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特開2023-42671コイル基板、モータ用コイル基板及びモータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042671
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】コイル基板、モータ用コイル基板及びモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/26 20060101AFI20230320BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20230320BHJP
   H01F 5/04 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
H02K3/26 E
H05K1/16 B
H01F5/04 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149921
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】平澤 貴久
(72)【発明者】
【氏名】古野 貴之
【テーマコード(参考)】
4E351
5H603
【Fターム(参考)】
4E351AA04
4E351AA16
4E351BB15
4E351GG20
5H603AA09
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB12
5H603CA01
5H603CB01
5H603CC02
5H603CD25
5H603CD26
(57)【要約】
【課題】安定した性能のモータが得られるコイル基板と、コイル基板を用いて形成されるモータ用コイル基板と、モータ用コイル基板を用いて形成されるモータの提供。
【解決手段】実施形態のコイル基板は、第1面と第1面と反対側の第2面とを有するフレキシブル基板と、第1面上に設けられるコイル形状の配線と第2面上に設けられるコイル形状の配線によって形成されるコイル、とを有する。コイル基板は、フレキシブル基板の長手方向の一端側の基準辺を起点として、長手方向と直交する直交方向に延びる軸を中心として周方向に巻かれることによってほぼ円筒状に形成可能である。配線は、直交方向に沿って延びる直交部を有する。直交部は第1面上の第1直交部と第2面上の第2直交部とを含む。第1直交部と第2直交部のうちの少なくとも一方には、直交方向に沿って少なくとも一本のスリットが形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有するフレキシブル基板と、
前記第1面上に設けられるコイル形状の配線と前記第2面上に設けられるコイル形状の配線によって形成されるコイル、とを有するコイル基板であって、
前記コイル基板は、前記フレキシブル基板の長手方向の一端側の基準辺を起点として、前記長手方向と直交する直交方向に延びる軸を中心として周方向に巻かれることによってほぼ円筒状に形成可能であり、
前記配線は、前記直交方向に沿って延びる直交部を有し、前記直交部は前記第1面上の第1直交部と前記第2面上の第2直交部とを含み、
前記第1直交部と前記第2直交部のうちの少なくとも一方には、前記直交方向に沿って少なくとも一本のスリットが形成されている。
【請求項2】
請求項1のコイル基板であって、前記スリットは、前記第1直交部と前記第2直交部のうちのいずれか一方に形成されている。
【請求項3】
請求項1のコイル基板であって、前記スリットは、前記第1直交部と前記第2直交部の双方に形成されている。
【請求項4】
請求項1のコイル基板であって、前記第1直交部と前記フレキシブル基板と前記第2直交部の断面において、前記第1直交部と前記第2直交部が重なっている。
【請求項5】
請求項1のコイル基板をほぼ円筒状に巻くことによって形成されるモータ用コイル基板であって、前記第1面が内周側に配置されており、前記第2面が外周側に配置されている。
【請求項6】
請求項5のモータ用コイル基板であって、断面形状が48角形以上の多角形である多角筒状である。
【請求項7】
