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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042947
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】光源装置、投射型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20230320BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20230320BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230320BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20230320BHJP
   F21V 7/30 20180101ALI20230320BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20230320BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20230320BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20230320BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20230320BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230320BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20230320BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
F21S2/00 311
F21V7/28 240
F21V7/30
F21V7/28 250
F21V9/08
F21V5/04 400
F21V3/00 320
F21V3/02 500
F21Y115:30
F21Y113:13
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150382
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】516257981
【氏名又は名称】株式会社ライトショー・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山影 明広
(72)【発明者】
【氏名】梅 雨非
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA44
2K203FA45
2K203FA54
2K203GA36
2K203GA40
2K203HA03
2K203HA14
2K203HA25
2K203HA30
2K203HA67
2K203HA68
2K203HA74
2K203HA92
2K203HB22
2K203MA04
2K203MA06
2K203MA32
(57)【要約】
【課題】半導体レーザが発する青色光を励起光として蛍光体に照射して得られる蛍光と、半導体レーザが発する青色光の一部とを出力する光源装置においては、過度に装置が大型化しないことが求められていた。
【解決手段】所定の波長域の光を出力するレーザ光源と、所定の波長域の光を反射し、蛍光を透過させる特性を備えレーザ光源の光軸上に配置された第1ダイクロイックミラー及び第2ダイクロイックミラーと、第1集光光学系と、蛍光を発する蛍光領域と反射領域とを備えた蛍光ホイールと、蛍光を反射する特性を備えた第4ダイクロイックミラーと、所定の波長域の光を反射させ蛍光を透過させる特性を備え、反射させた所定の波長域の光の光軸が、第4ダイクロイックミラーにより反射された蛍光の光軸と重なるように配置された第3ダイクロイックミラーと、第2集光光学系と、カラーフィルターと拡散部を備えた色選択ホイールと、を備える光源装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長域の光を出力する第1レーザ光源と、
前記第1波長域の光を反射し、蛍光を透過させる特性を備え、前記第1レーザ光源の光軸上に配置された第1ダイクロイックミラーと、
第1集光光学系と、
前記第1波長域の光が照射されると前記蛍光を発する蛍光領域と、前記第1波長域の光を反射する反射領域と、を備えた回転可能な蛍光ホイールと、
前記第1波長域の光を反射させ、前記蛍光を透過する特性を備えた第2ダイクロイックミラーと、
前記第1波長域の光を反射させる特性を備え、反射させた前記第1波長域の光の光軸が、前記第1集光光学系の光軸と平行になるように配置された反射素子と、
前記第1波長域の光を反射させ、前記蛍光を透過する特性を備えた第3ダイクロイックミラーと、
第2集光光学系と、
前記蛍光を反射させる特性を備え、反射させた前記蛍光の光軸が、前記第2集光光学系の光軸と一致するように配置された第4ダイクロイックミラーと、
前記蛍光ホイールと同期して回転可能で、カラーフィルターと拡散部を備えた色選択ホイールと、を備え、
前記第1ダイクロイックミラーは、前記第1レーザ光源が発した前記第1波長域の光を前記第1集光光学系の一部分に向けて反射させるように配置され、
前記第1ダイクロイックミラーにより反射された前記第1波長域の光は、前記第1集光光学系の前記一部分により前記蛍光ホイールの前記蛍光領域または前記反射領域に集光され、
前記蛍光領域が発した前記蛍光の一部は、前記第1集光光学系の前記一部分により集光され、前記第1ダイクロイックミラーを透過して前記第4ダイクロイックミラーに入射し、
前記蛍光領域が発した前記蛍光の他の一部は、前記第1集光光学系の前記一部分とは異なる部分により集光され、前記第2ダイクロイックミラーを透過して前記第4ダイクロイックミラーに入射し、
前記第4ダイクロイックミラーに入射した前記蛍光の一部および前記蛍光の他の一部は、前記第3ダイクロイックミラーに向けて反射され、前記第3ダイクロイックミラーを透過して前記第2集光光学系に入射し、
前記反射領域で反射された前記第1波長域の光は、前記第1集光光学系の前記一部分とは異なる部分により集光され、前記第2ダイクロイックミラーに反射されて前記反射素子に入射し、
前記反射素子に入射した前記第1波長域の光は、反射されて前記第3ダイクロイックミラーに入射し、前記第3ダイクロイックミラーにより反射されて前記第2集光光学系に入射し、
前記第2集光光学系に入射した前記蛍光および前記第1波長域の光は、前記第2集光光学系により前記色選択ホイールに向けて集光され、
前記色選択ホイールは、前記蛍光を前記カラーフィルターによりフィルタリングし、前記第1波長域の光を前記拡散部により拡散させて、出力する、
ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
第1波長域の光を出力する第1レーザ光源と、
第2波長域の光を出力する第2レーザ光源と
前記第1波長域の光を反射し、蛍光を透過させる特性を備え、前記第1レーザ光源の光軸上に配置された第1ダイクロイックミラーと、
第1集光光学系と、
前記第1波長域の光が照射されると前記蛍光を発する蛍光領域と、前記第1波長域の光を反射する反射領域と、を備えた回転可能な蛍光ホイールと、
前記第1波長域の光を反射させ、前記蛍光を透過する特性を備えた第2ダイクロイックミラーと、
前記第1波長域の光を反射させる特性を備え、反射させた前記第1波長域の光の光軸が、前記第1集光光学系の光軸と平行になるように配置された反射素子と、
前記第1波長域の光を反射させ、前記第2波長域の光と前記蛍光を透過する特性を備えた第3ダイクロイックミラーと、
第2集光光学系と、
前記第2波長域の光を透過させるとともに前記蛍光を反射させる特性を備え、反射させた前記蛍光の光軸が、前記第2集光光学系の光軸と一致するように配置された第4ダイクロイックミラーと、
前記蛍光ホイールと同期して回転可能で、カラーフィルターと拡散部を備えた色選択ホイールと、を備え、
前記第2レーザ光源は、出力する前記第2波長域の光の光軸が、前記第2集光光学系の光軸と一致するように配置され、前記第2レーザ光源から出力された前記第2波長域の光は、前記第4ダイクロイックミラーと前記第3ダイクロイックミラーを透過して前記第2集光光学系に入射し、
前記第1ダイクロイックミラーは、前記第1レーザ光源が発した前記第1波長域の光を前記第1集光光学系の一部分に向けて反射させるように配置され、
前記第1ダイクロイックミラーにより反射された前記第1波長域の光は、前記第1集光光学系の前記一部分により前記蛍光ホイールの前記蛍光領域または前記反射領域に集光され、
前記蛍光領域が発した前記蛍光の一部は、前記第1集光光学系の前記一部分により集光され、前記第1ダイクロイックミラーを透過して前記第4ダイクロイックミラーに入射し、
前記蛍光領域が発した前記蛍光の他の一部は、前記第1集光光学系の前記一部分とは異なる部分により集光され、前記第2ダイクロイックミラーを透過して前記第4ダイクロイックミラーに入射し、
前記第4ダイクロイックミラーに入射した前記蛍光の一部および前記蛍光の他の一部は、前記第3ダイクロイックミラーに向けて反射され、前記第3ダイクロイックミラーを透過して前記第2集光光学系に入射し、
前記反射領域で反射された前記第1波長域の光は、前記第1集光光学系の前記一部分とは異なる部分により集光され、前記第2ダイクロイックミラーに反射されて前記反射素子に入射し、
前記反射素子に入射した前記第1波長域の光は、反射されて前記第3ダイクロイックミラーに入射し、前記第3ダイクロイックミラーにより反射されて前記第2集光光学系に入射し、
前記第2集光光学系に入射した前記蛍光および前記第1波長域の光および前記第2波長域の光は、前記第2集光光学系により前記色選択ホイールに向けて集光され、
前記色選択ホイールは、前記蛍光を前記カラーフィルターによりフィルタリングし、前記第1波長域の光と前記第2波長域の光を前記拡散部により拡散させて、出力する、
ことを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光源装置において、
前記第1ダイクロイックミラーおよび前記第2ダイクロイックミラーは、前記第1集光光学系の光軸と平行な側面を有する、
ことを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光源装置において、
前記第2ダイクロイックミラーと前記反射素子の間に、前記第1波長域の光を拡散させる拡散板を備える、
