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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042916
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】パネル収納容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20230320BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
H01L21/68 V
B65D85/86 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150339
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【弁理士】
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】大貫 和正
【テーマコード(参考)】
3E096
5F131
【Fターム(参考)】
3E096AA06
3E096BA20
3E096BB05
3E096CA03
3E096CB03
3E096CC01
3E096DA01
3E096DA03
3E096DA08
3E096DA17
3E096DA23
3E096DB01
3E096DB04
3E096DC01
3E096EA02X
3E096EA06X
3E096EA07Y
3E096FA09
3E096FA20
3E096GA03
3E096GA09
3E096GA11
5F131AA03
5F131AA12
5F131AA32
5F131AA33
5F131AA34
5F131CA07
5F131CA17
5F131GA13
5F131GA22
5F131GA53
5F131GA63
5F131GA83
5F131GA84
(57)【要約】
【課題】パネルが破損することを防ぐとともに、搬送装置に対する負荷を軽減可能なパネル収納容器を提供すること。
【解決手段】パネル収納容器は、複数のパネルを第1方向に配列した状態で収納するための容器本体と、容器本体の内部に設けられ、複数のパネルを支持するパネル支持部と、を備え、パネル支持部は、複数のパネルのうちの1枚のパネルを支持するための第1方向と交差する第2方向に延びる第1シャフトを備え、第1シャフトは、第2方向における端部である第1端部を有し、容器本体は、第1端部が固定される第1支柱を備え、第1シャフトの第2方向に垂直な断面形状は、非凸図形である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネルを第1方向に配列した状態で収納するための容器本体と、
前記容器本体の内部に設けられ、前記複数のパネルを支持するパネル支持部と、
を備え、
前記パネル支持部は、前記複数のパネルのうちの1枚のパネルを支持するための前記第1方向と交差する第2方向に延びる第1シャフトを備え、
前記第1シャフトは、前記第2方向における端部である第1端部を有し、
前記容器本体は、前記第1端部が固定される第1支柱を備え、
前記第1シャフトの前記第2方向に垂直な断面形状は、非凸図形である、パネル収納容器。
【請求項2】
前記第1シャフトは、載置部と、前記載置部に設けられる第1脚部とを備え、
前記載置部は、前記パネルが載置される第1面と、前記第1面と反対側の第2面と、を有し、
前記第1脚部は、前記第2面から前記第1方向に延び、
前記第1面及び前記第2面は、前記第1方向と交差する面であり、
前記第1脚部の前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向における長さは、前記載置部の前記第3方向における長さよりも小さい、請求項1に記載のパネル収納容器。
【請求項3】
前記第1シャフトは、前記載置部に設けられ、前記第2面から前記第1方向に延びる第2脚部を更に備え、
前記第1脚部の前記第3方向における長さと前記第2脚部の前記第3方向における長さとの合計は、前記載置部の前記第3方向における長さよりも小さい、請求項2に記載のパネル収納容器。
【請求項4】
前記第1シャフトは、筒状の形状を有する、請求項1に記載のパネル収納容器。
【請求項5】
前記パネル支持部は、前記パネルを支持するための前記第2方向に延びる第2シャフトと、前記第2シャフトを支持する支持体と、を備え、
前記第1シャフトと前記第2シャフトとは、前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に配列されており、
前記第2シャフトは、前記第2方向における端部である第2端部を有し、
前記容器本体は、前記第2端部が固定される第2支柱を更に備える、請求項1又は請求項4に記載のパネル収納容器。
【請求項6】
前記パネル支持部は、前記パネルを支持するための前記第2方向に延びる第2シャフトと、前記第2シャフトを支持する支持体と、を備え、
前記第1シャフトと前記第2シャフトとは、前記第3方向に配列されており、
前記第2シャフトは、前記第2方向における端部である第2端部を有し、
前記容器本体は、前記第2端部が固定される第2支柱を更に備える、請求項2又は請求項3に記載のパネル収納容器。
【請求項7】
前記第2シャフトの前記第2方向に垂直な断面形状は、前記第1シャフトの前記断面形状とは異なる、請求項5又は請求項6に記載のパネル収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パネル収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル用ガラス基板等のパネルを扱う製造工程において、矩形形状のパネルを製造装置から別工程の製造装置に移送する際、及びパネルを一時的に保管する際に、複数のパネルを収納するパネル収納容器が用いられる。例えば、特許文献1には、パネルを収納する容器本体と、容器本体に設けられた開口部を開閉自在に覆う蓋体と、を備えるパネル収納容器が記載されている。このパネル収納容器の内部には、1枚のパネルの中央下面を支持する長尺のサポート部材(シャフト)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/138982号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のパネル収納容器では、シャフトの後端部のみが支柱に固定されている。このため、シャフトの自重によりシャフトの先端が設計上の高さよりも下がることがある。この場合、シャフトの下の収納段にパネルを搬入する際、又は下の収納段からパネルを搬出する際に、パネルがシャフトと干渉し、パネルが破損するおそれがある。
【0005】
一方で、パネル収納容器の重量が増加すると、パネル収納容器を搬送する搬送装置に対して負荷がかかる。そのため、上記シャフトを軽量化することが望ましい。
【0006】
本開示は、パネルが破損することを防ぐとともに、搬送装置に対する負荷を軽減可能なパネル収納容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係るパネル収納容器は、複数のパネルを第1方向に配列した状態で収納するための容器本体と、容器本体の内部に設けられ、複数のパネルを支持するパネル支持部と、を備える。パネル支持部は、複数のパネルのうちの1枚のパネルを支持するための第1方向と交差する第2方向に延びる第1シャフトを備える。第1シャフトは、第2方向における端部である第1端部を有する。容器本体は、第1端部が固定される第1支柱を備える。第1シャフトの第2方向に垂直な断面形状は、非凸図形である。
