(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004259
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】切削インサート
(51)【国際特許分類】
B23B 27/00 20060101AFI20230110BHJP
B23B 27/04 20060101ALI20230110BHJP
B23B 27/14 20060101ALI20230110BHJP
B23B 27/22 20060101ALN20230110BHJP
【FI】
B23B27/00 A
B23B27/04
B23B27/14 C
B23B27/22
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105847
(22)【出願日】2021-06-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000221144
【氏名又は名称】株式会社タンガロイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠介
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046CC01
3C046CC06
3C046JJ06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】後挽き加工において切りくずがワークの加工面を荒らすことの少ない切削インサートを提供する。
【解決手段】切削インサートは、すくい面と、周側面と、すくい面と周側面の稜線に設けられた前切刃110と、稜線に前切刃110と連続して設けられ、前切刃110の伸延方向と鈍角を成す伸延方向を有する主切刃120とを備え、主切刃120は、切削刃として機能する有効刃先領域の全長に亘ってU字状に湾曲し、その最深点は主切刃120の両端を結ぶ直線を前切刃と隣接するコーナー141の側から2:1に分割する位置よりもコーナー141の側の領域に位置する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
すくい面と、
周側面と、
前記すくい面と前記周側面の稜線に設けられた前切刃と、
前記稜線に前記前切刃と連続して設けられ、前記前切刃の伸延方向と鈍角を成す伸延方向を有する主切刃と
を備え、
前記主切刃は、切削刃として機能する有効刃先領域の全長に亘ってU字状に湾曲し、その最深点は前記主切刃の両端を結ぶ直線を前記前切刃と隣接するコーナーの側から2:1に分割する位置よりも前記コーナーの側の領域に位置する切削インサート。
【請求項2】
前記前切刃は、切削刃として機能する有効刃先領域の全長に亘ってU字状に湾曲して設けられている請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
前切刃の両端を結ぶ直線は、切削工具へ装着するための装着孔の中心軸と平行であって前記コーナーの側の端を通る直線に対し、U字状の深部側へ向かって2°以上8°以下の傾斜角を有する請求項2に記載の切削インサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削インサートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動旋盤にて用いられる後挽き加工用の切削インサートの改善要求の一つとして、切りくずの処理性が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
後挽き加工においては、切りくずが長く延びやすいという特徴があるが、長く延びた切りくずは、ワークの加工面に接触して加工面を荒らしてしまうことがある。特に、後挽き加工の場合は、溝加工時に形成される溝端面と外径加工時に形成される外径面が加工面となるので、特に高度な切りくずの管理が要求される。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、後挽き加工において切りくずがワークの加工面を荒らすことの少ない切削インサートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様における切削インサートは、すくい面と、周側面と、すくい面と周側面の稜線に設けられた前切刃と、稜線に前切刃と連続して設けられ、前切刃の伸延方向と鈍角を成す伸延方向を有する主切刃とを備え、主切刃は、切削刃として機能する有効刃先領域の全長に亘ってU字状に湾曲し、その最深点は主切刃の両端を結ぶ直線を前切刃と隣接するコーナーの側から2:1に分割する位置よりもコーナーの側の領域に位置する。このように構成された切削インサートによれば、切りくずが比較的長く延びやすい、切り込み量が大きい外径加工時において、切りくずの断面に偏った変曲部を生じさせ、その剛性は切りくずのねじれを妨げるように作用する。これにより、切りくずがブレーカ壁面に衝突したときに、ブレーカ壁面から受ける力が、切りくずのねじれを助長するのではなく、切りくずを屈曲する力として作用しやすくなる。このような屈曲する力により、生成された切りくずは細かく折断される。細かく折断された切りくずは、長く延びたらせん状の切りくずに比較して、加工面を荒らす恐れが少ない。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、後挽き加工において切りくずがワークの加工面を荒らすことの少ない切削インサートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る切削インサートを装着した切削工具の全体斜視図である。