ことを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光源装置において、
前記第2ダイクロイックミラーと前記反射素子の間に凹レンズを、前記反射素子と前記第3ダイクロイックミラーの間に凸レンズを備える、
ことを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光源装置において、
前記第2ダイクロイックミラーと前記反射素子の間にトップハット素子を、前記反射素子と前記第3ダイクロイックミラーの間に凸レンズを備える、
ことを特徴とする光源装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の光源装置において、
前記第4ダイクロイックミラーと前記第3ダイクロイックミラーの間に凸レンズを備える、
ことを特徴とする光源装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光源装置において、
前記第2ダイクロイックミラーと前記第3ダイクロイックミラーが一体化されている、
ことを特徴とする光源装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光源装置において、
前記第1レーザ光源と前記第1ダイクロイックミラーの間に、前記第1レーザ光源から出力された前記第1波長域の光の光束径を縮小するコリメート光学系を備える、
ことを特徴とする光源装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載した光源装置と、
光変調素子と、投射レンズと、を備える、
ことを特徴とする投射型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、および光源装置を備えた投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、投射型表示装置用の光源として、半導体レーザ(レーザダイオード、あるいはLD)が発する青色光(B光)を励起光として蛍光体に照射し、蛍光体から得られる黄色光(Y光)、赤色光(R光)、緑色光(G光)等を、半導体レーザが発する青色光(B光)の一部とともに出力する光源装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、ホイールの周部分に沿って緑色発光の蛍光体、赤色発光の蛍光体、および透過窓を設けておき、ホイールを回転させながら周部分に青色光を照射する光源装置が開示されている。この光源装置は、ホイールの蛍光体で発光する緑色および赤色の蛍光と、ホイールの透過窓を透過した青色光を、同一の方向に射出させる光学系を採用している。具体的には、透過窓を透過した青色光を2枚の反射ミラーを用いてダイクロイックミラーに導き、ダイクロイックミラーにて青色光の光路と蛍光の光路を合流させている。この光源装置では、青色光と蛍光を異なる光路でダイクロイックミラーに導くため、大きな光路空間を確保する必要があり、装置の小型化が困難であった。更には、反射ミラー等の光学部品点数が増加してしまうという問題があった。
【0004】
特許文献2には、ホイールの周部分に沿って緑発光の蛍光体、赤発光の蛍光体、および鏡面部を設けておき、ホイールを回転させながら青色レーザ光源(LDアレイ)から青色光をホイールの周部分に照射する光源装置が開示されている。この光源装置では、青色レーザ光源(LDアレイ)とホイールとの間に、青色の波長帯域に偏光特性を有するダイクロイックミラーと1/4波長板を配置している。この装置では、レーザ光源の持つ偏光特性を利用して、鏡面部で反射した青色光の光路と蛍光の光路が同一になるように構成されている。このため、特許文献1に開示された光源装置と比較すれば、小型化が可能である。
【0005】
特許文献3には、励起光を兼ねる青色光がレーザ光源から集光素子に向かう光軸と、集光レンズの光軸とが非共軸となる構成を採用した光源装置が開示されている。この光源装置では、励起光を兼ねる青色光は、ミラーで反射された後、集光レンズの下半分を透過してホイールを照射する。ホイールの反射面で反射した青色光は、集光レンズの上半分を透過して導光装置に導かれる。特許文献2のような1/4波長板を用いなくとも、特許文献1の光源装置よりも装置を小型化することができる。
【0006】
特許文献4には、特許文献3と同様に、励起光を兼ねる青色光がレーザ光源から集光素子に向かう光軸と、集光素子の光軸とが非共軸となる構成を採用した光源装置が開示されている。この光源装置では、反射特性の異なる2つの領域を備えた分色素子を、レーザ光源と蛍光ホイールの間に配置している。青色光と蛍光とを時分割で出力する構成の光学系であるが、励起光を兼ねる青色光の光路と蛍光の光路がほぼ同じような経路となるため、特許文献1に開示された光源装置と比べれば、小型化が可能である。
【0007】
特許文献5には、特許文献3と同様に、励起光を兼ねる青色光がレーザ光源から集光レンズに向かう光軸と、集光レンズの光軸とが非共軸となる構成を採用した光源装置が開示されている。この光源装置では、ミラー20aを透過してからホイールの反射面で反射した青色光は、ミラー20aを再度透過した後、3つのミラーで反射されて光路が270度変更され、青色光の光軸が蛍光の光軸と一致するように重ね合わされる。特許文献2のような1/4波長板を用いないですむ構成ではあるが、3つのミラーを用いて青色光の光路を270度変更させる空間を必要とするため、特許文献3や特許文献4に記載された装置に比べれば小型化できる効果は小さい。
【0008】
特許文献6には、特許文献3と同様に、励起光を兼ねる青色光がレーザ光源から集光レンズに向かう光軸と、集光レンズの光軸とが非共軸となる構成を採用した光源装置が開示されている。この光源装置では、蛍光は2つのミラーで反射されて光路が180度変更され、蛍光の光軸と青色光の光軸とが一致するように重ね合わされる。特許文献2のような1/4波長板を用いないですむ構成ではあるが、2つのミラーを用いて蛍光の光路を180度変更させる空間を必要とするため、特許文献4に記載された装置に比べれば小型化できる効果は小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010-256457号公報
【特許文献2】特開2012-108486号公報
【特許文献3】特開2014-75221号公報
【特許文献4】特開2019-61237号公報
【特許文献5】国際公開第2019/109449号
【特許文献6】米国特許出願公開第2015/0267880号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、特許文献2に記載された光源装置は、特許文献1に記載された光源装置に比べて小型化が可能であるが、プロジェクタの照明光源として用いた場合に、投射画像のホワイトバランスの劣化が生じる可能性があった。レーザ光源から出射したP偏光の青色光は、ダイクロイックミラーを通過した後、蛍光ホイールで反射されてダイクロイックミラーに戻ってくるまでの過程において、P偏光からS偏光へと偏光変換されるが、この偏光変換が精度よく実施されない場合には、ダイクロイックミラーから反射光として取り出せない偏光成分が存在することになり、青色光の光損失が発生し、投射画像のホワイトバランスが劣化してしまう。
【0011】
また、蛍光ホイールの手前に配置される集光レンズにおいて偏光の乱れが生じて円偏光から楕円偏光に遷移してしまう成分があると、ダイクロイックミラーにおいてS偏光光として反射する光量が減ってホワイトバランスの低下を招いてしまう。楕円偏光の発生を抑制するため、集光レンズに石英ガラスなどの熱膨張係数の小さい材料を使用する方法があるが、こうした材料は高価格なので、コスト面で不利になる。また、熱膨張係数の小さい光学材料の種類は限定されるので、光学材料選択の幅が狭くなり、光学設計上の自由度が小さくなるという問題もある。
【0012】
この点、特許文献3~特許文献6に記載された光源装置では、青色光の取り出しに関しては、光源の偏光特性を利用していないので、特許文献2に記載の光源装置において発生し得る問題は起きないが、別の問題が発生し得る。
【0013】
特許文献3に記載された光源装置は、構成が簡素で小型化されてはいるが、出力光の光路断面における分布をみると、蛍光は集光レンズの光軸に対して対称性よく分布するのに対して、表示に用いる青色光は集光レンズの片側半分のみに分布する。このため、導光装置(ライトトンネル)に入射した後の両者の指向性が異なったものとなり、光変調パネルを照明する際に、画面内で色むらを発生させてしまう。また、集光レンズの光軸近傍に位置するダイクロイックミラーの端部で、出力光の一部が失われたり光路が乱されたりする問題も生じ得る。
【0014】
特許文献4に記載された光源装置では、蛍光ホイールにて反射した青色光を、分色素子により2つの光束に分離させた上で、集光素子に入射させる構成になっている。しかし、青色光の2つの光束は蛍光と同軸ではないため、両者の強度分布を同等にすることは難しく、色むらが発生する要因となっていた。
【0015】
また、分色素子は、生産性やコストの面で簡単に製造することが困難であった。例えば、分色部と分光(光分割)部を隣接して貼り合わせるようにして分色素子を製作する場合には、極めて高精度に貼り合わせないと光損失を招くが、通常の張り合わせ技術でこの精度を達成するのは現実的には困難であった。また、貼り合わせでなく、一体型で形成する場合には、透過および反射特性の異なる分色部と分光部の2つの領域を低コストで製作するのが現実的には困難であった。
【0016】
特許文献5に記載された光源装置では、ホイールの反射面で反射した青色光は3つのミラーで反射されて光路が270度変更され、青色光の光軸が蛍光の光軸と一致するように重ね合わされるため、色むらの発生は抑制されるが、3つのミラーを用いた光路空間が必要なため、装置の小型化は十分ではない。
【0017】
特許文献6に記載された光源装置では、蛍光は2つのミラーで反射されて光路が180度変更され、蛍光の光軸と青色光の光軸とが一致するように重ね合わされるため、色むらの発生は抑制されるが、2つのミラーを用いた光路空間が必要なため、装置の小型化は十分ではない。
【0018】