【0008】
このパネル収納容器では、第1シャフトの第1端部が第1支柱に固定されている。この場合、第1シャフトには自重による均等荷重が生じる。よって、第1シャフトの自重による撓み量は、第1シャフトの断面積に比例し、第1シャフトの断面二次モーメントに反比例する。ここで、断面二次モーメントは、断面における中立軸に関するモーメントの総和として求められる。つまり、断面二次モーメントは、中立軸からの距離の二乗と断面の微小面積との積の総和として求められる。したがって、第1シャフトの断面二次モーメントは、第1シャフトの鉛直方向における長さの影響を強く受けるといえる。上記パネル収納容器では、第1シャフトの第2方向に垂直な断面形状が非凸図形である。非凸図形とは、凸図形でない図形のことをいう。つまり、非凸図形とは、図形上のある2点を結ぶ線分の全体が当該図形上に含まれるわけではない図形のことをいう。非凸図形の条件を満たす断面形状は、外縁の一部が凹んでいる形状、又は中空な部分を含む形状である。したがって、非凸図形の欠落部分を補填した凸図形の断面形状を有するシャフトと比較して、パネル収納容器にパネルが収納される場合において、第1シャフトの鉛直方向の長さ及び水平方向の長さを維持しながら、断面積を小さくすることができる。したがって、第1シャフトの断面二次モーメントを大幅に低減させることなく、第1シャフトの断面積を小さくすることができるので、第1シャフトの上記撓み量を低減することができる。その結果、パネルが破損する可能性を低減することが可能となる。さらに、上記シャフトと比較して、第1シャフトの断面積を小さくすることができるので、第1シャフトの重量を低減することができる。よって、パネル収納容器を搬送する搬送装置に対する負荷を軽減することができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1シャフトは、載置部と、載置部に設けられる第1脚部とを備えてもよい。載置部は、パネルが載置される第1面と、第1面と反対側の第2面と、を有してもよい。第1脚部は、第2面から第1方向に延びてもよく、第1面及び第2面は、第1方向と交差する面であってもよい。第1脚部の第1方向及び第2方向と交差する第3方向における長さは、載置部の第3方向における長さよりも小さくてもよい。矩形状の断面を有する部材において、当該部材の鉛直方向における長さの三乗が断面二次モーメントに寄与する。パネル収納容器にパネルが収納される場合において、第1方向が鉛直方向となり得る。例えば、第1脚部に代えて載置部が第1脚部と同じだけ第1方向に延びている矩形状のシャフトと比較して、第1シャフトの断面形状の第1方向における長さは、上記シャフトの断面形状の第1方向における長さと等しい。したがって、第1シャフトの断面二次モーメントを大幅に低減させることがなく、第1シャフトの断面積を小さくすることができる。そのため、第1シャフトの自重による撓み量を低減することができ、パネルが破損する可能性を低減することが可能となる。さらに、上記シャフトと比較して、第1シャフトの断面積を小さくすることができるので、第1シャフトの重量を低減することができる。よって、パネル収納容器を搬送する搬送装置に対する負荷を軽減することができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1シャフトは、載置部に設けられ、第2面から第1方向に延びる第2脚部を更に備えてもよい。第1脚部の第3方向における長さと第2脚部の第3方向における長さとの合計は、載置部の第3方向における長さよりも小さくてもよい。この場合、第1脚部に加えて第2脚部が載置部に設けられることによって、第1シャフトの断面二次モーメントを大きくすることができる。このため、第1シャフトの自重による撓み量を更に低減することができるので、パネルが破損する可能性を更に低減することができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、第1シャフトは、筒状の形状を有してもよい。この場合、第1シャフトの第2方向に垂直な断面には、中空な部分が設けられる。第1シャフトの断面形状における中空部分を補填した中実な断面形状を有するシャフトと比較して、第1シャフトの断面における外周縁によって囲まれる形状は、上記シャフトの断面における外周縁によって囲まれる形状と同じである。したがって、第1シャフトの断面二次モーメントを大幅に低減させることなく、第1シャフトの断面積を小さくすることができる。そのため、第1シャフトの自重による撓み量を低減することができ、パネルが破損する可能性を低減することが可能となる。さらに、上記シャフトと比較して、第1シャフトの断面積を小さくすることができるので、第1シャフトの重量を低減することができる。よって、パネル収納容器を搬送する搬送装置に対する負荷を軽減することができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、パネル支持部は、パネルを支持するための第2方向に延びる第2シャフトと、第2シャフトを支持する支持体と、を備えてもよい。第1シャフトと第2シャフトとは、第1方向及び第2方向と交差する第3方向に配列されていてもよい。第2シャフトは、第2方向における端部である第2端部を有してもよい。容器本体は、第2端部が固定される第2支柱を更に備えてもよい。この構成では、第2シャフトは第2支柱だけでなく支持体によっても支持されているので、第2シャフトの形状によらずに、第2シャフトが自重によって撓むことが抑制される。パネルは、第1シャフトに加えて、第2シャフトによっても支持される。そのため、パネルを安定して支持することができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、第2シャフトの第2方向に垂直な断面形状は、第1シャフトの断面形状とは異なってもよい。第2シャフトは第2支柱だけでなく支持体によっても支持されている。このため、第2シャフトが自重によって撓むことが抑制されるので、第2シャフトの第2方向に垂直な断面形状を非凸図形とする必要が無い。したがって、第2シャフトの上記断面形状を単純化することができ、第2シャフトの製造を簡易化することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、パネルが破損することを防ぐとともに、搬送装置に対する負荷を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実施形態に係るパネル収納容器の分解斜視図である。
図2図2は、図1に示されるパネル収納容器の背面斜視図である。
図3図3は、図1に示される枠体の正面図である。
図4図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図4に示される支持部の斜視図である。
