(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042590
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】電動車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/54 20060101AFI20230317BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20230317BHJP
B60L 3/08 20060101ALI20230317BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20230317BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230317BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20230317BHJP
【FI】
B60Q1/54
B60L3/00 N
B60L3/08 M
B60L15/20 Z
G16Y10/40
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211631
(22)【出願日】2022-12-28
(62)【分割の表示】P 2021195787の分割
【原出願日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2021059619
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518420813
【氏名又は名称】株式会社Luup
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡井 大輝
(57)【要約】
【課題】電動車両の最高速度を把握することができるようにする。
【解決手段】電動車両に装着される制御装置であって、電動車両の最高速度を複数の速度に設定する最高速度設定部と、最高速度を報知する報知部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に装着される制御装置であって、
前記電動車両の最高速度を複数の速度に設定する最高速度設定部と、
前記最高速度を報知する報知部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記報知部は、前記電動車両に装着されるランプを点灯又は消灯させること、
を特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記報知部は、前記電動車両に装着されるランプの色を変更すること、
を特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記報知部は、前記電動車両に装着されるランプの点灯又は点滅のパターンを変更すること、
を特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記報知部は、前記最高速度に応じて、前記電動車両に装着される複数のランプのうち点灯させる数を変更すること、
を特徴とする制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記報知部は、前記最高速度を示す数字を表示すること、
を特徴とする制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の制御装置であって、
現在位置を取得する位置取得部を備え、
前記最高速度設定部は、前記位置に応じて前記最高速度を変更すること、
を特徴とする制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記電動車両の周辺の歩行者又は車両の数を検出する周辺環境検出部を備え、
前記最高速度設定部は、前記数に応じて前記最高速度を変更すること、
を特徴とする制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記複数の速度には、前記電動車両による歩道の走行が許可される第1の速度が含まれること、
を特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の使用方法の切り替えに応じて、ナンバープレートを遮蔽する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では車両の最高速度がどれくらいに設定されているかを把握することができない。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、電動車両の最高速度を把握することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、電動車両に装着される制御装置であって、前記電動車両の最高速度を複数の速度に設定する最高速度設定部と、前記最高速度を報知する報知部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電動車両の最高速度を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る電動スクータ1の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