そこで、半導体レーザが発する青色光を励起光として蛍光体に照射して得られる蛍光と、半導体レーザが発する青色光のうち励起光として用いない一部と、を照明光として出力する光源装置においては、過度に装置が大型化することがない光源装置が求められていた。それとともに、石英ガラス製等の高価な集光レンズを用いなくとも、色バランスの面内均一性に優れ、光利用効率が高い光源装置が求められていた。また、係る光源装置を備え、ホワイトバランスが良好な高輝度の投射画像が得られるプロジェクタ装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第一の態様は、第1波長域の光を出力する第1レーザ光源と、前記第1波長域の光を反射し、蛍光を透過させる特性を備え、前記第1レーザ光源の光軸上に配置された第1ダイクロイックミラーと、第1集光光学系と、前記第1波長域の光が照射されると前記蛍光を発する蛍光領域と、前記第1波長域の光を反射する反射領域と、を備えた回転可能な蛍光ホイールと、前記第1波長域の光を反射させ、前記蛍光を透過する特性を備えた第2ダイクロイックミラーと、前記第1波長域の光を反射させる特性を備え、反射させた前記第1波長域の光の光軸が、前記第1集光光学系の光軸と平行になるように配置された反射素子と、前記第1波長域の光を反射させ、前記蛍光を透過する特性を備えた第3ダイクロイックミラーと、第2集光光学系と、前記蛍光を反射させる特性を備え、反射させた前記蛍光の光軸が、前記第2集光光学系の光軸と一致するように配置された第4ダイクロイックミラーと、前記蛍光ホイールと同期して回転可能で、カラーフィルターと拡散部を備えた色選択ホイールと、を備え、前記第1ダイクロイックミラーは、前記第1レーザ光源が発した前記第1波長域の光を前記第1集光光学系の一部分に向けて反射させるように配置され、前記第1ダイクロイックミラーにより反射された前記第1波長域の光は、前記第1集光光学系の前記一部分により前記蛍光ホイールの前記蛍光領域または前記反射領域に集光され、前記蛍光領域が発した前記蛍光の一部は、前記第1集光光学系の前記一部分により集光され、前記第1ダイクロイックミラーを透過して前記第4ダイクロイックミラーに入射し、前記蛍光領域が発した前記蛍光の他の一部は、前記第1集光光学系の前記一部分とは異なる部分により集光され、前記第2ダイクロイックミラーを透過して前記第4ダイクロイックミラーに入射し、前記第4ダイクロイックミラーに入射した前記蛍光の一部および前記蛍光の他の一部は、前記第3ダイクロイックミラーに向けて反射され、前記第3ダイクロイックミラーを透過して前記第2集光光学系に入射し、前記反射領域で反射された前記第1波長域の光は、前記第1集光光学系の前記一部分とは異なる部分により集光され、前記第2ダイクロイックミラーに反射されて前記反射素子に入射し、前記反射素子に入射した前記第1波長域の光は、反射されて前記第3ダイクロイックミラーに入射し、前記第3ダイクロイックミラーにより反射されて前記第2集光光学系に入射し、前記第2集光光学系に入射した前記蛍光および前記第1波長域の光は、前記第2集光光学系により前記色選択ホイールに向けて集光され、前記色選択ホイールは、前記蛍光を前記カラーフィルターによりフィルタリングし、前記第1波長域の光を前記拡散部により拡散させて、出力する、ことを特徴とする光源装置である。
【0020】
本発明の第二の態様は、第1波長域の光を出力する第1レーザ光源と、第2波長域の光を出力する第2レーザ光源と前記第1波長域の光を反射し、蛍光を透過させる特性を備え、前記第1レーザ光源の光軸上に配置された第1ダイクロイックミラーと、第1集光光学系と、前記第1波長域の光が照射されると前記蛍光を発する蛍光領域と、前記第1波長域の光を反射する反射領域と、を備えた回転可能な蛍光ホイールと、前記第1波長域の光を反射させ、前記蛍光を透過する特性を備えた第2ダイクロイックミラーと、前記第1波長域の光を反射させる特性を備え、反射させた前記第1波長域の光の光軸が、前記第1集光光学系の光軸と平行になるように配置された反射素子と、前記第1波長域の光を反射させ、前記第2波長域の光と前記蛍光を透過する特性を備えた第3ダイクロイックミラーと、第2集光光学系と、前記第2波長域の光を透過させるとともに前記蛍光を反射させる特性を備え、反射させた前記蛍光の光軸が、前記第2集光光学系の光軸と一致するように配置された第4ダイクロイックミラーと、前記蛍光ホイールと同期して回転可能で、カラーフィルターと拡散部を備えた色選択ホイールと、を備え、前記第2レーザ光源は、出力する前記第2波長域の光の光軸が、前記第2集光光学系の光軸と一致するように配置され、前記第2レーザ光源から出力された前記第2波長域の光は、前記第4ダイクロイックミラーと前記第3ダイクロイックミラーを透過して前記第2集光光学系に入射し、前記第1ダイクロイックミラーは、前記第1レーザ光源が発した前記第1波長域の光を前記第1集光光学系の一部分に向けて反射させるように配置され、前記第1ダイクロイックミラーにより反射された前記第1波長域の光は、前記第1集光光学系の前記一部分により前記蛍光ホイールの前記蛍光領域または前記反射領域に集光され、前記蛍光領域が発した前記蛍光の一部は、前記第1集光光学系の前記一部分により集光され、前記第1ダイクロイックミラーを透過して前記第4ダイクロイックミラーに入射し、前記蛍光領域が発した前記蛍光の他の一部は、前記第1集光光学系の前記一部分とは異なる部分により集光され、前記第2ダイクロイックミラーを透過して前記第4ダイクロイックミラーに入射し、前記第4ダイクロイックミラーに入射した前記蛍光の一部および前記蛍光の他の一部は、前記第3ダイクロイックミラーに向けて反射され、前記第3ダイクロイックミラーを透過して前記第2集光光学系に入射し、前記反射領域で反射された前記第1波長域の光は、前記第1集光光学系の前記一部分とは異なる部分により集光され、前記第2ダイクロイックミラーに反射されて前記反射素子に入射し、前記反射素子に入射した前記第1波長域の光は、反射されて前記第3ダイクロイックミラーに入射し、前記第3ダイクロイックミラーにより反射されて前記第2集光光学系に入射し、前記第2集光光学系に入射した前記蛍光および前記第1波長域の光および前記第2波長域の光は、前記第2集光光学系により前記色選択ホイールに向けて集光され、前記色選択ホイールは、前記蛍光を前記カラーフィルターによりフィルタリングし、前記第1波長域の光と前記第2波長域の光を前記拡散部により拡散させて、出力する、ことを特徴とする光源装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、半導体レーザが発する青色光を励起光として蛍光体に照射して得られる蛍光と、半導体レーザが発する青色光のうち励起光として用いない一部と、を照明光として出力する光源装置において、装置が過度に大型化するのを防止することが出来る。それとともに、石英ガラス製等の高価な集光レンズを用いなくとも、色バランスの面内均一性に優れ、光利用効率が高い光源装置を実現できる。さらに、係る光源装置を備え、ホワイトバランスが良好な高輝度の投射画像が得られるプロジェクタ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(a)実施形態1に係る光源装置100の光学系の概略構成を示す図である。(b)レーザ光源101Bにおける青色半導体レーザとコリメートレンズの配置を示す図である。
図2】(a)実施形態1における青色光の進行経路を説明するための図である。(b)実施形態1において蛍光体が発する蛍光の進行経路を説明するための図である。
図3】(a)実施形態1で用いる蛍光ホイール120aの正面図である。(b)実施形態1で用いる色選択ホイール130aの正面図である。
図4】(a)実施形態1においてレーザ光源101Bから出力される光の発光スペクトルを示す図である。(b)蛍光体の発光特性を示す図である。
図5】(a)実施形態におけるダイクロイックミラー201a、201b、201c、201dの光学特性を示す図である。(b)実施形態におけるダイクロイックミラー202aの光学特性を示す図である。
図6】(a)実施形態において第1集光レンズ系105内を光線が通過する範囲を示す図である。(b)実施形態において第2集光レンズ系109内を光線が通過する範囲を示す図である。
図7】(a)実施形態において青色光束が色選択ホイール130aを経由してライトトンネル140に入射して伝播する状態を示す図である。(b)実施形態において蛍光が色選択ホイール130aを経由してライトトンネル140に入射して伝播する状態を示す図である。
図8】(a)実施形態において色選択ホイール130aの拡散部に付与する拡散機能と光利用率の関係を示す図である。(b)拡散部により拡散された青色光の強度分布を示す図である。
図9】(a)実施形態で用いる第1ダイクロイックミラー201a、第2ダイクロイックミラー201bの端部の形態の一例を示す模式図である。(b)実施形態で用いる第1ダイクロイックミラー201a、第2ダイクロイックミラー201bの端部の望ましい形態の一例を示す模式図である。
図10】実施形態2に係る光源装置200の光学系の概略構成を示す図である。
図11】(a)実施形態3に係る光源装置300の光学系の概略構成を示す図である。(b)実施形態3におけるレーザ光源101Bの構成を説明するための図である。
図12】実施形態4に係る光源装置400の光学系の概略構成を示す図である。
図13】(a)実施形態5に係る光源装置500の光学系の概略構成を示す図である。(b)拡散板115を用いた場合の青色光束Boutのビームプロファイル(ガウシアン分布)を示す図。(c)トップハット素子116を用いた場合の青色光束Boutのビームプロファイルを示す図。
図14】実施形態6に係る光源装置600の光学系の概略構成を示す図である。
図15】(a)実施形態7に係る光源装置700の光学系の概略構成を示す図である。(b)レーザ光源101Bにおける青色半導体レーザとコリメートレンズの配置を示す図である。(c)レーザ光源101Rにおける赤色半導体レーザとコリメートレンズの配置を示す図である。
図16】(a)実施形態6で用いる蛍光ホイール120bの正面図である。(b)実施形態6で用いる色選択ホイール130bの正面図である。
図17】実施形態6におけるダイクロイックミラー202bの光学特性を示す図である。
図18】実施形態8に係る投射型表示装置1000の光学系の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して、本発明の実施形態にかかる光源装置および投射型表示装置について説明してゆく。尚、以下に示す実施形態は例示であり、例えば細部の構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者が適宜変更して実施をすることができる。
尚、以下の実施形態の説明において参照する図面では、特に但し書きがない限り、同一の参照番号を付して示す要素は、同様の機能を有するものとする。
【0024】
