(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042902
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】吸着性不織布
(51)【国際特許分類】
B01J 20/26 20060101AFI20230320BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20230320BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20230320BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20230320BHJP
D06M 14/28 20060101ALI20230320BHJP
D06M 13/477 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
B01J20/26 A
B01J20/28 Z
B01J20/30
A61L9/014
D06M14/28
D06M13/477
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150316
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】506060258
【氏名又は名称】公立大学法人北九州市立大学
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】上江洲 一也
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンユン
(72)【発明者】
【氏名】伊林 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】大亦 壮
(72)【発明者】
【氏名】牧田 智裕
【テーマコード(参考)】
4C180
4G066
4L033
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA16
4C180BB08
4C180BB09
4C180CC04
4C180CC16
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4C180EB36X
4C180EB40X
4G066AA47A
4G066AB07A
4G066AB07B
4G066AB12A
4G066AB12B
4G066AB13A
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4G066DA01
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4G066FA07
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4G066FA37
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4L033AA05
4L033AB07
4L033AC15
4L033BA19
4L033BA57
4L033CA21
(57)【要約】
【課題】 アセトンなどの揮発性有機化合物を吸着することができるとともに、交換によるメンテナンスのコストを低く抑えることができる吸着性不織布を提供する。
【解決手段】 不織布本体1に対し放射線グラフト重合2を行い、GMA溶液3を接触させて、不織布本体1の繊維に複数のグラフト鎖4を形成し、このグラフト鎖を形成した不織布本体を4-(アミノメチル)ピリジンの溶液5に浸漬した後、Cuなどの金属6の溶液に浸漬させる。これにより、不織布本体1と、不織布本体の繊維に形成された複数のグラフト鎖4bとを備え、このグラフト鎖4bには、官能基(4-(アミノメチル)ピリジン)が付与されているとともに、この4-(アミノメチル)ピリジンに更にCuなどの金属が結合している構成を有する吸着性不織布10を得ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布本体と、前記不織布本体の繊維に形成された複数のグラフト鎖と、前記グラフト鎖に付与された官能基とを備えた吸着性不織布であって、
前記官能基が4-(アミノメチル)ピリジンであって、この4-(アミノメチル)ピリジンに更に、銅、ニッケル、マンガン、ジルコニウムおよびランタンから選ばれる少なくとも1つの金属が結合している吸着性不織布。
【請求項2】
不織布重量当たりの前記金属の物質量が0.1~0.6mmol/gである請求項1に記載の吸着性不織布。
【請求項3】
不織布重量当たりの前記4-(アミノメチル)ピリジンの物質量が1.5~25mmol/gである請求項1又は2に記載の吸着性不織布。
