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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042815
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】タッチスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20230320BHJP
   H01H 9/16 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
H01H36/00 L
H01H9/16 A
H01H36/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150164
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 康幸
【テーマコード(参考)】
5G046
5G052
【Fターム(参考)】
5G046AA01
5G046AB02
5G046AC24
5G046AD06
5G046AD13
5G046AD22
5G046AE02
5G052AA23
5G052BB10
5G052JA02
5G052JA07
5G052JB05
5G052JB12
5G052JC04
(57)【要約】
【課題】タッチスイッチの性能を下げることなくコスト低減を実現する。
【解決手段】ケース1と、ケース1の内部に収納され、静電容量の変化を検出するための電極21が表面にパターニングされた回路基板2と、電極21へ直に接触するように電極21の表面に配置され、光透過性及び弾性を有する誘電体から成る導光レンズ4と、導光レンズ4へ直に接触し、回路基板2へ向かって導光レンズ4を押し付けるようにケース1へ固定され、ユーザが指7を近づけることによって操作を行う操作面51を備えた操作パネル5と、導光レンズ4へ光を照射する発光素子21と、を備え、発光素子21から導光レンズ4へ照射された光が導光レンズ4を介して操作パネル5の操作面51へ出射される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースの内部に収納され、静電容量の変化を検出するための電極が表面にパターニングされた回路基板と、
前記電極へ直に接触するように前記電極の表面に配置され、光透過性及び弾性を有する誘電体から成る導光レンズと、
前記導光レンズへ直に接触し、前記回路基板へ向かって前記導光レンズを押し付けるように前記ケースへ固定され、ユーザが指を近づけることによって操作を行う操作面を備えた操作パネルと、
前記導光レンズへ光を照射する発光素子と、を備え、
前記発光素子から前記導光レンズへ照射された光が前記導光レンズを介して前記操作パネルの前記操作面へ出射されることを特徴とする静電容量型のタッチスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のタッチスイッチであって、
前記導光レンズ内に光拡散剤が分散して配置されており、
前記発光素子が前記導光レンズの側方に配置されて、前記発光素子から前記導光レンズの側面へ向けて光が照射されていることを特徴とするタッチスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量型のタッチスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術のタッチスイッチ10を図5図6及び図7に示す。図5はタッチスイッチ10の斜視図であり、図6はタッチスイッチ10の分解斜視図であり、図7図5におけるA-A線断面図である。図6に示すように、タッチスイッチ10は、ケース1、回路基板2、ハウジング3、導光レンズ4、操作パネル5及び電極シート6を備える。
【0003】
図7に示すように、電極シート6は操作パネル5に貼り付けられて回路基板2に接続している。タッチスイッチ10は、ユーザが指で操作パネル5をタッチすることによる静電容量の変化量を読み取ってタッチされたかどうか判定する。そして、この判定結果に基づき、タッチスイッチ10は、回路基板2に搭載された発光素子22を点灯または消灯させる。発光素子22が点灯すると、発光素子22から照射された光が導光レンズ4を透過して操作パネル5の操作面51へ到達するため、ユーザは発光素子22の点灯によりスイッチ操作が完了したことを認識できる。
【0004】
