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特開2023-42867固定リング、回転電機、およびレゾルバロータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042867
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】固定リング、回転電機、およびレゾルバロータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 24/00 20060101AFI20230320BHJP
   H02K 1/28 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
H02K24/00
H02K1/28 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150263
(22)【出願日】2021-09-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小手川 創
(72)【発明者】
【氏名】久田 秀樹
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA08
5H601CC04
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601EE18
5H601GA02
5H601GA38
5H601GA40
5H601JJ05
5H601KK14
(57)【要約】
【課題】回転軸に対するレゾルバロータの変位を抑制し、レゾルバロータを位置決め固定するための荷重を適切に調整可能な固定リングを提供する。
【解決手段】固定リングは、幅狭部と、幅広部と、第1片部をそれぞれ複数備える。幅狭部は、平行に対向した環状の第1面および第2面に設けられ、外周面から外周面の内向きの法線方向にみた幅が最も狭い。幅広部は、第1面および第2面に設けられ、各々の幅狭部よりも幅が広い。第1片部は、各々の幅広部に設けられ、第1面側に曲がる第1曲がり部を起点に弾性変形する。第1面と平行な仮想平面に幅広部および第1片部を投影した写像形状において、各々の第1片部の第1曲がり部は、当該第1片部が設けられた幅広部の外周縁に対する外接円の接点と外接円の中心点とを通る直線と交差する。各々の第1片部は、当該第1片部の内周縁に対する内接円と第1曲がり部との間に位置する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に対向した環状の第1面および第2面に設けられ、前記第1面の外周縁と前記第2面の外周縁との間を接続する外周面から前記外周面の内向きの法線方向にみた幅が最も狭い複数の幅狭部と、
前記第1面および前記第2面に設けられ、各々の前記幅狭部よりも前記幅が広い複数の幅広部と、
各々の前記幅広部にそれぞれ設けられ、前記第1面側に曲がる第1曲がり部を起点に当該幅広部の前記法線方向へ弾性変形可能な複数の第1片部と、を備え、
前記第1面と平行な仮想平面に複数の前記幅広部および複数の前記第1片部を投影した写像形状において、各々の前記第1片部の前記第1曲がり部は、当該第1片部が設けられた前記幅広部の外周縁に対する外接円の接点と前記外接円の中心点とを通る直線と交差しており、各々の前記第1片部は、当該第1片部の内周縁に対する内接円と前記第1曲がり部との間に位置する
固定リング。
【請求項2】
前記第1面および前記第2面の周方向において各々の前記幅広部の前記第1片部と隣接して配置され、前記第2面側に曲がる第2曲がり部を起点に前記第1面と前記第2面の距離の方向へ弾性変形可能な複数の第2片部をさらに備え、
前記仮想平面に複数の前記第1片部および複数の前記第2片部を投影した写像形状において、各々の前記第2片部は、当該第2片部と隣接する前記第1片部の内周縁に対する内接円の外側に位置する
請求項1に記載の固定リング。
【請求項3】
前記仮想平面に複数の前記第1片部および複数の前記第2片部を投影した写像形状において、各々の前記第2片部は、前記第1面および前記第2面の周方向に当該第2片部と隣接する前記第1片部の内周縁に対する内接円の外側で当該内接円の径方向へ突出する第1突起を有する
請求項2に記載の固定リング。
【請求項4】
前記仮想平面に複数の前記第1片部および複数の前記第2片部を投影した写像形状において、前記第1面および前記第2面の周方向に前記第2片部と隣接して配置され、各々の前記第1片部の内周縁に対する内接円の外側で前記第1面と前記第2面の距離の方向へ起立するリブをさらに備える
請求項2に記載の固定リング。
【請求項5】
前記仮想平面に複数の前記第1片部を投影した写像形状において、複数の前記第1片部の一つは、それ以外の前記第1片部の内周縁に対する内接円よりも内側に当該内接円の径方向へ突出する第2突起を有する
請求項1から4のいずれか一項に記載の固定リング。
【請求項6】
中心軸を中心に回転するシャフトと、
前記シャフトと同心に固定された回転子と、
前記回転子と対向配置された固定子と、
所定の極数を有し、請求項2に記載の固定リングで前記回転子と同心に前記シャフトに固定されたレゾルバロータと、を備えた回転電機であって、
前記第1片部および当該第1片部と前記周方向に隣接する前記第2片部は、前記レゾルバロータの極ごとに配置される
回転電機。
【請求項7】
平行に対向した環状の第1面および第2面に設けられ、前記第1面の外周縁と前記第2面の外周縁との間を接続する外周面から前記外周面の内向きの法線方向にみた幅が最も狭い複数の幅狭部と各々の前記幅狭部よりも前記幅が広い複数の幅広部とを有する複数の鉄心が積層され、
