(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042929
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】送信機及びKVMシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/14 20060101AFI20230320BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20230320BHJP
G09G 5/14 20060101ALI20230320BHJP
G06F 3/00 20060101ALI20230320BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20230320BHJP
【FI】
G06F3/14 350B
G09G5/00 510C
G09G5/14 Z
G06F3/00 Z
G06F3/0481
G09G5/00 510V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150357
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】小田島 達也
【テーマコード(参考)】
5B069
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5B069CA01
5B069JA06
5B069KA06
5C182AC13
5C182BA03
5C182BA04
5C182BB02
5C182BB21
5C182CA32
5C182CA54
5C182CB45
5C182CC01
5E555BA02
5E555BA08
5E555BB02
5E555BB08
5E555BC04
5E555CA12
5E555CB12
5E555CC03
5E555DB04
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】モニタを暗転させずに映像信号を切り替える送信機、及び送信機を含んで構成されるKVMシステムを提供する。
【解決手段】送信機は、入力装置と表示装置を含むコンソールと、それぞれコンピュータに接続された複数の受信機と、に接続される送信機であって、前記複数の受信機のそれぞれから出力される前記コンピュータの各映像信号を、前記コンピュータのそれぞれと対応付けた複数の分割画面によって前記表示装置に出力する映像出力部と、OSD(On-Screen Display)の表示を指示する信号を受信した場合、前記OSDを前記表示装置の画面上に表示する表示制御部と、前記OSDが表示された状態で前記入力装置が有する少なくとも1つのキーが押下された場合、前記複数の分割画面と対応付けられた前記コンピュータの少なくとも1つを操作対象として設定する処理部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置と表示装置を含むコンソールと、それぞれコンピュータに接続された複数の受信機と、に接続される送信機であって、
前記複数の受信機のそれぞれから出力される前記コンピュータの各映像信号を、前記コンピュータのそれぞれと対応付けた複数の分割画面によって前記表示装置に出力する映像出力部と、
OSD(On-Screen Display)の表示を指示する信号を受信した場合、前記OSDを前記表示装置の画面上に表示する表示制御部と、
前記OSDが表示された状態で前記入力装置が有する少なくとも1つのキーが押下された場合、前記複数の分割画面と対応付けられた前記コンピュータの少なくとも1つを操作対象として設定する処理部と、
を有することを特徴とする送信機。
【請求項2】
タッチパネルと表示装置を含むコンソールと、それぞれコンピュータと接続された複数の受信機と、に接続される送信機であって、
前記複数の受信機のそれぞれから出力される前記コンピュータの各映像信号を、前記コンピュータのそれぞれと対応付けた複数の分割画面によって前記表示装置に出力する映像出力部と、
前記タッチパネルの接触位置に対応する分割画面と対応付けられた前記コンピュータの少なくとも1つを操作対象として設定する処理部と、
を有することを特徴とする送信機。
【請求項3】
前記処理部は、前記操作対象として設定された前記コンピュータに対応する分割画面を強調して表示する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の送信機。
【請求項4】
前記処理部は、前記操作対象として設定された前記コンピュータに対応する分割画面以外の残りの分割画面の画面内に、前記残りの分割画面と対応付けられた前記コンピュータまたは前記受信機の識別子を表示する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の送信機。
【請求項5】
入力装置と表示装置を含むコンソールに接続された送信機と、それぞれコンピュータと接続された複数の受信機と、前記送信機と前記複数の受信機に接続され、前記送信機と通信する前記複数の受信機の組合せを切り替える管理装置と、を含むKVMシステムであって、
前記送信機が、
前記複数の受信機のそれぞれから出力される前記コンピュータの各映像信号を、前記表示装置の表示画面を分割し、前記コンピュータのそれぞれと対応付けた複数の分割画面によって前記表示装置に出力する映像出力部と、
OSDの表示を指示する特定信号を受信した場合、前記OSDを前記表示装置の画面上に重畳して表示する表示制御部と、
前記OSDが表示された状態で前記入力装置が有する少なくとも1つのキーが押下された場合、前記複数の分割画面と対応付けられた前記コンピュータの少なくとも1つを操作対象として設定する処理部と、
を有することを特徴とするKVMシステム。
【請求項6】
