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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042736
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】レーザ加工装置及びレーザ加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/046 20140101AFI20230320BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20230320BHJP
【FI】
B23K26/046
B23K26/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150022
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 龍幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】龍堂 誠
(72)【発明者】
【氏名】山口 秀明
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168CA16
4E168CB03
4E168CB08
4E168CB15
4E168CB17
4E168DA02
4E168DA13
4E168DA26
4E168EA05
4E168EA17
4E168FB01
4E168JA02
4E168JA03
(57)【要約】
【課題】レーザ光の焦点位置の調整速度を向上させる。
【解決手段】レーザ加工ヘッド3と加工対象物30との間の距離を測定し、測定結果に基づいてレーザ光の波長を変更することで、レーザ加工ヘッド3から出射されるレーザ光の焦点位置を変更する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長の異なる複数のレーザ光を波長合成して出力するレーザ発振器と、該レーザ発振器から出力された該レーザ光を加工対象物に対して出射するレーザ加工ヘッドとを備えたレーザ加工装置であって、
前記レーザ加工ヘッドと前記加工対象物との間の距離を測定する距離測定部と、
前記距離測定部の測定結果に基づいて前記レーザ光の波長を変更して、前記レーザ加工ヘッドから出射される該レーザ光の焦点位置を変更する制御部とを備えたレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、波長合成された前記レーザ光の焦点位置が、前記加工対象物までの距離よりも短いときに該レーザ光の波長を長くする一方、該加工対象物までの距離よりも長いときに該レーザ光の波長を短くするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記レーザ発振器は、複数のレーザ光を出射する複数のレーザダイオードと、該レーザ光を外部共振させる回折格子とを有し、
前記複数のレーザダイオードは、波長合成された前記レーザ光の中心波長よりも長い波長のレーザ光を出射する長波長レーザダイオードと、該中心波長よりも短い波長のレーザ光を出射する短波長レーザダイオードとを有し、
前記制御部は、前記長波長レーザダイオード又は前記短波長レーザダイオードを選択的に動作させ、前記レーザ光の前記回折格子への入射角を変更することで、該レーザ光の波長を変更するレーザ加工装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記レーザ発振器は、複数のレーザ光を出射する複数のレーザダイオードと、該レーザ光を外部共振させる回折格子と、該レーザダイオードに対する該回折格子の傾斜角度を調整する角度調整機構とを有し、
前記制御部は、前記角度調整機構を動作させ、前記レーザ光の前記回折格子への入射角を変更することで、該レーザ光の波長を変更するレーザ加工装置。
【請求項5】
波長の異なる複数のレーザ光を波長合成して、波長合成された該レーザ光をレーザ加工ヘッドから加工対象物に対して出射するレーザ加工方法であって、
前記レーザ加工ヘッドと前記加工対象物との間の距離を測定する第1ステップと、
