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特開2023-42980高炉内装入物の表面プロフィール検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023042980
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】高炉内装入物の表面プロフィール検出装置
(51)【国際特許分類】
   F27B 1/28 20060101AFI20230320BHJP
   C21B 7/24 20060101ALI20230320BHJP
   F27D 21/00 20060101ALI20230320BHJP
   G01B 15/04 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
F27B1/28
C21B7/24 302
F27D21/00 A
G01B15/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150426
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】593207271
【氏名又は名称】株式会社WADECO
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】萱野 早衛
【テーマコード(参考)】
2F067
4K015
4K045
4K056
【Fターム(参考)】
2F067AA51
2F067CC07
2F067EE02
2F067JJ01
2F067JJ02
2F067PP01
4K015KA04
4K045AA02
4K045BA02
4K045DA07
4K045NA03
4K056AA01
4K056BA01
4K056CA02
4K056FA11
(57)【要約】
【課題】検出装置の設置状況によらず、装入物全面にわたる走査領域を確保して、装入物の全面の表面プロフィールを検出することが可能な高炉内装入物の表面プロフィール検出装置を提供する。
【解決手段】装入物が供給される高炉1の開口部2を通じて、炉内に堆積している装入物の表面に向けて検出Mを送信し、装入物の表面で反射された検出波Mを受信して装入物の表面プロフィールを検出する検出装置100は、開口部2と平行に回転する回転板120と、回転板120に取り付けられる角度可変反射板140及び角度固定反射板138と、角度固定反射板138に検出波Mを送信するアンテナ135と、検出装置100を包囲するケーシング170と、を備えることともに、角度可変反射板140の少なくとも一部を、高炉1の開口部2に侵入する位置に設置するとともに、ケーシング170の底面側の一部が高炉1の炉内に突出して設置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鉱石やコークス、石灰等の装入物が供給される高炉において、前記高炉に開口した開口部を通じて、炉内に堆積している前記装入物の表面に向けて検出波を送信し、前記装入物の表面で反射された前記検出波を受信して前記装入物の表面プロフィールを検出する検出装置であって、
前記開口部の上方に設置され、該開口部の開口中心を中心軸として回転する回転板と、
前記回転板を回転させるための回転手段と、
前記回転板の中心部が開口しており、前記開口と同心状に取り付けられ、内部にアンテナを収容した筒状の回転軸と、
前記回転軸の前記開口部とは反対側の端部の上方に設置されるとともに、前記アンテナに接続し、前記検出波を前記回転板の径方向に沿って線状に送信及び受信する送受信手段と、
前記回転板に取り付けられて前記開口部との間の空間に配設され、反射面の角度が可変である角度可変反射板と、
前記回転板に取り付けられて前記開口部との間の空間に配設され、かつ、反射面の角度が固定で、前記アンテナからの前記検出波を前記角度可変反射板の前記反射面に送るための角度固定反射板と、
前記検出装置全体を包囲し、前記高炉の前記開口部と対向する底面が開口しているケーシングと、を備えるとともに、
前記角度可変反射板の少なくとも一部を、前記高炉の前記開口部に侵入する位置に設置するとともに、前記ケーシングの前記底面側の一部が前記高炉の前記開口部から前記炉内に突出して設置されていることを特徴とする高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項2】
鉄鉱石やコークス、石灰等の装入物が供給される高炉において、前記高炉に開口した開口部を通じて、炉内に堆積している前記装入物の表面に向けて検出波を送信し、前記装入物の表面で反射された前記検出波を受信して前記装入物の表面プロフィールを検出する検出装置であって、
前記開口部の上方に設置され、該開口部の開口中心を中心軸として回転する回転板と、
前記回転板を回転させるための回転手段と、
前記回転板に取り付けられて前記開口部との間の空間に配設されるアンテナと、