タッチパネルと表示装置を含むコンソールに接続された送信機と、それぞれコンピュータと接続された複数の受信機と、前記送信機と前記複数の受信機に接続され、前記送信機と通信する前記複数の受信機の組合せを切り替える管理装置と、を含むKVMシステムであって、
前記送信機が、
前記複数の受信機のそれぞれから出力される前記コンピュータの各映像信号を、前記表示装置の表示画面を分割し、前記コンピュータのそれぞれと対応付けた複数の分割画面によって前記表示装置に出力する映像出力部と、
前記タッチパネルのいずれかの位置に対する接触を検出した場合、前記いずれかの位置に応じた前記複数の分割画面の中の特定の分割画面と対応付けられた前記コンピュータの少なくとも1つを操作対象として設定する処理部と、
を有することを特徴とするKVMシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は送信機、及び送信機を含んで構成されるKVMシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の表示画面領域を複数エリアに分割し、各表示画面領域に複数の映像信号を分割表示し、この分割画面領域に対するキーボードまたはマウスの入力を有効とする画面領域を画面上のマウスカーソルの移動で切り替える技術が知られている。
【0003】
また、1台のモニタと複数台のコンピュータとの間に映像切り替え機を設け、または複数台の映像切り替え機を階層状に多段接続して多数台のコンピュータに接続し、スイッチ操作またはキーボードの入力操作で映像切り替え機を切り替え操作することで、各コンピュータからの映像信号の1つを選択してモニタに表示させる技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、映像切り替え機を切り替え操作することで、各コンピュータからの映像信号の1つを選択してモニタに表示させる場合、映像切替時にモニタが一時的に暗転し、シームレスな切り替えを行うことができない。
【0006】
そこで、本発明は、モニタを暗転させずに映像信号を切り替える送信機、及び送信機を含んで構成されるKVMシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示の送信機は、入力装置と表示装置を含むコンソールと、それぞれコンピュータに接続された複数の受信機と、に接続される送信機であって、前記複数の受信機のそれぞれから出力される前記コンピュータの各映像信号を、前記コンピュータのそれぞれと対応付けた複数の分割画面によって前記表示装置に出力する映像出力部と、OSD(On-Screen Display)の表示を指示する信号を受信した場合、前記OSDを前記表示装置の画面上に表示する表示制御部と、前記OSDが表示された状態で前記入力装置が有する少なくとも1つのキーが押下された場合、前記複数の分割画面と対応付けられた前記コンピュータの少なくとも1つを操作対象として設定する処理部と、を有する。
【0008】
本明細書に開示の送信機は、タッチパネルと表示装置を含むコンソールと、それぞれコンピュータと接続された複数の受信機と、に接続される送信機であって、前記複数の受信機のそれぞれから出力される前記コンピュータの各映像信号を、前記コンピュータのそれぞれと対応付けた複数の分割画面によって前記表示装置に出力する映像出力部と、前記タッチパネルの接触位置に対応する分割画面と対応付けられた前記コンピュータの少なくとも1つを操作対象として設定する処理部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モニタを暗転させずに映像信号を切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係るKVMシステムの構成図である。
【
図2】第1実施形態に係る送信機の動作を表すフローチャート(その1)である。
【
図3】第1実施形態に係る送信機の動作を表すフローチャート(その2)である。
【
図4】第1実施形態に係るカーソル操作を説明する図である。
【
図6】受信機の識別子の表示及び分割画面を説明する図である。
【
図7】第2実施形態に係る送信機の動作を表すフローチャート(その1)である。
【
図8】第2実施形態に係る送信機の動作を表すフローチャート(その2)である。
【
図10】第3実施形態に係るKVMシステムの構成図である。
【
図11】第3実施形態に係る送信機の動作を表すフローチャート(その1)である。
【
図12】第3実施形態に係る送信機の動作を表すフローチャート(その2)である。
【
図13】第3実施形態に係る送信機の動作を表すフローチャート(その3)である。
【
図14】第3実施形態に係るタッチ操作を説明する図(その1)である。
【
図15】第3実施形態に係るタッチ操作を説明する図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係るKVM(K:キーボード、V:ビデオ、M:マウス)システムST1は、送信機5,6,6A,6Bと、受信機7,8,8A,8Bと、管理装置としてのマネージャーユニット9と、を含んでいる。マネージャーユニット9には通信ネットワークNWを介して送信機5,6,6A,6Bと受信機7,8,8A,8Bが接続されている。通信ネットワークNWとしては例えばLAN(Local Area Network)やインターネットなどがある。
図1では、4台の送信機5,6,6A,6Bが示されているが、送信機の台数は4台に限定されず、1台であってもよいし、2台や7台といった複数台であってもよい。また、
図1では、4台の受信機7,8,8A,8Bが示されているが、受信機の台数は4台に限定されず、2台や7台といった複数台であってもよい。
【0013】