請求項5のモータ用コイル基板を円筒状のヨークの内側に配置し、前記モータ用コイル基板の内側に回転軸と磁石を配置することによって形成されるモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、コイル基板と、コイル基板を用いて形成されるモータ用コイル基板と、モータ用コイル基板を用いて形成されるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フレキシブル基板と、フレキシブル基板の両面に形成された渦巻状の配線とを有するコイル基板を開示する。コイル基板が円筒状に巻かれることでモータ用コイル基板が形成される。形成されたモータ用コイル基板を円筒状のヨークの内側に配置し、モータ用コイル基板の内側に回転軸と磁石を配置することによってモータが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-61532号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1の技術では、コイル基板は、フレキシブル基板の長手方向の一端側の辺を起点として、長手方向と直交する直交方向(幅方向)に延びる軸を中心として周方向に巻かれると考えられる。上記の辺も直交方向に沿って延びる。モータ性能の向上のために、コイル基板の配線に、上記の直交方向に沿って延びる直交部が設けられる場合がある。
【0005】
配線に直交部が設けられる場合、直交部間に存在するギャップ部も直交方向に沿って延びる。上記のようにコイル基板を周方向に巻いた場合、直交部間に存在するギャップ部には配線が存在しないため力が加わり易く、折れ曲がり易いと考えられる。その結果、モータ用コイル基板が断面円形の円筒状ではなく断面多角形の多角筒状(例えば断面4角形~12角形程度の多角筒状)に形成されうると考えられる。
【0006】
モータ用コイル基板が断面4角形~12角形程度の多角筒状であると、モータ形成時に内側に配置される磁石と干渉することが考えられる。また、モータ用コイル基板とヨークの間の空隙が一定にならないことで放熱性が低下することが考えられる。その結果安定したモータ性能が発揮できないことが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコイル基板は、第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有するフレキシブル基板と、前記第1面上に設けられるコイル形状の配線と前記第2面上に設けられるコイル形状の配線によって形成されるコイル、とを有する。前記コイル基板は、前記フレキシブル基板の長手方向の一端側の基準辺を起点として、前記長手方向と直交する直交方向に延びる軸を中心として周方向に巻かれることによってほぼ円筒状に形成可能である。前記配線は、前記直交方向に沿って延びる直交部を有する。前記直交部は前記第1面上の第1直交部と前記第2面上の第2直交部とを含む。前記第1直交部と前記第2直交部のうちの少なくとも一方には、前記直交方向に沿って少なくとも一本のスリットが形成されている。
【0008】
本発明の実施形態のコイル基板では、第1直交部と第2直交部のうちの少なくとも一方には、直交方向に沿って少なくとも一本のスリットが形成されている。コイル基板を周方向に巻いた場合、スリットが形成されている位置で直交部が曲がり得る。その結果、コイル基板を周方向に巻いた場合、モータ用コイル基板がほぼ断面円形の円筒状に形成され得る。そのため、モータ形成時にモータ用コイル基板の内側に配置される磁石とモータ用コイル基板が干渉することが防止される。また、モータ用コイル基板とヨークの間の空隙が一定になるため、高い放熱性が実現される。そのため、実施形態のコイル基板を用いてモータが形成される場合、安定した性能のモータが得られる。
【0009】
本発明のモータ用コイル基板は、上記の本発明のコイル基板をほぼ円筒状に巻くことによって形成される。第1面が内周側に配置されており、第2面が外周側に配置されている。
【0010】
上記の通り、本発明の実施形態のモータ用コイル基板は、ほぼ断面円形の円筒状に形成され得る。モータ形成時に磁石とモータ用コイル基板とが干渉することが防止される。高い放熱性が実現される。そのため、実施形態のモータ用コイル基板を用いてモータが形成される場合、安定した性能のモータが得られる。
【0011】
本発明のモータは、上記の本発明のモータ用コイル基板を円筒状のヨークの内側に配置し、前記モータ用コイル基板の内側に回転軸と磁石を配置することによって形成される。
【0012】
本発明の実施形態のモータでは、磁石とモータ用コイル基板とが干渉することが防止される。また、モータ用コイル基板とヨークの間の空隙も一定になるため高い放熱性が実現される。安定した性能のモータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態のコイル基板を模式的に示す平面図。
