(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042720
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】浴槽洗浄装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149999
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】久保 隆志
(57)【要約】
【課題】湯水タンクの高温の湯水を安全に排水することができる浴槽洗浄装置を提供すること。
【解決手段】給湯装置(2)から供給される湯水を浴槽に配設された洗浄ノズル(5)に供給する湯水通路(14)と、湯水通路(14)の途中に設けられた湯水タンク(15)と、洗浄ノズル(5)に湯水タンク(15)の湯水を送り出すポンプ(16)と、ポンプ(16)を駆動して洗浄ノズル(5)から湯水と洗浄液を噴射する浴槽洗浄運転を制御する制御手段(20)を備えた浴槽洗浄装置(10)において、湯水通路(14)の湯水温度を検知する温度センサ(19)を有し、制御手段(20)は、浴槽洗浄運転中に温度センサ(19)の検知温度が予め設定された基準温度以上になった場合に、湯水タンク(15)への湯水の貯留を停止し、ポンプ(16)を浴槽洗浄運転における第1目標回転数よりも低回転数の第2目標回転数で駆動して湯水タンク(15)の湯水を浴槽に排水する排水動作を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯装置から供給される湯水を浴槽に配設された洗浄ノズルに供給する湯水通路と、前記湯水通路の途中に設けられた湯水タンクと、前記洗浄ノズルに前記湯水タンクの湯水を送り出すポンプと、前記ポンプを駆動して前記洗浄ノズルから湯水と洗浄液を噴射する浴槽洗浄運転を制御する制御手段を備えた浴槽洗浄装置において、
前記湯水通路の湯水の温度を検知する温度センサを有し、
前記制御手段は、前記浴槽洗浄運転中に前記温度センサの検知温度が予め設定された基準温度以上になった場合に、前記湯水タンクへの湯水の貯留を停止し、前記ポンプを前記浴槽洗浄運転における第1目標回転数よりも低回転数の第2目標回転数で駆動して前記湯水タンクの湯水を前記浴槽に排水する排水動作を行うことを特徴とする浴槽洗浄装置。
【請求項2】
前記湯水タンクの水位を検知する水位検知手段を有し、
前記制御手段は、前記第2目標回転数での前記排水動作によって前記水位検知手段の検知水位が予め設定された基準水位未満になった場合には、前記ポンプを停止することを特徴とする請求項1に記載の浴槽洗浄装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記温度センサの検知温度が予め設定された基準温度以上になった場合に、前記浴槽洗浄運転の実行を禁止することを特徴とする請求項1又は2に記載の浴槽洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽を自動洗浄する浴槽洗浄装置に関し、特に低い上水供給圧に対応可能なように湯水を貯留する湯水タンクを備えた浴槽洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、給湯装置から供給される湯水を使用して浴槽を自動洗浄する浴槽洗浄装置が利用されている。浴槽洗浄装置は、浴槽内に洗浄液を噴射して浴槽に付着している汚れを浮かせ、湯水を噴射して洗い流すことにより浴槽の洗浄を行う。浴槽を洗浄する際には、湯水、洗浄液が浴槽外に飛び散らないように、浴槽に蓋をしておく。
【0003】
ところで、上水の供給圧が低い地域、建物では、十分な勢いで湯水、洗浄液を噴射することが困難であり、十分に洗浄できない場合がある。そこで、上水の供給圧が低い場合に対応するために、例えば特許文献1、2のように、給湯装置から供給される湯水を湯水タンクに貯留し、ポンプを駆動して湯水タンクの湯水を洗浄ノズルに供給することにより、湯水、洗浄液を噴射する浴槽洗浄装置が知られている。この浴槽洗浄装置は、目標の流量で噴射できるように、ポンプの回転数を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-58633号公報
