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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023043002
(43)【公開日】2023-03-28
(54)【発明の名称】空中表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20230320BHJP
   H01H 35/00 20060101ALI20230320BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
G02B30/56
H01H35/00 C
G09F9/00 359
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021150456
(22)【出願日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 敦
(72)【発明者】
【氏名】大原 知子
(72)【発明者】
【氏名】浜田 勝平
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕紹
【テーマコード(参考)】
2H199
5G055
5G435
【Fターム(参考)】
2H199BA32
2H199BB18
2H199BB20
2H199BB29
2H199BB67
2H199DA16
5G055AA08
5G055AA10
5G055AG35
5G435AA01
5G435DD10
5G435EE49
5G435FF03
5G435FF08
5G435FF14
5G435GG08
5G435GG09
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で空中表示への指等の接触を検出することのできる空中表示装置を提供すること。
【解決手段】実施形態の空中表示装置は、面状発光体と、再帰反射シートと、ハーフミラーと、受光素子とを備える。前記面状発光体は、透光性を有する。前記再帰反射シートは、前記面状発光体の出射面側に配置され、空中表示する図形を表した複数の貫通孔を有する。前記ハーフミラーは、前記再帰反射シートの出射面側に配置される。前記受光素子は、前記面状発光体の非出射面側に配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する面状発光体と、
前記面状発光体の出射面側に配置され、空中表示する図形を表した複数の貫通孔を有する再帰反射シートと、
前記再帰反射シートの出射面側に配置されたハーフミラーと、
前記面状発光体の非出射面側に配置された受光素子と、
を備える空中表示装置。
【請求項2】
透光性を有し、空中表示する図形のパターンで発光する面状発光体と、
前記面状発光体の非出射面側に配置され、少なくとも1つの貫通孔を有する再帰反射シートと、
前記面状発光体の出射面側に配置されたハーフミラーと、
前記再帰反射シートの前記面状発光体とは反対側に配置された受光素子と、
を備える空中表示装置。
【請求項3】
前記面状発光体は、
線状光源と、
前記線状光源から出射される光を入光側面から入射し、一方の主面から光を出射する導光板と、
を備える請求項1または2に記載の空中表示装置。
【請求項4】
前記導光板は、
出射面側に光を出射させる光学素子と、
出射面側から到来する光を透過させるフラット部と、
を備える請求項3に記載の空中表示装置。
【請求項5】
前記受光素子の入光側に配置されたルーバーシート、
を備える請求項1~4のいずれか一つに記載の空中表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハーフミラーや再帰反射シートが用いられ、空中に任意のパターンの虚像を表示することのできる空中表示装置が提案されている(例えば、特許文献1、2等を参照)。このような空中表示装置では、空中表示を機器のスイッチのボタンに見立て、空中表示にユーザの指等を触れさせる(空中表示の位置に指を移動させる)ことで、非接触で衛生的に機器の操作等を行わせることができるようにしたものが多い。
【0003】
空中表示への指等の接触の検出は、近接センサ等により行われ、静電容量の変化から指等の近接を検出する静電式や、赤外線等の指等による反射光を受光して近接を検出する光学式等が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-56806号公報
