(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042730
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】超音波検査装置、超音波検査システム、及び超音波検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/265 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
G01N29/265
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150014
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】320005154
【氏名又は名称】日本製鋼所M&E株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】宇川 祐丞
(72)【発明者】
【氏名】松井 貴志
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AB01
2G047BC09
2G047BC18
2G047DB18
2G047GA03
2G047GB18
2G047GF06
2G047GF16
2G047GJ11
(57)【要約】
【課題】配管のテーパー部の検査に好適な超音波検査装置を提供すること。
【解決手段】一実施形態に係る超音波検査装置は、テーパー部の内周面に対向する外周面を有する円錐台状の基部と、基部の外周面上において、基部の長手方向に沿って延設されると共に、基部の円周方向に沿って並設された複数の超音波振動子と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内径が徐々に変化するテーパー部を有する配管の内部に挿入され、前記テーパー部に超音波を照射して前記テーパー部を検査する超音波検査装置であって、
前記テーパー部の内周面に対向する外周面を有する円錐台状の基部と、
前記基部の外周面上において、前記基部の長手方向に沿って延設されると共に、前記基部の円周方向に沿って並設された複数の超音波振動子と、
前記基部を前記テーパー部の軸中心に支持しつつ、前記テーパー部の軸方向に沿って移動可能な調芯機構と、を備えた、
超音波検査装置。
【請求項2】
前記基部は第1基部であり、前記複数の超音波振動子は複数の第1超音波振動子であって、
前記第1基部の一端に連結された円柱状の第2基部と、
前記第2基部の外周面上において、前記第2基部の長手方向に沿って延設されると共に、前記第2基部の円周方向に沿って並設された複数の第2超音波振動子と、をさらに備えた、
請求項1に記載の超音波検査装置。
【請求項3】
前記調芯機構は、
シャフトと、
前記シャフトの円周方向に沿って等間隔に設けられた複数本のアームと、を備え、
前記複数本のアームのそれぞれの一端は、前記シャフトの外周面に対し、前記シャフトの円周方向に回動可能に連結されており、
前記複数本のアームのそれぞれの他端は、前記テーパー部の内周面に当接するように付勢されている、
請求項1に記載の超音波検査装置。
【請求項4】
前記テーパー部の内周面に当接する前記複数本のアームのそれぞれの他端に、車輪が設けられている、
請求項3に記載の超音波検査装置。
【請求項5】
内径が徐々に変化するテーパー部を有する配管の内部に挿入され、前記テーパー部に超音波を照射して前記テーパー部を検査する超音波検査装置と、
前記超音波検査装置に接続された選択回路と、
前記選択回路を介して、超音波を発生させる第1パルス信号を前記超音波検査装置に送信すると共に、前記テーパー部によって反射した超音波を受信した前記超音波検査装置が発信する第2パルス信号を受信するパルサーレシーバと、を備え、
前記超音波検査装置は、
前記テーパー部の内周面に対向する外周面を有する円錐台状の基部と、
前記基部の外周面上において、前記基部の長手方向に沿って延設されると共に、前記基部の円周方向に沿って並設された複数の超音波振動子と、
前記基部を前記テーパー部の軸中心に支持しつつ、前記テーパー部の軸方向に沿って移動可能な調芯機構と、を備え、
前記複数の超音波振動子のそれぞれは、前記選択回路の各チャネルに接続されており、
前記超音波検査装置が前記テーパー部の長手方向に沿って移動しつつ、前記選択回路によって選択された前記複数の超音波振動子のそれぞれから前記テーパー部に超音波を順次照射する、
超音波検査システム。
【請求項6】
前記基部は第1基部であり、前記複数の超音波振動子は複数の第1超音波振動子であって、
前記超音波検査装置は、
前記第1基部の一端に連結された円柱状の第2基部と、
前記第2基部の外周面上において、前記第2基部の長手方向に沿って延設されると共に、前記第2基部の円周方向に沿って並設された複数の第2超音波振動子と、をさらに備え、
前記複数の第1超音波振動子及び前記複数の第2超音波振動子のそれぞれは、前記選択回路の各チャネルに接続されている、
請求項5に記載の超音波検査システム。
【請求項7】
前記基部は第1基部であり、前記複数の超音波振動子は複数の第1超音波振動子であって、
前記超音波検査装置は、
前記第1基部の一端に連結された円柱状の第2基部と、