前記アンテナに接続し、前記検出波を前記回転板の径方向に沿って線状に送信及び受信する送受信手段と、
前記回転板に取り付けられて前記開口部との間の空間に配設され、反射面の角度が可変である角度可変反射板と、
前記回転板に、前記角度可変反射板と対向して取り付けられ、かつ、反射面の角度が固定で、前記アンテナからの前記検出波を前記角度可変反射板の前記反射面に送るための角度固定反射板と、
前記検出装置全体を包囲し、前記高炉の前記開口部と対向する底面が開口しているケーシングと、を備えるとともに、
前記角度可変反射板の少なくとも一部を、前記高炉の前記開口部に侵入する位置に設置するとともに、前記ケーシングの前記底面側の一部が前記高炉の前記開口部から前記炉内に突前記ケーシングの前記底面側の一部が前記高炉の前記開口部から前記炉内に突出して設置されていることを特徴とする高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項3】
前記ケーシングの軸線方向に回動し、前記装入物の表面プロフィールの非測定時に前記底面を覆い、前記装入物の表面プロフィールの測定時に前記装入物側に垂下するスイング式の仕切弁を備えることを特徴とする請求項1または2記載の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項4】
前記仕切弁が、前記底面を分割して覆う分割式であることを特徴とする請求項3記載の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項5】
前記仕切弁の前記ケーシングの前記底面と対面する側の面に、該仕切弁と該ケーシングとの間の隙間を閉塞するパッキンが付設されていることを特徴とする請求項3または4記載の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項6】
前記仕切弁の前記装入物側の面が耐火物で覆われていることを特徴とする請求項3~5の何れか1項に記載の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項7】
前記ケーシングの、前記高炉の前記開口部から前記炉内に突出している部分と、前記仕切弁とを包囲する箱体と、前記箱体に設けられ、前記パッキン及び前記耐火物の少なくとも一方の保守を行うための点検口を備えることを特徴とする請求項5または6記載の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉内の鉄鉱石やコークス、石灰等(以下、まとめて「装入物」ともいう。)の表面プロフィールを検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉では、装入物の堆積状態を適正にして、炉内のガスの流れを安定させることにより、燃料費低減や炉体の長寿命化が可能となる。適正な堆積状態を得るためには、これら装入物の表面プロフィールを短時間で正確に測定して検出し、予め求めておいた理論的な堆積状態、即ち「理論堆積プロフィール」となるように装入物を補給する必要がある。
【0003】
このような高炉の装入物の表面プロフィールを検出するために、本出願人も先に特許文献1に示す検出装置を提案している。特許文献1に記載の検出装置では、検出波の反射面の高炉側への傾斜角度を可変にした角度可変反射板と、角度固定反射板とを用いるとともに、角度可変反射板及び角度固定反射板を、高炉の開口部と水平に回動する回転板に取り付け、回転板を回動させることにより、高炉内に堆積している装入物の表面プロフィールを線状または面状に、迅速に検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6857933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の検出装置は、高炉の開口部を介して炉外に設置されるため、角度可変反射板と高炉の開口部との間に高低差がある。図7は、上記の検出装置の角度可変反射板140と高炉1の開口部2を抽出して示す模式図であり、角度可変反射板140は矢印X方向に回動し、それに伴って検出波Mは図中左右方向に振られ、開口部2を通じて炉内へと伝搬して炉内に堆積している装入物(図示せず)の表面を走査する。また、角度可変反射板140の反射面140aの中心点P(以下、「測定基準点」ともいう。)が、開口部2により遠い位置にある場合の検出波Mの伝搬様式を同図の(A)、開口部2により近い位置にある場合の検出波Mの伝搬様式を同図の(B)に示す。開口部2が同じ開口面積である場合、測定基準点Pが開口部2から遠いと、同図(A)の斜線で示すように開口部2による検出波Mが遮断される。
【0006】