送信機5,6,6A,6Bにはそれぞれコンソール4,4Z,4ZA,4ZBが接続されている。コンソール4は入力装置としてのキーボード4A及びマウス4Cを含んでいる。コンソール4は表示装置としてのモニタ4Bを含んでいる。送信機6,6A,6Bは送信機5と同様の構成を有し、コンソール4Z,4ZA,4ZBはコンソール4と基本的に同様の構成を有する。このため、送信機6,6A,6B及びコンソール4Z,4ZA,4ZBについての詳細な説明を省略する。
【0014】
送信機5は、通信I/F(インターフェース)51、処理部54、表示制御部55、記憶部56、キーボード入力I/F57A、映像出力部57B、及びマウス入力I/F57C、を備える。処理部54は、通信I/F51、表示制御部55、記憶部56、キーボード入力I/F57A、映像出力部57B、及びマウス入力I/F57Cと接続される。送信機5はキーボード入力I/F57A、映像出力部57B、及びマウス入力I/F57Cを介してコンソール4と通信する。
【0015】
処理部54は送信機5の全体の動作を制御する。処理部54はマイクロコンピュータ(いわゆるマイコン)によって実現することができる。マイクロコンピュータはCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力ポートなどを含んでおり、CPUとRAMとが協働することによってコンピュータとしての処理が実現される。例えば、ROMに記憶されたプログラムがRAMに一時的に格納され、格納されたプログラムをCPUが実行することにより、マイクロコンピュータは後述する各種の機能を実現し、また、後述する各種の処理を実行する。なお、プログラムは後述するフローチャートに応じた処理を行うものとすればよい。
【0016】
表示制御部55は送信機5に対する各種の設定や選択などを行うためのOSDをモニタ4Bに表示する。表示制御部55はOSDに関するOSDデータを記憶する。表示制御部55はキーボード4Aからの所定のキー入力(HOTKEY)を特定信号として受信すると、OSDデータをモニタ4Bに向けて出力する。これにより、モニタ4BにOSDが表示される。OSDは後述するコンピュータ2,3,3A,3Bのいずれかから出力される映像信号に重畳して、その映像とは独立した状態で表示される。なお、所定のキー入力は、Altキー、矢印キーといった機能キーによる入力の場合もあるし、文字キーや数字キーによる入力の場合もある。所定のキーはOSDを介して設定することができる。表示制御部55はマイクロコンピュータによって又はその一部として実現されてもよいし、専用のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0017】
記憶部56はOSDを介して設定され又は選択された各種のデータや情報を記憶する。記憶部56が記憶するデータは処理部54の制御に基づいて表示制御部55が参照し、OSDデータに関連付ける。これにより、OSDには記憶部56が記憶するデータが出現する。記憶部56は例えば不揮発性メモリによって実現することができる。
【0018】
キーボード入力I/F57Aはキーボード4Aが操作されて入力された入力データを受け付けて処理部54に出力する。映像出力部57Bは処理部54から出力された映像信号及び表示制御部55から出力されたOSDデータの入力を受け付けてモニタ4Bに出力する。マウス入力I/F51Cはマウス4Cが操作されて入力された入力データを受け付けて処理部54に出力する。処理部54は送信機5と通信する通信先の受信機を切り替える切替データをキーボード4Aからキーボード入力I/F57Aを介して受け付けると、受け付けた切替データを通信I/F51を介してマネージャーユニット9に向けて送信する。
【0019】
受信機7,8,8A,8Bにはそれぞれコンピュータ(サーバコンピュータ)2,3,3A,3Bが接続されている。受信機8,8A,8Bは受信機7と同様の構成を有するため、受信機8についての詳細な説明を省略する。受信機7は、キーボード出力I/F71A、映像入力I/F71B、マウス出力I/F71C、処理部74、及び通信I/F77、を備える。処理部74は、キーボード出力I/F71A、映像入力I/F71B、マウス出力I/F71C、及び通信I/F77と接続される。受信機7はキーボード出力I/F71A、映像入力I/F71B、及びマウス出力I/F71Cを介してコンピュータ2と通信する。処理部74は受信機7の全体の動作を制御する。処理部74のハードウェア構成は基本的に処理部54と同様であるため、説明を省略する。
【0020】
処理部74は通信I/F77から入力データを受信すると、受信機7と接続されたコンピュータ2に出力する。入力データがキーボード4Aのデータであれば、処理部74はキーボード出力I/F71Aを介して入力データをコンピュータ2に出力する。入力データがマウス4Cのデータであれば、処理部74はマウス出力I/F71Cを介して入力データをコンピュータ2に出力する。映像入力I/F11Bはコンピュータ2から出力された映像信号の入力を受け付けて処理部74に出力する。処理部74は受け付けた映像信号を通信I/F77からマネージャーユニット9に送信する。
【0021】
マネージャーユニット9は送信機5,6,6A,6Bと受信機7,8,8A,8Bの組合せを管理する。マネージャーユニット9は例えば送信機5の処理部54から送信された切替データを受信した場合、受信した切替データに基づいて通信先の受信機を切り替える。例えばマネージャーユニット9は切替データに基づいて受信機8から受信機7に切り替えることができる。これにより、送信機5はマネージャーユニット9を介して受信機7と通信する。このように、マネージャーユニット9は切替データに基づいて送信機5と受信機8の組合せを送信機5と受信機7の組合せに切り替えることができる。
【0022】