図2】実施形態のコイル基板を模式的に示す底面図。
図3】第1直交部の一部を模式的に示す拡大説明図。
図4】第2直交部の一部を模式的に示す拡大説明図。
図5】実施形態のコイル基板の一部を模式的に示す断面図。
図6】実施形態のモータ用コイル基板を模式的に示す斜視図。
図7】実施形態のモータを模式的に示す断面図。
図8】第1改変例のコイル基板を模式的に示す平面図。
図9】第1改変例のコイル基板を模式的に示す底面図。
図10】第1改変例のコイル基板の一部を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
図1は実施形態のコイル基板2を示す平面図である。図2は実施形態のコイル基板2を示す底面図である。コイル基板2は、フレキシブル基板10と、3個のコイル20、22、24とを有する。
【0015】
フレキシブル基板10は、第1面10Fと、第1面10Fと反対側の第2面10Bとを有する樹脂基板である。フレキシブル基板10は、ポリイミド、ポリアミド等の絶縁性を有する樹脂を用いて形成される。フレキシブル基板10は可撓性を有する。フレキシブル基板10は第1辺E1~第4辺E4の四辺を有する矩形状に形成されている。第1辺E1はフレキシブル基板10の長手方向(図1の矢印LD方向)の一端側の短辺である。第2辺E2は長手方向の他端側の短辺である。第1辺E1と第2辺E2はともに長手方向と直交する直交方向(図1の矢印OD方向)に沿って延びる短辺である。第3辺E3と第4辺E4はともに長手方向に沿って延びる長辺である。後で詳しく説明するように、コイル基板2がほぼ円筒状に巻かれてモータ用コイル基板50(図6参照)が形成される場合、第1面10Fは内周側に配置され、第2面10Bは外周側に配置される。
【0016】
コイル20、22、24は、フレキシブル基板10の長手方向に沿って並んでいる。3個のコイル20、22、24はそれぞれ三相モータのU相、V相、W相を構成していてもよい。3個のコイル20、22、24は、第1辺E1から第2辺E2に向かってこの順で並んでいる。改変例では、フレキシブル基板10には3個より少ない数のコイルが設けられていてもよいし、4個以上のコイルが設けられていてもよい。
【0017】
コイル20は、1ターン中の半ターンを構成する第1配線30Fが第1面10F側に形成され、残り半ターンを構成する第2配線30Bが第2面10B側に形成され、隣接する各ターンがずらされながら配置されることによって形成されている。図1図2ではコイル20は3ターン分の配線を備える。各ターンを構成する第1配線30Fと第2配線30Bは、フレキシブル基板10を貫通するビア導体31を介して電気的に接続されている。第1配線30Fは、直交方向(矢印OD参照)に沿って延びる第1直交部30Faを有する。第2配線30Bも、直交方向に沿って延びる第2直交部30Baを有する。
【0018】
同様に、コイル22は、1ターン中の半ターンを構成する第1配線32Fが第1面10F側に形成され、残り半ターンを構成する第2配線32Bが第2面10B側に形成され、隣接する各ターンがずらされながら配置されることによって形成されている。コイル22は3ターン分の配線を備える。各ターンを構成する第1配線32Fと第2配線32Bはビア導体33を介して電気的に接続されている。第1配線32Fは、直交方向(矢印OD参照)に沿って延びる第1直交部32Faを有する。第2配線32Bも、直交方向に沿って延びる第2直交部32Baを有する。
【0019】
コイル24は、1ターン中の半ターンを構成する第1配線34Fが第1面10F側に形成され、残り半ターンを構成する第2配線34Bが第2面10B側に形成され、隣接する各ターンがずらされながら配置されることによって形成されている。コイル24は3ターン分の配線を備える。各ターンを構成する第1配線34Fと第2配線34Bはビア導体35を介して電気的に接続されている。第1配線34Fは、直交方向(矢印OD参照)に沿って延びる第1直交部34Faを有する。第2配線34Bも、直交方向に沿って延びる第2直交部34Baを有する。
【0020】
図1図2に示されるように、コイル20を構成する第2配線30Bの第2直交部30Baは、隣のコイル22を構成する第1配線32Fの第1直交部32Faとフレキシブル基板10を介して重なっている。コイル22を構成する第2配線32Bの第2直交部32Baは、隣のコイル24を構成する第1配線34Fの第1直交部32Faとフレキシブル基板10を介して重なっている。図1図2のコイル20、22、24の配置はあくまで一例である。他の改変例では、コイル20を構成する第2配線30Bの第2直交部30Baは、他のコイルを構成する第1配線の第1直交部(例えば、3個隣のコイルの第1配線の第1直交部)と重なっていれば、すぐ隣のコイル22を構成する第1配線32Fの第1直交部32Faと重なっていなくてもよい。同様に、コイル22を構成する第2配線32Bの第2直交部32Baも、他のコイルを構成する第1配線の第1直交部(例えば、3個隣のコイルの第1配線の第1直交部)と重なっていれば、すぐ隣のコイル24を構成する第1配線34Fの第1直交部34Faと重なっていなくてもよい。
