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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042799
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】焚き火用材料
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
C10L5/44
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150140
(22)【出願日】2021-09-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】521407315
【氏名又は名称】土子 昌利
(74)【代理人】
【識別番号】100134212
【弁理士】
【氏名又は名称】提中 清彦
(72)【発明者】
【氏名】土子 昌利
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA13
4H015AB01
4H015BA01
4H015CA05
4H015CA06
4H015CB01
(57)【要約】
【課題】 運搬や保管などの取り使いが容易で、コツや熟練などを要することなく炎色反応を楽しむことができる焚き火用材料を提供する。
【解決手段】 本発明に係る焚き火用材料(燃焼用木材1)は、焚き火用材料の上面から下面に向けて縦方向に所定の切込み深さを持って形成された少なくとも1つの切り込み(S1~S8)と、焚き火用材料の横断面の中心付近に上面から下面に向けて縦方向に所定の深さを有する着火開始用開口(着火開始穴3)と、前記着火開始用開口より外周側で、焚き火用材料の横断面の中心から径方向に所定距離離れた場所に上面から下面に向けて所定深さで設けられた炎色反応剤を収容する炎色反応剤収容穴F1~F8と、前記炎色反応剤収容穴に収容された炎色反応剤と、前記炎色反応剤収容穴の上端側を塞ぐ蓋7と、を含んで構成したことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面が略円形或いは三角形以上の多角形である円柱状或いは多角柱状の焚き火用材料であって、
焚き火用材料の上面から下面に向けて縦方向に所定の切込み深さを持って形成された少なくとも1つの切り込みと、
焚き火用材料の横断面の中心付近に上面から下面に向けて縦方向に所定の深さを有する着火開始用開口と、
前記着火開始用開口より外周側で、焚き火用材料の横断面の中心から径方向に所定距離離れた場所の上面から下面に向けて、或いは焚き火用材料の側面から横断面の中心に向けて、所定深さで設けられ、炎色反応剤を収容する炎色反応剤収容穴と、
前記炎色反応剤収容穴に収容された炎色反応剤と、
前記炎色反応剤が収容された炎色反応剤収容穴の上端側を塞ぐ蓋と、
を含んで構成したことを特徴とする焚き火用材料。
【請求項2】
焚き火用材料の横断面の中心軸の周方向に前記切り込みが複数設けられている場合に、隣接する切り込みの間の実体部分に、前記炎色反応剤収容穴が設けられることを特徴とする請求項1に記載の焚き火用材料。
【請求項3】
前記炎色反応剤収容穴が複数存在する場合に、焚き火用材料の横断面の横断面の中心から当該炎色反応剤収容穴までの距離が異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の焚き火用材料。
【請求項4】
焚き火用材料の側面から横断面の中心に向けて延在され、前記着火開始用開口に収容された着火材に点火して着火させるための着火用横開口が設けられることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の焚き火用材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばキャンプなどにおいて燃焼させて、照明、暖房、加熱調理、観賞などの用に供する焚き火用材料(例えば丸太状の薪など)の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の焚き火用材料としては、例えば、特許文献1などに記載されているような「スウェーデントーチ」や「ウッドキャンドル」或いは「木こりのローソク」などと称される丸太状の木材がある。