マネージャーユニット9が送信機5と受信機7の組合せを管理すると、送信機5に接続されたコンソール4から受信機7に接続されたコンピュータ2を操作することができる。この場合、キーボード4Aやマウス4Cから入力された入力データを送信機5の処理部54が受信し、受信した入力データをマネージャーユニット9に送信すると、マネージャーユニット9はその入力データを受信機7に送信する。すなわち、入力データは送信機5とマネージャーユニット9を経由して受信機7に入力される。
【0023】
これにより、コンピュータ2の設定やデータ等を編集したり、コンピュータ2に各種の処理(例えばオペレーティングシステム(OS)のインストールなど)を実行させたりすることができる。他の組合せの場合についても同様である。したがって、このように、マネージャーユニット9が送信機5,6,6A,6Bと受信機7,8,8A,8Bの組合せを管理することにより、コンソール4,4Z,4ZA,4ZBはマネージャーユニット9が管理する組合せに応じてコンピュータ2,3,3A,3Bを操作することができる。例えばマネージャーユニット9が送信機5と受信機8及び受信機8Aの組合せを管理すれば、コンソール4はマネージャーユニット9が管理する当該組合せに応じてコンピュータ3及びコンピュータ3Aをまとめて同時に操作することができる。
【0024】
また、送信機5と受信機7の組合せを管理する場合に、マネージャーユニット9が通信I/F77から送信された映像信号を受信すると、受信した映像信号を受信機7と通信する送信機5に送信する。送信機5の処理部54は通信I/F51から映像信号を受信すると、映像出力部57Bは処理部54が受信した映像信号を出力する。映像出力部57Bはモニタ4Bに接続されているため、モニタ4Bは映像信号を画面によって表示する。マネージャーユニット9が送信機5と受信機8及び受信機8Aの組合せを管理する場合には、モニタ4Bは画面を分割した分割画面によって各映像信号を表示する。
【0025】
図2乃至
図6を参照して、第1実施形態に係る送信機5が実行する処理について説明する。
【0026】
まず、
図2に示すように、映像出力部57Bは映像信号を出力する(S1)。例えば、映像出力部57Bは受信機7,8,8A,8Bのそれぞれから出力されるコンピュータ2,3,3A,3Bの各映像信号をモニタ4Bに出力する。映像出力部57Bは、マネージャーユニット9が管理する組合せに関わらず、モニタ4Bの一画面である表示画面全体を、映像信号の信号数に基づいて分割し、コンピュータ2,3,3A,3Bのそれぞれと対応付けた複数の分割画面によって映像信号を出力する。
【0027】
これにより、
図4(a)に示すように、モニタ4Bは各映像信号を複数の分割画面D1,D2,D3,D4によって表示する。分割画面D1,D2,D3,D4は順にコンピュータ2,3,3A,3Bに対応する。
図4(a)では、表示画面を縦方向に2分割し、横方向に2分割した4つの分割画面D1,D2,D3,D4が示されているが、分割画面D1,D2,D3,D4の分割形状や配置(レイアウト)は送信機5に対する設定によって適宜変更することができる。なお、モニタ4Bの表示画面を複数に分割し、各分割画面に複数の映像信号を表示することは、上述した既知の技術を採用することにより行うことができる。
【0028】
映像出力部57Bが映像信号を出力すると、次いで、表示制御部55はOSDの表示を指示する上述した特定信号を受信するまで待機する(S2:NO)。表示制御部55は、特定信号を受信すると(S2:YES)、OSDをモニタ4Bの画面上に重畳して表示する(S3)。これにより、OSD表示状態に移行し、
図4(b)に示すように、モニタ4BはOSD10を表示する。
【0029】
OSD10は、
図5(a)に示すように、複数の設定項目を含んでいる。例えば、OSD10は、特定信号としての所定のキー入力を設定するHOTKEY SELECTを設定項目として含んでいる。また、OSD10は、操作対象として設定されたコンピュータ2に対応する分割画面の周縁を強調して表示するか否か設定するHIGHLIGHT SETTINGSを設定項目として含んでいる。例えば、シフトキーが押下されたまま下方向の矢印キーが押下されると、OSD10に含まれる選択領域Z1が下方向に移動して選択領域Z1が重畳するHIGHLIGHT SETTINGSを選択することができる。HIGHLIGHT SETTINGSが選択された状態でシフトキーが押下されたままエンターキーが押下されると、
図5(b)に示すように、HIGHLIGHT SETTINGSの設定画面11が表示される。
【0030】
設定画面11により分割画面の周縁を強調して表示するか否かを決定することができる。設定画面11に含まれる選択領域Z2によりONが選択された状態でシフトキーが押下されたままエンターキーが押下されると、分割画面の周縁が強調して表示されるように設定できる。すなわち、分割画面の周縁がハイライトされるようになる。分割画面の周縁を強調して表示するか否かに関して設定されたデータは処理部54によって記憶部56に保存される。
【0031】
図2に戻り、表示制御部55がOSDを表示すると、処理部54は記憶部56を参照し、記憶部56が記憶するデータの分割画面のハイライト設定がONか否かを判断する(S4)。
【0032】
ハイライト設定がONである場合(S4:YES)、処理部54はOSDを表示する前に設定されていた操作対象のコンピュータに対応する分割画面をハイライトする(S5)。例えば、モニタ4Bに表示される4つの分割画面D1,D2,D3,D4のうち、左上隅に位置する分割画面D1が初期の操作対象として設定されていると、処理部54は分割画面D1の周縁をハイライトする。これにより、
図4(b)に示すように、分割画面D1の周縁がハイライトされる。なお、ハイライトは、周縁がハイライトされた分割画面(例えば分割画面D1)に対応するコンピュータ(例えばコンピュータ2)に対する操作権が付与されていることを示している。
図4(b)ではハイライトされた分割画面D1の周縁を黒色の太い実線で表しているが、ハイライトの色は青色、黄色、赤色、緑色など黒色以外の色であってもよい。また、ハイライトは周縁の一部でもよく、分割画面全体でもよい。