また、以下の説明において、例えばXプラス方向と記す場合には、図示の座標系におけるX軸矢印が指すのと同じ方向を指し、Xマイナス方向と記す場合には、図示の座標系におけるX軸矢印が指すのと180度反対の方向を指すものとする。また、単にX方向と記す場合には、図示のX軸矢印が指す向きとの異同は関係なく、X軸と平行な方向であることを指すものとする。X以外の方向についても、同様とする。
【0025】
[実施形態1]
図1(a)は、実施形態1に係る光源装置の光学系の概略構成を示す図である。説明の便宜のため、同図では、光学要素を設置するための機械的機構や、筐体、電気的配線などは省略されている。
【0026】
(光源装置の構成)
光源装置100は、レーザ光源101Bと、コリメートレンズ系504と、第1ダイクロイックミラー201aと、第2ダイクロイックミラー201bと、第3ダイクロイックミラー201cと、第4ダイクロイックミラー202aと、凸レンズ105Aと凸レンズ105Bとで構成される第1集光レンズ系105(第1集光光学系)と、第2集光レンズ系109(第2集光光学系)と、拡散板115と、反射素子212と、回転可能な蛍光ホイール120aと、回転可能な色選択ホイール130aと、ライトトンネル140と、を備える。
【0027】
レーザ光源101Bは、例えば中心波長が455nm付近で発振する青色半導体レーザ102が用いられている。図4(a)に、レーザ光源101Bから出力される光の発光スペクトルを例示する。尚、レーザ光源101Bとして、中心波長が455nm以外の半導体レーザを用いることも可能である。
【0028】
個々の青色半導体レーザ102には、コリメートレンズ103が設けられている。一般に、半導体レーザが発する光ビームには、所定の角度の拡がりがあるが、コリメートレンズ103を設けることで、光ビームの拡がりを抑制し、レーザ光源101Bから略平行の光ビームを取出すことが可能になる。なお、コリメートレンズ103は、青色半導体レーザ102を実装するパッケージと一体型でも良く、また、別体としても良い。別体とする場合には、複数の青色半導体レーザ102の直後にレンズアレイを独立に配置して光源モジュールを構成すればよい。
【0029】
図1(b)に示されるように、レーザ光源101Bでは、青色半導体レーザ102とコリメートレンズ103の対が、XY面内でアレイ状に配置されており、青色の光束をZプラス方向に出射する。図1(b)では、4×4のアレイを例示しているが、対の配置方法はこの例に限られるわけではなく、縦横に配列する対の数は適宜変更することが出来る。
【0030】
レーザ光源101Bが発する光束は、コリメートレンズ系504(コリメート光学系)により、光束径がD1になるように調整される。コリメートレンズ系504は、図では凸レンズ502と凹レンズ503の各1枚を組み合わせて構成されているが、別の構成にすることもできる。レーザ光源101Bの出力光は、蛍光体を励起するための励起光、および表示に用いる青色光(B)として用いられる。使用する青色半導体レーザ102の配列数に応じて励起光の光束径は適宜設定されるが、それに応じてコリメートレンズ系を構成するレンズの数や材質、形状などの光学緒元や、配置間隔等が適宜設計される。
【0031】
図1(a)においては、コリメートレンズ系504の光軸を光軸OX1として示している。コリメートレンズ系504の光軸OX1は、レーザ光源101Bが発する光束全体の断面に対して、垂直かつ中心を通るように設定されている。尚、図11(a)および図11(a)を参照して後述するように、径がD1で略平行な光束をレーザ光源101Bが出力可能であれば、必ずしもコリメートレンズ系504を設ける必要はない。その場合には、レーザ光源101Bが発する光束全体の断面に対して垂直かつ中心を通る軸を光軸OX1として定義する。
【0032】
光軸OX1上には、第1ダイクロイックミラー201aが光軸OX1に対して45度傾けられて配置されている。図5(a)に、第1ダイクロイックミラー201aの光学特性を実線で示す。参考のために、同図には波長が445nm近傍の青色光(B光)が点線で示されているが、第1ダイクロイックミラー201aは、青色光(B光)は反射し、緑色光(G光)や赤色光(R光)、あるいはこれらの光を含む黄色光(Y光)の光については透過する光学特性を有している。係る特性の第1ダイクロイックミラー201aは、例えば、透明なガラス基板等に誘電体多層膜を蒸着することにより形成することが可能である。
【0033】
第1ダイクロイックミラー201aにより、レーザ光源101Bの出力光は反射されるが、その光路上には、凸レンズ105Aと凸レンズ105Bで構成した第1集光レンズ系105(第1集光光学系)が設けられている。第1集光レンズ系105は、レーザ光源101Bの出力光を、蛍光ホイール120a上に集光させることができる。図1の例では、2枚の凸レンズ105A、凸レンズ105Bで第1集光レンズ系105を構成したが、第1集光レンズ系105の構成はこの例に限られるわけではなく、1つまたは3つ以上のレンズで構成してもよい。また、レンズの形状、材質なども適宜に選択可能である。すなわち、球面以外でも非球面や自由曲面などのレンズを用いることもできる。BK7などの安価な光学材料を用いれば、光源装置を低価格で提供することができる。
【0034】
本実施形態では、光軸OX1と、第1集光レンズ系105の光軸OX2は、互いに直交している。そして、レーザ光源101Bの出力光が、第1ダイクロイックミラー201aにより反射された後に蛍光ホイール120aに向かう際には、第1集光レンズ系105を構成する凸レンズ105A、凸レンズ105Bの左半分(Z方向マイナス側の半分)の領域内を通過するように各光学要素は配置されている。すなわち、第1ダイクロイックミラー201aにより反射された青色光は、第1集光レンズ系105の一部分により集光される。
【0035】
第1集光レンズ系105の集光位置には、蛍光ホイール120aが配置されている。図3(a)に、蛍光ホイール120aの正面図を示す。蛍光ホイール120aは、円板状のガラス板や金属板を基体とするが、その円周付近の表面には蛍光領域PHと反射領域RLが設けられている。蛍光領域PHには、蛍光体が被覆されており、励起光(レーザ光源101Bの出力光)が照射されると、蛍光体の種類に応じて赤色(R色)や緑色(G色)や黄色(Y色)の蛍光を発する。反射領域RLは、レーザ光源101Bの出力光を反射するための領域であり、蛍光体は塗布されていない。反射領域RLは、青色レーザ光を高い効率で反射するように鏡面加工しておくのが望ましい。
【0036】
蛍光ホイール120aの基材には熱伝導率が高い金属が好適に用いられ、空冷効率を向上させるため基材に凹凸部や空孔が設けられる場合もある。蛍光ホイール120aは、モータに連結されており、モータが回転軸C1を中心に回転することで、蛍光ホイール120a上に集光された青色光は、順次に反射領域RLと蛍光領域PHとを照射することになる。図3(a)の例では、蛍光領域PHには、G用蛍光体、R用蛍光体、Y用蛍光体が塗分けられているが、この3色の蛍光体で塗り分けなければならないわけではなく、光源装置100の仕様に応じて適宜に材料や塗分け方法を変更することが出来る。
【0037】
図4(b)に、蛍光体の発光スペクトルを例示する。点線31はG用蛍光体の発光スペクトルを、一点鎖線32はY用蛍光体の発光スペクトルを、実線33はR用蛍光体の発光スペクトルを、それぞれ示している。各グラフには、励起光である青色光の波長に対応する位置にもピークが存在するが、これは蛍光体の発光によるものではなく、青色光の一部が励起には用いられずに蛍光体により散乱されたことを示すものである。尚、図4(b)は例示であり、実施形態で用いられる蛍光体は、この発光特性の材料に限られるわけではない。
【0038】
図1(a)に戻り、第1集光レンズ系105の光軸OX2に沿って見て、第1ダイクロイックミラー201aおよび第2ダイクロイックミラー201bの先には、第4ダイクロイックミラー202aが配置されている。第4ダイクロイックミラー202aの反射面は、第1集光レンズ系105の光軸OX2に対して45度傾けられて配置されている。
【0039】
図5(b)に、第4ダイクロイックミラー202aの光学特性を実線で示す。参考のために、図には波長が445nm近傍の青色光(B光)が点線で示されている。第4ダイクロイックミラー202aは、緑色光(G光)や赤色光(R光)、あるいはこれらの光を含む黄色光(Y光)の光を反射する光学特性を有している。すなわち、第4ダイクロイックミラー202aは、蛍光ホイール120aが発する蛍光を反射する光学特性を有する。係る特性の第4ダイクロイックミラー202aは、例えば、透明なガラス基板等に誘電体多層膜を蒸着することにより形成することが可能である。
【0040】
図1(a)に戻り、第1集光レンズ系105を間に挟んで蛍光ホイール120aの反対側には、第2ダイクロイックミラー201bが光軸OX2に対して45度傾けられて配置されている。第2ダイクロイックミラー201bは、第1ダイクロイックミラー201aと同様に、図5(a)に実線で示した光学特性を有する。すなわち、第2ダイクロイックミラー201bは、青色光(B光)は反射し、緑色光(G光)や赤色光(R光)、あるいはこれらの光を含む黄色光(Y光)の光については透過する光学特性を有している。係る特性の第1ダイクロイックミラー201aは、例えば、透明なガラス基板等に誘電体多層膜を蒸着することにより形成することが可能である。
【0041】
第2ダイクロイックミラー201bにより反射される青色光(B光)の光路上には、第2ダイクロイックミラー201bと平行に反射素子212が配置されている。言い換えれば、コリメートレンズ系504の光軸OX1に沿って見て、第2ダイクロイックミラー201bよりもさらに先方には、第2ダイクロイックミラー201bと平行に反射素子212が配置されている。
【0042】
反射素子212は、青色(B色)の光を反射するミラーである。反射素子212は、青色(B色)の光に対して95%以上の反射率を有することが好ましく、例えばガラス基板などに誘電体多層膜を形成して作成することができる。あるいは、AL蒸着などを用いてミラー基板に反射膜を形成してもよい。反射素子212は、反射した青色光の光束の中心(光軸)が、後述する第4ダイクロイックミラー202aにより反射された蛍光の光束の中心(光軸)と、第3ダイクロイックミラー201c上で重なるように設置されている。
【0043】
第3ダイクロイックミラー201cは、第1ダイクロイックミラー201aや第2ダイクロイックミラー201bと同様に、図5(a)に実線で示した光学特性を有する。すなわち、第3ダイクロイックミラー201cは、青色光(B光)は反射し、緑色光(G光)や赤色光(R光)、あるいはこれらの光を含む黄色光(Y光)の光については透過する光学特性を有している。係る特性の第3ダイクロイックミラー201cは、例えば、透明なガラス基板等に誘電体多層膜を蒸着することにより形成することが可能である