【特許文献2】特開2012-209076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スイッチのボタン等に対応する空中表示ごとに、静電式のセンサでは検出回路の他に1対の電極が必要になり、光学式のセンサでは検出回路および受光素子の他に発光素子が必要になる。そのため、部品点数が多くなり、それらの部品の配置のためのスペースにより装置の小型化が困難になるとともに、コストダウンが図りにくいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で空中表示への指等の接触を検出することのできる空中表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る空中表示装置は、面状発光体と、再帰反射シートと、ハーフミラーと、受光素子とを備える。前記面状発光体は、透光性を有する。前記再帰反射シートは、前記面状発光体の出射面側に配置され、空中表示する図形を表した複数の貫通孔を有する。前記ハーフミラーは、前記再帰反射シートの出射面側に配置される。前記受光素子は、前記面状発光体の非出射面側に配置される。
【0008】
本発明の一態様に係る空中表示装置は、簡易な構成で空中表示への指等の接触を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態にかかる空中表示装置の例を示す表示面側から見た図である。
図2図2は、図1におけるX-X断面図である。
図3図3は、空中表示装置による空中表示の説明図である。
図4図4は、空中表示装置の空中表示が指で触れられた状態の例を示す図である。
図5図5は、導光板を表示面側から見た図である。
図6図6は、図5におけるX-X断面図である。
図7図7は、第2の実施形態にかかる空中表示装置の断面図である。
図8図8は、ルーバーシートによる指からの光のみの透過の説明図である。
図9図9は、第3の実施形態にかかる空中表示装置の例を示す表示面側から見た図である。
図10図10は、図9におけるX-X断面図である。
図11図11は、空中表示装置による空中表示の説明図である。
図12図12は、空中表示装置の空中表示が指で触れられた状態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る空中表示装置について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる空中表示装置1の例を示す表示面側から見た図である。図2は、図1におけるX-X断面図である。なお、図1および図2における空中表示装置1は、例えば個室トイレ内の壁面等に設置される操作パネル等に採用されることが想定されており、その場合、表示面が水平方向(図におけるZ軸方向)を向く。なお、用途に応じ、空中表示装置1は任意の姿勢で用いられる。
【0012】
図1および図2において、空中表示装置1は、略矩形状の開口を形成する段差部2a~2dが内側に設けられたフレーム2の段差部2c内に、透光性を有する面状発光体を構成する線状光源3と導光板4とが配置されている。線状光源3は、導光板4の入光側面4aの長手方向(X軸方向)に沿って線状に発光する光源である。導光板4は、ポリカーボネートやアクリル等の透明材料により形成され、入光側面4aから入射された光を終端側まで導き、裏面(非出射面)側に設けられた、光学素子4bにより形成される発光部により光を出射面側(図のZ軸正方向側)に出射する。
【0013】
また、導光板4は、光学素子4bの調整により、出射面側のアイポイントEPが存在しない方向(図2における左斜め下側)に光を出射し、アイポイントEPが存在する所定方向に直接に出射する光を抑制するようにしている。アイポイントEPは、ユーザが目視することが想定される位置である。また、導光板4は出射面側から到来した光を裏側の、後述する光検出器9側に透過させる性質を有している。出射面側から到来した光としては、空中表示からユーザの指により反射された光を対象としている。
【0014】