積層方向の一端に位置する前記鉄心は、各々の前記幅広部にそれぞれ設けられ、前記第1面側に曲がる第1曲がり部を起点に当該幅広部の前記法線方向へ弾性変形可能な複数の第1片部を備え、
前記第1面と平行な仮想平面に複数の前記幅広部および複数の前記第1片部を投影した写像形状において、各々の前記第1片部の前記第1曲がり部は、当該第1片部が設けられた前記幅広部の外周縁に対する外接円の接点と前記外接円の中心点とを通る直線と交差しており、各々の前記第1片部は、当該第1片部の内周縁に対する内接円と前記第1曲がり部との間に位置する
レゾルバロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、固定リング、回転電機、およびレゾルバロータに関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機においては、回転軸の回転角度を検出するために回転角度センサが広く用いられている。回転角度センサの一つであるレゾルバは、例えば回転電機の回転軸に固定され、該回転軸と一体に回転するレゾルバロータと、該レゾルバロータの外周と対向して配置されるレゾルバステータを備えて構成される。かかるレゾルバは、レゾルバロータとレゾルバステータとの間の対向間隔(ギャップ)の変化を測定し、回転軸の回転角度を検出する。
【0003】
回転角度の検出精度を高めるため、レゾルバロータは、回転軸に対するレゾルバロータ自体の変位を極力抑制する必要がある。例えば、回転軸にキー溝を形成し、レゾルバロータにキー形状を設けることで、レゾルバロータを周方向に位置決めする方法が従来から採用されている。また、例えばレゾルバロータを回転軸に隙間嵌めした後、カラーなどの部材を回転軸に圧入してレゾルバロータを軸方向に押圧することで、レゾルバロータの軸方向への変位の抑制が可能である。加えて、カラーなどの部材とレゾルバロータとの間に生じる摩擦力により、レゾルバロータの周方向および径方向への変位も抑制可能となる。
【0004】
その一方で、回転軸に圧入された所定の部材でレゾルバロータを軸方向に押圧して位置決めする場合、回転軸に対するレゾルバロータの変位を抑制するために作用させる荷重(押圧力)を適切に調整することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-64870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、回転軸に対するレゾルバロータの変位を抑制し、レゾルバロータを位置決め固定するための荷重を適切に調整可能な固定リング、該固定リングで固定されたレゾルバロータを備えた回転電機、前記のような変位抑制および荷重調整が可能なレゾルバロータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の固定リングは、幅狭部と、幅広部と、第1片部とをそれぞれ複数備える。前記幅狭部は、平行に対向した環状の第1面および第2面に設けられ、前記第1面の外周縁と前記第2面の外周縁との間を接続する外周面から前記外周面の内向きの法線方向にみた幅が最も狭い。前記幅広部は、前記第1面および前記第2面に設けられ、各々の前記幅狭部よりも前記幅が広い。前記第1片部は、各々の前記幅広部にそれぞれ設けられ、前記第1面側に曲がる第1曲がり部を起点に当該幅広部の前記法線方向へ弾性変形可能である。前記第1面と平行な仮想平面に複数の前記幅広部および複数の前記第1片部を投影した写像形状において、各々の前記第1片部の前記第1曲がり部は、当該第1片部が設けられた前記幅広部の外周縁に対する外接円の接点と前記外接円の中心点とを通る直線と交差する。かかる写像形状において、各々の前記第1片部は、当該第1片部の内周縁に対する内接円と前記第1曲がり部との間に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の固定リングを備えた回転電機の回転子を概略的に示す斜視図。
図2】実施形態の固定リングを備えた回転電機の回転子を概略的に示す断面図。
図3】実施形態の固定リングを概略的に示す斜視図。
図4】実施形態の固定リングの各部を仮想平面上に投影した写像形状により概略的に示す図。
図5図3に示す固定リングを一部拡大し、突起を概略的に示す斜視図。
図6】実施形態の固定リングにおいて、突起にリブを設けた変形例の一例を概略的に示す斜視図。
図7】固定リングをレゾルバロータのレゾルバロータ構成体の一つとして構成した実施形態の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る固定リング、回転電機、およびレゾルバロータについて、図1から図7を参照して説明する。固定リングは、回転電機の構想要素の一つであり、レゾルバロータを該回転電機の回転軸に固定するための部材である。回転電機としては、各種の電動機や発電機などを適用できるが、本実施形態ではインナーロータ型の発電機を一例として適用する。レゾルバロータは、回転体の回転状態を検出するレゾルバの構成要素である。レゾルバは、回転体の回転状態として回転角度を検出する回転角度センサであり、主たる構成要素としてレゾルバロータとレゾルバステータを備えている。本実施形態において、レゾルバロータは、回転電機の回転軸に固定され、該回転軸と一体に回転する部材である。レゾルバステータは、レゾルバロータの外周と対向して配置され、レゾルバロータに対して変位しない部材である。これにより、レゾルバは、レゾルバロータとレゾルバステータとの間の対向間隔(ギャップ)の変化を測定し、回転軸の回転角度を検出する。