【請求項4】
グラフト率が30~550%の範囲である請求項1~3のいずれか一項に記載の吸着性不織布。
【請求項5】
揮発性有機化合物を吸着するための請求項1~4のいずれか一項に記載の吸着性不織布。
【請求項6】
前記不織布本体の繊維が3μm以下の平均繊維径を有する請求項1~5のいずれか一項に記載の吸着性不織布。
【請求項7】
前記不織布本体の目付量が0.5g/m2以上、50g/m2以下である請求項1~6のいずれか一項に記載の吸着性不織布。
【請求項8】
前記不織布本体の比表面積が1.0m2/g以上、10.0m2/g以下である請求項1~7のいずれか一項に記載の吸着性不織布。
【請求項9】
当該吸着性不織布の通気度が3.0cm3/cm2・s以上、300cm3/cm2・s以下である請求項1~8のいずれか一項に記載の吸着性不織布。
【請求項10】
不織布本体の繊維に複数のグラフト鎖を形成する工程と、
前記グラフト鎖に、官能基として4-(アミノメチル)ピリジンを付与する工程と、
前記官能基に更に、銅、ニッケル、マンガン、ジルコニウムおよびランタンから選ばれる少なくとも1つの金属を結合させる工程と
を含む吸着性不織布の製造方法。
【請求項11】
上記金属の不織布重量当たりの物質量と上記官能基の不織布重量当たりの物質量とのモル比が1:2~1:50の範囲である請求項10に記載の吸着性不織布の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着性不織布に関し、より詳しくは、揮発性有機化合物などを吸着する吸着性不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、繊維を改質して特定の機能、例えば抗菌、消臭(脱臭)、有害物質の除去等の機能を付与した繊維体が注目されている。具体的には、例えばコットン等の天然繊維の表面を、電子線を用いてグラフト重合により活性化させ、その活性化された繊維表面に上記機能を有する物質を結合させることにより、繊維に特定の機能を付与している。
【0003】
例えば、特許文献1には、繊維が集合した不織布本体と、前記繊維に形成された複数のグラフト鎖と、前記グラフト鎖に付与された官能基とを備え、前記繊維の径の平均が3.0μm以下である機能性不織布が記載されている。官能基として、シアル酸、N-アセチルグルコサミン、シアリルガラクトース、シアリルラクトースを採用することで、インフルエンザウイルスを捕捉することができることが記載されている。
【0004】
一方で、揮発性有機化合物(VOCs)は、沸点が低く、大気中に容易に存在する有機化合物の総称であり、特に室内空間において室温で存在し、人体に急性または慢性の中毒を引き起こす汚染物質として問題視されている。そのため、VOCsを室内空間から除去するために多くの研究が行われてきた。VOCs除去の典型的な技術は、燃焼(酸化)や、吸着である。燃焼は、除去率が高く効率が良い一方で、燃料消費量が多く、高コストである。吸着は、例えば、活性炭による吸着がある。活性炭は高い吸着を示し効率的だが、頻繁に交換する必要があることから、メンテナンスのコストは、燃焼よりも安いものの、依然として高い水準にある。
【0005】
アセトンは、最も単純なケトンであり、いくつかの国ではVOCsのリストから除外されているものの、人体への悪影響が無いということではない。アセトンは無色で、引火点が低く、揮発性が高いため、通常の条件下では蒸気の形で存在する。アセトンは、工場や建設現場で使用されており、また、美容やインテリアなどの日常生活でも使用されている。アセトンは、摂取、吸入、または皮膚接触によって暴露の可能性があり、鼻、喉、肺、目を刺激し、頭痛、めまい、嘔吐を引き起こすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、アセトンなどの揮発性有機化合物を吸着することができるとともに、交換によるメンテナンスのコストを低く抑えることができる吸着性不織布を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、その一態様として、吸着性不織布であって、不織布本体と、前記不織布本体の繊維に形成された複数のグラフト鎖と、前記グラフト鎖に付与された官能基とを備え、前記官能基は4-(アミノメチル)ピリジンであって、この4-(アミノメチル)ピリジンに更に、銅、ニッケル、マンガン、ジルコニウムおよびランタンから選ばれる少なくとも1つの金属が結合している。
【0009】
不織布重量当たりの前記金属の物質量は、0.2~0.5mmol/gであることが好ましい。
【0010】
不織布重量当たりの前記4-(アミノメチル)ピリジンの物質量は、1.5~25mmol/gであることが好ましい。
【0011】
グラフト率は30~550%の範囲であることが好ましい。
【0012】
この吸着性不織布は、揮発性有機化合物を吸着する吸着性不織布とすることが好ましい。
