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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042892
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】モールドパウダーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/108 20060101AFI20230320BHJP
   C21C 7/076 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
B22D11/108 N
B22D11/108 F
C21C7/076 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150300
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】591099500
【氏名又は名称】株式会社アマデラスホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤村 誠
(72)【発明者】
【氏名】阿部 一輝
【テーマコード(参考)】
4E004
4K013
【Fターム(参考)】
4E004JA10
4E004MB14
4K013AA09
4K013EA01
4K013EA03
4K013EA04
4K013EA05
4K013EA25
4K013EA28
(57)【要約】
【課題】本発明は、球状で顆粒状のモールドパウダーを製造しつつ水の使用量を抑制できる、モールドパウダーの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、粉末原料から顆粒状のモールドパウダーを得る、モールドパウダーの製造方法であって、撹拌装置で前記粉末原料と水とを撹拌することで顆粒を得る工程(A)と、前記顆粒を乾燥することにより、前記モールドパウダーを得る工程(B)とを有し、前記撹拌装置は、前記粉末原料及び前記水を収容する容器と、前記容器内の前記粉末原料及び前記水を撹拌する撹拌部とを備え、前記工程(A)では、前記撹拌部で前記容器内の前記粉末原料を撹拌しながら、前記容器内に前記水を入れることにより、前記容器内で前記粉末原料を転がしながら造粒させて前記顆粒を得、前記モールドパウダーは、鉄を含む合金、又は、鋼を鋳造するのに用いられる、モールドパウダーの製造方法である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末原料から顆粒状のモールドパウダーを得る、モールドパウダーの製造方法であって、
撹拌装置で前記粉末原料と水とを撹拌することで顆粒を得る工程(A)と、前記顆粒を乾燥することにより、前記モールドパウダーを得る工程(B)とを有し、
前記撹拌装置は、前記粉末原料及び前記水を収容する容器と、前記容器内の前記粉末原料及び前記水を撹拌する撹拌部とを備え、
前記工程(A)では、前記撹拌部で前記容器内の前記粉末原料を撹拌しながら、前記容器内に前記水を入れることにより、前記容器内で前記粉末原料を転がしながら造粒させて前記顆粒を得、
前記モールドパウダーは、鋼、若しくは、鉄を含む合金を鋳造するのに用いられる、モールドパウダーの製造方法。
【請求項2】
前記容器は、板状の底壁と、該底壁の外周縁部から上方に延びた筒状の側壁とを有し、
前記撹拌部は、棒状の撹拌子と、前記底壁の上方に延びた回転軸と、該回転軸から前記側壁の方向に延び、且つ、前記撹拌子を支持する支持部とを有し、前記回転軸が軸回転することで前記撹拌子が該回転軸の周囲を回転するように構成されている、請求項1に記載のモールドパウダーの製造方法。
【請求項3】
板状の前記底壁は、水平に対して傾斜しており、
前記容器は、筒状の前記側壁の仮想中心軸で軸回転するように構成され、
前記工程(A)では、前記容器を軸回転させつつ、該容器の軸回転方向と逆方向に前記撹拌部の前記回転軸を回転させることにより、前記容器内の前記粉末原料と前記水とを撹拌する、請求項2に記載のモールドパウダーの製造方法。
【請求項4】
前記撹拌部は、棒状の前記撹拌子を1つ以上有し、
前記工程(A)では、下記式(1)で表されるyを1.00×10~1.00×10(rpm)/kg範囲内となるように、前記容器内の前記粉末原料と前記水とを撹拌する、請求項2又は3に記載のモールドパウダーの製造方法。
【数1】
π:円周率
:k番目の撹拌子の回転半径(m)
:k番目の撹拌子の回転速度(rpm)
:k番目の撹拌子の投影面積(m
n:撹拌子の数
W:前記粉末原料の質量(kg)
【請求項5】