図6図6は、図5のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7の(a)及び図7の(b)は、シャフトの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。各図には、XYZ座標系が示される。Y軸方向は、X軸方向及びZ軸方向と交差(ここでは、直交)する方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向と交差(ここでは、直交)する方向である。一例として、X軸方向は、左右方向(幅方向;第3方向)であり、Y軸方向は、前後方向(奥行方向;第2方向)であり、Z軸方向は、上下方向(高さ方向;第1方向)である。説明の便宜上、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、及び「右」の用語が用いられるが、これらの方向に限定されない。
【0017】
図1及び図2を参照して、一実施形態に係るパネル収納容器を説明する。図1は、一実施形態に係るパネル収納容器の分解斜視図である。図2は、図1に示されるパネル収納容器の背面斜視図である。図1及び図2に示されるパネル収納容器1は、複数のパネルを収納するための容器である。パネル収納容器1は、例えば、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に準拠している。パネルの例としては、液晶パネル用のガラス基板、及び電子部品を搭載したパネルが挙げられる。パネルは、矩形形状を有する。パネルのサイズの例としては、510mm×515mm及び600mm×600mmが挙げられる。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数は、任意に定められており、例えば、6枚でもよく、12枚でもよい。
【0018】
パネル収納容器1は、例えば、電子部品を製造する製造装置に使用される。電子部品は、例えば、ガラス板及びステンレス板といった大型のキャリアパネル上に多数の電子部品を搭載する工程、これらの電子部品をエポキシ樹脂等で封止する工程、封止された電子部品をパネル形態でキャリアパネルから剥がす工程、及びパネル形態の電子部品を個別に切り出す工程等を経て製造される。パネル収納容器1は、これらの工程間でパネルを移送するために用いられる。
【0019】
パネル収納容器1は、容器本体2と、蓋体3と、を備えている。
【0020】
容器本体2は、正面(前面)が開放された直方体形状の容器である。言い換えると、容器本体2は、前面に開口2aが設けられたフロントオープンボックス型の容器である。容器本体2は、複数のパネルを収納する。具体的には、容器本体2は、複数のパネルを上下方向に配列した状態で収納する。開口2aを介してパネルが容器本体2に出し入れされる。容器本体2の詳細は後述する。
【0021】
蓋体3は、容器本体2の開口2aを閉塞するための部材である。蓋体3は、ガスケット等の封止部材を介して容器本体2の開口2aを気密に閉塞する。蓋体3は、開口2aを画定するフランジ25に着脱自在に取り付けられる。蓋体3は、蓋本体31と、施錠機構32と、を備えている。蓋本体31は、蓋体3の本体部分である。蓋本体31は、矩形状の板材である。蓋本体31は、例えば、アルミニウム及びマグネシウム合金等の金属材料で構成されている。蓋本体31は、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂で構成されてもよい。蓋本体31の前面には、鍵穴33が設けられている。鍵穴33には、不図示の鍵が挿入される。
【0022】
施錠機構32は、鍵穴33に挿入された鍵が操作されることによって、蓋体3を施錠又は解錠する。施錠機構32は、不図示のラッチを備えている。蓋体3がフランジ25に取り付けられた状態で、鍵の操作によりラッチがフランジ25に設けられた施錠穴25hに嵌入されることによって蓋体3が施錠される。蓋体3が施錠されている状態で、鍵の操作によりラッチが施錠穴25hから引き抜かれることよって蓋体3が解錠される。
【0023】
容器本体2及び蓋体3は、金属材料又は樹脂材料で成形される複数の部品を組み合わせることによって構成される。樹脂材料の成形材料に含まれる樹脂の例としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、液晶ポリマー、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体が挙げられる。樹脂材料の成形材料に含まれる樹脂として、これらのアロイが用いられてもよい。
【0024】
これらの樹脂には、導電物質、及び各種帯電防止剤が添加されてもよい。導電物質は、例えば、カーボン繊維、カーボンパウダー、カーボンナノチューブ、又は導電性ポリマー等からなる。帯電防止剤としては、アニオン系、カチオン系、及び非イオン系等の帯電防止剤が用いられ得る。ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オキザリックアシッドアニリド系、及びヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が添加されてもよい。剛性を向上させるガラス繊維又は炭素繊維等も選択的に添加されてもよい。
【0025】
次に、図3を更に参照して、容器本体2を詳細に説明する。図3は、図1に示される枠体の正面図である。図1図3に示されるように、容器本体2は、天板21と、底板22と、一対の側壁23と、背面壁24と、フランジ25と、枠体26と、台座部27と、サイドプレート28と、を備えている。
【0026】
天板21、底板22、側壁23、及び背面壁24は、略矩形状の板材である。天板21と底板22とは、上下方向において互いに向かい合っており、略平行に配置されている。一対の側壁23は、左右方向において互いに向かい合っており、略平行に配置されている。背面壁24は、天板21の後端と底板22の後端とを連結するとともに、一対の側壁23の後端を連結している。天板21、底板22、一対の側壁23、及び背面壁24によって、収容空間20が画定される。
【0027】
天板21、底板22、及び側壁23は、例えば、アルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。背面壁24は、例えば、容器本体2の外部から収容空間20を目視可能な透明の樹脂材料によって構成されている。背面壁24の一部が透明の樹脂材料で構成されてもよい。透明な樹脂材料の例としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂、及びシクロオレフィンポリマーが挙げられる。
【0028】
フランジ25は、矩形状の枠体であって、天板21の前端、底板22の前端、及び一対の側壁23の前端にわたって設けられている。フランジ25によって、開口2aが画定される。フランジ25は、例えば、上述の樹脂材料によって構成されている。フランジ25の上枠部及び下枠部のそれぞれには、左右方向に離間して配列された2つの施錠穴25hが設けられている。上枠部の施錠穴25hと下枠部の施錠穴25hとは上下方向において互いに向かい合う位置に設けられている。
【0029】
枠体26は、天板21、底板22、一対の側壁23、及び背面壁24を固定するために用いられる。枠体26は、例えば、アルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。枠体26は、背面壁24の前面に設けられる。枠体26は、枠部26aと、支柱26b(第1支柱)と、一対の支柱26c(第2支柱)と、を有している。枠部26aは、矩形状の部材であって、背面壁24の周縁に沿って設けられている。
