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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042689
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230320BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149951
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】木下 康太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇史
(72)【発明者】
【氏名】松本 嵩寛
(72)【発明者】
【氏名】畑崎 由季子
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF11
5H181FF22
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】自動運転車両の死角を含む範囲において、自動運転車両が対向車線にはみ出す場合を考慮しつつ、対向車等との衝突を防ぐことができる情報提供システムを提供すること。
【解決手段】情報提供システム100は、自動運転車両VEの死角を含む範囲BAを監視する監視部10と、自動運転車両VEから将来位置情報を受け取る通信部30と、自動運転車両VEが対向車線OLにはみ出すか否かを判定する判定ユニットJUとを備え、判定ユニットJUは、自動運転車両VEがはみ出すと判定した場合、通信部30を介して自動運転車両VEに監視部10における監視結果に応じた走行制御情報を送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両の死角を含む範囲を監視する監視部と、
前記自動運転車両から将来位置情報を受け取る通信部と、
前記自動運転車両が対向車線にはみ出すか否かを判定する判定ユニットと、
を備え、
前記判定ユニットは、前記自動運転車両がはみ出すと判定した場合、前記通信部を介して前記自動運転車両に前記監視部における監視結果に応じた走行制御情報を送信する情報提供システム。
【請求項2】
前記監視部は、前記監視結果として前記死角を含む範囲にある対向車から得た物標情報を前記判定ユニットに送信し、
前記判定ユニットは、前記自動運転車両に、前記物標情報に基づく前記対向車の走行状態に応じた前記走行制御情報を送信する、請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記判定ユニットは、前記将来位置情報に基づいて第1のはみ出し判定を行う、請求項1及び2のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記判定ユニットは、少なくとも前記自動運転車両の諸元、最小回転半径、及び道路形状に基づいて第2のはみ出し判定を行う、請求項1~3のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記判定ユニットは、前記第1のはみ出し判定においてはみ出さないと判定した場合、前記第2のはみ出し判定を行う、請求項4に記載の情報提供システム。
【請求項6】
前記判定ユニットは、はみ出すと判定した場合、前記将来位置情報と、前記自動運転車両の諸元、最小回転半径、及び道路形状との少なくともいずれかに基づいてはみ出し領域を設定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項7】
前記判定ユニットは、前記対向車の前記物標情報に基づいて、前記自動運転車両が前記はみ出し領域に到達する際に、前記対向車が前記はみ出し領域に存在すると判定した場合、前記通信部を介して前記自動運転車両に前記走行制御情報として前記対向車との衝突可能性を警告する危険情報を送信する、請求項6に記載の情報提供システム。
【請求項8】
前記判定ユニットは、前記対向車の前記物標情報に基づいて、前記自動運転車両が前記はみ出し領域に到達する際に、前記対向車が前記はみ出し領域に存在すると判定した場合、仮想停止線の位置を設定し、前記通信部を介して前記自動運転車両に前記走行制御情報として前記仮想停止線の位置情報を送信する、請求項6及び7のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項9】
前記判定ユニットは、前記仮想停止線で停止している前記自動運転車両が発進可能となる出発可能時間を、前記将来位置情報と前記対向車の前記物標情報とに基づき算出する算出部を有し、前記通信部を介して前記自動運転車両に前記走行制御情報として前記算出部で算出した前記出発可能時間を送信する、請求項8に記載の情報提供システム。
【請求項10】
前記判定ユニットは、前記自動運転車両が停止している場合に、前記対向車の前記物標情報に基づいて、前記対向車が前記はみ出し領域に存在すると判定した場合、前記通信部を介して前記自動運転車両に前記走行制御情報として発進不可情報を送信する、請求項6~8のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【請求項11】
前記死角を含む範囲は、道路のカーブ、及び前記自動運転車両の走行方向の前記カーブの先を含む範囲である、請求項1~10のいずれか一項に記載の情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、死角を含む範囲を走行する自動運転車両に対して、インフラ側から運転支援情報を提供する情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の旋回特性上、カーブ走行時において対向車線側に車体がはみ出した状態で走行しなければならない場合、自動運転車両が対向車と衝突する危険性がある。特に、バス等の大型車両が道幅の狭い道路のカーブを走行する場合や、車両が急カーブを走行する場合に、車体が対向車線側にはみ出すおそれがある。
【0003】
自動運転車両の運転制御において、ブラインドコーナー等で、車両から認識できない障害物等の存在があった場合でも、車車間通信を用いて他の自動運転車両と連携して障害物回避計画を作成し、車両から認識できない障害物を回避するものがある(特許文献1)。特許文献1では、車車間通信を利用して死角に存在する障害物の回避を図っているが、自動運転車両が車線からはみ出した場合の危険性については考慮していない。
【0004】
また、他の自動運転車両の運転制御において、自動運転車両の曲がる速度の上限を決定する際に、走行方向における自動運転車両の感知領域内のカーブ境界と自動運転車両との間の安全停車距離と、自動運転車両のブレーキパラメータと、カーブの曲率とを包括的に考慮し、異なるカーブでの運転環境に応じて車速上限の算出及び車速制御をリアルタイムで行い、カーブにおける通行の成功率を向上させ、運転安全を確保するものがある(特許文献2)。特許文献2では、自動運転車両上のセンサーの配置状況に基づいて、自動運転車両の現在の走行方向における感知領域を決定し、自動運転車両のカーブにおける現在位置に基づいて、感知領域内に位置するカーブ境界を決定しており、対向車等について考慮しておらず、また、自動運転車両が車線からはみ出した場合の危険性については考慮していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-190969号公報