前記第1ステップでの測定結果に基づいて前記レーザ光の波長を変更して、前記レーザ加工ヘッドから出射される該レーザ光の焦点位置を変更する第2ステップとを備えたレーザ加工方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記第2ステップでは、波長合成された前記レーザ光の焦点位置が、前記加工対象物までの距離よりも短いときに該レーザ光の波長を長くする一方、該加工対象物までの距離よりも長いときに該レーザ光の波長を短くするレーザ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置及びレーザ加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、厚物の被加工材に対する加工深さを増加するために、光軸上の異なる集光点にビームを集光し、波長の短い順にレーザ光を繰り返し点灯させることで、被加工材の表面から浅い順に加工の中心を移動するようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-44000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レーザ加工を行う場合には、例えば、多関節ロボットを用いて、加工対象に対して適切な高さに焦点位置を合わせる必要がある。
【0005】
しかしながら、レーザ加工の応答速度を高めるためにモータのゲインを高めると、レーザ加工ヘッドが慣性によって振動してしまい、レーザ光の焦点位置の調整が困難であるという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、レーザ光の焦点位置の調整速度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、波長の異なる複数のレーザ光を波長合成して出力するレーザ発振器と、該レーザ発振器から出力された該レーザ光を加工対象物に対して出射するレーザ加工ヘッドとを備えたレーザ加工装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明は、前記レーザ加工ヘッドと前記加工対象物との間の距離を測定する距離測定部と、
前記距離測定部の測定結果に基づいて前記レーザ光の波長を変更して、前記レーザ加工ヘッドから出射される該レーザ光の焦点位置を変更する制御部とを備えたものである。
【0009】
第1の発明では、レーザ加工ヘッドと加工対象物との間の距離を測定し、測定結果に基づいてレーザ光の波長を変更することで、レーザ加工ヘッドから出射されるレーザ光の焦点位置を変更するようにしている。
【0010】
このように、レーザ光の波長を変更することで、加工対象物に対して適切な高さにレーザ光の焦点位置を合わせることができる。これにより、レーザ加工ヘッドが慣性によって振動するのを抑えるとともに、レーザ光の焦点位置の調整速度を向上させることができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、
前記制御部は、波長合成された前記レーザ光の焦点位置が、前記加工対象物までの距離よりも短いときに該レーザ光の波長を長くする一方、該加工対象物までの距離よりも長いときに該レーザ光の波長を短くするものである。
【0012】
第2の発明では、波長合成されたレーザ光の焦点位置と加工対象物との距離が短いときにレーザ光の波長を長くする。一方、レーザ光の焦点位置と加工対象物との距離が長いときにレーザ光の波長を短くする。
【0013】
このように、レーザ光の波長を変更することで、加工対象物に対して適切な高さにレーザ光の焦点位置を合わせることができる。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記レーザ発振器は、複数のレーザ光を出射する複数のレーザダイオードと、該レーザ光を外部共振させる回折格子とを有し、
前記複数のレーザダイオードは、波長合成された前記レーザ光の中心波長よりも長い波長のレーザ光を出射する長波長レーザダイオードと、該中心波長よりも短い波長のレーザ光を出射する短波長レーザダイオードとを有し、
前記制御部は、前記長波長レーザダイオード又は前記短波長レーザダイオードを選択的に動作させ、前記レーザ光の前記回折格子への入射角を変更することで、該レーザ光の波長を変更するものである。
【0015】
第3の発明では、波長合成されたレーザ光の焦点位置と加工対象物との距離に基づいて、長波長レーザダイオード又は短波長レーザダイオードを選択的に動作させるようにしている。
【0016】
このように、レーザ光の波長を変更することで、加工対象物に対して適切な高さにレーザ光の焦点位置を合わせることができる。
【0017】
第4の発明は、第1又は第2の発明において、
前記レーザ発振器は、複数のレーザ光を出射する複数のレーザダイオードと、該レーザ光を外部共振させる回折格子と、該レーザダイオードに対する該回折格子の傾斜角度を調整する角度調整機構とを有し、
前記制御部は、前記角度調整機構を動作させ、前記レーザ光の前記回折格子への入射角を変更することで、該レーザ光の波長を変更するものである。
【0018】
第4の発明では、レーザダイオードに対する回折格子の傾斜角度を調整し、レーザ光の回折格子への入射角を変更することで、レーザ光の波長を変更するようにしている。
【0019】