前記第2基部の外周面上において、前記第2基部の長手方向に沿って延設されると共に、前記第2基部の円周方向に沿って並設された複数の第2超音波振動子と、をさらに備え、
前記複数の第1超音波振動子のそれぞれと、前記複数の第2超音波振動子のそれぞれとが、前記選択回路の各チャネルに対して並列に接続されている、
請求項5に記載の超音波検査システム。
【請求項8】
前記調芯機構は、
シャフトと、
前記シャフトの円周方向に沿って等間隔に設けられた複数本のアームと、を備え、
前記複数本のアームのそれぞれの一端は、前記シャフトの外周面に対し、前記シャフトの円周方向に回動可能に連結されており、
前記複数本のアームのそれぞれの他端は、前記テーパー部の内周面に当接するように付勢されている、
請求項5に記載の超音波検査システム。
【請求項9】
前記テーパー部の内周面に当接する前記複数本のアームのそれぞれの他端に、車輪が設けられている、
請求項8に記載の超音波検査システム。
【請求項10】
(a)内径が徐々に変化するテーパー部を有する配管の内部に超音波検査装置を挿入する工程と、
(b)前記超音波検査装置から前記テーパー部に超音波を照射して前記テーパー部を検査する工程と、を備えた超音波検査方法であって、
前記超音波検査装置は、
前記テーパー部の内周面に対向する外周面を有する円錐台状の基部と、
前記基部の外周面上において、前記基部の長手方向に沿って延設されると共に、前記基部の円周方向に沿って並設された複数の超音波振動子と、
前記基部を前記テーパー部の軸中心に支持しつつ、前記テーパー部の長手方向に沿って移動可能な調芯機構と、を備えており、
工程(b)において、
前記超音波検査装置が前記テーパー部の長手方向に沿って移動しつつ、前記複数の超音波振動子のそれぞれから前記テーパー部に超音波を順次照射する、
超音波検査方法。
【請求項11】
(c)前記超音波検査装置から前記配管において内径が一定の定径部に超音波を照射して当該定径部を検査する工程をさらに備え、
前記超音波検査装置において、前記基部は第1基部であり、前記複数の超音波振動子は複数の第1超音波振動子であって、
前記超音波検査装置は、
前記第1基部の一端に連結された円柱状の第2基部と、
前記第2基部の外周面上において、前記第2基部の長手方向に沿って延設されると共に、前記第2基部の円周方向に沿って並設された複数の第2超音波振動子と、をさらに備えており、
工程(c)において、
前記超音波検査装置が前記定径部の長手方向に沿って移動しつつ、前記複数の第2超音波振動子のそれぞれから前記定径部に超音波を順次照射する、
請求項10に記載の超音波検査方法。
【請求項12】
前記調芯機構は、
シャフトと、
前記シャフトの円周方向に沿って等間隔に設けられた複数本のアームと、を備え、
前記複数本のアームのそれぞれの一端は、前記シャフトの外周面に対し、前記シャフトの円周方向に回動可能に連結されており、
前記複数本のアームのそれぞれの他端は、前記テーパー部の内周面に当接するように付勢されている、
請求項10に記載の超音波検査方法。
【請求項13】
前記テーパー部の内周面に当接する前記複数本のアームのそれぞれの他端に、車輪が設けられている、
請求項12に記載の超音波検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波検査装置、超音波検査システム、及び超音波検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に開示されているように、例えばボイラ等の配管の肉厚測定や内部探傷等の検査に超音波検査装置が用いられる。特許文献1では、配管の内部に超音波検査装置を挿入し、超音波検査装置から配管に超音波を照射して配管を検査している。特許文献1に開示されているように、配管には内径が徐々に変化するテーパー部も含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-004603号公報
【特許文献2】特開2004-020333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、配管の内部に挿入され、配管のテーパー部に超音波を照射して当該テーパー部を検査する超音波検査装置の開発に際し、様々な課題を見出した。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る超音波検査装置は、テーパー部の内周面に対向する外周面を有する円錐台状の基部と、基部の外周面上において、基部の長手方向に沿って延設されると共に、基部の円周方向に沿って並設された複数の超音波振動子と、を備えている。
【発明の効果】
【0006】
前記一実施形態によれば、配管のテーパー部の検査に好適な超音波検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る超音波検査装置を用いた超音波検査システムの構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る超音波検査装置の構成を模式的に示す側面図である。
【
図3】超音波を発信すると共に反射波を受信する超音波振動子12が切り換わる様子を示す超音波検査装置10の模式断面図である。
【