【0044】
反射素子211により反射された青色(B色)の光は、第3ダイクロイックミラー201cにより反射されてZプラス方向に進むが、その進路上には第2集光レンズ系109(第2集光光学系)が設けられている。第2集光レンズ系109は、その光軸OX3が、青色(B色)の光束の中心軸および蛍光の光束の中心軸と一致するように配置されている。第2集光レンズ系109は、後述する表示装置の投射レンズ180(図19)のFナンバーに適合させるべく所定のNAに設定されており、青色(B色)および蛍光をライトトンネル140の入射口に向けて集光する。第2集光レンズ系109は、図では模式的に単一の凸レンズとして表されているが、実際には単レンズに限られるわけではなく、複数のレンズを組合わせて構成してもよい。
【0045】
第2集光レンズ系109とのライトトンネル140の間には、色選択ホイール130aが配置されている。色選択ホイール130aはモータに連結されており、モータが回転軸C2を中心に回転することにより回転する。色選択ホイール130aと蛍光ホイール120aとが同期して回転するように、各々のモータは制御される。
図3(b)に、色選択ホイール130aの正面図を示す。色選択ホイール130aには、フィルター部と拡散部が設けられている。
【0046】
フィルター部には、蛍光から不要なスペクトル成分を除外するための光学フィルターが設けられており、例えばR用フィルター部には、蛍光ホイール120aのR用蛍光体領域が発する蛍光から不要なスペクトル成分を除去して、赤色の色純度を高める光学フィルターが設けられている。同様に、G用フィルター部には、蛍光ホイール120aのG用蛍光体領域が発する蛍光から不要なスペクトル成分を除去して、緑色の色純度を高めるための光学フィルターが、Y用フィルター部には、蛍光ホイール120aのY用蛍光体領域が発する蛍光から不要なスペクトル成分を除去して、黄色の色純度を高めるための光学フィルターが設けられている。尚、フィルター部は、透過する蛍光を拡散させる作用を有するものではない。
また、B用拡散部には、青色光の光束を適宜に拡散させるための拡散面が設けられている。拡散部の作用効果については、後に詳述する。
【0047】
(光源装置の動作)
上述した構成を有する光源装置100の動作について説明する。
(青色光の出力動作)
まず、レーザ光源101Bから青色光(B色光)が出力され、青色光(B色光)が蛍光ホイール120aの反射領域RLを照射するタイミングにおける装置動作について説明する。
【0048】
図2(a)は、レーザ光源101Bから出力される青色光(B色光)の進行経路を説明するための図である。図2(a)は、レーザ光源101Bから蛍光ホイール120aの反射領域RLを照射するタイミングで出力された青色光(B色光)が、映像表示に用いる青色光(B色光)成分としてライトトンネル140に入力される状態を示している。尚、後に図2(b)を参照して説明するように、レーザ光源101Bから蛍光ホイール120aの蛍光領域PHを照射するタイミングで出力された青色光(B色光)は、蛍光体を励起する励起光として機能する。
【0049】
まず、レーザ光源101Bにおいては、各々の青色半導体レーザ102から出力された青色のレーザビームが、コリメートレンズ103により略平行にコリメートされる。レーザビーム同士は互いに間隔を空けて平行に進行するので、厳密には空間的に離散したレーザビーム群ともいえるが、各々の青色半導体レーザ102は極めて近接して配置されているので、レーザビーム群をまとめて1つの光束と見なして取り扱っても差し支えない。すなわち、レーザ光源101Bは、1つの青色光束を発する光源と見なすことができる。
【0050】
この青色光束は、コリメートレンズ系504により光束径がD1に調整され、光軸OX1に沿って進む。コリメートレンズ系504を通過した青色光束は、第1ダイクロイックミラー201aに入射するが、第1ダイクロイックミラー201aは、前述したように図5(a)に示した特性を有するため、青色光束は反射されて第1集光レンズ系105に向けて光路が90度曲げられる。
【0051】
第1ダイクロイックミラー201aにて反射された青色光束(B色光)をBinとすると、青色光束Binは、第1集光レンズ系105(凸レンズ105a、凸レンズ105b)による集光作用を受けて、蛍光ホイール120a上の反射領域RLに集光される。
【0052】
本実施形態では、第1集光レンズ系105の光軸OX2と、青色光束Binの光軸を非共軸、すなわち光軸どうしがオフセットした構成としている。蛍光ホイール120aの反射領域RLにて反射される青色光を、映像表示に用いる青色光(B色光)としてロスなく取り出せるようにするためである。尚、反射領域RLは、反射面に対する法線が集光レンズ系105の光軸OX2と平行になるように形成されている
【0053】
図6(a)に、第1集光レンズ系105内を光線が通過する範囲を示す。図2(a)および図6(a)に示されるように、蛍光ホイール120aに向かって進行する青色光束Binは、第1集光レンズ系105の左半分の領域、つまり集光レンズ系105の光軸OX2よりZマイナス方向側の領域(集光レンズの一部分)を通過して行く。
【0054】
一方、蛍光ホイール120aの反射領域RLにて反射された青色光束(B色光)をBoutとすると、青色光束Boutは青色光束Binと同じ経路上を逆行して第1集光レンズ系105の左半分の領域を通過するわけではない。青色光束Boutは、図2(a)および図6(a)に示すように、第1集光レンズ系105の右半分の領域、つまり第1集光レンズ系105の光軸OX2よりZプラス方向側の領域(青色光束Binが通過する一部分とは異なる部分)を通過して行く。
【0055】
青色光束Boutは、第1集光レンズ系105により青色光束Binと同様の光束径D1に復元された後、Xプラス方向に進み第2ダイクロイックミラー201bに入射する。第2ダイクロイックミラー201bは、前述したように図5(a)に示した光学特性を有するため、青色光束Boutは反射されて、反射素子211に向かう。
【0056】
青色光束Boutは、反射素子211に到達する前に、拡散板115を通過するが、拡散板115を通過した青色光束Boutは、平行光束ではなく、先に進むにしたがって径が拡大する光束となる。すなわち、その先で反射素子212および第3ダイクロイックミラー201cにて反射されて第2集光レンズ系109に向かって進む際に、青色光の光束径が拡大してゆくように構成されている。
【0057】
前述したように、反射素子212は青色の光を反射する光学特性を備えたミラーであり、第4ダイクロイックミラー202aと平行になるように配置され、かつ反射した青色光束の中心(光軸)が、第4ダイクロイックミラー202aにより反射された蛍光の光束の中心(光軸)と、第3ダイクロイックミラー201c上で重なるような位置に設けられている。
【0058】
反射素子212により反射された青色光束は、第3ダイクロイックミラー201cにて反射されてZプラス方向に進むが、その進路上には第2集光レンズ系109(第2集光光学系)が設けられている。第2集光レンズ系109は、その光軸OX3が、青色光束の中心と一致するように配置されている。
【0059】
図6(b)は、第2集光レンズ系109に光束が入射する部分を示す模式図である。青色光束Boutの光束径はD2であり、光束の中心軸は第2集光レンズ系109の光軸OX3と一致している。青色光束Boutは、拡散板115により径が拡大されているので、D2>D1が成立する。すなわち、第2集光レンズ系109内を通過する際には、第1集光レンズ系105を透過した時点よりも、青色光束の径と蛍光光束の径の差異が小さくなっている。
【0060】
第2集光レンズ系109は、後述する表示装置の投射レンズ180(図17)のFナンバーに適合させるべく所定のNAに設定されている。光束径がD2であった青色光束Boutは、第2集光レンズ系109により、ライトトンネル140の入射口に向けて集光される。
【0061】
蛍光ホイール120aの蛍光領域PHが発する蛍光の光路については後述するが、図6(b)に示すように、第2集光レンズ系109に入射する青色光束Boutは、点線で示す蛍光の光束と同軸ではあるが、光束径を比較すると、青色光束Boutは蛍光よりも径が小さい。蛍光ホイール120aの蛍光領域PHが発する蛍光はランバート発光であり、蛍光領域PHからは、反射領域RLで反射された青色光よりも大きな角度範囲で蛍光が出射するためである。
【0062】
このままでは、第2集光レンズ系109に入射する際の光束径の違いにより、青色光束Boutがライトトンネル140の入射口に入射する際の入射角度分布(集束角)と、第2集光レンズ系109により集光された蛍光がライトトンネル140の入射口に入射する際の入射角度分布(集束角)には、差異が生じ得る。入射角度分布(集束角)に差異が生じると、ライトトンネル140の出口から出射する際に、青色光と蛍光の出射角度分布(広がり)に差異が生じ、投射型表示装置の照明光として利用する際に、表示画面内で色むらを発生させる原因となり得る。
【0063】
そこで、本発明では、蛍光ホイール120aとライトトンネル140の入射口の間に、青色光束Boutを拡散させるが蛍光は拡散させない光学手段を設け、ライトトンネル140の入射口に入射する際の入射角度分布(集束角度)の違いを低減し、色むらの発生を抑制している。実施形態1では、その機能を、第2集光レンズ系109とライトトンネル140の入射口の間に配置された色選択ホイール130aに付与している。
【0064】
図7(a)は、青色光束が色選択ホイール130aを経由してライトトンネル140に入射して伝播する状態を示し、図7(b)は、蛍光が色選択ホイール130aを経由してライトトンネル140に入射して伝播する状態を示している。これらの図から明らかなように、第2集光レンズ系109により集光された青色光が色選択ホイール130aに向かう際の集束角αin(青)は、第2集光レンズ系109により集光された蛍光が色選択ホイール130aに向かう際の集束角αin(蛍光)よりも小さい。しかし、図3(b)を参照して説明したように、本実施形態の色選択ホイール130aには、青色光が透過する部分には光束を適宜に拡散させる拡散部が設けられ、蛍光が透過する部分には不要なスペクトル成分を除外するようにフィルタリングするが拡散作用は有さないカラーフィルター部が設けられている。このため、青色光束は、図7(a)に示すように拡散部により拡散されてライトトンネル140に入射する一方で、蛍光は、図7(b)に示すように拡散作用を受けずにライトトンネル140に入射する。その結果、集束角αin(青)と集束角αin(蛍光)の差異に比べて、ライトトンネル140から青色光が出射する際の広がり角αout(青)と蛍光が出射する際の広がり角αout(蛍光)の差異を、小さくすることができる。