【特許文献2】特開2019-118705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば給湯装置の不具合によって、設定されている温度よりも高温の湯水が浴槽洗浄装置に供給された場合には、この高温の湯水が洗浄ノズルから噴射される。このとき、例えば浴槽に蓋をし忘れたユーザが、この噴射された高温の湯水を誤って浴びる危険がある。それ故、通常、特許文献1、2のような浴槽洗浄装置は、浴槽洗浄運転中に設定されている温度よりも高温の湯水が供給された場合に、ポンプを停止させるように構成する。
【0006】
浴槽洗浄運転の終了時には、湯水タンク内での雑菌の繁殖を防止して清潔な状態を維持するために、湯水の噴射と同様にポンプを駆動して貯留されている湯水を浴槽に排水する。しかし、高温の湯水が供給されてポンプを停止した場合、湯水タンクには高温の湯水が貯留された状態のままであり、衛生的観点だけでなくメンテナンス対応の観点からも、湯水タンクの高温の湯水を安全に排水することが要求されている。
【0007】
また、例えば浴槽洗浄運転と同時に給湯栓での給湯使用があり、給湯栓での給湯使用が終了したときに給湯流量の減少に伴う温度調整が間に合わず、一時的に高温の湯水が浴槽洗浄装置に供給され、ポンプを停止させる場合がある。このような場合、浴槽洗浄運転をやり直すために、湯水タンクに残っている高温の湯水を安全に排水することが要求されている。
【0008】
本発明の目的は、湯水タンクの高温の湯水を安全に排水することができる浴槽洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の浴槽洗浄装置は、給湯装置から供給される湯水を浴槽に配設された洗浄ノズルに供給する湯水通路と、前記湯水通路の途中に設けられた湯水タンクと、前記洗浄ノズルに前記湯水タンクの湯水を送り出すポンプと、前記ポンプを駆動して前記洗浄ノズルから湯水と洗浄液を噴射する浴槽洗浄運転を制御する制御手段を備えた浴槽洗浄装置において、前記湯水通路の湯水温度を検知する温度センサを有し、前記制御手段は、前記浴槽洗浄運転中に前記温度センサの検知温度が予め設定された基準温度以上になった場合に、前記湯水タンクへの湯水の貯留を停止し、前記ポンプを前記浴槽洗浄運転における第1目標回転数よりも低回転数の第2目標回転数で駆動して前記湯水タンクの湯水を前記浴槽に排水する排水動作を行うことを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、浴槽洗浄運転において、制御手段はポンプを第1目標回転数で駆動して、湯水タンクに貯留した湯水を洗浄ノズルに送り出し、洗浄ノズルから湯水、洗浄液を噴射する。このときの湯水温度が予め設定された基準温度以上である場合には、湯水タンクへの湯水の貯留を停止し、第1目標回転数よりも低回転数の第2目標回転数でポンプを駆動して湯水の勢いを弱めた状態で湯水タンクに残っている湯水を浴槽に排水する。従って、例えば給湯装置の不具合によって基準温度以上の高温の湯水が供給された場合に、ユーザが誤って高温の湯水に触れることがないように湯水タンクの湯水を安全に排水することができる。
【0011】
請求項2の発明の浴槽洗浄装置は、請求項1の発明において、前記湯水タンクの水位を検知する水位検知手段を有し、前記制御手段は、前記第2目標回転数での前記排水動作によって前記水位検知手段の検知水位が予め設定された基準水位未満になった場合には、前記ポンプを停止することを特徴としている。
上記構成によれば、制御手段はポンプを第2目標回転数で駆動して排水動作を行い、湯水タンクの水位が基準水位未満になるとポンプを停止して排水動作を終了する。従って、基準温度以上の高温の湯水を排水する際に、湯水タンクの水位が低下して湯水と共に空気がポンプに取り込まれ、第2目標回転数であっても洗浄ノズルから高温の湯水が細かい液滴として噴射されることを防止して、安全に排水ことができる。
