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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042885
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】不動産の電子契約支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20230320BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150284
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】397072639
【氏名又は名称】株式会社デジタルガレージ
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】横山 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】青山 太紀
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC28
(57)【要約】
【課題】不動産契約の申込から契約の成立までの申込者やその申込者を担当する担当者などの関係者の負担を軽減するための支援システムを提供する。
【解決手段】
上記課題の解決ため、売主と買主との不動産契約を、売主仲介会社及び買主仲介会社を介しておこなう不動産契約システムにおいて、前記不動産の売主と買主の個人特定用のメールアドレスとして、売主ないし買主が通常使用するメールアドレスとは別の電子契約用のメールアドレスを、前記不動産の電子契約支援システム内で使用するメールアドレスとして設定することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
売主と買主との不動産契約を、売主仲介会社及び買主仲介会社を介しておこなう不動産の電子契約支援システムにおいて、
前記不動産の売主と買主の個人特定用のメールアドレスとして、売主ないし買主が通常使用するメールアドレスとは別の電子契約用のメールアドレスを、前記不動産の電子契約支援システム内で使用する電子契約用メールアドレスとして設定することを特徴とする不動産の電子契約支援システム。
【請求項2】
前記不動産の電子契約支援システムが、
メインサーバ装置10の記憶部101において、物件D/B101A、利用仲介担当D/B101B、相手仲介担当D/B101C、契約者D/B及び電子契約用メールアドレスD/B101D、タスク管理D/B101F、及び、これらのD/Bから抽出された電子契約用情報を格納する電子契約用D/B101Gを備え、
前記記憶部101には、さらに、前記電子契約用D/B101Gに格納された情報に基づいて契約書類をアップロードし、必要情報を記入した書類を収容する送付書類収容部101Eを備え、
個別の契約ごとに契約用のメールアドレスを生成する電子契約用メールアドレス生成部104、担当物件の一覧表示をおこなう担当物件管理部102、及び、契約の進捗状況を管理するステータス管理部103を備え、
前記担当物件管理部102、前記ステータス管理部103を通じて、利用仲介会社の営業担当者がそれぞれの売買契約の進捗状況を管理し、予め設定した承認ルートに沿って契約承認者が契約承認者端末60を用いて契約書類の承認をおこない、外部サーバ装置20を通じて、社内承認が済んだ契約書類を売主、買主、及び相手仲介会社に送付する機能を有する請求項1に記載の不動産の電子契約支援システム。
【請求項3】
前記不動産の電子契約システム内で、売主ないし買主の契約当事者の一方からの電子契約用メールアドレスに宛てたメールは他方の契約当事者及びその仲介担当者には転送されないが、電子サインサービスからの電子契約用メールアドレスに宛てたメールのみを契約当事者の通常使用するメールアドレスに転送するよう設定されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の不動産の電子契約支援システム。
【請求項4】
売主と買主との不動産契約を、売主仲介会社及び買主仲介会社を介しておこなう不動産の電子契約支援方法において、
前記不動産の売主と買主の個人特定用のメールアドレスとして、売主ないし買主が通常使用するメールアドレスとは別の電子契約用のメールアドレスを、前記不動産の電子契約支援方法において使用する電子契約用メールアドレスとして設定することを特徴とする不動産の電子契約支援方法。
【請求項5】
前記不動産の電子契約支援方法が、
メインサーバ装置10の記憶部101において、物件D/B101A、利用仲介担当D/B101B、相手仲介担当D/B101C、契約者D/B及び電子契約用メールアドレスD/B101D、タスク管理D/B101Fに所定情報を登録し、これらの情報から抽出された電子契約用情報を電子契約用D/B101Gに記憶し、