【0010】
図1および図2には、本実施形態に係る回転電機の回転子10を概略的に示す。図1は、回転子10を概略的に示す斜視図である。図2は、回転子10を概略的に示す断面図である。
図1および図2に示すように、回転電機は、筒状の固定子(図示省略)と、固定子の内側に配置された略円柱状の回転子10を備えて構成されている。回転子10は、固定子とともに回転軸Sの軸心Cと同心状に位置付けられ、回転軸Sとともに軸心Cを中心として回転する。以下の説明においては、回転電機における回転軸Sの軸心Cに沿った方向を軸方向とし、軸心C周りを周方向とする。周方向は、回転軸Sの回転方向に相当する。また、軸方向および周方向と直交する方向を径方向とし、径方向において軸心Cに近づく側を内、離れる側を外とする。
【0011】
レゾルバロータ1は、複数の板状の部材(以下、レゾルバロータ構成体という)2が積層されて構成されている。レゾルバロータ構成体2は、鋼板を同一形状、同一寸法の環状に成形して構成され、中心部に円形の開口21を有している。レゾルバロータ構成体2は、開口21を同心状に連通させて積層されている。このようにレゾルバロータ構成体2が積層されて開口21が連通することで、レゾルバロータ1の中心部に貫通孔1aが生成される。開口21の差渡し径(内径)は、回転軸Sの外周部に隙間嵌め可能な寸法とされている。これにより、レゾルバロータ1は、回転軸Sの外周に貫通孔1aが隙間嵌めされ、回転軸Sに取り付け可能とされている。
【0012】
また、レゾルバロータ構成体2の外周縁の輪郭(以下、外周形状という)は、レゾルバステータとのギャップを変化させる非円形とされている。例えば、レゾルバロータ構成体2は、対向するレゾルバステータの内周部の曲率よりも大きな同一の曲率を有する複数の幅広部22が周方向に並んだ外周形状をなしている。周方向に隣り合う幅広部22は、幅狭部23を介して連続している。幅狭部23は、レゾルバロータ構成体2の外周形状が凹状に窪み、隣り合う幅広部22によって形成される外周形状の差渡し径が最小となる部位である。すなわち、レゾルバロータ構成体2は、幅広部22と幅狭部23とが交互に連続し、外周縁において幅広部22と幅狭部23の各外周形状が交互に連続した平面形状をなす。本実施形態では一例として、幅広部22および幅狭部23は、それぞれ四つずつ設けられ、軸心Cを中心として点対称となるように配置されている。ただし、これらの数は特に限定されない。なお、レゾルバロータ構成体2は、後述する回転軸Sのキー溝S3に噛み合うキーを内周縁の一部に有していてもよい。
【0013】
レゾルバにおいて、レゾルバロータ1をレゾルバステータに対して回転させることで、両者のギャップを周期的に変化させることができる。このとき、ギャップの変化に基づいて、レゾルバロータ1が取り付けられた回転軸Sの回転角度が検出される。例えば、回転軸Sの回転中に、レゾルバステータに巻回されたコイルに電流を流して磁界を形成すると、この磁界中でレゾルバロータ1が回転する。したがって、その際の磁束の変化状態を検出することで、回転軸Sの回転角度が検出可能となる。このようにレゾルバロータ1とレゾルバステータを備えて構成されるレゾルバは、回転軸Sの回転に伴って回転するレゾルバロータの回転角度に応じた回転角度信号を制御装置(図示省略)に出力する。これにより、制御装置は、出力された回転角度信号に基づいて回転電機の回転制御を行う。
【0014】
レゾルバロータ1は、回転軸Sの外周に貫通孔1aが隙間嵌めされた状態で、回転軸Sの座面部S1で軸方向に支持されている。図2に示すように、座面部S1は、回転軸Sの外周部における大径部位と小径部位との間の径差によって生ずる段差部分であり、周方向に亘って連続した環状の平面部分である。図2に示す例では、レゾルバロータ1は、軸方向の端面(図2では下面、以下、一端面という)1bが座面部S1に突き当てられ、座面部S1に面接触している。この場合、レゾルバロータ1は、軸方向の上方から貫通孔1aが回転軸Sに圧入された状態で一端面1bが座面部S1に突き当てられている。
【0015】
このように一端面1bを座面部S1に面接触させた状態で、レゾルバロータ1は、回転軸Sに対して固定部材3で支持されている。
図3は、固定部材3を概略的に示す斜視図である。図2および図3に示すように、固定部材(以下、固定リングという)3は、回転軸Sに圧入可能な環状の部材であり、座面部S1との間でレゾルバロータ1を挟み込んで位置決め固定する。固定リング3は、温度変化によるレゾルバロータ1の固定状態の変化を抑制させるべく、例えば線膨張係数が回転軸Sと同等の素材で形成されればよいが、具体的な素材は特に限定されない。
【0016】
図3に示すように、固定リング3は、環状の平板部30と、平板部30に設けられた二形態の突出部分を備えている。平板部30は、レゾルバロータ1の軸方向の端面(以下、他端面という)1cに沿って延在している。他端面1cは、軸方向における一端面1bの反対側の面であり、図2に示す例では上面である。平板部30は、固定リング3が回転軸Sに圧入され、レゾルバロータ1を位置決め固定した状態で、他端面1cと接触する。かかる状態において、平板部30の外周縁の輪郭(外周形状)は、レゾルバロータ1の外周形状よりも一回り小さな非円形とされている。これにより、平板部30の外周縁がレゾルバロータ1の外周縁からはみ出すことを防ぎ、レゾルバが検出する磁束変化、つまり回転軸Sの回転角度の検出精度に与える影響が抑えられている。
【0017】