図8(A)、(B)は、開口部2から炉内を見た模式図であり、同図(A)は、図7(A)に相当するものであり、測定基準点Pが開口部2から遠い場合、同図(B)は、図7(B)に相当するものであり、測定基準点Pが開口部2に近い場合をそれぞれ示している。装入物300は高炉1の内壁1aまで堆積しているが、測定基準点Pが開口部2から遠い場合(図7(A)に相当)には開口部2が小さく見え、図8(A)に斜線で示すように、装入物300の全面を見ることができない。これに対して、測定基準点Pが開口部2に近い場合(図7(B)に相当)には、開口部2から装入物300の全面を見ることができ、走査領域も装入物300の全面にわたる。
【0007】
測定基準点Pが開口部2から遠い場合でも、開口部2の開口面積を大きくすれば走査領域を広げることができるが、開口部2の拡大作業が必要になる。また、高炉内は高圧で大掛かりな高炉の変更が必要でスペースもなく経済的でもない。
【0008】
あるいは、昇降装置を用い、装入物の表面プロフィールの測定時に検出装置全体を開口部2に近づけることも考えられるが、昇降装置が別途必要になり、設備費が高まる。高炉内は高圧であって検出装置を上下すると、検出装置の外形相当のシール材が必要でガス漏れのリスクが増える。
【0009】
このように、検出装置の設置状況によっては走査領域が狭くなることも想定されることから、本発明は、検出装置の設置状況によらず、装入物全面にわたる走査領域を確保して、装入物の全面の表面プロフィールを検出することが可能な高炉内装入物の表面プロフィール検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために敬意検討した結果、図7(B)のように、測定基準点Pを開口部2側により近くになるように角度可変反射板の位置を規制して走査領域を確保することが有効であり、仕切弁をスイング式として、検出装置の下側から検出装置を高炉の内部から遮断することが好ましいことを見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、下記の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置を提供する。
【0011】
(1) 鉄鉱石やコークス、石灰等の装入物が供給される高炉において、前記高炉に開口した開口部を通じて、炉内に堆積している前記装入物の表面に向けて検出波を送信し、前記装入物の表面で反射された前記検出波を受信して前記装入物の表面プロフィールを検出する検出装置であって、
前記開口部の上方に設置され、該開口部の開口中心を中心軸として回転する回転板と、
前記回転板を回転させるための回転手段と、
前記回転板の中心部が開口しており、前記開口と同心状に取り付けられ、内部にアンテナを収容した筒状の回転軸と、
前記回転軸の前記開口部とは反対側の端部の上方に設置されるとともに、前記アンテナに接続し、前記検出波を前記回転板の径方向に沿って線状に送信及び受信する送受信手段と、
前記回転板に取り付けられて前記開口部との間の空間に配設され、反射面の角度が可変である角度可変反射板と、
前記回転板に取り付けられて前記開口部との間の空間に配設され、かつ、反射面の角度が固定で、前記アンテナからの前記検出波を前記角度可変反射板の前記反射面に送るための角度固定反射板と、
前記検出装置全体を包囲し、前記高炉の前記開口部と対向する底面が開口しているケーシングと、を備えるとともに、
前記角度可変反射板の少なくとも一部を、前記高炉の前記開口部に侵入する位置に設置するとともに、前記ケーシングの前記底面側の一部が前記高炉の前記開口部から前記炉内に突出して設置されていることを特徴とする高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
(2) 鉄鉱石やコークス、石灰等の装入物が供給される高炉において、前記高炉に開口した開口部を通じて、炉内に堆積している前記装入物の表面に向けて検出波を送信し、前記装入物の表面で反射された前記検出波を受信して前記装入物の表面プロフィールを検出する検出装置であって、
前記開口部の上方に設置され、該開口部の開口中心を中心軸として回転する回転板と、
前記回転板を回転させるための回転手段と、
前記回転板に取り付けられて前記開口部との間の空間に配設されるアンテナと、
前記アンテナに接続し、前記検出波を前記回転板の径方向に沿って線状に送信及び受信する送受信手段と、
前記回転板に取り付けられて前記開口部との間の空間に配設され、反射面の角度が可変である角度可変反射板と、
前記回転板に、前記角度可変反射板と対向して取り付けられ、かつ、反射面の角度が固定で、前記アンテナからの前記検出波を前記角度可変反射板の前記反射面に送るための角度固定反射板と、
前記検出装置全体を包囲し、前記高炉の前記開口部と対向する底面が開口しているケーシングと、を備えるとともに、
前記角度可変反射板の少なくとも一部を、前記高炉の前記開口部に侵入する位置に設置するとともに、前記ケーシングの前記底面側の一部が前記高炉の前記開口部から前記炉内に突前記ケーシングの前記底面側の一部が前記高炉の前記開口部から前記炉内に突出して設置されていることを特徴とする高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