【0013】
前記不織布本体の繊維は、3μm以下の平均繊維径を有することが好ましい。
【0014】
前記不織布本体の目付量は0.5g/m2以上、50g/m2以下であることが好ましい。
【0015】
前記不織布本体の比表面積は1.0m2/g以上、10.0m2/g以下であることが好ましい。
【0016】
当該吸着性不織布の通気度は3.0cm3/cm2・s以上、300cm3/cm2・s以下であることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、別の態様として、吸着性不織布の製造方法であって、不織布本体の繊維に複数のグラフト鎖を形成する工程と、前記グラフト鎖に、官能基として4-(アミノメチル)ピリジンを付与する工程と、前記官能基に更に、銅、ニッケル、マンガン、ジルコニウムおよびランタンから選ばれる少なくとも1つの金属を結合させる工程とを含む。
【0018】
上記金属の不織布重量当たりの物質量と上記官能基の不織布重量当たりの物質量とのモル比は、1:2~1:50の範囲であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明によれば、放射線グラフト重合による不織布は安価であるとともに、不織布本体の繊維に形成されたグラフト鎖に官能基として4-(アミノメチル)ピリジンが付与され、この官能基に更に銅、ニッケル、マンガン、ジルコニウムおよびランタンから選ばれる少なくとも1つの金属が結合していることから、室温においても、アセトン等の揮発性有機化合物を吸着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る吸着性不織布の製造方法の一実施の形態を模式的に説明するフロー図である。
【
図2】本発明に係る吸着性不織布の実施例におけるグラフト率と4-AMPの物質量との関係を表すグラフである。
【
図3】本発明に係る吸着性不織布の実施例におけるグラフト率と4-AMPのモル転化率との関係を表すグラフである。
【
図4】本発明に係る吸着性不織布の実施例における4-AMPの物質量とCuの物質量との関係を表すグラフである。
【
図5】本発明に係る吸着性不織布の実施例における一例の走査型透過電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図6】比較例の不織布によるアセトンの吸着試験の結果を表すグラフである。
【
図7】比較例の不織布によるアセトンの吸着試験の結果を表すグラフである。
【
図8】実施例の吸着性不織布によるアセトンの吸着試験の結果を表すグラフである。
【
図9】吸着試験で不織布が無い場合のアセトン濃度の変化を表すグラフである。
【
図10】実施例の吸着性不織布によるアセトンの吸着試験の結果を表すグラフである。
【
図11】実施例の吸着性不織布によるアセトンの吸着試験の結果を表すグラフである。
【
図12】実施例の吸着性不織布によるアセトンの吸着試験の結果を表すグラフである。
【
図13】実施例の吸着性不織布によるアセトンの吸着試験の結果を表すグラフである。
【
図14】比較例の不織布によるアセトンの放出試験の結果を表すグラフである。
【
図15】比較例の不織布によるアセトンの放出試験の結果を表すグラフである。
【
図16】実施例の吸着性不織布によるアセトンの放出試験の結果を表すグラフである。
【
図17】放出試験で不織布が無い場合のアセトン濃度の変化を表すグラフである。
【
図18】実施例の吸着性不織布によるアセトンの吸着試験を繰り返し行った結果を表すグラフである。
【
図19】実施例の吸着性不織布によるアセトンの放出試験を繰り返し行った結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る吸着性不織布およびその製造方法の一実施の形態について説明する。
【0022】
本発明に係る吸着性不織布の製造方法の一実施の形態について説明する。本実施形態の吸着性不織布の製造方法は、
図1に示すように、不織布本体1の繊維に複数のグラフト鎖4を形成するグラフト鎖形成工程と、グラフト鎖4に官能基5を付与する官能基付与工程と、官能基に更に所定の金属6を結合させる金属結合工程とを有する。これによりアセトン等の揮発性有機化合物に対して優れた吸着性を示す吸着性不織布10を得ることができる。各工程について詳しく説明する。
【0023】
グラフト鎖形成工程では、先ず、
図1(a)に示すように、不織布本体1を準備する。不織布本体1は、繊維が一方向またはランダムに配向しており、交流、融着、および/または接着によって繊維間が結合されたシートまたはウェブである。繊維としては、ナノファイバー、マイクロファイバー、またはナノファイバーとマイクロファイバーとの組み合わせが好ましい。本明細書において、ナノファイバーは、材料としての樹脂を平均繊維径が1μm未満の繊維に加工したものをいい、マイクロファイバーは、材料としての樹脂を平均繊維径が3μm以下の繊維に加工したものをいう。ここで、平均繊維径とは不織布となった状態における複数の長繊維フィラメントの平均直径をいう。