前記記憶部101の送付書類収容部101Eにおいて、電子契約用D/B101Gに格納された情報に基づいて契約書類をアップロードし、
電子契約用メールアドレス生成部104において個別の取扱物件ごとに契約用のメールアドレスを生成し、担当物件管理部102において担当物件の一覧表示をおこない、及び、ステータス管理部103において契約の進捗状況を管理し、
前記担当物件管理部102、前記ステータス管理部103を通じて、利用仲介会社の営業担当者がそれぞれの売買契約の進捗状況を管理し、予め設定した承認ルートに沿って契約承認者が契約承認者端末60を用いて契約書類の承認をおこない、外部サーバ装置20を通じて、社内承認が済んだ契約書類を売主、買主、及び相手仲介会社に送付する工程を有する請求項4に記載の不動産の電子契約支援方法。
【請求項6】
前記不動産の電子契約支援方法において、売主ないし買主の契約当事者の一方からの電子契約用メールアドレスに宛てたメールは他方の契約当事者及びその仲介担当者には転送されないが、電子サインサービスからの電子契約用メールアドレスに宛てたメールのみを契約当事者の通常使用するメールアドレスに転送することを特徴とする請求項4又は5に記載の不動産の電子契約支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中古不動産をはじめとする不動産の電子契約支援システムおよび電子契約支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット技術,IT技術の高度化に伴い、各業界でインターネットを用いた様々な物品の販売システムが提案されている。戸建住宅、新築分譲マンション、中古住宅の販売についても、営業担当者や顧客を始めとする関係者の負担を軽減するためのシステムが提案されている。
【0003】
例えば、マンションなどの住宅の所有者が住み替えの必要性が生じた場合、新たに購入する住宅の物件の選定は種々の条件を比較して行う必要がある。すなわち、現在所有している物件を売却し、売却代金を新たに購入する物件の購入費用に充当する場合、所有している物件の売却価格がどのくらいになるかは新たに購入する物件の選定に重要な要素となる。
【0004】
この点に関し、特許文献1に示すように、現在所有している物件の売却価格を加味した住み替え物件の購入条件を簡易に提供する住替え支援システムが提案されている。
この支援システムの利用者は、現在所有している物件の売却価格を加味した住み替え物件の購入条件を簡易に入手することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6535726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、戸建住宅の建築契約や、新築分譲マンション、戸建住宅、中古住宅、投資・事業用ビルなどの売買契約、建築物や土地等の不動産取引の貸付金を返済するためのローン契約、賃貸住宅、貸店舗・事務所・テナント・駐車場などの賃貸契約、住宅や駐車場などの管理委託契約(以下、不動産契約という)において、特に戸建住宅の建築契約や、新築分譲マンション、戸建住宅、中古住宅の売買契約や、建築物や土地等の不動産取引の貸付金を返済するためのローン契約の際に、事前に資金計画書を作成することが多い。資金計画書は、契約の締結を申し込んだ申込者によっては適切に記入することが困難な事項が含まれているので、申込者毎に営業担当者が任命され、この営業担当者が申込者の収入の状況などを聞いた後、資金計画書を作成することが多い。
また、戸建住宅の建築契約や、新築分譲マンション、戸建住宅、中古住宅の売買契約や、建築物や土地等の不動産取引の貸付金を返済するためのローン契約の際には、契約内容の確認等のために覚書が必要とされるが、覚書は、その契約内容によって異なる内容の複数種類の覚書を必要とすることもある。
【0007】
そのため、例えば、覚書の作成を契約担当者が担当する場合のように、資金計画書を作成した営業担当者とは別の者が担当することになると、資金計画書の作成の際に申込者から得た情報の中に、複数の覚書から必要な内容の覚書を選ぶための情報が含まれていても、その情報が営業担当者から契約担当者に伝わっていない場合には、契約担当者が申込者から改めて必要な情報を聴取することになり、申込者の負担が大きかった。
また、不動産契約の申込から契約の成立までの間に途中で担当者が代わると、申込者への書類の送付漏れや、書類の記入漏れが生じるなど、進捗管理上の問題が生じやすく、それらの問題を防ぐために担当者の負担が大きかった。
そのため、不動産契約の申込から契約の成立までの間に途中で担当者が代わっても、担当者や申込者の負担を軽減するためのシステムが望まれている。
【0008】
