(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004268
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】位置検出システム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/14 20060101AFI20230110BHJP
G01S 1/68 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
G01S5/14
G01S1/68
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105862
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】513211744
【氏名又は名称】株式会社WHERE
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 伸亨
(72)【発明者】
【氏名】大山 剛
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA08
5J062CC15
5J062CC18
(57)【要約】
【課題】より精度の高い物体の位置検出方法を提供する。
【解決手段】所定の信号を送受信し、空間の所定位置に固定される複数の固定ビーコンと、空間に存在する移動体に添付される移動ビーコンと、複数の固定ビーコンと通信可能である情報処理装置とを含む位置検出システムであって、移動ビーコンは、円偏波の電磁波を送信する円偏波アンテナと、信号を複数の固定ビーコンに向けて円偏波の電磁波で送信する第1通信部を備え、複数の固定ビーコンのそれぞれは、電磁波を送受信するアンテナと、信号を受信し、信号の受信強度を測定し、移動ビーコン識別情報と固定ビーコン識別情報と受信強度とを情報処理装置に向けて送信する第2通信部を備え、情報処理装置は、移動ビーコン識別情報、固定ビーコン識別情報、受信強度と、固定ビーコンの位置情報に基づいて、移動ビーコンの位置を算出する演算部とを備える、システムとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の信号を送受信し、空間の所定位置に固定される複数の固定ビーコンと、前記空間に存在する移動体に添付される移動ビーコンと、前記複数の固定ビーコンと通信可能である情報処理装置とを含む位置検出システムであって、
前記移動ビーコンは、
円偏波の電磁波を送信する円偏波アンテナと、
前記円偏波アンテナにより、前記移動ビーコンを識別する移動ビーコン識別情報を含む信号を、前記複数の固定ビーコンに向けて、円偏波の電磁波で送信する第1通信部を備え、
前記複数の固定ビーコンのそれぞれは、
電磁波を送受信するアンテナと、
前記アンテナにより、前記空間に存在する前記移動ビーコンから前記移動ビーコン識別情報を含む前記信号を受信し、前記信号の受信強度を測定し、前記移動ビーコン識別情報と前記固定ビーコンを識別する固定ビーコン識別情報と前記受信強度とを前記情報処理装置に向けて送信する第2通信部を備え、
前記情報処理装置は、
前記固定ビーコンの位置情報と、前記固定ビーコン識別情報とを格納する記憶部と、
前記移動ビーコン識別情報、前記固定ビーコン識別情報、前記受信強度を受信する第3通信部と、
前記第3通信部で受信した、前記移動ビーコン識別情報、前記固定ビーコン識別情報、前記受信強度と、前記記憶部に格納される前記固定ビーコンの位置情報に基づいて、前記移動ビーコン識別情報で識別される前記移動ビーコンの位置を算出する演算部とを備える、
位置算出システム。
【請求項2】
所定の信号を送受信し、空間の所定位置に固定される複数の固定ビーコンと、前記空間に存在する移動体に添付される移動ビーコンと、前記複数の固定ビーコンと通信可能である情報処理装置とを含む位置検出システムであって、
前記移動ビーコンは、
電磁波を送信するアンテナと、
前記アンテナにより、前記移動ビーコンを識別する移動ビーコン識別情報を含む信号を、前記複数の固定ビーコンに向けて、送信する第1通信部を備え、
前記複数の固定ビーコンのそれぞれは、
少なくとも2方向の直線偏波の偏波面の電磁波を受信する円偏波アンテナと、
前記円偏波アンテナにより、前記空間に存在する前記移動ビーコンから前記移動ビーコン識別情報を含む前記信号を受信し、前記信号の受信強度を測定し、前記移動ビーコン識別情報と前記固定ビーコンを識別する固定ビーコン識別情報と前記受信強度とを前記情報処理装置に向けて送信する第2通信部を備え、
前記情報処理装置は、
前記固定ビーコンの位置情報と、前記固定ビーコン識別情報とを格納する記憶部と、
前記移動ビーコン識別情報、前記固定ビーコン識別情報、前記受信強度を受信する第3通信部と、
前記第3通信部で受信した、前記移動ビーコン識別情報、前記固定ビーコン識別情報、前記受信強度と、前記記憶部に格納される前記固定ビーコンの位置情報に基づいて、前記移動ビーコン識別情報で識別される前記移動ビーコンの位置を算出する演算部とを備える、
位置算出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物体の位置を検出する方法として、検出対象の物体に取り付けられたビーコンと、壁や天井などの所定の位置に取り付けられた複数の別のビーコンとの間で、電波の送受信を行い、電波の信号強度に基づいて検出対象の物体の位置を検出する方法がある。当該方法では、ビーコン間の距離の変化による信号強度の変化を利用して、物体の位置が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の物体の位置を検出する方法では、距離差による信号強度の変化以外に、アンテナの特性によって、ビーコンの相対的な位置関係で、電波の信号強度が強くなる状態、弱くなる状態がある。このため、検出対象の物体の位置(ビーコンの位置)が同じであっても、検出対象の物体の向きが変化することにより、受信する電波の信号強度が変化することがあり、電波の信号強度に基づく物体の位置検出では、位置の誤差が大きくなることがあった。