(3) 前記ケーシングの軸線方向に回動し、前記装入物の表面プロフィールの非測定時に前記底面を覆い、前記装入物の表面プロフィールの測定時に前記装入物側に垂下するスイング式の仕切弁を備えることを特徴とする上記(1)または(2)記載の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
(4) 前記仕切弁が、前記底面を分割して覆う分割式であることを特徴とする上記(3)記載の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
(5) 前記仕切弁の前記ケーシングの前記底面と対面する側の面に、該仕切弁と該ケーシングとの間の隙間を閉塞するパッキンが付設されていることを特徴とする上記(3)または(4)記載の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
(6) 前記仕切弁の前記装入物側の面が耐火物で覆われていることを特徴とする上記(3)~(5)の何れか1項に記載の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
(7) 前記ケーシングの、前記高炉の前記開口部から前記炉内に突出している部分と、前記仕切弁とを包囲する箱体と、前記箱体に設けられ、前記パッキン及び前記耐火物の少なくとも一方の保守を行うための点検口を備えることを特徴とする上記(5)または(6)記載の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置によれば、走査領域を広くすることができ、しかも高炉の開口部を拡大したり、昇降装置を用いる等の追加作業や追加装置が不要であり、既存の種々の高炉に適用することができ、装入物の全面の表面プロフィールを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置の第1実施形態を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態の検出装置を高炉の開口部に設置した状態を示す断面図である。
図3図3は、仕切弁の一例を示す断面図であり、同図(A)は仕切弁を閉じた状態、同図(B)は仕切弁を開いた状態をそれぞれ示しており、同図(C)は同図(B)の炉内側から見た模式図である。
図4図4は、仕切弁に耐火物、パッキンを付設した状態を示す模式図である。
図5図5は、分割式仕切弁を示す模式図である。
図6図6は、本発明の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置の第2実施形態を示す断面図である。
図7図7(A)及び図7(B)は、測定基準点と開口部との高低差の違いによる検出波の伝搬様式を説明するための図である。
図8図8は、高炉の開口部から炉内を見た模式図であり、図8(A)は図7(A)に対応し、図8(B)は図7(B)に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、本発明の高炉内装入物の表面プロフィール検出装置(以下、「検出装置」ともいう。)の第1実施形態を示す断面図である。なお、図1に示す検出装置100における詳細な構造や機能については、特許文献1の第1実施形態を参照することができる。
【0016】
図1に示すように、検出装置100は、回転軸110を中心にして回転する回転板120を備える。
【0017】
回転板120は、中央部が開口した円環状の円板である。この回転板120の中央部の開口を、符号121で示す。
【0018】
回転軸110は、円筒状で、その内部にアンテナ135を収容しており、回転板120の開口121と同心状に取り付けられる。アンテナ135は、導波管133を介して検出波Mの送受信手段130に接続している。導波管133は、連結棒114の送受信手段130側の上端部分が分離しており、送受信手段130が回転しない構成となっている。なお、この分離部分を符号180で示すが、検出波Mが漏洩しないように、隙間の間隔を検出波Mの波長未満に設定している。また、導波管133は、回転軸110の軸線と一致している。なお、アンテナ135には、検出波Mの指向性を高めるために、アンテナ面に、フッ素樹脂等からなる誘電体レンズ136を付設してもよい。また、誘電体レンズ136により、検出波Mとしてミリ波にも対応することができる。さらに、アンテナ135をパラボラアンテナまたはカセグレンアンテナにすることにより、検出装置100の全体としての、図中の縦方向の寸法を小さくすることができ、誘電体レンズ136を省略することもできる。
【0019】
回転軸110の外周面にはギア112が設けられており、ギア112には、モータ113(回転手段)のギア155が噛合している。従って、回転手段であるモータ113を駆動させることにより、回転軸110が図中の符号Yで示すように回動し、それに伴って回転板120が、回転軸110と同方向に、高炉1の開口部2に対して水平に回転する。
【0020】