【0012】
請求項3の発明の浴槽洗浄装置は、請求項1又は2の発明において、前記制御手段は、前記温度センサの検知温度が予め設定された基準温度以上になった場合に、前記浴槽洗浄運転の実行を禁止することを特徴としている。
上記構成によれば、制御手段は、給湯装置から供給された湯水が基準温度以上の場合には、浴槽洗浄運転の実行を禁止する。基準温度以上の高温の湯水が供給されたことから給湯装置の不具合が予測されるので、浴槽洗浄運転の実行を禁止して再び高温の湯水が噴射されることを防ぎ、安全を確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の浴槽洗浄装置によれば、ユーザが基準温度以上の高温の湯水に触れることがないように、湯水タンクの高温の湯水を安全に排水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例に係る浴槽洗浄装置の構成図である。
【
図2】実施例に係る浴槽洗浄装置による浴槽洗浄運転の工程フローチャートである。
【
図3】予備洗浄工程、すすぎ洗浄工程における湯水噴射制御フローチャートである。
【
図4】洗浄液噴射工程における洗浄液噴射制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0016】
最初に、本発明の浴槽洗浄装置10の周辺機器を含む全体構成について、
図1に基づいて説明する。浴槽1の湯張り、追焚きのために、浴槽1と給湯装置2が、湯張り追焚き通路3と循環アダプタ1aを介して接続されている。また、浴槽1の底部には、矢印Dで示すように湯水を排水するための例えば電動式の排水栓4と、湯水、洗浄液を噴射(散布)して浴槽1を洗浄するための洗浄ノズル5が配設されている。
【0017】
浴槽1の近傍には、湯水、洗浄液を洗浄ノズル5に供給する供給ユニット6と、供給ユニット6に供給する洗剤をためておく洗剤タンク7と、排水栓4の開栓操作、閉栓操作を行うための排水スイッチ8が配設されている。供給ユニット6には、給湯装置2から湯水を供給するための給湯通路2aが接続されている。
【0018】
また、例えば浴室の天井裏に配設された電源通信ユニット9は、供給ユニット6に電力供給可能且つ通信可能に接続されている。この電源通信ユニット9は、浴槽洗浄装置10の浴槽洗浄運転等を制御する制御手段として制御部20を備えている。浴槽洗浄装置10は、洗浄ノズル5、供給ユニット6、洗剤タンク7、排水スイッチ8、排水栓4、電源通信ユニット9(制御部20)等によって構成されている。
【0019】
給湯装置2は、給湯運転において、例えば燃料の燃焼熱を利用して矢印Wで示すように供給される上水を加熱し、この加熱した湯水の温度を調整して給湯通路2aを介して給湯する燃焼式給湯装置である。浴槽洗浄装置10の浴槽洗浄運転の開始、又は給湯栓Fの開栓により給湯使用が開始されると、給湯装置2内の湯水の流動を検知して給湯運転が開始される。浴槽洗浄運転の終了又は給湯栓Fの閉栓により給湯使用が終了すると、給湯装置2内の湯水の流動停止を検知して給湯運転が終了する。尚、給湯装置2は、ヒートポンプ式熱源機等他の熱源機を有する給湯装置であってもよい。
【0020】
給湯装置2には、浴槽1の湯張り運転、追焚き運転等の開始操作、及び給湯設定温度の設定操作等を行うための浴室リモコン11、台所リモコン12が通信可能に接続されている。また、制御部20には、浴槽洗浄装置10による浴槽洗浄運転の開始操作等を行うための洗浄リモコン13が通信可能に接続されている。そして、給湯装置2と制御部20とが通信可能に接続されている。
【0021】
次に、浴槽洗浄装置10について説明する。
浴槽洗浄装置10の供給ユニット6は、給湯通路2aから供給される湯水を洗浄ノズル5に供給する湯水通路14と、この湯水を一時的に貯留するために湯水通路14の途中に設けられた湯水タンク15と、洗浄ノズル5に向けて湯水タンク15の湯水を送り出すためのポンプ16等を有する。ポンプ16と洗浄ノズル5の間(ポンプ16の下流側)の湯水通路14には、ベンチュリ17が介装されている。ベンチュリ17は、洗浄ノズル5に供給するためにポンプ16によって送り出された湯水に洗剤を混合する洗剤混合部に相当する。