本発明の発明者らは、上記した課題を解決するために、不動産契約の申込から契約の成立までの申込者やその申込者を担当する担当者などの関係者の負担を軽減するための支援システムに関する発明を特許出願している(特願2020-85700号)。
ところで、特に中古不動産の売買契約の場合、売主と買主との間の不動産契約を、売主仲介会社の担当者及び買主仲介会社の担当者を介して締結することが一般的におこなわれている。このような場合には、契約締結作業に上記四者(売主、買主、売主仲介会社担当者、買主仲介会社担当者)が関与する関係上、上記した一般的な電子商取引には見られない特有の問題が発生することが明らかになった。
【0009】
すなわち、中古不動産仲介業務においては、通常は売主と買主の間にそれぞれの不動産仲介会社が介在することで、煩雑な取引業務が適切かつ円滑に行われている。これを、電子契約システムを用いて電子商取引の形態でおこなおうとした場合、契約書及び契約書に関する合意締結証明書の作成過程において、本人認証の必要から契約当事者の氏名とメールアドレスを確認することがおこなわれる。その結果、契約当事者の使用するメールアドレスが契約関係者らに明らかになってしまう。
【0010】
そうすると、売主又は買主の一方当事者側の仲介会社担当者が、相手方当事者の仲介会社を介さずに相手方当事者と売買契約の交渉してしまう状況が発生することや、一方当事者側の仲介会社から、相手方当事者の仲介会社を介さずに、相手方当事者に直接に多量の営業メールが送られてしまう状況が発生することが考えられる。
このような状況が発生すると、相手方仲介会社が適正な取引手数料を得る機会が失われてしまったり、相手方仲介会社は、自らの営業努力の結果の成果を、上記相手方仲介会社に不当に奪われてしまうことに発展しかねない。
【0011】
このような問題は、売主、買主の当事者、及び両当事者のそれぞれの仲介会社という四者が関与する中古不動産の電子商取引において発生する特有の問題である。中古不動産の電子商取引は、このような特有の問題を解決して初めて実現可能な電子商取引であり、本発明はこの問題を解決する手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の不動産契約支援システムは、上記の課題を解決するためになされたもので、その構成は、売主と買主との不動産契約を、売主仲介担当者及び買主仲介担当者を介しておこなう不動産契約システムにおいて、前記不動産の売主と買主の個人特定用のメールアドレスとして、売主ないし買主が普段使用するとは別の電子契約用メールアドレスを、前記不動産契約システム内で使用するメールアドレスとして設定することを特徴とする。
【0013】
また、前記売主ないし買主の電子契約用メールアドレスは、それぞれの契約相手方および契約相手方の仲介担当者には秘匿することが好ましい。
また、前記不動産契約システム内で、売主ないし買主の一方から他方の電子契約用メールアドレスに宛てたメールは、他方の契約当事者の通常使用するメールアドレスには転送されないが、電子サインサービスからの電子契約用メールアドレスに宛てたメールのみを、契約当事者の通常使用するメールアドレスに転送するよう設定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、中古不動産契約の申込から契約の成立までの、申込者やその申込者を担当する仲介会社の担当者などの関係者の負担を軽減するための不動産契約支援システムにおいて、売主又は買主の一方の契約当事者のメールアドレスを、他方の契約当事者及びその仲介会社に秘匿して契約を締結するシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電子契約用メールアドレス生成システムを示す図である。
図2】本件不動産の電子契約支援システムの構成を示す図である。
図3】物件データベースのデータ構成を示す図である。
図4】利用仲介担当データベースのデータ構成を示す図である。
図5】相手仲介担当データベースのデータ構成を示す図である。
図6】契約者データベース及び電子契約用メールアドレスデータベースのデータ構成を示す図である。
図7】送付書類収容部のデータ構成を示す図である。
図8】タスク管理データベースのデータ構成を示す図である。
図9】電子契約用データベースのデータ構成を示す図である。
図10】契約書類データベースのデータ構成を示す図である。
図11】個別契約情報データベースのデータ構成を示す図である。
図12】契約状況データベースのデータ構成を示す図である。
図13】送付先データベースのデータ構成を示す図である。
図14】システム管理者端末の構成を示す図である。
図15】本支援システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の中古不動産をはじめとする不動産の電子契約支援システム(以下、本支援システムという。)は、電子商取引の形態でおこなわれる中古不動産等の不動産契約締結の作業を支援するシステムである。