平板部30は、幅狭部30bと幅広部30aを有している。幅狭部30bは、平行に対向した平板部30の第1面301および第2面302にそれぞれ設けられ、平板部30の外周面303から外周面303の内向きの法線方向にみた幅が最も狭い部位である。法線方向は径方向に相当する。平板部30の外周面303は、第1面301の外周縁と第2面302の外周縁との間を接続する面部である。幅広部30aは、平板部30の第1面301および第2面302に設けられ、幅狭部30bよりも幅が広い部位である。第1面301および第2面302は、軸方向の両端における各端面であり、第2面302はレゾルバロータ1の他端面1cと接触する面である。
【0018】
幅広部30aは、レゾルバロータ構成体2の幅広部22の曲率よりも大きな同一の曲率で周方向に湾曲した外周形状をなしている。周方向に隣り合う幅広部30aは、幅狭部30bを介して連続している。幅狭部30bは、平板部30の外周形状が凹状に窪み、隣り合う幅広部30aによって形成される外周形状の差渡し径が最小となる部位である。すなわち、平板部30は、幅広部30aと幅狭部30bとが交互に連続した平面形状をなす。本実施形態では一例として、幅広部30aおよび幅狭部30bは、それぞれレゾルバロータ構成体2と同数の四つずつ設けられ、軸心Cを中心として点対称となるように配置されている。ただし、これらの数は特に限定されず、レゾルバロータ構成体2と一致していなくともよい。
【0019】
平板部30は、二形態の突出部分として、複数の第1片部31および複数の第2片部32を有している。第1片部31および第2片部32は、それぞれ平板部30に対するばね片として機能する。図3に示す例では、平板部30には、四つの第1片部31と、八つの第2片部32がそれぞれ設けられている。ただし、これらの数はこれに限定されない。
【0020】
第1片部31は、各々の幅広部30aのそれぞれに一つずつ設けられ、平板部30の第1面301側に曲がる第1曲がり部31xを起点に弾性変形可能とされている。これにより、各々の第1片部31は、幅広部30aの外周面303から外周面303の内向きの法線方向へ、端的には径方向の内向きに、第1曲がり部31xを起点に弾性変形する。すなわち、第1片部31はばね片として機能する。
【0021】
図4は、固定リング3の各部を仮想平面上に投影した写像形状により概略的に示す図である。図4に示す所定の写像形状において、各々の第1片部31の第1曲がり部31xは、該第1片部31が設けられた幅広部30aの外周縁に対する外接円O31の接点P31と該外接円O31の中心点とを通る直線L31と交差している。所定の写像形状は、平板部30の第1面301と平行な仮想平面に、複数の幅広部30a、複数の第1片部31および複数の第2片部32を投影した写像の形状である。以下の説明では、仮想平面上の写像形状という。外接円O31の中心点は、軸心Cと仮想平面との交点である。また、写像形状において、各々の第1片部31は、当該第1片部31の内周縁に対する内接円I31と第1曲がり部31xの間に位置する。内接円I31の中心点は、軸心Cと仮想平面との交点である。
【0022】
第1片部31は、回転軸Sの外周面S2に接触する接触部31aを有している。接触部31aは、第1片部31における径方向の先端部(延出端部)である。固定リング3が回転軸Sに圧入される際、第1片部31は、接触部31aが外周面S2に接触することで、外周面S2から押圧され、外側に反るように平板部30に対して弾性変形する。そして、固定リング3がレゾルバロータ1を位置決め固定した状態、換言すれば平板部30がレゾルバロータ1の他端面1cに接触した状態で、接触部31aは、第1片部31の弾性変形の復元力で外周面S2を押圧する。これにより、第1片部31は、回転軸Sに対して固定リング3(端的には平板部30)を径方向および軸方向に支持し、位置決め固定する。
【0023】
接触部31aと外周面S2との接触態様は、点接触に近いほど、接触部31aから外周面S2に押圧力を集中的に作用させることが可能となる。したがって、固定リング3をより強固に回転軸Sに対して位置決めするためには、接触部31aは外周面S2と面接触よりも線接触や点接触させることが好ましい。このような観点から本実施形態において、接触部31aは、外周面S2の曲率よりも大きな曲率で凹状に湾曲した形態とされている。これにより、接触部31aは、周方向の両端31b,31cの二点で外周面S2とそれぞれ接触(ほぼ点接触)する。
【0024】
図4に示す仮想平面上の写像形状において、各々の第1片部31の第1曲がり部31xは、直線L31と交差している。すなわち、第1片部31は、径方向における平板部30の幅(外内径差)が最大の部位、つまり幅広部30aにおいて最も径方向の外側に突出する(膨らんだ)部位と、仮想平面上で径方向にみてラップして幅広部30aに配置されている。これにより、第1片部31が平板部30に対して弾性変形する際に起点となる部位、つまり第1曲がり部31xにおける平板部30の幅を最大限確保できる。このように第1片部31とラップする幅広部30aの部位は、径方向と軸方向により規定される所定平面での平板部30の断面積が最大となる部位に相当する。したがって、例えば第1片部31の幅(径方向の長さ)を広げた場合であっても平板部30の幅を最大限確保でき、固定リング3の強度低下を抑えることができる。
【0025】
図3に示すように、本実施形態の固定リング3(平板部30)は、四つの第1片部31を有している。図4に示す仮想平面上の写像形状において、複数の第1片部31のうちの一つ(第1片部311)は、それ以外の第1片部31の内周縁に対する内接円I31よりも内側に該内接円I31の径方向へ突出する突起(第2突起)312を有している。突起312は、回転軸Sに対する固定リング3の回り止めを図り、固定リング3を周方向、換言すれば回転軸Sの回転方向に位置決めするキー(以下、キー312という)である。このため、回転軸Sには、キー312に対応するキー溝S3が形成されている。回転軸Sへの圧入時、固定リング3は、キー312がキー溝S3と噛み合うように周方向に位置合わせされる。