図6】配管の内径が変化した際の調芯機構13aの動作を示す正面図である。
【
図7】配管の内径が変化した際の調芯機構13aの動作を示す正面図である。
【
図8】配管の内径が変化した際の調芯機構13aの動作を示す正面図である。
【
図9】比較例1に係る超音波検査装置を模式的に示す側面図である。
【
図10】比較例1に係る超音波検査装置を模式的に示す側面図である。
【
図11】比較例1に係る超音波検査装置を模式的に示す側面図である。
【
図12】比較例2に係る超音波検査装置を模式的に示す側面図である。
【
図13】第1の実施形態に係る超音波検査装置による検査対象の一例である水管ボイラの正面図である。
【
図14】第2の実施形態に係る超音波検査装置を模式的に示す側面図である。
【
図15】第2の実施形態に係る超音波検査装置を模式的に示す側面図である。
【
図16】第2の実施形態に係る超音波検査装置を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。
【0009】
(第1の実施形態)
<超音波検査システムの構成>
まず、
図1を参照して、第1の実施形態に係る超音波検査装置を用いた超音波検査システムの構成の一例について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る超音波検査装置を用いた超音波検査システムの構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図1に示す超音波検査システムは、本実施形態に係る超音波検査装置10に加え、マルチプレクサMUX、超音波パルサーレシーバUPR、選択制御部SC、及び波形表示装置OSCを備えている。
【0010】
超音波検査装置10は、配管の内部に挿入され、配管のテーパー部に超音波を照射して当該テーパー部を検査する。
図1には、超音波検査装置10の側面図が模式的に示されている。
図1に示すように、超音波検査装置10は、基部11及び複数の超音波振動子12を備える。
【0011】
基部11は、テーパー部の内周面に対向する外周面を有する円錐台状の部材である。
超音波振動子12は、基部11の外周面上において、基部11の長手方向に沿って延設されると共に、基部11の円周方向に沿って並設されている。各超音波振動子12が、マルチチャネルケーブルMCCの各チャネルに対応する。
超音波検査装置10の詳細については後述する。
【0012】
超音波検査装置10は、マルチチャネルケーブルMCCを介して、マルチプレクサMUXに接続されている。マルチチャネルケーブルMCCは、各超音波振動子12に接続された複数の配線が束ねられたケーブルであって、例えば同軸ケーブルである。
図1に示す例では、超音波検査装置10が配管内を移動する際、マルチチャネルケーブルMCCが配管内を引き回される。
【0013】
マルチプレクサMUXは、マルチチャネルケーブルMCCを介して、超音波検査装置10に接続されると共に、シングルチャネルケーブルSCCを介して、超音波パルサーレシーバUPRに接続されている。マルチプレクサMUXは、選択制御部SCから出力された選択制御信号selに基づいて、マルチチャネルケーブルMCCの1つのチャネルを選択する選択回路である。
【0014】
なお、マルチチャネルケーブルMCCは必須ではなく、マルチチャネルケーブルMCCを介さずに、マルチプレクサMUXの各チャネルが超音波検査装置10の各超音波振動子12に直接接続されてもよい。この場合、超音波検査装置10と共にマルチプレクサMUXも配管内を移動する。配管内を引き回すケーブルとして、マルチチャネルケーブルMCCよりも細いケーブルを利用できる。
【0015】
図1に示すように、超音波パルサーレシーバ(超音波送受信機)UPRは、送信パルス(第1パルス信号)tpを送信すると共に、受信パルス(第2パルス信号)rpを受信する。超音波パルサーレシーバUPRから送信された送信パルスtpは、マルチプレクサMUX及びマルチチャネルケーブルMCCを介して、超音波検査装置10の超音波振動子12に到達する。すなわち、送信パルスtpは、マルチプレクサMUXによって選択された超音波振動子12に到達し、当該超音波振動子12が超音波を発信する。超音波振動子12から発信された超音波は、配管の内周面及び外周面によって反射する。
【0016】
さらに、マルチプレクサMUXによって選択された(すなわち超音波を発信した)超音波振動子12は、配管によって反射した超音波を受信することによって、電気信号である受信パルスrpを発信する。当該受信パルスrpは、マルチチャネルケーブルMCC、マルチプレクサMUX、及びシングルチャネルケーブルSCCを介して、超音波パルサーレシーバUPRによって受信される。
【0017】
選択制御部SCは、マルチプレクサMUXに対し、選択制御信号selを出力する。上述の通り、マルチプレクサMUXは、選択制御部SCから出力された選択制御信号selに基づいて、マルチチャネルケーブルMCCの1つのチャネルを選択する。
図1に示すように、選択制御部SCは、例えば超音波パルサーレシーバUPRから出力された送信パルスtpに基づいて、選択制御信号selを生成する。そのため、超音波パルサーレシーバUPRから送信パルスtpが出力される度に、マルチチャネルケーブルMCCにおいて選択されるチャネルが切り換わり、超音波を発信すると共に受信する超音波振動子12が切り換わる。