前記工程(A)では、前記粉末原料100質量部に対して、前記水を10~20質量部用いる、請求項1~4の何れか1項に記載のモールドパウダーの製造方法。
【請求項6】
前記粉末原料は、第1の粉末原料と、及び、該第1の粉末原料とは異なる第2の粉末原料とを少なくとも有し、
前記工程(A)は、前記撹拌部で前記容器内の前記第1の粉末原料を撹拌しながら、前記容器内に前記水を入れることにより、前記容器内で前記第1の粉末原料を転がしながら造粒させて第1の顆粒を得る工程(A1)と、前記撹拌部で前記容器内の前記第1の粉末原料及び前記第2の粉末原料を撹拌しながら、前記容器内に前記水を入れることにより、前記容器内で前記第1の顆粒及び前記第2の粉末原料を転がして第2の顆粒を得る工程(A2)とを有する、請求項1~5の何れか1項に記載のモールドパウダーの製造方法。
【請求項7】
前記モールドパウダーにおける粒子径の平均値が0.5~1.5mmであり、
前記モールドパウダーにおける粒子径の変動係数が50%以下である、請求項1~6の何れか1項に記載のモールドパウダーの製造方法。
【請求項8】
前記粉末原料が、熱膨張性黒鉛を0.5~5.0質量%含む、請求項1~7の何れか1項に記載のモールドパウダーの製造方法。
【請求項9】
前記モールドパウダーのかさ密度が、1.1g/cm以下である、請求項1~8の何れか1項に記載のモールドパウダーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モールドパウダーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼の鋳造では、溶鋼をモールド(以下、「鋳型」ともいう。)に流し込むことにより該溶鋼を冷却し固化させて凝固シェルを得、該凝固シェルをモールドの下部から引き抜くことにより鋼片を得る。
また、鋼の鋳造では、モールド内の溶鋼の表面にモールドパウダーを散布する。
【0003】
モールドパウダーとしては、例えば以下の機能を有するモールドパウダーなどが挙げられる。
・鋳型内の溶鋼の表面を保温すること。
・溶鋼の酸化を抑制すること。
・溶鋼から浮上する非金属介在物を吸収することにより、溶鋼を清浄化すること。
・凝固シェルとモールドとの間の潤滑性を高めること。
【0004】
モールドパウダーは、ケイ酸カルシウム、シリカ粉、蛍石などを混合して製造される(例えば、非特許文献1)。
【0005】
また、モールドパウダーの使用の際にモールドパウダーが粉塵として使用環境に拡がるのを抑制すべく、近年では、粉末原料が混合され造粒化された顆粒状のモールドパウダーが用いられている。
【0006】
顆粒状のモールドパウダーの製造方法としては、押し出し造粒法、スプレードライヤー法が挙げられる(例えば、非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】第五版 鉄鋼便覧、第1巻、一般社団法人日本鉄鋼協会、2014年8月、p.409、p.417
【非特許文献2】K C Mills and Carl-Ake Dacker,“The Casting Powder Book”,Springer,2018,Chapter 8(なお、「Carl-Ake」の「A」は、「A」の上部に「〇」を付したものである。また、「Dacker」の「a」は、ウムラウトである。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記押し出し造粒法では、ケイ酸カルシウム、シリカ粉、蛍石などを含有する粉末原料と水とを混合することにより混合物を得、微細な穴を有する鋼板(「スクリーン」とも呼ばれる。)の該穴から該混合物を押し出すことにより柱状の顆粒を得、該顆粒を乾燥させることにより柱状で顆粒状のモールドパウダーを得る。
【0009】
前記スプレードライヤー法では、粉末原料と水とを混合することにより混合物を得、ノズル方式等により該混合物を噴霧し、噴霧した該混合物に熱風を吹き付ける等して混合物から水分を飛ばすことにより、球状で顆粒状のモールドパウダーを得る。
【0010】
ここで、モールド内の溶鋼の表面にモールドパウダーを散布した際に、モールドパウダーが溶鋼の表面を転がって溶鋼の表面全体に拡がり、モールドパウダーの機能が発揮されすくなるという観点から、顆粒状のモールドパウダーとしては、球状で顆粒状のモールドパウダーが好ましい。
【0011】
しかし、球状で顆粒状のモールドパウダーを作製できる従来の方法であるスプレードライヤー法では、混合物を噴霧するために、混合物に多量の水を含ませて混合物をスラリー状にする必要がある。
そのため、噴霧した該混合物を乾燥するのに多量のエネルギーを消費してしまうという問題がある。
【0012】