【0033】
次いで、処理部54は分割画面の周縁を点滅する(S6)。周縁の点滅は、分割画面に操作対象を選択できるカーソルが位置することを表している。したがって、分割画面D1の周縁がハイライトされて点滅していれば、ユーザは分割画面D1にカーソルが位置し、分割画面D1に対応するコンピュータ2を操作できると瞬時に把握することができる。
図4(b)ではハイライトと点滅が重畳するため、点滅については省略して示している。
【0034】
ハイライト設定がOFFである場合(S4:NO)、処理部54はS5の処理をスキップする。ハイライト設定がOFFであっても、処理部54はモニタ4Bに表示される4つの分割画面D1,D2,D3,D4のうち、OSDを表示する前に設定されていた操作対象の分割画面の周縁が点滅しカーソルが位置する。ハイライト設定がOFFであっても、カーソルによって操作対象を選択しようとしている分割画面を確認することができる。
【0035】
以後、処理部54はループ処理を開始する(S7)。まず、処理部54はいずれかのキーの押下を検出するまで待機する(S8:NO)。そして、キーの押下を検出すると(S8:YES)、次いで、処理部54は押下されたのがエンターキーであるか否かを判断する(S9)。エンターキーである場合(S9:YES)、処理部54は処理を終了する。これにより、OSD10が画面上に残存した状態で、分割画面に対する操作対象の設定を解除し、ハイライト設定がONの場合はハイライトを消して終了する。なお、例えばシフトキーが押下されたままエンターキーが押下された場合、はじめにシフトキーが押下されるため、この場合、処理部54はエンターキーでないと判断することができる。なお、OSD10の表示を停止する場合には、例えばエスケープキーを押下する。
【0036】
S9の処理において、エンターキーでない場合(S9:NO)、
図3に示すように、処理部54は押下されたのが矢印キーであるか否かを判断する(S10)。矢印キーである場合(S10:YES)、さらに、カーソルの移動が可能であるか否かを判断する(S11)。例えば
図4(b)に示すように、分割画面D1の周縁がハイライトされて点滅する場合に、上向き矢印又は左向き矢印の矢印キーが押下されても、分割画面D1の上方向や左方向には分割画面が存在しない。この場合、処理部54はカーソルの移動が可能でないと判断し(S11:NO)、カーソルの位置を保持する(S12)。
【0037】
一方、例えば右向き矢印キーが押下された場合、処理部54はカーソルの移動が可能であると判断し(S11:YES)、カーソルの位置を分割画面D2に移動する(S13)。この場合、処理部54は、
図4(c)に示すように、分割画面D1の周縁に対するハイライトを維持するとともに、分割画面D2の周縁を点滅させる。
図4(c)において、分割画面D2にカーソルが位置することは黒色の太い破線で表している。分割画面D1に対応するコンピュータ2に対する操作権が付与されたまま、分割画面D2にカーソル位置を移動できる。このように、各コンピュータの操作権の設定とカーソル位置は独立している。操作権が付与された分割画面とカーソルが位置する分割画面との識別を容易とするため、2つのハイライトの色は変えることが望ましい。
【0038】
S10の処理において、矢印キーでない場合(S10:NO)、処理部54は押下されたのがスペースキーであるか否かを判断する(S14)。スペースキーでない場合(S14:NO)、S9に戻る。すなわち、エンターキー、矢印キー、スペースキーのいずれかが押下されるまで、処理部54は待機する。一方、スペースキーである場合(S14:YES)、記憶部56に記憶されたデータを参照して、カーソルが位置する分割画面に対応するコンピュータの操作権があるか否かを判断する(S15)。例えば
図4(c)に示すように、分割画面D2の周縁が点滅しており、記憶部56に記憶された分割画面D2に対応するコンピュータ3の操作権が「無」の場合(S15:NO)、処理部54は分割画面D2に対応するコンピュータ3への操作権を付与し、記憶部56にあるコンピュータ3の操作権の有無を示すデータを「有」に変更する(S16)。これにより、例えばハイライト設定がONの場合、分割画面D1の周縁のハイライトと併せて、分割画面D2の周縁がハイライトされて点滅する。したがって、分割画面D1に対応するコンピュータ2に対する操作権と分割画面D2に対応するコンピュータ3に対する操作権の両方を同時に確保することができる。
【0039】
コンピュータ3の操作権が「有」の場合(S15:YES)、処理部54は操作権を解除し、記憶部56にあるコンピュータ3の操作権の有無を示すデータを「無」に変更する(S17)。例えば、ハイライト設定がONで、分割画面D2の周縁がハイライトされて点滅している場合、処理部54は分割画面D2に対応するコンピュータ3の操作権が既にあると判断し、処理部54は分割画面D2の周縁のハイライトを停止する。これにより、分割画面D2の周縁がハイライトされずに点滅する。したがって、カーソルが分割画面D2に位置するが、分割画面D2に対応するコンピュータ3に対する操作権がない状態になる。なお、分割画面D2の周縁を、操作権を有することを表すハイライトの色と異なる色でハイライトさせて点滅させてもよい。上述したS12,S13,S16,S17の処理が終了すると、ループ処理を終了して(S18)、S7に戻る。
【0040】
このように、OSD表示状態で矢印キーを操作することにより、モニタ4Bの一時的な暗転を介さずに複数のコンピュータの操作をシームレスに切り替えることができる。例えばコンピュータ2が操作対象として設定されている場合であっても、残りのコンピュータ3,3A,3Bの映像も同時に確認することができる。また、特許文献1のようにマウスカーソルの移動で操作するコンピュータを切り替える場合は、複数のコンピュータのうち、1つずつコンピュータを切り替えて操作しており、一度に複数台のコンピュータに同じ操作を行うことはできない。しかしながら、本実施形態によれば、OSD表示状態で矢印キーとスペースキーとを操作することにより、映像信号を出力する複数台のコンピュータ2,3,3A,3Bのうち、2つ以上を操作することができるため、一度のマウス操作で複数台のコンピュータに同じ指示を送ることができる。
