IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デイエムウッドラボの特許一覧 ▶ ウチヤマコーポレーション株式会社の特許一覧 ▶ 目黒 剛の特許一覧

<>
  • 特開-間仕切り壁ユニット 図1
  • 特開-間仕切り壁ユニット 図2
  • 特開-間仕切り壁ユニット 図3
  • 特開-間仕切り壁ユニット 図4
  • 特開-間仕切り壁ユニット 図5
  • 特開-間仕切り壁ユニット 図6
  • 特開-間仕切り壁ユニット 図7
  • 特開-間仕切り壁ユニット 図8
  • 特開-間仕切り壁ユニット 図9
  • 特開-間仕切り壁ユニット 図10
  • 特開-間仕切り壁ユニット 図11
  • 特開-間仕切り壁ユニット 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042723
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】間仕切り壁ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/82 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
E04B2/82 511A
E04B2/82 501A
E04B2/82 511F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150003
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】592118826
【氏名又は名称】株式会社デイエムウッドラボ
(71)【出願人】
【識別番号】521408080
【氏名又は名称】ウチヤマコーポレーション株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521407197
【氏名又は名称】目黒 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100107375
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 明広
(72)【発明者】
【氏名】大野 光則
(57)【要約】
【課題】構造がシンプルで、部品点数も少なく、簡単に形成することができ、かつ、簡単に撤去することができる間仕切り壁ユニットを提供する。
【解決手段】柱材と、柱材を固定するために床面及び天井面にそれぞれ配置されるブラケット1と、壁材と、壁材を固定するために床面及び天井面にそれぞれ配置されるレール2とによって構成され、ブラケット1とレール2は、連結材3によって連結できるように構成され、床面及び天井面に対し、角部の位置にブラケット1を固定するとともに、直線部の位置にレール2を固定し、上下のレール2の間に壁材を角部側からスライド挿入させることによって配置し、上下のブラケット1の間に柱材を配置して固定することにより、間仕切り壁を形成できるように構成した。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱材と、柱材を固定するために床面及び天井面にそれぞれ配置されるブラケットと、壁材と、壁材を固定するために床面及び天井面にそれぞれ配置されるレールとによって構成され、
ブラケットは、床面又は天井面と当接する裏面と、柱材の下端面又は上端面と当接する表面と、複数の垂直な側面とを有し、
レールは、所定間隔を置いて平行に延在する二枚の垂直な側縁部と、それらの間の底部とによって樋状に構成され、
レールの底部は、床面又は天井面と当接又は近接する下段部と、壁材の下端面又は上端面と当接或いは近接する上段部とを有していることを特徴とする間仕切り壁ユニット。
【請求項2】
レールの底部の上段部の高さ寸法が、ブラケットの高さ以上の寸法に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の間仕切り壁ユニット。
【請求項3】
連結材によって、ブラケットとレールを連結できるように構成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の間仕切り壁ユニット。
【請求項4】
ブラケットが、四つの垂直な側面を有するとともに、外側から各側面と直交する方向へ連結材を進入させて装着できる形状の凹部が形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の間仕切り壁ユニット。
【請求項5】
レールの底部が、中央の下段部と、下段部の両側の二つの中段部と、各中段部と各側縁部との間の二つの上段部とによって構成され、下段部と中段部の段差部分に、連結材を装着できるように構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の間仕切り壁ユニット。