【0030】
支柱26b及び一対の支柱26cは、上下方向に延びる柱状部材である。一方の支柱26c、支柱26b、及び他方の支柱26cは、左右方向においてその順に配列され、互いに略平行に配置されている。支柱26b及び一対の支柱26cは、枠部26aの上枠部から下枠部まで延びている。支柱26bは、枠体26の左右方向における中心に設けられ、一対の支柱26cは、枠体26の左右方向における両端近傍に設けられる。
【0031】
支柱26bは、後述するシャフト61aを固定するための部材である。支柱26bには、シャフト61aを取り付けるための複数の嵌合穴26gが設けられている。これらの嵌合穴26gは、支柱26bの前面から後方に向けて窪んでいる。支柱26cは、後述するシャフト62aを固定するための部材である。支柱26cには、シャフト62aを取り付けるための複数の嵌合穴26hが設けられている。これらの嵌合穴26hは、支柱26cの前面から後方に向けて窪んでいる。
【0032】
台座部27は、容器本体2のベースとなる部分である。台座部27は、例えば、アルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。台座部27は、底板22の下面に設けられる。台座部27は、複数の柱状の支持部材を組み合わせることによって構成されている。
【0033】
サイドプレート28は、後述の支持体65を取り付けるための部材である。サイドプレート28は、上下方向に延びる板状部材である。サイドプレート28は、例えば、アルミニウム及びステンレス等の金属材料によって構成されている。サイドプレート28は、側壁23の外面に設けられる。本実施形態では、各側壁23に2つのサイドプレート28が設けられる。2つのサイドプレート28は、前後方向に配列され、互いに略平行に配置されている。1つのサイドプレート28は、側壁23の前後方向における中心付近に設けられ、もう1つのサイドプレート28は、側壁23の前後方向における前端近傍に設けられる。
【0034】
容器本体2の角部には、収容空間20へのパーティクル(粒子)の侵入を防止するためのカバー部材が設けられている。
【0035】
次に、図4を参照して、収容空間20内の構成を説明する。図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図である。図4に示されるように、パネル収納容器1は、パネル支持部60を更に備えている。パネル支持部60は、複数のパネルを支持するための部分である。パネル支持部60は、容器本体2の内部(収容空間20)に設けられている。パネル支持部60は、複数の支持部61と、複数の支持部62と、複数のストッパ63と、複数のストッパ64と、を備えている。
【0036】
支持部61、支持部62、ストッパ63、及びストッパ64の数は、パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数に応じて変更される。本実施形態では、パネル支持部60は、1枚のパネル当たり、1つの支持部61と、2つの支持部62と、2つのストッパ63と、2つのストッパ64と、を備えている。言い換えると、1つの支持部61と、2つの支持部62と、2つのストッパ63と、2つのストッパ64とによって、1枚のパネルを収納する収納段が形成される。
【0037】
支持部61は、パネルの左右方向における中央部を支持するための部分である。支持部61は、シャフト61a(第1シャフト)と、複数の弾性体61bと、を有している。シャフト61aは、前後方向に延びる部材である。シャフト61aは、1枚のパネルを支持するために用いられる。シャフト61aは、シャフト61aの延在方向(前後方向)における両端部である端部61c(第1端部;図5参照)及び端部61dを有している。端部61cが支柱26bの嵌合穴26gに嵌入され、ネジによって支柱26bに固定される。シャフト61aは、例えば、曲げ剛性の高い材料によって構成されている。シャフト61aの構成材料の例として、ステンレス及びアルミニウム等の金属、並びにカーボン繊維強化プラスチックが挙げられる。シャフト61aの形状については、後述する。
【0038】
弾性体61bは、シャフト61aの軸線回りにシャフト61aを囲むように設けられた環状の部材である。弾性体61bは、シャフト61aの表面に沿って設けられる。弾性体61bは、パネルの滑りを抑え、パネルの位置決め精度を向上させるために設けられる。パネルの滑り防止の観点から、弾性体61bは、シャフト61aよりも高い摩擦性(摩擦力)を有してもよい。パネルの損傷防止の観点から、弾性体61bは、シャフト61aよりも高い弾力性(クッション性)を有してもよい。弾性体61bは、例えば、ゴム材によって構成される。ゴム材の例としては、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、シリコーンゴム、及びフッ素ゴムが挙げられる。複数の弾性体61bは、シャフト61aの延在方向に一定の間隔で配列されている。位置決め精度向上の観点から、互いに隣り合う2つの弾性体61bの間隔は、50mm~100mmの範囲であってもよい。
【0039】
支持部62は、パネルの左右方向の両端部を支持するための部分である。支持部62は、シャフト62a(第2シャフト)と、複数の弾性体62bと、複数の支持体65と、を有している。シャフト62aは、前後方向に延びる柱状(例えば、円柱状)の部材である。シャフト62aは、1枚のパネルを支持するために用いられる。シャフト62aは、シャフト62aの延在方向(前後方向)における両端部である端部62c(第2端部)及び端部62dを有している。シャフト62aの端部62cが支柱26cの嵌合穴26hに嵌入され、ネジによって支柱26cに固定される。
【0040】
シャフト62aは、例えば、曲げ剛性の高い材料によって構成されている。シャフト62aの構成材料の例として、ステンレス及びアルミニウム等の金属、並びにカーボン繊維強化プラスチックが挙げられる。シャフト62aの前後方向における長さは、パネルの前後方向における長さよりも僅かに長く、シャフト61aの前後方向における長さよりも長い。シャフト61aと一対のシャフト62aとは、左右方向に配列されている。一対のシャフト62aの間に、シャフト61aが配置されている。
【0041】
弾性体62bは、シャフト62aの外周面に設けられた環状(例えば、円環状)の部材である。弾性体62bは、パネルの滑りを抑え、パネルの位置決め精度を向上させるために設けられる。弾性体62bの構成材料及び配列は、弾性体61bの構成材料及び配列と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0042】
支持体65は、シャフト62aを保持(支持)するとともに、パネルの左右方向における端部を支持するための部材である。支持体65の先端部分には、支持体65を前後方向に貫通する挿通孔が設けられており、シャフト62aが挿通孔を挿通している。支持体65は、支持体65の基端から先端に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面を有している。
【0043】
