(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042897
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】便座装置
(51)【国際特許分類】
A47K 13/04 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
A47K13/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150309
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮介
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 佳憲
【テーマコード(参考)】
2D037
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AA12
2D037AA13
2D037AA14
2D037AB18
(57)【要約】
【課題】便座に便蓋の跡がつきにくい便座装置を提供すること。
【解決手段】便座装置1は、座面となる上面部21と、上面部21から下方へ延びる側面部22と、上面部21及び側面部22を接続する曲面部25と、を有する便座2と、便座2に当接可能に配置されるクッション部5を有し、便座2を覆う便蓋3と、を備え、クッション部5は、便蓋3及び便座2を閉じた状態で便座2の曲面部25に当接可能に配置される第1クッション部51を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面となる上面部と、前記上面部から下方へ延びる側面部と、前記上面部及び前記側面部を接続する曲面部と、を有する便座と、
前記便座に当接可能に配置されるクッション部を有し、前記便座を覆う便蓋と、を備え、
前記クッション部は、前記便蓋及び前記便座を閉じた状態で前記便座の曲面部に当接可能に配置される第1クッション部を有する、便座装置。
【請求項2】
前記第1クッション部の前記便座に当接する当接部は、前記便蓋及び前記便座を閉じた状態で前記便蓋の中央部側から外縁側に向かうにしたがって下方に傾斜する請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記当接部の傾斜角度は、45度以下である、請求項2に記載の便座装置。
【請求項4】
前記第1クッション部の外側端部は、前記便蓋の蓋面の外周縁から前記便座側に向かって延びる側壁部に当接する、請求項1~3のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項5】
前記第1クッション部は、前記便座の平面視で左右方向に延びる横長の形状を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項6】
前記第1クッション部は、前記便座の左右方向に互いに対向して一対配置され、
前記クッション部は、一対の前記第1クッション部の間に配置され、左右方向に直交する前後方向に沿って延びる第2クッション部を有し、
前記第2クッション部は、前記便座を開いた状態で前記便座に当接する第1当接部と、前記第1当接部から前記便蓋の前端近傍まで延び、前記便座が閉じる際に前記便座と摺動可能に配置される第2当接部と、を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洋式便器の便座及び便蓋の開閉時に、便座と便蓋が当たる衝撃を和らげるため、便蓋にクッション部を設けることが知られている。クッション部の剛性を位置によって変化させることで、クッション部と便座との摺動抵抗により便座に跡がつくことを防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
便座と便蓋は、便器が設置される長い期間、一日に何度も摺動する。このため、より一層便座に摺動による跡や傷等をつきにくくした便座装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、座面となる上面部と、前記上面部から下方へ延びる側面部と、前記上面部及び前記側面部を接続する曲面部と、を有する便座と、前記便座に当接可能に配置されるクッション部を有し、前記便座を覆う便蓋と、を備え、前記クッション部は、前記便蓋及び前記便座を閉じた状態で前記便座の曲面部に当接可能に配置される第1クッション部を有する、便座装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】本実施形態の便座及び便蓋を閉じた状態で下から見た図である。
【
図3A】本実施形態の便座装置を前側から見た断面図である。
【
図3B】本実施形態の便座及び第1クッション部の部分斜視断面図である。
【
図4】本実施形態の便座及び便蓋を開いた状態で前から見た図である。
【
図5B】本実施形態の第2クッション部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、便座装置1は、洋式便器の便器本体10に取り付けられ、便器本体10の凹部を開閉可能に覆う装置である。便座装置1は、便座2と、便蓋3と、機能部4と、を有する。
【0008】