【請求項6】
連結材が、基端部と、先端部とによって構成され、
基端部は、ブラケットの凹部の形状に対応し、凹部内に装着可能な形状を有し、
先端部は、レールの下段部及び中段部の段差部分の形状に対応し、下段部の両側又は中段部の間の位置に装着可能な形状を有していることを特徴とする請求項5に記載の間仕切り壁ユニット。
【請求項7】
柱材をブラケットに対して固定するためのブラケットカバーを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の間仕切り壁ユニット。
【請求項8】
壁材は、基材の両側面に木質ボードを貼り付けることによって構成されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の間仕切り壁ユニット。
【請求項9】
壁材の側方端部、及び、柱材の側面に、厚さ方向の中間位置において、上端から下端まで延在する溝がそれぞれ形成され、
壁材と柱材、及び/又は、隣接する壁材同士を接合するために、それらの溝内に配置される雇い実を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の間仕切り壁ユニット。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の間仕切り壁ユニットを用いて、室内に間仕切り壁を形成する方法であって、
床面及び天井面に対し、角部の位置にブラケットをそれぞれ固定するとともに、直線部の位置にレールをそれぞれ固定し、
既設壁部と角部との間の直線部において、上下のレールにおける角部側の端部に、壁材の上側端部及び下側端部の位置をそれぞれ合わせ、角部側から既設壁部側へ向かってスライド挿入させることによって壁材を配置し、
角部において、上下のブラケットの間に柱材を配置して固定することを特徴とする間仕切り壁の施工方法。
【請求項11】
請求項6に記載の間仕切り壁ユニットを用いて、室内に間仕切り壁を形成する方法であって、
床面及び天井面に対し、角部の位置に、連結材の先端部が外側へ突出するように連結材を装着したブラケットをそれぞれ固定するとともに、直線部の位置に、ブラケットから突出する連結材の先端部とレールの端部とが連結されるようにレールを配置して固定し、
既設壁部と角部との間の直線部において、上下のレールにおける角部側の端部に、壁材の上側端部及び下側端部の位置をそれぞれ合わせ、角部側から既設壁部側へ向かってスライド挿入させることによって壁材を配置し、
角部において、上下のブラケットの間に柱材を配置して固定することを特徴とする間仕切り壁の施工方法。
【請求項12】
請求項1~9のいずれかに記載の間仕切り壁ユニットを用いて、室内に複数の角部を有する間仕切り壁を形成する方法であって、
床面及び天井面に対し、角部の位置にブラケットをそれぞれ固定するとともに、直線部の位置にレールをそれぞれ固定し、
既設壁部と角部との間の直線部において、上下のレールにおける角部側の端部に、壁材の上側端部及び下側端部の位置をそれぞれ合わせ、角部側から既設壁部側へ向かってスライド挿入させることによって壁材を配置し、
隣接する二つの角部の間の直線部において、上下のレールにおける角部側の端部に、壁材の上側端部及び下側端部の位置をそれぞれ合わせ、一方の角部側から他方の角部側へ向かってスライド挿入させることによって壁材を配置し、
角部において、上下のブラケットの間に柱材を配置して固定することを特徴とする間仕切り壁の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅やオフィスの居室内に、新たに間仕切り壁を形成する際に利用することができる間仕切り壁ユニットに関し、特に、角部を有する複雑な形状の間仕切り壁であっても、簡単に形成かつ撤去することができ、また、撤去後において、既設の床材、天井材、及び、壁材に与えるダメージを可及的に小さくすることができる間仕切り壁ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅のリフォームやリノベーションの際に、既設の居室内に間仕切り壁を簡単に形成できるように構成された各種の間仕切り壁ユニットが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-101018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の間仕切り壁ユニットは、構造が複雑で部品点数が多く、また、施工が難しく、施工に際して熟練した技術が求められるものが多く、更に、撤去後においては、既設の床材、天井材、及び、壁材に与えるダメージが大きく、大幅な補修工事が必要となるものが多い。
【0005】