具体的に、レーザ光の回折格子への入射角を大きくすれば、レーザ光の波長を長くすることができる。一方、レーザ光の回折格子への入射角を小さくすれば、レーザ光の波長を短くすることができる。
【0020】
このように、レーザ光の波長を変更することで、加工対象物に対して適切な高さにレーザ光の焦点位置を合わせることができる。
【0021】
第5の発明は、波長の異なる複数のレーザ光を波長合成して、波長合成された該レーザ光をレーザ加工ヘッドから加工対象物に対して出射するレーザ加工方法を対象としている。そして、前記レーザ加工ヘッドと前記加工対象物との間の距離を測定する第1ステップと、
前記第1ステップでの測定結果に基づいて前記レーザ光の波長を変更して、前記レーザ加工ヘッドから出射される該レーザ光の焦点位置を変更する第2ステップとを備えたものである。
【0022】
第5の発明では、レーザ加工ヘッドと加工対象物との間の距離を測定し、測定結果に基づいてレーザ光の波長を変更することで、レーザ加工ヘッドから出射されるレーザ光の焦点位置を変更するようにしている。
【0023】
このように、レーザ光の波長を変更することで、加工対象物に対して適切な高さにレーザ光の焦点位置を合わせることができる。これにより、レーザ加工ヘッドが慣性によって振動するのを抑えるとともに、レーザ光の焦点位置の調整速度を向上させることができる。
【0024】
第6の発明は、第5の発明において、
前記第2ステップでは、波長合成された前記レーザ光の焦点位置が、前記加工対象物までの距離よりも短いときに該レーザ光の波長を長くする一方、該加工対象物までの距離よりも長いときに該レーザ光の波長を短くするものである。
【0025】
第6の発明では、波長合成されたレーザ光の焦点位置と加工対象物との距離が短いときにレーザ光の波長を長くする。一方、レーザ光の焦点位置と加工対象物との距離が長いときにレーザ光の波長を短くする。
【0026】
このように、レーザ光の波長を変更することで、加工対象物に対して適切な高さにレーザ光の焦点位置を合わせることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、レーザ光の焦点位置の調整速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施形態1に係るレーザ加工装置の構成を示す概略図である。
図2】レーザ発振器の構成を示す概略図である。
図3】波長合成の原理を説明するための図である。
図4】測定位置とパワー密度比との関係を示すグラフ図である。
図5】長波長のレーザダイオードを動作させたときのレーザ発振器の構成を示す概略図である。
図6】長波長化したレーザ光の波長と光強度との関係を示すグラフ図である。
図7】短波長のレーザダイオードを動作させたときのレーザ発振器の構成を示す概略図である。
図8】短波長化したレーザ光の波長と光強度との関係を示すグラフ図である。
図9】加工対象物までの距離に応じてレーザ光の焦点位置を変更した状態を示す図である。
図10】加工対象物までの距離に応じてレーザ光の焦点位置を変更した状態を示す図である。
図11】加工対象物までの距離に応じてレーザ光の焦点位置を変更した状態を示す図である。
図12】焦点位置の制御可能量とパワー密度とを示す図である。
図13】レーザ光の出射時間と出力との関係を示すグラフ図である。
図14】レーザ光の加工速度と立ち上がり時間までの移動量との関係を示すグラフ図である。
図15】本実施形態2に係るレーザ発振器の構成を示す概略図である。
図16】回折格子の傾斜角度に基づいてレーザ光が長波長化する原理を説明するための図である。
図17】長波長化したレーザ光の波長と光強度との関係を示すグラフ図である。
図18】回折格子を内向きに傾斜させた状態のレーザ発振器の構成を示す概略図である。
図19】回折格子の傾斜角度に基づいてレーザ光が短波長化する原理を説明するための図である。
図20】短波長化したレーザ光の波長と光強度との関係を示すグラフ図である。
図21】本実施形態3に係るレーザ発振器の構成を示す概略図である。
図22】回折格子の傾斜角度に基づいてレーザ光が長波長化する原理を説明するための図である。
図23】回折格子を内向きに傾斜させた状態のレーザ発振器の構成を示す概略図である。
図24】回折格子の傾斜角度に基づいてレーザ光が短波長化する原理を説明するための図である。
図25】本実施形態4に係るレーザ発振器の構成を示す概略図である。
図26】回折格子を内向きに傾斜させた状態のレーザ発振器の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0030】
《実施形態1》
図1に示すように、レーザ加工装置1は、レーザ発振器10と、光ファイバ2と、レーザ加工ヘッド3と、アシストガス供給装置4と、マニピュレータ5と、制御部6とを備えている。
【0031】