【0022】
湯水通路14は、フィルタ14aを介して給湯通路2aに接続され、湯水タンク15よりも上流側且つフィルタ14aの下流側に、分岐して合流する並列通路部18を有する。並列通路部18では、2つの分岐通路18a,18bが並列に接続されている。
【0023】
分岐通路18aは、この分岐通路18aを開閉するための第1電磁弁18c(湯水弁)と、定流量弁18eを備えている。分岐通路18bは、この分岐通路18bを開閉するための第2電磁弁18d(湯水弁)と、定流量弁18fを備えている。これら定流量弁18e,18fは、ポンプ16の吐出能力よりも小さい流量に夫々制限すると共に、2つの合計の流量がポンプ16の通常流量よりも大きくなるものが選ばれている。分岐通路18a,18bにおける流量は、第1、第2電磁弁18c,18dを開けたときに互いに等しくなる。
【0024】
ポンプ16とベンチュリ17の間の湯水通路14には、ポンプ16によって送り出された湯水の温度を検知する温度センサ19、ポンプ16によって送り出された湯水の流量を検知する流量センサ14b等を備えている。ベンチュリ17には、洗剤タンク7から洗剤を供給するための洗剤通路7aが接続され、ベンチュリ17で湯水の流動によって発生する負圧を利用して洗剤通路7aから洗剤が流動する湯水に供給される。洗剤通路7aは、洗剤の供給と停止を切り替えるために開閉する洗剤電磁弁7b(洗剤弁)を備えている。ポンプ16の下流側の温度センサ19は、給湯栓Fからの給湯開始又は給湯停止による瞬間的な湯水温度の変動が湯水タンク15で緩和されるので、瞬間的な変動ではない給湯装置2の不具合により湯水の温度が基準温度以上になったことを精度良く検知することができる。
【0025】
制御部20は、排水栓4の開閉、第1、第2電磁弁18c,18d(湯水弁)の開閉、洗剤電磁弁7b(洗剤弁)の開閉、ポンプ16の駆動及び停止が可能なように接続されている。また、制御部20は、排水スイッチ8の操作に応じて排水栓4を開閉可能である。そして、制御部20には、湯水タンク15の水位を検知する水位検知手段としてフロートスイッチ15aと、洗剤タンク7の洗剤の液面を検知するフロートスイッチ7cが接続されている。
【0026】
湯水タンク15には、第1水位Lと、第1水位Lよりも高水位の第2水位Hが設定されている。第1水位Lは、水位の制御のために予め設定された湯水タンク15の下限水位に対応する。第2水位Hは、水位の制御のために予め設定された湯水タンク15の上限水位に対応する。湯水タンク15に貯留される湯水のうち、上限水位を超えた湯水は湯水タンク15のオーバーフロー口15bから浴槽パンに流れ、図示外の浴室の排水口から排水される。
【0027】
制御部20は、例えば演算装置と記憶装置と入出力装置等を備えたコンピュータであり、記憶装置に格納された制御プログラム等に基づいて、浴槽1を洗浄する浴槽洗浄運転、排水栓4の開閉等を制御する。例えば洗浄リモコン13の操作によって浴槽洗浄装置10の浴槽洗浄運転の開始操作が行われると、制御部20は浴槽洗浄運転を実行する。また、制御部20は、排水スイッチ8の操作を検知して排水栓4を駆動(開栓→閉栓、又は、閉栓→開栓)し、次の排水スイッチ8の操作又は制御部20の指令があるまで排水栓4の開閉状態が維持される。
【0028】
浴槽洗浄運転では、制御部20は、排水栓4を開栓し、第1、第2電磁弁18c,18d(湯水弁)、洗剤電磁弁7b(洗剤弁)等の開閉、ポンプ16の駆動等を制御する。この浴槽洗浄運転について、
図2~
図4のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0029】
浴槽洗浄運転が開始されると、
図2のS1の準備工程において、浴槽1の排水栓4を開くと共に、第1、第2電磁弁18c,18d(湯水弁)を開いて湯水タンク15への湯水の貯留を開始してS2に進む。第1、第2電磁弁18c,18dは、浴槽洗浄運転中には湯水タンク15の水位が上限水位と下限水位の間となるように、一方又は両方が開閉される。