支持体65の基端部分が側壁23の内面に当接され、ノックピン(不図示)によってサイドプレート28、側壁23、及び支持体65が位置決めされる。この状態で、サイドプレート28の外側からサイドプレート28に設けられた挿通孔にネジが挿通され、支持体65の基端部分に設けられたネジ穴にネジが螺合される。これにより、支持体65とサイドプレート28とによって側壁23を挟み込んだ状態で、支持体65がサイドプレート28に固定される。
【0044】
ストッパ63は、パネルの飛び出しを防止するとともにパネルの前端の位置を決めるための部材である。ストッパ63は、例えば、上述の樹脂材料で構成されている。ストッパ63は、シャフト62aの端部62dに設けられている。例えば、シャフト62aの端部62dをストッパ63に設けられた取付穴に嵌入することによって、ストッパ63がシャフト62aに取り付けられる。ストッパ63は、弾性体62bの外径よりも大きい外径を有する円板状の係止片63aを有している。係止片63aは、外周面から中心に向かうにつれて後方に傾斜する傾斜面を有している。
【0045】
ストッパ64は、パネルの後端の位置を決めるための部材である。ストッパ64は、例えば、上述の樹脂材料で構成されている。ストッパ64は、シャフト62aの端部62cに設けられている。ストッパ64は、ブロック状の形状を有している。ストッパ64には、前後方向にシャフト62aを挿通するための挿通孔が設けられている。ストッパ64の挿通孔にシャフト62aが挿通された状態で、ストッパ64の後面が支柱26cの前面に当接され、ネジによってストッパ64が支柱26cに固定される。ストッパ64は、上面から下方に向かうにつれて前方に傾斜する傾斜面を有している。
【0046】
ストッパ63、ストッパ64、及び支持体65によって、パネルが載置される載置位置が規定される。具体的には、ストッパ63,64によってパネルの前後方向における載置位置が規定され、左右に設けられた4つの支持体65によってパネルの左右方向における載置位置が規定される。例えば、ロボットによってパネルが収容空間20に搬入され、いずれかの収納段にパネルが載置される。このとき、誤差等によってパネルの位置が僅かにずれることがある。例えば、パネルの前端がストッパ63の係止片63aの傾斜面上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって当該傾斜面に沿って載置位置に誘導される。同様に、パネルの後端がストッパ64の傾斜面上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって当該傾斜面に沿って載置位置に誘導される。同様に、パネルの側端が支持体65の傾斜面上に乗り上げたとしても、パネルの自重によって当該傾斜面に沿って載置位置に誘導される。
【0047】
次に、図5及び図6を参照して、シャフト61aの形状を説明する。図5は、支持部61の斜視図である。図6は、図5のVI-VI線に沿った断面図である。
【0048】
図5に示されるように、シャフト61aは、端部61cと、露出部61eと、を有している。端部61cは、前後方向に延びる円柱状の形状を有する。上述のように、端部61cは、支柱26bの嵌合穴26gに嵌入されるので、支柱26bから露出していない。露出部61eは、シャフト61aのうちの端部61cを除く部分であって、支柱26bから露出している部分である。露出部61eは、端部61cと前後方向において連なっており、端部61dを含む。露出部61eの形状は、端部61cの形状と異なる。
【0049】
具体的に説明すると、図6に示されるように、露出部61eは、載置部71と、脚部72(第1脚部)と、を備えている。載置部71及び脚部72は、露出部61eの前後方向における全体にわたって延びている。載置部71は、前後方向に延びる矩形板状の形状を有する。具体的には、載置部71は、左右方向の長さ(幅)b、上下方向の長さ(厚さ)t2、及び前後方向の長さLの板状形状を有する。載置部71は、上下方向と交差(ここでは、直交)する上面71a(第1面)及び下面71b(第2面)を有する。上面71aは、パネルが載置される面である。下面71bは、上下方向において上面71aと反対側の面である。
【0050】
脚部72は、前後方向に延びる矩形板状の形状を有する。具体的には、脚部72は、左右方向の長さ(厚さ)t1、上下方向の長さ(高さ)h1、及び前後方向の長さLの板状形状を有する。なお、厚さt1は、幅bよりも小さい。脚部72は、載置部71に設けられている。脚部72は、下面71bの左右方向における中央に設けられ、下面71bから下方に向かって延びている。
【0051】
ここで、露出部61eの上下方向の長さ(高さ)hは、厚さt2と高さh1との和である。露出部61eは、載置部71の上面71aから下方に距離e2だけ離れた位置に中立面NPを有する。中立面NPは、露出部61eにおいて伸縮が生じない面である。中立面NPは、脚部72の下端から上方に距離e1だけ離れている。すなわち、距離e1と距離e2との和が高さhである。
【0052】
このように構成された露出部61eの前後方向と垂直な断面形状は、非凸図形である。非凸図形とは、凸図形でない図形のことをいう。凸図形とは、図形上の任意の2点を結ぶ線分の全体が当該図形上に含まれる図形のことをいう。つまり、非凸図形とは、図形上のある2点を結ぶ線分の全体が当該図形上に含まれるわけではない図形である。本実施形態では、露出部61eは、T字状の断面形状を有する。言い換えると、露出部61eは、前後方向の全体にわたって実質的に均一なT字状の断面を有する柱状の形状を有する。
【0053】
シャフト61aの前後方向に垂直な断面形状と、シャフト62aの前後方向に垂直な断面形状とは異なる。本実施形態では、シャフト62aの前後方向に垂直な断面形状は、円形である。
【0054】
次に、シャフト61aの自重撓み量δの計算方法の一例を説明する。シャフト61aの自重撓み量δとは、シャフト61aの自重による、シャフト61aの先端(端部61d)における撓み量である。式(1)に示されるように、自重撓み量δは、等分布荷重wと、長さLと、ヤング率Εと、断面二次モーメントIと、に基づいて計算される。上述のように、長さLは、露出部61eの前後方向における長さである。自重撓み量δは、露出部61eの各パラメータによって計算されるが、以下の説明では、便宜上、計算に用いられる各パラメータをシャフト61aのパラメータと表現している。
【数1】
【0055】
式(2)に示されるように、等分布荷重wは、シャフト61aの密度ρと、重力加速度gと、シャフト61aの断面積Aと、を乗算することによって計算される。
【数2】
【0056】
断面二次モーメントIは、式(3)に示されるように計算される。
【数3】
【0057】
式(4)に示されるように、断面積Aは、載置部71の断面積と、脚部72の断面積との和で計算される。
【数4】
【0058】
式(5)に示されるように、距離e2は、シャフト61aの断面一次モーメントを、断面積Aで割ることで計算される。
【数5】
【0059】
次に、パネル収納容器1の作用効果を説明する。上述のように、ロボットによってパネルが収容空間20に搬入され、いずれかの収納段にパネルが載置される。このとき、載置位置(シャフト61a及び一対のシャフト62a)の上方にパネルが搬入され、パネルが載置位置に降ろされる。したがって、シャフト61aの端部61dが設計上の高さよりも大きく垂れ下がっていた場合には、シャフト61aの下の収納段におけるパネルの搬入時にロボット又はパネルと干渉し、パネルが破損するおそれがある。同様に、パネル収納容器1に収納されているパネルがロボットによって搬出される場合、載置位置に載置されているパネルがロボットによって上方に持ち上げられ、その後、収容空間20からパネル収納容器1の外部に搬出される。したがって、シャフト61aの端部61dが設計上の高さよりも大きく垂れ下がっていた場合には、シャフト61aの下の収納段におけるパネルの搬出時にロボット又はパネルと干渉し、パネルが破損するおそれがある。