このものは、図7(A)に示すように、丸太状の木材の上面から下面に向けて所定深さを有すると共に、横断面の略中心を通って半径方向に延びる何条かの切り込みが入れられている。切り込みは、丸太状の木材が縦方向に沿って割れて分割されてしまわないように、丸太状の木材の下端から所定距離を残すように入れられている。
【0003】
切り込みは、丸太状の木材の縦方向中心軸廻りに所定角度間隔で何条か形成されているが、これらの切り込みの交差部分は、丸太状の木材の横断面中心部付近であるが、その交差部分の上端から所定深さのところに、着火剤などを設置する。
【0004】
そして、着火剤に火をつけることで、丸太状の木材自身も燃焼し始め、その後の燃焼は上方及び径方向、更には下方に向かって徐々に進行して、全体が燃え尽きるまでの比較的長い時間、燃焼が継続されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3213970号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したスウェーデントーチなどと称される丸太状の焚き火用材料は、一般的な薪割りされた薪のように、燃焼中に薪を随時(適時)くべることなく、安定して長時間燃焼を継続させることができることから、照明(松明)、暖房、加熱調理、動物除けなどに利用する場合に好適である。
スウェーデントーチが幻想的に燃焼している様子を示したイメージ図を、図7(B)に示す。
【0007】
また、昨今では、キャンプなどにおいて、イベントの一つとして、スウェーデントーチの炎を観賞することなども行われている。
【0008】
この一方、例えば、キャンプファイヤー(比較的大きめのサイズに薪を組んだり積み上げたりして燃焼させるもの)などのイベントにおいては、その演出として、例えば、燃焼中のキャンプファイヤーに炎色反応剤(粒状或いは顆粒状の化学品)を投入して、その炎の色の変化を楽しむといったことも行われている。
【0009】
このような炎色反応剤は、例えば、小袋状にパッケージ(小分け)されてホームセンターなどの実店舗やネットショップなどで販売されているため、比較的容易に入手可能である。
【0010】
最近のキャンプブームにあっては、ソロキャンプやファミリーキャンプなどの少人数キャンプなどのプライベート的なキャンプに人気があり、キャンプファイヤーのような比較的規模の大きいイベントを行うことができない。このため、このようなキャンプ中のイベントとして、前述のスウェーデントーチの炎を観賞することなども行われているが、その際中に、炎色反応剤を投入することで炎の色の変化を楽しむこともできる。
【0011】
しかしながら、スウェーデントーチは丸太状でこれを立設させて使用するものであり、スウェーデントーチの炎の中に炎色反応剤を具合よく投入するには、その径が20~40センチ程度と比較的小径で投入の際の的としては小さいことから、火傷などの危険を伴うおそれがあり、コツや熟練を要するといった実情がある。
【0012】
また、プライベート的なキャンプの場合、テントや寝具、食材や調理器具などキャンプ場まで運んだり事前に準備するものが多く、スウェーデントーチとは別に炎色反応剤を準備して携帯することが面倒であると共に、炎色反応剤を家に置いてきてしまったり、キャンプ場まで持って来たとしてもどこかに紛失してしまったりして、せっかくのイベントが行えなくなってしまうことが懸念される。
【0013】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、運搬や保管などの取り使いが容易で、コツや熟練などを要することなく炎色反応を楽しむことができ、また炎色反応剤を紛失してイベントが行えなくなるといったことを防止できる焚き火用材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このため、本発明に係る焚き火用材料は、
横断面が略円形或いは三角形以上の多角形である円柱状或いは多角柱状の焚き火用材料であって、1
焚き火用材料の上面から下面に向けて縦方向に所定の切込み深さを持って形成された少なくとも1つの切り込みと、
焚き火用材料の横断面の中心付近に上面から下面に向けて縦方向に所定の深さを有する着火開始用開口と、
前記着火開始用開口より外周側で、焚き火用材料の横断面の中心から径方向に所定距離離れた場所に上面から下面に向けて所定深さで設けられた炎色反応剤を収容する炎色反応剤収容穴と、
前記炎色反応剤収容穴に収容された炎色反応剤と、
前記炎色反応剤が収容された炎色反応剤収容穴の上端側を塞ぐ蓋と、
を含んで構成したことを特徴とする。