レーザ発振器10は、複数の波長成分を有するレーザ光(以下、多波長レーザ光という)を出力し、光ファイバ2に入射する。
【0032】
光ファイバ2は、レーザ発振器10で出力された多波長レーザ光をレーザ加工ヘッド3に伝送する。
【0033】
レーザ加工ヘッド3は、光ファイバ2によって伝送された多波長レーザ光を加工対象物30に出射する。なお、加工対象物30の材質としては、軟鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金などが用いられる。レーザ加工ヘッド3には、距離測定部15が設けられている。
【0034】
距離測定部15は、例えば、静電容量式のセンサで構成されている。距離測定部15は、レーザ加工ヘッド3と加工対象物30との間の距離を測定する。距離測定部15で測定された測定値は、制御部6に送信される。
【0035】
アシストガス供給装置4は、レーザ加工ヘッド3に接続されている。アシストガス供給装置4は、アシストガスをレーザ加工ヘッド3に供給する。
【0036】
マニピュレータ5は、レーザ加工ヘッド3の位置及び角度を高い自由度で変更する。これにより、レーザ加工ヘッド3から出射される多波長レーザ光を、加工対象物30の加工位置に出射することができる。
【0037】
制御部6は、レーザ発振器10、アシストガス供給装置4、及びマニピュレータ5に接続されている。制御部6は、レーザ発振器10からの多波長レーザ光の出力と、アシストガス供給装置4からのアシストガス供給量と、マニピュレータ5の動作とを制御する。
【0038】
制御部6は、加工対象物30の表面に沿ってレーザ加工ヘッド3を移動させながら、距離測定部15の測定結果に基づいて、加工対象物30に対して適切な高さにレーザ光の焦点位置を合わせる倣い制御を行う。
【0039】
〈レーザ発振器について〉
図2に示すように、レーザ発振器10は、半導体レーザデバイス11と、集光レンズ12と、透過型の回折格子13と、出力カプラ14とを有する。半導体レーザデバイス11の動作は、制御部6によって制御される。
【0040】
半導体レーザデバイス11は、複数のレーザダイオード20を有する。レーザダイオード20は、マイクロレンズアレイで構成されている。レーザダイオード20は、複数のエミッタ(例えば、40個)を有する。レーザダイオード20は、複数のエミッタの出力を波長合成することで、波長合成されたレーザ光を出射する。
【0041】
複数のレーザダイオード20は、互いに波長の異なるレーザ光を出射する。図2に示す例では、第1レーザダイオード21、第2レーザダイオード22、及び第3レーザダイオード23を配置した構成としたが、例えば、10個のレーザダイオード20を配置してもよい。
【0042】
第1レーザダイオード21は、波長合成された多波長レーザ光の中心波長よりも長い波長(例えば、1000nm)のレーザ光を出射する長波長レーザダイオードである。
【0043】
第2レーザダイオード22は、多波長レーザ光の中心波長と略同じ波長のレーザ光を出射する。
【0044】
第3レーザダイオード23は、多波長レーザ光の中心波長よりも短い波長(例えば、950nm)のレーザ光を出射する短波長レーザダイオードである。
【0045】
半導体レーザデバイス11における回折格子13側の端部は、レーザ出射端である。半導体レーザデバイス11におけるレーザ出射端と反対側の端部は、レーザ光を全反射する全反射端である。
【0046】
半導体レーザデバイス11のレーザ出射端から出射されたレーザ光は、集光レンズ12で集光された後、回折格子13を通過し、出力カプラ14で一部が反射される。
【0047】
出力カプラ14で反射されたレーザ光は、回折格子13及び集光レンズ12を通過し、出射された半導体レーザデバイス11に戻る。半導体レーザデバイス11に戻ったレーザ光は、半導体レーザデバイス11の全反射端で反射される。
【0048】
このように、出力カプラ14と、半導体レーザデバイス11の全反射端との間で共振が起こり、半導体レーザデバイス11からのレーザ光が発振される。これにより、光ファイバ2には、多波長レーザ光が入射される。
【0049】
以上のように、半導体レーザデバイス11の全反射端と出力カプラ14との間で、回折格子13を介してレーザ発振器10が構成される。この構成は、半導体レーザデバイス11の外部の領域を含めてレーザ光が発振されるため、外部共振器と呼ばれる。
【0050】
ここで、第1レーザダイオード21、第2レーザダイオード22、及び第3レーザダイオード23から出射されたレーザ光は、回折格子13から見て異なる方向から回折格子13に入射されている。回折格子13は、入射角が互いに異なる複数のレーザ光を、共通の出射角で出射させる特徴を有している。
【0051】
図3に示すように、回折格子13の開口の間隔d、レーザ光の回折格子13への入射角α、散乱角β、回折次数m(m=0,±1,・・・)、レーザ光の波長λとすると、光路差は、d×(sinα-sinβ)である。そのため、以下の(1)式が成り立つ。