【0005】
本発明は、より精度の高い物体の位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、第1の態様は、
所定の信号を送受信し、空間の所定位置に固定される複数の固定ビーコンと、前記空間に存在する移動体に添付される移動ビーコンと、前記複数の固定ビーコンと通信可能である情報処理装置とを含む位置検出システムであって、
前記移動ビーコンは、
円偏波の電磁波を送信する円偏波アンテナと、
前記円偏波アンテナにより、前記移動ビーコンを識別する移動ビーコン識別情報を含む信号を、前記複数の固定ビーコンに向けて、円偏波の電磁波で送信する第1通信部を備え、
前記複数の固定ビーコンのそれぞれは、
電磁波を送受信するアンテナと、
前記アンテナにより、前記空間に存在する前記移動ビーコンから前記移動ビーコン識別情報を含む前記信号を受信し、前記信号の受信強度を測定し、前記移動ビーコン識別情報と前記固定ビーコンを識別する固定ビーコン識別情報と前記受信強度とを前記情報処理装置に向けて送信する第2通信部を備え、
前記情報処理装置は、
前記固定ビーコンの位置情報と、前記固定ビーコン識別情報とを格納する記憶部と、
前記移動ビーコン識別情報、前記固定ビーコン識別情報、前記受信強度を受信する第3通信部と、
前記第3通信部で受信した、前記移動ビーコン識別情報、前記固定ビーコン識別情報、
前記受信強度と、前記記憶部に格納される前記固定ビーコンの位置情報に基づいて、前記移動ビーコン識別情報で識別される前記移動ビーコンの位置を算出する演算部とを備える、
位置算出システムとする。
【0007】
開示の態様は、プログラムが情報処理装置によって実行されることによって実現されてもよい。即ち、開示の構成は、上記した態様における各手段が実行する処理を、情報処理装置に対して実行させるためのプログラム、或いは当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として特定することができる。また、開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を情報処理装置が実行する方法をもって特定されてもよい。開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を行う情報処理装置を含むシステムとして特定されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より精度の高い物体の位置検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るシステムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、固定ビーコン10の機能ブロックの例を示す図である。
【
図3】
図3は、制御装置20の機能ブロックの例を示す図である。
【
図4】
図4は、移動ビーコン30の機能ブロックの例を示す図である。
【
図5】
図5は、サーバ40の機能ブロックの例を示す図である。
【
図6】
図6は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、空間と当該空間に設置される固定ビーコン、物体に添付される移動ビーコンの例を示す図である。
【
図8】
図8は、移動ビーコンからの信号の受信強度を、固定ビーコンを介して、サーバで取得する際の動作シーケンスの例を示す図である。
【
図9】
図9は、サーバによる移動ビーコンの位置算出の動作フローの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、発明の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0011】
〔実施形態〕
《システム構成》
図1は、実施形態に係る位置検出システムの構成例を示す図である。なお、本実施形態では、測位等のために送受信される無線標識の送受信装置をビーコンと呼ぶ。本実施形態に係るシステムは、固定ビーコン10(
図1では、固定ビーコン10Aから固定ビーコン10C)、制御装置20、移動ビーコン30、サーバ40を含む。各固定ビーコンは、同様の構成を有する。固定ビーコン10は、例えば、工場やオフィスなどの空間等の天井、梁、壁、柱、床などの移動しないものに固定されて設置されるビーコンである。固定ビーコン10の数は、
図1の例に限定されるものではなく、空間に応じて、決定される。移動ビーコン30は、例えば、利用者(位置検出対象の利用者)に携帯されていたり、所定の物体(位置検出対象の物体)に添付されていたりするビーコンである。当該利用者、当該物体は、移動体の例である。移動ビーコン30の位置は、利用者の位置や物体の位置に対応する。移動ビーコン30は、少なくともいずれか1つの固定ビーコン10との間で信号を送受信できる位置に存在する。制御装置20、サーバ40は、インターネット等のネットワーク100を介して接続されている。移動ビーコン30は、ネットワーク100に接
続されていてもよい。固定ビーコン10Aから固定ビーコン10Cは、マルチホップ無線ネットワークを形成し得る。
【0012】