電動車両に装着される制御装置であって、
前記電動車両の最高速度を複数の速度に設定する最高速度設定部と、
前記最高速度を報知する報知部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
[項目2]
項目1に記載の制御装置であって、
前記報知部は、前記電動車両に装着されるランプを点灯又は消灯させること、
を特徴とする制御装置。
[項目3]
項目1に記載の制御装置であって、
前記報知部は、前記電動車両に装着されるランプの色を変更すること、
を特徴とする制御装置。
[項目4]
項目1に記載の制御装置であって、
前記報知部は、前記電動車両に装着されるランプの点灯又は点滅のパターンを変更すること、
を特徴とする制御装置。
[項目5]
項目1に記載の制御装置であって、
前記報知部は、前記最高速度に応じて、前記電動車両に装着される複数のランプのうち点灯させる数を変更すること、
を特徴とする制御装置。
[項目6]
項目1に記載の制御装置であって、
前記報知部は、前記最高速度を示す数字を表示すること、
を特徴とする制御装置。
[項目7]
項目1に記載の制御装置であって、
現在位置を取得する位置取得部を備え、
前記最高速度設定部は、前記位置に応じて前記最高速度を変更すること、
を特徴とする制御装置。
[項目8]
項目1に記載の制御装置であって、
前記電動車両の周辺の歩行者又は車両の数を検出する周辺環境検出部を備え、
前記最高速度設定部は、前記数に応じて前記最高速度を変更すること、
を特徴とする制御装置。
[項目9]
項目1乃至8のいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記複数の速度には、前記電動車両による歩道の走行が許可される第1の速度が含まれること、
を特徴とする制御装置。
【0011】
<電動スクータ1>
以下、本発明の一実施形態に係る電動スクータ1について説明する。本実施形態の電動スクータ1では、電動スクータ1の動作モード(本実施形態では最高速度)に応じて、電動スクータ1の外観が変更される。本実施形態では、少なくとも、電動スクータ1が歩道の走行を許可される速度を最高速度とする動作モード(歩道走行モード)であること(すなわち、電動スクータ1が歩道走行車の車両区分となること)が、外部から視認可能に設定され、電動スクータ1が車道を走行する場合の速度を最高速度とする動作モード(小型低速モード)であること(すなわち、電動スクータ1が小型低速車の車両区分となること)も外部から視認可能に設定される。なお、本実施形態の電動スクータ1は、歩道走行車と小型低速車との切り替えを行うものとする。
【0012】
本実施形態の電動スクータ1は、モータ20の駆動により走行することのできる電動車両である。本実施形態では、電動スクータ1(キックボード)は、任意の電動の乗り物とすることができる。乗り物には1人乗りの乗り物(パーソナルモビリティ)全般が含まれうる。乗り物は、全長1m以下であり、電動機を備える1人乗りのパーソナルモビリティであってよい。乗り物は、電動(自動走行)と電動アシストとを切替可能な自転車やスクーター、スケートボードなどであってよい。乗り物は、一般的に駐車場の確保が必要とされていないものであってよい。乗り物には、例えば、自転車やスクーター(キックボード,キックスケーターとも呼ばれる。)、スケートボード、平行二輪車、二輪倒立振子(セグウェイなど)、自立安定一輪車などが含まれうる。また、乗り物には、原動機付き自転車、自動二輪車が含まれうる。乗り物は、最高時速30km未満に設定されているもの(例えば、原動機付き自転車)、最高時速24km未満のもの(例えば、電動アシスト自転車)、最高時速20km未満のもの(例えば、電動キックボードなどが想定される。)が含まれうる。
【0013】
<構成例>
図1は、本実施形態に係る電動スクータ1の構成例を示す図である。電動スクータ1は、制御装置11、ロック装置12、センサ13、スイッチ14、ランプ15、モータ20を備えることができる。
【0014】
制御装置11は、電動スクータ1の動作を制御するデバイスである。制御装置11は、ロック装置12の施解錠を制御することができる。制御装置11は通信機能を備え、外部のサーバから制御するように設定することもできる。
【0015】
