(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042603
(43)【公開日】2023-03-27
(54)【発明の名称】集水桝用水量調整ブロック
(51)【国際特許分類】
E03F 5/10 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
E03F5/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014892
(22)【出願日】2023-02-02
(62)【分割の表示】P 2021027704の分割
【原出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】591036125
【氏名又は名称】藤林コンクリート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤林 功
(57)【要約】
【課題】複数の側溝が合流する地点に設置される集水桝に好適な集水桝用水量調整構造を提供する。
【解決手段】集水桝本体2内を外部排水施設側部と側溝側部とに区画する区画壁11を有し、区画壁11は、上部開口部14を有し、且つ、一側面に導出部13が形成された構成であり、この導出部13が形成された導出部形成部11aは、集水桝本体2の外部連通口3が設けられた外部連通口形成面2aと密接可能に形成され、集水桝1内の水位が区画壁11の高さ以上になった場合、上部開口部14から区画壁11で囲繞された空間12内に流体が流れ込み、この空間12内に流れ込んだ流体12が導出部13及び外部連通口3を介して外部排水施設30へ導出されるように構成されている集水桝用水量調整ブロック。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側溝及び外部排水施設と連設される集水桝内に設けられ、前記集水桝本体内の流体が所定量以上となった場合、前記流体を前記集水桝本体の側面に設けられた外部連通口を介して前記外部排水施設に導出するための集水桝用水量調整ブロックであって、前記集水桝本体内を、前記外部連通口を含む外部排水施設側部と、前記側溝と連通する上流側側溝連通口及び下流側側溝連通口を含む側溝側部とに区画する区画壁を有し、前記区画壁は、上部開口部を有し、且つ、一側面に導出部が形成された構成であり、この導出部が形成された導出部形成部は、前記集水桝本体の前記外部連通口が設けられた外部連通口形成面と密接可能に形成され、前記集水桝内の前記側溝側部における流体の水位が前記区画壁の高さ以上になった場合、前記上部開口部から前記外部排水施設側部となる前記区画壁で囲繞された空間内に前記流体が流れ込み、この空間内に流れ込んだ流体が前記導出部及び前記外部連通口を介して前記外部排水施設へ導出されるように構成されていることを特徴とする集水桝用水量調整ブロック。
【請求項2】
請求項1記載の集水桝用水量調整ブロックにおいて、前記集水桝は、平面視方形状であり、また、前記区画壁は、前記導出部形成部及び該導出部形成部と隣接する一方の壁部の二壁部が垂直面に形成された四角錐台形状であり、前記集水桝本体の入隅に配設可能に構成されていることを特徴とする集水桝用水量調整ブロック。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の集水桝用水量調整ブロックにおいて、前記区画壁は、一側面が開口する平面視コ字状に形成され、この一側面の開口部を前記導出部とする構成であることを特徴とする集水桝用水量調整ブロック。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の集水桝用水量調整ブロックにおいて、前記区画壁は、底部を有することを特徴とする集水桝用水量調整ブロック。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の集水桝用水量調整ブロックにおいて、前記上部開口部には、網目状の蓋体が設けられ、この蓋体は、円錐形状、角錐形状、円錐台形、角錐台形状若しくは凸湾曲形状に形成されていることを特徴とする集水桝用水量調整ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集水桝用水量調整ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの車道においては、車道に沿って側溝が設けられ、さらに、車道を側溝側に下がり傾斜させ、降雨の際、雨水が傾斜に沿って側溝側に流れるようにして車道上に雨水が溜まらないようしている。
【0003】
ところで、従来、この側溝においては、複数の側溝が合流する地点に、合流により一時的に増加した水を受け止め、側溝からの水の氾濫を防止したり、雨水と共に側溝内を流れる泥や小石、落ち葉やゴミなどを集めることを目的とした集水桝(雨水桝とも言う。)が設けられている。