固定ビーコン10は、当該固定ビーコン10を識別する識別情報及び送信日時を含む無線標識を送信する。また、本実施形態に係る固定ビーコン10は、電波の到達距離内に設置された他の固定ビーコン10と相互に通信を行う機能を有し、全体としてマルチホップ無線ネットワークを形成する。また、各固定ビーコン10は少なくとも1つの他のビーコンの電波到達距離内に配置されるものとする。固定ビーコン10は、移動ビーコン30から、当該移動ビーコン30の識別情報を含む信号を受信する。固定ビーコン10は、当該移動ビーコン30からの信号の受信強度を測定する。固定ビーコン10は、移動ビーコン30から、固定ビーコン10からの信号の当該移動ビーコン30における受信強度を受信してもよい。固定ビーコン10は、移動ビーコン30からの識別情報等とともに、固定ビーコン10自身の識別情報等を、他の固定ビーコン10に向けて送信する。なお、相互に通信可能とした複数のビーコンを総称してビーコンメッシュとも呼ぶ。
【0013】
固定ビーコン10は、例えば、マイクロコントローラとアンテナとを有し、これらが協働することにより各種の機能を実現する。当該アンテナは、所定の方向に指向性を有する指向性アンテナである。固定ビーコン10は、内部センサとして、各種センサを含んでもよい。また、固定ビーコン10には、外部センサとして、各種センサが接続されてもよい。
【0014】
制御装置20は、複数の固定ビーコン10の動作を一元的に制御する装置である。制御装置20は、例えば、複数の固定ビーコン10のいずれかを特定する識別情報と所定の情報とを含む特定情報を、周辺の固定ビーコン10に送信する。一方、固定ビーコン10は、受信した特定情報を周辺の固定ビーコン10へ中継するとともに、自身を示す識別情報を含む特定情報を受信した場合、当該特定情報に基づいて、所定の処理を行う。特定情報は、例えば、固定ビーコン10の動作を制御する情報を含み得る。制御装置20は、ビーコンメッシュとネットワーク100とを接続するゲートウェイとして動作する。
【0015】
移動ビーコン30は、固定ビーコン10に対して、移動ビーコン30自身を識別する識別情報を送信する。移動ビーコン30は、固定ビーコン10から無線標識を受信してもよい。また、
図1には1つの移動ビーコン30を示しているが、移動ビーコン30の数は、1つに限定されるものではない。移動ビーコン30は、固定ビーコン10としての機能を有してもよい。例えば、移動ビーコン30は、ビーコンメッシュ内の1つの固定ビーコン10として機能してもよい。移動ビーコン30は、固定ビーコン10と同様に、内部センサを含んだり、外部センサに接続されたりしてもよい。移動ビーコン30は、利用者に携帯されていたり、移動し得る物体等に添付されていたりする。移動ビーコン30は、利用者が携帯する携帯端末や移動し得る物体等に添付される携帯端末等に内蔵されるものであってもよい。携帯端末には、例えば、携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等が含まれ得る。
【0016】
サーバ40は、例えば、移動ビーコン30の識別情報、移動ビーコン30からの信号を受信した固定ビーコン10の識別情報及び受信日時等を、ビーコンメッシュ、制御装置20、ネットワーク100等を介して取得する。サーバ40は、固定ビーコン10の状態等を示す情報を取得しうる。また、サーバ40は、取得した情報に基づいて、空間内に存在する移動ビーコン30が存在する位置を算出する。
【0017】
〈固定ビーコンの機能構成〉
図2は、実施形態に係る固定ビーコン10の機能ブロックの例を示す図である。なお、固定ビーコン10は、工場、オフィス等の空間に、少なくとも1つの他の固定ビーコン1
0と相互に通信可能な所定の電波到達距離以下の間隔で設置される。当該空間内には、複数の固定ビーコン10が設置される。固定ビーコン10は、通信部11と、円偏波アンテナ12と、記憶部13とを備える。
【0018】
通信部11は、移動ビーコン30から、当該移動ビーコン30を識別する識別情報を含む信号(無線標識)を受信する。また、通信部11は、他の固定ビーコン10から当該固定ビーコン10を識別する識別情報を含む信号を受信する。通信部11は、円偏波アンテナ12に接続される。通信部11は、円偏波アンテナ12を介して信号を受信する。通信部11は、移動ビーコン30から受信した信号の受信強度を測定する。通信部11は、移動ビーコン30等から当該移動ビーコン30等の識別情報を含む信号を受信する。通信部11は、受信した信号に含まれる情報と当該信号の受信強度を対応付けて、記憶部13に格納する。
【0019】
また、通信部11は、記憶部13に保持されている情報に基づいて、当該固定ビーコン10を識別するための識別情報を含む無線標識を送信する。無線標識は、送信時刻を示す日時情報等を含んでもよい。具体的には、BLE(Bluetooth Low Energy)等の技術を利用することができ、無線標識のブロードキャスト通信を行うようにしてもよい。また、通信部11は、他の固定ビーコン10、制御装置20との間で双方向に情報の送受信を行う。例えば、BLEにおけるGATT(Generic Attribute Profile)のようなプロファイ
ルに基づいて相互通信を行うようにしてもよい。通信部11は、コネクション型の通信を行ってもよい。
【0020】
また、通信部11は、制御装置20からの要求に応じて、記憶部13に保持されている情報を、ビーコンメッシュのネットワークを介して制御装置20に送信するようにしてもよい。記憶部13に保持されている情報には、移動ビーコン30から受信した移動ビーコン30の識別情報、受信強度等が含まれ得る。また、固定ビーコン10間を送受信される情報には、あらかじめ、固有の識別情報が割り当てられてもよい。このとき、通信部11は、一度、転送した情報の識別情報を記憶部13に格納し、情報を転送する際に、当該情報の識別情報が記憶部13に過去に転送した情報の識別情報と一致するか否かを確認し、過去に転送した情報である場合には、当該情報を転送しなくてもよい。これにより、同じ情報がビーコンメッシュ内を転送され続けることを回避することができる。