【0024】
ナノファイバーおよびマイクロファイバーの材料として使用可能な樹脂は、糸状に加工可能な熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸を含むポリエステル、ナイロン(ナイロン6、ナイロン66)を含むポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレンを含むポリオレフィン、ポリビニルアルコール系ポリマー、アクリロニトリル系ポリマー、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などを含むフッ素系ポリマー、ウレタン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、スチレン系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリオキシメチレン、エーテルエステル系ポリマー、トリアセチルセルロース等のセルロース修飾ポリマーなどが使用可能である。なかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ナイロン(ナイロン6、ナイロン66)及びポリプロピレンは、延伸性及び分子配向性が良いため好ましい。
【0025】
不織布本体1を構成する繊維の平均繊維径は低いほど好ましい。平均繊維径が3μm以下であれば、不織布本体1の比表面積を顕著に大きくすることができ、繊維表面に形成されるグラフト鎖の数(単位重量当たり)が多くなり、そのグラフト鎖に付与される官能基の数も多くなる。すなわち、平均繊維径の小さい繊維の不織布ほど、官能基のもつ機能の有効性が高い。よって、マイクロファイバーよりもナノファイバーが好ましく、ナノファイバーの平均繊維径は上記の通り1μm未満であるが、0.5μm以下のものがより好ましい。
【0026】
ナノファイバーを用いる場合の不織布本体1の目付量は0.5g/m2以上、10g/m2以下であることが好ましい。特に目付量の上限値は6g/m2以下であることがより好ましく、3g/m2以下であることがさらに好ましい。マイクロファイバーを用いる場合の不織布本体1の目付量は50g/m2以下であり、好ましくは30g/m2以下である。不織布本体1の目付量が上記の範囲に維持されることにより、吸着性不織布の製品としての通気性の低下を抑制することができる。不織布本体1の比表面積は1.0m2/g以上、10.0m2/g以下であることが好ましい。比表面積が大きいほど、アセトン等の揮発性有機化合物の吸着サイトが多くなり、高い吸着性を発揮することができる。
【0027】
不織布本体1には、不織布本体1を支持するため、不織布本体1の一方の面に基材(図示省略)を積層させてもよい。基材は、例えば、乾式不織布、湿式法不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、ステッチボンド不織布、スチームジェット不織布等、公知の不織布を採用することができる。
【0028】
基材の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンを含むポリオレフィン、レーヨン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル繊維、ビニロン、アラミド繊維、ガラス繊維、ゼルロース繊維等が挙げられる。これらの中から一種の材料だけで基材を形成してもよいし、二種以上の材料を混合して基材を形成してもよい。
【0029】
基材を構成する繊維の形状としては、材料としての樹脂を紡糸して糸状に加工したもの、フィルム化した後にメッシュ状に割繊して扁平な繊維に加工したもの等、公知の形状を採用することができる。平均繊維径は100μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、3μm以下が特に好ましい。基材を不織布本体1に積層させた場合でも積層させない場合でも、吸着性不織布10の通気度は、3.0cm3/cm2・s以上、300cm3/cm2・s以下であることが好ましい。通気度が高いほど、アセトン等の揮発性有機化合物の吸着サイトへの移動が容易になる。
【0030】
そして、不織布本体1に対して放射線グラフト重合2を行い、
図1(b)に示すように、不織布本体1を構成する繊維の表面にグラフト鎖4を定着させる。具体的に説明すると、例えば、ナノファイバーを構成するポリプロピレン等の高分子素材に放射線を照射する。放射線が照射された高分子素材においては、C-H結合が切れてラジカルが生成する。ラジカルが生成した高分子材料を、二重結合(ビニル基)を持つグリシジルメタクリレート(GMA)溶液3と接触させると、ラジカルが反応の活性種となってグリシジルメタクリレートの二重結合が切れてラジカルと結合し、高分子素材の表面にグラフト鎖4が形成される。GMA溶液の溶媒としては、メタノールなどのアルコール類や、トルエンなどの芳香族類を用いることができる。