【0018】
波形表示装置OSCは、超音波パルサーレシーバUPRから受信パルスrpを受信し、当該受信パルスrpの波形を表示する。波形表示装置OSCは、例えばオシロスコープである。波形表示装置OSCには、例えば、検査対象である配管の内周面及び外周面によって反射した超音波に基づく2つの受信パルスrpの波形が表示される。波形表示装置OSCに表示された当該2つの受信パルスrpの波形から配管の肉厚を測定できる。その結果、例えば腐食や摩耗による配管の減肉を検出できる。
【0019】
<超音波検査装置の構成>
次に、
図2を参照して、第1の実施形態に係る超音波検査装置の構成の一例について詳細に説明する。
図2は、第1の実施形態に係る超音波検査装置の構成を模式的に示す側面図である。
なお、
図2及びその他の図面に示した右手系xyz直交座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものであって、図面間で共通である。
【0020】
図2に示すように、本実施形態に係る超音波検査装置10は、基部11、複数の超音波振動子12、及び調芯機構13a、13bを備える。ここで、
図2には、検査対象である配管の断面図が示されている。
図2に示す配管は、小径部と大径部とを接続するテーパー部を有している。本実施形態に係る超音波検査装置10は、配管のテーパー部を検査するための装置である。
【0021】
基部11は、配管のテーパー部の内周面に対向する外周面を有する円錐台状の部材である。ここで、基部11の中心軸に対する外周面の傾斜角と、テーパー部の中心軸に対する内周面の傾斜角とが、略等しいことが好ましいが、ある程度のズレは許容される。また、円錐台状の基部11の外周面はある程度湾曲していてもよい。例えば、基部11の外周面は、内側に窪むように湾曲していてもよい。
基部11は、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。基部11は、超音波振動子12を支持できれば、中実状である必要はなく、中空状(筒状を含む)であってもよい。
【0022】
超音波振動子12は、基部11の外周面上において、基部11の長手方向に沿って延設されると共に、基部11の円周方向に沿って並設されている。各超音波振動子12は、マルチチャネルケーブルMCCを構成する配線に接続されている。すなわち、各超音波振動子12が、マルチチャネルケーブルMCCの各チャネルに対応する。例えば、超音波振動子12が60本であれば、60チャネルのマルチチャネルケーブルMCCが用いられる。
なお、当然のことながら、超音波振動子12の本数すなわちチャネル数は、適宜決定される。また、超音波振動子12と基部11との間には、超音波のパルス幅を小さくするための吸音材層が設けられていてもよい。
【0023】
上述の通り、
図1に示した超音波パルサーレシーバUPRから送信された送信パルスtpは、マルチチャネルケーブルMCCを介して、マルチプレクサMUXによって選択された超音波振動子12に到達する。当該超音波振動子12は、電気信号である送信パルスtpに基づいて、超音波UWを発信する。さらに、当該超音波振動子12は、配管によって反射した超音波UWを受信することによって、電気信号である受信パルスrpを発信する。
【0024】
ここで、
図3は、超音波UWを発信すると共に受信する超音波振動子12が切り換わる様子を示す超音波検査装置10の模式断面図である。
図3に示すように、マルチチャネルケーブルMCCにおいて選択されるチャネルが切り換わる度に、超音波UWを発信すると共に受信する超音波振動子12が、基部11の円周方向に沿って順次切り換わる。
図3に示すように、全ての超音波振動子12が超音波UWを発信すると共に受信することによって、配管を全周に亘って検査できる。例えば、200周/秒程度の速度で検査できる。
【0025】
調芯機構13a、13bは、基部11の軸方向両端に設けられている。具体的には、基部11のx軸正方向側端部に調芯機構13aが設けられており、基部11のx軸負方向側端部に調芯機構13bが設けられている。調芯機構13a、13bは、基部11をテーパー部の軸中心に支持しつつ、テーパー部の軸方向に沿って移動できる。すなわち、調芯機構13a、13bによって、基部11をテーパー部の軸中心に支持すると共に、テーパー部の軸方向に沿って移動しつつ、超音波検査装置10はテーパー部の全体を検査する。つまり、基部11の中心軸とテーパー部の中心軸とは、略一致している。
【0026】
<調芯機構の詳細な構成>
ここで、
図4、
図5を参照して、一方の調芯機構13aの詳細な構成について説明する。
図4は、調芯機構13aの正面図である。
図5は、調芯機構13aの側面図である。他方の調芯機構13bの構成も調芯機構13aと同様であるため、調芯機構13aのみについて説明する。
【0027】
図4、
図5に示すように、調芯機構13aは、筒状シャフト31、円板部材32、連結リンク33、アーム34、車輪35、及び捩りばねSPを備えている。ここで、
図4に示すように、連結リンク33、アーム34、車輪35は、3個ずつ設けられている。
なお、捩りばねSPは、
図5のみに示されている。また、
図4、