【0021】
円偏波アンテナ12は、信号を円偏波の電磁波で送信するアンテナである。また、円偏波アンテナ12は、電磁波を電場の振動方向(偏波面)によらず受信できるアンテナである。また、円偏波アンテナ12は、円偏波の電磁波を受信し得る。円偏波アンテナ12は、通信部11に接続され、他の固定ビーコン10、移動ビーコン30等との間で信号の送受信をする。円偏波アンテナ12は、所定方向に指向性を有する指向性アンテナであってもよい。
【0022】
電磁波が空間を伝搬する際に、電界の振動方向が規則的な電磁波を偏波という。電磁波が空間を伝搬する際、電場の振動方向が一定である電磁波を直線偏波という。電磁波が空間を伝搬する際、電場の振動方向が回転する電磁波を円偏波という。電磁波は、送信する側と受信する側とでアンテナの偏波面を一致させないと良好な通信ができないことがある。円偏波アンテナは、電磁波を電場の振動方向によらず受信できるため、電磁波の進行方向が回転しても電波を良好に受信できる。円偏波アンテナは、円偏波の電磁波を送信することができる。また、円偏波の電磁波の偏波面は回転するため、受信アンテナが、円偏波アンテナでなく、特定の偏波面の電磁波を受信するものであっても、円偏波の電磁波を良好に受信することができる。円偏波アンテナは、非平行の少なくとも2方向の直線偏波の偏波面の電磁波を良好に受信できるアンテナである。
【0023】
記憶部13は、不揮発性メモリであり、例えばマイクロプロセッサが有するフラッシュメモリのようなEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory
)等によって実現される。また、記憶部13は、予め定められた当該固定ビーコン10の固有の識別情報(固定ビーコンID(固定ビーコン識別情報))や、通信部11が無線標識を送信する際の電波強度の設定値等を記憶する。記憶部13は、受信した信号に含まれる情報や当該信号の受信強度などを格納する。
【0024】
〈制御装置の機能構成〉
図3は、実施形態に係る制御装置20の機能ブロックの例を示す図である。制御装置20は、例えば一般的なコンピュータであり、ビーコン通信部21、通信部22、記憶部23を備える。
【0025】
ビーコン通信部21は、固定ビーコン10と双方向の通信を行う。すなわち、ビーコン通信部21は、上記した特定情報を送信したり、固定ビーコン10から死活情報、固定ビーコン10が保持する情報を受信したりする。制御装置20は、1以上の固定ビーコン10と通信可能に有線等で接続されていてもよい。ビーコン通信部21は、固定ビーコン10等から取得した情報を、記憶部23に格納する。また、ビーコン通信部21は、制御装置20を操作するユーザからの入力等に基づいて、特定情報を送信し、固定ビーコン10の設定を変更させてもよい。ビーコン通信部21は、特定情報にすべての固定ビーコン10に対応する識別情報を含むようにして、固定ビーコン10は同一の特定情報を1回のみブロードキャスト通信するようにしてもよい。また、特定情報がビーコンメッシュのネットワーク上を転送される回数を示すホップ数を含むようにして、固定ビーコン10は設定変更情報を転送するたびにホップ数をインクリメントし、所定の回数だけ固定ビーコン10間を転送された特定情報がビーコンメッシュ上から削除されるようにしてもよい。ビーコン通信部21は、移動ビーコン30と双方向の通信をしてもよい。
【0026】
通信部22は、例えば、インターネットや専用回線等のネットワーク100を介して、サーバ40、移動ビーコン30等と通信する。通信部22は、記憶部23に格納される固定ビーコン10等から取得した情報をサーバ40に送信する。
【0027】
記憶部23は、例えば、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶部23は、各ビーコンの識別情報(固定ビーコンID、移動ビーコンID)に対応付けて、複数の固定ビーコン10の設置場所を示す位置情報、動作設定等を記憶する。
【0028】
〈端末の機能構成〉
図4は、実施形態に係る移動ビーコン30の機能ブロックの例を示す図である。移動ビーコン30は、通信部31と、円偏波アンテナ32と、記憶部33とを備える。
【0029】
通信部31は、固定ビーコン10から、当該固定ビーコン10を識別する識別情報を含む信号(無線標識)を受信する。通信部31は、円偏波アンテナ32に接続される。通信部11は、円偏波アンテナ32を介して信号を受信する。通信部31は、固定ビーコン10から受信した信号の受信強度を測定する。通信部31は、受信した信号に含まれる情報と当該信号の受信強度を対応付けて、記憶部33に格納する。
【0030】
また、通信部31は、記憶部33に保持されている情報に基づいて、当該移動ビーコン30を識別するための識別情報を含む無線標識を送信する。無線標識は、送信時刻を示す日時情報等を含んでもよい。具体的には、BLE等の技術を利用することができ、無線標識のブロードキャスト通信を行うようにしてもよい。また、通信部31は、制御装置20との間で双方向に情報の送受信を行う。例えば、通信部31は、BLEにおけるGATT
のようなプロファイルに基づいて相互通信を行うようにしてもよい。通信部31は、コネクション型の通信を行ってもよい。
【0031】
通信部31は、固定ビーコン10の通信部11と同様の機能を有し得る。
【0032】
円偏波アンテナ32は、信号を円偏波の電磁波で送信するアンテナである。また、円偏波アンテナ32は、電磁波を電場の振動方向によらず受信するアンテナである。円偏波アンテナ32は、円偏波の電磁波を受信し得る。円偏波アンテナ32は、通信部31に接続され、固定ビーコン10等との間で信号の送受信をする。円偏波アンテナ32は、所定方向に感度を有する指向性アンテナであってもよい。