回転板120の下方の、高炉1の開口部2との間の空間には、炉内に検出波Mを送信し、受信するための角度固定反射板138と、角度可変反射板140とが配設されている。
【0021】
角度固定反射板138は、その反射面の傾斜角度が45°に固定されている反射板であり、第1の角度固定反射板138A、第2の角度固定反射板138B、第3の角度固定反射板138Cで構成されている。第1の角度固定反射板138Aは、回転板120の開口121を通じてアンテナ135のアンテナ面(図の例では誘電体レンズ136)と対向している。第2の角度固定反射板138Bは、第1の角度固定反射板138Aと対向配置しており、第2の角度固定反射板138Bとは第3の角度固定反射板138Cが対向配置している。そのため、図中の一点鎖線で示すように、アンテナ135から送信された検出波Mは、第1の角度固定反射板138Aで反射されて第2の角度固定反射板138Bに送られ、第2の角度固定反射板138Bで反射された後、第3の角度固定反射板138Cに送られる。そして、第3の角度固定反射板138Cで反射されて、角度可変反射板140に送られる。
【0022】
これら第1の角度固定反射板138A、第2の角度固定反射板138B及び第3の角度固定反射板138Cは、回転板120から高炉1の開口部2に向かって垂下する固定部材
(図示せず)に取り付けられる。あるいは、回転板120から高炉1の開口部2に向かって延び、回転板120の周縁に取り付けられる側壁170に、第1の角度固定反射板138A、第2の角度固定反射板138B及び第3の角度固定反射板138Cを取り付けることもできる。なお、側壁170は、高炉1の開口部2と対面する底面が開口した円筒体であり、ケーシングの一部を構成している。
【0023】
なお、検出波Mとしては、炉内が高温で、粉塵や水蒸気が存在していることからマイクロ波やミリ波を用いることが好ましい。特に、ミリ波はマイクロ波よりも波長が短く、指向性が高いことから好ましい。
【0024】
角度可変反射板140は、反射面140aの傾斜角度が図中の符号Xで示す方向に可変する反射板である。この角度可変反射板140では、反射面140aとは反対側の面(裏面)の中心に、リンク機構117の第1リンク117aが固定されており、第1リンク117aには第2リンク117bが連結している。また、第2リンク117bには、回転軸110の開口121を通じて回転軸110の内部を貫通する連結棒114が連結しており、連結棒114の第2リンク117bとは反対側の端部にラックギア118が形成されている。
【0025】
連結棒114は、アンテナ135と送受信手段130とを接続する導波管133を内管とする外管部114aを有し、外管部114aの外周面にラックギア118が形成されている。このラックギア118には、モータ125のギア119が噛合しており、モータ125を駆動することによりギア119が回転し、ラックギア118で直線運動に変換される。ここで、モータ125には、エンコーダ126が接続しており、モータ125の回転量、更にはギア119の回転量が検出される。
【0026】
また、連結棒114は、回転軸110の内部で、アンテナ135を避けるように回転板120に向かって延びる中間部114bを有している。外管部114aの回転軸110側の端部は外方に屈曲しており、この屈曲部分に中間部114bが連続している。
【0027】
更には、中間部114bは、回転板120の開口121を通じて高炉1の開口部2に延びる下端部114cを有している。この下端部114cが、リンク機構117の第2リンク117bに連結している。
【0028】
連結棒114はこのように構成され、回転がギア119を通じてラックギア118により直線運動に変換され、図中に符号Hで示すように、連結棒114が角度可変反射板140の側、あるいは反対側へと直線状に移動する。
【0029】
また、図示は省略するが、導波管133のアンテナ135の側の部分を、回転軸110よりフリーにして回転軸110が回転しても導波管133が回転しないようにしてもよい。このように、導波管133を分離部分180にて分断しない方法もある。
【0030】
あるいは、回転軸110の天板部分に導波管133より若干大径の挿通孔を設け、回転軸110が回動しても、アンテナ135が回転しないようにすることもできる。
【0031】
角度可変反射板140の直径両端には、支軸141、141が突設しており、支軸141、141が回動自在に、支持腕保持棒145に取り付けられている。
【0032】
そして、連結棒114が角度可変反射板140の側へと移動(図中の下降)すると、リンク機構117を介して角度可変反射板140の反射面140aが高炉1の内壁を向くように傾斜し、連結棒114が角度可変反射板140とは反対側へと移動(図中の上昇)すると、リンク機構117を介して角度可変反射板140の反射面140aが高炉1の軸線を向くように傾斜する。即ち、連結棒114の下降及び上昇により、角度可変反射板140の反射面140aの傾斜を、図中の符号X方向に変えることができる。この角度可変反射板140の反射面140aの中心が、図7(A)及び図7(B)に示した「測定基準点P」となる。