また、導光板4の光学素子4bによって構成される発光部は、後述する再帰反射シート5における、空中表示する図形を表すのに用いられる可能性のある複数の貫通孔5aの位置を余裕をもってカバー(貫通孔5aの周囲の所定範囲もカバー)する1つの略矩形状の領域(表示面側から見た形状)で発光する。なお、1つの略矩形状の領域を発光するのに代え、個々の貫通孔5aおよびその周囲のみを発光させることもできる。前者の場合、空中表示する図形を変更する場合、再帰反射シート5の貫通孔5aだけを変更すればよいため、対応が容易になる。また、後者の場合、導光板4から出る光を表示に必要なものに絞ることができるため、光効率を高めることができる。
【0015】
また、導光板4の裏側(非出射側)の段差部2dに連なる底面には、光検出器9が設けられている。光検出器9の入光部は、導光板4に対向している。また、段差部2cに連なる底面(線状光源3および導光板4と隣り合う面)は、光の反射性の高い白色等に着色されるか、白色等の素材で形成されるか、反射シートが設けられる。これにより、線状光源3および導光板4から裏面側へ漏れる光を線状光源3および導光板4に戻すことで、光効率を高め、輝度を高めることができる。
【0016】
また、導光板4の出射面側には、光学素子4bによる発光部に対応する位置に、空中表示する図形を表した複数の貫通孔5aを有する再帰反射シート5が、反射面を出射面側(導光板4とは反対側)に向けて配置されている。再帰反射シート5の図2における上側には、再帰反射シート5と並んで遮光部材15が設けられている。図示の例では、アイポイントEPが図における上方に設定されており、上方向への光の出射は不要となるため、導光板4の上部は遮光部材15で覆われている。
【0017】
再帰反射シート5は、入射してきた光をほぼ同じ経路で逆方向に反射する性質をもった光学部材であり、コーナーキューブと呼ばれる、光を反射する性質を持った3枚の面が互いに直角に組み合わされた、立方体の頂点の内面を利用したものを使用することができる。コーナーキューブは、例えば、透明な板の裏側に頂角が90°の三角錐状の微小な多数のプリズムが形成され、その外側に金属蒸着等により反射面が形成されることで構成される。また、再帰反射シート5として、透明の微小なガラスビーズ球などが表面に隙間なく配置され、入射された光を同じ経路で出射(入射角と出射角が同じ)する性質を有したシートも使用することができる。
【0018】
また、フレーム2の開口側には、開口を覆うように段差部2aにハーフミラー6が配置され、ハーフミラー6にはトップカバー7が外側に重ねられている。なお、ハーフミラー6の外側(視認側)にハードコート処理を施すことにより、トップカバー7を省略することもできるが、ハーフミラー6はフィルム状であるため、支持用の透明樹脂板が必要となる。なお、ハードコート処理は、傷防止や汚れ防止、抗菌などを目的として施されるものであり、トップカバー7が外側に配置される場合でも、トップカバー7にハードコート処理を施すのが好ましい。
【0019】
ハーフミラー6は、入射された光の半分程度を反射し、残りの半分程度を透過させる性質を有した光学部材である。トップカバー7は、透明材料により形成され、ハーフミラー6を保護するためのものである。なお、トップカバー7の透過度を下げることにより、外部から空中表示装置1の内部が見えづらくなり、空中表示だけを見やすくすることができる。なお、再帰反射シート5とハーフミラー6とは、互いに少し傾けて配置されるものであってもよい。
【0020】
図3は、空中表示装置1による空中表示Iの説明図である。図3において、面状発光体を構成する導光板4の光学素子4bによる発光部から出た光は、再帰反射シート5の貫通孔5aを通って例えば経路L1で出る。この光は、半分程度がハーフミラー6で反射され、経路L2により再帰反射シート5に当たる。再帰反射シート5に当たった光は、入射角と同じ出射角で経路L3によりハーフミラー6に戻り、半分程度が透過する。ある貫通孔5aから出た光は、経路L1の角度が変わっても幾何学的な関係から空中表示装置1外の同じ位置を通過するため、ハーフミラー6およびトップカバー7の外側に空中像による空中表示Iが出現する。空中表示Iは、ユーザのアイポイントEPから視認が可能であり、ユーザに指Fにより触れるような動作を行わせることができる。
【0021】
図4は、空中表示装置1の空中表示Iが指Fで触れられた状態の例を示す図である。図4において、指Fが空中表示Iの位置にくると、空中表示Iの部分は結像により照度(光密度)が高い状態になっているため、指Fの表面で拡散反射が行われ、その一部が、例えば経路LFにより、トップカバー7およびハーフミラー6を透過し、再帰反射シート5の中央付近の貫通孔5aを通過し、更に、透光性を有する導光板4を透過して、光検出器9に到達する。これにより、光検出器9の検出信号から、指Fが空中表示Iに触れたこと(指Fが空中表示Iの位置にあること)が検出される。