ここで、不動産についての電子契約とは、戸建住宅の建築契約や、新築分譲マンション、戸建住宅、中古住宅、投資・事業用ビルなどの売買契約や、建築物や土地等の不動産取引の貸付金を返済するためのローン契約や、賃貸住宅、貸店舗・事務所・テナント・駐車場などの賃貸契約や、駐車場などの電子契約をいう。
【0017】
本発明の一実施形態では、本支援システムを、中古住宅をはじめとする不動産の電子契約の締結の際に用いる。
また、以下の説明では、本支援システムを利用する仲介会社を利用仲介会社とし、それに応じて不動産契約の締結作業をおこなう仲介会社を相手仲介会社とする。通常の不動産取引においては、売主仲介会社が利用仲介会社となることが一般的であるが、これに限られることなく、買主仲介会社が利用仲介会社として本支援システムを利用することも何ら問題なくおこなうことができる。
【0018】
(契約用電子メールシステム)
まず、本支援システムにおいて採用する電子メールの取り扱い方法について説明する。
本支援システムにおいて、取扱物件ごとに売主と買主の電子契約用メールアドレスを設定し、取引開始時に売主、買主、及び売主と買主のそれぞれの仲介会社が、その電子契約用メールアドレスを設定することの承認を得る。そのうえで、電子サインサービスを利用した電子契約の締結作業に入る。
【0019】
売主と買主の通常使用するメールアドレスと、新たに設定した電子契約用メールアドレスの整合性は、電子契約用メールアドレスの生成、管理及び保管の各段階において、本支援システム内で担保する。
その結果、売主又は買主の電子契約用メールアドレスに対してメールが送信された場合でも、電子サインサービスからのメールの場合には、そのメールは売主又は買主が通常使用するメールアドレスに自動転送され、電子サインサービスを使用した電子契約を締結するための作業をおこなうことができる。しかし、電子サインサービス以外から売主又は買主の電子契約用メールアドレスにメールが送信されても、そのメールは売主又は買主の通常使用するメールアドレスには転送されないので、売主又は買主の契約当事者同士で電子サインサービスを介することなく、直接にメールのやり取りをおこなうことはできない。
これにより、上記した契約締結上の様々なトラブルを回避することができる。
【0020】
(電子契約用メールアドレスの本人性確認)
一般的な不動産取引においては、契約当事者の本人性は、仲介会社が自動車運転免許証、権利書、印鑑証明等を確認することで担保している。そして、その際に、契約当事者のメールアドレスの本人確認も実施している。しかし、本支援システムは、契約当事者が通常使用するメールアドレスに加えて、個別の電子契約用に臨時に設定した電子契約用メールアドレスについても確認及び管理をおこなう。
【0021】
(電子契約用メールアドレス生成システム)
本支援システムにおける電子契約用メールアドレス生成システムは、図1に示すとおりである。売主仲介会社が利用仲介会社となった場合について説明する。売主仲介会社(利用仲介会社)は売主及び買主仲介会社(相手仲介会社)に対して、契約の準備依頼をおこなう。具体的には、売主仲介会社は売主に対して登録用URLを通知し、売主は前記登録用URLを通じてIDを入手する。その後に、売主は、パスワードを登録すると共に通常使用しているメースアドレスを確認する。これらの情報の登録と確認がおこなわれる。買主仲介会社(相手仲介会社)は買主に同様の依頼をおこなう。
そうすると、売主と買主の通常使用するメールアドレスは、本支援システムの電子契約用メールアドレスD/Bに登録されるとともに、電子契約用メールアドレス生成部において売主と買主の電子契約用メールアドレスが作成され、それぞれ別個に売主及び買主に電子契約用メールアドレスが通知され、これらのメールアドレスを用いて不動産売買の電子契約作成作業に入ることになる。
本支援システムで生成する電子契約用メールアドレスは、アルファベット、数字、記号をランダムに組み合わせたもので、高い秘匿性が確保されている。
【0022】
(本支援システムの構成)
次に、本実施形態にかかる本支援システムを、図2図14を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態の本支援システムの構成を示すブロック図である。図2に示すように、本支援システムは、メインサーバ装置10を備える。メインサーバ装置10は外部サーバ装置20、システム管理者端末30、人事管理者端末40、営業担当者端末50、契約承認者端末60、及び契約者端末70とインターネットなどの公衆通信回線網80によって接続される。
以下に構成要素ごとに説明する。
【0023】
(メインサーバ装置10)