【0065】
図8(a)に、拡散部に付与する拡散機能と光利用率の関係を示す。拡散部により拡散された青色光の強度分布は、図8(b)に示すようにガウシアン分布になるが、拡散機能を大きく設定し過ぎると、制御設定角1/e2の外側の光がライトトンネル140に有効に入射されずに光損失が大きくなるため、図8(a)に示したように光利用率は低下する。そこで、拡散部の拡散機能は、表示画面内の色むらの抑制効果と、青色光の光利用率確保のバランスを考慮して適宜に設定される。
【0066】
(螢光の出力動作)
次に、光源装置100が蛍光を出力する際の動作について説明する。すなわち、レーザ光源101Bから青色光(B色光)が出力され、青色光(B色光)が蛍光ホイール120aの蛍光領域PHを照射するタイミングにおける装置動作について説明する。
【0067】
図2(b)は、蛍光ホイール120aから出力される蛍光の進行経路を説明するための図であり、蛍光領域PHにて発光した蛍光が、映像表示に用いる照明光としてライトトンネル140に入力される状態を示している。蛍光領域PHのうち、G用蛍光体領域、Y用蛍光体領域、R用蛍光体領域のいずれが発光するタイミングであるかにより蛍光のスペクトルは異なるが、図2(b)に点線で示された光路は各色共通である。尚、励起光としての青色光がレーザ光源101Bから蛍光ホイール120aに到達するまでのふるまいは、青色光の出力動作の説明中で図2(a)を参照して述べた内容と同様であるので、ここでは説明を省略する。図2(b)では、青色光の経路は図示を省略している。
【0068】
図2(b)では、蛍光領域PHから発せられた蛍光の光路を模式的に点線で示しているが、蛍光はランバート発光であるため、蛍光領域PHから大きな角度範囲で第1集光レンズ系105の全体に向けて出射する。すなわち、図6(a)に点線で示すように、蛍光は第1集光レンズ系105のほぼ全域を通過する。第1集光レンズ系105により集光された蛍光はXプラス方向に進む平行な光束となるが、第1集光レンズ系105の光軸OX2よりも左側(Zマイナス方向側)部分を通過した光束は、第1ダイクロイックミラー201aに入射する。第1ダイクロイックミラー201aは、図5(a)に示すように、緑(G)、赤(R)、黄色(Y)のいずれの色の光も透過させる光学特性を備えているため、蛍光はこれを透過して第4ダイクロイックミラー202aに入射する。
【0069】
一方、蛍光の中で、第1集光レンズ系105の光軸OX2よりも右側(Zマプラス方向側)部分を通過した光束は、第2ダイクロイックミラー201bに入射する。第2ダイクロイックミラー201bは、図5(a)に示すように、緑(G)、赤(R)、黄色(Y)のいずれの色の光も透過させる光学特性を備えているため、蛍光はこれを透過して第4ダイクロイックミラー202aに入射する。
【0070】
第4ダイクロイックミラー202aは、図5(b)に示すように、緑(G)、赤(R)、黄色(Y)のいずれの色の螢光も反射させる光学特性を備えているため、蛍光は進行方向を90度曲げられて第3ダイクロイックミラー201cに向けてZプラス方向に進む。第3ダイクロイックミラー201cは、図5(a)に示すように、緑(G)、赤(R)、黄色(Y)のいずれの色の螢光も透過させる光学特性を備えているため、蛍光はこれを透過して第2集光レンズ系109に入射する。
【0071】
図6(b)に示すように、第2集光レンズ系109に入射する蛍光は、青色光束Boutと同軸(同心)だが、青色光束Boutよりも光束径が大きい。第2集光レンズ系109は、前述したように表示装置の投射レンズ180のFナンバーに適合させるべく所定のNAに設定されており、蛍光はライトトンネル140の入射口に向けて集光される。
【0072】
図7(b)は、蛍光が色選択ホイール130aを経由してライトトンネル140に入射して伝播する状態を示している。本実施形態の色選択ホイール130aには、蛍光が透過する部分には不要なスペクトル成分を除外するが拡散作用は有さないフィルター部が設けられている。このため、蛍光は拡散作用を受けずにライトトンネル140に入射する。すでに説明したように、本実施形態では、ライトトンネル140から青色光が出射する際の広がり角αout(青)と蛍光が出射する際の広がり角αout(蛍光)の差異が低減されているため、投射型表示装置の照明光として用いる際の面内色むらを抑制することができる。
【0073】
ここで、補足説明として、光軸OX2を挟んで対称に配置した第1ダイクロイックミラー201aと第2ダイクロイックミラー201bについて述べる。図9(a)は端部形状の一例を示す模式図で、図9(b)は、より好ましい端部形状の一例を示す模式図である。
【0074】
図9(a)に示す例では、第1ダイクロイックミラー201aと第2ダイクロイックミラー201bは、側面SAが主面(光学面)に対してほぼ垂直に形成された板状の部材である。一般に、こうした板材の側面に主面と同様の均質な光学面を形成するのは困難であるため、側面SAには光学処理が施されていない。図9(a)に示すように、第1集光レンズ系105側の主面(光学面)から第1ダイクロイックミラー201a内に入射した蛍光のうち大部分は、第4ダイクロイックミラー202a側の主面(光学面)を抜けてXプラス方向に進むことができる。しかし、第1集光レンズ系105の光軸OX2の近傍にて第1ダイクロイックミラー201aに入射した蛍光は、光学処理が施されていない側面SAに到達する。蛍光は、光学処理が施されていない側面SAを通り抜けてXプラス方向に進むことができず、照明光としては利用できない損失が発生する。第2ダイクロイックミラー201bについても同様の事が言える。
【0075】
そこで、図9(b)に示す例では、第1ダイクロイックミラー201bと第2ダイクロイックミラー201bの側面SBの形状(向き)を工夫して側面SBに到達する蛍光を少なくし、蛍光の損失を抑制するようにしている。すなわち、第1ダイクロイックミラー201bの側面SBと第2ダイクロイックミラー201bの側面SBが、第1集光レンズ系105の光軸OX2と平行になるような構成とし、光軸OX2に沿って互いに当接するようにした。具体的には、第1集光レンズ系105側の主面(光学面)と側面SBの成す角を鋭角(例えば45度)とし、第4ダイクロイックミラー202a側の主面(光学面)と側面SBの成す角を鈍角(例えば135度)とした。図9(b)に示す例によれば、第1ダイクロイックミラーおよび第2ダイクロイックミラーの側面における損失が抑制されるため、蛍光の利用効率と色バランスの面内均一性を、さらに高めることができる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、半導体レーザが発する青色光を励起光として蛍光体に照射して得られる蛍光と、半導体レーザが発する青色光のうち励起光として用いない一部と、を照明光として出力する光源装置において、第1ダイクロイックミラー201aと第2ダイクロイックミラー201bを第1集光レンズ系105の光軸OX2を挟んで対称に配置した。そして、励起光として用いない青色光と蛍光を、別の光路で第2集光レンズ系109に導く構成とすることで、装置が過度に大型化するのを防止することが出来た。本実施形態は、1/4波長板等を用いた偏光制御を行わないため、石英ガラス製等の高価な集光レンズを用いなくとも、色バランスの面内均一性が優れ、光利用効率が高い光源装置を実現することができる。
【0077】
[実施形態2]
図10は、実施形態2に係る光源装置の光学系の概略構成を示す図である。説明の便宜のため、同図では、光学要素を設置するための機械的機構や、筐体、電気的配線などは省略されている。
実施形態2の光源装置200は、実施形態1の光源装置100の一部を変形したものであるが、実施形態1と説明が共通する事項については、記載を簡略化ないし省略する。
【0078】
(光源装置の構成)
本実施形態の光源装置200は、実施形態1と同様に、レーザ光源101Bと、コリメートレンズ系504と、第1ダイクロイックミラー201aと、第4ダイクロイックミラー202aと、凸レンズ105Aと凸レンズ105Bとで構成される第1集光レンズ系105(第1集光光学系)と、第2集光レンズ系109(第2集光光学系)と、拡散板115と、反射素子212と、回転可能な蛍光ホイール120aと、回転可能な色選択ホイール130aと、ライトトンネル140と、を備える。
【0079】
実施形態1では、上記の構成要素の他に、同一の光学特性を有する第2ダイクロイックミラー201bと第3ダイクロイックミラー201cが別体で設置されていたが、本実施形態ではダイクロイックミラー201dとしてこれらが一体化されている。すなわち、本実施形態のダイクロイックミラー201dは、図5(a)に示した光学特性を有する。
光源装置200の動作については、実施形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0080】
本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果を奏するとともに、部品点数を削減することが出来る。第2ダイクロイックミラー201bと第3ダイクロイックミラー201cを別体にすると、両者の製造上の特性ばらつきや、両者の相対位置決め誤差の影響を受ける可能性があるが、本実施形態では一体化されているため、そうした懸念はない。
【0081】
[実施形態3]
図11(a)は、実施形態3に係る光源装置の光学系の概略構成を示す図である。説明の便宜のため、同図では、光学要素を設置するための機械的機構や、筐体、電気的配線などは省略されている。
実施形態3の光源装置300は、実施形態2の光源装置200と共通する部分が存在しているが、共通する部分については説明を簡略化ないし省略する。
【0082】
(光源装置の構成)
実施形態2では、レーザ光源101Bとして、青色半導体レーザ102を例えば4×4のアレイ状に配列したものを用い、レーザ光源101Bから径が大きな青色光束を出力した。そして、コリメートレンズ系504(コリメート光学系)を用いて、光束径がD1の平行光束になるように調整した。
【0083】
これに対して、本実施形態では、光束径がD1の平行光束を出力するようにレーザ光源101Bのサイズを構成した。図11(b)に、本実施形態のレーザ光源101Bの構成を示す。尚、光束径がD1の平行光束を出力できれば、青色半導体レーザ102は必ずしも図示のような2×2のアレイ配置でなくてもよい。
【0084】
このようなレーザ光源101Bを用いることにより、コリメートレンズ系504(コリメート光学系)を不要とし、レーザ光源101Bの位置を第1ダイクロイックミラー側(Zプラス方向側)に近接させた。