【0004】
また、この集水桝においては、特許文献1に記載されるような、貯留槽と連設され、豪雨の際、側溝を流れる雨水の一部を貯留槽へ排水するように構成されているもの(以下、「従来例」という。)もある。
【0005】
上記従来例は、
図13に示すように、内部に流入口64側の側壁61と流出口65側の側壁62との間に上端が流入口64よりも上位に位置する堰板63が設けられ、豪雨などにより流入口64側の水量が増加し、堰板63の高さ以上の水量になった場合、流入口64側の水が堰板63を越えて流出口65側に流入し、流出口65を介して貯留槽70へ流入するように構成され、これにより、豪雨時の側溝50や集水桝60における雨水の氾濫を可及的に防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来例のように、堰板63が流入口側の側壁61と流出口側の側壁62との間に設けられる構成では、複数の側溝50が合流する地点、例えば、
図14に示すような、二本の側溝50が合流して一本の側溝50になる地点に設けられた場合、複数の側壁61に流入口64が設けられるため、内部を流入口64側と流出口65側とに適正に区画することが厄介である。
【0008】
本発明は、上述した従来例の問題を解決した集水桝用水量調整ブロックを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
側溝20及び外部排水施設30と連設される集水桝1内に設けられ、前記集水桝本体2内の流体が所定量以上となった場合、前記流体を前記集水桝本体2の側面に設けられた外部連通口3を介して前記外部排水施設30に導出するための集水桝用水量調整ブロックであって、前記集水桝本体2内を、前記外部連通口3を含む外部排水施設側部と、前記側溝20と連通する上流側側溝連通口4及び下流側側溝連通口5を含む側溝側部とに区画する区画壁11を有し、前記区画壁11は、上部開口部14を有し、且つ、一側面に導出部13が形成された構成であり、この導出部13が形成された導出部形成部11aは、前記集水桝本体2の前記外部連通口3が設けられた外部連通口形成面2aと密接可能に形成され、前記集水桝1内の前記側溝側部における流体の水位が前記区画壁11の高さ以上になった場合、前記上部開口部14から前記外部排水施設側部となる前記区画壁11で囲繞された空間12内に前記流体が流れ込み、この空間12内に流れ込んだ流体12が前記導出部13及び前記外部連通口3を介して前記外部排水施設30へ導出されるように構成されていることを特徴とする集水桝用水量調整ブロックに係るものである。
【0011】
また、請求項1記載の集水桝用水量調整ブロックにおいて、前記集水桝1は、平面視方形状であり、また、前記区画壁11は、前記導出部形成部11a及び該導出部形成部11aと隣接する一方の壁部の二壁部が垂直面に形成された四角錐台形状であり、前記集水桝本体2の入隅に配設可能に構成されていることを特徴とする集水桝用水量調整ブロックに係るものである。
【0012】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の集水桝用水量調整ブロックにおいて、前記区画壁11は、一側面が開口する平面視コ字状に形成され、この一側面の開口部を前記導出部13とする構成であることを特徴とする集水桝用水量調整ブロックに係るものである。
【0013】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の集水桝用水量調整ブロックにおいて、前記区画壁11は、底部15を有することを特徴とする集水桝用水量調整ブロックに係るものである。
【0014】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の集水桝用水量調整ブロックにおいて、前記上部開口部14には、網目状の蓋体16が設けられ、この蓋体16は、円錐形状、角錐形状、円錐台形、角錐台形状若しくは凸湾曲形状に形成されていることを特徴とする集水桝用水量調整ブロックに係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、複数の側溝が合流する地点に設けた集水桝内の流体の流れを妨げることなく適正に区画して、集水桝内の流体が所定量以上となった場合、集水桝内の流体を区画壁で囲繞した空間内に導入し、この空間に導入した流体を導出部及び外部連通口を介して外部排水施設に導出して、側溝や集水桝の氾濫を可及的に防止することができる集水桝用水量調整ブロックとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】本実施例の設置状態を示す説明平面図である。