【0052】
d×(sinα-sinβ)=m×λ ・・・(1)
(1)式より、入射角αが大きくなるほどレーザ光の波長λが長くなり、入射角αが小さくなるほどレーザ光の波長λが短くなることが分かる。
【0053】
ここで、複数のレーザダイオード20を回折格子13に対して異なる方向に配置することにより、複数のレーザダイオード20から出射される複数のレーザ光の出射方向を同一にできる。そして、波長が互いに異なる複数のレーザダイオード20から出射されるレーザ光の出力を合算することができる。
【0054】
すなわち、半導体レーザデバイス11と出力カプラ14とが、回折格子13を介して外部共振器を構成することで、それぞれのレーザ光のビーム品質を悪化させることなく、両者の出力が合算された、より高い出力のレーザ光を得ることができる。
【0055】
また、複数のレーザダイオード20を、回折格子13から見て異なる方向に配置することで、複数のレーザダイオード20が、互いに波長が異なるレーザ光を発振できる。
【0056】
このように、複数の波長を含んだ多波長レーザ光をレーザ加工ヘッド3で集光することにより、少しずつ焦点距離をずらした複数の焦点を形成することができる。これにより、加工対象物30を複数の焦点によって均等に加熱することができるので、加工対象物30に合わせた最適な加工条件で加工することができる。
【0057】
ところで、加工対象物30をレーザ加工する場合には、加工対象物30の表面に沿ってレーザ加工ヘッド3を移動させながら、加工対象物30に対して適切な高さにレーザ光の焦点位置を合わせることで、レーザ光のパワー密度の低下を抑える必要がある。
【0058】
具体的に、図4に示す例では、波長合成されたレーザ光の焦点位置を基準位置とし、基準位置におけるレーザ光のパワー密度比を100%としている。図4に示すように、レーザ光の焦点位置を合わせることなく、測定位置が基準位置からプラス方向又はマイナス方向に離れると、レーザ光のパワー密度比が低下することが分かる。例えば、測定位置が基準位置から±0.5mm離れた場合には、パワー密度比が平均して8%低下している。
【0059】
しかしながら、レーザ加工の応答速度を高めるために、レーザ加工ヘッド3を高速で移動させると、レーザ加工ヘッド3が慣性によって振動してしまい、レーザ光の焦点位置の調整が困難となる。
【0060】
そこで、本実施形態では、波長合成されたレーザ光の焦点位置と加工対象物30との距離に基づいて、レーザダイオード20を選択的に動作させるようにしている。
【0061】
具体的に、図5に示すように、複数のレーザダイオード20のうち、波長の長い第1レーザダイオード21を選択的に動作させ、レーザ光の回折格子13への入射角を大きくすれば、レーザ加工ヘッド3から出力されるレーザ光の波長を、多波長レーザ光の中心波長に比べて長くすることができる(図6参照)。
【0062】
一方、図7に示すように、複数のレーザダイオード20のうち、波長の短い第3レーザダイオード23を選択的に動作させ、レーザ光の回折格子13への入射角を小さくすれば、レーザ加工ヘッド3から出力されるレーザ光の波長を、多波長レーザ光の中心波長に比べて短くすることができる(図8参照)。
【0063】
図9に示す例では、加工対象物30の表面に、段差状の凹部31が設けられている。レーザ加工ヘッド3は、加工対象物30の表面に沿って、図9で左側から右側へと移動している。
【0064】
このとき、距離測定部15は、レーザ加工ヘッド3と加工対象物30との間の距離を測定し、測定結果である測定値を制御部6に送信する。制御部6は、距離測定部15の測定値を所定の目標値と比較し、マニピュレータ5によるレーザ加工ヘッド3の移動量を計算する。そして、制御部6は、マニピュレータ5によって、レーザ加工ヘッド3を移動させながら、加工対象物30に対して適切な高さにレーザ光の焦点位置を合わせる倣い制御を行う。
【0065】
そして、制御部6は、レーザ加工ヘッド3を倣い動作させている途中で、距離測定部15の測定値と目標値との差分値が所定の閾値よりも大きくなったときに、レーザ光の波長を変更することでレーザ光の焦点位置を微調整する。
【0066】
具体的に、図9に示す例では、レーザ加工ヘッド3が加工対象物30の凹部31に向かって下降したときに、多波長レーザ光の焦点位置が、加工対象物30までの距離よりも短くなっている。
【0067】
そこで、制御部6は、第1レーザダイオード21を選択的に動作させることで、レーザ光の波長を長くする。
【0068】
これにより、レーザ加工ヘッド3を上下に移動させることなく、レーザ光の焦点位置が不足して浅くなっている分を補正することができる。
【0069】