【0015】
本発明において、焚き火用材料の横断面の中心軸の周方向に前記切り込みが複数設けられている場合に、隣接する切り込みの間の実体部分であって、当該横断面の中心付近に、前記炎色反応剤収容穴が設けられることを特徴とすることができる。
【0016】
本発明において、前記炎色反応剤収容穴が複数存在する場合に、横断面の中心からの距離が異なることを特徴とすることができる。
【0017】
本発明において、焚き火用材料の側面から横断面の中心に向けて延在され、前記着火開始用開口に収容された着火材に点火して着火させるための着火用横開口が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、運搬や保管などの取り扱いが容易で、コツや熟練などを要することなく炎色反応を楽しむことができ、また炎色反応剤を紛失してイベントが行えなくなるといったことを防止できる焚き火用材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態に係る焚き火用材料(燃焼用木材)の一例の全体構成を示す斜視図(斜め上方から見た図)である。
図2】同上焚き火用材料の上面を示す図(写真)である。
図3】同上焚き火用材料の正面を示す図(写真)である。
図4】同上焚き火用材料の下面を示す図(写真)である。
図5図2のA-A断面図である。
図6】同上焚き火用材料の着火後の燃焼の様子を示す図(写真)である。
図7】(A)は従来のスウェーデントーチの一構成例を示す斜視図であり、(B)はスウェーデントーチの燃焼の様子を示したイメージ図(オリジナルイラスト)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る一実施の形態を、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0021】
本実施の形態に係る燃焼用木材1は、図1図4に示すように、上面2と下面(底面)6を有するように木から切り出した丸太状(略円柱状)の外観を有している。そのサイズは、横断面形状である略円形の直径が約200mm程度で、高さ(或いは長さ)が約400mm程度のものが一例として考えられる。但し、数十mm程度の幅はあるため、直径は100~300mm程度の範囲、高さ(長さ)は200~500mm程度の範囲のものも想定される。
なお、燃焼用木材1は、本発明に係る焚き火用材料の一例に相当する。
【0022】
そして、この燃焼用木材(焚き火用材料)1には、その長手方向中心軸X廻りの所定角度位置(図1図2では略45°毎)に切り込み(スリット、切れ込み)S1~S8が設けられている。
切り込みS1~S8は、燃焼部への空気の取り込み通路などとして機能するもので、例えばチェーンソー、丸刃のこぎりなどを上面2から長手方向に沿って移動させて木材を削ることによって形成することができる。従って、各切り込みS1~S8は、それぞれが長手方向中心軸X廻りに(放射状に)略矩形状の凹部となっている。なお、切り込みの数は、燃焼部への空気の取り込み具合に影響するため、希望する燃焼のさせ方などに応じて変更可能であり、例えば周方向に少なくとも一つ以上設けることができると共に、複数周方向に設ける場合は必ずしも等間隔に設けなくても良いものである。
【0023】
切り込みS1、S5、S3、S7の深さは、例えば、上面2から100~180mm程度とすることができる(図1図3では120mm程度)。なお、S1とS5はチェーンソー等により同時に形成可能であり、S3とS6も同様である。
また、切り込みS2、S6、S4、S8の深さは、例えば、上面2から200~350mm程度とすることができる(図1図3では300mm程度)。なお、S2とS6はチェーンソー等により同時に形成可能であり、S4とS8も同様である。
但し、切り込みの深さは、燃焼部への空気の取り込み具合に影響するため、希望する燃焼のさせ方などに応じて調整可能であると共に、切り込みS1~S8をすべて同じ深さとしたり、すべて異ならせることなども可能である。
【0024】
切り込みS1(S2~S8も同様)の幅(厚み)Y(図1図3参照)は、約5~30mm程度、或いは約10~20mm程度とすることができる。また、切り込みの幅Yは、チェーンソーや丸刃のこぎりの歯の厚みに略相当するため、使用するチェーンソーや丸刃のこぎりの歯の厚みに応じて適宜変更可能である。また、切り込みの幅Yは、燃焼部への空気の取り込み具合に影響するため、希望する燃焼のさせ方などに応じて調整可能であると共に、切り込みS1~S8をすべて同じ厚みとしたり、すべて異ならせることなども可能である。