【0033】
記憶部33は、不揮発性メモリであり、例えばマイクロプロセッサが有するフラッシュメモリのようなEEPROM等によって実現される。また、記憶部33は、予め定められた当該移動ビーコン30の固有の識別情報(移動ビーコンID(移動ビーコン識別情報))や、通信部31が無線標識を送信する際の電波強度の設定値等を記憶する。記憶部33は、受信した信号に含まれる情報や当該信号の受信強度などを格納する。
【0034】
〈サーバの機能構成〉
図5は、実施形態に係るサーバ40の機能ブロックの例を示す図である。サーバ40は、例えば、据え置き型のコンピュータであり、通信部41と、演算部42と、記憶部43とを備える。制御装置20とサーバ40とは一体化して、1つの情報処理装置として動作してもよい。
【0035】
通信部41は、インターネットや専用回線等のネットワーク100を介して制御装置20等との間で情報を送受信する。
【0036】
演算部42は、固定ビーコン10、移動ビーコン30からの情報に基づいて、所定の演算を行う。演算部42は、移動ビーコン30が存在する位置(移動ビーコン30を携帯する利用者、移動ビーコン30が添付される物体等が存在する位置)を算出する。演算部42は、固定ビーコン10から取得する移動ビーコン30の移動ビーコンIDと、当該移動ビーコンIDを受信した固定ビーコン10の位置情報などから、移動ビーコン30の位置を算出する。
【0037】
記憶部43は、例えばHDDやSSD、フラッシュメモリ等によって構成され、移動ビーコン30から、ビーコンメッシュ、制御装置20を介して、受信した情報や、当該情報に基づいて算出した移動ビーコン30の位置を示す情報を記憶する。記憶部43は、ビーコンメッシュの各固定ビーコン10を識別するビーコン識別情報(固定ビーコンID)と、各固定ビーコン10の存在位置を示す位置情報とを対応付けて格納する。記憶部43は、各固定ビーコン10の識別情報(固定ビーコンID)と各固定ビーコン10の設置位置の情報(位置情報)とを対応付けて格納する。
【0038】
〈装置構成〉
固定ビーコン10、制御装置20、移動ビーコン30は、スマートフォン、携帯電話、タブレット型端末、PDA(Personal Digital Assistant)、PC(Personal Computer
)のような専用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。サーバ40は、PC、ワークステーション(WS、Work Station)のような専用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。
【0039】
図6は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図6に示す情報処理装置
90は、一般的なコンピュータの構成を有している。固定ビーコン10、制御装置20、移動ビーコン30、サーバ40は、
図6に示すような情報処理装置90によって実現され得る。情報処理装置90は、プロセッサ91、メモリ92、記憶部93、入力部94、出力部95、通信制御部96を有する。これらは、互いにバスによって接続される。メモリ92及び記憶部93は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。情報処理装置のハードウェア構成は、
図6に示される例に限らず、適宜構成要素の省略、置換、追加が行われてもよい。
【0040】
情報処理装置90は、プロセッサ91が記録媒体に記憶されたプログラムをメモリ92の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、所定の目的に合致した機能を実現することができる。
【0041】
プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)である。
【0042】
メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。メモリ92は、主記憶装置とも呼ばれる。
【0043】
記憶部93は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスク
ドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD、Solid State Drive)である。また、記憶部93は、リムーバブルメディア、即ち可搬記録媒体を含むことができる。リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、あるいは、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)のようなディスク記録媒体である。記憶部93は、二次記憶装置とも呼ばれる。
【0044】
記憶部93は、各種のプログラム、各種のデータ及び各種のテーブルを読み書き自在に記録媒体に格納する。記憶部93には、オペレーティングシステム(Operating System :OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。記憶部93に格納される情報は、メモリ92に格納されてもよい。また、メモリ92に格納される情報は、記憶部93に格納されてもよい。
【0045】
オペレーティングシステムは、ソフトウェアとハードウェアとの仲介、メモリ空間の管理、ファイル管理、プロセスやタスクの管理等を行うソフトウェアである。オペレーティングシステムは、通信インタフェースを含む。通信インタフェースは、通信制御部96を介して接続される他の外部装置等とデータのやり取りを行うプログラムである。外部装置等には、例えば、他の情報処理装置、外部記憶装置等が含まれる。