【
図4】本実施例の水量調整ブロックを示す斜視図である。
【
図5】本実施例の水量調整ブロックの分解斜視図である。
【
図6】本実施例の水量調整ブロック配置例を示す概略説明図である。
【
図7】本実施例の水量調整ブロック配置例を示す概略説明図である。
【
図8】本実施例の水量調整ブロック配置例を示す概略説明図である。
【
図9】本実施例の使用状態(排水作用)を示す概略説明図である。
【
図10】本実施例の使用状態(排水作用)を示す概略説明図である。
【
図11】本実施例の使用状態(排水作用)を示す概略説明図である。
【
図12】本実施例の水量調整ブロックの使用状態を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
複数の側溝50が合流する地点に設けられた集水桝60に従来例の集水桝用水量調整構造(堰板63)を採用した場合、
図14に示すように、一方の流入口64からの流れが堰板63によって妨げられてしまう。
【0019】
この点、本発明は、集水桝本体2内を、外部連通口3を含む外部排水施設側部と、側溝20と連通する上流側側溝連通口4及び下流側側溝連通口5を含む側溝側部とに区画する区画壁11の一側面に導出部13が形成され、さらに、この導出部13が形成された導出部形成部11aが、集水桝本体2の外部連通口3が設けられた外部連通口形成面2aと密接可能に形成され、この導出部形成部11aを外部連通口形成面2aに密接させることで導出部13と外部連通口3とが連通状態となるように構成されているから、たとえば、上流側の複数の側溝20が合流する地点に配設された集水桝1(集水桝本体2内)に設けた場合でも、
図6~
図8に示すように、集水桝本体2内における複数の上流側側溝連通口4から下流側側溝連通口5へ流れる雨水等の流体の流れを妨げることなく、区画壁11により集水桝本体2内を外部排水施設側部と側溝側部とに適正に区画し、豪雨などにより集水桝本体2内(側溝側部)の流体量が増加し所定量以上となった場合、集水桝本体2内の流体を区画壁11で囲繞した空間12内、すなわち、外部排水施設側部に導入し、この外部排水施設側部に導入した流体を導出部13及び外部連通口3を介して外部排水施設30に導出し、集水桝1からの流体の氾濫を可及的に防止すると共に、集水桝1からの下流側の側溝への排水量を抑制し、この下流側の側溝の流量増加を抑制し、下流側の側溝の氾濫を可及的に防止することができる。
【0020】
しかも、本発明は、導出部13が形成された導出部形成部11aが、集水桝本体2の外部連通口3が設けられた外部連通口形成面2aと密接可能に形成されているから、集水桝本体2(外部連通口形成面2a)との接着処理や隙間を埋める処理を要することなく、単に導出部形成部11aを外部連通口形成面2aに密接させるようにして集水桝本体2内に載置するだけの簡易な作業で、集水桝本体2内に設置することができる。
【0021】
このように、本発明は、設置作業容易にして安定的に集水桝本体2内に設置することができ、優れた水量調整作用を発揮する従来にない画期的な集水桝用水量調整ブロックとなる。
【実施例0022】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0023】
本実施例は、側溝20及び地下貯留槽30と連通し、平時(通常の雨量の降雨時)は、上流側の側溝20から流入する雨水をそのまま下流側の側溝20へ排出し、豪雨などにより内部の雨水が所定量以上となった場合、内部の雨水の一部を地下貯留槽30に排出し、雨水の側溝20や集水桝1自体からの氾濫を可及的に防止するように構成される集水桝1であり、
図1,2に示すように、集水桝本体2と、この集水桝本体2内に設けられる水量調整ブロック10とからなるものである。
【0024】
なお、本実施例は、
図6に示すような、二本の側溝20が合流する地点に設けられ、流れ込んだ雨水を一本の側溝20へ排出するように構成された場合である。
【0025】
以下、本実施例に係る構成各部について詳述する。
【0026】
集水桝本体2は、方形箱状に形成され、
図2に示すように、一方の上流側の側溝20が連設される一方側側溝上流連設面に一方の上流側の側溝20と連通する上流側側溝連通口4と外部連通口3が設けられ、また、他方の上流側の側溝20が連設される他方側側溝上流連設面に他方の上流側の側溝20と連通する上流側側溝連通口4が設けられ、さらに、上流側側溝連通口4と外部連通口3が設けられた一方側側溝上流連設面と対向し下流側の側溝20が連設される側溝下流連設面に下流側側溝連通口5が夫々設けられている。
【0027】
具体的には、外部連通口3は、集水桝本体2の下側(底側)に設けられ、
図3に示すように、地下貯留槽30に連結される連結配管31と連通するように構成されている。