【0021】
また、図示は省略されるが、第1面10Fと第1配線30F、32F、34F上は樹脂絶縁層で覆われている。同様に第2面10Bと第2配線30B、32B、34B上は樹脂絶縁層で覆われている。
【0022】
図3は、上記の第1配線30Fの第1直交部30Faの一部を示す拡大説明図である。図3は、図1中のIII部分の拡大図である。図4は、上記の第2配線30Bの第2直交部30Baの一部を示す拡大説明図である。図4は、図1中のIV部分の拡大図である。図5は、図1のV-V間の断面図である。
【0023】
図3図5に示されるように、第1直交部30Faには直交方向に沿って2本のスリット200Fが形成されている。スリット200Fは、第1直交部30Faの全長に亘って形成されている。図5に示されるように、スリット200Fは、第1直交部30Faの上面から第1面10Fに到達する深さに形成されている。図5に示されるように、第1配線32Fの第1直交部32Faにも、第1直交部30Faと同様に2本のスリット200Fが形成されている。図示されていないが、第1配線34Fの第1直交部34Faにも、同様の2本のスリット200Fが形成されている。改変例では、第1直交部30Fa、32Fa、34Faには1本のスリット200Fが形成されていてもよいし、3本以上のスリット200Fが形成されていてもよい。
【0024】
また、第1配線30F、32F、34Fのうち、第1直交部30Fa、32Fa、34Fa以外の部分にはスリットは形成されていない。
【0025】
図4図5に示されるように、第2直交部30Baには直交方向に沿って2本のスリット200Bが形成されている。スリット200Bは、第2直交部30Baの全長に亘って形成されている。図5に示されるように、スリット200Bは、第2直交部30Baの上面から第2面10Bに到達する深さに形成されている。図示されていないが、第2配線32Bの第2直交部32Baおよび第2配線34Bの第2直交部34Baにも、同様の2本のスリット200Bが形成されている。改変例では、第2直交部30Ba、32Ba、34Baには1本のスリット200Bが形成されていてもよいし、3本以上のスリット200Bが形成されていてもよい。
【0026】
また、第2配線30B、32B、34Bのうち、第2直交部30Ba、32Ba、34Ba以外の部分にはスリットは形成されていない。
【0027】
図6は、実施形態のコイル基板2(図1図5)を用いたモータ用コイル基板50を模式的に示す斜視図である。図6に示されるように、実施形態のコイル基板2(図1図5)が、第1辺E1(図1)を起点として、直交方向に延びる軸(第1辺E1と平行に延びる軸)を中心に周方向に複数回巻かれることにより、ほぼ円筒状のモータ用コイル基板50が形成される。コイル基板2が巻かれる際、フレキシブル基板10の第1面10Fが内周側に配置され、第2面10Bが外周側に配置される。
【0028】
上記の通り、実施形態のコイル基板2では、第1直交部30Fa、32Fa、34Faのそれぞれには直交方向に沿って2本のスリット200Fが形成されている。第2直交部30Ba、32Ba、34Baのそれぞれには直交方向に沿って2本のスリット200Bが形成されている。そのため、コイル基板2を周方向に巻いた場合、スリット200F、200Bが形成されている位置で、第1直交部30Fa、32Fa、34Fa、第2直交部30Ba、32Ba、34Baが曲がり得る。その結果、コイル基板2を周方向に巻いた場合、モータ用コイル基板50がほぼ断面円形の円筒状に形成され得る。より詳しくは、実施形態では、モータ用コイル基板50は、断面形状が48角形以上(より好ましくは120角形以上)の多角筒状(即ちほぼ円筒状)に形成される。モータ用コイル基板50の断面形状の角数は、モータ用コイル基板50の径、巻き数、コイルの数等の要素に応じて変動し得る。その場合であっても、モータ用コイル基板50の断面形状は48角形以上の多角形状であればよい。
【0029】
