極に含まれているNiが拡散されたものであることができる。
【0146】
この時、コーティング層11bは、Mg、Mn、Al、V、Ca、Li、Cu、Dy、Tb、Nb、Sm、及びGdのうち1つ以上の追加元素をさらに含むことができる。また、上記追加元素は、Baと複合相の形態でコーティング層11bに存在することができる。
【0147】
一実施形態において、誘電体粉末11は、BaTiO3100モルに対して、0.25モル以上2.49モル以下のSiを含むことができる。これにより、セラミック電子部品100のMTTFを向上させることができる。BaTiO3100モルに対してSiが2.49モルを超える場合には、複数の誘電体粉末が均一なコーティング層を有するように製造することが困難であるか、誘電体粉末の製造時間及び/または製造コストが過多にかかる恐れがある。また、誘電体粉末11がBaTiO3100モルに対して0.25モル以上2.49モル以下のSiを含むことにより、本体110を第1及び第2方向に切断した断面の中央部に位置する10μm×10μmの領域で、第1二次相SEの面積の割合を0.5%以上確保することが容易である。
【0148】
一実施形態において、誘電体粉末11は、BaTiO3100モルに対して、0.25モル以上1.66モル以下のSiを含むことができる。これにより、耐電圧及び初期故障時間を向上させることができる。また、誘電体粉末11がBaTiO3100モルに対して0.25モル以上1.66モル以下のSiを含むことにより、本体110を第1及び第2方向に切断した断面の中央部に位置する10μm×10μmの領域で、第1二次相SEの面積の割合を0.9%以上確保することが容易である。
【0149】
一実施形態において、誘電体粉末11は、BaTiO3100モルに対して0.25モル以上1.25モル以下のSiを含むことができる。これにより、耐電圧をより向上させることができ、MTTFをより著しく向上させることができる。また、誘電体粉末11がBaTiO3100モルに対して0.25モル以上1.25モル以下のSiを含むことにより、本体110を第1及び第2方向に切断した断面の中央部に位置する10μm×10μmの領域で、第1二次相SEの面積の割合を1.1%以上確保することが容易である。
【0150】
一実施形態において、誘電体粉末11は、BaTiO3100モルに対して0.83モル以上1.25モル以下のSiを含むことができる。これにより、初期故障時間をより著しく向上させることができる。また、誘電体粉末11がBaTiO3100モルに対して0.83モル以上1.25モル以下のSiを含むことにより、本体110を第1及び第2方向に切断した断面の中央部に位置する10μm×10μmの領域で、第1二次相SEの面積の割合を1.5%以上確保することが容易である。
【0151】
積層体形成段階
次に、上記セラミックグリーンシートに内部電極用導電性ペーストを印刷した後、積層して積層体を形成することができる。
【0152】
内部電極用導電性ペーストは、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0153】
上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0154】
本体形成段階
次に、上記積層体を焼成し、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110を形成することができる。
【0155】
この時、Ni、Mg、Al、Si、及びOを含む二次相を第1二次相としたときに、上記誘電体層は複数の第1二次相を含み、上記複数の第1二次相のうち少なくとも1つ以上は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上であることができる。
【0156】
また、本体110は、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結されて第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結されて第3方向に対向する第5及び第6面を含み、上記本体を第1及び第2方向に切断した断面の中央部に位置する10μm×10μmの領域で第1二次相が占める面積の割合が0.5%以上であることができる。
【0157】
一実施形態において、上記焼成は、窒素(N2)気体と0.05~0.2vol%の水素(H2)気体が混合された気体雰囲気下で行うことができる。これにより、第1二次相SEをより容易に形成することができる。
【0158】
外部電極形成段階
次に、上記本体110に外部電極131、132を形成してセラミック電子部品100を製造することができる。
【0159】
外部電極131、132を形成する方法は特に限定されず、導電性金属及びガラスを含むペーストにディッピングする方法を用いてもよく、導電性金属を含むシートを転写する方式により形成してもよい。また、導電性金属及び樹脂を含むペーストを用いてもよく、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)法、分子層蒸着(Molecular Layer Deposition、MLD)法、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)法、スパッタリング(Sputtering)法などを用いて外部電極を形成してもよい。
【0160】
また、めっき工程をさらに行うことで、外部電極がめっき層131b、132bを含むようにすることができる。