【0060】
パネル収納容器1においては、シャフト61aの端部61cが支柱26bに固定されており、シャフト61aは端部61cのみで支持されている。つまり、端部61cが固定端であり、端部61dが自由端である。この場合、シャフト61aには自重による均等荷重が生じる。よって、式(1)及び式(2)に示されるように、シャフト61aの自重撓み量δは、シャフト61aの断面積Aに比例し、シャフト61aの断面二次モーメントIに反比例する。ここで、断面二次モーメントIは、断面における中立面NPに関するモーメントの総和として求められる。つまり、断面二次モーメントIは、中立面NPからの距離の二乗と断面の微小面積との積の総和として求められる。したがって、シャフト61aの断面二次モーメントIは、鉛直方向における長さの影響を強く受けるといえる。
【0061】
パネル収納容器1では、シャフト61aの前後方向に垂直な断面形状は非凸図形である。具体的には、シャフト61aの上記断面形状は、T字状である。式(3)に示されるように、矩形状の断面を有する部材において、当該部材の鉛直方向における長さの三乗が断面二次モーメントIに寄与する。パネル収納容器1にパネルが収納される場合において、上下方向が鉛直方向となり得る。例えば、脚部72に代えて、載置部71の下面71bが脚部72の下端と同じ位置になるように載置部71が上下方向に延びている矩形状のシャフト、すなわち上下方向の長さh及び左右方向の長さbを有する矩形状のシャフト(比較例のシャフト)と比較して、シャフト61aの断面形状の上下方向における長さは、比較例のシャフトの断面形状の上下方向の長さと等しい。したがって、比較例のシャフトと比較して、シャフト61aの断面二次モーメントIを大幅に低減させることがない。一方、シャフト61aには、載置部71の下方において、脚部72の左右に空間(欠落部分)が設けられるので、比較例のシャフトと比較してシャフト61aの断面積を小さくすることができる。そのため、シャフト61aの自重撓み量δを低減することができ、パネルが破損する可能性を低減することが可能となる。さらに、比較例のシャフトと比較して、シャフト61aの断面積を小さくすることができるので、シャフト61aの重量を低減することができる。よって、パネル収納容器1を搬送する搬送装置に対する負荷を軽減することができる。
【0062】
シャフト61aの上記断面形状はT字状であるので、水分がシャフト61aの表面に沿って流れ落ちやすくなる。したがって、パネル収納容器1の内部を洗浄した後に、シャフト61aの表面に水分が残る可能性を低減できる。その結果、パネル収納容器1の内部の乾燥性能を向上させることができる。
【0063】
パネル収納容器1においては、パネルは、パネルの左右方向の中央部をシャフト61aによって支持され、パネルの左右方向の両端部をシャフト62aによって支持される。シャフト62aは支柱26cだけでなく、支持体65によっても支持されている。そのため、パネルが載置されたときにも、シャフト62aは撓むことなく、安定してパネルを支持することができる。
【0064】
シャフト62aは支柱26cだけでなく支持体65によっても支持されている。このため、シャフト62aが自重によって撓むことが抑制されるので、シャフト62aの前後方向に垂直な断面形状を非凸図形とする必要が無い。したがって、パネル収納容器1においては、シャフト62aの上記断面形状は、シャフト61aの上記断面形状と異なっている。具体的には、シャフト62aは、中実な円形の断面を有する。したがって、シャフト62aの上記断面形状を単純化することができるので、シャフト62aの製造を簡易化することが可能となる。
【0065】
なお、本開示に係るパネル収納容器は上記実施形態に限定されない。
【0066】
上記実施形態では、固定部材の一例としてネジが用いられているが、ネジに代えて別の固定部材が用いられてもよい。
【0067】
容器本体2の各部材の連結方法は、上記実施形態と異なっていてもよい。上記実施形態では、容器本体2は、複数の部品を組み合わせることによって構成されているが、一体成形品であってもよい。
【0068】
上記実施形態では、嵌合穴26g,26hは、凹部であるが、貫通孔であってもよい。
【0069】
パネル支持部60は、1枚のパネル当たり、2以上の支持部61を備えてもよい。この場合、パネル支持部60は、支持部62、ストッパ63、及びストッパ64を備えていなくてもよい。枠体26は、支柱26cを備えていなくてもよい。ストッパ64は、シャフト61aの端部61cに設けられてもよい。
【0070】
上記実施形態では、支持部62は、シャフト62a、複数の弾性体62b、及び複数の支持体65と、を有している。この構成に代えて、支持部62は、パネルの左右方向における端部を支持するための、前後方向に延びる板状の支持体を有してもよい。
【0071】
シャフト61aの形状は、上記実施形態の形状に限られない。図7の(a)及び図7の(b)を参照して、シャフト61aの変形例を説明する。
【0072】
図7の(a)は、第1変形例に係るシャフト61aを示す断面図である。図7の(a)に示される断面図は、シャフト61a(露出部61e)の延在方向に垂直な断面図である。第1変形例に係るシャフト61aは、露出部61eの構成において、上記実施形態に係るシャフト61aと主に相違する。図7の(a)に示されるように、第1変形例に係るシャフト61aの露出部61eは、脚部72に代えて二つの脚部73を備える点において、上記実施形態に係るシャフト61aの露出部61eと主に相違する。
【0073】
各脚部73は、露出部61eの前後方向における全体にわたって延びている。各脚部73は、脚部72と同様の形状を有している。具体的には、各脚部73は、前後方向に延びる矩形板状の形状を有する。各脚部73は、左右方向の長さ(厚さ)t1、上下方向の長さ(高さ)h1、及び前後方向の長さLの板状形状を有する。なお、二つの脚部73の厚さの合計(2×t1)は、幅bよりも小さい。脚部73は、載置部71に設けられている。一方の脚部73(第1脚部)は、下面71bの左右方向における一端に設けられ、下面71bから下方に向かって延びている。他方の脚部73(第2脚部)は、下面71bの左右方向における他端に設けられ、下面71bから下方に向かって延びている。二つの脚部73は、左右方向に間隔b1を空けて、載置部71に設けられる。つまり、二つの脚部73の厚さt1の合計と間隔b1との和は、載置部71の幅bと等しい。
【0074】
ここで、露出部61eは上下方向に長さ(高さ)hを有する。露出部61eは、載置部71の上面71aから下方に距離e2だけ離れた位置に中立面NPを有する。中立面NPは、脚部73の下端から上方に距離e1だけ離れている。すなわち、距離e1と距離e2との和が高さhである。なお、第1変形例に係るシャフト61aにおける距離e1,e2は、上記実施形態におけるシャフト61aにおける距離e1,e2と異なる値を有し得るが、説明の便宜上、同じ符号を用いている。
【0075】