従って、水の使用量を抑制しつつ、球状で顆粒状のモールドパウダーを得ることができる方法が求められ得る。
【0013】
また、斯かる製造方法で得られるモールドパウダーは、鋼の鋳造に限らず、鉄を含む合金の鋳造にも求められ得る。
【0014】
そこで、本発明は、水の使用量を抑制しつつ、球状で顆粒状のモールドパウダーを得ることができるモールドパウダーの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、粉末原料から顆粒状のモールドパウダーを得る、モールドパウダーの製造方法であって、
撹拌装置で前記粉末原料と水とを撹拌することで顆粒を得る工程(A)と、前記顆粒を乾燥することにより、前記モールドパウダーを得る工程(B)とを有し、
前記撹拌装置は、前記粉末原料及び前記水を収容する容器と、前記容器内の前記粉末原料及び前記水を撹拌する撹拌部とを備え、
前記工程(A)では、前記撹拌部で前記容器内の前記粉末原料を撹拌しながら、前記容器内に前記水を入れることにより、前記容器内で前記粉末原料を転がしながら造粒させて前記顆粒を得、
前記モールドパウダーは、鋼、若しくは、鉄を含む合金を鋳造するのに用いられる、モールドパウダーの製造方法に関する。
【0016】
好ましくは、前記容器は、板状の底壁と、該底壁の外周縁部から上方に延びた筒状の側壁とを有し、
前記撹拌部は、棒状の撹拌子と、前記底壁の上方に延びた回転軸と、該回転軸から前記側壁の方向に延び、且つ、前記撹拌子を支持する支持部とを有し、前記回転軸が軸回転することで前記撹拌子が該回転軸の周囲を回転するように構成されている。
【0017】
好ましくは、板状の前記底壁は、水平に対して傾斜しており、
前記容器は、筒状の前記側壁の仮想中心軸で軸回転するように構成され、
前記工程(A)では、前記容器を軸回転させつつ、該容器の軸回転方向と逆方向に前記撹拌部の前記回転軸を回転させることにより、前記容器内の前記粉末原料と前記水とを撹拌する。
【0018】
好ましくは、前記撹拌部は、棒状の前記撹拌子を1つ以上有し、
前記工程(A)では、下記式(1)で表されるyを1.00×10~1.00×10(rpm)/kg範囲内となるように、前記容器内の前記粉末原料と前記水とを撹拌する。
【0019】
【数1】
【0020】
π:円周率
:k番目の撹拌子の回転半径(m)
:k番目の撹拌子の回転速度(rpm)
:k番目の撹拌子の投影面積(m
n:撹拌子の数
W:前記粉末原料の質量(kg)
【0021】
好ましくは、前記工程(A)では、前記粉末原料100質量部に対して、前記水を10~20質量部用いる。
【0022】
好ましくは、前記粉末原料は、第1の粉末原料と、及び、該第1の粉末原料とは異なる第2の粉末原料とを少なくとも有し、
前記工程(A)は、前記撹拌部で前記容器内の前記第1の粉末原料を撹拌しながら、前記容器内に前記水を入れることにより、前記容器内で前記第1の粉末原料を転がしながら造粒させて第1の顆粒を得る工程(A1)と、前記撹拌部で前記容器内の前記第1の粉末原料及び前記第2の粉末原料を撹拌しながら、前記容器内に前記水を入れることにより、前記容器内で前記第1の顆粒及び前記第2の粉末原料を転がして第2の顆粒を得る工程(A2)とを有する。
【0023】
好ましくは、前記モールドパウダーにおける粒子径の平均値が0.5~1.5mmであり、
前記モールドパウダーにおける粒子径の変動係数が50%以下である。
【0024】
好ましくは、前記粉末原料が、熱膨張性黒鉛を0.5~5.0質量%含む。
【0025】
好ましくは、前記モールドパウダーのかさ密度が、1.1g/cm以下である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、水の使用量を抑制しつつ、球状で顆粒状のモールドパウダーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】撹拌装置の概略断面図。
図2】モールドパウダーの概略断面図。
図3】実施例1で得られたモールドパウダーの写真。
図4】拡がり性試験の様子を示す概略断面図。
図5】保温性試験の様子を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0029】
本実施形態に係るモールドパウダーの製造方法は、粉末原料から顆粒状のモールドパウダーを得る方法である。
また、本実施形態に係るモールドパウダーの製造方法は、撹拌装置で前記粉末原料と水とを撹拌することで顆粒を得る工程(A)と、前記顆粒を乾燥することにより、前記モールドパウダーを得る工程(B)とを有する。
図1に示すように、前記撹拌装置10は、前記粉末原料及び前記水を収容する容器20と、前記容器内の前記粉末原料及び前記水を撹拌する撹拌部30とを備える。