本発明は、このような従来技術における問題を解決しようとするものであって、構造がシンプルで、部品点数も少なく、簡単に形成することができ、かつ、簡単に撤去することができる間仕切り壁ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る間仕切り壁ユニットは、柱材と、柱材を固定するために床面及び天井面にそれぞれ配置されるブラケットと、壁材と、壁材を固定するために床面及び天井面にそれぞれ配置されるレールとによって構成され、ブラケットは、床面又は天井面と当接する裏面と、柱材の下端面又は上端面と当接する表面と、複数の垂直な側面とを有し、レールは、所定間隔を置いて平行に延在する二枚の垂直な側縁部と、それらの間の底部とによって樋状に構成され、レールの底部は、床面又は天井面と当接又は近接する下段部と、壁材の下端面又は上端面と当接或いは近接する上段部とを有していることを特徴としている。
【0007】
尚、レールの底部の上段部の高さ寸法は、ブラケットの高さ以上の寸法に設定されていることが好ましく、また、連結材によって、ブラケットとレールを連結できるように構成されていることが好ましい。更に、ブラケットが、四つの垂直な側面を有するとともに、外側から各側面と直交する方向へ連結材を進入させて装着できる形状の凹部が形成されていることが好ましい。
【0008】
また、レールの底部が、中央の下段部と、下段部の両側の二つの中段部と、各中段部と各側縁部との間の二つの上段部とによって構成され、下段部と中段部の段差部分に、連結材を装着できるように構成されていることが好ましく、更に、連結材が、基端部と、先端部とによって構成され、基端部が、ブラケットの凹部の形状に対応し、凹部内に装着可能な形状を有し、先端部が、レールの下段部及び中段部の段差部分の形状に対応し、下段部の両側又は中段部の間の位置に装着可能な形状を有していることが好ましい。
【0009】
また、柱材をブラケットに対して固定するためのブラケットカバーを含んでいることが好ましく、更に、壁材が、基材の両側面に木質ボードを貼り付けることによって構成されていることが好ましい。また、壁材の側方端部、及び、柱材の側面に、厚さ方向の中間位置において、上端から下端まで延在する溝がそれぞれ形成され、壁材と柱材、及び/又は、隣接する壁材同士を接合するために、それらの溝内に配置される雇い実を含んでいることが更に好ましい。
【0010】
本発明に係る間仕切り壁の施工方法は、床面及び天井面に対し、角部の位置にブラケットをそれぞれ固定するとともに、直線部の位置にレールをそれぞれ固定し、既設壁部と角部との間の直線部において、上下のレールにおける角部側の端部に、壁材の上側端部及び下側端部の位置をそれぞれ合わせ、角部側から既設壁部側へ向かってスライド挿入させることによって壁材を配置し、角部において、上下のブラケットの間に柱材を配置して固定することを特徴としている。
【0011】
尚、この施工方法においては、床面及び天井面に対し、角部の位置に、連結材の先端部が外側へ突出するように連結材を装着したブラケットをそれぞれ固定するとともに、直線部の位置に、ブラケットから突出する連結材の先端部とレールの端部とが連結されるようにレールを配置して固定することが好ましい。
【0012】
また、複数の角部を有する間仕切り壁を形成する場合、隣接する二つの角部の間の直線部においては、上下のレールにおける角部側の端部に、壁材の上側端部及び下側端部の位置をそれぞれ合わせ、一方の角部側から他方の角部側へ向かってスライド挿入させることによって壁材を配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る間仕切り壁ユニットは、構造がシンプルで、各部品の汎用性が高いため、部品点数も少なく、簡単に形成することができ、かつ、簡単に撤去することができる。また、既設の床材、天井材、及び、壁材に与えるダメージが小さいため、簡単な補修作業のみで、室内を元の状態に復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明に係る間仕切り壁ユニットを構成するブラケット1の上面側の斜視図、垂直断面図、及び、下面側の斜視図である。
図2図2は、本発明に係る間仕切り壁ユニットを構成するレール2の端部付近の斜視図である。
図3図3は、本発明に係る間仕切り壁ユニットを構成する連結材3の斜視図である。
図4図4(1)は、図3に示す連結材3を図1に示すブラケット1の凹部15内の適正な位置に装着した状態を示す斜視図であり、図4(2)は、連結材3を図2に示すレール2の中段部24の下側(下段部23の両側)の適正な位置に装着した状態を示す斜視図である。
図5図5は、本発明に係る間仕切り壁ユニットを構成するブラケットカバー4(4A,4B)の斜視図である。
図6図6は、本発明に係る間仕切り壁ユニットを構成する壁材5の側方端部54付近の水平断面図である。
図7図7は、本発明に係る間仕切り壁ユニットを構成する柱材6の水平断面図である。
図8図8は、本発明に係る間仕切り壁ユニットによって形成することができる間仕切り壁の一例を示す室内平面図である。