【0022】
上記の構成により、スイッチのボタン等に対応する空中表示Iごとに、静電式のセンサの場合における1対の電極は不要となる。また、光学式のセンサの場合における発光素子は不要となる。そのため、部品点数が少なくなり、それらの部品の配置のためのスペースも不要となって装置の小型化が容易となり、コストダウンも図りやすくなる。
【0023】
以上のように、指Fからの反射光は導光板4を透過してくるものであり、導光板4の透光性は重要である。以下に、導光板4の透光性を高める工夫について説明する。
【0024】
図5は、導光板4を表示面側から見た図である。図6は、図5におけるX-X断面図である。図5および図6において、発光部を構成するプリズム形状等の光学素子4b同士の間には、フラット部4cが設けられている。なお、隣り合う2個の光学素子4bの間に1個のフラット部4cが設けられている例が図示されているが、これに限定されず、光学素子4bが数個連続する都度にフラット部4cが設けられるようにしてもよい。
【0025】
図6において、例えば経路L11で到来した入射面に略垂直な光は、フラット部4cで屈折されることなく透過する。また、例えば経路L12で到来した入射面に略垂直な光は、光学素子4bによって屈折されるが、その先に光検出器9が設けられていれば検出される。光学素子4bは発光部を構成する上で必須のものであり、光学素子4bだけの部分であっても逆方向(出射方向と逆方向)へのある程度の透光性を有しているが、フラット部4cが設けられることで、透光性をいっそう高め、光検出器9による検出の感度を高めることができる。
【0026】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、指Fからの反射光とは関係なく導光板4から光検出器9へ直接に入射する光を減少させることで、検出の感度を高めるようにしたものである。
【0027】
図7は、第2の実施形態にかかる空中表示装置1の断面図である。なお、正面図は図1と同様であるが、複数の光検出器9の前面(導光板4側)に、共通のルーバーシート8が配置される点が異なる。なお、共通のルーバーシート8に代えて、個々の光検出器9の前面に、それぞれ別体のルーバーシート8が配置されるようにしてもよい。
【0028】
図7において、図2と比較して、光検出器9が配置される段差部2dのY軸方向の幅が拡大され、光検出器9の前面(導光板4側)にルーバーシート8が配置されている。ルーバーシート8は、所定の方向の光のみを透過させ、その他の方向の光を吸収する性質を有する光学部材である。ここでは、Z軸方向の光だけを透過させるものとしている。すなわち、ルーバーシート8の最大光線透過角度を、指Fからの反射光の中心軸であるZ軸方向に合わせている。他の構成は、図2と同様である。
【0029】
図8は、ルーバーシート8による指Fからの光のみの透過の説明図である。図8において、ユーザの指Fから経路LFで導光板4の出射面に略垂直に到来した光は、導光板4およびルーバーシート8を透過し、光検出器9により検出される。また、導光板4から裏面側に漏れる光は、例えば経路LLのようになり、ルーバーシート8の内部で吸収されるため、光検出器9には到達しない。すなわち、導光板4から出射する光の光軸は視認側のYZ平面の+Z軸から例えば下方向23度になる。そのため、裏面側についても垂直方向(-Z軸方向)に光はほとんど出射しない。よって、指Fからの反射光に対してノイズ成分となる光を遮断できるため、光検出器9による検出の感度を高めることができる。
【0030】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、空中表示のための基本的な構成が異なる空中表示装置1の例である。
【0031】
図9は、第3の実施形態にかかる空中表示装置1の例を示す表示面側から見た図である。図10は、図9におけるX-X断面図である。
【0032】
図9および図10において、図1および図2と異なる点は、先ず、再帰反射シート5が導光板4と光検出器9との間に配置される点と、遮光部材15が図における下側にも配置される点とである。すなわち、再帰反射シート5は、フレーム2の段差部2cに連なる底面上に配置されている。また、遮光部材15は、フレーム2の段差部2bに連なる底面上に設けられ、線状光源3および導光板4の線状光源3寄りの部分を覆うとともに、導光板4の終端側を覆っている。