前記工程(A)では、前記撹拌部30で前記容器20内の前記粉末原料を撹拌しながら、前記容器20内に前記水を入れることにより、前記容器20内で前記粉末原料を転がしながら造粒させて前記顆粒を得る。すなわち、前記工程(A)では、転動造粒法によって前記粉末原料から前記顆粒を得る。
前記モールドパウダーは、鋼、若しくは、鉄を含む合金を鋳造するのに用いられる。
【0030】
前記工程(A)で用いる前記粉末原料としては、モールドパウダーを作製するのに用いる、従来公知の粉末原料であれば、特に限定されない。
前記粉末原料は、例えば、ケイ酸カルシウム粉(CaO・SiO粉)、シリカ粉、及び、蛍石を含有する。また、前記粉末原料は、ソーダ灰、アルミナ粉、マグネシアクリンカー、カーボン粉、カルシウムシリサイド粉(CaSi粉)などを含有してもよい。例えば、以下のような配合が考えられるが、その他の配合も多数存在する。
前記粉末原料は、ケイ酸カルシウム粉を、好ましくは50~80質量%、より好ましくは55~75質量%含有する。
前記粉末原料は、シリカ粉を、好ましくは5~25質量%、より好ましくは10~20質量%含有する。
前記粉末原料は、蛍石を、好ましくは2.0~15質量%、より好ましくは5.0~10質量%含有する。
前記粉末原料は、ソーダ灰を、好ましくは2.0~15質量%、より好ましくは5.0~10質量%含有する。
前記粉末原料は、アルミナ粉を、好ましくは0.5~7.0質量%、より好ましくは1.0~5.0質量%含有する。
前記粉末原料は、マグネシアクリンカーを、好ましくは0.5~7.0質量%、より好ましくは1.0~5.0質量%含有する。
前記粉末原料は、カーボン粉を、好ましくは1.0~15質量%、より好ましくは2.0~10質量%含有する。
【0031】
また、前記モールドパウダーによる鋳型内の溶鋼の表面の保温性を高めるという観点から、前記粉末原料は、熱膨張性黒鉛を含有することが好ましい。
前記粉末原料は、熱膨張性黒鉛を0.5~5.0質量%含有することが好ましい。
前記粉末原料が熱膨張性黒鉛を0.5質量%以上含有することにより、前記モールドパウダーによる鋳型内の溶鋼の表面の保温性を高めやすくなる。
また、前記粉末原料が熱膨張性黒鉛を5.0質量%以下含有することにより、モールドパウダーがモールド内で飛散するのを抑制することができる。
また、前記粉末原料は、熱膨張性黒鉛を、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上含有する。また、前記粉末原料は、熱膨張性黒鉛を、より好ましくは4.5質量%以下、さらに好ましくは4.0質量%以下含有する。
【0032】
前記粉末原料は、第1の粉末原料と、及び、該第1の粉末原料とは異なる第2の粉末原料とを少なくとも有することが好ましい。
この場合、前記工程(A)は、前記撹拌部30で前記容器20内の前記第1の粉末原料を撹拌しながら、前記容器20内に前記水を入れることにより、前記容器20内で前記第1の粉末原料を転がしながら造粒させて第1の顆粒を得る工程(A1)と、前記撹拌部30で前記容器20内の前記第1の粉末原料及び前記第2の粉末原料を撹拌しながら、前記容器20内に前記水を入れることにより、前記容器20内で前記第1の顆粒及び前記第2の粉末原料を転がして第2の顆粒を得る工程(A2)とを有してもよい。
【0033】
図2に示すように、前記工程(B)で前記第2の顆粒を乾燥して得られるモールドパウダーの粒子Xは、第1の粉末原料を含有する第1の層X1と、該第1の層X1を覆い、且つ、第2の粉末原料を含有する第2の層X2とが積層された積層構造を有する。
例えば、第1の層X1よりも第2の層X2に、カルシウムシリサイド粉(CaSi粉)及びシリコン粉(Si粉)からなる群より選ばれた1種以上の金属粉末を多く含ませることで、モールドパウダーは、該金属粉末の発熱反応を利用して、鋳型内の溶鋼の表面の保温性を高め得る。なお、この場合、第1の層X1は、前記金属粉末を含んでもよく、前記金属粉末を含んでなくてもよい。
また、第1の層X1よりも第2の層X2に、カーボン粉を多く含ませることで、モールドパウダーの焼結を抑制し得る。なお、この場合、第1の層X1は、カーボン粉を含んでもよく、カーボン粉を含んでなくてもよい。
【0034】
なお、モールドパウダーは、単層であってもよく、また、3層以上が積層された積層構造を有してもよい。
【0035】
前記工程(A)で用いる撹拌装置10は、前記粉末原料及び前記水を収容する容器20と、前記容器内の前記粉末原料及び前記水を撹拌する撹拌部30とを備える。
【0036】
前記容器20は、板状の底壁21と、該底壁21の外周縁部から上方に延びた筒状の側壁22とを有する。
【0037】
前記底壁21は、水平に対して傾斜している。