次に、加工対象物30が微小波板で形成されている場合について説明する。図10に示す例では、加工対象物30の表面に、凹部31と凸部32とが設けられている。レーザ加工ヘッド3は、加工対象物30の表面に沿って、図10で左側から右側へと直線状に移動している。
【0070】
ここで、レーザ加工ヘッド3が加工対象物30の凹部31を通過する際には、多波長レーザ光の焦点位置が、加工対象物30までの距離よりも短くなっている。このとき、制御部6によって、第1レーザダイオード21を選択的に動作させ、レーザ光の波長を長くする。
【0071】
これにより、レーザ加工ヘッド3を上下に移動させることなく、レーザ光の焦点位置が不足して浅くなっている分を補正することができる。
【0072】
一方、レーザ加工ヘッド3が加工対象物30の凸部32を通過する際には、多波長レーザ光の焦点位置が、加工対象物30までの距離よりも長くなっている。このとき、制御部6によって、第3レーザダイオード23を選択的に動作させ、レーザ光の波長を短くする。
【0073】
これにより、レーザ加工ヘッド3を上下に移動させることなく、レーザ光の焦点位置が過剰に深くなっている分を補正することができる。
【0074】
なお、上述した例では、制御部6は、レーザ加工ヘッド3と加工対象物30との距離を調整した後で、レーザ光の焦点位置が加工対象物30の表面に対してずれていた場合に、レーザ光の波長変更を行うようにしたが、この形態に限定するものではない。
【0075】
具体的に、図11に示す例では、加工対象物30の表面に、凹部31と凸部32とが設けられている。レーザ加工ヘッド3は、加工対象物30の表面に沿って、図11で左側から右側へと移動している。
【0076】
このとき、距離測定部15は、レーザ加工ヘッド3と加工対象物30との間の距離を測定し、測定結果である測定値を制御部6に送信する。制御部6は、距離測定部15の測定値を所定の目標値と比較し、マニピュレータ5によるレーザ加工ヘッド3の移動量と、レーザ光の波長を変更することによる焦点距離調整量とを計算する。
【0077】
そして、制御部6は、マニピュレータ5によって、レーザ加工ヘッド3と加工対象物30との距離を調整するとともに、レーザダイオード20を選択的に動作させることでレーザ光の波長調整を行うように制御する。
【0078】
このように、レーザ加工ヘッド3と加工対象物30との距離を調整しながら、レーザ光の波長を変更することで、レーザ光の焦点位置を微調整して、レーザ加工ヘッド3をなだらかに動作させることができる。
【0079】
つまり、レーザ光の波長調整で調整した分の焦点距離は、レーザ加工ヘッド3を移動させる必要が無くなるため、レーザ加工ヘッド3の動きがなだらかになり、振動を抑えることができる。
【0080】
また、レーザ光の波長変更による焦点位置の調整動作は、マニピュレータ5によるレーザ加工ヘッド3の移動動作よりも高速で行うことができる。そのため、レーザ光の焦点位置の調整は、レーザ光の波長調整の範囲内で積極的に行うのがよい。
【0081】
また、マニピュレータ5によるレーザ加工ヘッド3の位置調整は、レーザ光の波長調整による焦点位置がニュートラル位置(波長の中央値)になるように制御するのがよい。
【0082】
なお、図4に示したように、レーザ光のパワー密度比は、例えば、レーザ光の焦点位置から±0.5mm離れると、平均8%低下するため、レーザ加工品質への影響が大きくなる。そこで、レーザ光のパワー密度の制御可能量は、0.5mm程度確保することが好ましい(図12参照)。
【0083】
ところで、本実施形態では、レーザ光の波長を変更することでレーザ光の焦点位置を変更している。そのため、レーザ光を出射してから最大出力が得られるまでの立ち上がり時間が遅れることによる入熱量への影響が考えられる。以下、この点について検討する。
【0084】
図13に示すように、レーザ光の波長を変更するために、レーザダイオード20を選択的に動作させた場合、レーザ光の出力が100%となるまでに、出射時間が50μs経過している。
【0085】
ここで、図14に示すように、レーザ加工ヘッド3を一定の加工速度で移動させる場合、レーザ光の使用速度範囲における立ち上がり時間までの移動量は、レーザ光のビーム径の3%未満であることが分かる。
【0086】
このように、レーザ光の波長調整によってレーザ光の焦点位置を変更した場合でも、レーザ光の立ち上がり時間が遅れることによる入熱量への影響が小さいことが分かる。
【0087】
以上のように、本実施形態に係るレーザ加工装置1によれば、レーザ光の波長を変更することで、加工対象物30に対して適切な高さにレーザ光の焦点位置を合わせることができる。これにより、レーザ加工ヘッド3が慣性によって振動するのを抑えるとともに、レーザ光の焦点位置の調整速度を向上させることができる。
【0088】
《実施形態2》
図15は、本実施形態2に係るレーザ発振器の構成を示す概略図である。以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0089】