【0041】
そのほか、処理部54はマネージャーユニット9が管理する複数の受信機7,8,8A,8Bの識別子(例えば名称など)またはコンピュータ2,3,3A,3Bを区別する識別子(例えばシリアル番号など)を分割画面D1,D2,D3,D4上に全て表示してもよい。処理部54は操作権があるコンピュータ2,3,3A,3Bの少なくとも1つと対応する分割画面D1,D2,D3,D4の少なくとも1つについては、この識別子の表示を制限(具体的には禁止)してもよい。例えばコンピュータ3に操作権がある場合、
図6(a)に示すように、処理部54は周縁がハイライトされた分割画面D2に対する識別子の表示を制限する。これにより、分割画面D2を介してコンピュータ3を操作する際に、識別子の表示により視認性が低下することを抑制することができる。なお、ハイライトにより操作対象は明示されるが、操作対象をより明示するために、操作対象として設定した分割画面に限定して、識別子を表示してもよい。
【0042】
また、上述した実施形態では4つの映像信号の場合を一例として説明したが、7つの映像信号の場合には、
図6(b)及び(c)に示すように、7つの映像信号の信号数に基づいて、表示画面全体を分割し、7台のコンピュータのそれぞれと対応付けた複数の分割画面によって映像信号を出力してもよい。
図6(b)及び(c)に示すように、分割画面の分割形状や配置は送信機5に対する設定によって適宜変更することができる。なお、
図6(b)では2つの分割画面の周縁がハイライトされているため、操作対象が2つ設定されている。一方で、
図6(c)では1つの分割画面の周縁がハイライトされているため、操作対象が1つ設定されている。
【0043】
(第2実施形態)
続いて、
図7乃至
図9を参照して、第2実施形態に係る送信機5が実行する処理について説明する。上述した第1実施形態では、矢印キーとスペースキーを採用したが、数字キーと英字キーとコントロールキーを採用することにより、KVMシステムST1と同様の構成で、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、後述するS21からS25までは上述したS1からS5までと基本的に同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
まず、
図7に示すように、映像出力部57Bは映像信号を出力する(S21)。映像出力部57Bが映像信号を出力すると、次いで、表示制御部55はOSDの表示を指示する上述した特定信号を受信するまで待機する(S22:NO)。表示制御部55は、特定信号を受信すると(S22:YES)、OSDをモニタ4Bの画面上に重畳して表示する(S23)。
【0045】
表示制御部55がOSDを表示すると、処理部54はハイライト設定がONか否かを判断する(S24)。ハイライト設定がONである場合(S24:YES)、処理部54はOSDを表示する前に設定されていた操作対象のコンピュータに対応する分割画面をハイライトする(S25)。OSDを表示する前に設定されていた操作対象の分割画面をハイライトすると、次いで、処理部54はキーと定数を対応付ける(S26)。具体的には、
図9に示すように、キーボード4Aの数字キーにはその数字キーに対応する数字を定数としてそれぞれ対応付け、キーボード4Aの英字キーにはアルファベット順に10から35までの数字をそれぞれ対応付ける。詳細は後述するが、定数は複数の分割画面の画面番号に対応する。4つの分割画面であれば、例えば、左上隅の分割画面が定数「1」に対応し、右上隅の分割画面が定数「2」に対応する。左下隅の分割画面が定数「3」に対応し、右下隅の分割画面が定数「4」に対応する。ハイライト設定がOFFである場合(S24:NO)、処理部54はS25の処理をスキップする。キーと定数の対応付けを行う処理(S26)はS23の処理の直後に行ってもよい。
【0046】
以後、処理部54はループ処理を開始する(S27)。まず、処理部54はいずれかのキーの押下を検出するまで待機する(S28:NO)。いずれかのキーの押下を検出すると(S28:YES)、次いで、処理部54はエンターキーであるか否かを判断する(S29)。エンターキーである場合(S29:YES)、処理部54は処理を終了する。
【0047】
S29の処理において、エンターキーでない場合(S29:NO)、
図8に示すように、処理部54は、コントロールキーの押下に関わらず、英字キー又は数字キー(以下、英数字キーという)であるか否かを判断する(S30)。英数字キーでない場合(S30:NO)、S29に戻る。すなわち、エンターキー又は英数字キーのいずれかが押下されるまで、処理部54は待機する。英数字キーである場合(S30:YES)、処理部54は英数字キーから定数を取得し(S31)、定数が0(ゼロ)であるか否かを判断する(S32)。上述したように、英数字キーには定数が対応付けられている。
【0048】
定数が0でない場合(S32:NO)、処理部54は映像数が定数以上であるか否かを判断する(S33)。例えば、映像信号の信号数が4つである場合、4つの分割画面がモニタ4Bに現れるが、数字キー「9」が押下されても、数字キー「9」から取得した定数「9」に対応する分割画面はない。このため、映像数が定数未満である場合(S33:NO)、ループ処理を終了する(S38)。ループ処理が終了すると、S27に戻る。
【0049】