【特許文献2】特開2021-66429号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、自動運転車両の死角を含む範囲において、自動運転車両が対向車線にはみ出す場合を考慮しつつ、対向車等との衝突を防ぐことができる情報提供システムを提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報提供システムは、自動運転車両の死角を含む範囲を監視する監視部と、自動運転車両から将来位置情報を受け取る通信部と、自動運転車両が対向車線にはみ出すか否かを判定する判定ユニットと、を備え、判定ユニットは、自動運転車両がはみ出すと判定した場合、通信部を介して自動運転車両に監視部における監視結果に応じた走行制御情報を送信する。
【0008】
上記情報提供システムでは、判定ユニットがはみ出すと判定した場合、自動運転車両に監視部における監視結果に応じた走行制御情報を送信することにより、自動運転車両の死角を含む範囲において、自動運転車両が対向車線にはみ出す可能性があっても、対向車等との衝突を防ぐことができる。これにより、自動運転車両が死角を含む範囲を走行する場合でも、安全に走行することができる。
【0009】
本発明の具体的な側面によれば、上記情報提供システムにおいて、監視部は、監視結果として死角を含む範囲にある対向車から得た物標情報を判定ユニットに送信し、判定ユニットは、自動運転車両に、物標情報に基づく対向車の走行状態に応じた走行制御情報を送信する。この場合、判定ユニットは、死角を含む範囲に対向車が存在しても、対向車の物標情報に基づいて対向車と衝突しないような走行制御情報を容易に設定することができる。
【0010】
本発明の別の側面によれば、判定ユニットは、将来位置情報に基づいて第1のはみ出し判定を行う。この場合、自動運転車両から受け取った将来位置情報を利用するため、判定のための演算処理を容易にし、判定時間を短縮することができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、判定ユニットは、少なくとも自動運転車両の諸元、最小回転半径、及び道路形状に基づいて第2のはみ出し判定を行う。この場合、自動運転車両の諸元等を考慮した総合的な判定を行うことができ、はみ出し判定の精度を向上させることができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、判定ユニットは、第1のはみ出し判定においてはみ出さないと判定した場合、第2のはみ出し判定を行う。この場合、2段階のはみ出し判定を行うことにより、はみ出し判定を精度良く行うことができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、判定ユニットは、はみ出すと判定した場合、将来位置情報と、自動運転車両の諸元、最小回転半径、及び道路形状との少なくともいずれかに基づいてはみ出し領域を設定する。例えば、将来位置情報に基づくはみ出し領域の設定では、簡易な演算処理で領域を設定することができる。また、自動運転車両の諸元、最小回転半径、及び道路形状に基づくはみ出し領域の設定では、精度の良い領域を設定することができる。また、将来位置情報や自動運転車両の諸元等の情報を組み合わせることにより、より精度の良い領域を設定することができる。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、判定ユニットは、対向車の物標情報に基づいて、自動運転車両がはみ出し領域に到達する際に、対向車がはみ出し領域に存在すると判定した場合、通信部を介して自動運転車両に走行制御情報として対向車との衝突可能性を警告する危険情報を送信する。この場合、自動運転車両に対し、将来、自動運転車両がはみ出し領域において対向車と衝突するおそれがあると警告することができる。
【0015】
本発明のさらに別の側面によれば、判定ユニットは、対向車の物標情報に基づいて、自動運転車両がはみ出し領域に到達する際に、対向車がはみ出し領域に存在すると判定した場合、仮想停止線の位置を設定し、通信部を介して自動運転車両に走行制御情報として仮想停止線の位置情報を送信する。この場合、自動運転車両が仮想停止線で停止することにより、将来、自動運転車両がはみ出し領域において対向車と衝突することを防ぐことができる。
【0016】
本発明のさらに別の側面によれば、判定ユニットは、仮想停止線で停止している自動運転車両が発進可能となる出発可能時間を、将来位置情報と対向車の物標情報とに基づき算出する算出部を有し、通信部を介して自動運転車両に走行制御情報として算出部で算出した出発可能時間を送信する。この場合、仮想停止線で停止している自動運転車両に対して、的確な出発タイミングを示すことができる。
【0017】
本発明のさらに別の側面によれば、判定ユニットは、自動運転車両が停止している場合に、対向車の物標情報に基づいて、対向車がはみ出し領域に存在すると判定した場合、通信部を介して自動運転車両に走行制御情報として発進不可情報を送信する。この場合、自動運転車両と対向車との衝突を回避することができる、
【0018】
本発明のさらに別の側面によれば、死角を含む範囲は、道路のカーブ、及び自動運転車両の走行方向のカーブの先を含む範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る情報提供システムを設けたカーブ及びその周辺の様子について概念的に示す平面図である。
図2】情報提供システムの一構成例について示すブロック図である。
図3】情報提供システムにおける判定装置について説明するためのブロック図である。
図4】はみ出し領域での自動運転車両と対向車の物標情報との干渉について説明する概念図である。
図5】(A)及び(B)は、通信内容について概要の一例を示すデータ図である。
図6】(A)及び(B)は、情報提供システムにおける一連の動作を説明するためのフローチャートである。
図7】(A)及び(B)は、情報提供システムにおける一連の動作を説明するためのフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る情報提供システムを設けたカーブ及びその周辺の様子について概念的に示す平面図である。
図9】(A)及び(B)は、図8の情報提供システムにおける一連の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態〕
以下、図1等を参照して、本発明に係る第1実施形態の情報提供システムについて、一例を説明する。図1は、本実施形態に係る情報提供システム100を導入した道路RAのカーブCU及びカーブCU周辺の様子について概要を説明するための概念図である。
【0021】
情報提供システム100は、道路RAのカーブCU等において、潜在的な危険性を有する車両の存在(具体的には、カーブCU周辺において、自動運転車両VEと衝突する可能性がある、例えば、自動運転車両VEに対して死角を含む範囲を走行する対向車OCの存在)を監視し、自動運転車両VEの運転を支援するものである。本実施形態では、情報提供システム100により、道路RAのカーブCUを通過する自動運転車両VEに対して、運転支援のための情報提供が路側からなされる場合について、一例を説明する。
【0022】
図1では、情報提供システム100による支援の対象となる自動運転車両VEが、向かう先にあるカーブCUを通過する場合について、一動作例を示している。なお、図中においては、自動運転車両VEの一例として、予め定められたルートに沿って走行するバスBUを示しているが、情報提供システム100は、バスBUに限らず、普通乗用車や、トラック、あるいはトレーラーや牽引車等、車両サイズの異なる種々の自動運転車両VEに対して必要な情報提供を行うことができる。ここでの一例では、図示のように、情報提供システム100から情報を受ける対象である自動運転車両VEは、矢印A1に示すZ方向に向かって直進し、カーブCUにおいて左方向に曲がり、カーブCUを曲がった後、矢印A2に示すX方向に向かって直進しようとするものである。また、対向車線OLを走行する移動体MB(具体的には、対向車OC)は、自動運転車両でない場合を想定している。なお、図1等において、X、Y、及びZは、右手系の直交座標系であり、+Z方向は、既述のように、矢印A1に示す自動運転車両VEの進行方向を示し、X方向は、進行方向に対する左右方向を示し、Y方向は、上下方向を示している。