また、特許文献1には、導光レンズ内に光反射粒子が分散して配置され、発光素子が導光レンズの側方に配置されて、発光素子から導光レンズの側面へ向けて光が照射されるタッチスイッチが開示されている。特許文献1で開示されたタッチスイッチでは、側面から導光レンズに入射した光が光反射粒子によって乱反射するため、導光レンズに入射した光の一部が操作パネルの操作面へ向かって出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-087317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5図7に示す従来技術のタッチスイッチ10では、電極シート6を操作パネル5に貼り付けるため、電極シート6と操作パネル5との間に空気や異物が入らないように特殊な貼り付け工程が必要となる。また、電極シート6を操作パネル5に貼り付ける際に、貼り付け位置の位置ずれが生じないようにする工程も必要となる。そのため、従来技術のタッチスイッチ10は、製造コストが高くなっていた。
【0007】
そこで、本発明は、タッチスイッチの性能を下げることなくコスト低減を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るタッチスイッチは、ケースと、前記ケースの内部に収納され、静電容量の変化を検出するための電極が表面にパターニングされた回路基板と、前記電極へ直に接触するように前記電極の表面に配置され、光透過性及び弾性を有する誘電体から成る導光レンズと、前記導光レンズへ直に接触し、前記回路基板へ向かって前記導光レンズを押し付けるように前記ケースへ固定され、ユーザが指を近づけることによって操作を行う操作面を備えた操作パネルと、前記導光レンズへ光を照射する発光素子と、を備え、前記発光素子から前記導光レンズへ照射された光が前記導光レンズを介して前記操作パネルの前記操作面へ出射されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るタッチスイッチによれば、導光レンズに誘電体を用いて、静電容量の変化を検出するための電極を回路基板にパターニングすることにより、電極シートを操作パネルに貼り付ける工程が不要となるため、タッチスイッチの性能を下げることなくコスト低減を実現することができる。
【0010】
本発明のタッチスイッチの一態様において、前記導光レンズ内に光拡散剤が分散して配置されており、前記発光素子が前記導光レンズの側方に配置されて、前記発光素子から前記導光レンズの側面へ向けて光が照射されてもよい。
【0011】
この態様によれば、発光素子が導光レンズの側方に配置されるため、タッチスイッチ全体の厚さを低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、タッチスイッチの性能を下げることなくコスト低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施形態のタッチスイッチの斜視図である。
図2】本実施形態のタッチスイッチの分解斜視図である。
図3図1におけるB-B線断面図である。
図4】本実施形態のタッチスイッチに指を近づけた状態を示す図である。
図5】従来技術のタッチスイッチの斜視図である。
図6】従来技術のタッチスイッチの分解斜視図である。
図7図5におけるA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態のタッチスイッチ20について説明する。図1はタッチスイッチ20の斜視図であり、図2はタッチスイッチ20の分解斜視図である。図2に示すように、タッチスイッチ20は、ケース1と、ケース1に収納される回路基板2と、ハウジング3と、導光レンズ4と操作パネル5を備える。なお、図2では、後述する電極21及び発光素子22の記載を省略している。
【0015】
回路基板2は、ハウジング3の下面に設けられた位置決めピンでハウジング3に位置決めされ、ケース1とハウジング3との間に挟み込まれて固定される。ハウジング3には、ケース1の方向へ向かって突出し、中央に穴が形成された10個の爪31が設けられている。ケース1の側面の外壁には、ハウジング3の爪31に対応する位置に10箇所の突出部11が設けられている。ハウジング3をケース1に固定すると、ハウジング3の爪31に形成された穴へケース1の突出部11が挿入される。ケース1にはネジ穴12が形成されており、ハウジング3にはネジが貫通するネジ用貫通孔32が形成されており、ネジをハウジング3のネジ用貫通孔32を通してケース1のネジ穴12に入れて締めることにより、ハウジング3がケース1に固定される。
【0016】
タッチスイッチ20は、7個の導光レンズ4を備える。そして、ハウジング3には、7箇所のレンズ用貫通孔33が形成されている。7個の導光レンズ4は、ハウジング3のレンズ用貫通孔33の中にそれぞれ配置される。導光レンズ4は、シリコーンゴム等の光透過性及び弾性を有する誘電体から成り、光拡散剤が添加されて、内部に光拡散剤が分散して配置されている。
【0017】