以下の説明において、便座2に着座した使用者から見た場合の前後の方向を前後方向とする。便座2に着座した使用者から見た場合の左右の方向を左右方向とする。鉛直方向を上下方向とする。
【0009】
機能部4は、便器本体10の後方に配置され、便器の各種機能、例えば便座2、便蓋3の開閉や、洗浄装置、加温機構等の電子部品が配置されている。機能部4は、カバー体41で覆われている。機能部4には、後述する便座2の便座ヒンジ部24及び便蓋ヒンジ部33(
図5A参照)が回転可能に取り付けられている。
【0010】
便座2は、便器本体10の上面に開閉可能に配置される。便座2は、中央部に略長円形の開口2aが形成され、開口2aの周囲に沿って所定幅を有する扁平な環状に形成される。便座2は、上面部21と、側面部22と、下面部23と、曲面部25と、便座ヒンジ部24と、を有する。
【0011】
上面部21は、使用者が腰かける座面となる面である。上面部21は概ね平らな面を有し、便座2の環の中央部側よりも外縁側の方がわずかに高くなるように、なだらかに傾斜している。
【0012】
側面部22は、上面部21から下方へ延びる面である。側面部22は、便座2の外縁側の厚さ方向の面である。
【0013】
下面部23は、上面部21に対向する面であり、便座2を閉じた状態で便器本体10の上面に対向する面である。下面部23には、ゴム製の突出部231が配置され、突出部231が便器本体10の上面に当接する。
【0014】
曲面部25は、上面部21と側面部22を接続する部分であり、接続されることによって形成される角をR状に面取りした曲面状の部分である。
【0015】
便座ヒンジ部24は、便座2の後方に配置され、機能部4と便座2を回転可能に接続する。便座ヒンジ部24は、便座2の後方で、便座2の環状の部分の左右方向の両端から後方に突出する。便座ヒンジ部24は、後述する機能部4の内部に配置される回転軸241が挿通可能な軸孔242を有する。
【0016】
便蓋3は、便座2を覆う蓋であり、略U字状に形成される。便蓋3は、蓋面31と、側壁部32と、便蓋ヒンジ部33と、クッション部5と、を有する。
【0017】
蓋面31は、便座2の上面部21及び便器本体10の凹部を覆う概ね平らな面である。側壁部32は、蓋面31の外周縁から便座2の側面部22を覆うように便座2側に向かって下方に延びる。便蓋ヒンジ部33は、便座ヒンジ部24よりも後方で、機能部4に接続される。便蓋ヒンジ部33は、蓋面31の左右方向の両端から後方に突出する。便蓋ヒンジ部33は、後述する機能部4の内部に配置される回転軸331が挿通可能な軸孔332を有する。
【0018】
クッション部5は、便蓋3の蓋面31の裏側に便座2に当接可能に配置される。クッション部5は、第1クッション部51と、第2クッション部52と、を有する。
【0019】
第1クッション部51は、
図2に示すように、便蓋3の左右方向に、互いに対向して一対配置される。第1クッション部51は、
図3A及び
図3Bに示すように、便蓋3を閉じ状態で、便座2の曲面部25に当接可能に配置される。第1クッション部51は、便座2の平面視及び前側から見て、左右方向に延びる横長の形状を有する。第1クッション部は、便座2に当接する当接部510と、便座2の中央部側に位置する内側端部51aと、便座2の外縁側に位置する外側端部51bとを有する。第1クッション部51の外側端部51bは、便蓋3の側壁部32に当接している。
【0020】
第1クッション部51は、便蓋3から便座2に向かって突出する。第1クッション部51は、便蓋3から下方に突出する第1クッション部用突起511に、第1クッション部用弾性部材512を嵌合することで形成される。第1クッション部用弾性部材512は、例えばゴムである。第1クッション部51は、便蓋3の中央部側から外縁側に向かうにしたがって、便蓋3からの突出高さが大きくなる。言い換えれば、便蓋3及び便座2を閉じた状態で、第1クッション部51では、内側端部51a側から外側端部51b側に向かうにしたがって、当接部510が下方に傾斜している。
図3Bに示すように、外側端部51bから水平方向に延ばす仮想線と、第1クッション部51の当接部510で形成される傾斜の傾斜角度αは、45度以下である。
【0021】
第1クッション部51は、
図4に示すように、便座2を上げて開いた状態では便座2に当接しない。便座2及び便蓋3が便器本体10から起立するように上げられた状態では、便蓋ヒンジ部33の方が便座ヒンジ部24より後方にある。便座2の前端は、便蓋3の前端よりも下方に位置する。
図4の状態から便座2及び便蓋3を下げて閉じる際には、便座2及び便蓋3が手前に倒れるように動き、同時に便蓋3の前端側が便座2の上面を摺動する。便蓋3と便座2が擦り合う過程で、第1クッション部51は、便座2の左右方向の外縁側を摺動する。このとき、
図3Aに示すように、第1クッション部51は、便座2の曲面部25を摺動する。
図5Aに示すように、便蓋3が完全に閉じられた状態では、便蓋3の前端が便座2の前端より手前にある。
【0022】
第2クッション部52は、一対の第1クッション部51の間に配置され、左右方向に直交する前後方向に延びる。
図5Bに示すように、第2クッション部52は、縦長の形状を有する。第2クッション部52は、便蓋3から下方に突出する第2クッション部用突起523a、523bに、第2クッション部用弾性部材524a、524bを嵌合することで形成される。第2クッション部用弾性部材524a、524bは、連続している。