映像数が定数以上である場合(S33:YES)、処理部54はコントロールキーが同時押下されているか否かを判断する(S34)。コントロールキーが同時押下されていない場合(S34:NO)、ハイライト設定に応じて定数に対応する分割画面の周縁のみ表示変更する(S35)。例えば4つの分割画面において、ハイライト設定がONで数字キー「2」が押下された場合、右上隅の分割画面だけがハイライトされ、他の分割画面のハイライトは停止される。コントロールキーが同時押下されている場合(S34:YES)、ハイライト設定に応じて定数に対応する分割画面の周縁を追加で表示変更する(S36)。例えば、4つの分割画面において、ハイライト設定がONでコントロールキーを押下したまま数字キー「2」が押下された場合、右上隅の分割画面が追加でハイライトされ、他の分割画面のハイライト状態は維持される。
【0050】
S35,S36の処理が終了すると、処理部54は操作対象として設定された分割画面に対応するコンピュータに対する操作権を付与する(S37)。このように、コントロールキーが同時押下されていない状態で英数字キーが押下された場合、1台のコンピュータに対する操作権が確保される。一方で、コントロールキーが押下された状態で英数字キーが押下された場合、複数台のコンピュータに対する操作権が確保される。複数台のコンピュータに対する操作権が確保された場合、複数台のコンピュータを同時にまとめて操作することができる。S37の処理が終了すると、S38によってループ処理が終了する。ループ処理が終了すると、S27に戻る。
【0051】
なお、S32の処理において、定数が0である場合(S32:YES)、処理部54は全ての操作権を開放する(S39)。これにより、操作対象に設定されている分割画面に対応するコンピュータに対する操作権が開放される。例えば、S25の処理で分割画面の周縁がハイライトされていれば、処理部54はハイライトを停止して、コンピュータに対する操作権を開放する。同様に、S35,S36,S37の処理で分割画面の周縁がハイライトされていれば、処理部54は全てのハイライトを停止して、コンピュータに対する全ての操作権を開放する。S39の処理が終了すると、S38によってループ処理が終了する。ループ処理が終了すると、S27に戻る。
【0052】
このように、英数字キーを操作することにより、モニタ4Bの一時的な暗転を介さずに複数のコンピュータの操作をシームレスに切り替えることができる。例えばコンピュータ2が操作対象として設定されている場合であっても、残りのコンピュータ3,3A,3Bの映像も同時に確認することができる。また、コントロールキーと英数字キーとを同時に押下することにより、例えばコンピュータ2及びコンピュータ3といった映像信号を出力する複数台のコンピュータを操作対象として設定し、1つのコンソールでまとめて操作することができる。
【0053】
(第3実施形態)
続いて、
図10乃至
図15を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図10に示すように、第3実施形態に係るKVMシステムST2は、コンソール4がタッチパネル4Dをさらに備え、送信機5がタッチパネル入力I/F57Dをさらに備える点で、第1実施形態に係るKVMシステムST1と相違する。処理部54はタッチパネル入力I/F57Dとも接続される。タッチパネル入力I/F57Dはタッチパネル4Dが操作されて入力された入力データを受け付けて処理部54に出力する。詳細は後述するが、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、OSDを使用した操作対象のシームレスな切り替えを説明したが、タッチパネル4Dを使用した場合、OSDを使用せずに、操作対象をシームレスに切り替えることができる。
【0054】
続いて、
図11乃至
図15を参照して、第3実施形態に係る送信機5が実行する分割画面に対応するコンピュータを操作対象に設定する処理について説明する。まず、
図11に示すように、映像出力部57Bは映像信号を出力する(S41)。S41はS1,S21と同様であるため、詳細な説明を省略する。映像出力部57Bが映像信号を出力すると、後述する変数Xと変数Yを0(ゼロ)クリアする(S61)。次いで、処理部54はタッチパネル4Dに対するタッチ操作を検出するまで待機する(S42:NO)。処理部54は、タッチ操作を検出すると(S42:YES)、タッチ操作された位置を特定し(S43)、特定した位置に応じた分割画面を特定してエリア情報とする(S44)。分割画面を特定することにより、分割画面と対応付けられたコンピュータを特定することができる。
【0055】
S44の処理が終了すると、処理部54は分割画面内に映像信号があるか否かを判断する(S45)。例えば、映像信号の信号数が3つの場合であっても、送信機5に対する設定によっては表示画面を4つの分割画面に分割している場合もある。このような場合、4つの分割画面の中の1つの分割画面には映像信号が現れない。このように、映像信号が現れない分割画面に対してタッチ操作がなされた場合、処理部54は分割画面内に映像信号がないと判断し(S45:NO)、処理を終了する。
【0056】
分割画面内に映像信号がある場合(S45:YES)、処理部54は変数XにS44で特定したエリア情報を格納する(S47)。変数Xは1回目のタッチ操作で特定された分割画面を表すエリア情報を格納する領域である。例えば1回目のタッチ操作として、
図14(a)に示すように、右上隅の分割画面D2に対してタッチ操作が行われた場合、右上隅の分割画面を表すエリア情報が変数Xに格納される。S47が終了すると、処理部54はタイマーをスタートし(S48)、
図12に示すように、ループ処理を開始する(S49)。
【0057】