前記底壁21が水平に対して傾斜していることにより、遠心力に加えて重力も利用して粉末原料と水とを撹拌することができ、その結果、粉末原料と水とを効率的に撹拌することができる。
前記容器20は、筒状の前記側壁22の仮想中心軸で軸回転するように構成されている。
【0038】
前記底壁21は、円形板状となっている。前記側壁22は、円筒状となっている。
【0039】
前記撹拌部30は、棒状の撹拌子31と、前記底壁21の上方に延びた回転軸32と、該回転軸32から前記側壁22の方向に延び、且つ、前記撹拌子31を支持する支持部33とを有する。
前記撹拌部30は、前記回転軸32が軸回転することで前記撹拌子31が該回転軸32の周囲を回転するように構成されている。
前記撹拌子31は、円柱状であってもよい。
前記撹拌部30は、前記回転軸32を軸回転させるモーターを有する。
【0040】
前記撹拌装置10は、前記容器20を軸回転させつつ、該容器20の軸回転方向と逆方向に前記撹拌部30の前記回転軸32を回転させることにより、前記容器20内の前記粉末原料と前記水とを撹拌するように構成されている。
そして、前記工程(A)では、前記容器20を軸回転させつつ、該容器20の軸回転方向と逆方向に前記撹拌部30の前記回転軸32を回転させることにより、前記容器20内の前記粉末原料と前記水とを撹拌する。
前記工程(A)で前記容器20を軸回転させつつ、該容器20の軸回転方向と逆方向に前記撹拌部30の前記回転軸32を回転させることにより、容器20と撹拌子31との相対的な回転速度を高めやすくなり、その結果、前記容器20内の前記粉末原料と前記水とを効率的に撹拌することができる。
【0041】
前記撹拌部30は、棒状の前記撹拌子31を1つ以上有する。
前記工程(A)では、下記式(1)で表されるyを1.00×10~1.00×10(rpm)/kgの範囲内となるように、前記容器20内の前記粉末原料と前記水とを撹拌することが好ましい。
【0042】
【数2】
【0043】
π:円周率
:k番目の撹拌子の回転半径(m)
:k番目の撹拌子の回転速度(rpm)
:k番目の撹拌子の投影面積(m
n:撹拌子の数
W:前記粉末原料の質量(kg)
【0044】
ここで、k番目の撹拌子31の回転半径は、回転軸32の中心軸とk番目の撹拌子31中心軸との距離を意味する。
また、例えば、前記粉末原料が、前記第1の粉末原料及び前記第2の粉末原料を有する場合には、前記粉末原料の量は、前記第1の粉末原料の量及び前記第2の粉末原料の量も含む。
さらに、k番目の撹拌子31の投影面積は、回転軸32が回転した際に、粉末原料及び水を押す、撹拌子31の面の投影面積を意味する。
なお、k番目の撹拌子31が、円柱である場合には、k番目の撹拌子31の投影面積は、k番目の撹拌子31の直径と、k番目の撹拌子31の高さとの積となる。
【0045】
前記yを1×10(rpm)/kg以上とすることにより、粉末原料と水とを比較的均一に撹拌させることができ、その結果、粒子径のばらつきが小さいモールドパウダーを得ることができる。
また、前記yを1×10(rpm)/kg以下とすることにより、撹拌子の回転速度を低くすることができ、回転軸を回転させるためのモーターの負荷を抑制することができる。その結果、撹拌子を安定的に回転させることができる。また、モーターの発熱による水の揮発も抑制することができる。
【0046】
なお、上記式(1)は、以下により導かれた式である。
k番目の撹拌子31の抗力Dは、下記式(2)で表される。
=(Cρ/2)・q ・・・(2)
:抗力係数
ρ:流体(粉末原料と水との全体)の密度
:k番目の撹拌子31の線速度
:k番目の撹拌子31の投影面積

また、k番目の撹拌子31で粉末原料及び水を撹拌するための撹拌動力Pは、下記式(3)で表される。
=Dq ・・・(3)

、ρは一定と仮定すると、撹拌動力Pは、下記式(4)のように簡略化される。
~q ・・・(4)

ここで、qは、k番目の撹拌子31の線速度であるから、下記式(5)で表される。
q=2πr ・・・(5)

上記式(4)のqに上記式(5)を代入すると、下記式(6)となる。
~(2πr ・・・(6)

よって、粉末原料と水との全体の単位質量当たりの撹拌エネルギー指数yは、上記式(1)となる。
【0047】
前記工程(A)では、前記粉末原料100質量部に対して、前記水を、好ましくは10~20質量部、より好ましくは12~18質量部用いる。
前記工程(A)では、前記粉末原料100質量部に対して前記水を10質量部以上用いることにより、粉末原料を十分に造粒させやすくなる。
また、前記工程(A)では、前記粉末原料100質量部に対して前記水を20質量部以下用いることにより、粉末原料と水とを均一に混合させやすくなる。