図5では、理解を容易にするため、筒状シャフト31をドット表示している。
【0028】
筒状シャフト31は、円筒状のシャフトであって、調芯機構13aの軸を構成する。筒状シャフト31の内部に基部11が回転可能に嵌入される。すなわち、例えばベアリングもしくはブッシュ(不図示)を介して、筒状シャフト31によって基部11が回転可能に支持される。筒状シャフト31の外周面には、径方向外側に向かって突出した突出部31aが形成されている。
図4に示すように、突出部31aは、筒状シャフト31の周方向に沿って等間隔に3個設けられている。
【0029】
なお、筒状シャフト31と基部11とが回転可能である必要はない。例えば、車輪35が全方位に移動可能な車輪であれば、筒状シャフト31と基部11とが固定されていてもよい。あるいは、車輪35の全体もしくは表面を滑り抵抗の小さい材質(例えばフッ素樹脂)から構成すれば、筒状シャフト31と基部11とが固定されていてもよい。
【0030】
円板部材32は、中心部に貫通孔を有する環状の円板部材である。円板部材32の貫通孔には、筒状シャフト31が回動可能に嵌入されている。換言すると、
図4に示すように、筒状シャフト31と円板部材32とは、筒状シャフト31から構成されるジョイントJ1を回転軸として、互いに回動可能に配置されている。また、
図5に示すように、円板部材32の前面(x軸負方向側の主面)は、筒状シャフト31の突出部31aの背面(x軸正方向側の面)に当接している。
【0031】
ここで、
図5に示すように、円板部材32の背面(x軸正方向側の主面)から突出した筒状シャフト31が捩りばねSPに挿通されている。換言すると、円板部材32の背面から突出した筒状シャフト31の外周面を覆うように、捩りばねSPが設けられている。捩りばねSPの一端(x軸正方向側端部)は筒状シャフト31の外周面に固定されており、捩りばねSPの他端(x軸負方向側端部)は円板部材32の背面に固定されている。
【0032】
すなわち、筒状シャフト31と円板部材32とが、捩りばねSPを介して、連結されている。捩りばねSPは、詳細には後述するアーム34の先端部が、筒状シャフト31の径方向外側に張り出すように、筒状シャフト31と円板部材32とを互いに回転させる回転力を付与する。
【0033】
図4に示すように、連結リンク33は、円板部材32とアーム34とを連結するリンク部材である。連結リンク33の一端は、例えばピンから構成されるジョイントJ2を回転軸として、円板部材32の外縁部に回動可能に連結されている。連結リンク33及びジョイントJ2は、円板部材32の周方向に沿って等間隔に3個ずつ設けられている。他方、連結リンク33の他端は、例えばピンから構成されるジョイントJ3を回転軸として、アーム34の中程に回動可能に連結されている。
図5に示すように、連結リンク33は、x軸方向においては、筒状シャフト31の突出部31aと同様に、円板部材32とアーム34との間に設けられている。
【0034】
図4に示すように、アーム34は円弧状のリンク部材である。アーム34の根元部は、例えばピンから構成されるジョイントJ4を回転軸として、筒状シャフト31の突出部31aに回動可能に連結されている。また、アーム34の先端部には、配管の内周面に当接する車輪35が設けられている。車輪35によって、超音波検査装置10が、配管の軸方向に容易に移動できる。
図5に示すように、アーム34は、x軸方向においては、連結リンク33及び筒状シャフト31の突出部31aを介して、円板部材32と対向配置されている。
【0035】
図4に示すように、筒状シャフト31の突出部31a、円板部材32、連結リンク33、及びアーム34のそれぞれは、4節リンクを構成するリンクに該当する。この4節リンクは、筒状シャフト31と円板部材32とのジョイントJ1を固定端とするパンタグラフ形式のリンク機構である。
なお、アーム34は3本に限定されず、複数本であればよい。
【0036】
<調芯機構の動作>
ここで、
図6~
図8を参照して、配管の内径が変化した際の調芯機構13aの動作について説明する。
図6~
図8は、配管の内径が変化した際の調芯機構13aの動作を示す正面図である。具体的には、
図6は、小径部における調芯機構13aの状態を示す。
図7は、テーパー部における調芯機構13aの状態を示す。
図8は、大径部における調芯機構13aの状態を示す。テーパー部では、
図6に示す小径部における調芯機構13aの状態から
図8に示す大径部における調芯機構13aの状態に向かって徐々に変化する。他方の調芯機構13bの動作も調芯機構13aと同様である。
【0037】
図6~
図8の順に、調芯機構13aが、小径部からテーパー部を介して大径部に移動する場合について考える。この場合、円板部材32に固定されたジョイントJ2と筒状シャフト31の突出部31aに固定されたジョイントJ4とが互いに接近するように、円板部材32と筒状シャフト31とが互いに回転する。その結果、ジョイントJ3が筒状シャフト31の径方向外側に移動し、アーム34の先端部(すなわち車輪35)が筒状シャフト31から離間するように移動する。
図8において、ジョイントJ2とジョイントJ4とが最も接近し、アーム34の先端部(すなわち車輪35)が筒状シャフト31から最も離間している。
【0038】
図6~