【0023】
図1の例示において、自動運転車両VEの走行方向の先にあるカーブCU、及びカーブCUの先を含む範囲は、死角を含む範囲BAであり、情報提供システム100における運転支援のための検出範囲となる。なお、実際の検出範囲としては、上記死角を含む範囲BAのうち、対向車線OLを含む範囲を検出範囲SAとすればよい。図中に示す検出範囲SAは、死角を含む範囲BAのうち対向車線OLのカーブCUの左端から+X方向に延びる範囲である。なお、死角を含む範囲BAや検出範囲SAは適宜変更することができる。
【0024】
情報提供システム100は、死角を含む範囲BAや検出範囲SAについての交通状況を監視して物標情報を取得するとともに、自動運転車両VEからはカーブCU及びその付近を通過するに際しての走行予定ルートTRを示す情報(後述する将来位置情報)を取得し、これらに基づいて、自動運転車両VEにとってのカーブCUの先の範囲における検出範囲SAにおける移動体MB(対向車OC)との衝突を回避するため、自動運転車両VEの対向車線OLへのはみ出しの有無を判定し、判定結果に関する情報を自動運転車両VEに対して送信する。これにより、自動運転車両VEが、カーブCUにおいて、車体がはみ出す場合があっても、移動体MBとの衝突を回避することができる。
【0025】
ここで、自動運転車両VEは、自律走行可能なものであり、走行のために各種センサー等を搭載しており(例えば図2を参照)、自身により周囲環境についての各種検知が可能であるが、このような自動運転車両VE自身におけるセンシングには限界がある。例えば、自動運転車両VEに搭載したセンサーにおけるセンシングが可能な範囲よりも前方については、検知ができない。また、自動運転車両VEが走行している道路が、カーブしていて見通せない場合についても、同様である。以上のように、自動運転車両VEに搭載したセンサー能力外の範囲や、道路の見通しが悪く、自動運転車両VEに搭載したセンサーでは検知できない範囲といった自動運転車両VEの検知可能範囲を超える範囲を、検出範囲SAとして含むようにし、この範囲についてインフラ側すなわちその場に固定された側から監視をすることで、自動運転車両VE側だけでは検知しきれない情報を、提供可能にしている。これにより、自動運転車両VEによる自動運転において、より適切な判断が可能となるようにしている。
【0026】
上記のような目的を果たすべく、情報提供システム100は、情報提供装置PVを主体として構成されている。より具体的には、情報提供装置PVは、カーブCUの近辺に設置された路側装置であり、上記検出範囲SAについて撮像や測距を行って各種情報を取得するとともに、自動運転車両VEと通信して自動運転車両VEに関する情報(将来位置情報や車両VEの諸元等)を自動運転車両VE自身から取得する。また、情報提供装置PVは、自動運転車両VEに関する情報に基づいて、進行可否等の各種判定を行う判定装置JDとして機能する。以上のように、情報提供装置PVを中心として、各部が協働することで、情報提供システム100としての機能が成立している。なお、図示の一例では、情報提供装置PVは、カーブミラーCMに設けられている。情報提供装置PVは、電柱や電灯等に設けてもよく、また、既存物に設置することに限らず、別途独立したものとして設置してもよい。以上のような構成において、情報提供装置PVのみをもって情報提供システム100と捉えることもできる。
【0027】
本実施形態では、情報提供システム100は、上記のようにして取得した各種情報に基づいて、検出範囲SAにおいて、図1に示すように、自動運転車両VEが走行予定ルートTRに従って走行した場合に自動運転車両VEが対向車線OLにはみ出すか否かを判定する。そして、情報提供システム100は、自動運転車両VEがはみ出すと判定した場合、自動運転車両VEに検出範囲SAでの監視結果に応じた走行制御情報を送信する。すなわち、情報提供システム100は、検出範囲SAにおいて、自動運転車両VEが対向車線OLにはみ出すと判定した場合には、自動運転車両VEに対してカーブCUよりも手前で停止させるべく、仮想停止線VLの情報を自動運転車両VEに対して送信する。一方、情報提供システム100は、自動運転車両VEが対向車線OLにはみ出さないと判定した場合には、自動運転車両VEに対してカーブCUを通行可能である旨の情報を出力する。
【0028】
仮想停止線VLは、予め定められた位置を領域あるいは線分で示すものであり、図中においては、破線で示されているが、実際に路面上に引かれているものではなく、位置データであり、情報提供装置PVに保管されている。仮想停止線VLの位置データ(位置情報)は、必要に応じて、路側から自動運転車両VEに対して提供される。以上のように、情報提供システム100では、自動運転車両VEの進行(走行)に際して、停止(一旦停止)が必要な場合に、安全に停止させるための統一的な基準としての仮想停止線VLを設けている。
【0029】
ここで、仮想停止線VLを出すか否かを決定するものとなる情報提供システム100におけるはみ出しの有無を判定する手法については、種々の態様を採用できるが、例えば自動運転車両VEの将来位置情報に基づく手法(第1の判定)が考えられる。より具体的には、情報提供装置PVは、自動運転車両VEの将来位置情報に基づく自動運転車両VEの走行予定ルートTRが対向車線OLにはみ出すか否かを判定する。第1のはみ出し判定では、自動運転車両VEの将来位置情報を利用するため、判定のための演算処理を容易にし、判定時間を短縮することができる。自動運転車両VEで作成した将来位置情報(走行予定ルートTR)は、自動運転車両VEの持つ経路情報、現在の自動運転車両の速度、及び時間に基づいて作成する。自動運転車両VEが対向車線OLにはみ出すと判定した場合には、上記将来位置情報に基づいてはみ出し領域PAを作成し、自動運転車両VEがはみ出し領域PAを通過する際に検出範囲SAで検出された移動体MBや障害物等と衝突する可能性かあるか否かを判定する。衝突する可能性があると判定した場合には、情報提供システム100から仮想停止線VLの情報を送信し、衝突する可能性がないと判定した場合には、情報提供システム100から仮想停止線VLの情報を送信しない。ここで、将来位置情報に基づいて作成されるはみ出し領域PAは、走行方向と対向車線OLの境界を示す道路RAの中央線CLと走行予定ルートTRが対向車線OLにはみ出す部分とで囲まれる領域PAmである。将来位置情報に基づくはみ出し領域PAの設定では、簡易な演算処理で領域PAmを設定することができる。なお、はみ出し領域PAは、領域PAmにマージンを加えたものであってもよい。
【0030】
また、はみ出しの有無を判定する他の手法については、例えば自動運転車両VEの車体情報や道路形状等に基づく手法(第2の判定)が考えられる。より具体的には、情報提供装置PVは、自動運転車両VEの諸元、最小回転半径、及び道路形状に基づいて着目するカーブCUにおいて自動運転車両VEが対向車線OLにはみ出すか否かを判定する。第2のはみ出し判定では、自動運転車両VEの諸元等を考慮した総合的な判定を行うことができ、はみ出し判定の精度を向上させることができる。なお、図示を省略するが、自動運転車両VEの諸元等に基づく軌跡は、実際には所定の幅を有するものとなる。第2の判定においても、第1の判定と同様に、はみ出し領域PAを作成し、はみ出し領域PAでの衝突可能性を判定して仮想停止線VLを出すか否かを決定する。なお、第2の判定において、将来位置情報に基づく走行予定ルートTRを加味してもよい。第2の判定後に作成されるはみ出し領域PAは、自動運転車両VEの諸元、最小回転半径、及び道路形状に基づくものとなる。車両VEの諸元等に基づいて作成されるはみ出し領域PAは、中央線CLと車両VEの諸元等に基づく軌跡が対向車線OLにはみ出す部分とで囲まれる領域PAoである。自動運転車両VEの諸元等に基づくはみ出し領域PAの設定では、精度の良い領域PAoを設定することができる。