【0031】
なお、グラフト鎖4を形成する材料としてGMAを用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの不飽和二重結合官能基を有する化合物を用いてもよいし、プロパルギル基などの不飽和三重結合官能基を有する化合物を用いても、不織布本体1の繊維にグラフト鎖4を形成することができる。また、グラフト鎖4に官能基を容易に付与させるために、エポキシ基を有する化合物を用いることが好ましい。このような化合物としては、例えば、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、グリシジルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0032】
グラフト鎖4は、このようにナノファイバー等の繊維の表面に、枝のように配列されたグラフト重合体である。グラフト鎖4が繊維表面に定着することにより、ナノファイバー等の繊維の表面には、グラフト鎖4の無数の枝が層をなすように形成される。本実施の形態において、以下の式1から求められるグラフト鎖4のグラフト率(略号:DG)は、30~550%の範囲が好ましく、40~300%の範囲がより好ましく、150~200%の範囲が更に好ましい。なお、式1においてW0はグラフト重合前の不織布(基材を有する場合は基材も含む)の重量を指し、W1はグラフト重合後の不織布(基材を有する場合は基材も含む)の重量を指す。
【0033】
【0034】
揮発性有機化合物(VOCs)のうち、特にアセトンやホルムアルデヒドは、分子量が小さな化合物であることから、高密度のグラフト鎖の間を拡散することが可能であり、吸着サイトとなる官能基は不織布表面に多く付与されている方が好ましい。一方で、グラフト率を過度に高めても、不織布表面ではなく不織布内部にグラフト鎖が形成され吸着サイトとして機能しない。よって、グラフト率は上述した範囲とすることが好ましい。
【0035】
次に、官能基付与工程として、
図1(c)に示すように、グラフト鎖4が形成された不織布本体1を、官能基を含む溶液5に浸漬し、所定の温度下で所定の時間にわたりその状態を維持する。その後、溶液5から不織布本体を取り出し、洗浄及び乾燥させると、グラフト鎖4に官能基が付与される。官能基を含む溶液5に用いる溶媒としては、水や、メタノールなどのアルコール類や、トルエンなどの芳香族類を用いることができる。溶液5の温度は、例えば、60~80℃の範囲が好ましい。浸漬時間は、例えば、6~24時間が好ましい。
【0036】
グラフト鎖に付与される官能基としては、グラフト鎖に結合することができるとともに、所定の金属とも結合し、この所定の金属と配位してアセトンなどの揮発性有機化合物を吸着することができるものであればよく、
図1(c)に示すように、例えば、4-(アミノメチル)ピリジン(略号:4-AMP)が好ましい。グラフト鎖4のオキシ基の一方の結合が切れて、4-(アミノメチル)ピリジンがグラフト鎖4に付加される。なお、4-(アミノメチル)ピリジンの構造式を以下に示す。
【0037】
【0038】
4-(アミノメチル)ピリジンの他の官能基としては、例えば、2,4-ジアミノ-6-ジメチルアミノ-1,3,5-トリアジン、2,4-トリアミノキナゾリン、2-アミノ-3H-キナゾリン-4-オン、3,4-ジアミノピリジン、9-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロアクリジンなどが挙げられる。これら化合物であっても、4-(アミノメチル)ピリジンと同様に、所定の金属と配位してアセトンなどの揮発性有機化合物を吸着することができる。
【0039】
グラフト鎖4に付与される官能基の物質量は、不織布重量当たりで1.5~25mmol/gが好ましく、4~10mmol/gがより好ましく、8~10mmol/gが更に好ましい。上記官能基は、所定の金属と配位して吸着サイトとなることから、不織布重量当たりの物質量が高いほど好ましいが、過度に高くなっても、金属の不織布重量当たりの物質量が増えないことから、上記の範囲とすることが好ましい。
【0040】
また、グラフト鎖4に付与される官能基のモル転化率は、40~100%の範囲が好ましく、60~100%の範囲がより好ましく、60~80%の範囲が更に好ましい。官能基のモル転化率は、不織布重量当たりのグラフト鎖の物質量に対する不織布重量当たりの官能基の物質量のパーセンテージである。官能基のモル転化率が高いほど、グラフト鎖に対して付与された官能基が多いことから好ましい。
【0041】
次に、金属結合工程として、