なお、前記工程(A)が前記工程(A1)及び前記工程(A2)を有する場合には、前記粉末原料の量は、前記粉末原料の量は、前記第1の粉末原料の量及び前記第2の粉末原料の量も含む。また、前記水の量は、前記工程(A1)で用いる水の量及び前記工程(A2)で用いる水の量も含む。
【0048】
前記工程(B)では、前記工程(A)で得られた前記顆粒を乾燥することにより、前記モールドパウダーを得る。
前記顆粒を乾燥する方法としては、従来公知の方法を採用することができるが、例えば、前記顆粒を加熱する方法などが挙げられる。
【0049】
前記モールドパウダーにおける粒子径の平均値は、好ましくは0.5~1.5mm、より好ましくは0.6~1.3mmである。
前記平均値が0.5mm以上であることにより、モールドパウダーを使用する際に粉塵が生じるのを抑制することができる。
前記平均値が1.5mm以下であることにより、モールド内にモールドパウダーを分散させやすくなる。
【0050】
前記モールドパウダーにおける粒子径の変動係数は、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下である。
【0051】
前記モールドパウダーにおける粒子径の平均値、及び、変動係数は、JIS Z8825:2013「粒子径解析-レーザ回折・散乱法」、又は、JIS Z8823-2:2016「液相遠心沈降法による粒子径分布の測定方法-第2部:光透過式遠心沈降法」に基づいて測定する。
【0052】
モールドパウダー内に空気を多く含ませて、鋳型内の溶鋼の表面の保温性を高めるという観点から、前記モールドパウダーのかさ密度は、好ましくは1.1g/cm以下、より好ましくは0.7~1.0g/cmである。
かさ密度は、JIS R1639-2「ファインセラミックス-か(顆)粒特性の測定方法-第2部:かさ密度」の初期かさ密度の測定方法に従って求めることができる。
【0053】
モールド内で拡がりやすくなるという観点から、前記モールドパウダーの安息角は、好ましくは40°以下、より好ましくは35°以下である。
安息角は、JIS R9301-2-2:1999「アルミナ粉末-第2部:物性測定方法-2:安息角」に従って求めることができる。
【0054】
前記モールドパウダーは、鋼、若しくは、鉄を含む合金を鋳造するのに用いられる。
また、鉄を含む合金としては、鋼と他の金属(例えば、ニッケル等)とを混合した合金など(例えば、ニッケル基合金等)も挙げられる。
なお、本実施形態において、「鉄を含む合金」は、「鋼」を含まない概念である。
前記モールドパウダーは、連続鋳造する際に好適に用いられる。
【0055】
また、モールドパウダーは、特に限定されないが、従来公知の機能を有するモールドパウダーであってよく、モールドパウダーとしては、例えば、下記の機能の少なくとも何れかの機能を有するモールドパウダー等が挙げられる。
・鋳型内の溶鋼の表面を保温すること。
・溶鋼の酸化を抑制すること。
・溶鋼から浮上する非金属介在物を吸収することにより、溶鋼を清浄化すること。
・凝固シェルとモールドとの間の潤滑性を高めること。
【0056】
本実施形態に係るモールドパウダーの製造方法は、上記のように構成されているので、以下の利点を有するものである。
【0057】
即ち、本実施形態に係るモールドパウダーの製造方法は、粉末原料から顆粒状のモールドパウダーを得る方法である。
本実施形態に係るモールドパウダーの製造方法は、前記撹拌装置10で前記粉末原料と水とを撹拌することで顆粒を得る工程(A)と、前記顆粒を乾燥することにより、前記モールドパウダーを得る工程(B)とを有する。
前記撹拌装置10は、前記粉末原料及び前記水を収容する容器20と、前記容器20内の前記粉末原料及び前記水を撹拌する撹拌部30とを備える。
前記工程(A)では、前記撹拌部で前記容器内の前記粉末原料を撹拌しながら、前記容器内に前記水を入れることにより、前記容器内で前記粉末原料を転がしながら造粒させて前記顆粒を得る。
前記モールドパウダーは、鉄を含む合金、又は、鋼を鋳造するのに用いられる。
【0058】
本実施形態に係るモールドパウダーの製造方法では、前記工程(A)において前記容器内で前記粉末原料を転がしながら造粒させることにより、球状の顆粒を得ることができる。その結果、本実施形態に係るモールドパウダーの製造方法は、球状の顆粒を乾燥することにより、球状で顆粒状のモールドパウダーを得ることができる。
【0059】
スプレードライヤー法では、粉末原料と水との混合物をスラリー状にする必要があるため、混合物に多量の水を含ませる必要がある。
一方で、本実施形態に係るモールドパウダーの製造方法は、粉末原料と水との混合物を球状の顆粒にすればよいので、スプレードライヤー法に比べて、水の使用量を抑制することができる。これにより、前記工程(B)において、乾燥に要するエネルギーを抑制し得る。