【0031】
なお、第1の判定ではみ出さないと判定された後、第2の判定を行ってもよい。2段階のはみ出し判定を行うことにより、はみ出し判定を精度良く行うことができる。また、はみ出し領域PAの設定において、将来位置情報や自動運転車両VEの諸元等の情報を組み合わせることにより、より精度の良い領域を設定することができる。
【0032】
さらに、情報提供システム100は、仮想停止線VLにおいて自動運転車両VEを停止させた場合、その後において、はみ出し領域PAにおいて、移動体MB等との衝突可能性が解消されるか否かについての監視を続けた情報等から判定等を行うことで、解消される時刻に関する情報(出発可能時間)を生成するとともに、生成した情報を、自動運転車両VEに提供する。なお、出発可能時間については、例えば定められた時刻(何時何分何秒から何時何分何秒までの間出発可能)で示したり、時間の長さ(現在を起点として何秒後から何秒後までの間出発可能)で示したりすることが想定される。
【0033】
一方、自動運転車両VEは、情報提供システム100から仮想停止線VLの情報が送信された場合、はみ出し領域PAにおいて移動体MB等との衝突可能性があり、カーブCUに進入すべきでないものと判定して、仮想停止線VLで停止するように自律走行を行う。また、仮想停止線VLに停止した場合、自動運転車両VEは、情報提供システム100からの出発可能時間の情報を待って、運転を再開する。
【0034】
以下、図2及び図3として示すブロック図を参照して、上記のような動作を情報提供システム100において行うための一構成例について説明する。まず、図2を参照して、全体の構成について、路側のみならず車側(車両側)の構成についても概要を説明する。その後、図3を参照して、特に、情報提供装置PVに関して動作等の詳細についての一例を説明する。
【0035】
図2に示すように、自動運転車両VEは、ステアリングや、アクセル、ブレーキ等の通常の運転のための各種操作に必要な各部で構成される運転操作部DOや、これらの操作に対応するエンジン動作等の制御を行う自動運転プログラムAO、周囲所の状況を検知する撮像部(カメラ)やLiDAR等の測距部で構成される監視用センサーSE、GPS受信機等で構成されるGNSS取得用媒体RE、情報提供装置PV等外部機器との通信を行うための通信部TT、さらには、走行予定ルートTRについての情報を蓄積するルートデータ部ROや、ルートデータ部ROの走行予定ルートTRと示される位置を把握するための地図データ部MPv等を備える。
【0036】
なお、地図データ部MPvについては、少なくとも走行予定ルートTRとして含まれ得る範囲についての地図データが蓄積されており、例えば全国ロードマップデータが組み込まれているもの等が想定される。自動運転車両VEでは、ルートデータ部ROのうちから設定された一の走行予定ルートTRについて、地図データ部MPvに蓄積された地図データに沿って走行を行う。
【0037】
上記のような構成の自動運転車両VEの場合、例えば、自動運転プログラムAOは、自動運転を行うために必要な各種プログラムのほか、監視用センサーSEを構成する各部の動作を制御して、車両VEの周辺の状況に関する情報(例えば道路上における車線を定める白線の位置や停止線の位置についての情報)を取得したり、GNSS取得用媒体(GPS受信機等)REを介したGNSS(GPS等)による自己位置の情報を取得したりする。これにより、的確に自己位置を推定しつつ、推定結果に基づいて自動運転を行うことが可能となる。
【0038】
特に、自動運転プログラムAOには、上記のように、GNSS取得用媒体RE等を利用して、上記ルートデータ部ROのうちから設定された一の走行予定ルートTRにおける自動運転車両VE自身についての現在位置や現在位置に基づく今後の進路予定の情報等で構成される将来位置情報を生成するための将来位置情報生成部FGが含まれている。
【0039】
また、ここでの一例では、自動運転車両VEにおいて、上記一の走行予定ルートTRとして、例えば周遊バス等のように、既定の箇所を走行するルートが予め定められているものとし、さらに、走行予定ルートTRの途中に存在するカーブCUを進行方向の左方向(図1に示す+X方向)に曲がって通過するものとして、説明する。つまり、自動運転車両VEは、ルートデータ部RO中の一の走行予定ルートTRについて、地図データ部MPvに沿って自動運転を行っており、この際、上記自動運転に際しての走行予定ルートTRに対応する将来位置情報を、通信部TTを介して、カーブCU付近に設置された情報提供装置PV(判定装置JD)に対してカーブCUに到達する前の時点において予め送信している。これにより、自動運転車両VEは、情報提供装置PVから、仮想停止線VLや、出発可能時間等の走行制御についての情報を取得するものともなっている。
【0040】
一方、情報提供システム100において、情報提供装置PVは、上記態様となるための各種動作を行うべく、主制御部50と、通信部30と、地図データ部MPjとを備える。さらに、主制御部50は、各種回路基板やCPU、ストレージデバイス等で構成される判定ユニットJUと、検出範囲SAについての監視を行うために設置された監視部10と接続するためのセンサーインタフェース(情報取得部)SEiとで構成されている。なお、上記において、監視部10まで含めて、情報提供装置PVであると捉えることもできる。
【0041】
なお、上記のうち、地図データ部MPjについては、情報提供装置PVが設置される箇所及びその周辺についての詳細な形状等に関するデータ(地形情報)が蓄積されている。すなわち、ここでの一例では、カーブCU及びその周辺や、カーブCUにつながる道路の形状等に関する地形情報が含まれている。具体的には、地形情報として、カーブCUの曲率、道路の幅員、車線数、付帯設備(ガードレール等)等が挙げられる。
【0042】
以上のように、上記態様においては、自動運転車両VEと情報提供装置PVとは、カーブCUへの進入からこれの通過に際して、通信により、将来位置情報や、仮想停止線、あるいは出発可能時間等についての情報を、送受信する。
【0043】
以下、図3として示すブロック図を参照して、監視部10を含めた情報提供装置PVの一構成例と一動作例とについて、より詳細に説明する。
【0044】
まず、監視部(路側センサー)10は、カメラ部11と、測距部12とで構成されるセンサー部であり、監視の対象となる所定範囲としての検出範囲SAに存在する移動体MBや障害物等を検知する。なお、移動体MBについては、車両のほか、自転車や歩行者、さらには障害物等が想定される。カメラ部(インフラカメラ)11は、カーブCUの先の範囲である検出範囲SAについて監視すべく、撮像を行って画像データを生成する。また、測距部12については、例えばLiDARのほか、ミリ波センサーや、レーダーを採用することが考えられ、測距を行って測距データを生成することで、移動体MBの位置等を取得可能にする。なお、監視部10は、移動体MB等の物標情報を取得できるものであれば、カメラ部11及び測距部12のいずれか一方を設ける構成でもよい。図中では、1つの監視部10のみを示しているが、カーブCU及びその周辺について隈なく監視を行うべく、複数のカメラ等を場内に設置する構成にできる。また、ここでは、検出範囲SAを一例として示しているが、情報を提供する対象となる自動運転車両VEの進行方向によって検出範囲SAが変更される場合には、これに応じて、使用するカメラ等を適宜選択する等も可能である。ここで、監視部10により取得される検知結果であり、検出範囲SAに存在する移動体MBに関する画像データや測距データ等の各種情報を、物標情報とする。すなわち、物標情報には、検出範囲SAに存在する各種車両や歩行者等の動作状況のほか、障害物の存在等についての情報が含まれている。