図1(d)に示すように、官能基が付与されたグラフト鎖4aが形成された不織布本体1を、所定の金属を含む溶液6に浸漬し、所定の温度下で所定の時間にわたりその状態を維持する。その後、溶液6から不織布本体を取り出し、洗浄及び乾燥させると、グラフト鎖4aの官能基に更に金属が結合される。金属を含む溶液6としては、金属の種類によって異なるが、硫酸金属塩や、ジルコニウム金属塩、マンガン金属塩などの水溶液を用いることができる。溶液6の温度は、例えば、20~40℃の範囲が好ましい。浸漬時間は、例えば、2~24時間が好ましい。
【0042】
このようにグラフト鎖4aの官能基に更に結合させる金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)およびランタン(La)から選ばれる少なくとも1つの金属である。これら金属に上記の官能基が配位することで、アセトンなどの揮発性有機化合物を吸着することができる。これらのうち、銅が、カルボニル基(>C=O)を有する化合物を配位しやすいことや、コスト面などから好ましい。また、ニッケル、マンガン、ジルコニウム、ランタンは、カルボニル基を有する化合物と配位結合することから、銅と同様に上記の官能基が配位することで、ケトン類、アルデヒド類の揮発性有機化合物を吸着することができる。
【0043】
官能基に結合する上記金属の物質量は、不織布重量当たりで0.1~0.6mmol/gが好ましく、0.2~0.5mmol/gがより好ましく、0.3~0.4mmol/gが更に好ましい。上記金属は、配位する上記官能基とともに揮発性有機化合物を吸着することから、不織布重量当たりの物質量が高いほど好ましいが、過度に高くなっても、吸着容量が変化せず、上記の範囲とすることが好ましい。
【0044】
また、上記金属の不織布重量当たりの物質量と上記官能基の不織布重量当たりの物質量とのモル比は、理論的には1:2が好ましいが、上記官能基の全てに上記金属が結合されていなくてもよく、1:2~1:50の範囲が好ましく、1:5~1:40の範囲がより好ましく、1:10~1:20の範囲が更に好ましい。
【0045】
このようにして得られた吸着性不織布10は、
図1(d)に示すように、不織布本体1の繊維に形成されたグラフト鎖4bには、官能基(4-(アミノメチル)ピリジン)が付与されているとともに、この4-(アミノメチル)ピリジンに更に所定の金属(Cu)が結合している。よって、この吸着性不織布10は所定の金属(Cu)に4-(アミノメチル)ピリジンが配位する構成を有することから、ケトンやアルデヒドを有するアセトンやホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物に対して優れた吸着性を示すことができる。また、このような金属および官能基が、不織布の繊維に形成されたグラフト鎖に結合していることから、アセトンやホルムアルデヒドなどの低分子量の揮発性有機化合物であるに対して優れた吸着性を示すことができる。
【実施例0046】
[1.GMA不織布の形成]
先ず、不織布(ポリプロピレン製、目付30g/m2、平均繊維径2.9μm)を直径40mmの円形に裁断したものを用意し、その重量を測定した。また、グリシジルメタクリレート(GMA)濃度10%のGMA/メタノール混合溶液を調製し、その溶液を注入した袋に上記の大きさに裁断した不織布を入れ、袋を真空引きしてGMA/メタノール混合溶液に浸漬した。その後、袋を真空引きした状態を維持しつつ、袋内の不織布に放射線を当ててグラフト重合させた。不織布を袋から取り出し、メタノールで三回、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)で二回洗浄した。洗浄後に不織布を乾燥させて、不織布の素材表面にグラフト鎖が形成された不織布(以下、「GMA不織布」という)を作製した。
【0047】
GMA濃度を、10%から、3~13%の範囲に変えた溶液を調製し、上記の要領で不織布をグラフト重合させた。それぞれの溶液を用いて作製したGMA不織布についてグラフト率を算出した。グラフト率(DG)は、グラフト重合前の不織布の重量(W0)とグラフト重合後の不織布の重量(W1)をそれぞれ測定し、上述した式1を用いて算出した。
【0048】
[2.GMA不織布への4-AMPの導入]
このようにして作製した各種GMA不織布を、1Mの4-(アミノメチル)ピリジン(4-AMP)水溶液に浸漬し、80℃の温度下で24時間にわたり振とうした。その後、4-AMP水溶液からGMA不織布を取り出し、イオン交換水で洗浄し、乾燥させた。これにより、GMA不織布のグラフト鎖に官能基として4-AMPを付加した不織布(以下、「4-AMP不織布」という)を作製した。そして、4-AMP不織布の重量(W
2)を測定し、上記測定した不織布の重量(W
0)およびGMA不織布の重量(W
1)と、4-AMP分子量(MW