【0033】
また、図1および図2では、空中表示する図形は再帰反射シート5の貫通孔5aの配置によって表されるが、図9および図10では、導光板4の光学素子4bによる発光部によって空中表示する図形が表される。すなわち、導光板4の光学素子4bによる発光部が、空中表示する図形のパターンで発光する。また、再帰反射シート5の貫通孔5aは、空中表示する図形には関係がなくなり、背後の光検出器9に光を通過させるために、少なくとも1つあればよい。
【0034】
その他は、図1および図2と同様である。また、図5および図6に示されたフラット部4cが導光板4の光学素子4bと隣接して設けられるようにしてもよい。また、図7および図8の第2の実施形態のように、光検出器9の前面にルーバーシート8が設けられるようにしてもよい。
【0035】
図11は、空中表示装置1による空中表示Iの説明図である。図11において、面状発光体を構成する導光板4の光学素子4bによる発光部から出た、空中表示する図形のパターンの光は、例えば経路L1で出る。この光は、半分程度がハーフミラー6で反射され、経路L2により導光板4を透過し、再帰反射シート5に当たる。再帰反射シート5に当たった光は、入射角と同じ出射角で経路L3により導光板4を透過してハーフミラー6に戻り、半分程度が透過する。導光板4のある光学素子4bから出た光は、経路L1の角度が変わっても幾何学的な関係から空中表示装置1外の同じ位置を通過するため、ハーフミラー6およびトップカバー7の外側に空中像による空中表示Iが出現する。空中表示Iは、ユーザのアイポイントEPから視認が可能であり、ユーザに指Fにより触れるような動作を行わせることができる。
【0036】
図12は、空中表示装置1の空中表示Iが指Fで触れられた状態の例を示す図である。図12において、指Fが空中表示Iの位置にくると、空中表示Iの部分は結像により照度(光密度)が高い状態になっているため、指Fの表面で拡散反射が行われ、その一部が、例えば経路LFにより、トップカバー7およびハーフミラー6を透過し、透光性を有する導光板4を透過し、再帰反射シート5の中央付近の貫通孔5aを通過し、光検出器9に到達する。これにより、光検出器9の検出信号から、指Fが空中表示Iに触れたこと(指Fが空中表示Iの位置にあること)が検出される。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0038】
以上のように、実施形態に係る空中表示装置は、透光性を有する面状発光体と、面状発光体の出射面側に配置され、空中表示する図形を表した複数の貫通孔を有する再帰反射シートと、再帰反射シートの出射面側に配置されたハーフミラーと、面状発光体の非出射面側に配置された受光素子とを備える。これにより、簡易な構成で空中表示への指等の接触を検出することができる。
【0039】
また、透光性を有し、空中表示する図形のパターンで発光する面状発光体と、面状発光体の非出射面側に配置され、少なくとも1つの貫通孔を有する再帰反射シートと、面状発光体の出射面側に配置されたハーフミラーと、再帰反射シートの面状発光体とは反対側に配置された受光素子とを備える。これにより、異なる基本構成においても、簡易な構成で空中表示への指等の接触を検出することができる。
【0040】
また、面状発光体は、線状光源と、線状光源から出射される光を入光側面から入射し、一方の主面から光を出射する導光板とを備える。これにより、面状発光体を容易に実現することができる。
【0041】
また、導光板は、出射面側に光を出射させる光学素子と、出射面側から到来する光を透過させるフラット部とを備える。これにより、導光板の透光性を高め、受光素子による検出の感度を高めることができる。
【0042】
また、受光素子の入光側に配置されたルーバーシートを備える。これにより、本来の検出対象でない光を減らし、受光素子による検出の感度を高めることができる。
【0043】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 空中表示装置,2 フレーム,2a~2d 段差部,3 線状光源,4 導光板,4a 入光側面,4b 光学素子,4c フラット部,5 再帰反射シート,5a 貫通孔,6 ハーフミラー,7 トップカバー,8 ルーバーシート,9 光検出器,15 遮光部材,EP アイポイント,I 空中表示,F 指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12