メインサーバ装置10は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成され、メモリ、ハードディスクドライブなどの記憶装置を含む記憶部101と、担当物件管理部102と、ステータス管理部103と、電子契約用メールアドレス生成部104と、HTTPサービスを提供するHTTPサーバ105と、外部装置と通信を行う通信制御部106と、を備える。
【0024】
(記憶部101)
記憶部101には、図2に示すように、各種のプログラムや、申込者の情報や必要書類の情報などのデータベース(以下、データベースをD/Bという。)D/B101A~D/B101Gや、申込者に送付する送付書類データなどが収容される送付書類収容部101Eが格納されている。
【0025】
(記憶部101の構成)
記憶部101には、D/Bとしては、図2に示すように、現在所有している物件情報を格納する物件D/B101Aと、本支援システムを利用して物件を仲介販売する利用仲介会社担当者の情報を格納する利用仲介担当D/B101Bと、相手仲介会社担当者の情報を格納する相手仲介担当D/B101Cと、売主と買主の情報を格納する契約者D/B及び電子契約用メールアドレスD/B101Dと、送付する書類を収納する送付書類収容部101Eと、タスク管理に関する情報を格納するタスク管理D/B101Fと、電子契約の情報を格納する電子契約D/B101Gとが格納されている。
【0026】
なお、本支援システムを中古物件の売主仲介会社が利用する場合には、利用仲介担当D/Bには売主仲介会社の担当者のデータが入力されるが、買主仲介会社が利用する場合には、買主仲介会社の担当者のデータが入力される。
各D/Bは、情報に変更があった場合には、入力する権限を有する者により適宜変更、追加される。
以下に、各D/Bについて詳細に説明する。
【0027】
(物件D/B)
図3は、物件D/B101Aのデータ構成を示す図である。図3に示すように、物件D/B101Aは、中古住宅などの物件名ごとに、物件の所在地、取扱事業所、売買代金、売買契約状態、売買契約日、引渡し日等の情報を格納する。
【0028】
(利用仲介担当D/B)
図4は、利用仲介担当D/B101Bのデータ構成を示す図である。本支援システムの利用者である売主又は買主のいずれかの仲介会社のデータが入力される。
図4に示すように、利用仲介担当D/B101Bは、利用仲介会社が売主側である場合には、売主仲介会社担当者ごとに担当者氏名、メールアドレス、本支援システムにログインするときに必要なパスワード、売主仲介会社担当者が所属している会社、部署などの所属情報を格納する。利用仲介会社が買主側である場合には、買主仲介会社担当者のデータが入力される。
【0029】
(相手仲介担当D/B)
図5は、相手仲介担当D/B101Cのデータ構成を示す図である。本システムの利用者が売主である場合には、相手仲介担当D/Bには買主側の仲介会社担当者のデータが入力される。
図5に示すように、相手仲介担当D/B101Cは、相手方が買主である場合には、買主仲介会社担当者ごとに担当者氏名、メールアドレス、本支援システムにログインするときに必要なパスワード等の情報を格納する。
【0030】
(契約者D/B、電子契約用メールアドレスD/B)
図6は、契約者D/B及び電子契約用メールアドレスD/B101Dのデータ構成を示す図である。図6に示すように、契約者D/B及び電子契約用メールアドレスD/B101Dは、売主及び買主の契約者ごとに氏名、メールアドレス、本支援システムにログインするときに必要なパスワード等の情報を格納する。そして、上記メールアドレスとしては、売主や買主の通常使用するメールアドレスのほかに、本支援システムで設定した電子契約用メールアドレが格納される。
【0031】
(送付書類収容部)
図7は、送付書類収容部101Eのデータ構造を示す図である。図7に示すように、売主や買主等の契約当事者に送付して、契約内容の確認をおこなうための送付書類を収納する。送付書類収容部101Eには、送付書類のファイル名ごとにアップロードユーザー、アップロード日時、ファイルサイズ等の書類データ等が格納されている。
【0032】
(タスク管理D/B)
図8は、タスク管理D/B101Fのデータ構成を示す図である。図8に示すように、タスク管理D/B101Fは、各種中古不動産の売買契約の締結作業をおこなう作業段階で進行している各種タスク毎に、タスク開始日、期限日、進捗度等を格納する。
【0033】
(電子契約用D/B)
図9は、電子契約用D/B101Gのデータ構成を示す図である。電子契約を締結する上で必要となるデータが格納されており、図9に示すように、仲介担当者氏名、仲介担当者メールアドレス、送付書類、社内承認進捗データのほか、契約者氏名、電子契約用メールアドレス、契約用アクセスコードの情報を格納する。
【0034】
(担当物件管理部)
担当物件管理部102においては担当物件の管理をおこなう。具体的には、担当物件を一覧表示するために、各D/Bから必要となる情報を抜き出して表示、制御をおこなっている。
【0035】
(ステータス管理部)