【0045】
主制御部50のうち、センサーインタフェース(情報取得部)SEiは、監視部10で取得された情報すなわち物標情報を取り込んで判定ユニットJUに出力する。すなわち、情報取得部SEiは、所定範囲としての検出範囲SAについての物標情報を取得するためのものである。
【0046】
通信部30は、自動運転車両VEと無線通信を行うための無線部である。通信部30は、例えば5G、4GLTEに代表される移動体通信回線を利用する通信方式、無線LAN等に代表される中域の無線通信方式、DSRC等の狭域無線通信方式、ビーコン等のスポット通信方式を利用したものであり、所定の通信ゾーンに存在する自動運転車両VEとの間で、相手機器を識別しつつデジタルデータ通信を行う。ここで、通信相手である自動運転車両VEについては、既述のように、判定装置JDである情報提供装置PVに対して、判定を行うためのデータとして、自己の将来位置を示す将来位置情報を送信するものとなっている。より具体的に説明すると、まず、自動運転車両VEは、自動運転を行うための各種制御を行うべく、自動運転プログラムAOの将来位置情報生成部FGにおいて、自動運転車両VE自身についての現在位置や現在位置に基づく今後の進路予定の情報等で構成される将来位置情報を生成する。この将来位置情報には、自動運転車両VEの現在位置(現在時刻における位置)や、これに基づき作成される将来位置(到達予測時刻を含む)のほか、これらの各時刻(予定時刻)における速度や方位(方位角)等の情報が含まれている。したがって、判定装置JDあるいは情報提供装置PVは、自動運転車両VEから将来位置情報を受け付けることで、例えば自動運転車両VEのカーブCUへの到達予測時刻や、カーブCUの通過所要時間等を把握できる。
【0047】
図1の例で説明すると、自動運転車両VEが描かれている位置を現在位置FP1として、現在位置FP1から自動運転車両VEの走行方向に順に示される点FP2,FP3,…,FPnは、自動運転車両VEの将来位置を示している。より具体的には、現在位置(現時点)における時刻Tを0(T=0)として、点FP2が現時点からt秒後(T=t)における自動運転車両VEの位置を示している。同様に、点FP3が現時点から2t秒後(T=2t)における自動運転車両VEの位置を示し、点FPnが現時点からnt秒後(T=nt)における自動運転車両VEの位置を示している。図1の点FP1~FPnを実線でつなげたものが、将来位置情報に基づく走行予定ルートTRとなっている。自動運転車両VEの将来位置情報は、走行状態に応じて適宜変化するものであり、情報提供装置PVに対して適宜更新したものが送信される。
【0048】
図3に戻って、主制御部50のうち、判定ユニットJUは、はみ出し判定部52aと、算出部52bとを有する。
【0049】
はみ出し判定部52aは、通信部30で受け付けた自動運転車両VEのカーブCUへの到達予測時刻や、車両VEの諸元(車長、車幅等の車両サイズに関する情報)、最小回転半径、道路形状の情報、さらに、監視部10による検知結果としての物標情報等を収集し、これらに基づきはみ出し判定を行う。典型的には、図1に示すように、将来位置情報に基づく走行予定ルートTRの取得、画像解析処理等による物標情報としての移動体MBである対向車OCの走行状況の抽出や、地図データ部MPjに格納された検出範囲SAにおける道路形状等に関するデータの取得等により、検出範囲SAにおける自動運転車両VEが対向車線OLへはみ出すか否かについての判定が可能となる。判定の結果、はみ出すおそれがあるとされ、はみ出し領域PAにおいて対向車OCと衝突する可能性があると判定した場合には、仮想停止線VLにおいて停止(一時停止)することを推奨するあるいは指令する信号が、情報提供装置PVから自動運転車両VEに対して送信される。具体的には、通信部30が、はみ出し判定部52aにおいてはみ出し領域PAで対向車OCと衝突可能性があると判定した場合に、カーブCUの手前の位置を仮想停止線VLの位置とし、当該位置で停止すべき旨の情報(停止信号)を、自動運転車両VEに対して送信する。以上のことは、はみ出し判定が車両VEの諸元等に基づくものであっても同様である。
【0050】
なお、上記において、検出範囲SAにおける交通状況を把握するための画像解析処理等については、例えば自動運転車両VEから最初の将来位置情報等の各種情報の通知を受けたことを契機として開始する態様が考えられる。また、別の態様としては、これらの処理を予め行っておき、自動運転車両VEからの通知を参照して、最終結果としての衝突可能性があるか否かの判定結果を出力するようにしてもよい。
【0051】
以下、自動運転車両VEの将来位置情報と、対向車線OL上の移動体MBの物標情報との時間的な干渉について説明する。図4は、自動運転車両VE及び移動体MBのはみ出し領域PAの通過タイミングを時系列で示した図である。図4に示すように、はみ出し判定部52aでは、はみ出し領域PAの通過時において、将来位置情報と物標情報とが時間的に干渉する場合、将来、はみ出し領域PAにおいて、自動運転車両VEと移動体MBとは衝突する可能性があると判定する。
【0052】
図3に戻って、算出部52bは、仮想停止線VLで停止している自動運転車両VEが、仮想停止線VLから発進可能となる出発可能時間(出発可能時刻)を算出する。出発可能時間の算出について、典型的には、車両VEの将来位置情報と移動体MBの物標情報とにより、自動運転車両VEが仮想停止線VLから安全に走行を再開できる時間を算出する態様とすることが考えられる。自動運転車両VEの将来位置情報に関しては、カーブCUでの車両通過時間を勘案する。
【0053】
通信部30は、以上のようにして、算出部52bにおいて算出された出発可能時間の情報を、自動運転車両VEに対して送信する。
【0054】
なお、詳細は後述するが、判定ユニットJUは、はみ出し判定の結果、上述のような、仮想停止線VLの位置情報や出発可能時間の他に、監視部10で取得した物標情報に基づく対向車OCの走行状態に応じた走行制御情報(例えば、通過許可情報、危険情報、発進不可情報等)を自動運転車両VEに提供することができる。ここで、通過許可情報は、自動運転車両VEが走行している状態を維持させる制御情報である。危険情報は、自動運転車両VEに対し、将来、自動運転車両VEがはみ出し領域PAにおいて対向車OCと衝突するおそれがあると警告する制御情報である。発進不可情報は、自動運転車両VEが停車している状態を維持させる制御情報である。
【0055】
図5(A)及び図5(B)は、上記のような態様における車両側と路側との間での通信内容について、概要を一例として示すデータ図であり、図5(A)は、車両側から路側に対して送信される情報であり、図5(B)は、路側から車両側に対して送信される情報である。なお、図示の一例では、路側については、カーブCUに設置される設置物(具体的には、カーブミラーCM)等についての設置物IDにより特定をしている。車両側については、自動運転車両VEを特定するための車両IDが採用されているものとする。
【0056】
まず、図5(A)に示すように、車両側からは、各種IDや作成日時に加え、自動運転車両VEの位置情報(現在位置)及び将来位置情報が、路側に対して送信される。つまり、路側に設置された情報提供装置PVは、これらの情報を受け付ける。将来位置情報は、はみ出し判定部52aによる第1のはみ出し判定に利用される。
【0057】
特に、図示の一例では、車両ID(発信元ID)に併せて、車両VEの諸元データが送信される。すなわち、自動運転車両VEの車両サイズ等の数値を、インフラ側で把握できるようにするためのデータが、車両側から送信される。見方を変えると、情報提供装置PVの通信部30において、自動運転車両VEからの車両サイズ等の情報が受け付けられ、さらに、はみ出し判定部52aが、第2のはみ出し判定において、車両サイズ等の車両情報に基づきはみ出しの有無を判定する。