センサ13は、電動スクータ1又はその周辺に関する情報を収集するデバイスである。センサ13には、例えば、電動スクータ1の走行速度を検出する速度センサが含まれるものとする。また、センサ13は、例えば、電動スクータ1の周辺にある車両や人間を検出することができる。センサ13は、例えば、カメラとすることもできる。
【0016】
スイッチ14は、電動スクータ1の動作モードを設定する入力装置である。本実施形態では、電動スクータ1は、少なくとも歩道走行モードと小型低速モードとの2つの動作モードを備え、例えば、スイッチ14がオンのときには歩道走行モード、スイッチ15がオフのときには小型低速モードと設定することができる。なお、スイッチ14は、複数のモードごとのボタンとしてもよいし、スイッチ14に代えて又は加えて、ボタンやタッチパネルなどの入力装置を採用することもできるし、制御装置11とネットワークを通じて接続される情報端末(電動スクータ1を利用するユーザが使用する、パソコン、スマートフォン、タブレット等のコンピュータを含むがこれらに限定されない。以下、ユーザ端末という。)から入力を受け付けるようにしてもよい。
【0017】
制御装置11は、最高速度設定部111、報知部112、位置情報取得部113、周辺環境検出部114を備える。なお、制御装置11の各機能部は、CPUが記憶装置に記憶されているプログラムをメモリに読み出して実行することにより実現することができる。
【0018】
位置情報取得部113は、現在位置を取得する。位置情報取得部113は、例えば、GPS(Global Positioning System)により位置情報を特定することができる。
【0019】
周辺環境検出部114は、電動スクータ1の周辺の状況を検出する。
【0020】
周辺環境検出部114は、例えば、電動スクータ1の周辺に位置する歩行者又は車両の数を検出することができる。周辺環境検出部114は、例えば、センサ13が計測したデータに基づいて周辺の歩行者や車両の数を推定することができる。センサ13をカメラとし、周辺環境検出部114は、カメラにより撮影した画像を解析することにより歩行者や車両を検出して、歩行者や車両の数をカウントすることができる。周辺環境検出部114は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信により通信可能な近傍の電動スクータ1を検出して、電動スクータ1の台数をカウントすることにより、車両の数を取得することができる。なお、近距離通信により通信可能なモビリティであれば、電動スクータ1以外のモビリティであってもよく、周辺環境検出部114は、特定のプロトコルにより通信することのできたモビリティの数をカウントすることができる。
【0021】
周辺環境検出部114は、例えば、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)などに接続することにより、道路の通行量を検出することもできる。
【0022】
周辺環境検出部114は、現在位置が特定のエリア内に含まれる(例えば、特定の道路を走行している)ことを検出することができる。なお、現在位置が特定のエリアに入っているか否かの判断は、サーバにより行わせるようにし、周辺環境検出部114は、サーバに現在位置を設定したリクエストを送信して、特定のエリアに入っているか否かを問い合わせるようにしてもよい。
【0023】
周辺環境検出部114は、通行中の位置が歩道であるか車道であるかを判定することもできる。歩道と車道との区別は、例えば、カメラのセンサ13により撮影された画像を解析して判別するようにしてもよいし、準天頂衛星システムなどの高精度の位置情報を取得して、歩道又は車道の区別を行うようにすることもできる。
【0024】
周辺環境検出部114は、気象情報を取得することもできる。周辺環境検出部114は、現在位置における過去、現在又は将来の気象情報を取得することができる。周辺環境検出部114は、例えば、走行先を推測し、推測した走行先の位置についての気象情報を取得するようにしてもよい。
【0025】
周辺環境検出部114は、統計的に歩行者や車両の通行量が多い道路の情報を記録しておき、現在位置がその道路にあるか否かにより、電動スクータ1が通行量の多い道路を走行していることを検出することができる。
【0026】
最高速度設定部111は、電動スクータ1の動作モードを設定する。動作モードは複数存在する。本実施形態では、動作モードは、電動スクータ1の最高速度であるものとするが、電動スクータ1が備えるモータ20等の駆動部の最高出力であってもよい。最高速度設定部111は、例えば、スイッチ14が押下されたことに応じて動作モードを切り替えることができる。最高速度設定部111は、電動スクータ1の最高速度を設定することができる。最高速度設定部111は、複数の速度に最高速度を設定することができる。最高速度設定部111は、例えば、電動スクータ1の走行速度が最高速度になった場合にモータ20からの動力が車輪の駆動機構に伝達されないように制御したり、モータ20の回転速度を一定数以上上げないようにしたり、モータ20と車輪の間のギア比を所定値以上にするなどして、電動スクータ1の走行速度を制御することにより最高速度を設定することができる。