【0033】
それに伴って、角度固定反射板138の第3の角度固定反射板138Cから角度可変反射板140に送られた検出波Mは、符号Zで示すように図中左右方向に振られ、回転板120の径方向に沿った線状となって炉内に送られる。
【0034】
検出波Mは、炉内に堆積している装入物(図示せず)の表面で反射され、送信時と同経路を辿って送受信手段130で受信される。送受信は、例えばFM-CW方式で行うことができる。
【0035】
この線状の検出波Mの送受信を、回転軸110を中心にして回転板120を回転させながら行うことにより、炉内に堆積している装入物の表面に対して円形の走査領域における距離情報、即ち装入物の表面プロフィールが得られる。
【0036】
検出装置100は、図1の矢印Aで示すように、高炉1の開口部2に設置されるが、その際、本発明では、図2に示すように、角度可変反射板140の一部もしくは全部が開口部2に侵入する位置になるように設置する。検出装置100を設置する際は、例えば、側壁(ケーシング)170の外周面から突出するフランジ171を、高炉1の開口部2の周縁に沿って固定する。このように設置することにより、角度可変反射板140の反射面140aの中心、即ち測定基準点Pが開口部2の内部、あるいはごく近傍に位置することになり、図7(A)及び図7(B)を用いて説明したように、走査領域が広くなる。
【0037】
また、側壁170はそのままであるから、角度可変反射板140の一部もしくは全部が開口部2に侵入する位置になるように設置することにより、側壁170の底面側の一部が開口部2から炉内に突出する。炉内からの高温や粉塵の侵入を防ぐために、側壁170の底面を、検出波Mを透過する耐熱性の板材(例えば、ガラス板)で閉塞してもよいが、保守作業等のような装入物の表面プロフィールの非測定時、すなわち非検出時には、図3に示すように、更に仕切弁200で覆うこともできる。
【0038】
なお、図3では、簡単のために、高炉1の開口部2と、側壁170の底面170aと、仕切弁200のみを示す。仕切弁200として、スイングバルブを用いることができる。仕切弁200は、側壁170の底面170aの全面を覆う蓋部材210と、蓋部材210の一端に連続して支持部材211が形成され、全体として断面L字状を呈している。また、支持部材211は回転軸220に接続しており、仕切弁200は回転軸220を中心に、矢印Rで示すように側壁170の軸線Cの方向に回動する。そして、回転軸220の操作により、同図(A)に示すように、装入物の表面プロフィールの非測定時には、仕切弁200の蓋部材210が側壁170の底面170aと対面して覆い、同図(B)に示すように、装入物の表面プロフィールの測定時、すなわち検出時には、仕切弁200の蓋部材210を軸線Cから離間する方向に回動させて、側壁170の底面170aを露出させる。
【0039】
側壁170の仕切弁200側のフランジ171aには、回転軸220を外部で駆動源に接続するための隙間172を確保するために開口している。そして、回転軸220を含めて覆うようにカバー体173で包囲されている。また、高炉1の開口部2も、仕切弁200の支持部材211が回動できるように、符号2aで示すように、延長している。
【0040】
また、同図(C)に示すように、側壁170の、高炉1の開口部2から炉内に突出している部分と、仕切弁200とを包囲し、炉内側が開口している箱体175を付設してもよい。
【0041】
更には、仕切弁200の蓋部材210の、側壁170の底面170aと対面する側の面210bにパッキン240を付設してよく、仕切弁200の蓋部材210と側壁170の底面170aとの間の密封性が高まる。
【0042】
また、同図(C)に示すように、箱体175の回転軸220の両端を支持している両側壁175a、175aには、点検口176、176が開口しており、パッキン240や耐火物230の観察や交換を行うことができる。さらに、点検口176は、カバー177により開閉式になっており、装入物の表面プロフィールの測定時には閉口し、交換時には開口する。
【0043】
なお、図4に示すように、蓋部材210の装入物と対向する側の面210aに耐火物230を付設してもよく、これにより仕切弁200の耐熱性がより高まる。
【0044】
更に、仕切弁200は、分割式にすることもできる。その一例として、図5に2分割の分割式仕切弁200Aを示す。この分割式仕切弁200Aは、側壁170の両側に一対設けられるものであり、それぞれの蓋部材210a、210aは、会合して側壁170の底面170aの全面を覆う。なお、分割式仕切弁200Aは、3分割や4分割などであってもよい。
【0045】
また、分割式仕切弁200Aでも、図4に示すような耐火物230やパッキン240を同様に付設してもよい。
【0046】
[第2実施形態]
図6は、本発明の検出装置の第2実施形態を示す断面図である。なお、図6に示す検出装置100における詳細な構造や機能については、特許文献1の第3実施形態を参照することができる。