【0058】
また、自動運転車両VEの位置情報(現在位置)については、現時点(送信時点)での自動運転車両VEが存在する地点を示す緯度、経度に加え、自動運転車両VEの速度(走行速度)や方位(方位角)の情報が含まれている。これに対して、将来位置情報については、位置情報(現在位置)の場合と同様の情報に加えて、位置情報(現在位置)からのオフセット(距離)についての情報がさらに付加されている。将来位置情報については、現在時刻から一定時間経過ごと(例えばt秒経過ごと;t=1)の予測値が複数個(n個)含まれている。つまり、路側の設備は、例えばn秒後までの自動運転車両VEの走行予定ルートTRを把握できることになる。
【0059】
一方、図5(B)に示すように、路側すなわち情報提供装置PV側からは、各種IDや作成日時に加え、仮想停止線VLの情報や、仮想停止線VLの送信を行ったか否か(つまり衝突可能性があると判定したか否か)、さらには、出発可能時間の情報や他の走行制御情報といったものが、車両VE側に対して送信される。なお、図示の一例では、仮想停止線VLに関しては、その位置を線(線分)として示すべく、両端の位置を示す始点と終点の座標(緯度、経度)の情報が提供されるものとしている。出発可能時間については、文字通り時刻の情報を提供することも考えられるが、例えば出発開始可能となった時点でその旨を伝達する、という態様、つまり出発可能信号を自動運転車両VEに向けて発信するという態様についても、出発可能時間に相当する情報の提供と捉えることもできる。なお、ここでは、出発可能時間について算出可能となったか否か、すなわち衝突可能性が解消されたか否か等の情報が示されるものとしてもよい。
【0060】
なお、以上のような情報提供装置PVによる自動運転車両VEへの情報の提供については、あくまで自動運転車両VEに対する運転支援のためのものである、と捉えることができる。つまり、路側から提供された情報は、自動運転車両VEに対する強制的なものであるとは限らず、最終的にどのように運転を行うかについての決定は、自動運転車両VE自身に委ねられるものとしてよい。
【0061】
以下、図6(A)、6(B)、図7(A)、及び7(B)として示すフローチャートを参照して、情報提供システム100における一連の動作について、一例を説明する。図6(A)及び図7(A)は、路側すなわち情報提供装置PVにおける一連の動作を示すフローチャートであり、図6(B)及び7(B)は、車側(車両側)すなわち自動運転車両VEにおける一連の動作を示すフローチャートである。
【0062】
まず、図6(A)及び図7(A)を参照して、路側装置である情報提供装置PVにおける一連の動作について説明する。
【0063】
情報提供装置PVは、情報提供の対象となる車両の存在を確認する、すなわち、車両検出を行う(ステップS101)。より具体的には、情報提供装置PVの主制御部50は、ステップS101として、情報提供の対象となるべき自動運転車両VEから、通信開始のためのトリガーとなる最初の将来位置情報等の各種情報を受信(取得)したか否かの確認動作を、確認がなされる(ステップS101:Yes)まで継続する。なお、ステップS101において、情報提供装置PVの主制御部50は、併せて自動運転車両VEの諸元データを取得してもよい。
【0064】
次に、主制御部50は、判定ユニットJU(はみ出し判定部52a)として、上記のようにして取得した将来位置情報に基づいて、自動運転車両VEの対向車線OLへのはみ出しの有無について第1のはみ出し判定を行う(ステップS102)。具体的には、自動運転車両VEの将来位置情報に基づく走行予定ルートTRが対向車線OL上にあるか否かを判定する。
【0065】
ステップS102において、はみ出しあり、と判定した場合(ステップS102:Yes)、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、はみ出し領域PAを作成する(ステップS103)。この場合、はみ出し判定部52aは、将来位置情報に基づいて、はみ出し領域PAを作成する。
【0066】
一方、ステップS102において、はみ出し無し、と判定した場合(ステップS102:No)、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、上記のようにして得た自動運転車両VEの諸元等に基づいて、自動運転車両VEの対向車線OLへのはみ出しの有無について第2のはみ出し判定を行う(ステップS104)。具体的には、はみ出し判定部52aは、自動運転車両VEの諸元、車両VEの諸元から算出される最小回転半径、及び道路形状に基づいて得られる軌跡又は走行予定ルートが対向車線OL上にあるか否かを判定する。道路形状については、地図データ部MPjから取得したカーブCU周辺に対応する地形情報から取得する。
【0067】
ステップS104において、はみ出しあり、と判定した場合(ステップS104:Yes)、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、はみ出し領域PAを作成する(ステップS103)。この場合、はみ出し判定部52aは、自動運転車両VEの諸元、最小回転半径、及び道路形状に基づいて、はみ出し領域PAを作成する。
【0068】
一方、ステップS104において、はみ出し無し、と判定した場合(ステップS104:No)、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、カーブCUについて進行可能である旨の情報である通過許可に関する情報(走行制御情報)を自動運転車両VEに提供し(ステップS105)、一連の処理を終了する。
【0069】
ステップS103においてはみ出し領域PAを作成した後、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、将来において、はみ出し領域PAでの自動運転車両VEと対向車OCの物標情報とが干渉するか否かを判定する(ステップS106)。なお、主制御部50は、情報取得部SEiとして、監視部10から、将来位置情報に含まれる行先に対応する検出領域(例えば検出範囲SA)についての物標情報を取得している。
【0070】
ステップS106において、干渉あり、と判定した場合(ステップS106:Yes)、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、自動運転車両VEに対して、走行制御情報として、危険情報や仮想停止線VLの位置情報を提供する(ステップS107)。なお、ステップS107において、危険情報の提供を省略してもよい。
【0071】
一方、ステップS106において、干渉無し、と判定した場合(ステップS104:No)、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、仮想停止線VLの位置情報を提供することなく、これに代えて、走行制御情報として、通過許可に関する情報を自動運転車両VEに提供し(ステップS105)、一連の処理を終了する。
【0072】
ステップS107後、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、自動運転車両VEと物標情報との干渉が終了又は終了予測が可能か否かを判定する(ステップS108)。
【0073】
ステップS108において、終了又は終了予測可能と判定した場合(ステップS108:Yes)、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、算出部52bにおける出発可能時間の算出結果、あるいはこれに対応する出発可能信号を、自動運転車両VEに対して送信する(ステップS109)。すなわち、主制御部50は、走行制御情報として、出発可能時間を自動運転車両VEに提供する。