【0028】
また、上流側側溝連通口4は、側溝20の断面形状とほぼ同等の形状に形成され、上流側の側溝20と連通するように集水桝本体2の上側に設けられている。
【0029】
また、下流側側溝連通口5は、上側に設けられる上側側溝連通口5aと下側に設けられる下側側溝連通口5bとで構成されている。
【0030】
具体的には、上側側溝連通口5aと下側側溝連通口5bとは所定の高さの仕切壁6を介して上下方向に並設され、本実施例においては、下側側溝連通口5bは雨水の流量が少ない平時の流出口として機能し、上側側溝連通口5aは豪雨時のオーバーフロー口として機能する。
【0031】
なお、外部連通口3、上流側側溝連通口4及び下流側側溝連通口5の配設数、配設位置は上記に限定されるものではなく、連設される側溝20の本数や配置により適宜変更可能なものとする。
【0032】
また、上述した集水桝本体2内に設けられる水量調整ブロック10は、区画壁11に囲繞された空間12を有し、集水桝本体2内の水量が所定量以上となった場合、集水桝本体2内の雨水が空間12内に流れ込むように構成され、さらに、区画壁11に導出部13が設けられ、この導出部13から空間12内に流れ込んだ雨水を集水桝本体2に設けられた外部連通口3を介して地下貯留槽30に導出(排出)するように構成されている。
【0033】
具体的には、本実施例の区画壁11は、
図4,5に示すように、一側面が開口する平面視コ字状に形成され、この一側面の開口部を前記導出部13とすると共に、下部開口部が底部15により閉口され、上部開口部14からこの区画壁11内(この区画壁11に囲繞された空間12内)に集水桝本体2内の雨水が流れ込み、この流れ込んだ雨水を導出部13から地下貯留槽30へ排出するように構成されている。
【0034】
また、本実施例の区画壁11は、集水桝本体2内に設置した状態において、上端、すなわち、上部開口部14が側溝20の底からこの側溝20の深さ方向の1/3の高さ位置となる高さに設定され、集水桝本体2内の水面が側溝20深さの1/3の高さ位置と同等の高さになった場合、上部開口部14からこの区画壁11内に集水桝本体2内の雨水が流れ込むように構成されている。
【0035】
また、本実施例の区画壁11は、導出部13が設けられた面(導出部形成部11a)が垂直面に形成され、
図3に示すように、本実施例の水量調整ブロック10は、この導出部形成部11aを集水桝本体2の外部連通口3が設けられた内面(外部連通口形成面2a)と密着接合させ、配管などを介さずに導出部13を直接、外部連通口3と連通させた状態で集水桝本体2内に配設できるように構成されている。
【0036】
なお、本実施例の水量調整ブロック10は、上記導出部形成部11aと、この導出部形成部11aと隣接する面(本実施例では図中符号11bの集水桝本体2の上流側側溝連通口4のみが設けられる面と係合する面)の二面が垂直面に形成され、集水桝本体2の入隅に配設できるように構成されている。
【0037】
また、本実施例の水量調整ブロック10は、区画壁11の上部開口部14に格子状の蓋体16が設けられ、この蓋体16により側溝20から集水桝本体2内に流れ込んだ落ち葉やゴミ、小石などの異物の区画壁11内(空間12)への侵入を可及的に防止するように構成されている。
【0038】
具体的には、本実施例の蓋体16は、
図4,5に示すように、四角錐台形に形成されたグレーチングであり、この蓋体16に落ち葉やゴミなどの異物が付着した場合でも、
図12に示すように、斜面下方に異物が集められ、全面が異物で覆われず、雨水を良好に空間12内に導入することができるように構成されている。
【0039】
なお、蓋体16の形状は、上記に限らず、例えば、円錐形状、角錐形状、円錐台形や凸湾曲形状(ドーム形状)など外方に向かって下り傾斜する傾斜面を有する形状であれば、適宜採用可能である。
【0040】
また、本実施例の水量調整ブロック10は、上記蓋体16の下方に、この蓋体16より細かい目に設定された格子状の内蓋体17が設けられている。
【0041】
具体的には、この内蓋体17は、格子幅が上述した蓋体16の格子幅の半分程度に設定され、蓋体16を通過した異物の空間12内への侵入を可及的に防止するように構成されている。
【0042】
すなわち、本実施例の水量調整ブロック10は、蓋体16及び内蓋体17の二重蓋構造になっており、上部開口部14からの異物の侵入を可及的に防止する構成となっている。
【0043】
なお、本実施例の水量調整ブロック10は、上述したように区画壁11が平面視コ字状に形成され、一側面の開口部を導出部13とする構成になっているが、区画壁11を四面からなる筒状に形成し、一側面に導出部13を形成した構成としても良い。
【0044】