【0026】
図3に示すように、キー312は、第1片部311の接触部31aにおける周方向のほぼ中間に位置し、該接触部31aの周方向の両端31b,31c、つまり回転軸Sの外周面S2との接触部位よりも、キー溝S3の深さに応じた分だけ径方向に突出している。図4に示す仮想平面上の写像形状においては、内接円I31の半径r2とキー312の内周縁に対する内接円I312の半径r1との差分だけ、キー312は突出している。キー312は、回転軸Sに対して固定リング3を周方向に位置決めすればよいため、周方向の両端部313が図1に示すキー溝S3の溝壁S31に接触すればよく、先端部(突出端部)314は溝底S32に接触していなくともよい。なお、キー312およびキー溝S3は、省略してもよいし、複数設けても構わない。
【0027】
図3に示すように、第2片部32は、平板部30の第1面301および第2面302の周方向において、各々の幅広部30aの第1片部31と隣接して配置され、平板部30の第2面302側に曲がる第2曲がり部32xを起点に弾性変形可能とされている。図3に示す例では、第2片部32は、基端部32aと接触部32bとを有し、基端部32aに対して接触部32bを弾性変形させることが可能なばね片として構成されている。第2曲がり部32xは、基端部32aに設けられている。
【0028】
図4に示す仮想平面上の写像形状において、各々の第2片部32は、該第2片部32と隣接する第1片部31の内周縁に対する内接円I31の外側に位置する。また、第2片部32は、第1片部31の近傍に配置されている。本実施形態では、基端部32aと第1片部31とが周方向に直接連続することなく、所定の間隔をあけて配置されている。図3に示す固定リング3には、一つの第1片部31を挟んで周方向の両側に一つずつ、第2片部32が配置されている。これら第1片部31およびその両側の第2片部32を一組として構成されるばね片は、例えばレゾルバが有する磁極の配置に合わせて平板部30に配置される。図3に示す例では、四組の要素がレゾルバの磁極配置に合わせて、換言すればレゾルバロータ1の極ごとに配置されている。
【0029】
図4に示す仮想平面上の写像形状において、基端部32aは、平板部30の内周から平板部30と平行に、図1に示す回転軸Sの外周面S2、端的には軸心Cに向かって延びている。基端部32aの径方向への延出長さは、平板部30の内周から平行に延びて平板部30に対して傾斜しない分だけ、第1片部31の径方向への延出長さよりも短い。
【0030】
接触部32bは、基端部32aから周方向に沿って、隣り合う第1片部31から遠ざかる向きに延びている。また、接触部32bは、レゾルバロータ1の他端面1cに近づくように基端部32a、端的には平板部30に対して第2面302側へ傾斜して延びている。図3に示す例では、第1片部31が軸方向の上向きに傾斜しているのに対し、接触部32bは軸方向の下向きに傾斜している。すなわち、接触部32bは、第1片部31と軸方向の逆向きに傾斜している。径方向における接触部32bの幅(径方向の長さ)は、基端部32aの径方向への延出長さよりも小さい。接触部32bは、平板部30の内周から径方向に離間して延在するとともに、回転軸Sの外周面S2から離間して延在する。このように延在する接触部32bは、基端部32aからの屈曲部位である第2曲がり部32xを起点に、基端部32aに対して弾性変形可能なばね片として構成される。
【0031】
固定リング3が回転軸Sに圧入されると、接触部32bは、レゾルバロータ1の他端面1cと接触することで、他端面1cから押圧され、上側に反るように基端部32aに対して弾性変形する。そして、平板部30がレゾルバロータ1の他端面1cに接触した状態で、接触部32bは、弾性変形の復元力で他端面1cを押圧する。これにより、接触部32bは、レゾルバロータ1を回転軸Sの座面部S1に向けて押し付ける。すなわちこの状態で、固定リング3は、座面部S1との間にレゾルバロータ1を挟み込んで軸方向に位置決め固定する(図1に示す状態)。
【0032】
このとき、第1片部31は、接触部31aが回転軸Sの外周面S2を弾性変形の復元力で押圧しており、かかる復元力で接触部32bが弾性変形することにより生ずる軸方向への荷重(押圧力)を吸収し、平板部30のねじれなどの変形を抑制する。図3に示す例では、一つの第1片部31を挟んで周方向の両側に、第2片部32が一つずつ配置されているため、より効果的に平板部30の変形が抑制可能となっている。この場合、第1片部31を挟んだ周方向の両側の第2片部32の接触部32bは、それぞれ周方向の逆向きに延びている。
【0033】
このように本実施形態によれば、固定リング3が第1片部31および第2片部32を有することで、固定リング3を回転軸Sに対して軸方向および径方向に位置決めすることができる。同時に、固定リング3がこのように位置決めされることで、固定リング3と座面部S1との間にレゾルバロータ1を挟み込んで位置決め固定することができる。その際、接触部32bがレゾルバロータ1を押圧する際に生じる平板部30を変形させる力を、第1片部31の弾性変形の復元力、つまり回転軸Sの外周面S2を押圧する力で吸収できる。すなわち、第1片部31および第2片部32から作用される押圧力を適切に調節しつつ、レゾルバロータ1の回転軸Sに対する変位を抑制できる。また、該押圧力による平板部30の変形を抑制でき、平板部30とレゾルバロータ1の他端面1cとの接触領域、換言すれば摩擦領域を適切に確保できる。その結果、レゾルバロータ1の回転軸Sに対する変位を適切に抑制でき、レゾルバによる回転角度の検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0034】