【0025】
また、図4に示すように、燃焼用木材1の燃焼部分に空気を供給するための空気穴5A、及び燃焼用木材1の下方部分の燃え残りを抑制するための空気穴5Bが、燃焼用木材1の下面(底面)6側に設けられている。本発明に係る空気用開口として機能する空気穴5A,5Bは、直径約15mm程度の穴で、空気穴5Aは長手方向中心軸Xと同軸的に設けられていると共に、空気穴5Bは長手方向中心軸Xの周囲に同心的に複数設けられている。
【0026】
図4では、空気穴5Bは、その中心が長手方向中心軸Xから約140~160mm程度の距離のところの長手方向中心軸Xを中心とする同心円上に設けられていると共に、長手方向中心軸X廻りに約90°毎に設けられている。
【0027】
また、空気穴5Aの燃焼用木材1の下面6からの深さは、ここでは約280mm程度、すなわち、後述する着火開始穴3の下端と連通することができる深さとする。但し、空気穴5Aの燃焼用木材1の下面6からの深さは、200mm程度などとすることも可能である。空気穴5Bの燃焼用木材1の下面(底面)6からの深さは、約100mm程度とすることができる。空気穴5A,5Bは、例えば、下面(底面)6から長手方向中心軸Xと略平行な方向に沿ってドリルなどによって切削(穿孔)することで設けることができる。
ここでは、空気穴5Aは着火開始穴3と貫通させる構成とすることができると共に、空気穴5Aは、切り込みS2とS6、S4とS8の底部に貫通させる構成とすることができる。
但し、空気穴5Bの数や配置やサイズは、特に限定されるものではなく、燃焼具合に応じて適宜に変更可能である。
また、空気穴5A、5Bに替えて、或いは空気穴5A、5Bと共に、図7に示したように、切り込みS1~S8とは中心軸X廻りの角度位置が異なる位置に、下面6から上面2方向へ延びる切り込みを設ける構成とすることも可能である。
【0028】
また、本実施の形態に係る燃焼用木材1には、図1図2図5に示すように、長手方向中心軸Xを中心軸とする着火開始穴3が設けられている。この着火開始穴3は、本発明に係る着火開始用開口の一例であり、直径約20~50mm程度とすることができ(ここでは例えば直径約30mm程度)、上面2からの深さ120mm程度とすることができる。着火開始穴3は、例えば、上面2から長手方向中心軸X上に沿ってドリルなどによって切削(穿孔)することで設けることができる。
但し、着火開始穴3が設けられる部位は、切り込みS1~S8が交差する部分であるため、当該交差する部分が着火開始用開口として機能するように開口されている場合には、ドリルなどによって切削(穿孔)することは省略できる場合もある。
【0029】
この着火開始穴3に、図5に示すように、着火剤(例えば、サイズ20(縦)×30(横)×40(厚さ)mm程度の固形着火剤など)を、上面2から120mmの所(底部に到達する)まで挿入して(落とし込んで)セットする。従って、この着火開始穴3は着火材設置穴とすることもできる。すなわち、本実施の形態においては、着火開始穴3と空気穴5Aとの接続部には段差があり、この段差部分に着火剤を保持(セット)することができるように構成されている。
着火剤は、市販されている入手容易なBBQ用などの固形着火剤(固形燃料)などとすることができる。例えば、サイコロ状、円柱状などの各種のタイプがあるので、それらを所定深さ入りまで挿入できその位置で保持できるものであれば、着火開始穴3の形状や径の大きさは特に限定されるものではない。また、本実施の形態に係る着火剤は、固形に限定されるものではなく、ある程度外形が変形するものであっても、着火開始穴3の所定深さまで挿入できその位置である程度保持できるものであれば、ある程度変形可能なものであっても採用することはできる。
【0030】
また、本実施の形態に係る燃焼用木材1には、着火剤開始穴3の所定深さにセットした着火剤に着火手段により着火するための着火用横穴4が設けられている。本発明に係る着火用横開口に相当する着火用横穴4は、直径が約10mm~20mm程度で、燃焼用木材1の側面の上面2から約150mm程度の位置に長手方向中心軸Xと交差する方向(例えば直交する方向)に沿って、例えば切り込みS1の下方で切り込みS1と略平行に開口されて、前記空気穴5Aを介して、着火開始穴3にセットされた着火剤まで連通されている。
【0031】
従って、この着火用横穴4に、細長いノズルの付いた着火ライター或いはガスバーナーなどの着火手段を挿入し、前述の着火剤に着火することが可能となっており、燃焼用木材1の燃焼を開始させることができるようになっている。