また、本実施例は、水量調整ブロック10の導出部形成部11aを集水桝本体2の外部連通口形成面2aと密着接合させ、導出部13と外部連通口3とが直接、連通する構成になっているが、上記のように区画壁11を筒状に形成すると共に、一側面に導出部13を形成し、この形成した導出部13と外部連通口3とを配管を介して連通させた構成としても良い。これにより、水量調整ブロック10を集水桝本体2内の所望の位置に自由に配設することができる。
【0045】
以上のように構成される本実施例の作用効果について以下に説明する。
【0046】
本実施例は、集水桝本体2内に配設される水量調整ブロック10を、一側面が開口する平面視コ字状に形成すると共に、この一側面の開口部を導出部13とし、さらに、下部開口部を底部15により閉口し、上部開口部14からこの区画壁11(空間12)内に集水桝本体2内の雨水が流れ込み、この流れ込んだ雨水が導出部13から地下貯留槽30へ排出するように構成したから、
図6~
図8に示すような、上流側の複数の側溝20が合流する地点に配設された場合でも、集水桝本体2内における複数の上流側側溝連通口4から下流側側溝連通口5へ流れる雨水の流れを妨げることなく、水量調整ブロック10(区画壁11)により集水桝本体2内を側溝20側と地下貯留槽30側とに適正に区画して、豪雨などにより集水桝本体2内の雨水が増加し所定量以上となった場合、集水桝本体2内の雨水を水量調整ブロック10内(区画壁11で囲繞した空間12内)に導入し、この水量調整ブロック10内に導入した雨水を導出部13及び外部連通口3を介して地下貯留槽30に導出し、集水桝1からの雨水の氾濫を可及的に防止すると共に、集水桝1からの下流側の側溝20への排水量を抑制し、この下流側の側溝20の流量増加を抑制し、下流側の側溝20の氾濫を可及的に防止することができる。
【0047】
具体的には、本実施例の集水桝1は、以下のような排水作用を奏する。
【0048】
集水桝本体2内に流れ込む雨水の流量が少ない平時は、
図9に示すように、集水桝本体2内の水位が水量調整ブロック10の区画壁11の上端より低く、水量調整ブロック10内に雨水が流れ込まず、雨水を下流側側溝連通口5の下側側溝連通口5bから排出する。
【0049】
また、豪雨などによる側溝20内の雨水流量の増加に伴い、集水桝本体2内に流れ込む雨水の量が増加し集水桝本体2内の水位が上昇した場合、
図10に示すように、集水桝本体2内の雨水を水量調整ブロック10内(区画壁11に囲繞された空間12内)に流入させ、この流入した雨水を導出部13から集水桝本体2の外部連通口3を通じて地下貯留槽30へ排出して集水桝本体2内の水位を下流側側溝連通口5の上側側溝連通口5aと下側側溝連通口5bの間に設けられた仕切壁6の高さ範囲内に保持し、下流側側溝連通口5の下側側溝連通口5bから一定量の雨水を排出する。なお、本実施例においては、側溝20を流れる雨水の水位が側溝高さの1/3以上になった場合に集水桝本体2内に流れ込んだ雨水が水量調整ブロック10内に流れ込むようになっている。
【0050】
そして、地下貯留槽30が満水状態になり、水量調整ブロック10を介して地下貯留槽30側に雨水を排出することができなくなった場合、
図11に示すように、下流側側溝連通口5の上側側溝連通口5aをオーバーフロー口として、下側側溝連通口5bと共のこの上側側溝連通口5aを介して下流側の側溝20に雨水を排出する。
【0051】
また、本実施例は、水量調整ブロック10の区画壁11の下部開口部を底部15で閉口すると共に、導出部13を設けた導出部形成部11aを垂直面に形成し、導出部形成部11aを集水桝本体2の外部連通口3が設けられた外部連通口形成面2aに密着(重合当接)させて、導出部13と外部連通口3とを直接、連通状態にすることができるように構成したから、水量調整ブロック10の区画壁11(導出部形成部11a)と集水桝本体2(外部連通口形成面2a)との接着処理や隙間を埋める処理を要することなく、単に導出部形成部11aと外部連通口形成面2aとが密着するように水量調整ブロック10を集水桝本体2内に載置するだけの簡易な作業で、水量調整ブロック10を集水桝本体2内に所望の状態で設けることができる。
【0052】
また、本実施例は、水量調整ブロック10の蓋体16が四角錐台形に形成されているから、
図12に示すように、蓋体16に付着した落ち葉やゴミなどの異物は傾斜面により蓋体16の下側に集められ、蓋体16の上側の異物による目詰まりが抑制され、良好な排水作用が維持される。
【0053】
また、本実施例は、この蓋体16の下方にこの蓋体16よりも目が細かい内蓋体17が設けられているから、蓋体16を通過した小石などの比較的小さな異物をこの内蓋体17で捕捉し、異物の水量調整ブロック10内への侵入を可及的に防止することができる。
【0054】
なお、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。