2)とを用い、以下の式2から、グラフト鎖に付加された4-AMPの不織布重量当たり物質量(mol/kg)を算出した。その結果を、グラフト率と4-AMPの物質量との関係を示すグラフとして
図2に示す。
【0049】
【0050】
また、得られた4-AMP不織布について、4-AMPのモル転化率を算出した。モル転化率(MCR)は、上記のGMA不織布の重量(W
1)に加え、4-AMP不織布の重量(W
2)を測定し、上記算出したグラフト率(DG)、GMA分子量(MW
1)、4-AMP分子量(MW
2)から以下の式3により求めた。その結果を、グラフト率と4-AMPのモル転化率との関係を示すグラフとして
図3に示す。
【0051】
【0052】
図2に示すように、グラフト鎖に付加する4-AMPの物質量は、グラフト率が増加するにつれて比例して増加する結果を示した。一方、4-AMPのモル転化率は、一定のレベルに維持され、グラフト率の違いに応じる有意な変化はなく、平均で約63.4%であった。
【0053】
[3.4-AMP不織布への銅の導入]
4-AMP不織布を、0.01Mの硫酸銅(CuSO4)水溶液に浸漬し、30℃の温度下で24時間にわたり振とうした。その後、硫酸銅水溶液から4-AMP不織布を取り出し、イオン交換水で洗浄し、それらを乾燥させた。これにより、GMA不織布のグラフト鎖に固定した4-AMPに更に銅を固定した不織布(以下、「4-AMP-Cu不織布」という)を作製した。
【0054】
このように作製した4-AMP-Cu不織布に含まれる銅の量について測定した。4-AMP-Cu不織布を、1Mの塩化水素(HCl)水溶液に浸漬し、室温下で2時間にわたり振とうした。その後、塩化水素水溶液から不織布を取り出し、銅が溶出した塩化水素水溶液をイオン交換水で10倍に希釈した後、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)装置(島津製作所社製、ICPE-9820)で定量分析を行い、4-AMPに結合した銅の不織布重量当たり物質量(mmol/g)を算出した。その結果を
図4に示す。
【0055】
図4に示すように、グラフト鎖に付加した4-AMPの物質量の変化に応じて、4-AMPに結合した銅の物質量は変化した。銅の物質量は、4-AMPの物質量が不織布重量当たり約8~12mmol/gの範囲において、効率的に4-AMPに結合することがわかった。銅の物質量が最大になったのは、グラフト率が240%、4-AMPの物質量が12.75mmol/gの際で、銅の物質量は0.51mmol/gであった。しかし、このサンプルの銅と4-AMPのモル比は、1:25であった。一方で、グラフト率の違いによる銅と4-AMPのモル比について分析したところ、グラフト率が170~180%の場合に、銅と4-AMPのモル比が1:20であった。よって、グラフト率が170~180%のGMA不織布を用いることで、銅を効率的に4-AMPに結合できることがわかった。
【0056】
グラフト率が180%の4-AMP-Cu不織布を走査型透過電子顕微鏡で撮影した画像を
図5に示す。倍率は850倍である。
図5に示すように、グラフト鎖、4-AMP、銅を外観で見分けることは難しいが、不織布の繊維の表面に付着物が多数形成されていることが分かる。
【0057】
[4.アセトンの吸着]
以下の要領で、不織布にアセトンを吸着させる試験を行った。先ず、50Lの容量のポリフッ化ビニル製のバッグに窒素ガスを充填し、アセトン溶液を注入してガス化させた。実験に使用したアセトンガスは、ガス化させてから12時間以上の安定する時間を経過してから実験に使用した。このように調製したアセトンガスの濃度は、アセトン検知管(ガステック社製、アセトン151L)で測定した。実験に使用したアセトンガスの濃度は約30~50ppmであった。
【0058】
次に、5Lの容量のポリフッ化ビニル製のバッグの一部を切り、試験対象の不織布をバッグに入れた後、真空状態にして密封した。この5Lのバッグに、ポンプを介して50Lのバッグからアセトンガスを注入した。そして、5Lのバッグの中からアセトンガス2mlを所定の時間ごとに抽出し、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、GC-2014)でアセトンガスの濃度を測定した。
【0059】
不織布として、GMA不織布(グラフト率:172%)、4-AMP不織布(グラフト率:180%)、4-AMP-Cu不織布(グラフト率:178%)を使用して上記のアセトンの吸着試験を行った。それらの結果を
図6~8に示す。なお、この試験では、5Lのバッグ内に不織布が存在しない場合のアセトンガスの濃度の変化も調べた。その結果を
図9に示す。
図6~
図9のグラフにおけるアセトンガスの濃度は、当初の濃度(約50ppm)に対するパーセンテージである。
図9に示すように、不織布を入れなかった場合でも、アセトンガスの濃度は、約1~10%の幅で変化していたことが確認された。
【0060】