図15に示すように、レーザ発振器10は、半導体レーザデバイス11と、集光レンズ12と、透過型の回折格子13と、出力カプラ14と、角度調整機構40とを有する。半導体レーザデバイス11及び角度調整機構40の動作は、制御部6によって制御される。
【0090】
回折格子13は、所定の中心軸13aを中心に回転可能に支持されている。
【0091】
角度調整機構40は、レーザダイオード20に対する回折格子13の傾斜角度を調整するものである。角度調整機構40は、付勢バネ41と、直動ユニット45とを備えている。
【0092】
付勢バネ41は、回折格子13を所定の傾斜角度に付勢するものである。付勢バネ41の一端は、回折格子13における中心軸13aよりも図15で上端側に取り付けられている。付勢バネ41の他端は、バネ固定部42に取り付けられている。バネ固定部42は、回折格子13よりも図15で左方に離れた位置に配置されている。付勢バネ41は、圧縮バネで構成されている。付勢バネ41は、回折格子13の上端部を図15で右方向に押圧することで、回折格子13を時計回り方向に回転するように付勢している。
【0093】
直動ユニット45は、回折格子13に対して進退することで付勢バネ41の付勢力に抗して回折格子13の傾斜角度を調整するものである。直動ユニット45は、伸縮部46と、電圧印加部47とを有する。伸縮部46の先端部は、回折格子13における中心軸13aよりも上端部に取り付けられている。伸縮部46は、例えば、ピエゾ素子で構成されている。
【0094】
電圧印加部47は、ピエゾ素子で構成された伸縮部46に電圧を印加することで、伸縮部46を伸び縮みさせる。これにより、伸縮部46が回折格子13に対して進退する。
【0095】
図15に示すように、伸縮部46を縮めることで、回折格子13の上端部が伸縮部46によって引っ張られる。これにより、回折格子13は、付勢バネ41の付勢力によって、図15で時計回り方向に回転する。
【0096】
図16に示すように、回折格子13を時計回り方向に回転させ、レーザダイオード20から離れる方向に回折格子13を傾斜させると、回折格子13を傾斜させる前に比べて、レーザ光の入射角αが大きくなる。
【0097】
ここで、上述した(1)式より、入射角αが大きくなるほどレーザ光の波長λが長くなるので、レーザ加工ヘッド3から出力されるレーザ光の波長を長波長化することができる(図17参照)。
【0098】
一方、図18に示すように、伸縮部46を伸ばすことで、回折格子13の上端部が伸縮部46によって押される。これにより、回折格子13は、付勢バネ41の付勢力に抗して、図18で反時計回り方向に回転する。
【0099】
図19に示すように、回折格子13を反時計回り方向に回転させ、レーザダイオード20に近付く方向に回折格子13を傾斜させると、回折格子13を傾斜させる前に比べて、レーザ光の入射角αが小さくなる。
【0100】
ここで、上述した(1)式より、入射角αが小さくなるほどレーザ光の波長が短くなるので、レーザ加工ヘッド3から出力されるレーザ光の波長を短波長化することができる(図20参照)。
【0101】
以下、凹部31と凸部32とが設けられた加工対象物30(図10参照)の表面に沿って、レーザ加工ヘッド3を左側から右側へと直線状に移動させる場合について説明する。
【0102】
レーザ加工ヘッド3が加工対象物30の凹部31を通過する際には、多波長レーザ光の焦点位置が、加工対象物30までの距離よりも短くなっている。このとき、制御部6によって、角度調整機構40を動作させ、レーザダイオード20から離れる方向に回折格子13を傾斜させて入射角を大きくすることで、レーザ光の波長を長くする。
【0103】
これにより、レーザ加工ヘッド3を上下に移動させることなく、レーザ光の焦点位置が不足して浅くなっている分を補正することができる。
【0104】
一方、レーザ加工ヘッド3が加工対象物30の凸部32を通過する際には、多波長レーザ光の焦点位置が、加工対象物30までの距離よりも長くなっている。このとき、制御部6によって、角度調整機構40を動作させ、レーザダイオード20に近付く方向に回折格子13を傾斜させて入射角を小さくすることで、レーザ光の波長を短くする。
【0105】
これにより、レーザ加工ヘッド3を上下に移動させることなく、レーザ光の焦点位置が過剰に深くなっている分を補正することができる。
【0106】
以上のように、本実施形態に係るレーザ加工装置1によれば、レーザ光の波長を変更することで、加工対象物30に対して適切な高さにレーザ光の焦点位置を合わせることができる。これにより、レーザ加工ヘッド3が慣性によって振動するのを抑えるとともに、レーザ光の焦点位置の調整速度を向上させることができる。
【0107】
《実施形態3》
図21に示すように、レーザ発振器10は、半導体レーザデバイス11と、集光レンズ12と、反射型の回折格子13と、出力カプラ14と、角度調整機構40とを有する。