【0023】
第2クッション部52は、第1当接部521と、第2当接部522と、を有する。第1当接部521は、便座2を上げて開いた状態で、便座2の前端が衝突し、当接する部分である。すなわち、第1当接部521は、便蓋3を閉じた状態で第2クッション部52の後方寄り、便座2の環の開口2a側に位置する部分である。第2当接部522は、第1当接部521から直線的に連続して前方に延び、便蓋3の前端部から少し間を開けた前端近傍の位置まで至る。第2当接部522は、便座2及び便蓋3を便器本体10から起立するように上げられた状態では、便座2に当接しない。便座2及び便蓋3を便器本体10の上面に向けて下げ閉じる際に、便座2と第2クッション部52の当接位置が摺動しながら後方から前方へ移動する。
【0024】
図5Bに示すように、第2クッション部52では、第1当接部521の第2クッション部用弾性部材524aの方が、第2当接部522の第2クッション部用弾性部材524bよりも薄くなっており、剛性が低く、衝撃を吸収しやすく構成されている。これに対して、第2当接部522の第2クッション部用弾性部材524bは、第1当接部521の第2クッション部用弾性部材524aよりも厚く、剛性が高いので、便蓋3と便座が摺動して重なっていく際に、便蓋3の荷重を支えやすくなっている。
【0025】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。便座装置1を、座面となる上面部21と、上面部21から下方へ延びる側面部22と、上面部21及び側面部22を接続する曲面部25と、を有する便座2と、便座2に当接可能に配置されるクッション部5を有し、便座2を覆う便蓋3と、を含んで構成した。クッション部5を、便蓋3及び便座2を閉じた状態で便座2の曲面部25に当接可能に配置される第1クッション部51を含んで構成した。第1クッション部51が曲面部25に当接可能に配置されているので、その状態で摺動しても、摺動による跡がつきにくく、跡ができたとしても、摺り跡が目立ちにくい。
【0026】
本実施形態によれば、第1クッション部51の便座2に当接する当接部510を、便蓋3及び便座2を閉じた状態で便蓋3の中央部側から外縁側に向かうにしたがって下方に傾斜させた。これにより、便蓋3を閉じると、傾斜した当接部510の面が曲面部25に当たるので、広い面積で曲面部25に当接することができる。これにより、便蓋3の荷重が大きな面積で便座2に支持され、便蓋3の挙動が安定する。
【0027】
本実施形態によれば、当接部510の傾斜角度αを、45度以下に構成した。第1クッション部51が小さな角度で緩く傾斜しているので、便座2に広い面積で当接しやすい。また、傾斜角度αが小さく、水平に近いので、便座2や便蓋3が左右方向に位置ずれするようなことが起きても、確実に便座2の曲面部25に当てることが可能になる。
【0028】
本実施形態によれば、第1クッション部51の外側端部51bを、便蓋3の蓋面31の外周縁から便座2側に向かって延びる側壁部32に当接させた。これにより、第1クッション部51と側壁部32との間に隙間が形成されないので、汚れを除去しやすく、清掃が容易になる。
【0029】
本実施形態によれば、第1クッション部51を、便座2の平面視で左右方向に延びる横長の形状に形成した。これにより、便座2に当接可能な部分の面積を大きくしつつも、第1クッション部51を必要最低限の面積を有するように構成することができる。
【0030】
本実施形態によれば、第1クッション部51を、便座2の左右方向に互いに対向して一対配置した。クッション部5を、一対の第1クッション部51の間に配置され、左右方向に直交する前後方向に沿って延びる第2クッション部52を含んで配置した。
第2クッション部52を、便座2を開いた状態で便座2に当接する第1当接部521と、第1当接部521から便蓋3の前端近傍まで延び、便座2が閉じる際に便座と摺動可能に配置される第2当接部522と、を含んで構成した。第2クッション部52が一対の第1クッション部51の間に配置されることで、便座2及び便蓋3の左右方向の三点で便蓋3が支持されることになる。これにより、便蓋3の摺動時の動きが安定する。第2クッション部52を便蓋3の前端近傍まで延びるように配置させることで、第1クッション部51を便座2の曲面部25に当たるように配置した場合に、第2クッション部52を継続的に便蓋3に当接して摺動させるように構成することができる。
【0031】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。例えば、第1クッション部51は、上記実施形態では横長の形状に形成されたものとして説明した。しかし。第1クッション部51の形状は特に限定されない。また、第1クッション部51及び第2クッション部52の数は上記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0032】
1 便座装置、 2 便座、 3 便蓋、 5 クッション部、 10 便器本体、 21 上面部、 22 側面部、 25 曲面部、 31 蓋面、 32 側壁部、 51 第1クッション部、 52 第2クッション部、 521 第1当接部 522 前記第2当接部