また、グラフト率を42%、250%、412%、523%とした4-AMP-Cu不織布を使用して上記のアセトンの吸着試験を行った。それらの結果を
図10~
図13に示す。
図10~
図13のグラフにおけるアセトンガスの濃度も、当初の濃度(約50ppm)に対するパーセンテージである。
【0061】
GMA不織布の場合、
図6に示すように、不織布がない場合のばらつき(約10%)を考慮すると、実質的に吸着量はほとんどないと判断できる。4-AMP不織布の場合、
図7に示すように、アセトンガスはある程度の量を吸着したが、最大の吸着量は全アセトンガス濃度の約20%であり、吸着性能は良好とは言えなかった。一方、これらとほぼ同じグラフト率の4-AMP-Cu不織布の場合、
図8に示すように、4-AMP不織布の2倍の量のアセトンガス(全濃度の約40%以上)を吸着することができた。また、バッグ内に不織布を挿入してから約10分の経過時間で最大の吸着量を示した。60分の経過時間でも、このレベルの吸着量を維持していた。グラフト率を42%から523%の範囲に変えた4-AMP-Cu不織布でも、同様に経過時間約10分の時点で最大の吸着量(全濃度の約20~60%)を示し、60分の経過時間にわたってほぼ同レベルの吸着量を維持した。
【0062】
また、アセトンガスの吸着が可逆的かどうかを調べるため、不織布に吸着されたアセトンガスが再び放出されているかどうかを確認する試験を行った。この放出試験は、先ず、5Lのバッグ内に不織布を入れてアセトンガスを注入し、60分間にわたり吸着量を測定するとともに、その後、5Lのバッグからアセトンガスを排出して真空状態にし、アセトンガスの量と同等の量の新鮮な空気を注入した。そして、60分間にわたり不織布から放出されたアセトンガスの量を測定した。
【0063】
不織布として、
図6~
図8の吸着試験に用いたGMA不織布、4-AMP不織布、4-AMP-Cu不織布を使用して上記のアセトンの放出試験を行った。それらの結果を
図14~
図16に示す。なお、吸着試験では、不織布がない場合でも、バッグ内のアセトンガスの濃度が約10%の範囲で変動したことから、放出試験でも、不織布がない場合のアセトンガスの量の変動を調べた。先ず、5Lのバッグに不織布を入れずにアセトンガスを充填し、ポンプで排気して真空状態にした後、新鮮な空気を注入して、バッグ内の残留アセトンガスの濃度を測定した。その結果を
図17に示す。
図14~
図17のグラフにおけるアセトンガスの濃度も、当初の濃度(約50ppm)に対するパーセンテージである。
図17に示すように、アセトンガスを全て排気した後に新鮮な空気を充填させたバッグ内のアセトンガスの濃度は、最大で34%であった。したがって、試験の開始から、34%の残留アセトンガスが存在すると見なした。
【0064】
GMA不織布の結果を
図14に示す。残留アセトンガスの割合(約34%)を考慮すると、GMA不織布では約18%のアセトンガスが放出されたこととなる。GMA不織布の吸着試験では、ほとんど吸収されなかったという結果を考えると、GMA不織布の場合、不織布にアセトンガスが吸着するのではなく、不織布の細孔にアセトンガスが充填し、新鮮な空気と出会うと不織布から排出されるのではないかと推測される。4-AMP不織布の結果を
図15に示す。吸着試験での最大の吸着量が約20%であったことから、そのうちの約12%の分が再び放出されたこととなる。4-AMP-Cu不織布の結果を
図16に示す。吸着試験での最大の吸着量が約40%であったことから、そのうちの約10%の分が再び放出されたこととなる。4-AMP-Cu不織布は、4-AMP不織布よりもアセトンガスの吸着性が強いと言える。
【0065】
更に、4-AMP-Cu不織布をアセトンガスの吸着に再利用できるかどうかについて試験を行った。すなわち、同一サンプルについて上記の吸着試験と放出試験を3セット繰り返した。その結果を
図18、
図19に示す。吸着の場合、
図18に示すように、1回目から3回目のいずれの場合も最大で約30%から約40%のアセトンガスを吸着したが、放出の場合、
図19に示すように、回数を重ねるごとに、放出量が減少し、3回目ではほとんど放出されなかったと言える。なお、上述してきたアセトンガスの吸着試験と放出試験はいずれも室温で行った。
【0066】
上記の実施例では、官能基に結合させる金属として、銅のみを用いたが、カルボニル基を有する化合物と配位結合することから、ニッケル、マンガン、ジルコニウム、ランタンでも同様にアセトンの吸着性を高めることができると考えられる。更に、上記の実施例では、吸着対象ガスとして、アセトンのみを用いたが、カルボニル基(>C=O)が金属に配位することから、ケトンであれば同様に4-AMP-Cu不織布で吸着することができると考えられ、また、カルボニル基を有する化合物であれば金属に配位することから、アセトアルデヒドなどのアルデヒドであれば同様に4-AMP-Cu不織布で吸着することができると考えられる。