電動スクータ1は、複数の動作モードを有することができ、最高速度設定部111は、動作モードに応じて異なる最高速度を設定することができる。本実施形態では、電動スクータ1は、少なくとも小型低速モードと歩道走行モードとの2つの動作モードを有するものとする。最高速度設定部111は、電動スクータ1が歩道走行モードのとき、電動スクータ1が歩道を走行することができる第1の速度、例えば、時速10kmなどを最高速度として設定することができ、電動スクータ1が小型低速モードのとき、電動スクータ1が歩道を走行することができない第2の速度、例えば、時速15km、20kmなどを最高速度として設定することができる。
【0027】
最高速度設定部111は、現在位置に応じて最高速度(動作モード)を変更することができる。最高速度設定部111は、例えば、現在位置が特定のエリア内に含まれる場合(例えば、特定の道路を走行している場合)に、動作モードを歩道走行モードに設定することができる。また、最高速度設定部111は、歩道を走行している場合には動作モードを歩道走行モードにすることもできる。
【0028】
また、最高速度設定部111は、通行量に応じて動作モードを変更することもできる。例えば、通行量が所定数よりも多い場合には、動作モードを歩道走行モードに設定することができる。また、道路の勾配を傾きセンサなどのセンサ13により検出し、最高速度設定部111は、勾配が所定値よりも大きく下っている場合に、動作モードを歩道走行モードに設定することができる。また、最高速度設定部111は、勾配が所定値よりも大きく上っている場合には、動作モードを小型低速モードに設定するようにすることもできる。また、最高速度設定部111は、天気情報を取得し、天気に応じて動作モードを変更することができる。例えば、最高速度設定部111は、外部サーバから現在位置の気象データを取得し、過去、現在又は将来の降水量や降雪量が所定値以上である場合には動作モードを歩道走行モードに設定することができる。
【0029】
最高速度設定部111は、周辺の歩行者や車両の数に応じて最高速度を変更するようにしてもよい。また、最高速度設定部111は、走行中の道路の通行量に応じて最高速度を変更することもできる。
【0030】
報知部112は、設定されている最高速度を報知する。報知部112は、動作モード(最高速度)に応じて機体の外観を変化させるようにすることができる。これにより、歩道を走行可能な最高速度に設定されているか否かを外観からすぐに把握することができる。
【0031】
報知部112は、動作モードに応じて、電動スクータ1に装着されるランプ15を点灯、消灯、又は回転させることができる。報知部112は、動作モードに応じて、電動スクータ1に装着されるランプ15の色を変更することができる。報知部112は、動作モードに応じて、電動スクータ1に装着されるランプ15の点灯、点滅又は回転のパターンを変更することができる。報知部112は、電動スクータ1にランプ15が複数装着されている場合に、動作モードに応じて、ランプ15のうち点灯させる数を変更することができる。報知部112は、本実施形態に記載される複数の方法の任意の組み合わせ(例えば、点滅の仕方と色との両方を変更する等)により動作モードを示すようにすることもできる。
【0032】
報知部112は、動作モードに応じて、ランプ15を遮蔽する機構を作動させてもよい。報知部112は、例えば、アクチュエータを作動させ、ランプ15のカバーを開閉させることができる。カバーは、ランプ15に被せるものであってもよいし、板状として機体外側を遮断するように配置するものであってもよい。報知部112は、カバーをスライドさせ、あるいは回転させることによりランプを露出又は遮蔽させることができる。
【0033】
報知部112は、最高速度を示す数字、記号、文字列、画像などを表示するようにしてもよい。電動スクータ1がディスプレイなどの表示装置を備えるようにし、報知部112は、ディスプレイに最高速度を示す情報を表示するようにすることができる。ディスプレイは、例えば、ナンバープレートの位置に設けるようにしてもよいし、有機ELディスプレイなどの湾曲ディスプレイをフレームに設けるようにしてもよい。
【0034】
報知部112は、電動スクータ1の機体の装飾を変更することにより最高速度を報知するようにしてもよい。機体の装飾は、例えば、アクチュエータによりスライドさせることにより外観が変化するようにすることができる。
【0035】
報知部112は、最高速度(動作モード)に応じて、機体の色を変更するようにしてもよい。例えば、報知部112は、アクチュエータによりフレームの外周をスライドさせて色が変化させるような機構を備えることができる。
【0036】