図9図9は、連結材3を装着したブラケット1とレール2の固定方法、及び、連結方法の説明図である。
図10図10は、ブラケットカバー4Aを、ブラケット1及び柱材6に取り付けた状態を示す図である。
図11図11は、壁材5と柱材6の接合状態を示す断面図である。
図12図12は、レール2の両側縁部21の間のスペースに壁材5の下側端縁を進入させた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に沿って本発明「間仕切り壁ユニット」の実施形態について説明する。本発明に係る間仕切り壁ユニットは、柱材及び壁材のほか、柱材を固定するために床面及び天井面に配置されるブラケット、壁材を固定するために床面及び天井面に配置されるレール、ブラケットとレールを連結するための連結材、柱材をブラケットに対して固定するためのブラケットカバー等によって構成されている。
【0016】
図1は、ブラケット1の斜視図及び断面図である。図示されているように、このブラケット1は、基本形状が直方体のプラスチック製のブロックであり、平面形状が正方形(70mm角)で、所定の高さ寸法(約20mm)を有し、柱材の下端面又は上端面と当接する表面17と、床面又は天井面と当接する裏面18と、複数(本実施形態においては四つ)の垂直な側面13とを有している。
【0017】
ブラケット1の中央の底部には、図1(2)に示すように、固定用の(ブラケット1を床面又は天井面に固定するための)ビスを挿通させるビス孔11(直径5mm)が形成されており、このビス孔11の上方には、ビス孔11(及び、ビスの頭部)よりも直径が大きい深座ぐり12(直径15mm)が形成されている。
【0018】
ブラケット1の四つの側面13には、ビスを打ち込むための下孔14が形成されている。また、ブラケット1の下部には、四つの凹部15が形成されている。これらの凹部15は、外側から各側面13と直交する方向へ連結材を進入させて装着できるような形状となっており、また、各凹部15の天面には、ビスを打ち込むための下孔16が形成されている。
【0019】
図2は、レール2の端部付近の斜視図である。このレール2は、金属材料(例えば、アルミ又はアルマイト等の軽金属)を型から押し出して樋状に成形したもの(断面が一様な押出成形品)であり、所定間隔(本実施形態においては70mm)を置いて平行に延在する二枚の垂直な側縁部21と、それらの間の底部22とによって構成されている。これらのうち底部22は、段状に構成されている。より具体的には、底部22は、中央の下段部23(床面又は天井面と当接又は近接する)と、下段部23の両側の二つの中段部24と、各中段部24と各側縁部21との間の二つの上段部25(壁材の下端面又は上端面と当接或いは近接する)とによって構成されている。
【0020】
本実施形態においては、下段部23の裏面(図2における下側の面)は、側縁部21における下段部23側の端縁27と面一となるように構成されている。そしてレール2は、下段部23及び側縁部21の端縁27が設置面側となる向きで(床面に固定される場合、図2に示すように、下段部23が最下段となり、上段部25が最上段となる向きで)固定される。従って下段部23は、側縁部21の下段部23側の端縁27とともに、設置面(床面又は天井面)に対して当接することになるが、設置面と近接するように(下段部23と設置面との間に隙間が形成されるように)構成してもよい。
【0021】
各中段部24と設置面との間には、所定の高さの隙間が形成される。また、上段部25の高さ寸法(設置面から上段部25の上面までの寸法)は、ブラケット1の高さ以上の寸法(ブラケット1の高さと同じ寸法、又は、ブラケット1の高さよりも大きい寸法)となっている。
【0022】
また、中段部24の端部(レール2の長手方向の端部)の近傍位置には、ビスを挿通させるためのビス孔26が形成されている。下段部23の中央部(レール2の長手方向の中央部)にも、ビス孔(図示せず)が形成されている。
【0023】
図3は、連結材3の斜視図である。この連結材3は、基端部31と、先端部32とによって構成されている。基端部31は、図1(3)に示すブラケット1の凹部15の形状に対応し、凹部15内に装着可能な形状を有し、先端部32は、図2に示すレール2の下段部23及び中段部24の形状に対応し、下段部23と中段部24の段差部分(より具体的には下段部23の両側)に装着可能な形状を有している。尚、先端部32を、左右の中段部24の間の位置に装着可能な形状とすることもできる。
【0024】
連結材3の基端部31には、ビス孔33が形成されている。このビス孔33は、図4(1)に示すように、連結材3をブラケット1の凹部15内の適正な位置に装着した際に、ブラケット1の下孔16と重なる位置に形成されている。従って、図示しないビスを下方側からビス孔33及び下孔16内に差し込み、ビスの先端部をブラケット1内に打ち込むことにより、ブラケット1に対し連結材3をしっかりと固定することができる。