【
図4】切削インサートの刃先部分の部分拡大図である。
【
図7】主切刃によって生成される切りくずを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。また、各図において、同一又は同様の構成を有する構造物が複数存在する場合には、煩雑となることを回避するため、一部に符号を付し、他に同一符号を付すことを省く場合がある。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態に係る切削インサート100を装着した切削工具200の全体斜視図である。本実施形態における切削工具200は、旋盤用の切削工具であり、特に後挽き加工に用いられる。本体部210は、切削インサート100が装着される装着座220と、切削インサート100を挟み込む2つの把持部230を有する。
【0011】
装着座220は、本体部210の先端付近に設けられた、切削インサート100の装着面である。装着座220には雌ねじ孔が設けられており、切削インサート100を装着すると、切削インサート100のほぼ中心に設けられた装着孔190と同軸となる。切削インサート100は、装着孔190を介して雌ねじ孔と螺合する装着ねじ300により、装着座220に固定される。
【0012】
2つの把持部230は、装着座220から隆起すると共に、互いに向き合う方向へ突出する形状を有する。切削インサート100の中腹部に対向するように設けられた2つの凹部191は、切削インサート100が装着座220に載置されると把持部230と嵌合し、切削インサート100の回転振れを防止する。
【0013】
なお、図示するようにX軸、Y軸およびZ軸を定める。すなわち、把持部230が切削インサート100を挟み込む方向がY軸方向であり、装着座220に装着されたときの装着孔190の向きがZ軸方向であり、Y軸方向とZ軸方向に直交する方向がX軸方向である。以後の図面においても切削インサート100が
図1のように装着された状態を基準とする同様の座標軸を併記することにより、それぞれの図面が表す構造物の向きを示す。
【0014】
図2は、切削加工の加工工程を説明する図である。特に
図2(A)は、溝加工の様子を示し、
図2(B)は、外径加工(後挽き加工)の様子を示す。いずれの加工においても、ワーク900は、旋盤のチャックに固定され、回転軸WA周りに矢印RDの方向へ回転される。
【0015】
図2(A)に示す溝加工において、本体部210に固定された切削インサート100は、白抜き矢印で示すようにワーク900の回転軸WAへ向かって送られ、この送り方向に対して主に作用する前切刃110が、ワーク900を削って溝を形成してゆく。前切刃110による切削で生成される切りくずは、ブレーカ溝面132に案内され点線の矢印方向へ向かって外部に排出される。
【0016】
目標とする深さまで溝加工が終了したら、継続して外径加工が行われる。
図2(B)に示す外径加工において、切削インサート100は、白抜き矢印で示すようにワーク900の回転軸WA方向へ沿って送られ、この送り方向に対して主に作用する主切刃120が、ワーク900を削って後挽き方向へ溝を拡張してゆく。主切刃120による切削で生成される切りくずは、ブレーカ溝面132に案内され点線の矢印方向へ向かって外部に排出される。
【0017】
このような加工工程を経て、ワーク900には溝端面910と外径面920が形成される。なお、外径加工においても、外径面920を仕上げるのは前切刃110である。このように形成された溝端面910と外径面920は、切削インサート100による加工面である。生成される切りくずが接触してこれらの加工面を荒らすことがないように、本実施形態に係る切削インサート100においては、前切刃110と主切刃120の形状を工夫している。以下、順を追って説明する。
【0018】
図3は、切削インサート100の全体斜視図である。切削インサート100は、全体形状としてはおよそ板状の平行四辺形を成し、その中央に装着ねじ300を挿通させるための装着孔190が設けられている。装着孔190の上下方向(Y軸方向)には、上述のように、装着座220の把持部230が嵌まり込む凹部191がそれぞれ設けられている。
【0019】
前切刃110と主切刃120は、略平行四辺形である全体形状において斜辺と鋭角に交わる上下辺の端部のそれぞれに設けられている。すなわち、一つの切削インサート100につき前切刃110と主切刃120の組み合わせが2組設けられており、一方側の刃が使用限界を迎えた場合に装着孔190の中心軸za周りに180°回転して装着し直せば、他方側の刃を使用に供することができる。
【0020】
図4は、切削インサート100の刃先部分の部分拡大図である。具体的には、
図3のA部の拡大図であり、