但し、着火剤(着火材)の側方から着火する構成とすることも可能であるため、着火用横穴4は、着火開始穴3にセットされた着火剤(着火材)に側方から着火手段を到達させて着火することが可能であれば、その開口位置は特に限定されるものではない。
また、上面2の中心部の空隙(図2図3の着火開始穴3や周辺の切り込みS1~S8等参照)より、着火ライターのノズル或いはガスバーナーなどの着火手段を挿入し、着火剤の上部に直接点火して着火させることも可能であるため、着火用横穴4は省略することもできる。
【0032】
具体的には、使用者が、着火用横穴4より着火ライターのノズルを挿し込み、着火剤の下部に直接点火して着火させると、一分程度で安定した炎が、上面2の中心部(着火開始穴3や切り込みS1~S8の交差部付近)から現れる。
着火剤が燃焼すると、炎は燃焼用木材1の中心側から外周側及び上面2側へ燃え広がり、遅れて下面の方向へ燃え進み、約1時間半前後燃え続けた後、燃焼が終了するようになっている。
【0033】
但し、本実施の形態に係る着火剤は、小枝、綿、紙などの着火材に変更可能である。更に、着火剤や着火材なしで、直接バーナーなどにより着火開始穴3の周辺を燃焼させて着火させることなども可能である。
【0034】
ここで、本実施の形態では、燃焼中の燃焼用木材1の炎に炎色反応剤を作用させて、その炎の色の変化を楽しむことができるように構成されている。
【0035】
炎色反応剤は、炎に緑や深紅や青や黄などの色をつけるもので、アルコールランプ用のアルコール、ステアリン酸、発色剤などを混合した薬品などを利用することができる。
発色剤は、発色させたい色によって、例えば、次の薬品の中などから選択することができる。例えば、緑色は「ほう酸」、黄色は「せっけんを細かく削ったもの」や「ナトリウム」、深紅は「塩化リチウム」、赤色は「塩化ストロンチウム」、橙色は「無水塩化カルシウム」、青色は「塩化カルシウム」、紫色は「ヨウ化カリウム」などが知られている。なお、市販されている炎色反応剤には、炭酸カルシウム、マグネシウム、銅粉、シリカ(二酸化ケイ素)などが含まれる場合もある。
【0036】
なお、例えば、アルコールにステアリン酸を混ぜた後、湯煎などにより温めながら上記発色剤を入れて完全に溶かしたら、冷却して固めて固形物とする。その後、細かく砕いて粒状或いは顆粒状の炎色反応剤などとすることができる。
このような粒状或いは顆粒状の炎色反応剤を発色ごとに作成し、これらを適宜に混合しておくことで、様々な色に変化する炎を観賞することができる。
【0037】
上記のように炎色反応剤は自分で作成することもできるが、比較的安価で安定した品質のものが実店舗やネット販売などで市販されているので、それらを利用することができる。
例えば、商品名「MAGICAL FLAMES」、「レインボーファイヤー」、「アートファイヤー」、「SNSファイアー」、「ミスティカルファイヤー」、「炎神」など種々のものがあるが、いずれも粒状或いは顆粒状で、保管や運搬などに適した安全な薬品の一種であり、取り扱いに関して特別な規制などはなく、取り扱いは容易である。但し、発色状態時の調理は、避けたほうが良い。
【0038】
ところで、既述したように、燃焼中のスウェーデントーチ(燃焼用木材1)の炎の中に、炎色反応剤を投入することで炎の色の変化を楽しむことができるが、炎の中に炎色反応剤を具合よく投入するには、火傷などの危険を伴うため、コツや熟練を要する。
例えば、上面2の中心部の空隙(図2図3の着火開始穴3や周辺の切り込みS1~S8等参照)より炎色反応剤を投入した場合などは、炎色反応剤が空隙の下方にまで落ちてしまうことが多く、このような場合には発色が燃焼用木材1の中心部下方内で発生し、上面2から出てくる炎に発色が現れ難くなってしまい、見栄えの良い観賞に貢献できなくなるおそれが高い。
【0039】
また、ソロキャンプやファミリーキャンプなどのプライベート的なキャンプの場合、燃焼用木材1とは別に炎色反応剤を準備して携帯することが面倒であると共に、炎色反応剤を紛失してしまって、せっかくの炎の色の変化を楽しむイベントが行えなくなってしまうことなども懸念される。
【0040】
このため、ここでは、炎色反応剤を燃焼用木材1に予め設置する構成とした。
具体的には、例えば、図1図2図5に示すように、直径約20mm程度の炎色反応剤収容穴F1~F8が、その中心が長手方向中心軸Xを中心とする同心円上に配置されるように設けられている。