【0060】
従って、本実施形態に係るモールドパウダーの製造方法によれば、水の使用量を抑制しつつ、球状で顆粒状のモールドパウダーを得ることができる。
【0061】
なお、本発明に係るモールドパウダーの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明に係るモールドパウダーの製造方法は、上記した作用効果によって限定されるものでもない。さらに、本発明に係るモールドパウダーの製造方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【実施例0062】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0063】
(粉末原料)
粉末原料として、ケイ酸カルシウム粉を63.0質量%、シリカ粉を13.0質量%、蛍石を7.5質量%、ソーダ灰を6.8質量%、アルミナ粉を2.2質量%、マグネシアクリンカーを2.5質量%、カーボン粉を5.0質量%含有する粉末原料を用意した。
【0064】
(撹拌装置)
下記容器20と撹拌部30とを備え、該撹拌部30が下記撹拌子31を6つ有する撹拌装置10を用意した。
容器20(形状:円筒状、直径:1900mm、高さ:850mm)
撹拌子31(形状:円柱状、直径:35mm、長さ:150mm、回転半径:327mm)
【0065】
(実施例1~7)
撹拌部31で容器20内の前記粉末原料(750kg)を撹拌しながら該容器20内に水を入れることにより、該容器20内で前記粉末原料を転がしながら造粒させて顆粒を得た(撹拌時間:7.0分)。
なお、撹拌子31の回転速度を下記表1の値にし、粉末原料100質量部に対する水の量(質量部)を下記表1、2のようにした。また、yを算出した。yを下記表1、2に示す。
次に、該顆粒を加熱して乾燥させることにより、モールドパウダーを得た。
そして、粒子径が0.5~1.5mmの範囲内となるモールドパウダーの収率(質量%)を求めた。結果を下記表1、2に示す。
また、実施例1で得られたモールドパウダーの写真を図3に示す。
【0066】
なお、以下では、「粉末原料100質量部に対する水の量(質量部)」を単に「水の量(質量部)」とも示す。また、「粒子径が0.5~1.5mmの範囲内となるモールドパウダーの収率」を単に「収率」とも示す。
【0067】
また、収率は、篩を用いて以下のようにして求めた。
まず、「モールドパウダーの全体の質量」を測定した。
次に、モールドパウダーを篩にかけて、「粒径が0.5~1.5mmの範囲内となるモールドパウダー」を得、「粒径が0.5~1.5mmの範囲内となるモールドパウダーの質量」を測定した。
そして、「粒径が0.5~1.5mmの範囲内となるモールドパウダーの質量」を「モールドパウダーの全体の質量」で除した値を収率とした。
【0068】
【表1】
【0069】
上記表1に示すように、水の量が10~20質量部の範囲内である実施例1~3では、水の量が8質量部である実施例4に比べて、収率が高かった。また、実施例1~3では、実施例4に比べて、十分に造粒していた。
また、上記表1に示すように、水の量が10~20質量部の範囲内である実施例1~3では、水の量が25質量部である実施例5に比べて、収率が高かった。また、実施例1~3では、実施例5に比べて、粒子径が1.5mmよりも大きな粗大粒子が少なかった。
【0070】
【表2】
【0071】
上記表2に示すように、yが1.00×10~1.00×10(rpm)/kg範囲内である実施例1~3では、yが9.84×10(rpm)/kgである実施例6に比べて、収率が高かった。
また、yが1.23×10(rpm)/kgである実施例7では設備のトラブル(モーターの発熱による撹拌子の回転の停止、発熱による水分の蒸発)が生じたが、実施例1~6では設備トラブルは特に生じなかった。
【0072】
(実施例8)
第1の粉末原料として、実施例1で用いた粉末原料を用意した。
また、第2の粉末原料として、カルシウムシリサイド粉(CaSi粉)を用意した。
次に、撹拌部30で容器20内の前記第1の粉末原料(750kg)を撹拌しながら該容器20内に水を入れることにより、該容器20内で前記第1の粉末原料を転がしながら造粒させて第1の顆粒を得た(工程(A1))。
そして、撹拌部30で容器20内の第1の顆粒及び第2の粉末原料(7.5kg)を撹拌しながら該容器20内に水を入れることにより、該容器20内で第1の顆粒及び第2の粉末原料を転がしながら造粒させて第2の顆粒を得た(工程(A2))。
【0073】
なお、撹拌子の回転速度は、500rpmとした。
また、粉末原料(第1の粉末原料及び第2の粉末原料)100質量部に対する水の量(工程(A1)及び工程(A2)で使用する水の量)は、15質量部とした。