1回目のタッチ操作を終えて、一定時間が経過していない場合(S50:NO)、タッチ操作を検出する(S42A)。タッチ操作を検出しなかった場合(S42A:NO)、処理部54は後述するS43A,S44A,S45Aの処理をスキップして、ループ処理を終了し(S60)、S49の処理に戻る。タッチ操作を検出した場合(S42A:YES)、処理部54はタッチ操作された位置を特定し(S43A)、特定した位置に応じた分割画面を特定してエリア情報とする(S44A)。S44Aの処理が終了すると、処理部54は分割画面内に映像信号があるか否かを判断する(S45A)。映像信号が現れない分割画面に対してタッチ操作がなされた場合、処理部54は分割画面内に映像信号がないと判断し(S45A:NO)、S60の処理を行って、S49の処理に戻る。
【0058】
分割画面内に映像信号がある場合(S45A:YES)、処理部54は変数YにS44Aで特定したエリア情報を格納する(S53)。次に、
図13に示すように、処理部54は変数Yがゼロであるか否かを判断する(S51)。変数Yは2回目のタッチ操作で特定された分割画面を表すエリア情報を格納する領域である。例えば
図14(b)に示すように、2回目のタッチ操作として、左下隅の分割画面D3に対してタッチ操作が行われた場合、処理部54は変数Yに左下隅の分割画面を表すエリア情報を格納する。
【0059】
処理部54は一定時間が経過してタイムアウトしたと判断すると(S50:YES)、S51の処理を行う。変数Yがゼロである場合(S51:YES)、2回目のタッチ操作が行われていないと判断し、変数Xに格納されたエリア情報に対応する分割画面だけを選択して操作対象として設定し、記憶部56に操作対象として設定したエリア情報を記憶し(S52)、処理を終了する。例えば、
図14(a)に示すように、右上隅の分割画面D2に対してシングルタップが行われた場合、
図14(b)に示すように、右上隅の分割画面D2の周縁がハイライトされてコンピュータ3が操作対象として設定される。
【0060】
変数Yがゼロでない場合(S51:NO)、処理部54は変数Xが変数Yと同じであるか否かを判断する(S54)。変数Xが変数Yと同じでない場合(S54:NO)、シングルタップであると判断し、変数Yに格納されたエリア情報に対応する2回目のタッチ操作を検出した分割画面だけを選択して操作対象として設定し、記憶部56に操作対象として設定したエリア情報を記憶し(S55)、処理を終了する。例えば、右上隅の分割画面D2に対してシングルタップが行われた後、左下隅の分割画面D3に対してシングルタップが行われた場合、右上隅の分割画面D2の周縁のハイライトが消失し、左下隅の分割画面D3の周縁が新たにハイライトされて操作対象として設定される。
【0061】
同じ分割画面に対して一定時間以内に連続したタッチ操作(ダブルタップ)が行われた場合、S42AからS45Aの処理が実行され、S53の処理において変数Yに1回目のタッチ操作と同じ分割画面を表すエリア情報を格納される。変数Xと変数Yを比較することによってダブルクリックが行われたエリアが同じ分割画面であるか否かを判断できる。
【0062】
変数Xが変数Yと同じである場合(S54:YES)、処理部54は記憶部56に記憶された操作対象として設定済みのエリア情報を参照して変数Yのエリアが既に操作対象として設定済であるか否かを判断する(S57)。設定済でない場合(S57:NO)、処理部54は変数Yのエリア情報に対応したコンピュータの操作権を追加で付与し(S58)、処理を終了する。設定済である場合(S57:YES)、処理部54は変数Yのエリア情報に対応したコンピュータの操作権を開放し(S59)、処理を終了する。例えば、左下隅の分割画面が操作対象として設定されていない状態で、左下隅の分割画面をダブルタップした場合は、
図14(c)に示すように、右上隅の分割画面D2と併せて、左下隅の分割画面D3もその周縁がハイライトされて操作対象として設定される。
【0063】
このように、タッチパネル4Dに対する操作により、モニタ4Bの一時的な暗転を介さずに複数のコンピュータの操作をシームレスに切り替えることができる。例えばコンピュータ2が操作対象として設定されている場合であっても、残りのコンピュータ3,3A,3Bの映像も同時に確認することができる。また、ダブルタップといった連続したタッチ操作を使用することにより、例えば映像信号を出力する複数のコンピュータ3及びコンピュータ3Aを操作対象として設定することができる。なお、一例としてダブルタップを採用して説明したが、略同じ位置のタッチ操作を一定時間にわたって継続するいわゆるロングタップを採用してもよい。
【0064】
また、タッチパネル4Dが2点以上の位置座標を同時に特定するマルチタッチに対応している場合、同じ分割画面に対して2点以上のタッチ操作が行われた場合に処理部54が複数の操作対象が設定されたと判断してもよい。マルチタッチに対応するタッチパネル4Dとしては、例えば静電容量方式タッチパネルなどが該当する。これにより、
図15(a)乃至(c)に示すように、2本の手指を使ったタッチ操作によって、例えば複数の分割画面D2,D3に対応する複数のコンピュータ3,3Aを操作対象として設定することができる。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、上述した第1実施形態から第3実施形態では初期の操作対象を左上隅としたが、左上隅に限定されず、右下隅などであってもよい。また、9つの映像信号である場合には、縦方向と横方向のそれぞれを3分割した9つの分割画面を採用し、中央の分割画面を初期の操作対象としてもよい。そのほか、上述した第1実施形態から第3実施形態ではOSDの表示位置をモニタ4Bの右下隅としたが、例えばモニタ4Bの中央などであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
2,3,3A,3B コンピュータ、4 コンソール、4A キーボード
4B モニタ、4C マウス、4D タッチパネル、
5,6,6A,6B 送信機、54 処理部、55 表示制御部、
56 記憶部、57B 映像出力部、7,8,8A,8B 受信機、
9 マネージャーユニット、ST1,ST2 KVMシステム