そして、本実施の形態では、炎色反応剤収容穴F1~F8の中に、粒状或いは顆粒状の炎色反応剤を流し込んで、予め充填する(収容させる)。
【0041】
図1図2では、炎色反応剤収容穴F1~F8は、長手方向中心軸X廻り約45°毎であって、切り込みS1~S8の間の燃焼用木材1が存在する部分(燃焼用木材1の実体部分)に設けられている。
【0042】
炎色反応剤収容穴F1~F8の中心は、長手方向中心軸Xから約30~60mm程度の距離に同心的に設けられている。なお、図2図5の例では、炎色反応剤収容穴F1、F3、F5、F7の中心が長手方向中心軸Xから約50mm程度の距離とされ、炎色反応剤収容穴F2、F4、F6、F8の中心が長手方向中心軸Xから約30mm程度の距離とされている。
炎色反応剤収容穴F1~F8の深さは、例えば約50~80mm程度とすることができ、ここでは、上面2からの深さ80mm程度としている。炎色反応剤収容穴F1~F8は、例えば、上面2から長手方向中心軸Xと略平行な方向に沿ってドリルなどによって切削(穿孔)することで設けることができる。
但し、炎色反応剤収容穴F1~F8の下端側が、長手方向中心軸Xに向かうようにやや斜めに切削(穿孔)するような構成として、炎色反応剤の炎への供給状態を調整することも可能である。
また、例えば、燃焼用木材1の側面(外周面)の上端(上面2)から約50~150mmの位置から、長手方向中心軸Xに向けて斜めに直径20mm程度、側面からの深さ約50mmの穴を1以上開口させて、これを炎色反応剤収容穴とすることもできる。
【0043】
また、炎色反応剤収容穴F1~F8に充填(収容)した炎色反応剤が、燃焼用木材1を横にして置いたり運搬したときなどに、外部へ排出されてしまわないように、メクラ蓋7が炎色反応剤収容穴F1~F8の上部に嵌挿されている。メクラ蓋7は、燃焼用木材1と共に燃焼可能な材料とすることが好ましく、木材などから切り出して作成することができるが、例えば、市販の目隠し用の木製ダボなどを利用することも可能である。
なお、図1図2では、撮影用に炎色反応剤収容穴F1とF5にだけメクラ蓋7が嵌挿され(打ち込まれ)、残りの炎色反応剤収容穴には未嵌挿であるが、実際には炎色反応剤収容穴F1~F8のすべてにメクラ蓋7を嵌挿する(取り付ける)ことができる。
本実施の形態に係るメクラ蓋7が、本発明に係る蓋(或いは栓)の一例に相当する。
【0044】
ところで、本実施の形態に係る燃焼用木材1は、本発明に係る焚き火用材料の一例であり、山林等から伐採した木材から切り出した丸太状の木材などを乾燥させたものなどを利用することができるが、これに限らず、植物由来の燃焼可能な材料を主成分とするものであれば利用可能である。
例えば、所謂「オガライト」や「木質ブリケット」などを利用することができると共に、これに限らず、「針葉樹及び広葉樹の製材時に出るおがくずや、使い道のない或いは商品にならない木材、建築廃材、半端な木材、更には籾殻、葉や根などを細かく粉砕したものを固めたもの」など、植物由来の材料を利用することができる。
具体的には、例えば、オガライトや木質ブリケットは、おがくずや木屑等を主成分とし、直径は100~200mm程度の範囲、高さ(長さ)を200~400mm程度の範囲の円柱形に圧縮成型して外面を加熱することにより固めたもので、本発明に係る燃焼用木材1の素材として利用することができるが、おがくずに含まれるリグニンが粘結剤の役割をするため、添加物は使われないのでキャンプ等での使用において安全であるという利点がある。
なお、オガライト、木質ブリケット等の植物由来の燃焼可能な材料は、本発明に係る焚き火用材料の他の一例に相当する。
【0045】
以上のような炎色反応剤収容穴F1~F8に炎色反応剤を充填(収容)した燃焼用木材1は、例えば、以下のようにして、キャンプの際などにおいて、炎の色の変化を楽しむなどの観賞の用などに供することができる。
(1)まず、利用者は、最初のステップでは、入手容易な着火剤(固形燃料)を、着火剤設置穴3の上面2から120mmの所まで挿入して(落とし込んで)セットする(図5参照)。
(2)続くステップでは、利用者は、着火用横穴4より着火ライターのノズルを挿し込み、着火剤の下部に直接点火して着火させる(図5参照)。或いは、上面2の中心部の空隙(図2図3の着火開始穴3や周辺の切り込みS1~S8等参照)より、ガスバーナーなどの着火手段を挿入し、着火剤の上部に直接点火して着火させることもできる。
(3)着火後一分位で安定した炎が、上面2の中心部(着火剤設置穴3や切り込みS1~S2の交差部付近)から出現してくる。