図8の逆順に、調芯機構13aが、大径部からテーパー部を介して小径部に移動する場合について考える。この場合、円板部材32に固定されたジョイントJ2と筒状シャフト31の突出部31aに固定されたジョイントJ4とが互いに離間するように、円板部材32と筒状シャフト31とが互いに回転する。その結果、ジョイントJ3が筒状シャフト31の径方向内側に移動し、アーム34の先端部(すなわち車輪35)が筒状シャフト31に接近するように移動する。
図6において、ジョイントJ2とジョイントJ4とが最も離間し、アーム34の先端部(すなわち車輪35)が筒状シャフト31に最も接近している。
【0039】
上述の通り、車輪35が常に配管の内周面に当接するように、筒状シャフト31と円板部材32とを互いに回転させる回転力が、捩りばねSPによって付与されている。すなわち、
図6~
図8に示すように、車輪35は常に配管の内周面に押し付けられており、配管の周方向における車輪35の位置はあまり変化しない。従って、
図6~
図8に示す動作においては、ジョイントJ2、J4が互いに接近もしくは離間するように、円板部材32と筒状シャフト31とが回転する。
【0040】
<比較例1に係る超音波検査装置の構成>
次に、
図9~
図11を参照して、発明者が事前に検討した比較例1に係る超音波検査装置について説明する。
図9~
図11は、比較例1に係る超音波検査装置を模式的に示す側面図である。
図9~
図11は、
図2に対応する。
なお、比較例1に係る超音波検査装置100を用いた超音波検査システムは、
図1と同様の構成である。
【0041】
図9~
図11に示すように、比較例1に係る超音波検査装置100は、基部110、複数の超音波振動子120、及び調芯機構130a、130bを備える。ここで、
図9~
図11には、検査対象である配管の断面図が示されている。
図9~
図11に示す配管は、小径部と大径部とを接続するテーパー部を有している。比較例に係る超音波検査装置100は、内径が一定である配管の小径部及び大径部すなわち定径部を検査するための装置である。後述するように、比較例1に係る超音波検査装置100は、配管のテーパー部を検査できない。
【0042】
図2に示す本実施形態に係る超音波検査装置10では、基部11は、テーパー部の内周面に対向する外周面を有する円錐台状の部材である。これに対し、
図9~
図11に示す比較例1に係る超音波検査装置100では、基部110が、小径部及び大径部の内周面に対向する外周面を有する円柱状の部材である。
基部110は、基部11と同様に、例えば絶縁性を有する樹脂からなる。基部110は、超音波振動子120を支持できれば、中実状である必要はなく、中空状(筒状を含む)でもよい。
【0043】
超音波振動子120は、基部110の外周面上において、基部110の長手方向に沿って延設されると共に、基部110の円周方向に沿って並設されている。各超音波振動子120は、マルチチャネルケーブルMCCを構成する配線に接続されている。すなわち、比較例1に係る超音波検査装置100の超音波振動子120は、本実施形態に係る超音波検査装置10の超音波振動子12と同様の構成を有している。
また、比較例1に係る超音波検査装置100の調芯機構130a、130bは、本実施形態に係る超音波検査装置10の調芯機構13a、13bと同様の構成を有している。
【0044】
ここで、
図9、
図11に示すように、配管の小径部及び大径部では、超音波振動子120が形成された基部110の外周面が配管の内周面に対向している。そのため、
図1に示すマルチプレクサMUXによって選択された超音波振動子120は、
図9、
図11に示すように、超音波UWを発信すると、配管の小径部及び大径部によって反射した超音波UWを受信できる。
【0045】
他方、
図10に示すように、配管のテーパー部では、超音波振動子120が形成された基部110の外周面が配管の内周面に対向していない。そのため、
図1に示すマルチプレクサMUXによって選択された超音波振動子120は、
図10に示すように、超音波UWを発信しても、配管のテーパー部によって反射した超音波UWを受信できない。
そのため、比較例1に係る超音波検査装置100は、配管のテーパー部を検査できず、配管のテーパー部については、他の超音波検査装置を使用する必要がある。
【0046】
<比較例2に係る超音波検査装置の構成>
次に、
図12を参照して、発明者が事前に検討した比較例2に係る超音波検査装置について説明する。
図12は、比較例2に係る超音波検査装置を模式的に示す側面図である。
図12は、
図2に対応する。
【0047】
図12に示すように、比較例2に係る超音波検査装置200は、回転シャフト14、探触子アーム15、超音波探触子16、及び調芯機構130a、130bを備える。ここで、
図12には、検査対象である配管の断面図が示されている。
図12に示す配管は、小径部と大径部とを接続するテーパー部を有している。比較例2に係る超音波検査装置200は、配管のテーパー部を検査するための装置である。
【0048】
図12に示す比較例2に係る超音波検査装置200では、配管の軸方向に延設された回転シャフト14が、調芯機構130a、130bによって、テーパー部の軸中心に支持される。また、回転シャフト14は、調芯機構130a、130bに回転可能に支持されると共に、図示しないモータ等の駆動源によって回転駆動される。