【0046】
入力部94は、キーボード、ポインティングデバイス、ワイヤレスリモコン、タッチパネル等を含む。また、入力部94は、カメラのような映像や画像の入力装置や、マイクロフォンのような音声の入力装置を含むことができる。
【0047】
出力部95は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、EL(Electroluminescence)パネル等の
表示装置、プリンタ等の出力装置を含む。また、出力部95は、スピーカのような音声の出力装置を含むことができる。
【0048】
通信制御部96は、他の装置と接続し、情報処理装置90と他の装置との間の通信を制御する。通信制御部96は、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェースボード、Bluetooth(登録商標)などの無線通信のための無線通信回路、電話通信のための通
信回路である。LANインタフェースボードや無線通信回路は、インターネット等のネッ
トワークに接続される。
【0049】
固定ビーコン10、制御装置20、移動ビーコン30、サーバ40を実現するコンピュータは、プロセッサが二次記憶装置に記憶されているプログラムを主記憶装置にロードして実行することによって、各機能を実現する。また、各装置の記憶部は、主記憶装置または二次記憶装置の記憶領域に設けられる。
【0050】
《動作例》
本実施形態のシステムの動作例を説明する。本実施形態のシステムでは、工場、オフィスなどの空間の天井等に複数の固定ビーコン10が設置される。各固定ビーコン10は、固有の識別情報(固定ビーコンID)を有する。各固定ビーコン10は、ビーコンメッシュを形成する。すべての固定ビーコン10は、いずれかの他の固定ビーコン10と通信できる位置に設置される。また、少なくとも1つの固定ビーコン10は、制御装置20と通信できる位置に設置される。制御装置20は、ネットワーク100等を介して、または、直接、サーバ40と通信可能に接続される。工場、オフィスなどの空間では、移動ビーコン30は位置検出対象の利用者や物体等とともに移動し得るとする。
【0051】
図7は、空間と当該空間に設置される固定ビーコン、物体に添付される移動ビーコンの例を示す図である。
図7は、工場、オフィス等の空間を横から見た例(側面図の例)を示す。
図7の空間は、四角形であり、床、壁、天井に囲まれる。固定ビーコン10Aは、空間の天井に設置される。固定ビーコン10B、固定ビーコン10Cは、空間の壁に設置される。固定ビーコン10A、固定ビーコン10B、固定ビーコン10Cは、互いに、通信可能であるとする。また、移動ビーコン30が添付される物体等は、当該空間内を自由に移動し得る。移動ビーコン30が添付される複数の物体等が、当該空間内に、存在してもよい。ここでは、固定ビーコン10Bが制御装置20と通信可能に接続されているとする。ここで、固定ビーコン10A、固定ビーコン10B、固定ビーコン10Cの位置を、それぞれ、Pa(xa、ya、za)、Pb(xb、yb、zb)、Pc(xc、yc、zc)とする。移動ビーコン30の位置をP(x、y、z)とする。また、固定ビーコン10Aと移動ビーコン30との距離をRaとする。固定ビーコン10Bと移動ビーコン30との距離をRbとする。固定ビーコン10Cと移動ビーコン30との距離をRcとする。
【0052】
〈端末からの信号の受信強度取得の動作例〉
図8は、移動ビーコンからの信号の受信強度を、固定ビーコンを介して、サーバで取得する際の動作シーケンスの例を示す図である。ここでは、固定ビーコン10Aで受信された移動ビーコン30からの信号を、サーバ40で取得する例を示す。ここでは、
図7のような空間において、移動ビーコン30が存在するとする。
【0053】
SQ101では、移動ビーコン30は、空間内の固定ビーコン10に対して、自身を識別する情報である移動ビーコンIDを含む信号を送信する。当該信号は、例えば、アドバタイズ信号である。移動ビーコン30は、当該信号を、所定期間毎に(例えば、1秒に1回)、送信する。移動ビーコン30から送信される移動ビーコンIDを含む信号は、複数の固定ビーコン10に受信されうる。ここでは、移動ビーコン30からの移動ビーコンIDを含む信号は、固定ビーコン10Aに受信されたとする。移動ビーコン30は、ビーコンメッシュを形成する固定ビーコン10からの無線標識を受信したことを契機として、移動ビーコンIDを含む信号を送信してもよい。移動ビーコン30は、移動ビーコンIDを含む信号を、ビーコンの無線標識として送信してもよい。
【0054】
SQ102では、移動ビーコン30からの移動ビーコンIDを含む信号を受信した固定ビーコン10Aは、当該信号の受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を測定する。受信強度は、固定ビーコン10Aと移動ビーコン30との距離が長くな
るのにしたがって、小さくなる。ここでは、円偏波アンテナを使用しているので、受信強度は、移動ビーコン30の向きに依存しない。受信強度(電場)は、距離に反比例する。固定ビーコン10Aは、移動ビーコンIDと受信強度とを対応付けて記憶部13に格納する。固定ビーコン10Aは、移動ビーコンIDと受信強度とに、受信時刻を対応付けて格納してもよい。
【0055】