(4)着火剤付近から開始された燃焼は、中心部から燃焼用木材1の外周側へ向けて及び上面2側へ向けて燃え広がり、遅れて燃焼用木材1の下面(底面)6側に対しても燃え進みます。
上記(3)、(4)の状態を撮影した写真を、図6に示す。
(5)更に燃焼が進み、炎色反応剤収容穴F1~F8に到達すると、内部の炎色反応剤が燃焼に作用するようになり、炎の色が変化して、その変化を観者は楽しむことができるようになる。なお、炎色反応剤収容穴の位置を中心部から30mm、50mmなどと異ならせることで、各炎色反応剤収容穴から供給される炎色反応剤を同時期に一度に燃焼に供給させるのではなく、時間差で中心部から外側に30mm程度離れたところの炎色反応剤収容穴F1、F3、F5、F7から先に炎色反応剤が供給され、遅れて中心部から外側に50mm程度離れたところの炎色反応剤収容穴F2、F4、F6、F8から炎色反応剤が供給されて順に少しずつ燃焼するため、例えば、青・緑・紫・黄・オレンジ・白色などの炎の色の変化(炎色反応)を40分程度の間、連続して観賞することができる。
なお、炎色反応剤収容穴を燃焼用木材1の側面から長手方向中心軸Xへ向けてその先端(下端)が下方を向くように斜めに設ける場合には、炎色反応剤収容穴の先端(下端)と、長手方向中心軸Xと、の距離を異ならせることで、上記と同様に時間差を持って炎色反応剤を供給することができ、比較的長い間、炎色反応)を連続して観賞することができる。
(6)炎の色の変化を楽しんだ後も、燃焼用木材1は数時間の間、燃え続けるため、調理、暖房、照明(光源)、炎の観賞などに利用することができる。
なお、調理(発色時は除く)の際には、例えば、燃焼用木材1の上面2の上で食材を焼くなどの調理を行うことができると共に、フライパンや鍋などの調理具を置くことで加熱調理が可能である。
【0046】
以上のように、本実施の形態に係る燃焼用木材1によれば、炎色反応剤収容穴を設け、その中に炎色反応剤を予め収容(充填)しメクラ蓋にて炎色反応剤収容穴を塞ぐようにしたので、収容(充填)した炎色反応剤が運搬時などにおいて外部へ排出等されることがなく取扱いが容易であると共に、着火後は自動的に炎色反応が開始されるためコツや熟練などを要することなく炎色反応を楽しむことができ、また炎色反応剤を紛失してイベントが行えなくなるといったおそれを防止することができるため、キャンプなどにおいて燃焼用木材1の炎の炎色反応を信頼性高く、簡単かつ安全に楽しむことができる。
【0047】
すなわち、本実施の形態によれば、運搬や保管などの取り扱いが容易で、コツや熟練などを要することなく炎色反応を楽しむことができ、また炎色反応剤を紛失してイベントが行えなくなるといったことを防止できる焚き火用材料を提供することができる。
【0048】
なお、本実施の形態に係る燃焼用木材1は、丸太状(円柱状)に限定されるものではなく、三角柱、四角柱などの多角柱、その他の形状とすることも可能である。
【0049】
なお、本実施の形態では、空気穴5A、5Bを設けた場合を例示したが、これらを省略したり、切り込み(スリット)とすることなども可能である。
【0050】
また、着火用横穴4については、より着火し易いようにするためのもであり、切り込みの隙間から着火ライターのノズルを挿入して着火できる場合などにおいては、省略することも可能である。
【0051】
また、本実施の形態に係る着火開始穴3、着火用横穴4、空気穴5A、5Bなどは、横断面形状は円形に限定されるものではなく、開口であれば採用可能である。
【0052】
なお、本発明に係る焚き火用材料においては、予め着火剤(例えば固形着火剤)を着火開始用開口内に保持した状態で販売することなども可能である。この場合の保持は着火開始用開口の内径と着火剤の外径の嵌め合いにより行わせたり、或いは、くさびや接着剤を利用して保持させることができる。
【0053】
本発明は、上述した発明の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 燃焼用木材(本発明に係る焚き火用材料の一例に相当)
2 上面
3 着火開始穴(本発明に係る着火開始用開口の一例に相当する)
4 着火用横穴(本発明に係る着火用横開口の一例に相当する)
5A,5B 空気穴(本発明に係る空気用開口の一例に相当する)
6 下面(底面)
7 メクラ蓋(本発明に係る蓋の一例に相当)
F1~F8 炎色反応剤収容穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7