なお、比較例2に係る超音波検査装置200の調芯機構130a、130bも、本実施形態に係る超音波検査装置10の調芯機構13a、13bと同様の構成を有している。
【0049】
探触子アーム15の根元部は、回転シャフト14に回動可能に連結されている。他方、探触子アーム15の先端部には、超音波探触子16が回動可能に連結されている。
回転シャフト14が回転駆動されると、超音波探触子16が、テーパー部に当接しつつ、テーパー部の円周方向に機械的に回転する。
【0050】
このように、比較例2に係る超音波検査装置200では、超音波探触子16が、テーパー部に当接しつつ、テーパー部の円周方向に機械的に回転することによって、テーパー部を検査する。そのため、比較例2に係る超音波検査装置200では、検査速度が遅いという問題があった。
【0051】
なお、超音波探触子16は、シングルチャネルケーブルSCCを介して、
図1に示す超音波パルサーレシーバUPRに接続されている。そのため、比較例2に係る超音波検査装置200を用いた超音波検査システムでは、
図1におけるマルチチャネルケーブルMCC、マルチプレクサMUX、及び選択制御部SCが不要となる。
【0052】
<効果の説明>
以下では、本実施形態に係る超音波検査装置10が奏する効果について説明する。
上述の通り、比較例1に係る超音波検査装置100では、超音波振動子120が形成された基部110が円柱状であって、基部110の外周面が配管のテーパー部の内周面に対向していない。そのため、
図1に示すマルチプレクサMUXによって選択された超音波振動子120は、
図10に示すように、超音波UWを発信しても、配管のテーパー部によって反射した超音波UWを受信できない。そのため、比較例1に係る超音波検査装置100では、配管のテーパー部を検査できない。
【0053】
これに対し、
図2に示すように、本実施形態に係る超音波検査装置10では、超音波振動子12が形成された基部11が円錐台状であって、基部11の外周面が配管のテーパー部の内周面に対向するように保持されている。そのため、
図1に示すマルチプレクサMUXによって選択された超音波振動子12は、
図2に示すように、超音波UWを発信すると、配管のテーパー部によって反射した超音波UWを受信できる。すなわち、本実施形態に係る超音波検査装置10は、配管のテーパー部を検査できる。
【0054】
また、比較例2に係る超音波検査装置200では、超音波探触子16が、テーパー部に当接しつつ、テーパー部の円周方向に機械的に回転することによって、テーパー部を検査する。そのため、検査速度が遅いという問題があった。
【0055】
これに対し、本実施形態に係る超音波検査装置10では、
図3に示すように、超音波振動子12は、基部11の外周面上において、基部11の円周方向に沿って並設されている。ここで、
図3に示すように、マルチチャネルケーブルMCCにおいて選択されるチャネルが電気的に切り換わる度に、超音波UWを発信すると共に受信する超音波振動子12が、基部11の円周方向に沿って順次切り換わる。そして、全ての超音波振動子12が超音波UWを発信すると共に受信することによって、配管を全周に亘って検査できる。
【0056】
このような構成によって、本実施形態に係る超音波検査装置10では、超音波探触子16を機械的に回転させる比較例2に係る超音波検査装置200に比べ、例えば60チャネルの場合、検査速度が10倍程度速くなる。なお、チャネル数は配管周方向のデータ点数に対応するため、チャネル数が多い程、精密に検査できるが、検査速度は低下する。
このように、本実施形態に係る超音波検査装置10は、高速で配管のテーパー部を検査できる。
【0057】
<検査対象の具体例>
次に、
図13を参照して、本実施形態に係る超音波検査装置による検査対象の一例である水管ボイラの構成について説明する。
図13は、第1の実施形態に係る超音波検査装置による検査対象の一例である水管ボイラの正面図である。
【0058】
図13に示す水管ボイラは、二胴曲管式の水管ボイラである。ここで、「二胴曲管式」における「二胴」は、
図13に示す水ドラム及び蒸気ドラムの2つのドラムを意味する。また、「二胴曲管式」における「曲管」とは、水ドラムと蒸気ドラムとを接続する水管が、直管でなく曲管であることを意味する。
【0059】
下部に設けられた水ドラム及び上部に設けられた蒸気ドラムはいずれも紙面奥行き方向に延設されている。
図13に示すように、水ドラムと蒸気ドラムとを接続する複数の水管は、上下方向に略平行に直線状に延びるように設けられている。ここで、各水管と水ドラム及び蒸気ドラムのそれぞれとの接続部では、水ドラム及び蒸気ドラムの各壁面に対して、各水管が略垂直に接続されている。すなわち、複数の水管は、水ドラム及び蒸気ドラムのそれぞれの円周方向に並んで、放射状に接続されている。
【0060】
このように、水ドラムと蒸気ドラムとを接続する複数の水管は、大部分が上下方向に略平行に直線状に延びると共に、両端部において、水ドラム及び蒸気ドラムのそれぞれの壁面に対して略垂直に接続するように湾曲している。この水ドラムと蒸気ドラムとを接続する複数の水管は、水ドラム及び蒸気ドラムの長手方向(
図13における紙面奥行き方向)にも並設されている。
さらに、
図13に示すように、C字状に大きく湾曲して水ドラムと蒸気ドラムとを接続する炉壁水管は、燃焼室の炉壁に沿って設けられている。