【0108】
角度調整機構40は、付勢バネ41と、直動ユニット45とを備えている。直動ユニット45は、伸縮部46と、電圧印加部47とを有する。
【0109】
伸縮部46を縮めることで、回折格子13の上端部が伸縮部46によって引っ張られる。これにより、回折格子13は、付勢バネ41の付勢力によって、図21で時計回り方向に回転する。
【0110】
図22に示すように、回折格子13を時計回り方向に回転させ、レーザダイオード20から離れる方向に回折格子13を傾斜させると、回折格子13を傾斜させる前に比べて、レーザ光の入射角αが大きくなる。
【0111】
ここで、回折格子13の開口の間隔d、レーザ光の回折格子13への入射角α、散乱角β、回折次数m(m=0,±1,・・・)、レーザ光の波長λとすると、光路差は、d×(sinα+sinβ)である。そのため、以下の(2)式が成り立つ。
【0112】
d×(sinα+sinβ)=m×λ ・・・(2)
ここで、(2)式より、入射角αが大きくなるほどレーザ光の波長λが長くなるので、レーザ加工ヘッド3から出力されるレーザ光の波長を長波長化することができる。
【0113】
一方、図23に示すように、伸縮部46を伸ばすことで、回折格子13の上端部が伸縮部46によって押される。これにより、回折格子13は、付勢バネ41の付勢力に抗して、図23で反時計回り方向に回転する。
【0114】
図24に示すように、回折格子13を反時計回り方向に回転させ、レーザダイオード20に近付く方向に回折格子13を傾斜させると、回折格子13を傾斜させる前に比べて、レーザ光の入射角αが小さくなる。
【0115】
ここで、(2)式より、入射角αが小さくなるほどレーザ光の波長λが短くなるので、レーザ加工ヘッド3から出力されるレーザ光の波長を短波長化することができる。
【0116】
《実施形態4》
図25に示すように、レーザ発振器10は、半導体レーザデバイス11と、集光レンズ12と、反射型の回折格子13と、出力カプラ14と、角度調整機構50とを有する。
【0117】
角度調整機構50は、付勢バネ41と、カム51と、モータ52とを有する。付勢バネ41は、圧縮バネで構成されている。付勢バネ41は、回折格子13の上端部を図25で右方向に押圧することで、回折格子13を時計回り方向に回転するように付勢している。
【0118】
カム51は、略三角形状に形成されている。カム51のカム面は、回折格子13の上端部に当接している。モータ52は、カム51を回転させることで、付勢バネ41の付勢力に抗して回折格子13の傾斜角度を調整する。
【0119】
図25に示すように、三角形状のカム51の辺部を回折格子13の上端部に対向させた状態とすると、回折格子13は、付勢バネ41の付勢力によって時計回り方向に回転して、カム51に当接する。
【0120】
このように、回折格子13を時計回り方向に回転させ、レーザダイオード20から離れる方向に回折格子13を傾斜させると、回折格子13を傾斜させる前に比べて、レーザ光の入射角αが大きくなる。これにより、レーザ加工ヘッド3から出力されるレーザ光の波長を長波長化することができる。
【0121】
一方、図26に示すように、カム51を回転させ、三角形状のカム51の頂点部を回折格子13の上端部に当接させると、回折格子13は、付勢バネ41の付勢力に抗して反時計回り方向に回転する。
【0122】
このように、回折格子13を反時計回り方向に回転させ、レーザダイオード20に近付く方向に回折格子13を傾斜させると、回折格子13を傾斜させる前に比べて、レーザ光の入射角αが小さくなる。これにより、レーザ加工ヘッド3から出力されるレーザ光の波長を短波長化することができる。
【0123】
《その他の実施形態》
前記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0124】
本実施形態では、半導体レーザデバイス11を、複数のエミッタを有する半導体レーザバーや、複数の半導体レーザバーを積み重ねた半導体スタックで構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上説明したように、本発明は、レーザ光の焦点位置の調整速度を向上させることができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0126】
1 レーザ加工装置
3 レーザ加工ヘッド
6 制御部
10 レーザ発振器
13 回折格子
15 距離測定部
20 レーザダイオード
21 第1レーザダイオード(長波長レーザダイオード)
23 第3レーザダイオード(短波長レーザダイオード)
30 加工対象物
40 角度調整機構
50 角度調整機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26