【0161】
(実験例)
水系溶液でBaTiO3を合成及び粒成長させた後、BaTiO3100モルに対するSiの含量が下記表1に記載のモル数を有するようにSi(OR)4を水系溶液に投入した。その後、熱処理及び乾燥段階を経て、BaTiO3を含むコアと、上記コアの表面に配置されてBaとSiの複合相を含むコーティング層と、を含む誘電体粉末を製造した。その後、上記誘電体粉末を用いて製造されたセラミックグリーンシート上に、Niを含む内部電極用導電性ペーストを塗布して内部電極パターンを形成した。次に、上記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層して得た積層体をチップ単位に切断した後、焼成してサンプルチップを製作した。但し、試験番号1は、コーティング層が配置されていないBaTiO3粉末を使用し、セラミックグリーンシートの製造時に添加剤としてSiO2を追加した。
【0162】
誘電体粉末の偏析有無は、各試験番号の誘電体粉末の画像をSEMにより30kの倍率で得た後、SEM-EDSまたはEPMA-EDS(Electron Probe MicroAnalysis-Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)を用いてSiに対してマッピングし、Siが凝集している領域の最大サイズが100nm以下である場合はOと表示し、100nm超過200nm以下である場合は△と表示し、200nm超過である場合はXと表示した。
【0163】
誘電体結晶粒のサイズ(Grain Size)のCV値(GS CV)は、サンプルチップの本体110を第1及び第2方向に切断した断面の中央部をSEMでスキャンして得た画像において、500個以上の誘電体結晶粒のサイズを測定し、CV値を計算した。
【0164】
誘電率は、各試験番号当たり10個のサンプルチップを150℃で1時間熱処理した後、常温で24時間放置してから、1kHz、0.5Vrmsの条件で測定した。
【0165】
第1二次相SEの面積の割合は、サンプルチップの本体110を第1及び第2方向に切断した断面の中央に位置する10μm×10μmの領域で測定し、SEM及びSEM-EDSを用いて測定した。また、針状の第1二次相の存在有無は、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である第1二次相が1個以上観察される場合はOと表示し、1個も観察されない場合はXと表示した。
【0166】
耐電圧は、各試験番号当たり10個のサンプルチップに対して、昇圧速度20V/sec、電流制限20mAの条件で測定した。
【0167】
初期故障時間及びMTTF(平均故障時間、Mean Time To Failure)は、各試験番号当たり400個のサンプルチップに対して、105℃、12.6Vの条件で加速寿命試験を行い、絶縁抵抗測定値が10kΩ以下になったサンプルチップが最初に発生した時間を初期故障時間とし、各サンプルチップの絶縁抵抗測定値が10kΩ以下になった時間の平均値をMTTFとした。
【0168】
【0169】
試験番号1のサンプルチップでは、Ni、Mg、Al、Si、及びOを含む二次相(第1二次相、SE)が観察されず、MTTFが劣っていた。また、試験番号1のサンプルチップで観察された二次相は、何れも短軸の長さに対する長軸の長さの比が4未満であり、針状の二次相も観察されなかった。
【0170】
試験番号2~6は、10μm×10μmの領域でのSEの面積の割合が0.5%以上を満たし、試験番号1に比べてMTTFが著しく向上したことが確認できる。
【0171】
また、10μm×10μmの領域でのSEの面積の割合が0.9%以上である試験番号2~5は、試験番号1に比べて耐電圧及び初期故障時間も増加したことが確認できる。
【0172】
また、10μm×10μmの領域でのSEの面積の割合が1.1%以上である試験番号2~4は、MTTFが30hr以上であって、試験番号1に比べてMTTFが3倍以上増加し、さらに著しい効果があることが確認できる。
【0173】
また、10μm×10μmの領域でSEが占める面積の割合が1.5面積%以上である試験番号3及び4は、耐電圧及び初期故障時間も他の試験番号に比べて著しく増加したことが確認できる。
【0174】
しかし、試験番号7は第1二次相が観察されたが、針状の第1二次相は観察されず、MTTFが向上しなかった。
【0175】
図6は試験番号1のサンプルチップの断面をSEM-EDSにより分析した画像である。
図7は試験番号2のサンプルチップの断面をSEM-EDSにより分析した画像である。
図8は試験番号3のサンプルチップの断面をSEM-EDSにより分析した画像である。
図9は試験番号4のサンプルチップの断面をSEM-EDSにより分析した画像である。
図6~
図9において、(a)はNiに対するマッピング画像、(b)はMgに対するマッピング画像、(c)はAlに対するマッピング画像、(d)はSiに対するマッピング画像、(e)はOに対するマッピング画像であり、各元素の存在有無及び濃度を確認することができる。
【0176】
また、下記表2は、
図6~
図9で観察された二次相の短軸の長さ、長軸の長さ、及びその割合を記載したものである。下記表2において、長軸及び短軸はそれぞれ長軸の長さ及び短軸の長さを意味し、単位はnmであり、割合は、長軸の長さを短軸の長さで除した値を記載したものである。試験番号1では、観察された全ての二次相の長軸及び短軸を測定し、試験番号2~4では、Ni、Mg、Al、Si、及びOを含む二次相(第1二次相、SE)の長軸及び短軸を測定した。