ステータス管理部103は、契約ステータスの管理をおこなう。具体的には、電子契約の進捗、タスク管理、及び社内承認の進捗状況を表示・管理している
【0036】
(電子契約用メールアドレス生成部)
電子契約用メールアドレス生成部104においては、本支援システム内で使用する売主及び買主の電子契約用メールアドレスを生成する。具体的には、売主あるいは買主の通常使用するメールアドレス等の情報が入力されると、電子契約用メールアドレスを生成し、売主あるいは買主に連絡するとともに、電子契約用メールアドレスD/Bに登録する。
【0037】
(外部サーバ装置)
外部サーバ装置20は、メインサーバ装置10とは別のサーバである。
外部サーバ装置20は、署名、押印、その他のデータ入力が行われた契約書などの書類を管理するために用いられる。
外部サーバ装置20は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成され、メモリ、ハードディスクドライブなどの記憶装置を含む記憶部201と、契約管理部202と、電子契約、タスク管理、社内承認の進捗を表示して管理する表示データ生成部203と、HTTPサービスを提供するHTTPサーバ204と、外部装置と通信を行う通信制御205とを備える。
【0038】
(記憶部)
記憶部201には、図2に示すように、各種のプログラムや、送付書類の情報などのデータベースであるD/B201A~D/B201Dや、送付書類データなどが収容される送付書類収容部201Eが格納されている。
プログラムとしては、外部サーバ装置20全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、及びOS上において、後述するように契約管理や契約者端末70の表示部に表示させる表示データの生成などを提供するアプリケーションソフトウェアなどが格納されている。
【0039】
データベースとしては、図2に示すように、完成した契約書類を格納する契約書類D/B201Aと、契約書に表示される契約者ごとの情報を格納する契約者情報D/B201Bと、契約者の契約書への記載状況の情報を格納する契約状況D/B201Cと、契約書の送付先の情報を格納する送付先D/B201Dと、送付書類を収納する送付書類収容部201Eとを収納する。
【0040】
(契約書類D/B)
図10は、契約書類D/B201Aのデータ構造を示す図である。図10に示すように、契約書類D/B201Aは、管理番号ごとに、少なくとも書類名と、送付書類と、を格納する。
【0041】
(個別契約情報D/B)
図11は、個別契約情報D/B201Bのデータ構造を示す図である。図11に示すように、個別契約情報D/B201Bは、管理番号ごとに、少なくとも申込者氏名、入力領域データ、を格納する。
入力領域データは、後述する入力領域に入力されるデータであり、印鑑データや、署名データなどが挙げられる。
【0042】
(契約状況D/B)
図12は、契約状況D/B201Cのデータ構造を示す図である。図12に示すように、契約状況D/B201Cは、管理番号ごとに、少なくとも申込者氏名と、契約状況とを格納する。
【0043】
(送付先D/B)
図13は、送付先D/B201Dのデータ構造を示す図である。図13に示すように、送付先D/B201Dは、管理番号ごとに、少なくとも申込者氏名と、メールアドレスと、を格納する。
【0044】
(送付書類収容部)
送付書類収容部201Eには、営業担当者端末50から送付された送付書類が格納される。
【0045】
次に、各種端末について説明する。本支援システムでは、図2に示すように5種の端末を有する。システム管理者端末30、人事管理者端末40、営業担当者端末50、契約承認者端末60、契約者端末70である。
各端末には、必要に応じて次の第一~第四権限の行使ができるよう設定されている。
第一権限:不動産契約において契約書の登録や必要な情報を登録、編集できる権限で、営業担当者が有する。
第二権限:必要書類を顧客に送付することを承認する権限で、契約承認者が有する。
第三権限:利用仲介担当D/B101Bに仲介担当者を登録する権限で、人事管理者が有する。
第四権限:利用仲介会社の会社情報を登録、編集できる権限で、システム管理者が有する。
【0046】
(システム管理者端末)
システム管理者は、利用仲介会社の会社情報を登録、編集できる第四権原を有する。システム管理者端末30は、そのような権限を行使するためにシステム管理者が操作する情報処理装置である。
システム管理者端末30は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置で構成され、図14で示すように、外部装置と通信を行う通信制御部31と、メインサーバ装置10や外部サーバ装置20からの指示に応じた入力画面等を生成するWebブラウザ32と、Webブラウザ32が生成した画像等を表示する表示部33と、システム管理者の指示を入力する入力部34と、システム管理者端末30全体の動作を制御する処理部35と、を備える。後述する営業担当者端末50、契約承認者端末60、及び契約者端末70も同様である。