レゾルバロータ1の変位を抑制して回転軸Sに対してレゾルバロータ1を適切に位置決め固定するためには、回転軸Sと固定リング3とが同心状に位置付けられる必要がある。例えば、固定リング3の中心が回転軸Sの軸心Cからずれた状態では、四つの第1片部31の弾性変形時の形態にばらつきが生じてしまう。このようなばらつきが生じると、各々の第1片部31の接触部31aが回転軸Sの外周面S2を押圧する力もばらつき、該押圧力が均等に作用されなくなる。結果として、固定リング3を回転軸Sに対して適切に支持することができず、回転軸Sに対してレゾルバロータ1を適切に位置決め固定できないおそれがある。
【0035】
このため、図3から図5に示すように、固定リング3は、回転軸Sへの圧入時に、その中心を回転軸Sの軸心Cと同心状に位置付けるための突起33,34を有している。図5は、図3に示す固定リング3を一部拡大し、突起33,34を概略的に示す斜視図である。突起33,34は、第1片部31および第2片部32とは異なり、いずれも平板部30に対するばね片としては機能しない。したがって、突起33,34は、平板部30に対して弾性変形しない、もしくは第1片部31および第2片部32のようには大きく弾性変形せずにそのままの形態を維持する。
【0036】
図4に示す仮想平面上の写像形状において、各々の第2片部32は、該第2片部32と周方向に隣接する第1片部31の内周縁に対する内接円I31の外側で、該内接円I31の径方向へ突出する突起(第1突起)33を有する。換言すれば、突起33の内周縁に対する内接円I33の半径r3は、内接円I31の半径r2よりも大きい。内接円I33の中心点は、軸心Cと仮想平面との交点である。
【0037】
図3および図5に示す例では、突起33は、第2片部32の基端部32aに設けられており、基端部32aの一部として構成されている。突起33は、基端部32aの径方向における先端部(延出端部)の一部から基端部32aと平行に、図1に示す回転軸Sの外周面S2、端的には軸心Cに向かって延びている。突起33の径方向への延出長さは、回転軸Sの外周面S2に接触しない寸法とされている。突起33の径方向における先端部(延出端部)は、図4に示す仮想平面上の写像形状における輪郭が凸状に湾曲した形態とされている。したがって、突起33は、最も内側に突出する(膨らんだ)部位で回転軸Sへの圧入時に外周面S2とほぼ点接触可能となる。
【0038】
第2片部32の基端部32aは、第1片部31の近傍に配置されている。このため、回転軸Sへの圧入時に第1片部31が弾性変形すると、各々の第2片部32の突起33は、第1片部31の近傍で外周面S2と接触する。その際、突起33は、第1片部31および第2片部32とは異なり、いずれも平板部30に対してほぼ弾性変形しないため、固定リング3の中心を回転軸Sの軸心Cと同心状に位置付ける機能を果たす。これにより、固定リング3の回転軸Sへの圧入時、例えば四つの第1片部31をほぼ均等に弾性変形させることができ、各々の第1片部31の接触部31aで回転軸Sの外周面S2をほぼ均等に押圧できる。したがって、固定リング3を回転軸Sに対して適切に支持することができ、回転軸Sに対してレゾルバロータ1を適切に位置決め固定可能となる。固定リング3が回転軸Sへ圧入された後、突起33は、外周面S2とは接触せず、非接触状態に位置付けられる。
【0039】
図4に示す仮想平面上の写像形状において、突起34は、第2片部32と周方向に隣接して配置されている。図4に示す例では、突起34は、各々の第1片部31の内周縁に対する内接円I31の外側に位置する。また、突起34は、各々の突起33の内周縁に対する内接円I33の外側に位置する。すなわち、突起34の内周縁に対する内接円I34の半径r4は、内接円I33の半径r3よりも大きい。内接円I34の中心点は、軸心Cと仮想平面との交点である。このように、突起34は、第1片部31および第2片部32とは別に平板部30に設けられた突出部分である。突起34は、平板部30の内周から平板部30と平行に、図1に示す回転軸Sの外周面S2、端的には軸心Cに向かって延びている。突起34の径方向への延出長さは、回転軸Sの外周面S2に接触しない寸法とされている。
【0040】
突起34は、外周面S2と接触せず、対向する対向部34aを有している。対向部34aは、突起34の先端部(延出端部)である。対向部34aは、例えば外周面S2の曲率以上の曲率で凹状に湾曲した形態とされている。
【0041】
突起34は、径方向における平板部30の幅(外内径差)が最小の部位、つまり幅狭部30bと仮想平面上で径方向にみてラップするように、幅狭部30bを含んで配置されている。このように突起34とラップする平板部30の部位は、径方向と軸方向により規定される所定平面での平板部30の断面積が最小となる部位に相当する。したがって、かかる部位に突起34を配置することで、その分だけ前記断面積が拡大されるため、平板部30、端的には固定リング3の強度を高めることができる。図3に示す例では、四つの突起34が設けられ、軸心Cを中心として点対称となるように配置されている。この場合、各々の突起34は、第1片部31とこれを挟んだ周方向両側の第2片部32からそれぞれ構成される上述した四組の要素同士の間に配置されている。ただし、突起34の数は限定されない。また、固定リング3が適切な強度を保つことができれば、突起34は省略可能である。
【0042】