【0074】
ステップS108において、終了又は終了予測可能でないと判定した場合(ステップS108:No)、後述するステップS110に進む。
【0075】
ステップS108又はステップS109後、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、現在において、はみ出し領域PAでの自動運転車両VEと対向車OCの物標情報とが干渉するか否かを判定する(ステップS110)。
【0076】
ステップS110において、干渉あり、と判定した場合(ステップS110:Yes)、走行制御情報として、出発不可情報を送信し(ステップS111)、ステップS108に戻り、再度、干渉の終了予測の可否について判定する。
【0077】
一方、ステップS110において、干渉無し、と判定した場合(ステップS110:No)、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、自動運転車両VEに出発可能時間が通知されているか否かを判定する(ステップS112)。
【0078】
ステップS112において、出発可能時間が通知されている場合(ステップS112:Yes)、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、自動運転車両VEが仮想停止線VLを通過しているか否かを判定する(ステップS113)。
【0079】
一方、ステップS112において、出発可能時間が通知されていない場合(ステップS112:No)、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、通過許可に関する情報(走行制御情報)を自動運転車両VEに提供し(ステップS114)、その後、自動運転車両VEが仮想停止線VLを通過しているか否かを判定する(ステップS115)。
【0080】
ステップS115において、自動運転車両VEが仮想停止線VLの位置を通過したと判定された場合(ステップS115:Yes)、情報提供装置PVから提供できる情報はなくなったものとして、処理を終了する。一方、ステップS115において、自動運転車両VEが仮想停止線VLの位置を通過していないと判定された場合(ステップS115:No)、仮想停止線VLを通過するまでステップS115の動作を繰り返す。
【0081】
ステップS113において、自動運転車両VEが仮想停止線VLの位置を通過したと判定された場合(ステップS113:Yes)、情報提供装置PVから提供できる情報はなくなったものとして、処理を終了する。この際、自動運転車両VEは、走行態様を変更することなく、走行を継続する。
【0082】
一方、ステップS113において、自動運転車両VEが仮想停止線VLの位置を通過していないと判定された場合(ステップS113:No)、ステップS108からの動作を繰り返す。
【0083】
以上において、主制御部50は、自動運転車両VEから新たな将来位置情報が送信される場合、将来位置情報を更新し、更新された将来位置情報に基づき、各種処理を行う。
【0084】
次に、図6(B)及び図7(B)を参照して、情報提供装置PVから情報提供を受ける際の自動運転車両VEにおける一連の動作について説明する。なお、自動運転車両VEは、情報提供装置PVから情報提供を受ける間において、自己の将来位置情報の送信を情報提供装置PVに対して、継続的に行っている。
【0085】
まず、自動運転車両VEは、情報提供装置PVに対して、最初の将来位置情報を送信する(ステップS201)。この際、自己を特定するIDに併せて車両VEの諸元データを送信する。
【0086】
次に、自動運転車両VEは、仮想停止線VLの情報を取得したか否かを確認する(ステップS202)。すなわち、ステップS201における送信を契機として、情報提供装置PVにおいてはみ出しの有無、及びこれに基づく衝突可能性の判定についての判定処理(図6(A)及び図7(A)のステップS102~S110)がなされ、仮想停止線の情報か進行可能である旨の情報が送信される。
【0087】
ステップS202において、仮想停止線VLの情報を取得した場合(ステップS202:Yes)、自動運転車両VEは、これに応じて、走行内容を変更する。自動運転車両VEは、変更内容で走行した結果として、仮想停止線VLの位置で停止する(ステップS203)。仮想停止線VLで停止するための走行態様に変更することで、結果的に将来位置情報が変更される。なお、この場合、変更後の将来位置情報が情報提供装置PVに対して送信されることになる。
【0088】
ステップS203において、仮想停止線VLの位置で停止後、自動運転車両VEは、情報提供装置PVからの出発可能時間の提供を待ち(ステップS204)、これを継続する。つまり、出発可能時間の経過、又は情報提供装置PVにおける各種処理の結果が出るまで、仮想停止線VLの位置で停止し、待機する。
【0089】
ステップS204において、情報提供装置PVからの出発可能時間の提供を受けると(ステップS204:Yes)、仮想停止線VLの位置から運転を再開し(ステップS205)、カーブCUを通過するとともに、情報提供装置PVからの情報提供を受けるための動作処理を終了する。
【0090】
一方、ステップS202において、仮想停止線VLの情報を取得しない場合(ステップS202:No)、自動運転車両VEは、情報提供装置PVからの情報提供を受けるための動作処理を終了する。この場合、自動運転車両VEは、走行制御情報として進行可能である旨の情報(通過許可情報)を情報提供装置PVから取得することになり、自動運転車両VEは、走行態様を変更することなく、走行を継続する。なお、自動運転車両VEは、走行を継続した結果、自身がカーブCUを通過したか否かを、例えば自己位置を自ら検知すること等に基づいて確認してもよい。
【0091】
なお、上記動作の態様は、一例であり、種々の変形態様とすることが可能である。例えば、上記態様では、自動運転車両VEからの将来位置情報の送信を契機として、情報提供装置PVにおいて走行予定ルートTRのはみ出しや衝突の有無に関する各種判定処理を行うものとしているが、このような態様に限らず、既述のように、例えば、検出範囲SAにおける交通状況の解析については常時なされており、例えば物標情報に基づくルートは常に算出された状態としておき、自動運転車両VEから種々のデータを取得するとともに、迅速に判定結果を出せるような構成としてもよい。
【0092】
また、上記では、仮想停止線の情報を送信しない場合、進行可能である旨の情報を送信する態様として説明しているが、例えば、仮想停止線の情報を送信しない場合は、自動運転車両VEに対しては特に何も送信せず、送信しないことをもって走行継続可能と判定させる態様としてもよい。なお、この際、所定間隔で送信される将来位置情報の受け渡しについての確認処理を行う態様としておくことで、進行可能な状態である旨の信号に代わるものとして取り扱ってもよい。
【0093】
以上で説明した実施形態の情報提供システム100では、判定ユニットJUが自動運転車両VEが対向車線OLにはみ出すと判定した場合、自動運転車両VEに監視部10における監視結果に応じた走行制御情報を送信することにより、自動運転車両VEの死角を含む範囲BAにおいて、自動運転車両VEが対向車線OLにはみ出す可能性があっても、対向車OC等との衝突を防ぐことができる。これにより、自動運転車両VEが死角を含む範囲BAを走行する場合でも、安全に走行することができる。
【0094】
〔第2実施形態〕