報知部112は、アラートを出力するようにしてもよい。報知部112は、例えば、スピーカ等の出力装置からアラート音が出力させるように制御することができる。報知部112は、利用者の携帯端末にアラートメッセージを送信するようにすることもできる。電動スクータ1がディスプレイ等の表示装置を備える場合、報知部112は、表示装置にアラートを表示するようにしてもよい。
【0037】
報知部112は、最高速度設定部111が動作モードを変更する前にアラートを出力するようにしてもよい。例えば、周辺環境検出部114が車両の通行量が多い道路を通行していることを検出した場合に、その旨を示すアラートを出力することができる。また、例えば、報知部112は、利用者のスマートフォンなどの携帯端末に対してアラートのメッセージを送信することもできる。
【0038】
また、報知部112は、動作モードのみでなく、各種の状況に応じた情報を報知することもできる。例えば、報知部112は、電動スクータ1に乗車している利用者の属性(例えば、年齢や年代などの処理)を外観から判別できるようにすることができる。動作モードに応じた報知と同様の方法を用いることができる。これにより、例えば、利用者の属性に応じた義務が発生するような場合に、そのことを外観から判断することができる。
【0039】
最高速度設定部111は、ユーザ端末からの指示に応じて、電動スクータ1の最高速度を変更してもよい。指示には、例えば、最高速度を示す情報(数値又は文字列)が含まれうる。最高速度設定部111は、ユーザ端末から指示された最高速度に、電動スクータ1の最高速度を変更すればよい。
【0040】
最高速度設定部111は、例えば、外部のサーバからの指示に応じて動作モードを変更することもできる。制御装置11は、報知部112による報知の状態(例えば、ランプ15の状態)と、動作モード(最高速度)とをサーバに送信することができる。サーバは、最高時速(動作モード)と報知の状態が示す動作モードとが一致していない場合に、報知の状態が示す動作モードに設定するように電動スクータ1に指示を送信ことができ、最高速度設定部111は、サーバから受信した指示に応じて動作モードを設定することができる。また、制御装置11は、電動スクータ1の位置(例えば、GPSや準天頂衛星システムにより取得することができる。)と動作モードとをサーバに送信し、サーバが、電動スクータ1の位置に応じて設定されるべき動作モードを決定し、決定した動作モードと、電動スクータ1から受信した動作モードとが一致していない場合に、決定した動作モードとする指示を電動スクータ1に送信することができる。
【0041】
最高速度設定部111は、電動スクータ1が所定の速度になった場合にのみ、最高速度を変更するようにしてもよい。例えば、最高速度設定部111は、電動スクータ1が停止しているときにのみ最高速度を変更するようにすることができる。最高速度設定部111は、電動スクータ1の速度が所定の速度になっていない場合、例えば、電動スクータ1が停止していない、すなわち動いている場合には、最高速度の変更ができないように制御することができる。また、最高速度設定部111は、電動スクータ1が所定の速度になっている状態で、スイッチ14の切り替え、または、制御装置11がユーザ端末から前記モード変更情報を取得した場合に、最高速度を変更するようにしてもよい。
【0042】
電動スクータ1が停止していることは、例えば、センサ13が計測した速度により判定することができる。また、電動スクータ1が停止していることは、例えば、速度が所定値(例えばゼロkm/時)になったこと、あるいは、所定値(例えば1km/時)未満となったことにより判定することができる。
【0043】
最高速度設定部111は、モータ20の電源が落ちていることにより電動スクータ1が停止していると判定することができる。この場合、センサ13がモータ20の電源のオンオフを検出し、あるいはセンサ13がモータ20に流れている電流を計測して、電流が所定値未満であることによりモータ20の電源が入っていないことを検出することができる。
【0044】
また、最高速度設定部111は、モータ20の駆動力がタイヤに伝達されていないこと、例えば、電動スクータ1がニュートラルモード(モータ20が回らないようにギアが外れていること)になっていることにより、電動スクータ1が停止していると判定することができる。この場合、センサ13がギアの設定を検出するようにしてもよいし、最高速度設定部111が電動スクータ1のギアの制御を行っている場合には、現在の設定値を読みだすようにしてもよい。
【0045】
また、最高速度設定部111は、電動スクータ1のタイヤが回転していないことにより、電動スクータ1が停止していると判定することができる。この場合、センサ13がタイヤの回転数を検出することができる。また、センサ13がモータの回転数を検出するようにし、モータの回転数からタイヤの回転数を推定するようにしてもよい。
【0046】