なお、固定リング3の強度をさらに高めるため、突起34に補強部を設けてもよい。図6には、突起34に補強部35を設けた変形例に係る固定リング3aの一例を概略的に示す。なお、固定リング3aにおける補強部35以外の構成は、固定リング3と同様であるため、図面上で同一符号を付して説明を省略する。図6に示す例では、補強部35は、突起34の先端部である対向部34aに位置し、該対向部34aから平板部30の第1面301と第2面302の距離の方向、つまり軸方向に起立している。これにより、補強部35は、固定リング3、特に平板部30の幅狭部30b近傍の強度を高めるリブとして機能する。補強部35の起立方向は、レゾルバロータ1の他端面1cから遠ざかる向き(本実施形態では上向き)である。
【0043】
以上、本発明の実施形態(変形例を含む)を説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0044】
上述した実施形態では、レゾルバロータ1と固定リング3とを別体として構成している。これに代えて、例えば固定リングをレゾルバロータのレゾルバロータ構成体の一つとして構成してもよい。
【0045】
図7には、このように固定リングをレゾルバロータのレゾルバロータ構成体の一つとして構成した実施形態の一例を示す。図7に示す例では、レゾルバロータ4は、レゾルバロータ1と同様に、複数のレゾルバロータ構成体5が積層されて構成されている。ただし、軸方向の所定側に位置するレゾルバロータ構成体51は、固定リング3の第2片部32の形態を変形した形態とされている。軸方向の所定側は、上述した実施形態における軸方向の他端側であり、レゾルバロータ4が回転軸Sの座面部S1と接触する側とは反対側である。この場合、レゾルバロータ構成体51は、固定リング3の第2片部32から接触部32bを省略した形態となっている。すなわち、レゾルバロータ構成体51は、接触部32b以外により奏される固定リング3の作用効果と同等の作用効果を奏する。なお、上述した固定リング3(図3)と同等の構成要素については、図面上で同一符号を付す。
【0046】
図7に示すように、レゾルバロータ4は、レゾルバロータ構成体5である複数の鉄心(以下、鉄心5という)が積層されて構成されている。各々の鉄心5は、幅広部22および幅狭部23を有している。幅狭部23は、平行に対向した鉄心5の第1面501および第2面502に設けられ、鉄心5の外周面503から外周面503の内向きの法線方向にみた幅が最も狭い部位である。法線方向は径方向に相当する。鉄心5の外周面503は、第1面501の外周縁と第2面502の外周縁との間を接続する面部である。幅広部22は、鉄心5の第1面501および第2面502に設けられ、幅狭部23よりも幅が広い部位である。
【0047】
積層方向の一端に位置する鉄心5(レゾルバロータ構成体51)は、複数の第1片部31を有している。第1片部31は、固定リング3における第1片部31と同等の部位である。第1片部31は、各々の幅広部22のそれぞれに一つずつ設けられ、鉄心5の第1面501側に曲がる第1曲がり部31xを起点に弾性変形可能とされている。これにより、各々の第1片部31は、幅広部22の外周面503から外周面503の内向きの法線方向へ、端的には径方向の内向きに、第1曲がり部31xを起点に弾性変形する。すなわち、第1片部31はばね片として機能する。
【0048】
図4に示す仮想平面上の写像形状に準じ、これと同等の写像形状において、各々の第1片部31の第1曲がり部31xは、該第1片部31が設けられた幅広部22の外周縁に対する外接円の接点(外接円O31の接点P31と同等)と該外接円の中心点とを通る直線(直線L31と同等)と交差している。かかる写像形状は、鉄心5の第1面501と平行な仮想平面に、複数の幅広部22、複数の第1片部31および複数の第2片部32を投影した写像の形状である。また、かかる写像形状において、各々の第1片部31は、当該第1片部31の内周縁に対する内接円(内接円I31と同等)と第1曲がり部31xの間に位置する。かかる内接円の中心点は、軸心Cと仮想平面との交点である。
【0049】
図7に示すように、鉄心であるレゾルバロータ構成体51は、固定リング3における接触部32b以外の各部、具体的には第1片部31、第2片部32の基端部32a、キー312、および突起33,34などに相当する部分を有している。また、レゾルバロータ構成体5,51は、幅広部22と幅狭部23とが交互に連続し、外周縁において幅広部22と幅狭部23の各外周形状が交互に連続した平面形状をなしている。レゾルバロータ4において、レゾルバロータ構成体51と、それ以外のレゾルバロータ構成体5とは、例えばかしめなどにより軸方向に連結され、一体化されている。
【0050】
レゾルバロータ4をこのようにレゾルバロータ構成体51を含む構成としても、レゾルバロータ4の回転軸Sに対する変位を抑制する力を適切に調整し、回転軸Sに対してレゾルバロータ4を適切に位置決め固定することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1,4…レゾルバロータ、1a…貫通孔、1b…一端面(下面)、1c…他端面(上面)、2,5,51…レゾルバロータ構成体、3…固定部材(固定リング)、10…回転子、21…開口、22…幅広部、23…幅狭部、30…平板部、30a…幅広部、30b…幅狭部、31,311…第1片部、31a…接触部、31x…第1曲がり部、32x…第2曲がり部、312…突起(キー)、32…第2片部、32a…基端部、32b…接触部、33…突起、34…突起、34a…対向部、35…補強部(リブ)、301,501…第1面、302,502…第2面、303,503…外周面、C…軸心、I31,I33,I312…内接円、L31…直線、P31…接点、S…回転軸、S1…座面部、S2…外周面、S3…キー溝。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に対向した環状の第1面および第2面に設けられ、前記第1面の外周縁と前記第2面の外周縁との間を接続する外周面から前記外周面の内向きの法線方向にみた幅が最も狭い複数の幅狭部と、