以下、図8及び図9を参照して、第2実施形態に係る情報提供システムについて一例を説明する。図8は、本実施形態に係る情報提供システム100を設けたカーブCU及びその周辺の様子について概念的に示す図である。本実施形態に係る情報提供システム100は、対向車線OLを走行する移動体MBが自動運転車両VExであり、自動運転車両VEz,VEx同士がカーブCUを走行する点において、第1実施形態の場合と異なっている。図8において、符号TRz,PAz,Lzは、自動運転車両VEzの走行予定ルート、はみ出し領域、仮想停止線をそれぞれ示し、符号TRx,PAx,Lxは、自動運転車両VExの走行予定ルート、はみ出し領域、仮想停止線をそれぞれ示す。
【0095】
図8に示すように、第2実施形態では、情報提供システム100の第1の支援対象となる自動運転車両VEzは、進行方向が+Z方向から始まり、カーブCUを進行方向に対して左側に曲がる車線C1上を走行している。また、情報提供システム100の第2の支援対象となる自動運転車両VExは、車線C1の対向車線OL上、すなわち進行方向が-X方向から始まり、カーブCUを進行方向に対して右側に曲がる車線C2上を走行している。なお、自動運転車両VExの走行予定ルートTRxが車両VExの対向車線OLである車線C1にはみ出す例については図示を省略している。
【0096】
車線C1とこれに対向する車線C2とにおいて、いずれも自動運転車両VEz,VExが走行し、カーブCU付近で互いにすれ違い、かつ衝突する可能性がある場合、情報提供装置PVは、所定の基準によっていずれか一方の自動運転車両を優先とし、優先させる一方の自動運転車両に対しては通過許可の通知をし、他方の自動運転車両に対しては仮想停止線VLを提供する。
【0097】
本実施形態では、1つの情報提供装置PVで2つの車線C1,C2について、処理を行うことができる。また、監視部10は、車線C1側の死角を含む範囲BAzを含む検出範囲SA1を監視する第1監視部10aと、車線C2側の死角を含む範囲BAxを含む検出範囲SA2を監視する第2監視部10bとで構成される。なお、両検出範囲SA1,SA2を1つの監視部10で監視してもよい。
【0098】
図9(A)及び9(B)は、第2実施形態の情報提供システム100における一連の動作について、一例を説明する。フローチャートの前段については、図6(A)及び6(B)と同様であるので省略する。図9(A)は、路側すなわち情報提供装置PVにおける一連の動作を示すフローチャートであり、図9(B)は、車側(車両側)すなわち自動運転車両VEz,VExにおける一連の動作を示すフローチャートである。なお、図9(B)については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0099】
図9(A)に示すように、第2実施形態では、情報提供装置PVの動作において、主制御部50が、はみ出し判定部52aとして、仮想停止線VLを提供する前に、自動運転車両VEz,VExのうちどちらの車両の走行を優先させるか否かを判定する(ステップS301)。
【0100】
ステップS301において、+Z方向から走行し、カーブCUを進行方向に対して左側に曲がる自動運転車両VEzの走行を優先させる場合(ステップS301:Yes)、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、自動運転車両VExに対して出発許可に関する情報を提供し(ステップS105)、一連の処理を終了する。
【0101】
一方、ステップS301において、-X方向から走行し、カーブCUを進行方向に対して右側に曲がる自動運転車両VExの走行を優先させない場合(ステップS301:No)、主制御部50は、はみ出し判定部52aとして、自動運転車両VExに対して、仮想停止線VLの位置情報を提供する(ステップS107)。
【0102】
以上において、自動運転車両VEz,VEx同士の態様では、車両の物標情報ではなく、将来位置情報に基づいて、はみ出し領域PAz,PAxでの干渉有無を判定してもよい。
【0103】
上記実施形態では、車線C1とこれに対向する車線C2とにおいて、いずれも自動運転車両VEz,VExが走行する場合、自動運転車両の優先順位をつけることにより、カーブCU付近や検出範囲SAにおいて、互いに衝突することを回避することができる。この場合、対向車OCも自動運転車両であるため、対向車OCの物標情報の代わりに将来位置情報を利用することができる。
【0104】
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0105】
まず、上記実施形態において、情報提供システム100を導入する箇所を、2車線(片側1車線)の道路のカーブCUとしているが、これに限らず、種々の箇所において情報提供システム100を導入することが可能である。例えば、検出範囲SAして、自動運転車両VEに対して死角を含む範囲が生じる箇所において、本願を適用することも可能である。また、道路RAが片側1車線であるとしたが、道路RAが片側2車線であっても同様の処理が可能である。
【0106】
上記実施形態において、道路のカーブCUの形状等については、一例であり、これに限らず、種々の形状や構造となっている場合において適用可能である。
【0107】
上記実施形態において、第1の判定後、第2の判定を行ったが、第1の判定及び第2の判定のいずれか一方を単独で行う構成としてもよい。
【0108】
上記実施形態において、走行予定ルートTRの基準点を自動運転車両VEの先頭の中央としたが、例えば、自動運転車両VEの車体の中心や後端の中央等のように、適宜変更することができる。
【0109】
上記実施形態において、監視部10の監視範囲を検出範囲SAとしたが、図示の例より広げても狭めてもよく、また、自身の自動運転車両VEが走行する領域(検出範囲SAのカーブCUを挟んで反対側の領域)についても監視対象としてもよい。この場合、監視範囲に応じて、監視部10の数を適宜増減することができる。
【0110】
上記実施形態において、自動運転車両VEは、情報提供装置PVから走行制御情報が送信されても、実際の交通状況に応じて、適宜対応することができる。例えば、自動運転車両VEの進行方向において、他の車両が詰まっていたら、対向車線OLにはみ出さないように停止してもよい。また、対向車OCとの衝突可能性があっても、実際に対向車OCがはみ出し領域PA外のカーブCU手前で停止して待機状態である場合、適宜自動運転車両VEを出発させ、カーブCUを通過してもよい。
【0111】
また、上記では、情報提供システム100を構成する情報提供装置PV等を、現場付近すなわちカーブCUの付近に設置するものとしているが、これに限らず、例えば各種情報処理やデータ管理を担う箇所等については、遠隔した場所に管理センター(管理サーバ)等として設けたり、あるいは、クラウド上において、各種処理やデータ保管を行ったりすることも考えられる。例えば情報提供装置PVに保管するものとしている仮想停止線VLの位置データ(位置情報)等を、遠隔地にある管理センター(管理サーバ)やクラウド上において保管等をする態様とすることができる。
【符号の説明】
【0112】
10,10a,10b…監視部、 11…カメラ部、 12…測距部、 30…通信部、 50…主制御部、 52a…判定部、 52b…算出部、 100…情報提供システム、 AO…自動運転プログラム、 BA,BAz,BAx…死角を含む範囲、 BU…バス、 C1,C2…車線、 CM…カーブミラー、 CU…カーブ、 DO…運転操作部、 FG…将来位置情報生成部、 JD…判定装置、 JU…判定ユニット、 MB…移動体、 MPj…地図データ部、 MPv…地図データ部、 OC…対向車、 OL…対向車線、 PA,PAz,PAx…はみ出し領域、 PV…情報提供装置、 RA…道路、 RE…取得用媒体、 RO…ルートデータ部、 SA,SA1,SA2…検出範囲、 SE…監視用センサー、 SEi…情報取得部、 TR,TRz,TRx…走行予定ルート、 TT…通信部、 VE,VEz,VEx…自動運転車両、 VL,VLz,VLx…仮想停止線
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9