また、最高速度設定部111は、電動スクータ1の位置が所定の時間以上変わっていないことにより、電動スクータ1が停止していると判定することができる。電動スクータ1の位置は、センサ13がGPSや準天頂衛星システムなどにより測定することができる。また、最高速度設定部111は、ユーザ端末が測定したユーザ端末の位置情報をユーザ端末から受信し、電動スクータの位置として推定するようにしてもよい。
【0047】
また、最高速度設定部111は、電動スクータ1に動きがないことにより、電動スクータ1が停止していると判定することができる。この場合、センサ13が加速度センサであり、最高速度設定部111は、センサ13が測定した加速度が所定値未満であることにより動きがないことを判定することができる。また、最高速度設定部111は、ユーザ端末が備える加速度センサにより検出されたユーザ端末の動きをユーザ端末から受信し、受信した動きを電動スクータ1の動きとして取り扱うようにしてもよい。
【0048】
また、最高速度設定部111は、ロック装置12により電動スクータ1にロックが掛かっていることにより、電動スクータ1が停止していると判定することができる。
【0049】
また、最高速度設定部111は、電動スクータ1のスタンドが出ていることにより、電動スクータ1が停止していると判定することができる。
【0050】
また、最高速度設定部111は、電動スクータ1のハンドルが握られていないことにより、電動スクータ1が停止していると判定することができる。この場合、例えば、センサ13を感圧センサや静電容量の増減を検知するセンサとしてハンドルに設けることにより、ハンドルが握られているか否か検出することができる。
【0051】
また、最高速度設定部111は、電動スクータ1に体重がかかっていないことにより、電動スクータ1が停止していると判定することができる。この場合、例えば、センサ13を感圧センサ等として電動スクータ1のステップに設けることにより、電動スクータ1にユーザの体重がかかっているか否かを検出することができる。
【0052】
なお、電動スクータ1が停止していることを判定する条件は、前述した例に限定されない。
【0053】
最高速度設定部111は、例えば、制御部11が電動スクータ1が動かなくなる指示を出した場合に、電動スクータ1が停止したと判定してもよい。最高速度設定部111は、一例として、制御部11が、電動スクータ1をニュートラルモードにする指示を出した場合に、電動スクータ1が停止したと判定してもよい。また、最高速度設定部111は、一例として、制御部11がモータ20の電源を落とす指示を出した場合に、電動スクータ1が停止したと判定してもよい。
【0054】
報知部112は、設定されている最高速度を報知する。報知部112は、最高速度設定部111が、最高速度を変更(動作モードを変更)した場合に、機体の外観を変化させるようにすることができる。
【0055】
報知部112は、スイッチ14の切り替えにより指示された動作モードに応じて、電動スクータ1の外観を変更することができる。また、報知部112は、ユーザ端末30から指示された動作モードに応じて、電動スクータ1の外観を変更するようにしてもよい。
【0056】
最高速度設定部111による動作モードの変更を行うタイミングと、報知部112による最高速度の報知を行うタイミングは、同時でもよいし、どちらかを先に行なってもよい。例えば、小型低速モードから歩道走行モードに変更される場合、報知部112が、最高速度設定部111による変更後の動作モードに応じた報知を行った後に、最高速度設定部111が最高速度を変更(動作モードを変更)するようにしてもよいし、最高速度設定部111が動作モードを変更したあとに、報知部112が変更後の動作モードに応じた報知を行うようにしてもよい。また、例えば、歩道走行モードから小型低速モードに変更される場合、最高速度設定部111が最高速度を変更(動作モードを変更)した後に、報知部112が、最高速度設定部111による変更後の動作モードに応じた報知をするようにしてもよいし、報知部112が、変更後の動作モードに応じた報知を行った後に、最高速度設定部111が動作モードを変更するようにしてもよい。
【0057】
制御部11は、最高速度設定部111が設定した動作モードと、報知部112による報知が対応していない場合に、電動スクータ1が動かないようにする制御しても良い。制御部11は、一例として、最高速度設定部111により設定されている現在の動作モード(最高速度)と、報知部112により現在報知している動作モードとが異なる状態(以下、表示異常状態という。)である場合には、報知部112により報知(例えばランプ15の状態)している動作モードに合わせるように、最高速度設定部111に電動スクータ1の動作モードを変更させ、又は、電動スクータ1の現在の動作モードに合わせるように報知部112による報知状態を変更させるように制御することができる。
【0058】
制御部11は、例えば、モータ20の状態やギア(不図示)の状態を検出するセンサを設けるようにし、当該センサからの情報に基づいて電動スクータ1の動作モードを検出することができる。また、制御部11は、例えば、ランプ15の表示状態を検出するセンサをもうけるようにし、当該センサからの情報に基づいて報知されている動作モードを検出することができる。