【0061】
図13に示すように、水管及び炉壁水管は、水ドラム及び蒸気ドラムとの接続部近傍にテーパー部を有している。本実施形態に係る超音波検査装置10は、当該テーパー部の検査に使用できる。
なお、本実施形態に係る超音波検査装置10による検査対象は、テーパー部を有する配管であれば、何ら限定されない。
【0062】
【0063】
図14~
図16に示すように、本実施形態に係る超音波検査装置10は、
図2に示す基部11、複数の超音波振動子12、及び調芯機構13a、13bに加え、
図9~
図11に示す基部110及び複数の超音波振動子120を備える。すなわち、本実施形態に係る超音波検査装置10は、
図2に示す第1の実施形態に係る超音波検査装置10及び
図9~
図11に示す比較例1に係る超音波検査装置100の構成及び機能を兼ね備えている。そのため、本実施形態に係る超音波検査装置10は、配管のテーパー部に加え、配管の小径部及び大径部も検査できる。
【0064】
図14~
図16に示すように、基部(第1基部)11は、配管のテーパー部の内周面に対向する外周面を有する円錐台状の部材である。基部110(第2基部)は、配管の小径部及び大径部の内周面に対向する外周面を有する円柱状の部材である。基部11の一端に基部110の一端が連結されている。
【0065】
図14~
図16に示す例では、基部11の小径側の一端に基部110の一端が連結されており、基部11の小径側の一端の径と基部110の径とが等しくなっている。
なお、基部11と基部110とは一体に形成されていてもよい。また、基部11の大径側の一端に基部110の一端が連結されていてもよい。
【0066】
超音波振動子(第1超音波振動子)12は、基部11の外周面上において、基部11の長手方向に沿って延設されると共に、基部11の円周方向に沿って並設されている。超音波振動子(第2超音波振動子)120は、基部110の外周面上において、基部110の長手方向に沿って延設されると共に、基部110の円周方向に沿って並設されている。例えば、超音波振動子12と超音波振動子120とは、同数であって、超音波振動子12の延長上に超音波振動子120が設けられている。
【0067】
各超音波振動子12、120は、マルチチャネルケーブルMCCを構成する配線に接続されている。すなわち、各超音波振動子12、120が、マルチチャネルケーブルMCCの各チャネルに対応する。例えば、超音波振動子12、120がそれぞれ60本ずつであれば、120チャネルのマルチチャネルケーブルMCCが用いられる。
【0068】
ここで、60本の超音波振動子12と60本の超音波振動子120とをマルチチャネルケーブルMCCに対して並列に接続すれば、60チャネルのマルチチャネルケーブルMCCを用いることができ、マルチチャネルケーブルMCCを細径化できる。
なお、当然のことながら、超音波振動子12、120の本数すなわちチャネル数は、適宜決定される。
【0069】
図14、
図16に示すように、配管の小径部及び大径部では、超音波振動子120が形成された基部110の外周面が配管の内周面に対向するように保持される。そのため、
図1に示すマルチプレクサMUXによって選択された超音波振動子120は、
図14、
図16に示すように、超音波UWを発信すると、配管の小径部及び大径部によって反射した超音波UWを受信できる。
【0070】
他方、
図15に示すように、配管のテーパー部では、超音波振動子12が形成された基部11の外周面が配管の内周面に対向するように保持される。そのため、
図1に示すマルチプレクサMUXによって選択された超音波振動子12は、
図15に示すように、超音波UWを発信すると、配管のテーパー部によって反射した超音波UWを受信できる。
第2の実施形態に係る超音波検査装置10におけるその他の構成は、第1の実施形態に係る超音波検査装置10と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
第1の実施形態に係る超音波検査装置10は、配管のテーパー部については検査できるが、配管の定径部については検査できない。そのため、定径部の検査については、例えば比較例1に係る超音波検査装置100を別途用いる必要がある。
これに対し、本実施形態に係る超音波検査装置10は、配管のテーパー部に加え、配管の小径部及び大径部すなわち定径部も検査できる。すなわち、本実施形態に係る超音波検査装置10は、第1の実施形態に係る超音波検査装置10に比べ、配管をより効率良く検査できる。
【0072】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0073】
10 超音波検査装置
11 基部(第1基部)
110 基部(第2基部)
12 超音波振動子(第1超音波振動子)
120 超音波振動子(第2超音波振動子)
13a、13b 調芯機構
14 回転シャフト
15 探触子アーム
16 超音波探触子
31 筒状シャフト
31a 突出部
32 円板部材
33 連結リンク
34 アーム
35 車輪
J1~J4 ジョイント
MCC マルチチャネルケーブル
MUX マルチプレクサ
OSC 波形表示装置
SC 選択制御部
SCC シングルチャネルケーブル
SP 捩りばね
UPR 超音波パルサーレシーバ