SQ103では、固定ビーコン10Aは、他の固定ビーコン10(ここでは、固定ビーコン10B)に対して、記憶部13に格納される移動ビーコンIDと、受信強度と、固定ビーコン10Aを識別する識別情報である固定ビーコンIDとを含む信号を、送信する。固定ビーコンIDは、例えば、UUID(8Byte)、Major(2Byte)、Minor(2Byte)の各値を有する。UUIDは、組織、建物、プロジェクト等を識別するための識別子として用いられる。Majorは、組織等内のグループ、フロア、チーム等を識別するための識別子として用いられる。Minorは、グループ等内の個々のビーコンを識別するための識別子として用いられる。移動ビーコンIDは、例えば、2Byteである。RSSIは、例えば、1Byteである。当該信号は、制御装置20に向けて送信されるものである。当該信号には、当該信号を識別する識別情報が含まれてもよい。当該信号には、移動ビーコンID等に対応付けられた受信時刻が含まれてもよい。当該受信時刻は、当該信号に含まれてサーバ40まで転送され得る。また、当該信号は、信号の宛先である制御装置20を識別する識別情報が含まれてもよい。ここでは、当該信号は、固定ビーコン10Bによって受信されるとする。
【0056】
SQ104では、固定ビーコン10Bは、固定ビーコン10Aから受信した信号を、固定ビーコン10Bの周囲の他の固定ビーコン10等に向けて送信する。ここでは、固定ビーコン10Bから送信された信号が、制御装置20で受信されるとする。制御装置20は、受信した固定ビーコン10Bからの信号に含まれる情報を、現在時刻と対応付けて、記憶部23に格納する。ビーコンメッシュにおける信号の転送は、移動ビーコン30の移動速度に比べて非常に速い速度で行われると考えられるため、ここでの現在時刻は、固定ビーコン10Dが移動ビーコン30から移動ビーコンIDを受信した時刻(受信時刻)と同一とみなすことができる。よって、現在時刻は、当該受信時刻として格納される。また、制御装置20は、受信した固定ビーコン10Bからの信号に含まれる情報に移動ビーコンID等に対応付けられた受信時刻が含まれる場合、現在時刻を記憶部23に格納しなくてもよい。制御装置20は、固定ビーコン10A以外の固定ビーコン10が移動ビーコン30から受信した移動ビーコンIDを含む信号も受信し得る。制御装置20では、他の固定ビーコン10から移動ビーコン30の移動ビーコンIDを含む信号が受信される。制御装置20は、所定期間(例えば、60秒間)に受信された同一の移動ビーコンIDを含む信号は、同一の時刻に移動ビーコン30から送信された移動ビーコンIDを含む信号に基づくものであるとみなす。
【0057】
一方、固定ビーコン10Bでも、移動ビーコン30からの移動ビーコンIDを含む信号を受信していた場合、固定ビーコン10Bは、当該信号の受信強度(RSSI)を測定する。固定ビーコン10Bは、移動ビーコンIDと受信強度とを対応付けて記憶部13に格納する。固定ビーコン10Bは、移動ビーコンIDと受信強度とに、受信時刻を対応付けて格納してもよい。また、固定ビーコン10Bは、移動ビーコンID、受信強度、固定ビーコン10BのビーコンIDを含む信号を、制御装置20に向けて、周囲に固定ビーコン10等に対して、送信する。
【0058】
SQ105では、制御装置20は、記憶部23に格納される移動ビーコン30の移動ビーコンID等を含む信号を、サーバ40に送信する。制御装置20は、例えば、所定期間(例えば60秒間)に受信した移動ビーコン30の移動ビーコンIDを含む信号を、サーバ40に送信する。制御装置20は、当該信号を所定期間ごとに送信してもよい。サーバ
40は、制御装置20から信号を受信する。
【0059】
固定ビーコン10は、受信強度を測定せず、移動ビーコンIDとビーコンIDと含む信号を送信するようにしてもよい。
【0060】
SQ106では、サーバ40は、受信した信号に含まれる情報を、記憶部33に格納する。これにより、サーバ40は、移動ビーコン30からの信号の受信強度を取得する。サーバ40は、各固定ビーコン10で受信された移動ビーコン30からの信号の受信強度に基づいて、当該移動ビーコン30位置を算出することができる。
【0061】
〈位置算出の動作例〉
図9は、サーバによる移動ビーコンの位置算出の動作フローの例を示す図である。サーバ40は、ビーコンネットワーク等を介して、移動ビーコン30の移動ビーコンIDと、当該移動ビーコン30からの信号の受信強度と、当該移動ビーコン30からの信号を受信した固定ビーコン10の固定ビーコンIDとの組の情報とに基づいて、移動ビーコン30の位置(移動ビーコン30が添付される物体等の位置)を算出する。ここで説明するサーバ40の動作は、制御装置20とサーバ40とが一体化した情報処理装置で行われてもよい。
【0062】
S101では、サーバ40の演算部42は、通信部41を介して、移動ビーコン30の移動ビーコンID、当該移動ビーコン30からの信号の受信強度、受信時刻、当該信号を受信した固定ビーコン10の固定ビーコンIDとを受信する。サーバ40は、受信した移動ビーコンID、受信強度及び固定ビーコンIDを記憶部43に格納する。
【0063】
S102では、サーバ40の演算部42は、受信した情報に基づいて、S101で受信した移動ビーコンIDによって識別される移動ビーコン30の位置を算出する。演算部42は、記憶部43から、同時刻(もしくは所定期間内)に各固定ビーコン10で受信された移動ビーコン30からの信号の受信強度、各固定ビーコン10の位置情報を抽出する。ここでは、演算部42は、固定ビーコン10A、固定ビーコン10B、固定ビーコン10Cで受信された移動ビーコン30からの信号の信号強度と、固定ビーコン10A、固定ビーコン10B、固定ビーコン10Cの位置情報とを抽出するとする。移動ビーコン30と固定ビーコン10Aとの距離Raは、Ra=((xa-x)2+(ya-y)2+(za-z)2)1/2と表される。移動ビーコン30と固定ビーコン10Bとの距離Rb、移動ビーコン30と固定ビーコン10Cとの距離Rcも同様に表される。ここで、固定ビーコン10Aで受信された移動ビーコン30からの信号の信号強度をEa、固定ビーコン10Bで受信された移動ビーコン30からの信号の信号強度をEb、固定ビーコン10Cで受信された移動ビーコン30からの信号の受信強度をEcとする。