図7は、実施形態のモータ用コイル基板50(図6)を用いたモータ100を模式的に示す断面図である。モータ100は、モータ用コイル基板50をヨーク60の内側に配置し、モータ用コイル基板50の内側に回転軸80と回転軸80に固定された磁石70とを配置することによって形成される。上記の通り、実施形態のモータ用コイル基板50は、ほぼ円筒状(断面形状が48角形以上の多角形状)に形成される。そのため、モータ100の形成時にモータ用コイル基板50の内側に配置される磁石70とモータ用コイル基板50が干渉することが防止される。また、モータ用コイル基板50とヨーク60の間の空隙が一定になるため、高い放熱性が実現される。そのため、実施形態のコイル基板2を用いてモータ100が形成される場合、安定した性能のモータ100が得られる。第1辺E1が「基準辺」の一例である。第1直交部30Fa、32Fa、34Faと第2直交部30Ba、32Ba、34Baが「直交部」の一例である。
【0030】
[実施形態の別例1]
実施形態の別例1のコイル基板2では、第1直交部30Fa、32Fa、34Faにのみスリット200Fが形成され、第2直交部30Ba、32Ba、34Baにはスリットが形成されない。
【0031】
[実施形態の別例2]
実施形態の別例2のコイル基板2では、第2直交部30Ba、32Ba、34Baにのみスリット200Bが形成され、第1直交部30Fa、32Fa、34Faにはスリットが形成されない。
【0032】
[実施形態の別例3]
実施形態の別例3のコイル基板2では、第1配線30F、32F、34Fのうち、第1直交部30Fa、32Fa、34Fa以外の部分にも、第1直交部30Fa、32Fa、34Faのスリット200Fと同様のスリットが形成される。同様に、第2配線30B、32B、34Bのうち、第2直交部30Ba、32Ba、34Ba以外の部分にも、第2直交部30Ba、32Ba、34Baのスリット200Bと同様のスリットが形成される。
【0033】
[実施形態の別例4]
実施形態の別例4のコイル基板2では、第1直交部30Fa、32Fa、34Faとフレキシブル基板10と第2直交部30Ba、32Ba、34Baの断面において、第1直交部30Fa、32Fa、34Faと第2直交部30Ba、32Ba、34Baがいずれも重ならない。
【0034】
[実施形態の第1改変例]
図8図10は、実施形態の第1改変例を示す。第1改変例では、コイル20、22、24を構成する配線の配置が実施形態と異なる。図8は第1改変例のコイル基板102を示す平面図である。図9は第1改変例のコイル基板102を示す底面図である。図10図8のX-X間の断面図である。
【0035】
コイル20は、第1面10F上に設けられるコイル形状の第1配線30F(図8)と第2面10B上に設けられるコイル形状の第2配線30B(図9)とからなる。第1配線30Fと第2配線30Bは、フレキシブル基板10を貫通するビア導体31を介して電気的に接続されている。同様に、コイル22は第1配線32Fと第2配線32Bとからなる。第1配線32Fと第2配線32Bはビア導体33を介して電気的に接続されている。コイル24は第1配線34Fと第2配線34Bとからなる。第1配線34Fと第2配線34Bはビア導体35を介して電気的に接続されている。
【0036】
図8に示されるように、第1配線30Fは、外周から内周に向かって右回りの渦巻状(六角形の渦巻状)に形成されている。ビア導体31は第1配線30Fの内周側端部に形成されている。図9に示されるように、第2配線30Bは、外周から内周に向かって左回りの渦巻状(六角形の渦巻状)に形成されている。ビア導体31は第2配線30Bの内周側端部に形成されている。第1配線30Fと第2配線30Bは、同じ面から見て同じ巻き方向の渦巻状に形成されている。第1配線30Fと第2配線30Bは電気的に直列に接続された1つのコイル20として機能する。
【0037】
第1配線32Fと第2配線32B、及び、第1配線34Fと第2配線34Bは、上記の第1配線30Fと第2配線30Bと同様の関係を有する。第1配線32Fと第2配線32Bは、同じ面から見て同じ巻き方向の渦巻状に形成されている。第1配線32Fと第2配線32Bは電気的に直列に接続された1つのコイル22として機能する。第1配線34Fと第2配線34Bは、同じ面から見て同じ巻き方向の渦巻状に形成されている。第1配線34Fと第2配線34Bは電気的に直列に接続された1つのコイル24として機能する。
【0038】
図8図9に示されるように、第1改変例でも、第1配線30F、32F、34Fは、直交方向(矢印OD参照)に沿って延びる第1直交部30Fa、32Fa、34Faを有する。第2配線30B、32B、34Bも、直交方向(矢印OD参照)に沿って延びる第2直交部30Ba、32Ba、34Baを有する。第1直交部30Faは第2直交部30Baと重なっている(図10参照)。第1直交部32Faは第2直交部32Baと重なっている。第1直交部34Faは第2直交部34Baと重なっている。