図3は、図1におけるB-B線断面図である。図3に示すように、回路基板2の表面には電極21がパターニングされており、導光レンズ4は電極21に直に接触するように電極21の表面に配置される。なお、図3には、1つの導光レンズ4しか描かれていないが、7つの導光レンズ4は、全て電極21に直に接触するように電極21の表面に配置される。そして、7つの導光レンズ4の側方には、それぞれ両側に1つずつ発光素子22が配置される。発光素子22はLED(Light Emitting Diode)であって、回路基板2に搭載される。発光素子22は、図3に矢印で示すように、導光レンズ4の側面へ向けて光を照射する。
【0018】
操作パネル5は、7つの導光レンズ4に直に接触し、回路基板2へ向かって導光レンズ4を押し付けるようにハウジング3にビス止め又は爪嵌合等の方法により固定される。このように、弾性を有する導光レンズ4が操作パネル5と回路基板2の間に挟み込まれるように固定されるため、導光レンズ4と操作パネル5の間に空気が入らないように密着され、導光レンズ4と電極21との間に空気が入らないように密着される。
【0019】
操作パネル5は、ユーザが指を近づけることによってタッチスイッチ20の操作を行う操作面51を備える。操作パネル5はABS樹脂又はポリカーボネート等の誘電体で構成され、表面は、塗装、スパッタ、蒸着又はフィルムインサートにより、ピアノブラック調又は金属メッキ調に加工されている。ただし、操作面51のマーク52が設けられた部分は、このように塗装等はなされておらず、光が透過することができる。操作パネル5の操作面51には、フィルムインサート成形、印刷、塗装又はレーザーカットにより、発光素子22が点灯した際に浮かび上がるマーク52が設けられている。
【0020】
図4は、操作パネル5の操作面51に指7を近づけた状態を示す図である。図4に示すように、操作パネル5に指7を近づけると、指7と電極21の間に挟まれた操作パネル5及び導光レンズ4が誘電体であり、指7と電極21の間の静電容量が変化するため、静電容量の増減量によってタッチスイッチ20はスイッチのON/OFFの判定を行うことができる。そして、スイッチをONと判定した場合は、タッチスイッチ20は発光素子22を点灯させる。発光素子22が点灯すると、図3に矢印で示すように導光レンズ4の側面に光が照射される。すると、既に述べたように導光レンズ4内には光拡散剤が分散して配置されているため、側面から導光レンズ4へ入射した光が光拡散剤によって乱反射し、光の一部が図3の矢印で示すように導光レンズ4から操作パネル5の操作面51へ向かって出射される。このように、発光素子22が点灯すると、操作面51へ向かって光が出射されるため、操作面51へ出射された光を目視してユーザはスイッチ操作が完了したことを認識することができる。
【0021】
タッチスイッチ20は、指7と電極21との間に構成されるコンデンサの静電容量の変化量を検出するため、タッチスイッチ20の感度を向上するためには、導光レンズ4の誘電率を高くして、指7と電極21の距離を小さくした方が良い。そのため、導光レンズ4は比誘電率4以上として、図4に示す導光レンズ4の厚さTを4ミリメートル以下とすることが望ましい。
【0022】
タッチスイッチ20は、導光レンズ4に誘電体を用いることによって、静電容量の変化を検出するための電極21を回路基板2にプリントすることが可能となる。このように電極21がパターニングされることにより、タッチスイッチ20は、図5図7に示す従来技術のタッチスイッチ10とは異なり、電極シート6を操作パネル5に貼り付ける工程が不要となるため、タッチスイッチ20の性能を下げることなくコスト低減を実現することができる。
【0023】
また、タッチスイッチ20は、図5図7に示す従来技術のタッチスイッチ10とは異なり、導光レンズ4の側方に発光素子22が配置されるため、導光レンズ4の厚さTを薄くすることができる。このように導光レンズ4の厚さTを薄くできる上、操作パネル5に貼り付ける電極シート6が不要となるため、図5図7に示す従来技術のタッチスイッチ10と比較して、タッチスイッチ20全体の厚さを低減することができる。また、このように導光レンズ4を薄くすることにより、操作面51にタッチした指7と電極21との距離を近づけることができるため、タッチスイッチ20の感度を向上することができる。
【0024】
<実施形態の補足>
本開示のタッチスイッチは、上述した形態に限定されず、本開示の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。例えば、導光レンズの数は7個に限らず、7個よりも多くても少なくてもよい。また、発光素子が導光レンズの側方の片側のみに配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 ケース、2 回路基板、3 ハウジング、4 導光レンズ、5 操作パネル、6 電極シート、7 指、10,20 タッチスイッチ、11 突出部、12 ネジ穴、21 電極、22 発光素子、31 爪、32 ネジ用貫通孔、33 レンズ用貫通孔、51 操作面、52 マーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7