【0059】
制御部11は、表示異常状態である場合に、より安全となるように制御を行うことができる。すなわち、制御部11は、電動スクータ1の動作モードが小型低速モードであり、報知されている動作モードが歩道走行モードである場合には、小型低速モードを報知するように報知部112を動作させることができる。また、制御部11は、電動スクータ1の動作モードが歩道走行モードであり、報知されている動作モードが小型低速モードである場合には、歩道走行モードを報知するように報知部112を動作させることができる。
【0060】
制御部11は、表示異常状態である場合に、異常が生じている旨のアラートを出力するようにしてもよい。
【0061】
報知部112は、電動スクータ1が移動しているときに、動作モードに応じた報知を行ってもよい。報知部112は、例えば、ユーザが電動スクータ1のアクセルを押している間だけ、動作モードに応じてランプ15を点灯、消灯又は回転等させ、あるいはディスプレイ等に動作モードを表示させてもよい。また、報知部112は、例えば、ユーザが電動スクータ1のアクセルを押している間だけ、アクチュエータ等によって板状の部品をスライドさせること、などによって、動作モードに応じた表示を露出させてもよい。
【0062】
ランプ15は電動スクータ1が備える装置であって、自動車のヘッドライトやテールランプ、ブレーキランプ、ウィンカーのような目的で電動スクータ1に備えられたランプ(運転用ランプ)などを、ランプ15として用いてもよいし、運転用ランプとは別のランプをランプ15として電動スクータ1に備えても良いし、運転用ランプと、運転用ランプとは別のランプの両方を、動作モードを報知するためのランプ15として使用してもよい。
【0063】
報知部112は、動作モードに応じて、ランプ15の光を動かしてもよい。この場合、ランプ15は、例えば、電動スクータ1に取り付けられた、電気によって回転する機構を備えた部品に備え付けられており、報知部112は、当該部品の回転や、回転の速度などを制御して、ランプ15が発する光を動かすことで、動作モードを報知してもよい。また、ランプ15の周りに、反射鏡を備えた、電気によって回転する部品を備え、報知部112は、動作モードに応じて、当該部品の回転を制御して、ランプ15の光を散乱させてもよい。更に、ランプ15の周りに、光の一部または全部を遮る部材を備える、電気によって回転などの動作をする部品を備え、報知部112は、動作モードに応じて、当該部品の回転を制御して、ランプ15の光を遮蔽、または遮蔽の中断を行うことで、ランプ15の光が、周りからは消灯、点灯、点滅しているように見える状態を作り出してもよい。更に、ランプ15は複数の光源を備えていてもよく、当該光源の明滅を制御することにより、光が動いているように見える状態を作り出してもよい。なお、ランプ15の光を動かす方法は、上述した方法に限定されない。
【0064】
前述したディスプレイは、LEDや、液晶、電球などの光を板状に配置し、明滅を制御することにより、光、文字、絵、色などを人に知覚させるものであれば、形状や大きさは問わない。
【0065】
報知の方法は、例えば、動作モードに応じたナンバープレート等の提示によるものでもよい。この場合、報知部112は、動作モードに応じたナンバープレート等を入れ替えたり、表と裏で異なる動作モードを示すナンバープレート等を回転させたりする機構を制御することにより、動作モードを表す報知を行なってもよい。また、例えば、小型低速車の車体番号を示すナンバープレートを表示しておき、歩道走行モードに切り替わった場合に、報知部112は、ナンバープレートを遮蔽したり、ナンバープレートを回転させて裏を向けたりする機構を制御して、歩道走行モードを示すようにしてもよい。
【0066】
また、動作モードを示す表示部(本実施形態では、ランプ15)は、本実施形態では電動スクータ1の機体の後方から視認可能に、機体の尾部に設けるものとするが、機体の前後両方に配置するようにしてもよい。同様にナンバープレートを前後両方に設けるようにすることもできる。
【0067】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0068】
例えば、本実施形態では、電動スクータ1の動作モードは、小型低速モードと歩道走行モードであるものとしたが、これに限らず、、原動機付き自転車の車両区分となる動作モード(原付モード)や、モータ20のみによる電動スクータ1の自走ができない程度にモータ20の出力を下げた電動アシストモード、モータ20を動作させない停止モードなどを含めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
11 制御装置
12 ロック装置
13 センサ
14 スイッチ
15 ランプ
20 モータ
111 最高速度設定部
112 報知部
113 位置情報取得部
114 周辺環境検出部