本実施形態によれば、実施形態2と同様の効果を奏するとともに、部品点数を削減することが出来る。さらに、光源装置をZ方向に見てコンパクトにすることが可能となる。
【0085】
[実施形態4]
図12は、実施形態4に係る光源装置の光学系の概略構成を示す図である。説明の便宜のため、同図では、光学要素を設置するための機械的機構や、筐体、電気的配線などは省略されている。
実施形態4の光源装置400は、実施形態2の光源装置200と共通する部分が存在しているが、共通する部分については説明を簡略化ないし省略する。
【0086】
(光源装置の構成)
実施形態2の光源装置200は、拡散板115を備え、拡散板115を通過した青色光束Boutが、平行光束ではなく、先に進むにしたがって径が拡大するようにした。すなわち、その先で反射素子212および第3ダイクロイックミラー201cにて反射されて第2集光レンズ系109に向かう青色光束の径が、拡大してゆくように構成した。
【0087】
これに対して、本実施形態では拡散板115は用いずに、反射素子212を挟んでその前後に凹レンズ110と凸レンズ111を設けた。凹レンズ110と凸レンズ111により、径がD1であった平行な青色光束Boutは、第2集光レンズ系109に入射する際に径がD2になるように光学的に補正される。(ただし、D2>D1)。青色光束Boutが、凸レンズ111を出射した時点で径がD2の平行光束になるように、凹レンズ110と凸レンズ111を構成してもよい。また、凹レンズ110と凸レンズ111は、それぞれ1枚で構成することができるが、場合によっては一方若しくは両方を複数枚のレンズで構成してもよい。
【0088】
本実施形態によれば、実施形態2と同様の効果を奏するとともに、拡散板115の代わりに凹レンズ110と凸レンズ111を用いるため、第2集光レンズ系109に入射する青色光束Boutを、より大きく拡大したり、高精度に径を補正することが出来る。
【0089】
[実施形態5]
図13(a)は、実施形態5に係る光源装置の光学系の概略構成を示す図である。説明の便宜のため、同図では、光学要素を設置するための機械的機構や、筐体、電気的配線などは省略されている。
実施形態5の光源装置500は、実施形態2の光源装置200と共通する部分が存在しているが、共通する部分については説明を簡略化ないし省略する。
【0090】
(光源装置の構成)
実施形態2の光源装置200は、拡散板115を備え、拡散板115を通過した青色光束Boutが、平行光束ではなく、先に進むにしたがって径が拡大するようにした。すなわち、その先で反射素子212および第3ダイクロイックミラー201cにて反射されて第2集光レンズ系109に向かう青色光束の径が、拡大してゆくように構成した。
【0091】
これに対して、本実施形態では拡散板115は用いずに、反射素子212を挟んでその前後にトップハット素子116と凸レンズ111を設けた。トップハット素子116と凸レンズ111により、径がD1であった平行な青色光束Boutは、第2集光レンズ系109に入射する際に径がD2になるように光学的に補正される。(ただし、D2>D1)。
【0092】
さらに、トップハット素子116は、青色光束Boutがライトトンネル140に入射する際の入射口におけるビームプロファイルを補正する機能を有する。実施形態2のように拡散板115を用いた場合には、ライトトンネル140の入射口において青色光束Boutのビームプロファイルは、図13(b)に示すように、裾野が長いガウシアン分布であった。そのため、裾野の一部は、ライトトンネル140の入射口の外縁よりもはみ出してライトトンネル140に入射できず、青色光の損失が生じていた。ガウシアン分布のままスポット径を縮小し、裾野全域までライトトンネル140に入射させようとすると、表示画面の周辺部での強度が小さくなり、画面内で輝度むらや色むらが顕在化する可能性があった。
【0093】
本実施形態ではトップハット素子116を用いるため、ライトトンネル140の入射口における青色光束Boutのビームプロファイルを、図13(c)に示すように、トップが平坦な形に補正することが可能となる。トップハット素子116は、例えばXY平面内にマイクロレンズを2次元アレイ状に配置した素子構成により実現できるが、前記のようにビームプロファイルを補正できるものであれば、それ以外の構成の素子であってもよい。
【0094】
本実施形態によれば、実施形態2と同様の効果を奏するとともに、拡散板115の代わりにトップハット素子116と凸レンズ111を用いるため、第2集光レンズ系109に入射する青色光束Boutを、より大きく拡大したり、高精度に径を補正することが出来る。さらに、青色光の利用効率を高め、表示画面内の輝度むらや色むらを抑制する効果がある。
【0095】
[実施形態6]
図14は、実施形態6に係る光源装置の光学系の概略構成を示す図である。説明の便宜のため、同図では、光学要素を設置するための機械的機構や、筐体、電気的配線などは省略されている。
実施形態6の光源装置600は、実施形態4の光源装置400と共通する部分が存在しているが、共通する部分については説明を簡略化ないし省略する。
【0096】
(光源装置の構成)
本実施形態の光源装置600は、第4ダイクロイックミラー202aとダイクロイックミラー201dの間に集光レンズ108を備えている。この点が、実施形態4の光源装置400と異なる。
【0097】
集光レンズ108は、第1ダイクロイックミラー201aまたは第2ダイクロイックミラー201bを透過して第4ダイクロイックミラー202aに向かう蛍光には作用(干渉)しないが、第4ダイクロイックミラー202aで反射されてダイクロイックミラー201dに向かう蛍光に対しては集光作用を及ぼすように設置されている。
【0098】
集光レンズ108で蛍光を集光させることにより、第2集光レンズ系109に入射する際の蛍光の光束径(図6(b)の点線)を小さくすることが可能となる。このため、図6(b)に示した第2集光レンズ系109により集光された蛍光が色選択ホイール130aに向かう際の集束角αin(蛍光)、およびライトトンネル140から蛍光が出射する際の広がり角αout(蛍光)を小さくすることが出来る。すなわち、ライトトンネル140から青色光が出射する際の広がり角αout(青)と蛍光が出射する際の広がり角αout(蛍光)の差異を小さくすることができ、表示画面内の輝度むらや色むらをさらに低減し得る。
【0099】
また、集光レンズ108で集光された蛍光の光束径は小さくなるため、実施形態4の光源装置400に比べて、ダイクロイックミラー201dと第2集光レンズ系109を小型化することが可能となる。
【0100】
[実施形態7]
図15(a)は、実施形態7に係る光源装置の光学系の概略構成を示す図である。説明の便宜のため、同図では、光学要素を設置するための機械的機構や、筐体、電気的配線などは省略されている。
実施形態7の光源装置700は、実施形態5の光源装置500と共通する部分が存在しているが、共通する部分については説明を簡略化ないし省略する。
【0101】
(光源装置の構成)
本実施形態の光源装置700は、実施形態5と同様に、青色光を発するレーザ光源101Bと、凸レンズ502と凹レンズ503とで構成されるコリメートレンズ系504と、第1ダイクロイックミラー201aと、ダイクロイックミラー201dと、凸レンズ105Aと凸レンズ105Bとで構成される第1集光レンズ系105(第1集光光学系)と、第2集光レンズ系109(第2集光光学系)と、トップハット素子116と、反射素子212と、凸レンズ111と、ライトトンネル140と、を備える。
【0102】
本実施形態の光源装置700は、青色光を発するレーザ光源101B(第1波長域の光を出力する第1レーザ光源)については、図15(b)に示すように実施形態5と同様の構成のものを用いている。レーザ光源101Bが発する青色光を、蛍光体を励起するための励起光および表示用の青色照明光として用いる点では、本実施形態は実施形態5と共通している
【0103】
一方、本実施形態は赤色光を発するレーザ光源101R(第2波長域の光を出力する第2レーザ光源)を備え、蛍光体が発する赤色の蛍光ではなく、レーザ光源101Rが発する赤色レーザ光(R)を表示用の赤色照明光として用いる点で、実施形態5の光源装置500と異なっている。レーザ光源101Rが出力する色純度の高い赤色光は、蛍光体を励起するのには用いられずに、専ら表示用として用いられる。このため、光源装置700の光学系は、レーザ光源101Bが発する青色光と、蛍光体が発する蛍光と、レーザ光源101Rが発する赤色光を、同軸で取り出すことができるように構成されている。
【0104】
レーザ光源101Rは、中心波長が例えば635nm付近で発振する赤色半導体レーザ102Rを備えている。個々の赤色半導体レーザ102Rには、コリメートレンズ103が設けられている。一般に、半導体レーザが発する光ビームには、所定の角度の拡がりがあるが、コリメートレンズ103を設けることで、光ビームの拡がりを抑制し、レーザ光源101Rから略平行の光ビームを取出すことが可能になる。なお、コリメートレンズ103は、赤色半導体レーザ102Rを実装するパッケージと一体型でも良く、また、別体としても良い。別体とする場合には、複数の赤色半導体レーザ102Rの直後にレンズアレイなどを独立に配置して光源モジュールを構成すればよい。
【0105】
図15(c)に示されるように、レーザ光源101Rでは、赤色半導体レーザ102Rとコリメートレンズ103の対が、YZ面内でアレイ状に配置されており、赤色の光束をZプラス方向に出射する。出力する光束の径をD2とするため(図6(b)参照)に、図15(c)に示すように、赤色半導体レーザ102Rとコリメートレンズ103の対を2×2のアレイに配置しているが、対の配置方法はこの例に限られるわけではなく、適宜変更することが出来る。
【0106】
図15(a)に戻り、本実施形態では、実施形態5で回転可能な蛍光ホイール120aが設置されていたのと同じ位置に、回転可能な蛍光ホイール120bが設けられている。また、実施形態5で回転可能な色選択ホイール130aが設置されていたのと同じ位置に、回転可能な色選択ホイール130bが設けられている。
【0107】
図16(a)に、本実施形態で用いる蛍光ホイール120bの正面図を示す。図示のように、蛍光ホイール120bは、図3(a)に示した実施形態5の蛍光ホイール120aとは構成が異なっている。本実施形態の蛍光ホイール120bでは、周方向に沿って見て概ね9時から4時までの範囲にはG用蛍光体が被覆された蛍光領域PHが、4時から6時までの範囲にはレーザ光源101Bの出力光を反射するための反射領域RLが、6時から概ね9時に範囲には光学的に機能を持たない無機能領域NFが、円周に沿って設けられている。蛍光ホイール120bを回転軸C1を中心に回転することで、蛍光ホイール120b上に集光された青色光は、順次に反射領域RLと蛍光領域PHとを照射することになる。