【0047】
(人事管理者端末)
人事管理者端末40は、人事管理者が操作する情報処理装置で、利用仲介担当D/B101Bに契約承認者及び営業担当者を登録する第三権限を行使するための情報処理端末である。
【0048】
(営業担当者端末)
営業担当者端末50は、営業担当者が操作する情報処理装置で、不動産契約において契約者の登録や契約書の登録など必要な情報を登録、編集する第一権限を行使するための情報処理装置である。
【0049】
(契約承認者端末)
契約承認者端末60は、契約承認者が操作する情報処理装置で、営業担当者が選択した必要書類を顧客に送付することを承認する第二権限を行使するための情報処理装置である。
【0050】
(契約者端末)
契約者端末70は、売主や買主等の契約者が操作する情報処理端末である。契約者端末70は、外部サーバ装置20によって管理される書類である契約書の確認や、署名、押印などのデータを入力する操作に用いられる。
なお、契約者端末70として、スマートフォンや、タブレットや、スマートウォッチ等のタッチスクリーンを備えたスマートデバイスを用いることができる。
これらのスマートデバイスを用いる場合には、そのスマートデバイスに搭載されているAndroid(登録商標)や、iOS(登録商標)などのオペレーティングシステム(OS)上において、後述するように、営業担当者が申込者の送付先情報を確認する工程などで、申込者が操作に必要な機能を提供するアプリケーションソフトウェアを、そのスマートデバイスに提供してもよい。
【0051】
(本支援システムの動作)
次に、本支援システムの動作について、図15を用いて説明する。
まず、事前準備として、本支援システムの運営会社のシステム管理者が、システム管理者端末30を用いて、システムの利用を希望する不動産仲介会社に対し、人事管理権限のあるユーザ登録を行う。以下では、売主仲介会社が、本支援システムを利用して売主を仲介して売主の中古不動産の売買契約を締結する場合について、一連の手続きの流れを説明する。この事前準備により、売主仲介会社が利用仲介会社として登録される。
【0052】
最初に、担当者設定と物件登録(S1)をおこなう。
本支援システムの利用仲介会社である売主仲介会社の人事管理者が、人事管理者端末40を用いて、営業担当者、契約承認者の登録をおこなう。その後に、登録された営業担当者が、営業担当者端末50を用いて、取引形態や取引価格など物件に関わる情報を入力し物件登録を行う。
契約承認者の登録においては、不動産業務に対応し、売主仲介会社において承認手続きが必要な複数の承認ルートを設定することができる。
【0053】
次に、相手仲介会社・契約者登録(S2)をおこなう。
売主仲介会社の営業担当者が、営業担当者端末50を用いて、売主、買主、買主仲介会社の担当者、及び必要により他の契約関係者の情報の登録をおこなう。また、営業担当者が買主仲介会社の担当者にパスワードの登録を依頼する。買主仲介会社の担当者は、本支援システムにログインし二要素認証をおこなった上でパスワードの登録をおこなう。
【0054】
次に、電子契約用メールアドレス発行をおこなう(S3)。
営業担当者が、担当する売主に通常使用するメールアドレスとパスワードの登録を依頼する。売主が通常使用するメールアドレスとパスワードを登録し、二要素認証した際に電子契約用メールアドレスが発行される。その後に、営業担当者は買主仲介会社の担当者宛に買主の通常使用するメールアドレス登録を依頼する。買主仲介会社の担当者が買主に通常使用するメールアドレスの登録を依頼し、買主が自身の通常使用するメールアドレスとパスワードを登録し、二要素認証した際に電子契約用メールアドレスが発行される。
【0055】
次に、契約書類アップロードをおこなう(S4)。
売主仲介会社の営業担当者が、電子契約を行う対象契約書を、本支援システムのメインサーバ装置10の送付書類収容部101Eにアップロードする。契約情報に対し契約対象となる売主、買主を選択する。送付書類収容部101Eは、契約関連書類の保管にも活用する。
【0056】
次に、社内承認をおこなう(S5)。
売主仲介会社の営業担当者が、S1で設定した社内の契約承認者に対し契約情報の承認依頼を実施する。そして、各承認者は、契約承認者端末60を用いて契約情報をシステム上で確認し、その内容に問題がなければ承認を行う。問題がある場合は、契約承認者端末60を用いて差し戻しを行う。差し戻しの場合は、営業担当者が契約書類のアップロード(S4)から契約締結作業のやり直しを行う。
【0057】
次に、社内承認済み書類に基づいて電子契約をおこなう(S6)。
二要素認証を行った営業担当者が、社内承認済み書類を外部サーバ装置の送付書類収容部201Eに送信する。送信を受けた送付書類収容部201Eから、売主及び買主の電子契約用メールアドレスに契約書類確認メールを送信する。その後に以下のa)~c)のステップを繰り返す。