このように構成された露出部61eの前後方向と垂直な断面形状は、非凸図形である。具体的には、露出部61eは、下方に開口するU字状の断面形状を有する。言い換えると、露出部61eは、前後方向の全体にわたって実質的に均一なU字状の断面を有する柱状の形状を有する。
【0076】
シャフト61aの自重撓み量δ及び等分布荷重wの計算式は、シャフト61aの形状によらず共通に用いられる。したがって、第1変形例に係るシャフト61aの自重撓み量δは、式(1)で求められる。第1変形例に係るシャフト61aの等分布荷重wは、式(2)で求められる。なお、各式における各パラメータの値は、シャフト61aの形状によって異なり得る。第1変形例に係るシャフト61aの断面二次モーメントIは、式(6)に示されるように計算される。自重撓み量δは、露出部61eの各パラメータによって計算されるが、以下の説明では、便宜上、計算に用いられる各パラメータをシャフト61aのパラメータと表現している。
【数6】
【0077】
式(7)に示されるように、第1変形例に係るシャフト61aの断面積Aは、載置部71の断面積と、二つの脚部73の断面積との和で計算される。
【数7】
【0078】
式(8)に示されるように、距離e2は、第1変形例に係るシャフト61aの断面一次モーメントを、断面積Aで割ることで計算される。
【数8】
【0079】
第1変形例に係るシャフト61aを有するパネル収納容器においても、上記実施形態に係るパネル収納容器1と共通の構成については、上記実施形態に係るパネル収納容器1と同様の効果が奏される。さらに、第1変形例に係るシャフト61aを有するパネル収納容器では、シャフト61aの断面形状は、下方に開口するU字状である。この場合、式(6)に示されるように、一方の脚部73に加えて他方の脚部73が載置部71に設けられることによって、シャフト61aの断面二次モーメントIを上記実施形態に係るシャフト61aの断面二次モーメントIよりも大きくすることができる。このため、自重撓み量δを更に低減することができるので、パネルが破損する可能性を更に低減することができる。第1変形例に係るシャフト61aの上記断面形状は下方に開口を有するU字状であるので、水分がシャフト61aの表面に沿って流れ落ちやすくなる。したがって、パネル収納容器の内部を洗浄した後に、シャフト61aの表面に水分が残る可能性を低減できる。その結果、パネル収納容器の内部の乾燥性能を向上させることができる。
【0080】
図7の(b)は、第2変形例に係るシャフト61aを示す断面図である。図7の(b)に示される断面図は、シャフト61a(露出部61e)の延在方向に垂直な断面図である。第2変形例に係るシャフト61aは、露出部61eの構成において、上記実施形態に係るシャフト61aと主に相違する。図7の(b)に示されるように、第2変形例に係るシャフト61aの露出部61eは、載置部71及び脚部72に代えて、筒部74を備える点において、上記実施形態に係るシャフト61aの露出部61eと主に相違する。
【0081】
筒部74は、露出部61eの前後方向における全体にわたって延びている。筒部74は、前後方向に延びるとともに、前後方向における両端が開放された円筒状の形状を有する。筒部74は、外径D、内径d、及び前後方向の長さLの円筒状の形状を有する。筒部74は均一の厚さを有している。
【0082】
このように構成された露出部61eの前後方向と垂直な断面形状は、非凸図形である。具体的には、露出部61eは、円環状の断面形状を有する。言い換えると、露出部61eは、前後方向の全体にわたって実質的に均一な円環状の断面を有する柱状の形状を有する。
【0083】
上述のように、シャフト61aの自重撓み量δ及び等分布荷重wの計算式は、シャフト61aの形状によらずに共通に用いられる。したがって、第2変形例に係るシャフト61aの自重撓み量δは、式(1)で求められる。第2変形例に係るシャフト61aの等分布荷重wは、式(2)で求められる。式(9)に示されるように、第2変形例に係るシャフト61aの断面二次モーメントIは、外径D及び内径dに基づいて計算される。自重撓み量δは、露出部61eの各パラメータによって計算されるが、以下の説明では、便宜上、計算に用いられる各パラメータをシャフト61aのパラメータと表現している。
【数9】
【0084】
式(10)に示されるように、第2変形例に係るシャフト61aの断面積Aは、シャフト61aの外径Dを半径とする円の面積と、内径dを半径とする円の面積との差で計算される。
【数10】
【0085】
第2変形例に係るシャフト61aを有するパネル収納容器においても、上記実施形態に係るパネル収納容器1と共通の構成については、上記実施形態に係るパネル収納容器1と同様の効果が奏される。さらに、第2変形例に係るシャフト61aを有するパネル収納容器では、シャフト61aは円筒状の形状を有する。この場合、シャフト61aの前後方向に垂直な断面には、中空な部分が設けられる。シャフト61aの断面における外周縁によって囲まれる形状は、外径Dを半径とする円形であり、第2変形例に係るシャフト61aの中空部分(欠落部分)を補填した中実な円柱形状を有するシャフト(比較例のシャフト)の断面における外周縁によって囲まれる形状と同じである。したがって、比較例のシャフトと比較して、シャフト61aの断面二次モーメントIを大幅に低減させることがない。一方、シャフト61aには、中空部分が設けられるので、比較例のシャフトと比較してシャフト61aの断面積を小さくすることができる。そのため、シャフト61aの自重撓み量δを低減することができ、パネルが破損する可能性を低減することが可能となる。さらに、比較例のシャフトと比較して、シャフト61aの断面積を小さくすることができるので、シャフト61aの重量を低減することができる。よって、パネル収納容器1を搬送する搬送装置に対する負荷を軽減することができる。
【0086】
シャフト61aの前後方向に垂直な断面は、T字状、下方に開口を有するU字状、及び円環状以外の非凸図形であってもよい。この場合も、非凸図形の欠落部分を補填した凸図形の断面形状を有するシャフトと比較して、パネル収納容器1にパネルが収納される場合において、シャフト61aの鉛直方向の長さh及び水平方向の長さbを維持しながら、断面積Aを小さくすることができる。したがって、シャフト61aの断面二次モーメントを大幅に低減させることなく、シャフト61aの断面積Aを小さくすることができるので、シャフト61aの自重撓み量δを低減することができる。その結果、パネルが破損する可能性を低減することが可能となる。さらに、上記シャフトと比較して、シャフト61aの断面積を小さくすることができるので、シャフト61aの重量を低減することができる。よって、パネル収納容器1を搬送する搬送装置に対する負荷を軽減することができる。
【0087】
凸図形(例えば、正方形)の断面形状を有するシャフトの断面積を低減するために、シャフトの鉛直方向の長さ又は垂直方向の長さを短くすることが考えられる。仮に、凸図形の断面形状を有するシャフトの鉛直方向の長さを短くすると、断面積は小さくなるものの、断面二次モーメントも大幅に小さくなるので、自重撓み量を低減することができない。一方、上記シャフトの水平方向の長さを低減すると、自重撓み量を低減することはできるものの、パネルが載置される面も狭くなるので、パネルをしっかりと支持することができなくなるおそれがある。これに対し、シャフト61aは、非凸図形の断面形状を有するので、断面二次モーメントを大幅に減少させることも、パネルの支持機能を損なうこともなく、断面積を低減することができる。