【0177】
【0178】
試験番号1は、二次相の短軸の長さに対する長軸の長さの比が何れも4未満であり、Si-O二次相、Al-Si-O二次相、及びNi-Mg-O二次相が観察され、観察された二次相のうちNi、Mg、Al、Si、及びOを含む二次相(第1二次相、SE)は存在しなかった。
【0179】
試験番号2は、12個の第1二次相SEが観察され、12個の第1二次相のうち、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である二次相が8個、短軸の長さに対する長軸の長さの比が10以上である二次相が2個観察された。また、10μm×10μmの領域で占める面積の割合は、第1二次相が1.1%、第1二次相のうち短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である二次相が0.7%、第1二次相のうち短軸の長さに対する長軸の長さの比が10以上である二次相が0.2%であることが確認された。
【0180】
試験番号3は、10個の第1二次相SEが観察され、10個の第1二次相のうち、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である二次相が7個、短軸の長さに対する長軸の長さの比が10以上である二次相が4個観察された。また、10μm×10μmの領域で占める面積の割合は、第1二次相が1.5%、第1二次相のうち短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である二次相が0.9%、第1二次相のうち短軸の長さに対する長軸の長さの比が10以上である二次相が0.7%であることが確認された。
【0181】
試験番号4は、29個の第1二次相SEが観察され、29個の第1二次相のうち、短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である二次相が20個、短軸の長さに対する長軸の長さの比が10以上である二次相が10個観察された。また、10μm×10μmの領域で占める面積の割合は、第1二次相が1.6%、第1二次相のうち短軸の長さに対する長軸の長さの比が4以上である二次相が1.2%、第1二次相のうち短軸の長さに対する長軸の長さの比が10以上である二次相が0.5%であることが確認された。
【0182】
したがって、誘電体層111が複数の第1二次相SEを含み、針状の第1二次相を1つ以上含む場合に、MTTFが著しく向上し、信頼性が向上することが確認できる。
【0183】
また、上記表1の試験番号1~7の誘電体粉末を比較すると、誘電体粉末のコーティング層に含まれているSiの含量が増加するほど、第1二次相SEが増加する傾向を示すが、誘電体粉末のコーティング層に含まれているSiの含量が1.66モル以上である場合には、第1二次相SEがさらに減少する傾向を示した。これは、Siの含量が増加することによりSiが不均一に分布されることに起因すると解釈される。Siの含量が2.49モルである試験番号6は、Siが凝集している領域の最大サイズが100nmを超え、Siの含量が3.32モルである試験番号7は、Siが凝集している領域の最大サイズが200nmを超え、Siの分布が不均一であった。
【0184】
図12は、試験番号7の誘電体粉末を(a)SEMで観察した画像、及び(b)SEM-EDSによりSiの分布を分析した画像である。
図13は、試験番号3の誘電体粉末を(a)SEMで観察した画像、及び(b)SEM-EDSによりSiの分布を分析した画像である。
図12を参照すると、Siが凝集している領域の最大サイズが200nmを超え、Siの偏析が発生したことが確認できる。これに対し、
図13を参照すると、Siが凝集している領域が殆ど観察されず、Siが非常に均一に分布されていることが確認できる。
【0185】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態及び添付図面により限定されず、添付の特許請求の範囲により限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【0186】
一方、本発明で用いられた一実施例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一実施例は、他の実施例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一実施例で説明された事項が他の実施例で説明されていなくても、他の実施例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の実施例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0187】
また、本発明で用いられた用語は、一例を説明するために説明されたものであるだけで、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。
【符号の説明】
【0188】
100 セラミック電子部品
110 本体
111 誘電体層
SE 第1二次相
112、113 カバー部
114、115 サイドマージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 電極層
131b、132b めっき層
11 誘電体粉末
11a コア
11b コーティング層