【0039】
また、図示は省略されるが、第1面10Fと第1配線30F、32F、34F上は樹脂絶縁層で覆われている。同様に第2面10Bと第2配線30B、32B、34B上は樹脂絶縁層で覆われている。
【0040】
図10に示されるように、第1直交部30Faには直交方向に沿って2本のスリット200Fが形成されている。スリット200Fは、第1直交部30Faの全長に亘って形成されている。スリット200Fは、第1直交部30Faの上面から第1面10Fに到達する深さに形成されている。図示されていないが、第1配線32Fの第1直交部32Faおよび第1配線34Fの第1直交部34Faにも、同様の2本のスリット200Fが形成されている。改変例では、第1直交部30Fa、32Fa、34Faには1本のスリット200Fが形成されていてもよいし、3本以上のスリット200Fが形成されていてもよい。また、第1配線30F、32F、34Fのうち、第1直交部30Fa、32Fa、34Fa以外の部分にはスリットは形成されていない。
【0041】
図10に示されるように、第2直交部30Baには直交方向に沿って2本のスリット200Bが形成されている。スリット200Bは、第2直交部30Baの全長に亘って形成されている。スリット200Bは、第2直交部30Baの上面から第2面10Bに到達する深さに形成されている。図示されていないが、第2配線32Bの第2直交部32Baおよび第2配線34Bの第2直交部34Baにも、同様の2本のスリット200Bが形成されている。改変例では、第2直交部30Ba、32Ba、34Baには1本のスリット200Bが形成されていてもよいし、3本以上のスリット200Bが形成されていてもよい。また、第2配線30B、32B、34Bのうち、第2直交部30Ba、32Ba、34Ba以外の部分にはスリットは形成されていない。
【0042】
第1改変例のコイル基板102(図8図10)を用いてモータ用コイル基板50が形成される場合も、モータ用コイル基板50がほぼ断面円形の円筒状に形成され得る。より詳しくは、モータ用コイル基板50は、断面形状が48角形以上(より好ましくは120角形以上)の多角筒状(即ちほぼ円筒状)に形成される。モータ100形成時に磁石70とモータ用コイル基板50が干渉することが防止される。また、高い放熱性も実現される。そのため、第1改変例のコイル基板102を用いてモータ100が形成される場合も、安定した性能のモータ100が得られる。
【0043】
[第1改変例の別例1]
第1改変例の別例1のコイル基板102では、第1直交部30Fa、32Fa、34Faにのみスリット200Fが形成され、第2直交部30Ba、32Ba、34Baにはスリットが形成されない。
【0044】
[第1改変例の別例2]
第1改変例の別例2のコイル基板102では、第2直交部30Ba、32Ba、34Baにのみスリット200Bが形成され、第1直交部30Fa、32Fa、34Faにはスリットが形成されない。
【0045】
[第1改変例の別例3]
第1改変例の別例3のコイル基板102では、第1配線30F、32F、34Fのうち、第1直交部30Fa、32Fa、34Fa以外の部分にも、第1直交部30Fa、32Fa、34Faのスリット200Fと同様のスリットが形成される。同様に、第2配線30B、32B、34Bのうち、第2直交部30Ba、32Ba、34Ba以外の部分にも、第2直交部30Ba、32Ba、34Baのスリット200Bと同様のスリットが形成される。
【0046】
[第1改変例の別例4]
第1改変例の別例4のコイル基板102では、第1配線30F、32F、34Fと第2配線30B、32B、34Bとがフレキシブル基板10を介して重ならないように配置される。別例4では、第1直交部30Fa、32Fa、34Faとフレキシブル基板10と第2直交部30Ba、32Ba、34Baの断面において、第1直交部30Fa、32Fa、34Faと第2直交部30Ba、32Ba、34Baがいずれも重ならない。
【符号の説明】
【0047】
2:コイル基板
10:フレキシブル基板
10F:第1面
10B:第2面
20、22、24:コイル
30Fa、32Fa、34Fa:第1直交部
30Ba、32Ba、34Ba:第2直交部
50:モータ用コイル基板
60:ヨーク
70:磁石
80:回転軸
100:モータ
102:コイル基板
200F:スリット
200B:スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10