【0108】
ここで、説明の便宜のため、第1集光レンズ系105の集光位置に、図16(a)に示された蛍光ホイール120bの1時から4時の領域が位置するタイミングをG出力タイミング、4時から6時の領域が位置するタイミングをB出力タイミング、6時から概ね9時の領域が位置するタイミングをR出力タイミング、概ね9時から1時の領域が位置するタイミングをY出力タイミングと呼ぶこととする。G出力タイミングは光源装置700が緑色光を出力するタイミング、B出力タイミングは光源装置700が青色光を出力するタイミング、R出力タイミングは光源装置700が赤色光を出力するタイミング、Y出力タイミングは光源装置700が黄色光を出力するタイミング、に相当する。
【0109】
本実施形態では、レーザ光源101Bは、G出力タイミング、B出力タイミング、Y出力タイミングでは点灯して青色光を出力するが、R出力タイミングでは消灯するように制御される。G出力タイミングおよびY出力タイミングでレーザ光源101Bから出力された青色光はG用蛍光体を励起するための励起光として機能し、B出力タイミングで出力された青色光は映像表示に用いる青色光(B色光)として機能する。
【0110】
また、レーザ光源101Rは、R出力タイミング、Y出力タイミングでは点灯して赤色光を出力するが、B出力タイミングとG出力タイミングでは消灯するように制御される。R出力タイミングで出力された赤色光は映像表示に用いる赤色光(R色光)として機能し、Y出力タイミングで出力された赤色光は緑色の蛍光と重畳されて映像表示に用いる黄色光(Y色光)として機能する。
【0111】
図16(b)に、色選択ホイール130bの正面図を示す。本実施形態の色選択ホイール130bは、実施形態5で用いた色選択ホイール130aとは構成が異なっている。本実施形態の色選択ホイール130bには、G出力タイミングに対応する領域にはG用フィルターが、B出力タイミングに対応する領域にはB用拡散部が、R出力タイミングに対応する領域にはR用拡散部が、Y出力タイミングに対応する領域にはY用フィルターが、それぞれ設けられている。色選択ホイール130bは、モータに連結されており、モータが回転軸C2を中心に回転するが、色選択ホイール130bは蛍光ホイール120bと同期して回転するように制御される。
【0112】
図15(a)に戻り、本実施形態では、実施形態5で第4ダイクロイックミラー202aが設けられていたのと同じ位置に、ダイクロイックミラー202bが設けられている。図17に、ダイクロイックミラー202bの光学特性を実線で示す。同図には参考のために、レーザ光源101Bの青色光(波長が445nm近傍)と、レーザ光源101Rの赤色光(波長が635nm近傍)が点線で示されている。ダイクロイックミラー202bは、赤色光(R光)は透過し、緑色光(G光)は反射する光学特性を有している。係る特性のダイクロイックミラー202bは、例えば、透明なガラス基板等に誘電体多層膜を蒸着することにより形成することが可能である。
【0113】
本実施形態では、B出力タイミングでレーザ光源101Bから出力された青色光がのふるまいは、実施形態5と同様である。また、G出力タイミングおよびY出力タイミングでレーザ光源101Bから出力された青色光が、励起光として蛍光体を照射するふるまいは、実施形態5と同様である。また、ダイクロイックミラー202bが蛍光体が発する緑色光(G光)を反射する光学特性を有しているので、G出力タイミングおよびY出力タイミングでG用蛍光体から出力される緑色光のふるまいは、実施形態5と同様である。
【0114】
次に、レーザ光源101Rから出力される赤光レーザ光のふるまいについて説明する。レーザ光源101Rは、R出力タイミングおよびY出力タイミングにおいて赤色レーザ光を出力するように制御される。
【0115】
レーザ光源101Rから出力された赤色レーザ光は、Zプラス方向に進み、ダイクロイックミラー202bに入射するが、ダイクロイックミラー202bは図17に示す光学特性を備えているため、赤色光は透過してZプラス方向に進み、ダイクロイックミラー201dに入射する。ダイクロイックミラー201dは図5(a)に示す光学特性を備えているため、赤色光は透過して第2集光レンズ系109に入射する。第2集光レンズ系109に入射する赤色光の光束が、第2集光レンズ系109に入射する青色光の光束および緑色蛍光の光束と同軸になるように、各光学要素は配置されている。
【0116】
R出力タイミングにて第2集光レンズ系109に入射した赤色光は、色選択ホイール130bのR用拡散部を経由してライトトンネル140の入射口に向けて集光される。また、Y出力タイミングにて第2集光レンズ系109に入射した赤色光は、同じくY出力タイミングにて第2集光レンズ系109に入射した緑色光と重畳されて黄色光となり、色選択ホイール130bのY用フィルターを経由してライトトンネル140の入射口に向けて集光される。
【0117】
本実施形態では、赤色のレーザ光源の出力光を表示用の照明光として用いるため、実施形態5と同様の効果を得られることに加え、赤色光の色純度の向上と色バランスの画面内均一性を、さらに高めることができる。
【0118】
[実施形態8]
図18は、実施形態8に係る投射型表示装置の光学系の概略構成を示す図である。説明の便宜のため、同図では、光学要素を設置するための機械的機構や、筐体、電気的配線などは省略されている。投射型表示装置1000は、光源装置200、照明レンズ150、プリズム171、プリズム172、光変調デバイス160(光変調素子)、投射レンズ180、および投映スクリーン190を備えている。
【0119】
光源装置200は、前述した実施形態2に係る光源装置であり、青色光(B色光)、緑色光(G色光)、赤色光(R色光)、黄色光(Y色光)を、画像の表示レートに合わせて時分割して出射する。
【0120】
照明レンズ150は、光源装置200のライトトンネル140から出力された光を、光変調デバイス160を照明するのに適した光束に整形するレンズである。単数もしくは複数のレンズで構成される。
【0121】
プリズム171とプリズム172は、合わせてTIRプリズム(内部全反射プリズム)を構成している。TIRプリズムは、照明光を内部全反射させて、光変調デバイス160に所定の角度で入射させ、光変調デバイス160で変調された反射光を投射レンズ180に向けて透過させる。
【0122】
光変調デバイス160は、例えばマイクロミラーデバイスをアレイ状に設けたDMDが用いられる。各表示画素に対応するマイクロミラーは、映像信号の輝度レベルに応じて、パルス幅変調により反射方向が変更されるように駆動される。ただし、反射型液晶デバイスのような、別種の反射型光変調デバイスを用いることも可能である。
【0123】
光変調デバイス160は、光源装置200からの照明光の色の切り替えに同期させて、マイクロミラーデバイスを映像信号の各色成分の輝度レベルに応じて駆動して、映像光をプリズム171に向けて所定角度で反射する。映像光は、プリズム171およびプリズム172を透過して、投射レンズ180に導かれ、カラー映像として投射される。投射レンズ180は、単数もしくは複数のレンズで構成され、自動焦点調節機能やズーム機能を備えることもできる。
【0124】
投映スクリーン190は、リヤプロジェクション型の表示装置を構成する場合に用いられる。また、フロントプロジェクション型の場合にも設置されることが多いが、ユーザが任意の壁面などに投射する場合には、必ずしも設置する必要はない。
【0125】
本実施形態によれば、高効率で色バランスの画面内均一性が優れた小型な光源装置を用いてプロジェクタを構成することにより、小型で、光利用率が高く、色バランスに優れた投射型表示装置を提供することができる。
【0126】
[その他の実施形態]
本発明の実施は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形や組み合わせが可能である。
例えば、実施形態1で説明したように、ダイクロイックミラーの側面を第1集光レンズ系の光軸OX2と平行にすることにより側面で発生する蛍光の損失を抑制する方法は、任意のダイクロイックミラーに適用することが出来る。
【0127】
また、実施形態2以降では、実施形態1における第2ダイクロイックミラー201bと第3ダイクロイックミラー201cを一体化させてダイクロイックミラー201dとしたが、実施形態1のように別体のダイクロイックミラーを併設してもよい。
また、任意の実施形態で用いられていた拡散板、凸レンズ、凹レンズ、トップハット素子、等の光学素子については、他の実施形態に追加する、組合わせて用いる、削除する、配置位置を変更する、等の適宜の変更をすることが可能である。
【0128】
また、拡散板、凸レンズ、凹レンズ、トップハット素子、等の光学素子を用いずに、色選択ホイールの拡散機能だけでライトトンネル140の入射口に入射するレーザ光の入射角度分布(集束角度)を制御してもよい。
【0129】
また、実施形態8では、実施形態2の光源装置200を用いて投射型表示装置を構成したが、他の実施形態の光源装置を用いて投射型表示装置を構成してもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0130】
100・・・光源装置/101B、101R・・・レーザ光源/102・・・青色半導体レーザ/102R・・・赤色半導体レーザ/103・・・コリメートレンズ/105・・・第1集光レンズ系/105A、105B・・・凸レンズ/108・・・集光レンズ/109・・・第2集光レンズ系/110・・・凹レンズ/111・・・凸レンズ/115・・・拡散板/116・・・トップハット素子/120a、120b・・・蛍光ホイール/130a、130b・・・色選択ホイール/140・・・ライトトンネル/150・・・照明レンズ/160・・・光変調デバイス/171・・・プリズム/172・・・プリズム/180・・・投射レンズ/190・・・投映スクリーン/200・・・光源装置/201a・・・第1ダイクロイックミラー/201b・・・第2ダイクロイックミラー/201c・・・第3ダイクロイックミラー/201d・・・ダイクロイックミラー/202a・・・第4ダイクロイックミラー/202b・・・ダイクロイックミラー/212・・・反射素子/300・・・光源装置/400・・・光源装置/500・・・光源装置/502・・・凸レンズ/503・・・凹レンズ/504・・・コリメート光学系/600・・・光源装置/700・・・光源装置/1000・・・投射型表示装置/PH・・・蛍光領域/RL・・・反射領域
図1
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