図4(A)は、切削インサート100を装着座220に装着する場合の装着面側から観察した斜視図であり、
図4(B)は、その反対面側から観察した斜視図である。
【0021】
前切刃110と主切刃120は、全体として、XZ平面と平行な上面130と、上面130に対して90度に近い角度で交差する4つの周側面に取り囲まれている。4つの周側面は、装着座220に接触する装着面とは反対の面を構成する第1側面133と、第1側面133に連続し主切刃120に対して逃げ面として機能する主切刃逃げ面121と、主切刃逃げ面121に連続し前切刃110に対して逃げ面として機能する前切刃逃げ面111と、前切刃逃げ面111に連続し装着座220に接触する装着面を構成する第2側面134である。なお、本実施形態においては、主切刃逃げ面121と前切刃逃げ面111の間、前切刃逃げ面111と第2側面134の間をそれぞれR曲面で接続しており、また、前切刃逃げ面111を2つの平面によって構成しているが、これらの構成の採否は任意である。
【0022】
チップブレーカとして機能する凹部が、上面130から掘穿されたように設けられている。凹部は、具体的にはそれぞれが曲面である、横すくい面122、前すくい面112、ブレーカ壁面131、ブレーカ溝面132によって構成されている。主切刃120は、主切刃逃げ面121と横すくい面122の稜線に形成されている。前切刃110は、前切刃逃げ面111と前すくい面112の稜線に形成されている。
【0023】
第1コーナー141は、主切刃120と前切刃110の境界点である。第2コーナー142は、前切刃110の両端のうち第1コーナー141とは反対側の端である。第3コーナー143は、主切刃120の両端のうち第1コーナー141とは反対側の端である。すなわち、第1コーナー141から第2コーナー142までの稜線が前切刃110の有効刃先領域であり、第1コーナー141から第3コーナー143までの稜線が主切刃120の有効刃先領域である。有効刃先領域は、切削刃として機能する領域である。切削刃は、研削加工によって形成されてもよい。主切刃120と前切刃110は、第1コーナー141をはさんで互いに連続して設けられており、主切刃120の伸延方向と前切刃110の伸延方向は第1コーナー141において鈍角を成す。
【0024】
本実施形態においては、前切刃逃げ面111と主切刃逃げ面121の間にR曲面を設けているので、第1コーナー141は、R曲面と凹部の稜線上に位置することになる。ここでは、第1コーナー141を当該稜線上の中点と定義する。また、前切刃逃げ面111と第2側面134の間にR曲面を設けているが、第1コーナー141と同様に、第2コーナー142をR曲面と凹部の稜線上の中点と定義する。なお、R曲面を設けない場合は、それぞれのコーナーを、単に隣接する稜線どうしが交わる点とすればよい。
【0025】
横すくい面122と前すくい面112は、互いに隣接し、共にブレーカ溝面132へ向かって下降する傾斜面を構成する。ブレーカ溝面132は、横すくい面122と隣り合う部分から前すくい面112と隣り合う部分へかけて連続する略J字状の溝底面を構成する。ブレーカ壁面131は、ブレーカ溝面132に連続して上面130との境界まで隆起する壁面を構成し、ブレーカ溝面132と同様に略J字状を成す。
【0026】
前切刃110に切り込まれて生成された切りくずは、前すくい面112上を滑ってブレーカ溝面132と衝突し、その力によって断続的に折断されつつ、
図2で示したようにブレーカ溝面132に沿って外部へ排出される。同様に、主切刃120に切り込まれて生成された切りくずは、横すくい面122上を滑ってブレーカ溝面132と衝突し、その力によって断続的に折断されつつ、
図2で示したようにブレーカ溝面132に沿って外部へ排出される。
【0027】
図5は、切削インサート100の上面図の一部である。主切刃120を正面に捉えたB視図と、主切刃120に直交する平面で切断したC-C断面図と、前切刃110を正面に捉えたD視図を用いて切削インサート100の特徴を順に説明する。
【0028】
図6は、
図5のB視図であり、主切刃120の周辺を示す部分拡大図である。図示するように、主切刃120は、有効刃先領域の全長に亘ってU字状に湾曲している。そして、U字の底となる最深点は、主切刃120の両端である第1コーナー141と第3コーナー143を結ぶ直線を第1コーナー141の側から2:1に分割する位置よりも第1コーナー141の側の領域に位置する。更には、第1コーナー141と第3コーナー143を結ぶ直線を1:1に分割する位置よりも第3コーナー143の側の領域に位置することが好ましい。U字状の湾曲は全体として下に凸であればよく、湾曲のすべてが曲線で構成されていてもよいし、一部に直線が含まれていてもよい。
【0029】
図7は、主切刃120によって生成される切りくず990を説明する図である。ここでは、ワークに対する切り込み量を主切刃120のU字の最深点よりも大きくした場合を想定する。
【0030】