【0025】
また、図3に示すように、連結材3の先端部32には、ビス孔34がそれぞれ形成されている。これらのビス孔34は、図4(2)に示すように、連結材3をレール2の下段部23の両側の適正な位置に装着した際に、レール2の端部に形成されているビス孔26と重なる位置にそれぞれ形成されている。従って、図示しないビスを、例えば上方側からレール2のビス孔26及び連結材3のビス孔34内に差し込み、ビスの先端部を床材に打ち込むことにより、レール2に対し連結材3を固定できるとともに、それらを床材に対してしっかりと固定することができる。
【0026】
図5は、ブラケットカバー4(4A,4B)の斜視図である。ブラケットカバー4Aは、L字形に屈曲させた金属製板材の各面の上半部及び下半部に、複数個のビス孔41をそれぞれ形成してなるものであり、ブラケットカバー4Bは、平板状の金属製板材の上半部及び下半部に複数個のビス孔41をそれぞれ形成してなるものである。
【0027】
図6は、壁材5の側方端部54付近の水平断面図である。この壁材5は、ポリスチレンフォーム(EPS、XPS)等の基材51の両側面に木質ボード52(MDF、合板、化粧合板、天然木板等)を貼り付けることによって構成されている。また、壁材5の側方端部54には、厚さ方向の中間位置において、上端から下端まで延在する溝53がそれぞれ形成されている。尚、壁材5の上側端縁及び下側端縁(及び、それらの中間の部分)の厚さ寸法は、レール2の二つの側縁部21(図2参照)の間隔寸法よりも僅かに小さい寸法に設定されている。
【0028】
従って、上下一対のレール2が、床面及び天井面の適正位置にそれぞれ固定されている場合、壁材5の上側端縁及び下側端縁を、各レール2の二つの側縁部21の間のスペースにそれぞれ進入させることができる。尚、床面上に固定されているレール2の両側縁部21の間のスペースに壁材5の下側端縁を進入させた場合、図12に示すように、壁材5は、レール2の上段部25の上に支持されることになり、壁材5の下側面とレール2の下段部23及び中段部24との間に、空間Sが形成されることになる。この空間Sは、電源コードや信号ケーブル等の配線スペースとして利用することができ、その結果、壁材5に電源コンセント、壁面端子、スイッチボックス等を配置することが可能となる。
【0029】
図7は、柱材6の水平断面図である。柱材6の側面にも、壁材5の側方端部54に形成されている溝53(図6参照)と同様に、幅方向(厚さ方向)の中間位置において、上端から下端まで延在する溝61が形成されている。図7の例では、溝61は、隣接する二つの側面に形成されているが、隣接しない二つの側面(一つの側面とその反対側の側面)、一つの側面、三つの側面、又は、四つの側面に形成することもできる。
【0030】
尚、柱材6は、上端面、下端面、及び、水平断面の形状及び寸法が、ブラケット1の平面形状及び寸法と同様に、70mm角の正方形となっている。このため、柱材6の四つの側面が、ブラケット1(図1図7参照)の四つの側面とそれぞれ面一となるように、ブラケット1に対して柱材6を接合させることができる。
【0031】
本発明に係る間仕切り壁ユニットを用いると、様々な形状の間仕切り壁を簡単に形成することができる。例えば、図8において破線で示す位置(室内を二分割する位置)に、二つの角部C1,C2を含むクランク形状の間仕切り壁を形成しようとする場合、まず床面上において、角部C1,C2の位置に、図1に示すブラケット1をそれぞれ配置するとともに、角部C1と既設壁部W1との間の直線部L1の位置、角部C1と角部C2との間の直線部L2の位置、及び、角部C2と既設壁部W2との間の直線部L3の位置に、図2に示すレール2をそれぞれ配置する。
【0032】
尚、図9に示すように、ブラケット1には、予め二つの連結材3を、90°異なる方向へ突出するように装着し、それぞれビスで固定しておき、これを図8に示す角部C1の位置に配置し、更に、ブラケット1のビス孔11(図1(2)参照)に通したビスを床材内へ打ち込んで、ブラケット1を床面上に固定する。角部C2においても同様に、二つの連結材3を固定した状態のブラケット1を配置して、ビスで床面上に固定する。
【0033】
そして、図9に示す破線の位置にレール2を配置して、ブラケット1から突出する連結材3とレール2の端部とを連結させ、上下に重なるビス孔26,34にビスを通し、これを床材内へ打ち込み、更に、レール2の中央部のビス孔(図示せず)からもビスを打ち込んで、レール2を床面上に固定する。
【0034】
また、天井面に対しても、床面上の各ブラケット1及び各レール2と対応する位置(真上の位置)に、ブラケット1とレール2を、連結材3及びビスを使用して、同様の手順で(但し、図9に示す床面上のブラケット1及びレール2とは、天地が逆となる向きで)固定する。尚、これらの取付作業は、まず天井面に対して行い、次いで床面に対して行うようにしてもよく、また、それらを並行して行ってもよい。