【0047】
図6に示すように、検出装置100は、回転軸110を中心にして、符号Yで示すように高炉1の開口部2に対して水平に回転する回転板120の下面には、検出波Mを送信し、受信する送受信手段130が装着されている。送受信手段130にはアンテナ135が接続しており、アンテナ135の直下には、反射面138aの傾斜角度が固定の角度固定反射板138が配設されている。また、アンテナ135には、検出波Mの指向性を高めるために、アンテナ面に誘電体レンズ136を付設してもよい。
【0048】
また、図示は省略するが、送受信手段130を内管115の上に載置し、内管115の中に導波管または同軸ケーブルを仕込み、アンテナ135に接続してもよい。これにより、送受信手段130を高炉1の高温から保護することができる。
【0049】
回転軸110は2重管構造になっており、その外管111の開口部2側の端部が回転板120に固定されている。また、外管111の外周面にはギア112が設けられており、ギア112には、モータ113のギア155が噛合している。従って、モータ113を駆動させることにより、外管111に固定されている回転板120が図中の符号Yで示すように、高炉1の開口部2に対して水平に回転する。
【0050】
回転軸110の内管115は、その開口部2側の端部に、リンク機構117を介して、反射面140aの傾斜角度が図中の符号Xで示す方向に可変の角度可変反射板140が取り付けられている。この角度可変反射板140は、反射面140aとは反対側の面の中心に、リンク機構117の第1リンク117aが固定されており、第1リンク117aには第2リンク117bが連結し、第2リンク117bには内管115の先端が連結している。内管115の他端には、ラックギア118が形成されており、ラックギア118にはモータ(図示せず)のギア119が噛合しており、モータを駆動することによりギア119が回転し、ラックギア118で直線運動に変換される。そして、内管115が、図中に符号Hで示すように、角度可変反射板140の側、あるいは反対側へと直線状に移動する。
【0051】
また、角度可変反射板140の直径両端には、支軸141、141が突設しており、支軸141、141が回動自在に、支持腕保持棒145に取り付けられている。
【0052】
そして、内管115が角度可変反射板140の側へと移動(図中の下降)すると、リンク機構117を介して角度可変反射板140の反射面140aが高炉1の内壁を向くように傾斜し、内管115が角度可変反射板140とは反対側へと移動(図中の上昇)すると、リンク機構117を介して角度可変反射板140の反射面140aが高炉1の軸線を向くように傾斜する。即ち、内管115の下降及び上昇により、角度可変反射板140の反射面140aの傾斜を、図中の符号X方向に変えることができる。
【0053】
また、角度固定反射板138と、角度可変反射板140とは対向配置されており、送受信手段130からの検出波Mは、アンテナ135から角度固定反射板138の反射面138aで反射されて角度可変反射板140の反射面140aへと送られた後、角度可変反射板140の反射面140aから高炉1の開口部2を通じて炉内へと送られる。その際、角度可変反射板140の反射面140aの傾斜角度Xを変えることにより、検出波Mの炉内への送信経路は、符号Zで示すように、図中左右方向に振られて回転板120の径方向に沿った線状となる。
【0054】
この線状の検出波Mの送受信を、回転軸110を中心にして回転板120を回転させながら行うことにより、炉内に堆積している装入物の表面に対して円形の走査領域における距離情報、即ち装入物の表面プロフィールが得られる。
【0055】
そして、本発明では、第1実施形態の図2に示したように、角度可変反射板140の一部もしくは全部が開口部2に侵入する位置になるようにフランジ171を介して設置する。これにより、走査領域が広くなる。
【0056】
また、側壁170の底面側の一部が開口部2から炉内に突出するため、図示は省略するが、第1実施形態の図3~5に示した仕切弁200、分割式仕切弁200Aを付設することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 高炉
2 開口部
100 検出装置
110 回転軸
113 モータ(回転手段)
114 連結棒
117 リンク機構
120 回転板
130 送受信手段
135 アンテナ
138 角度固定反射板
138A 第1の角度固定反射板
138B 第2の角度固定反射板
138C 第3の角度固定反射板
140 角度可変反射板
170 側壁(ケーシング)
171、171a フランジ
175 箱体
176 点検口
177 カバー
200 仕切弁
200A 分割式仕切弁
210 蓋部材
211 支持部材
220 回転軸
230 耐火物
240 パッキン
300 装入物
M 検出波
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8