受信強度は、距離に反比例することから、Ea:Eb:Ec=1/Ra:1/Rb:1/Rcとなる。演算部42は、当該式に基づいて、移動ビーコン30の位置P(x、y、z)を求めることができる。また、あらかじめ、固定ビーコン10と移動ビーコン30との距離Rと、受信強度Eとの関係(例えば、R=A/E;Aは定数)が求められている場合、演算部42は、2つの固定ビーコン10の位置情報と信号強度とから、移動ビーコン30の位置Pを求めることができる。円偏波アンテナを使用することで、移動ビーコン30の向きによる受信強度の変化が小さくなる。よって、同じ距離Rにおける受信強度Eのばらつきが小さくなる。これにより、演算部42は、受信強度Eとの関係を用いて、より少ない数の受信強度で、移動ビーコン30の位置Pを算出することができる。移動ビーコン30からの受信強度は、所定の期間内に受信された移動ビーコン30からの信号の受信強度の平均値や最大値であってもよい。所定の期間内の平均値や最大値を使用することで、より安定した移動ビーコン30からの信号の受信強度で、位置の算出を行うことができる。
【0064】
S103では、サーバ40の演算部42は、S102で算出した位置情報と、移動ビーコン30の移動ビーコンIDと、移動ビーコン30からの信号を固定ビーコン10で受信した受信時刻とを対応付けて、記憶部43に格納する。
【0065】
これにより、移動ビーコンIDによって識別される移動ビーコン30の位置(移動ビーコンIDによって識別される移動ビーコン30を添付される物体の位置)を算出することができる。サーバ40は、各移動ビーコン30について、上記の動作フローにより位置を算出する。移動ビーコン30の位置は、移動ビーコン30が添付される物体等の位置に相当する。
【0066】
円偏波アンテナ12を含む固定ビーコン10、円偏波アンテナ32を含む移動ビーコン30を使用することで、受信強度の距離以外の要素(移動ビーコン30の向き等)による影響を小さくすることができる。受信強度が固定ビーコン10と移動ビーコン30との距離以外の影響を受けないことで、サーバ40は、移動ビーコン30の位置をより正確に算出できる。位置の算出方法は、ここに記載したものに限定されるものではない。
【0067】
(その他)
上記の例では、固定ビーコン10及び移動ビーコン30が、ともに円偏波アンテナを有するとしたが、固定ビーコン10及び移動ビーコン30のうち一方が、円偏波アンテナを有していればよい。例えば、送信側のビーコンのアンテナを円偏波アンテナとした場合、受信側のビーコンの位置では、信号の電磁波の電場の振動方向が回転するので、受信側のビーコンのアンテナの向きが変化しても、信号の電磁波を受信することができる。また、例えば、受信側のビーコンのアンテナを円偏波アンテナとした場合、送信側のビーコンから送信される信号の電磁波が直線偏波であっても、受信側のビーコンの円偏波アンテナにより、電磁波の電場の振動方向によらず、信号の電磁波を受信することができる。また、受信側のビーコンのアンテナによる受信強度は、アンテナの向き等に依存せず、送信側のビーコンと受信側のビーコンとの距離に依存したものとなる。また、ここでは、固定ビーコン10は、メッシュビーコンを形成するとしているが、各固定ビーコン10が、直接、制御装置20に通信可能に接続されてもよい。各固定ビーコン10は、直接的または間接的に、制御装置20と通信可能に接続されればよい。
【0068】
(実施形態の作用、効果)
本実施形態のビーコンメッシュにおける固定ビーコン10は、移動ビーコン30から当該移動ビーコン30の移動ビーコンIDを含む信号を受信する。固定ビーコン10は、移動ビーコンID及び移動ビーコンIDを受信した固定ビーコン10の固定ビーコンIDを含む信号を、制御装置20に向けて、送信する。制御装置20は、移動ビーコンID及び固定ビーコンIDの組とをビーコンメッシュから取得する。制御装置20は、移動ビーコンID及び固定ビーコンIDの組の情報をサーバ40に送信する。サーバ40は、移動ビーコンID及び固定ビーコンIDの組の情報に基づいて、個々の固定ビーコンIDで識別される移動ビーコン30の位置を算出する。本実施形態のシステムでは、円偏波アンテナを使用することで、信号強度が距離以外の要素に依存しにくくなり、円偏波アンテナを使用しない場合と比べて、より正確に移動ビーコン30の位置を算出することができる。
【0069】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において変更したり組み合わせたりすることができる。
【0070】
〈コンピュータ読み取り可能な記録媒体〉
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させること
により、その機能を提供させることができる。
【0071】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体内には、CPU、メモリ等のコンピュータを構成する要素を設け、そのCPUにプログラムを実行させてもよい。
【0072】
また、このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。
【0073】
また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【符号の説明】
【0074】
10 固定ビーコン
11 通信部
12 円偏波アンテナ
13 記憶部
20 制御装置
21 ビーコン通信部
22 通信部
23 記憶部
30 移動ビーコン
31 通信部
32 円偏波アンテナ
33 記憶部
40 サーバ
41 通信部
42 演算部
43 記憶部
90 情報処理装置
91 プロセッサ
92 メモリ
93 記憶部
94 入力部
95 出力部
96 通信制御部
100 ネットワーク