前記第1面および前記第2面に設けられ、各々の前記幅狭部よりも前記幅が広い複数の幅広部と、
各々の前記幅広部にそれぞれ設けられ、前記第1面側に曲がる第1曲がり部を起点に当該幅広部の前記法線方向へ弾性変形可能な複数の第1片部と、
前記第1面および前記第2面の周方向において各々の前記幅広部の前記第1片部と隣接して配置され、前記第2面側に曲がる第2曲がり部を起点に前記第1面と前記第2面の距離の方向へ弾性変形可能な複数の第2片部と、を備え、
前記第1面と平行な仮想平面に複数の前記幅広部および複数の前記第1片部を投影した写像形状において、各々の前記第1片部の前記第1曲がり部は、当該第1片部が設けられた前記幅広部の外周縁に対する外接円の接点と前記外接円の中心点とを通る直線と交差しており、各々の前記第1片部は、当該第1片部の内周縁に対する内接円と前記第1曲がり部との間に位置し、
前記仮想平面に複数の前記第1片部および複数の前記第2片部を投影した写像形状において、各々の前記第2片部は、当該第2片部と隣接する前記第1片部の内周縁に対する内接円の外側に位置する
固定リング。
【請求項2】
前記仮想平面に複数の前記第1片部および複数の前記第2片部を投影した写像形状において、各々の前記第2片部は、前記第1面および前記第2面の周方向に当該第2片部と隣接する前記第1片部の内周縁に対する内接円の外側で当該内接円の径方向へ突出する第1突起を有する
請求項に記載の固定リング。
【請求項3】
前記仮想平面に複数の前記第1片部および複数の前記第2片部を投影した写像形状において、前記第1面および前記第2面の周方向に前記第2片部と隣接して配置され、各々の前記第1片部の内周縁に対する内接円の外側で前記第1面と前記第2面の距離の方向へ起立するリブをさらに備える
請求項に記載の固定リング。
【請求項4】
前記仮想平面に複数の前記第1片部を投影した写像形状において、複数の前記第1片部の一つは、それ以外の前記第1片部の内周縁に対する内接円よりも内側に当該内接円の径方向へ突出する第2突起を有する
請求項1からのいずれか一項に記載の固定リング。
【請求項5】
中心軸を中心に回転するシャフトと、
前記シャフトと同心に固定された回転子と、
前記回転子と対向配置された固定子と、
所定の極数を有し、請求項に記載の固定リングで前記回転子と同心に前記シャフトに固定されたレゾルバロータと、を備えた回転電機であって、
前記第1片部および当該第1片部と前記周方向に隣接する前記第2片部は、前記レゾルバロータの極ごとに配置される
回転電機。
【請求項6】
平行に対向した環状の第1面および第2面に設けられ、前記第1面の外周縁と前記第2面の外周縁との間を接続する外周面から前記外周面の内向きの法線方向にみた幅が最も狭い複数の幅狭部と各々の前記幅狭部よりも前記幅が広い複数の幅広部とを有する複数の鉄心が積層され、
積層方向の一端に位置する前記鉄心は、各々の前記幅広部にそれぞれ設けられ、前記第1面側に曲がる第1曲がり部を起点に当該幅広部の前記法線方向へ弾性変形可能な複数の第1片部と、前記第1面および前記第2面の周方向において各々の前記幅広部の前記第1片部と隣接して配置され、前記第2面側に曲がる第2曲がり部を起点に前記第1面と前記第2面の距離の方向へ弾性変形可能な複数の第2片部と、を備え、
前記第1面と平行な仮想平面に複数の前記幅広部および複数の前記第1片部を投影した写像形状において、各々の前記第1片部の前記第1曲がり部は、当該第1片部が設けられた前記幅広部の外周縁に対する外接円の接点と前記外接円の中心点とを通る直線と交差しており、各々の前記第1片部は、当該第1片部の内周縁に対する内接円と前記第1曲がり部との間に位置し、
前記仮想平面に複数の前記第1片部および複数の前記第2片部を投影した写像形状において、各々の前記第2片部は、当該第2片部と隣接する前記第1片部の内周縁に対する内接円の外側に位置する
レゾルバロータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
実施形態の固定リングは、幅狭部と、幅広部と、第1片部と、第2片部とをそれぞれ複数備える。前記幅狭部は、平行に対向した環状の第1面および第2面に設けられ、前記第1面の外周縁と前記第2面の外周縁との間を接続する外周面から前記外周面の内向きの法線方向にみた幅が最も狭い。前記幅広部は、前記第1面および前記第2面に設けられ、各々の前記幅狭部よりも前記幅が広い。前記第1片部は、各々の前記幅広部にそれぞれ設けられ、前記第1面側に曲がる第1曲がり部を起点に当該幅広部の前記法線方向へ弾性変形可能である。前記第2片部は、前記第1面および前記第2面の周方向において各々の前記幅広部の前記第1片部と隣接して配置され、前記第2面側に曲がる第2曲がり部を起点に前記第1面と前記第2面の距離の方向へ弾性変形可能である。前記第1面と平行な仮想平面に複数の前記幅広部および複数の前記第1片部を投影した写像形状において、各々の前記第1片部の前記第1曲がり部は、当該第1片部が設けられた前記幅広部の外周縁に対する外接円の接点と前記外接円の中心点とを通る直線と交差する。かかる写像形状において、各々の前記第1片部は、当該第1片部の内周縁に対する内接円と前記第1曲がり部との間に位置する。前記仮想平面に複数の前記第1片部および複数の前記第2片部を投影した写像形状において、各々の前記第2片部は、当該第2片部と隣接する前記第1片部の内周縁に対する内接円の外側に位置する。