【0035】
次に、図8に示す直線部L1,L2,L3の各位置(床面及び天井面にそれぞれ固定された上下一対のレール2の間)に、壁材5(図6参照)をそれぞれ配置する。尚、壁材5は、上下のレール2の間隔寸法に適合した高さ寸法(より詳細には、それらのレール2の上段部25(図2参照)同士の間隔寸法よりも小さく、それらの側縁部21同士の間隔寸法よりも大きい寸法)となるように製作又は調整される。
【0036】
図8に示す直線部L1(既設壁部W1と角部C1との間)の壁材5は、上下のレール2における角部C1側の端部に、壁材5の上側端部及び下側端部の位置をそれぞれ合わせ、角部C1側から既設壁部W1側へ向かって(図8に示す矢印の方向へ)スライドさせて挿入することによって配置することができる。尚、角部C1の位置には、ブラケット1が配置されているが、壁材5が支持されるレール2の上段部25の高さ寸法は、上述した通り、ブラケット1の高さ以上の寸法となっているため、角部C1にブラケット1が存在していても、壁材5を直線部L1に配置しようとするうえで、何ら障害とはならず、問題なく壁材5をスライド挿入させることができる。
【0037】
これと同様に、直線部L3(既設壁部W2と角部C2との間)の壁材5は、角部C2側から既設壁部W2側へ向かってスライド挿入させることによって配置することができる。また、直線部L2(隣接する二つの角部C1,C2の間)においては、角部C1側から角部C2側へ向かって、或いは、その反対方向へスライド挿入させることにより、壁材5を配置することができる。
【0038】
そして、図8に示す角部C1,C2の各位置(床面及び天井面にそれぞれ固定された上下一対のブラケット1の間)に、柱材6(図7参照)をそれぞれ配置する。尚、柱材6は、上下のブラケット1の間隔寸法と等しい(或いは、わずかに小さい)寸法となるように製作又は調整される。
【0039】
柱材6を配置したら、図5に示すようなブラケットカバー4を取り付けて、柱材6をブラケット1に対して固定する。例えば、図10に示すように、床面上に固定されているブラケット1の側面(レール2が連結されていない二つの側面)と柱材6の下端部の側面に、それらの接合部を外側から覆うように、L字形のブラケットカバー4Aを取り付け、更に、図示しないビスを、ブラケット1側(図10において下段側)のビス孔41及びブラケット1の側面の下孔14に差し込み、ブラケット1内へ打ち込むとともに、柱材6側(図10において上段側)のビス孔41から柱材6内へビスを打ち込んで、柱材6とブラケット1とを連結する。
【0040】
天井面に固定されているブラケット1と、柱材6の上端部に対しても、同様にブラケットカバー4を取り付けて、柱材6をブラケット1に対して固定する。尚、図10の例では、柱材6を固定するためにL字形のブラケットカバー4Aを使用しているが、状況に応じて、図5(2)に示すような、平板状のブラケットカバー4Bを用いることもできる。
【0041】
柱材6と壁材5との間には、図11に示すように、溝53,61を利用して(それらの溝53,61の内側に)雇い実7を配置する。これにより、柱材6と壁材5とを隙間なく確実に接合することができる。また、複数枚の壁材5を直列的に接合する場合(例えば、図8に示す直線部L1に、二枚の壁材5を長手方向へ連なるように配置して、側方端部54同士を接合する場合)にも、それらの接合部の溝53(図6参照)内に雇い実7(図11参照)を配置することにより、隣接する壁材5同士を隙間なく確実に接合することができる。
【0042】
尚、図8には、二つの角部C1,C2を含むクランク形状の間仕切り壁を形成する例が示されているが、本発明に係る間仕切り壁ユニットは、一つの角部のみを含む間仕切り壁や、三つ以上の角部を有する複雑な形状の間仕切り壁であっても、問題なく簡単に形成することができる。
【0043】
また、上記のような方法によって形成した間仕切り壁は、上述の順番とは反対の順番で、ビスを抜いて構成部品を取り外していくことにより、簡単に撤去することができ、また、ビス穴を埋めるという簡単な補修作業のみで、室内を元の状態に復帰させることができる。
【符号の説明】
【0044】
1:ブラケット、
11:ビス孔、
12:深座ぐり、
13:側面、
14:下孔、
15:凹部、
16:下孔、
17:表面、
18:裏面、
2:レール、
21:側縁部、
22:底部、
23:下段部、
24:中段部、
25:上段部、
26:ビス孔、
27:端縁、
3:連結材、
31:基端部、
32:先端部、
33,34:ビス孔、
4,4A,4B:ブラケットカバー、
41:ビス孔、
5:壁材、
51:基材、
52:木質ボード、
53:溝、
54:側方端部、
6:柱材、
61:溝、
7:雇い実、
L1~L3:直線部、
C1,C2:角部、
W1,W2:既設壁部、
S:空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12