【0030】
次にS2の予備洗浄工程において、浴槽1内に湯水を所定の噴射時間だけ噴射してS3に進む。次にS3の洗浄液噴射工程において、浴槽1内への洗浄液の噴射と一定時間待機を所定の設定回数だけ繰り返し、S4に進む。次にS4のすすぎ洗浄工程において、浴槽1内に湯水を所定の噴射時間だけ噴射することにより、洗浄液と共に汚れを洗い流してS5に進む。そしてS5の排水工程において、第1、第2電磁弁18c,18d(湯水弁)を閉じた状態でポンプ16を第1目標回転数で駆動して湯水タンク15から浴槽1への排水を行って浴槽洗浄運転を終了する。第1目標回転数は、上記S2~S4における湯水噴射、洗浄液噴射のときのポンプ16の回転数である。
【0031】
S2の予備洗浄工程、S4のすすぎ洗浄工程における湯水噴射では、
図3のように、S11において、第1目標回転数で駆動するようにポンプ16の駆動を開始してS12に進む。そしてS12において、温度センサ19が検知した湯水温度が予め設定された基準温度未満か否か判定する。基準温度は、短時間の接触では火傷の危険が小さい温度として、例えば50℃に設定されているが、適宜変更可能である。
【0032】
S12の判定がYesの場合にはS13に進み、S13においてポンプ16の駆動開始から所定の噴射時間が経過したか否か判定する。所定の噴射時間は、例えば60秒に予め設定されているが、適宜変更可能であり、予備洗浄工程とすすぎ洗浄工程とで異なる噴射時間に設定可能である。S13の判定がNoの場合はS12に戻り、S13の判定がYesの場合はS14に進む。そして、S14において、ポンプ16を停止してリターンすることにより、S2の予備洗浄工程、又はS4のすすぎ洗浄工程を終了する。
【0033】
ここで、湯水噴射において、湯水タンク15に供給される湯水が基準温度よりも高温の場合があり、温度センサ19の検知温度(湯水温度)が基準温度以上になる場合がある。それ故、S12の判定がNoの場合にはS15に進み、S15において浴槽洗浄運転を禁止してS16に進む。そしてS16において、第1、第2電磁弁18c,18d(湯水弁)を閉じて湯水タンク15への湯水の貯留を停止し、S17に進む。
【0034】
次にS17において、第2目標回転数でポンプ16の駆動を開始することにより、湯水タンク15から浴槽1への排水を開始して、S18に進む。第2目標回転数は第1目標回転数よりも低回転数に設定され、洗浄ノズル5への湯水の供給流量が通常の湯水噴射よりも小さく、洗浄ノズル5から噴射される湯水の勢いが弱められている。例えば、第1目標回転数では少なくとも浴槽1の縁の高さまで湯水が噴射されるが、第2目標回転数では浴槽1の底から10cm以下の高さに湯水の噴射が抑えられる。従って、高温の湯水の排水において、ユーザがこの高温の湯水に触れることがないように排水することができる。
【0035】
S18において、フロートスイッチ15aの検知水位(タンク水位)が基準水位として例えば下限水位(第1水位L)未満となったか否か判定する。S18の判定がNoの場合は、湯水タンク15の排水を継続した状態でS18に戻る。S18の判定がYesの場合はS19に進み、S19においてポンプ16を停止して、浴槽洗浄運転を終了する。尚、S16~S19が排水動作に相当する。
【0036】
図2のS3の洗浄液噴射工程では、
図4のように、最初にS21において、洗浄液の噴射回数nをゼロに初期化してS22に進む。次にS22において、洗剤電磁弁7b(洗剤弁)を開き、第1目標回転数でのポンプ16の駆動を開始して、S23に進む。
【0037】
次にS23において、温度センサ19が検知した湯水温度が予め設定された基準温度未満か否か判定する。S23の判定がYesの場合にはS24に進み、S24においてポンプ16の駆動開始から所定の噴射時間が経過したか否か判定する。所定の噴射時間は、例えば30秒に設定されているが、適宜変更可能である。S24の判定がNoの場合はS23に戻り、S24の判定がYesの場合はS25に進む。
【0038】