【0074】
次に、該第2の顆粒を加熱して乾燥させることにより、モールドパウダーを得た。
【0075】
斯かるモールドパウダーの粒子Xは、第1の粉末原料を含有する第1の層X1と、該第1の層X1を覆い、且つ、第2の粉末原料を含有する第2の層X2とが積層された積層構造を有していた。
斯かるモールドパウダーは、カルシウムシリサイド粉(CaSi粉)の発熱反応を利用して、鋳型内の溶鋼の表面の保温性を高め得る。
【0076】
(実施例9)
第2の粉末原料として、カーボン粉を用いたこと以外は、実施例8と同様にしてモールドパウダーを得た。
斯かるモールドパウダーの粒子は、第1の粉末原料を含有する第1の層X1と、該第1の層X1を覆い、且つ、第2の粉末原料を含有する第2の層X2とが積層された積層構造を有していた。
斯かるモールドパウダーは、モールドパウダー自体が焼結するのを抑制し得る。
【0077】
(実施例10~14)
実施例1の回転速度を20%低下したこと(回転速度:400rpm)以外は、実施例1と同様にして実施例10のモールドパウダーを作製した。
また、実施例1の回転速度を20%増加としたこと(回転速度:600rpm)以外は、実施例1と同様にして実施例11のモールドパウダーを作製した。
さらに、実施例1の回転速度を50%低下としたこと(回転速度:250rpm)以外は、実施例1と同様にして実施例12のモールドパウダーを作製した。
また、実施例1の回転速度を50%増加としたこと(回転速度:750rpm)以外は、実施例1と同様にして実施例13のモールドパウダーを作製した。
さらに、実施例1の回転速度を20%低下させ、実施例1の攪拌時間を20%低下させたしたこと(回転速度:400rpm、撹拌時間:5.6分)以外は、実施例1と同様にして実施例14のモールドパウダーを作製した。
【0078】
そして、実施例10~14のモールドパウダーに関し、粒子径の平均値、粒子径の標準偏差、粒子径の変動係数、安息角、及び、かさ密度を求めた。これらの値を下記表3に示す。
なお、粒子径の平均値、粒子径の変動係数、安息角、及び、かさ密度は、上述した方法で求めた。
【0079】
(拡がり性試験)
図4に示すように、モールド100内に1.0kgの溶鋼200を用意し、該溶鋼200の表面上に実施例10~14のモールドパウダー100gを散布した。溶融温度は、1550℃とした。
モールドパウダーの拡がり性を目視により確認し、以下の基準で評価した。評価結果を下記表3に示す。
〇:モールドパウダーがある程度拡がった。
◎:「〇」よりもより一層モールドパウダーが拡がった。
【0080】
(保温性試験)
前記散布から3分後に、図5に示すように、第1の熱電対301及び第2の熱電対301を用いてモールドパウダー400の温度を測定した。具体的には、モールドパウダー400の表面部分の温度Tを第1の熱電対301で測定すると同時に、該表面部分から10mm内部の温度Tを第2の熱電対302で測定した。
そして、「T-T」の値を求めた。
結果を下記表3に示す。
【0081】
【表3】
【0082】
上記表3に示すように、安息角が40°以下である実施例10~13のモールドパウダーは、安息角が42°である実施例14に比べて、拡がり性に優れていた。
【0083】
また、上記表3に示すように、実施例10~14では、モールドパウダーのかさ密度が小さい程、「T-T」が大きかった。
このことから、かさ密度が小さいモールドパウダーは、鋳型内の溶鋼の表面の保温性に優れることがわかる。
【0084】
(実施例15~18)
実施例1で用いた粉末原料と熱膨張性黒鉛とを混合して、熱膨張性黒鉛を下記表4に示す含有量で含有する粉末原料を用意した。
次に、該粉末原料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、モールドパウダーを作製した。
そして、得られたモールドパウダーに対して、上記保温性試験を実施した。結果を下記表4に示す。
【0085】
【表4】
【0086】
上記表4に示すように、実施例15~18では、粉末原料における熱膨張性黒鉛の含有量が多い程、「T-T」が大きかった。
このことから、熱膨張性黒鉛を多く含む粉末原料で作製されたモールドパウダーは、鋳型内の溶鋼の表面の保温性に優れることがわかる。
なお、実施例18のモールドパウダーの一部が、保温性試験においてモールド内で弾けた。
【符号の説明】
【0087】
10:撹拌装置、20:容器、21:底壁、22:側壁、30:撹拌部、31:撹拌子、32:回転軸、33:支持部、
100:モールド、200:溶鋼、301:第1の熱電対、302:第1の熱電対、400:モールドパウダー、
X:モールドパウダーの粒子、X1:第1の層、X2:第2の層
図1
図2
図3
図4
図5