U字状に湾曲する主切刃120によって生成された切りくず990は、断面991において、U字の最深点に相応する部分が変曲部992となる。すなわち、断面991のうち第3コーナー143寄りに変曲部992が現れる。断面991がこのように湾曲することによって生じる剛性は、切りくず990がブレーカ壁面131へ向かう方向に対して生じようとするねじれを妨げるように作用する。これにより、切りくず990がブレーカ壁面131に衝突したときに、ブレーカ壁面131から受ける力が、切りくず990のねじれを助長するのではなく、切りくず990を屈曲させる力として作用しやすくなる。このような屈曲する力により、生成された切りくず990は細かく折断される。細かく折断された切りくず990は、長く延びたらせん状の切りくずに比較して、加工面を荒らす恐れが少ない。
【0031】
図8は、
図5におけるC-C断面図である。図示するように、凹部は、横すくい面122、ブレーカ溝面132、ブレーカ壁面131と連続して上面130と接続する。上述のように断面が湾曲する切りくず990は、ブレーカ壁面131へ衝突して断続的に折断される。そして、前切刃110側から生成される切りくずに押され、それらと共にブレーカ溝面132に沿って外部へ排出される。
【0032】
図9は、
図5のD視図であり、前切刃110の周辺を示す部分拡大図である。図示するように、前切刃110も、有効刃先領域の全長に亘ってU字状に湾曲している。前切刃110は、加工工程中の多くの場合に有効刃先領域の全体でワークの切削を行うので、断面が湾曲した切りくずがほぼ常時生成される。断面が湾曲した切りくずは、湾曲していない切りくずよりもねじれが生じにくく、折断されやすい。
【0033】
また、前切刃110の両端である第1コーナー141と第2コーナー142を結ぶ直線は、装着孔190の中心軸zaと平行であって第1コーナー141の側の端を通る直線に対し、U字状の深部側へ向かってθ°の傾斜角を有する。換言すると、第1コーナー141と第2コーナー142を結ぶ直線は、第1コーナー141の側の端がワーク900の回転上流側となるように、ワーク900の回転軸WA方向に対してθ°の交叉角を有する。θは、2以上8以下であり、好ましくは3.5以上8以下である。このような傾斜角を有すると、前切刃110は、第1コーナー141の側からワーク900を切り出すことになるので、その切りくずは、自ずと加工面から離れる方向へ排出される。すなわち、加工面を荒らす可能性を低減させることができる。
【0034】
以上、本実施形態の一例を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の目的を逸脱しない限り変形し得るものである。
【符号の説明】
【0035】
100…切削インサート、110…前切刃、111…前切刃逃げ面、112…前すくい面、120…主切刃、121…主切刃逃げ面、122…横すくい面、130…上面、131…ブレーカ壁面、132…ブレーカ溝面、133…第1側面、134…第2側面、141…第1コーナー、142…第2コーナー、143…第3コーナー、190…装着孔、191…凹部、200…切削工具、210…本体部、220…装着座、230…把持部、300…装着ねじ、900…ワーク、910…溝端面、920…外径面、990…切りくず、991…断面、992…変曲部
【手続補正書】
【提出日】2021-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
すくい面と、
周側面と、
前記すくい面と前記周側面の稜線に設けられた前切刃と、
前記稜線に前記前切刃と連続して設けられ、前記前切刃の伸延方向と鈍角を成す伸延方向を有する主切刃と
を備え、
前記主切刃を稜線とする前記周側面の正面視において前記主切刃は切削刃として機能する有効刃先領域の全長に亘って窪むようにU字状に湾曲し、その最深点は前記主切刃の両端を結ぶ直線を前記両端の一方であって前記前切刃と隣接するコーナーの側から2:1に分割する位置よりも前記コーナーの側の領域に位置し、
前記前切刃を稜線とする前記周側面の正面視において前記前切刃は切削刃として機能する有効刃先領域の全長に亘って窪むようにU字状に湾曲して設けられ、
前記前切刃の両端を結ぶ直線は、切削工具へ装着するための装着孔の中心軸と平行であって前記コーナーの側の端を通る直線に対し、前記前切刃におけるU字状の深部側へ向かって2°以上8°以下の傾斜角を有する切削インサート。
【請求項2】
すくい面と、
周側面と、
前記すくい面と前記周側面の稜線に設けられた前切刃と、
前記稜線に前記前切刃と連続して設けられ、前記前切刃の伸延方向と鈍角を成す伸延方向を有する主切刃と
を備え、
前記主切刃を稜線とする前記周側面の正面視において前記主切刃は切削刃として機能する有効刃先領域の全長に亘って窪むようにU字状に湾曲し、その最深点は前記主切刃の両端を結ぶ直線を前記両端の一方であって前記前切刃と隣接するコーナーの側から2:1に分割する位置よりも前記コーナーの側の領域であって1:1に分割する位置よりも前記コーナーから遠い側の領域に位置する切削インサート。
【請求項3】
前記前切刃を稜線とする前記周側面の正面視において前記前切刃は切削刃として機能する有効刃先領域の全長に亘って窪むようにU字状に湾曲して設けられている請求項2に記載の切削インサート。
【請求項4】
前切刃の両端を結ぶ直線は、切削工具へ装着するための装着孔の中心軸と平行であって前記コーナーの側の端を通る直線に対し、U字状の深部側へ向かって2°以上8°以下の傾斜角を有する請求項3に記載の切削インサート。