次にS25において、洗剤電磁弁7b(洗剤弁)を閉じ、ポンプ16を停止してS26に進む。そしてS26において、ポンプ16を停止してから所定の待機時間が経過したか否か判定する。所定の待機時間は、例えば30秒に設定されているが、適宜変更可能である。S26の判定がNoの場合はS26に戻る。S26の判定がYesの場合はS27に進み、S27において噴射回数nを1増加させてS28に進む。そしてS28において、噴射回数nが設定回数以上となったか否か判定し、S28の判定がNoの場合はS22に戻り、S28の判定がYesの場合はリターンして洗浄液噴射を終了する。設定回数は例えば5回に設定されているが、洗浄コース等に応じて適宜変更可能である。
【0039】
洗浄液噴射においても湯水タンク15に高温の湯水が供給され、温度センサ19の検知温度(湯水温度)が基準温度以上になる場合がある。それ故、S23の判定がNoの場合にはS29に進み、S29において浴槽洗浄運転を禁止して、S30に進む。次にS30において、第1、第2電磁弁18c,18d(湯水弁)を閉じることにより湯水の貯留を停止してS31に進む。そしてS31において、洗剤電磁弁7b(洗剤弁)を閉じてS32に進み、S32において第2目標回転数でのポンプ16の駆動を開始して湯水タンク15から浴槽1への排水を開始し、S33に進む。
【0040】
S33において、フロートスイッチ15aの検知水位(タンク水位)が基準水位として例えば下限水位(第1水位L)未満となったか否か判定する。S33の判定がNoの場合は、湯水タンク15の排水を継続した状態でS33に戻る。S33の判定がYesの場合はS34に進み、S34においてポンプ16を停止して、浴槽洗浄運転を終了する。尚、S30~S34が排水動作に相当する。
【0041】
制御部20は、浴槽洗浄運転を禁止した後は、浴槽洗浄運転禁止であることを洗浄リモコン13の出力(表示、音声)によってユーザに報知する。そして、ユーザが浴槽洗浄運転禁止の状態を認識して、洗浄リモコン13における所定の禁止解除操作(例えば洗浄運転スイッチの長押し)を行うまでは、浴槽洗浄運転禁止を維持する。これにより、ユーザは例えば給湯装置2の不具合を認識して修理の依頼等の対応をとることができ、不具合を知らずに高温の湯水に触れる危険を回避することができる。
【0042】
上記の浴槽洗浄装置10の作用、効果について説明する。
浴槽洗浄運転において、浴槽洗浄装置10は、ポンプ16を第1目標回転数で駆動し、湯水タンク15に貯留した湯水を洗浄ノズル5に送り出し、洗浄ノズル5から湯水、洗浄液を噴射する。このときの湯水温度が予め設定された基準温度以上である場合には、湯水タンク15への湯水の貯留を停止し、第1目標回転数よりも低回転数の第2目標回転数でポンプ16を駆動して、湯水の勢いを弱めた状態で湯水タンク15に残っている湯水を浴槽1に排水する。従って、例えば給湯装置2の不具合によって基準温度以上の高温の湯水が供給された場合に、ユーザが誤って高温の湯水に触れることがないように、湯水タンク15の高温の湯水を安全に排水することができる。
【0043】
また、制御部20は、ポンプ16を第2目標回転数で駆動して排水動作を行い、湯水タンク15の水位が基準水位未満になるとポンプ16を停止して排水動作を終了する。従って、基準温度以上の高温の湯水を排水する際に、湯水タンク15の水位が基準水位未満に低下して湯水と共に空気がポンプ16に取り込まれ、第2目標回転数であっても洗浄ノズル5から高温の湯水が細かい液滴として噴射されることを防止して、安全に排水することができる。
【0044】
その上、制御部20は、給湯装置2から供給された湯水が基準温度以上の場合には、浴槽洗浄運転の実行を禁止する。基準温度以上の高温の湯水が供給されたことから給湯装置2の不具合が予測されるので、浴槽洗浄運転の実行を禁止して再び高温の湯水が噴射されることを防ぎ、安全を確保することができる。
【0045】
湯水の温度を検知する温度センサ19は、例えばサーミスタであり、ポンプ16の下流側に限らず湯水タンク15に装備してもよく、湯水タンク15よりも上流側に装備してもよい。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。