a)売主及び買主の電子契約用メールアドレスに届いた契約書類確認メールの送信者が、外部サーバ装置20からであるかをメールサーバが判定する。
b)判定の結果、外部サーバ装置20からの契約書類確認メールであった場合は、売主の通常使用するメールアドレス宛に契約書類確認メールを転送する。外部サーバ装置20からのメールでない場合には、その契約書類確認メールは破棄される。
c)売主は届いた通知から2要素認証を行いURLを開き契約情報の確認を行う。契約書類に問題なければ契約の承認を行う。そして、売主の承認が完了すると買主の電子契約用メールアドレス宛に外部サーバ装置20から契約書類確認メールが送信される。同様に買主の契約の承認がおこなわれる。
これらの工程が繰り返されて最終的に契約が完了する。
【0058】
最後に電子契約完了書類データ受取をおこなう(S7)。
全ての契約者の承認が完了した後に、外部サーバ装置にて締結済み契約書データが生成される。本支援システムが契約締結を検知し外部サーバ装置より締結済み契約書類データを取り込むと、契約書類データは、最終データとしてファイルサーバへ保管される。
外部サーバ装置から、契約に関わる全ての電子メールアドレス宛に締結済み契約書類データを送信する。これにより契約支援システムにおける作業は終了する。
【0059】
(本支援システムにより得られる効果)
本支援システムを利用することによって得られる有利な効果を説明する。
本支援システムは、売主、買主、売主仲介会社及び買主仲介会社の四者が関与して締結する売買契約を、電子商取引の形態でおこなうことを支援するシステムである。
一般の電子商取引は、売主、買主の二者間でおこなわれている。しかし、このような電子商取引では、売主と買主のメールアドレスが当事者間に知られたとしても、格別な問題になることはなかった。本発明は、売主、買主、仲介業者が関与する三者あるいは四者が関与する電子商取引において、特に問題となる買主及び売主のメールアドレスの扱いについて、明確な解決手段を提供するものである。本発明で採用する解決手段を適用することにより、上記した種々の問題を未然に防ぐことができる。
【0060】
また、本支援システムの利用者は、一般の電子商取引で想定される以下の各種のメリットを享受することができる。すなわち、本支援システムは、売主が売主仲介会社、又は、買主が買主仲介会社の担当者に、中古不動産の売買を申し込んだ際に、売主、買主、売主仲介会社及び買主仲介会社の間で締結される売買契約の締結を支援することができる。
【0061】
さらに、本支援システムは、外部サーバ装置20の記憶部201の契約状況D/B201Cに契約予定者の個人データを有し、契約予定者ごとの個人データに基づき、契約予定者ごとに必要書類の記載状況を把握する契約管理部202を有する。これにより、不動産契約の申込から契約の成立までの間に、途中で担当者が代わることがあったとしても、申込者への書類の送付漏れ等のトラブルを未然にを防ぐことができる。このため、進捗管理する担当者の負担を軽減することができる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
例えば、外部サーバ装置20は、書類管理に関するサービスを提供するサービス提供者によって運用される情報処理装置であってもよい。
また、外部サーバ装置20により提供される機能は、メインサーバ装置10により提供されてもよい。つまり、不動産管理システムは、メインサーバ装置のみで構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 不動産の電子契約支援システム
10 メインサーバ装置
101 記憶部
101A 物件D/B
101B 利用仲介担当D/B
101C 相手仲介担当D/B
101D 契約者D/B及び電子契約用メールアドレスD/B
101E 送付書類収容部
101F タスク管理D/B
101G 電子契約用D/B
102 担当物件管理部
103 ステータス管理部
104 電子契約用メールアドレス生成部
105 HTTPサーバ
106 通信制御部
20 外部サーバ装置
201 記憶部
201A 契約書類D/B
201B 契約者情報D/B
201C 契約状況D/B
201D 送付先D/B
201E 送付書類収容部
202 契約管理部
203 表示データ生成部
204 HTTPサーバ
205 通信制御部
30 システム管理者端末
40 人事管理者端末
50 営業担当者端末
60 契約承認者端末
70 契約者端末
80 公衆通信回線網
図1
図2
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図10
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図15