【0088】
以下、本開示に係る実施例1~3及び比較例1,2を用いて、パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が6枚及び12枚である場合の自重撓み量δ及びシャフトの垂れ下がり角度θの計算結果を示し、本開示を更に詳細に説明する。なお、本開示は下記実施例に限定されない。
【0089】
(実施例1)
実施例1のシャフトは、上記実施形態のシャフト61aと同じ構成のシャフトである。実施例1のシャフトの構成材料(材質)はアルミニウム(A5052)であり、長さLは520mmに設定されている。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が6枚である場合には、載置部71の幅bは9mmに設定され、載置部71の厚さt2は1mmに設定され、脚部72の厚さt1は1mmに設定され、脚部72の高さh1は8mmに設定されている。したがって、シャフトの高さhは、9mmである。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が12枚である場合には、載置部71の幅bは6mmに設定され、載置部71の厚さt2は1mmに設定され、脚部72の厚さt1は1mmに設定され、脚部72の高さh1は5mmに設定されている。したがって、シャフトの高さhは、6mmである。
【0090】
(実施例2)
実施例2のシャフトは、上記第1変形例のシャフト61aと同じ構成のシャフトである。実施例2のシャフトの構成材料(材質)はアルミニウム(A5052)であり、長さLは520mmに設定されている。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が6枚である場合には、載置部71の幅bは9mmに設定され、載置部71の厚さt2は1mmに設定され、脚部73の厚さt1は1mmに設定され、脚部73の高さh1は8mmに設定されている。したがって、シャフトの高さhは、9mmであり、二つの脚部73の左右方向の間隔b1は、7mmである。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が12枚である場合には、載置部71の幅bは6mmに設定され、載置部71の厚さt2は1mmに設定され、脚部73の厚さt1は1mmに設定され、脚部73の高さh1は5mmに設定されている。したがって、シャフトの高さhは、6mmであり、二つの脚部73の左右方向の間隔b1は、4mmである。
【0091】
(比較例1)
比較例1のシャフトは、実施例1及び実施例2のシャフトの欠落部分を補填したシャフトである。つまり、比較例1のシャフトは、正方形の断面形状を有するシャフトである。比較例1のシャフトの構成材料及び長さLは、実施例1及び実施例2のシャフトの構成材料及び長さLと同じである。パネル収納容器に収納可能なパネルの枚数が6枚である場合には、シャフトの高さh及び幅bは、9mmである。パネル収納容器に収納可能なパネルの枚数が12枚である場合には、シャフトの高さh及び幅bは、6mmである。
【0092】
表1に、実施例1、実施例2、及び比較例1のシャフトの計算結果が示される。なお、ヤング率Ε及び密度ρとしては、アルミニウム(A5052)のヤング率及び密度が用いられる。表1において、実施例1の断面形状は、「T字型」と表示され、実施例2の断面形状は、「U字型」と表示され、比較例1の断面形状は、「正方形」と表示される。シャフトの評価指標として、自重撓み量と重量との乗算結果が用いられる。この評価指標は、自重撓み量δ及び重量を総合的に評価した結果を表す。評価指標の値が小さいほど、シャフトが優れていることを示す。角度θは、式(11)に示されるように計算される。
【数11】

【表1】
【0093】
表1に示されるように、パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が6枚である場合、及び12枚である場合の両方において、実施例1,2のシャフトの自重撓み量δは、比較例1のシャフトの自重撓み量δよりも少なく、実施例1,2のシャフトの重量は、比較例1のシャフトの重量よりも軽い。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が6枚である場合、及び12枚である場合の両方において、実施例1,2のシャフトの評価指標の値は、比較例1のシャフトの評価指標の値よりも小さい。以上のことから、比較例1のシャフトよりも、実施例1,2のシャフトの方が優れているといえる。
【0094】
(実施例3)
実施例3のシャフトは、上記変形例2のシャフト61aと同じ構成のシャフトである。実施例3のシャフトの構成材料(材質)はアルミニウム(A5052)であり、長さLは520mmに設定されている。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が6枚である場合には、筒部74の外径Dは9mmに設定され、内径dは7mmに設定されている。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が12枚である場合には、筒部74の外径Dは6mmに設定され、内径dは4mmに設定されている。
【0095】
(比較例2)
比較例2のシャフトは、実施例3のシャフトの欠落部分を補填したシャフトである。つまり、比較例2のシャフトは、中実な円形の断面形状を有するシャフトである。比較例2のシャフトの構成材料及び長さLは、実施例3のシャフトの構成材料及び長さLと同じである。パネル収納容器に収納可能なパネルの枚数が6枚である場合には、シャフトの外径D(直径)は、9mmである。パネル収納容器に収納可能なパネルの枚数が12枚である場合には、シャフトの外径D(直径)は、6mmである。
【0096】
表2に、実施例3及び比較例2のシャフトの計算結果が示される。なお、ヤング率Ε及び密度ρとしては、アルミニウム(A5052)のヤング率及び密度が用いられる。表2において、実施例3の断面形状は、「円(中空)」と表示され、比較例2の断面形状は、「円(中実)」と表示される。
【表2】
【0097】
表2に示されるように、パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が6枚である場合、及び12枚である場合の両方において、実施例3のシャフトの自重撓み量δは、比較例2のシャフトの自重撓み量δよりも少なく、実施例3のシャフトの重量は、比較例2のシャフトの重量よりも軽い。パネル収納容器1に収納可能なパネルの枚数が6枚である場合、及び12枚である場合の両方において、実施例3のシャフトの評価指標の値は、比較例2のシャフトの評価指標の値よりも小さい。以上のことから、比較例2のシャフトよりも、実施例3のシャフトの方が優れているといえる。
【符号の説明】
【0098】
1…パネル収納容器、2…容器本体、20…収容空間、26b…支柱(第1支柱)、26c…支柱(第2支柱)、60…パネル支持部、61a…シャフト(第1シャフト)、61c…端部(第1端部)、62a…シャフト(第2シャフト)、62c…端部(第2端部)、65…支持体、71…載置部、71a…上面(第1面)、71b…下面(第2面)、72…脚部(第1脚部)、73…脚部(第1脚部、第2脚部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7